JP3582885B2 - ダイヤモンドの平滑加工方法及びその装置 - Google Patents

ダイヤモンドの平滑加工方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、工業的に利用されるダイヤモンド表面を平滑加工する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドは高硬度であり、かつ広い光透過域を持つため、部材のコーティング材としてや光透過窓材としての応用が検討されている。またワイドバンドギャップ半導体としての性質を有するダイヤモンドは、高温動作が可能な電子素子材料としても注目されている。このような用途に対して人工的にダイヤモンドを形成するための手法としては、比較的大面積でかつ様々な基板素材上に形成が可能な化学気相合成法(CVD法)が主に用いられている。CVD法は原料となる気体を低圧下で分解・反応させて膜を堆積するもので、原料ガスに不純物元素を含むガスを添加することにより、ドーピングも可能である。この方法によると、基板素材に単結晶ダイヤモンドや窒化ホウ素(c-BN)を用いた場合、成長表面が平滑な単結晶ダイヤモンド膜がホモ・エピタキシャル成長するが、それ以外の基板素材では成長表面に凹凸を有する多結晶膜しか得られていないのが現状である。そのため、基板素材上に大面積に形成されたCVD多結晶ダイヤモンドを様々な応用に対して用いる場合、一般に表面の平滑性を高めるために、ダイヤモンド形成後、研磨処理等を行なっていた。
【0003】
前記したように、CVD法によって形成されたダイヤモンド膜が単結晶膜の場合にはその成長表面は平滑であるが、基板素材として用いる単結晶ダイヤモンドやc−BNは非常に高価であると共に、小さな面積のものしか形成することはできない。すなわち、工業的に広く活用することは非常に困難であった。
【0004】
またそれ以外の基板素材を用いた場合、CVD法で得られるダイヤモンド膜は多結晶状であるが、その成長表面には個々の結晶粒による凹凸が存在し、その制御も困難であった。従って、多結晶ダイヤモンド膜を平滑にするためには、膜形成後、ダイヤモンド膜の表面を研磨処理する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般的にダイヤモンドは非常に硬いため、機械的な研磨処理は困難である。またダイヤモンドは化学的にも安定な物質であるため、エッチングなどによる化学的な処理も困難である。従って、従来の方法では、大面積でかつ表面が平滑なダイヤモンドを容易に生産することは困難であった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、凹凸のあるダイヤモンド膜の表面を効率良く合理的に平滑化する加工方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の第1番目のダイヤモンドの平滑加工方法は、10以上の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを加速し、前記加速したクラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することを特徴とする。
【0008】
次に本発明の第2番目のダイヤモンドの平滑加工方法は、ダイヤモンド表面を平滑加工する方法であって、10以上の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを質量で選別し、前記選別された所定の質量を有するクラスターを加速し、前記加速したクラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することを特徴とする。
【0009】
前記第1〜2番目の発明においては、クラスターの状態が、イオンであることが好ましい。
また前記第1〜2番目の発明においては、クラスターの構成分子または原子の数が、10000個以下であることが好ましい。さらに好ましくはクラスターの構成分子または原子の数が、100個以上5000個以下である。
【0010】
また前記第1〜2番目の発明においては、クラスターを構成する分子または原子の組成が、少なくとも酸素元素を含むことが好ましい。
また前記第1〜2番目の発明においては、クラスターを構成する分子が、二酸化炭素(CO2)分子であることが好ましい。
【0011】
また前記第1〜2番目の発明においては、クラスターを構成する分子が、酸素(O2)分子であることが好ましい。
また前記第1〜2番目の発明においては、加速されたクラスターのエネルギーが、50keV以下であることが好ましい。さらに好ましい下限値は、クラスターの構成分子または原子の数が、100個以上5000個以下の場合、約10keV以上である。
【0012】
また前記第1〜2番目の発明においては、加速されたクラスターを照射する際、ダイヤモンドを650℃以下の温度に加熱することが好ましい。さらに好ましい下限値は、約400℃以上である。
【0013】
また前記第1〜2番目の発明においては、クラスターをダイヤモンドに照射する雰囲気が、少なくとも酸素元素を構成元素として有する分子で構成される気体を含んだ減圧雰囲気であることが好ましい。
【0014】
また前記第1〜2番目の発明においては、クラスターを構成する分子が、希ガス分子であることが好ましい。
また前記第1〜2番目の発明においては、クラスターを構成する分子が、アルゴン(Ar)分子であることが好ましい。
【0015】
次に本発明のダイヤモンドの平滑加工装置は、供給ガスを導入し、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターに生成するためのクラスター生成手段と、前記クラスターをイオン化するためのイオン化手段と、前記クラスターを構成する分子または原子を所定の個数に選別するための質量分離手段と、前記クラスターを加速するための加速手段、及びダイヤモンドの表面にクラスタービームを照射するための照射手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
【作用】
前記した本発明の第1番目のダイヤモンドの平滑加工方法によれば、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを加速し、前記加速したクラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することにより、凹凸のあるダイヤモンド膜の表面を効率良く合理的に平滑化することができる。
【0017】
また本発明の第2番目のダイヤモンドの平滑加工方法によれば、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを質量で選別し、前記選別された所定の質量を有するクラスターを加速し、前記加速したクラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することにより、凹凸のあるダイヤモンド膜の表面を効率良く合理的に平滑化することができる。
【0018】
一般的に物質に対して、ある程度のエネルギーを有する粒子を照射した場合、スパッタリング作用により物質の表層は物理的にエッチングされる。それ故にこの現象を利用して、ダイヤモンドに加速した粒子を照射することにより、上記の多結晶ダイヤモンド層表面(成長表面)に存在する凹凸をエッチングし、平滑化することが可能となる。しかしながら通常のイオンのような単独で構成される粒子を多結晶ダイヤモンドに入射してエッチングを行なった場合、ダイヤモンド中に入射イオンが注入されてしまったり、ダイヤモンドに損傷を与えてしまう。とりわけダイヤモンドの場合、導入された損傷に起因してグラファイト化が起こり易くなるため、損傷の回復は困難である。加えてエネルギーを有するイオンの入射方向には強い方向性があるため、ダイヤモンド表層の凹凸のみを軽減することは困難である。以上のように、単独粒子を照射することによってダイヤモンドを加工することは適していない。
【0019】
それに対し、複数個の粒子(分子または原子)で構成されるクラスターをダイヤモンドに入射した場合は、単独粒子と同じエネルギーを持って入射した場合においても、個々の粒子一つ一つでみると等価的に低エネルギーであり、全体としてエッチング効果は変化しないままでダイヤモンドの損傷を防止することができる。加えて、入射クラスターとダイヤモンドとの相互作用において多体衝突効果が生じるため実際にはスパッタ効率が向上し、エッチング速度を大きくすることができる。また入射クラスターがダイヤモンドに衝突すると同時に、個々の分子または原子に分解し、その運動量(方向・速さ)やエネルギーを変えて散乱する効果ため、入射方向に対して横方向のスパッタ効果が顕著になる。それ故に、加速されたクラスターを多結晶ダイヤモンドに入射することにより、選択的に表層の凹凸を軽減し、平滑化させることができる。
【0020】
またダイヤモンドに入射するクラスターを質量で選別し、所定の質量を持ったクラスターのみを入射すると、より精度良くダイヤモンド表面の平滑化を行なうことが可能となる。
【0021】
また入射するクラスターの状態がイオンであると、クラスターの加速やクラスター流の方向制御またはクラスターの質量選別等が容易になる。
またクラスターの構成分子または原子の数が、10個以上10000個以下であると、より効率的にクラスターの生成とダイヤモンド表面の平滑化を行なうことが可能となる。
【0022】
またクラスターを構成する分子または原子の組成が、少なくとも酸素元素を含むと、物理的なエッチングのみならず化学的な効果により、ダイヤモンド表面の平滑化効率が向上する。
【0023】
またクラスターを構成する分子が、二酸化炭素(CO2)分子または酸素(O2)分子であると、容易に加工に適したクラスターを形成することが可能になる。
また加速されたクラスターのエネルギーが、50keV以下であると、ダイヤモンドにほとんど損傷を与えず、ダイヤモンド表面の平滑化することが可能となる。
【0024】
また加速されたクラスターを照射する際、ダイヤモンドを650℃以下の温度に加熱すると、効率的にダイヤモンド表面を平滑化することが可能となる。
またクラスターをダイヤモンドに照射する雰囲気が、少なくとも酸素元素を構成元素として有する分子で構成される気体を含んだ減圧雰囲気であると、効率的にダイヤモンド表面を平滑化することが可能となる。
【0025】
またクラスターを構成する分子が、希ガス分子、例えばアルゴン(Ar)分子であると、容易に加工に適したクラスターを形成することが可能になる。
次に本発明のダイヤモンドの平滑加工装置によれば、供給ガスを導入し、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターに生成するためのクラスター生成手段と、前記 ラスターをイオン化するためのイオン化手段と、前記クラスターを構成する分子または原子を所定の個数に選別するための質量分離手段と、前記クラスターを加速するための加速手段、及びダイヤモンドの表面にクラスタービームを照射するための照射手段とを備えたことにより、ダイヤモンドの平滑化を効率よく合理的に行うことができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明のダイヤモンドの加工方法の理解を容易にするため、その好適な各実施例を詳細に説明する。
【0027】
まず本発明の一実施例に用いた装置の基本的な構成を図1を用いて説明する。図1において、クラスター生成部4に導入されたガスよりクラスターが生成され、イオン化部5で前記クラスターはイオン化され、次に質量分離部6でクラスターを構成する分子または原子を所定の個数に選別し、次に加速部7で加速して、照射部8でダイヤモンド2の表面にクラスタービーム1を照射する。
【0028】
クラスターを生成する方法はいかなる手段を用いても良いが、一般的には気体原料を用いて、気体の構成原子または分子によるクラスターを生成するガスクラスター法が容易であるため最適である。本実施例では、図1のクラスター生成部4の真空容器9の壁にノズル11を設け、ノズル11のガス導入口10に外部からガスを導入するる。すなわち、2気圧以上の圧力で供給されたガスを超音速で噴射させ、排気ポンプ13を用いて1.33×10 -2 〜1.33×10 -4 Paの範囲の減圧雰囲気に保たれた容器中に断熱膨張させる。その結果、凝集して得られたクラスタービームの形を成形するスキマーからなるガスクラスター源を用いた。ノズル11はたとえば石英ガラスで形成されており、その断面図は図2に示す通りである。図2において、21はガス供給口、22はくびれ部、23はガス排出口(噴射口)である。ガス供給口21の開口直径aは約8mm、長さdは約20mm、くびれ部22の開口直径bは約0.1mm、ガス排出口(噴射口)23の開口直径cは約3mm、長さeは約30mmである。この方法で得られたクラスターを構成する分子・原子はファン・デル・ワールス力のような力で互いに弱く結合している。一般的に得られるクラスターのサイズ(構成粒子の数)は、供給する原料ガスの圧力またはノズルに設けられた孔の大きさ(直径:0.1mm程度以下)によって制御することが可能である。この様なガスクラスター源では、Arなどの希ガスやCO2、O2などの分子性ガス・化合物ガスなどからクラスタービームを容易に発生させることができる。また使用目的に応じてその混合ガスなどを用いることもできる。クラスターは図1に示すスキマー12を通過してイオン化部5に送られる。
【0029】
イオン化部5は、クラスタービームの集束や加速の制御を容易にするために個々のクラスターに電子衝撃やその他の方法で電荷を与えるもので、クラスターを構成する分子・原子のうちの一個に1価の電荷が与えるものである。すなわち、数十個から数千個の分子・原子の集団のうちの一個をイオン化させるので、あたかも個々のクラスターは数十倍から数千倍の質量を持った一価のイオンとして作用する。たとえばイオン化の方法は、イオナイザー15より放出された熱電子による電子衝撃法によって行うことができる。この方法の具体的な条件としては、W(タングステン)でできたフィラメントに150Vのイオン化電子電圧を印加して熱電子を引き出し、クラスターのイオン化を行った。なおイオン化部5は、排気ポンプ14を用いて1.33×10 -3 Pa以下の範囲の減圧雰囲気に保った。
【0030】
次に質量分離部6は、質量分離フィルター16などを用いて、生成されたクラスターをその質量で選別する。すなわち、クラスターを構成する分子または原子を所定の個数に選別するためのもので、この操作により、均質なクラスタービームを得ることができる。質量分離を行なう方法としては特に限定はしないが、電界によって分離する減速電界法や電界レンズの収差による方法、磁場を利用したE×B(イー・クロス・ビーフィルター、またはウィーン・フィルター)法などが考えられる。中でも減速電界法による質量分離の場合には、加速電極の後段に減速電極を設けることで質量分離を行なうため、質量分離部が直線状になると共に装置構成が簡易になる。また電界レンズの収差を用いる場合には、ビームを集束させる電界レンズの後段に所望のイオン種が通過できる開口部を設けることで質量分離を行なうため、質量分離部が直線状になるとともに装置構成が簡易になる。本実施例では減速電界法を用い、0〜300V程度の減速電界電圧を印加することにより行った。
【0031】
なお質量分離部6も、排気ポンプ17を用いて1.33×10 -3 Pa以下の範囲の減圧雰囲気に保った。
以上の様な工程をへたクラスタービームは、加速部7でアクセレーター18を用いて、電界をかけることによって、所定の加速エネルギーまで(50keV以下)まで加速され、照射部8へ送られる。照射部8では、デフレクター19を用いてビームを偏向し、所定の照射部分にビームを導いた後、適切な条件でクラスタービームをダイヤモンド2に照射する。照射されるクラスタービームは、個々のクラスターがN個の分子・原子で構成されているとすると、単一の原子・分子による照射がなされた場合と比較して、その分子・原子1個あたりのエネルギーはN分の1、ビーム電流はN倍、電荷質量比もN分の1になるので等価的に低エネルギー、大電流のビームであるといえる。なおこのときの加速電圧としては、イオンの引き出しや輸送・レンズ系の効率などから、1keV以上であることが好ましい。また照射するクラスターを構成する原子または分子の数としては、より横方向のスパッタ効果を得るためには、少なくとも100個以上であることが好ましく、さらにクラスターの生成効率の点では5000個以下であることが好ましい。
【0032】
なお加速部7及び照射部8は、排気ポンプ20を用いて1.33×10 -2 Pa以下、望ましくは1.33×10 -4 Pa以下の範囲の減圧雰囲気に保つ。
なお、前記装置の各部分はそれぞれの実施例に適した構成に変更することも可能である。
【0033】
図3は本発明の一実施例のクラスタービ−ムの照射の様子を示した模式図である。クラスター生成、イオン化、質量分離、加速などの工程をへて生成されたクラスター1は、所定のエネルギーを有してダイヤモンド2に照射される。照射されたクラスター1はダイヤモンド2と衝突すると同時に個々の分子または原子に分解し、その運動量(方向・速さ)やエネルギーを変え、ダイヤモンドの表面をスパッタリングする。その結果、ダイヤモンドは効率よく、かつ選択的にその表面の凹凸を軽減化するようにエッチングされる。3はシリコン等の基板素材である。
【0034】
(実施例1)
まず、20×20×0.5mmのシリコン(Si)基板上にマイクロ波プラズマCVD法を用いて多結晶ダイヤモンド層を形成した。マイクロ波プラズマCVD法は、原料ガスにマイクロ波を印加することによってプラズマ化し、ダイヤモンドを形成するものである。本実施例では、原料ガスとして水素で2〜10vol.%程度に希釈された一酸化炭素ガスを用いた。形成されたダイヤモンド層の膜厚は15μmであった。得られたダイヤモンド層の表面(成長表面)を観察したところ、数μm程度(1〜2μm程度)の凹凸が存在していた。
【0035】
続いて、Si基板上に形成された多結晶ダイヤモンド薄膜をダイヤモンド加工装置のクラスタービ−ム照射部に設置して、装置内部を真空に引いた後、クラスターを照射した。照射したクラスターは、原料ガスとして二酸化炭素(CO2)を1〜3気圧の外部圧力で供給することにより、CO2分子によるクラスターを形成した。このような条件のもと得られた個々のクラスターの構成分子数は、200〜3000個の範囲で制御することが可能であった。本実施例では原料ガスの供給圧力を3気圧として、CO2 クラスターを生成し、次にそのクラスターをイオン化した後、30kVの加速電圧で加速して、1×1017 ions/cm2 だけダイヤモンドに照射した。すなわち、クラスター全体としては30keVのエネルギーで、単位面積あたりに1×1017個のCO2 クラスターを照射したが、等価的には単独のCO2分子を〜30eVのエネルギーで〜1×1020個程度照射したことになる。その結果、ダイヤモンド表面の凹凸の大きさは、百分の一以下(10nm程度)となり、表面の平滑化がなされた。同様の処理を照射エネルギーなどの照射条件を変化させて行なった場合や他のガス例えば酸素を用いて行なった場合においても同様の結果が得られた。
【0036】
(実施例2)
実施例1と同様の条件でダイヤモンドにCO2 クラスターの照射する際、ダイヤモンドの加熱を行なった。加熱温度は600℃とした。その結果、ダイヤモンド表面の粗さは10nm以下となり、実施例1の場合よりも小さくなり、より高精度なダイヤモンドの加工がなされた。同様の処理を照射エネルギーなどの照射条件を変化させて行なった場合や他のガス例えば酸素、アルゴンを用いて行なった場合においても、同様の結果が得られた。
【0037】
(実施例3)
上記の例と同様に、20×20×0.5mmのシリコン(Si)基板上に形成された多結晶ダイヤモンドを準備し、ガスクラスター源より生成されたCO2 クラスターを照射した。本実施例では照射するCO2 クラスターを質量で選別し、単一の粒子数を有するクラスターのみを照射した。照射条件は粒子数:1000個のCO2 クラスターをイオン化し、30kVの電圧で加速して、1×1016 ions/cm2 だけダイヤモンドに照射した。その結果、ダイヤモンド表面の粗さは10nm以下となり、実施例1の場合よりもさらに小さくなり、より高精度なダイヤモンドの加工がなされた。同様の処理を照射エネルギーなどの照射条件を変化させて行なった場合や他のガス例えば酸素、アルゴンを用いて行なった場合においても、同様の結果が得られた。
【0038】
(実施例4)
上記の例と同様に、20×20×0.5mmのシリコン(Si)基板上に形成された多結晶ダイヤモンドを準備し、6.65×10 -3 Paの圧力の酸素が含まれた減圧雰囲気中でCO2 クラスターを照射した。照射条件は、原料ガスの供給圧力を3気圧として、CO2 クラスターを生成し、そしてそのクラスターをイオン化した後、30kVの加速電圧で加速して、1×1017 ions/cm2だけダイヤモンドに照射した。その結果、ダイヤモンド表面の粗さは10nm以下となり、実施例1の場合よりも小さくなり、より高精度なダイヤモンドの加工がなされた。同様の処理を照射エネルギーなどの照射条件を変化させて行なった場合や他のガス例えば酸素、アルゴンを用いて行なった場合においても、同様の結果が得られた。
【0039】
(実施例5)
上記の例と同様に、20×20×0.5mmのシリコン(Si)基板上に形成された多結晶ダイヤモンドを準備し、ガスクラスター源より生成されたArクラスターを照射した。照射条件は、粒子数:約3000個のArクラスターをイオン化し、20kVの電圧で加速して、1×1017ions/cm2だけダイヤモンドに照射した。その結果、ダイヤモンド表面の凹凸は軽減され、表面粗さが100オングストローム(10nm)程度に平滑化された。
【0040】
同様の処理を照射エネルギーなどの照射条件を変化させて行なった場合や他の希ガス例えばキセノンを用いて行なった場合においても、同様の結果が得られた。また粒子照射の際、ダイヤモンドを加熱した場合や照射粒子を質量で選別した場合、あるいは酸素が含まれた減圧雰囲気中で粒子を照射した場合においても同様の結果が得られた。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを加速し、加速した前記クラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することにより、ダイヤモンドに損傷を与えることなく、容易に効率よく、かつ選択的に表層の凹凸を軽減し、平滑化させることができる。
【0042】
また本発明によれば、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを質量で選別し、選別された所定の質量を有するクラスターを加速し、加速した前記クラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することにより、より精度良く表面の平滑化を行なうことが可能となる。
【0043】
さらに入射するクラスターの状態をイオンとすることより、クラスターの加速やクラスター流の方向制御またはクラスターの質量選別等を容易にすることが可能となる。
さらにクラスターの構成分子または原子の数を10個以上10000個以下にすることにより、より効率的にクラスターの生成とダイヤモンド表面の平滑化を行うことが可能となる。
【0044】
さらにクラスターを構成する分子または原子の組成を少なくとも酸素元素を含むようにすることにより、物理的なエッチングのみならず化学的な効果により、ダイヤモンド表面の平滑化効率が向上する。
【0045】
さらにクラスターを構成する分子を二酸化炭素(CO2)分子、酸素(O2)分子とすることにより、容易に加工に適したクラスターを形成することが可能になる。
さらに加速されたクラスターのエネルギーを50keV以下とすることにより、ダイヤモンドにほとんど損傷を与えず、ダイヤモンド表面を平滑化することが可能となる。
【0046】
さらに加速されたクラスターを照射する際、ダイヤモンドを650℃以下の温度に加熱することにより、効率的にダイヤモンド表面を平滑化することが可能となる。
【0047】
さらにクラスターをダイヤモンドに照射する雰囲気を少なくとも酸素元素を構成元素として有する分子で構成される気体を含んだ減圧雰囲気とすることにより、効率的にダイヤモンド表面を平滑化することが可能となる。
【0048】
さらにクラスターを構成する分子を希ガス分子、例えばアルゴン(Ar)分子とすることにより、容易に加工に適したクラスターを形成することが可能になる。
次に本発明のダイヤモンドの平滑加工装置によれば、供給ガスを導入し、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターに生成するためのクラスター生成手段と、前記クラスターをイオン化するためのイオン化手段と、前記クラスターを構成する分子または原子を所定の個数に選別するための質量分離手段と、前記クラスターを加速するための加速手段、及びダイヤモンドの表面にクラスタービームを照射するための照射手段とを備えたことにより、ダイヤモンドの平滑化を効率よく合理的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のダイヤモンド表面の平滑化を行うための処理装置の工程を示す図。
【図2】同装置に使用されるノズルの断面図。
【図3】本発明の一実施例のクラスタービームの照射の様子を示した模式図。
【符号の説明】
クラスター
2 ダイヤモンド
3 基板素材
クラスター生成部
5 イオン化部
6 質量分離部
7 加速部
8 照射部
9 真空容器
10 ガス導入口
11 ノズル
12 スキマー
13,14,17,20 排気ポンプ
15 イオナイザー
16 質量分離フィルター
18 アクセレーター
19 デフレクター
21 ガス供給口
22 くびれ部
23 ガス排出口(噴射口)

Claims (13)

  1. ダイヤモンド表面を平滑加工する方法であって、10以上の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを加速し、前記加速したクラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することを特徴とするダイヤモンドの平滑加工方法。
  2. ダイヤモンド表面を平滑加工する方法であって、10以上の分子または原子を構成粒子としたクラスターを生成し、前記クラスターを質量で選別し、前記選別された所定の質量を有するクラスターを加速し、前記加速したクラスターを減圧雰囲気中でダイヤモンドに照射することを特徴とするダイヤモンドの平滑加工方法。
  3. クラスターの状態が、イオンである請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  4. クラスターの構成分子または原子の数が、10000個以下である請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  5. クラスターを構成する分子または原子の組成が、少なくとも酸素元素を含む請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  6. クラスターを構成する分子が、二酸化炭素(CO2)分子である請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  7. クラスターを構成する分子が、酸素(O2)分子である請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  8. 加速されたクラスターのエネルギーが、50keV以下である請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  9. 加速されたクラスターを照射する際、ダイヤモンドを650℃以下の温度に加熱する請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  10. クラスターをダイヤモンドに照射する雰囲気が、少なくとも酸素元素を構成元素として有する分子で構成される気体を含んだ減圧雰囲気である請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  11. クラスターを構成する分子が、希ガス分子である請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  12. クラスターを構成する分子が、アルゴン(Ar)分子である請求項1または2に記載のダイヤモンドの平滑加工方法。
  13. ダイヤモンド表面を平滑加工する装置であって、供給ガスを導入し、複数個の分子または原子を構成粒子としたクラスターに生成するためのクラスター生成手段と、前記クラスターをイオン化するためのイオン化手段と、前記クラスターを構成する分子または原子を所定の個数に選別するための質量分離手段と、前記クラスターを加速するための加速手段、及びダイヤモンドの表面にクラスタービームを照射するための照射手段とを備えたことを特徴とするダイヤモンドの平滑加工装置。
JP06994395A 1994-10-20 1995-03-28 ダイヤモンドの平滑加工方法及びその装置 Expired - Lifetime JP3582885B2 (ja)

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