JP3580137B2 - 結晶粒径測定方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理により金属表面の結晶粒径を測定する結晶粒径測定方法及び装置に関し、特にメッキ表面に析出するスパングルの粒径を測定する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の外装材及び内装材,家庭用電化製品の外装材,並びに建築用材として広く用いられている表面処理鋼板は、冷延薄鋼板の表面に防錆性及び耐食性の強化を目的として、亜鉛,鉄,アルミニウム,及び錫を主成分とした合金でメッキ処理し、さらに防錆性を高めるために、無色又は極淡黄色のクロメート等のコーティング材で表面を被覆することにより製造され、特に自動車及び家庭用電化製品に用いられる表面処理鋼板は、塗料との親和性の高いコーティング材を用いて表面コーティングされた後で塗装処理される。
【0003】
最近では、メッキ処理技術の進歩により、耐食性が著しく優れた表面処理鋼板の製造が可能となり、特に家庭用電化製品の外装材及び建築用材においては、塗装を要しないAl−Zn合金メッキを用いた表面処理鋼板が既に製品化されている。
【0004】
このような塗装を要しない表面処理鋼板においては、メッキ剤塗布後の冷却過程で鋼板表面にスパングルと呼ばれる結晶粒が不可避的に析出するため、メッキ処理された鋼板表面が無色又は極淡黄色のコーティング膜を通した外観上の品質が損なわれるという問題があり、この結晶粒の粒径を均一にして外観上の品質低下を抑制する試みがなされている。なお、ここでいう粒径とは、結晶粒の面積に相当する大きさの円の直径である。
【0005】
一方、結晶粒径のフィードバック制御及び検査の観点から、製造ライン上で結晶粒径の自動測定を実現する試みがなされており、特願平9−252515号において、被測定面を撮像器により撮像した後で2値化し、2値化画像データに基づいてスパングルの如き所定の結晶粒を識別し、識別した前記結晶粒の画素数を計数することによって各結晶粒の面積を演算し、演算された面積に対応する円の直径を演算し、演算された各結晶粒の直径の平均値を演算することによって、被測定面における前記結晶粒の粒径を演算する結晶粒径測定装置が開示されており、この結晶粒径測定装置によれば前記結晶粒の粒径を安定的に得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者らは、上述の如き結晶粒径測定装置における測定精度を更に向上させるために、以下の如き課題を挙げている。
【0007】
1つは、前述の結晶粒径測定装置における2値化閾値(輝度閾値)は、予め作成された標準サンプルを目視測定した粒径を結晶粒径真値とし、標準サンプルの粒径を前記結晶粒径測定装置で測定した値と、前記結晶粒径真値との誤差が最小となるよう調整して求められるものであり、例えば、材質が異なる表面処理鋼板又はメッキの被測定面を測定する都度、これらの材質に応じた標準サンプルの結晶粒径真値と、輝度閾値とを求める必要があるほか、測定精度を向上させるために多数の標準サンプルを必要とする。なお、同一材質の表面処理鋼板及びメッキを用いた場合であっても、コーティング膜の厚さが異なる場合には同様の課題を有する。
【0008】
また、搬送経路上を連続的に搬送される帯状の表面処理鋼板の表面を所定間隔で測定する場合には、搬送方向におけるコーティング膜の厚さのばらつき及び搬送される帯状の表面処理鋼板のその厚さ方向のばたつきが生じるが、各膜厚又は各ばたつき状態に対応した標準サンプルを作成することが困難である。
【0009】
いま一つは、各結晶粒の面積に対応する円の直径の平均値を、被測定面における粒径の代表値とするため、被測定面における結晶粒径のばらつきが大きく、また偏っている場合に誤差が増大する。
【0010】
図17は、従来の結晶粒径測定装置によるスパングル粒径の測定結果(平均粒径測定値)とこれに対応する結晶粒径真値との関係を示すグラフであり、横軸に結晶粒径真値(mm)を、縦軸に従来の結晶粒径測定値により測定された平均粒径測定値(mm)を夫々配してある。
【0011】
図17に示す如く、測定対象とするスパングルが大きくなるにつれて、誤差が増大していることがわかる。これは、前述した如く微細なスパングルが多数介在しているからである。
【0012】
図18は、図17における平均粒径測定値のA点及びB点での各スパングルの粒径に対する度数分布を示すヒストグラムであり、横軸に各スパングルの粒径(mm)を、縦軸に各粒径における相対度数(%)を夫々配してある。また、中央から上方にA点のヒストグラムを、下方にB点のヒストグラムを夫々対比させて示してある。
【0013】
図18に示す如く、A点及びB点の何れにおいても比較的小径のスパングルが多く存在している。
【0014】
なお、結晶粒径真値は日本工業規格によりその測定方法が定められていないため、暫定的に図19に示す如き方法で求めた。
【0015】
図19は、結晶粒径真値の求め方を説明するための説明図であり、撮像器によって撮像されたスパングルS,S,…の一部を示している。図19において、被測定面上で任意の長さ及び方向の線分A−Aを設定し、この線分A−Aが横切るスパングルS,S,…の個数を目視で計数する。そして、線分A−Aの長さを上述のスパングルS,S,…の個数で除すことによって結晶粒径真値を求める。
【0016】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布表を生成し、この度数分布表における度数の最大値に対応する輝度を輝度閾値とすることにより、鋼板又はメッキの材質,コーティング膜の厚さ又はそのばらつき,及び鋼板のその厚さ方向のばたつき等の影響がなく、これらの状態に応じた標準サンプルでの結晶粒径真値と輝度閾値とを求める必要がなく、標準サンプルを必要としない高精度な結晶粒径測定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る結晶粒径測定方法は、撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう結晶粒径測定方法において、前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求める第1ステップと、前記度数分布の度数が最大となる輝度に基づいて前記所定の輝度閾値を求める第2ステップとを有することを特徴とする。
【0018】
第2発明に係る結晶粒径測定方法は、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級し、予め設定された基準粒径と演算された前記円の直径に関連する値との比に基づいて、分級結果に重み付けし、重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算することを特徴とする。
【0019】
第3発明に係る結晶粒径測定方法は、撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう結晶粒径測定方法において、前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求める第1ステップと、前記輝度分布に基づいて前記所定の輝度閾値を求める第2ステップとを有し、さらに、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果に重み付けし、重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算することを特徴とする。
【0020】
第4発明に係る結晶粒径測定方法は、前記第1及び第2ステップの間に、前記度数分布を平滑化するステップを更に有することを特徴とする。
【0021】
第5発明に係る結晶粒径測定方法は、撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう結晶粒径測定方法において、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果に重み付けし、重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算することを特徴とする。
【0022】
第6発明に係る結晶粒径測定装置は、撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径を測定する結晶粒径測定装置において、前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を演算する輝度分布演算手段と、該輝度分布演算手段による演算結果で度数が最大となる輝度に基づいて前記所定の輝度閾値を演算する閾値演算手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
第7発明に係る結晶粒径測定装置は、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級する分級手段と、予め設定された基準粒径と演算された前記円の直径に関連する値との比に基づいて、前記分級手段による分級結果に重み付けする重み付け手段と、該重み付け手段による重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算する粒径演算手段とを更に備えることを特徴とする。
【0024】
第8発明に係る結晶粒径測定装置は、撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径を測定する結晶粒径測定装置において、前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を演算する輝度分布演算手段と、該輝度分布演算手段による演算結果に基づいて前記所定の輝度閾値を演算する閾値演算手段と、さらに、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級する分級手段と、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、前記分級手段による分級結果に重み付けする重み付け手段と、該重み付け手段による重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算する粒径演算手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
第9発明に係る結晶粒径測定装置は、前記輝度分布演算手段により演算された前記度数分布を平滑化する平滑化手段を更に備え、前記閾値演算手段は、前記平滑化手段による平滑化結果に基づいて前記所定の輝度閾値を演算すべくなしてあることを特徴とする。
【0026】
第10発明に係る結晶粒径測定装置は、撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径を測定する結晶粒径測定装置において、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級する分級手段と、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、前記分級手段による分級結果に重み付けする重み付け手段と、該重み付け手段による重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算する粒径演算手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
第1及び第6発明に係る結晶粒径測定方法及び装置によれば、撮像器により撮像された被測定面の撮像画像を量子化し、量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求め、求めた度数分布に基づいて、極大値のような度数の最大値に対応した輝度である2値化閾値(輝度閾値)を求め、求めた輝度閾値に基づいて撮像画像を2値化することによって被測定面に析出するスパングルの如き所定種類の結晶粒を識別し、識別された結晶粒の画素を計数し、計数結果に応じた面積を演算し、演算結果に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう構成としたので、被測定面における粒径分布の大多数に合わせた輝度を選定し、結晶粒径分布に応じた輝度閾値を選定することができ、鋼板又はメッキの材質、コーティング膜の厚さ又はそのばらつき、及び鋼板のその厚さ方向のばたつき等の影響が少なく、これらの状態に応じた標準サンプルでの結晶粒径真値と輝度閾値とを求める必要がなく、標準サンプルを必要とせず、より誤差の小さい結晶粒径の測定が可能である。
【0028】
第2及び第7発明に係る結晶粒径測定方法及び装置によれば、各結晶粒の面積に対応した円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対する度数分布を求めるなどして分級し、予め設定された基準粒径と演算された前記円の直径に関連する値との比に基づいて、分級結果たる前記度数分布における各級区間の度数に重み付けを行ない、重み付け結果に基づいて結晶粒径を演算する構成としたので、例えば被測定面における粒径分布の大多数に合わせた値を基準粒径とすることにより、高精度な結晶粒径の測定が可能である。
【0029】
第3及び第8発明に係る結晶粒径測定方法及び装置によれば、撮像器により撮像された被測定面の撮像画像を量子化し、量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求め、求めた度数分布に基づいて2値化閾値(輝度閾値)を求め、求めた輝度閾値に基づいて撮像画像を2値化することによって被測定面に析出するスパングルの如き所定種類の結晶粒を識別し、識別された結晶粒の画素を計数し、計数結果に応じた面積を演算し、各結晶粒の面積に対応した円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対する度数分布を求めなどして分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果たる前記度数分布における各級区間の度数に重み付けを行ない、重み付け結果に基づいて結晶粒径を演算する構成としたので、被測定面における結晶粒径分布に応じた輝度閾値を選定することができ、鋼板又はメッキの材質、コーティング膜の厚さ又はそのばらつき、及び鋼板のその厚さ方向のばたつき等の影響が少なく、これらの状態に応じた標準サンプルでの結晶粒径真値と輝度閾値とを求める必要がなく、標準サンプルを必要とせずに結晶粒径の測定が可能であり、また、被測定面における粒径分布の大多数に合わせた値を基準粒径とし、分級した各級区間の中間値と前記基準粒径との比に基づいて各級区間の度数分布を補正することにより、高精度な結晶粒径の測定が可能である。
【0030】
第4及び第9発明に係る結晶粒径測定方法及び装置によれば、前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求める第1ステップと、前記所定の輝度閾値を求める第2ステップとの間に、前記度数分布を平滑化しておく構成としたので、例えば輝度に対する度数分布グラフからその極大値を求め、求めた極大値に対応した輝度を輝度閾値とするような場合において、前記極大値を抽出することが容易となる。
【0031】
第5及び第10発明に係る結晶粒径測定方法及び装置によれば、撮像器により撮像された被測定面の撮像画像を量子化し、量子化結果に基づいて2値化することによって被測定面に析出するスパングルの如き所定種類の結晶粒を識別し、識別された結晶粒の画素を計数し、計数結果に応じた面積を演算し、演算結果に対応する円の直径を演算し、演算した各結晶粒の面積に対応した円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対する度数分布を求めるなどして分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果たる前記度数分布における各級区間の度数に重み付けを行ない、重み付け結果に基づいて結晶粒径を演算する構成としたので、前述の重み付けを従来の結晶粒径測定方法及び装置にも適用することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る結晶粒径測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、本実施の形態の結晶粒径測定装置は、Al−Znメッキ処理後に次工程へ搬送される表面処理鋼板(以後、単に鋼板という)1の表面(被測定面)11に析出するスパングルの結晶粒径を測定すべく設けられている。
【0033】
帯状に成形された鋼板1は、2つのローラr,rにより搬送されており、これらローラr,rの中途における鋼板1へ光を照射する照明プローブ21が照射角度(入射角度)θを0°〜90°の範囲で変更可能なように図示しない支持フレームに支持されており、照明プローブ21は、光ファイバ22を介して光源2に接続されている。
【0034】
照明プローブ21には、スポット,ライン,面,リング等のあらゆる形態を有するものが使用可能であるが、被測定面11に均一な光量で照射し、撮像器3による撮像視野内でのシェーディングの影響を最小限とするために、ライン光源又は面光源の如き形態とするのが望ましい。
【0035】
さらに、本実施の形態においては、鋼板1の搬送に伴って被測定面11が移動するために、瞬時発光が可能なストロボ型のものを光源2として用いて撮像ぶれを抑制してある。発光周期は、予め設定した周期で固定することもできるが、本実施の形態においては、光源2に接続された撮像制御部53によって、鋼板1の搬送速度の変動に応じて調整されるようになっている。
【0036】
また、光源2には、ハロゲン,メタルハライド,キセノン等の白色光源を用いることができるが、寿命が比較的に長く、約100W以上の大きいものを用いることが望ましい。なお、被測定面11における照度については、光源2と被測定面11との距離,撮像視野の大きさ等によって変動することは言うまでもない。
【0037】
撮像器3は、フルフレームメモリ(1画面分)を備え、被測定面11を撮像する一般的なCCDから構成され、被測定面11から十分に離隔して設けてあるが、微小なスパングルの結晶粒径測定に応じてズーム倍率(ズーム比)が手動又は自動により調整可能なズームレンズを備えたものが望ましい。なお、照明プローブ21からの光が被測定面11で正反射する光軸上又はその近傍にある場合には、撮像される画像にハレーションが生じ、また撮像される被測定面11のスパングルに見掛けの変形が生じるので、撮像器3は被測定面11に垂直な光軸上に設けられている。
【0038】
また、撮像器3は、撮像周期を調整する画像フリーザ31に接続されており、画像フリーザ31は、撮像器3によって撮像された画像をフレーム単位で処理し、処理結果を画像処理部4へ与える。
【0039】
なお、光源2の発光周期が鋼板1の搬送速度に対して十分に小さい場合には、撮像ぶれが少ないので、この画像フリーザ31を省略することができる。
【0040】
画像処理部4は、マイクロプロセッサを備えてなり、画像フリーザ31から与えられる被測定面11の画像データを量子化し、量子化した画像データをCRT42に出力して撮像画像データを表示させるとともに、更にこの画像データを2値化,前処理(ノイズ除去,穴埋め等)し、前処理結果に基づいて結晶粒径を演算した後で、演算結果(結晶粒径測定値)を撮像制御部53へ与える。また、画像処理部4は、必要に応じて演算結果,撮像画像データを画像記憶部43に格納する。
【0041】
撮像制御部53は、マイクロプロセッサを備えてなり、画像処理部4から与えられた結晶粒径測定値をモデム,ルータ等を備えてなる通信制御部52を介して、図示しない上位コンピュータへ送出するようになっている。また、前記上位コンピュータからは同様にして通信制御部52を介して鋼板1の搬送速度の情報が受信され、撮像制御部53は、この搬送速度の情報を撮像器3へ与える。撮像制御部53は更に以上の動作状態をCRT51に出力する。
【0042】
なお、撮像制御部53の上位コンピュータへの送信は、撮像器3による撮像周期と一致させることもでき、また所定回数分の撮像画像からの結晶粒径測定値の平均値を演算し、これを前記所定回数毎の撮像周期で送出する構成とすることもできる。但し、送信速度は画像処理部4及び撮像制御部53の処理速度によって左右されるものであるが、実際には鋼板1の搬送方向へのスパングル粒径の変動は急激でないため、数Hz〜数十Hzに対応した周期で実用上十分である。
【0043】
なお、本実施の形態においては、Al−Znメッキ処理後に次工程へ搬送される途中の鋼板1を撮像する構成としたが、撮像位置はこれに限るものではない。但し、結晶粒径測定値の迅速なフィードバックと、搬送される鋼板1のバタツキ,板伸び等による結晶粒径の測定誤差の回避とを達成するために、撮像位置は可及的にメッキポット後の凝固完了位置に近い位置とするのが望ましく、また鋼板1のパスライン安定化のために、何れかのロールr,r近傍が望ましい。
【0044】
図2は、実施の形態1の画像処理部4における結晶粒径演算の処理手順を示すフローチャートである。まず、画像フリーザ31から与えられた画像データを量子化し(ステップ1)、量子化結果に基づいて輝度度数分布表を生成する(ステップ2)。なお、輝度度数分布表は、テーブル(表)形式ではなくヒストグラム形式又は度数折線グラフ形式で得ることも可能である。
【0045】
次に、生成された輝度度数分布表を平滑化(平均化)し(ステップ3)、ノイズの影響を小さくする。なお、この平滑化は、各輝度階調の前後10階調を含めた計21階調における度数平均値を求めて、これを新たにこの輝度階調の度数とするものである。
【0046】
平滑化された輝度度数分布表に基づいて、この分布表の極大値を演算し、演算結果を輝度閾値(2値化閾値)とする(ステップ4)。なお、極大値の演算は、次式により行なうことができる。
【0047】
F(n−5)<F(n)>F(n+5)…(1)
n:輝度階調(n=0,1,2,…,253,254,255)
F(n):輝度階調nごとの度数
【0048】
即ち、各輝度階調の度数をその5階調前の度数と5階調後の度数と比較し、(1)式を満足している場合に、この輝度階調の度数が極大値であるとする。なお、(1)式を満足していない場合には、比較した前後の階調の何れか大きい階調に移行し、この輝度階調について同様の比較を繰り返す。
【0049】
そして、演算された輝度閾値に基づいて前記画像データを2値化し(ステップ5)、2値化画像データに一般的な画像処理手法である孤立点除去及び穴埋め等の前処理を行なう(ステップ6)。
【0050】
次いで、スパングルに相当する部分の画素数を演算し(ステップ7)、この画素数と予め演算された1画素の実寸値とに基づいて、この画素に相当する面積を演算し(ステップ8)、演算した面積に相当する円の直径を演算する(ステップ9)。
【0051】
そして、ステップ7〜ステップ9を全てのスパングルについて行ったか否かを確認し(ステップ10)、全てのスパングルについて行った場合には、予め設定された閾値に基づいて、直径の小さいスパングルを排除する(ステップ11:面積除去)。ステップ11にて除去されず残ったスパングルの直径の平均値を演算し(ステップ12)、これをスパングルの結晶粒径とする。なお、ステップ10にて全てのスパングルについて行っていない場合には、ステップ7〜ステップ9を繰り返す。
【0052】
なお、ステップ11における閾値には、スパングルが析出していない状態(ゼロスパングル)で予め上述と同様の結晶粒径測定を行ない、このときの測定値を用いてある。
【0053】
図3は、図2のステップ6の前処理における孤立点除去を説明するための説明図であり、ステップ5における2値化後の状態を模式的に示してある。
【0054】
図3において、被測定面11の撮像領域は格子状となっており、格子で区切られた各矩形の領域が夫々1画素を示している。各画素において、2値化後のスパングルは「1」で示され、それ以外の部分は「0」で示されるが、被測定面11のごみ,撮像時の何らかのノイズ等の要因により、スパングル以外の部分でも「1」で表示される場合がある。そこで、この孤立点除去では、「1」の画素に着目し、その画素を取り囲む8つの画素が全て「0」である場合に、この画素を「0」に置換することにより、上述の如き影響を排除することができる。
【0055】
図4は、図2のステップ6の前処理における穴埋めを説明するための説明図であり、図3と同様にステップ5における2値化後の状態を模式的に示してある。
【0056】
図4において、連続した「1」の画素群はスパングルを示しており、それを取り囲む「0」の画素群はその他の部分を示している。ところが、前述の孤立点除去と同様の理由にてスパングルの画素群に「0」の画素群が混在する場合がある。そこで、「1」の画素群に囲まれた「0」の画素又はその画素群に着目し、この「0」の画素又は画素群を「1」に置換することにより、上述の如き影響を排除することができる。
【0057】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る結晶粒径測定装置の構成を示すブロック図である。
【0058】
図5において、可動機構部34は、鋼板1の搬送方向と平行に配置され、また鋼板1に接離する方向(白抜矢符方向)への移動自在に設けられたビーム341と、前記白抜矢符方向へビーム341を貫通して穿設されたねじ孔に螺合するガイドねじ342とからなり、ガイドねじ342には、これを回転駆動するモータ33がその出力軸をガイドねじ342に同軸的に設けられている。また、ビーム341の中途部には撮像器3が鋼板1に対向して設けられている。
【0059】
ビーム341の中途部には、更に測距計32が鋼板1に対向して設けられている。この測距計32は、レーザビームを鋼板1の表面に照射し、その反射光に基づいて光学的に撮像器3と鋼板1の表面との距離(測定距離)を測定するものであり、所定の時間周期で測定し、この測定結果を画像処理部4へ与える。
【0060】
なお、測距計32には、上述したレーザ式のほかに、接触式,超音波式,渦電流式等の一般的な測距手段を用いることが可能であるが、鋼板1に傷をつけないように非接触式が望ましい。
【0061】
画像処理部4は、実施の形態1の画像処理部4と同様の機能を有するとともに、前処理結果と測距計32からの測距結果とに基づいて結晶粒径を演算した後で、演算結果(結晶粒径測定値)を撮像制御部53へ与える。
【0062】
図6は、実施の形態2の画像処理部4における結晶粒径演算の処理手順を示すフローチャートである。まず、実施の形態1における図2のステップ1〜6と同様に量子化,輝度度数分布表の作成,平滑化,2値化閾値の演算,2値化,及び前処理を行なう(ステップ1〜6)。続いて、測距計32による測距結果(測定距離)を読込み(ステップ7)、読込結果に基づいて1画素の実寸法を演算する(ステップ8)。そして、図2のステップ7〜12と同様の処理を行う(ステップ9〜14)。
【0063】
図7は、図6のステップ8における1画素の実寸法の演算を説明するための説明図である。図7において、Pは1画素の大きさを示しており、1,1は鋼板を示している。鋼板1は通常bの位置(基準位置)にあるが、ばたつき,厚みの変動等により、被測定面11である鋼板1の表面の位置と撮像器3との距離(測定距離)が変動するために、画素の大きさを基準に演算される被測定面11のスパングルの大きさは上述の測定距離の変動に応じて補正する必要がある。
【0064】
鋼板1が基準位置bにある場合には、この基準位置bと撮像器3との距離をLb (基準測定距離)とし、そのときの1画素の寸法をXb (基準画素寸法)とする。
【0065】
そして、例えば図7に示す如く鋼板1が白抜矢符方向へsの位置まで移動した場合、測距計32で測定される位置bと撮像器3との距離をLs としたときの1画素の実寸法Xs は、次式で求めることができる。
【0066】
Xs =(Xb /Lb )×Ls …(2)
【0067】
なお、基準測定距離Lb ,基準画素寸法Xb については、実測することにより予め容易に得ることができるものである。
【0068】
本実施の形態は以上の如き構成としてあり、実施の形態1に対応する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0069】
実施の形態3.
本実施の形態では、実施の形態2における測定結果を補正することにより、更に高精度な測定が可能となっている。なお、実施の形態1又は従来の結晶粒測定装置への適用も可能である。
【0070】
図8は、実施の形態3の画像処理部4における結晶粒径演算の処理手順を示すフローチャートである。まず、実施の形態2における図6のステップ1〜13と同様の処理を行ない(ステップ1〜13)、ステップ13の後で、スパングルの直径に対する度数分布表を生成し(ステップ14)、スパングルの直径に基づいて度数分布表の補正演算を行なう(ステップ15)。なお、ステップ15の補正演算は、次式に基づいて各級区間iについて行なう。
【0071】
Gi =Fi ×Di /Ds …(3)
i :級区間(i=1,2,…,kとする)
Gi :級区間iにおける補正後の度数
Fi :級区間iにおける補正前の度数
Di :級区間iにおける中間値
Ds :基準粒径
【0072】
基準粒径Ds は、図17中において結晶粒径真値と平均粒径真値とが一致する理想的な値の連続を示す破線と、平均粒径測定値との交点(C点)の値を用いる。
【0073】
そして、補正後の度数分布表に基づいて、実施の形態2における図6のステップ14と同様に、又は次式に基づいていてパングルの直径の平均値(平均粒径測定値)を演算する(ステップ16)。
【0074】
【数1】
【0075】
図9は、実施の形態3の結晶粒径測定装置による撮像画像の一例を示す模式図である。これはZn−55%Alメッキ処理後の鋼板1の表面を撮像したものであり、図9(a)における鋼板1のコーティング膜厚が1.5μm、図9(b)における鋼板1のコーティング膜厚が2.5μmと夫々してある。
【0076】
図9において、最も濃い黒色の部分(比較的密度の高いハッチング部分)がスパングルS,S,…であり、図9(b)に示す撮像画像には、そのコーティング膜厚が1μm厚いために図9(a)に示す撮像画像よりもスパングルS,S,…及びその他の結晶粒(ハッチング部分)の濃淡差が小さく見える。
【0077】
図10は、図9の撮像画像の輝度に対する度数折線グラフであり、図9(a),(b)に夫々対応させてある。また、横軸に輝度としての濃度階調(黒:0〜白:250)を、縦軸にその度数を夫々配してある。
【0078】
同様にして、図11は、図10の度数折線グラフを平滑化した結果を示すグラフであり、図10(a),(b)に夫々対応させてある。図11(a),(b)における各極大値での濃度階調は夫々108,93となり、比較的に近い値となっている。これらの濃度階調を各輝度閾値として、2値化した画像データを図12に示す。
【0079】
図12は、図9に示した撮像画像を画像処理装置4にて2値化した結果を示す模式図であり、図11(a),(b)に夫々対応させてある。図12に示す如く、被測定面11の撮像画像からスパングルS,S,…のみが白色で抽出される。
【0080】
図13は、図12のスパングルS,S,…の粒径ごとの度数分布を示すヒストグラムであり、図12(a),(b)に夫々対応させてある。図13に示す如く、両方のグラフにおいては比較的小径のスパングルS,S,…が相対的に多いことがわかる。また、両方のグラフにおけるモード(最頻値)は同一値となり、コーティング膜厚に拘わらず相対粒径の分布傾向は同様となる。
【0081】
このようにして得られた粒径ごとの度数分布を図8のステップ15の如く補正し、得られた平均粒径測定値を図14に示す。
【0082】
図14は、実施の形態3に係る結晶粒径測定装置による測定精度を示すグラフであり、横軸には図19に示した方法にて測定された結晶粒径真値(mm)を配し、縦軸には横軸に対応する本実施の形態に係る結晶粒径測定装置により測定された平均粒径測定値(mm)を夫々配してある。
【0083】
図14に示す如く、平均粒径測定値は結晶粒径真値との略一致を示す45°の直線に収束して、誤差が±0.1mm以内となっている。従って、本実施の形態に係る結晶粒径測定装置は、コーティング膜厚が異なる場合でも高精度に結晶粒径を測定できることがわかる。
【0084】
図15は、従来の結晶粒径測定装置と実施の形態3の結晶粒径測定装置との測定誤差を比較した図表である。図15に示す如く、従来装置と本実施の形態の装置との誤差平均は、8.0×10−3,5.7×10−4、標準偏差は、0.068,0.047と夫々なっており、本実施の形態に係る結晶粒径測定装置の方がより高精度であることが裏付けられている。なお、各装置におけるN数は、15,31と夫々した。
【0085】
図16は、図5に示した如く搬送されている鋼板1を測定した結果とこれに対応する測定長との関係を示すグラフであり、横軸には鋼板1の測定長(搬送方向長さ:km)を配し、縦軸には横軸に対応する平均粒径測定値(mm)と、コーティング膜厚の変動(μm)とを夫々配してある。なお、所定の測定長間隔にてコーティング膜厚を5段階に変化させている。また、平均粒径測定値のグラフ上には、任意の測定長間隔にて結晶粒径真値を求めた結果が、X印でプロットしてある。
【0086】
図16に示す如く、コーティング膜厚の変動に拘わらず結晶粒径測定値が結晶粒径真値と良好に一致していることがわかる。
【0087】
本実施の形態は以上の如き構成としてあり、実施の形態2に対応する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る結晶粒径測定方法及び装置よれば、撮像器により撮像された被測定面の撮像画像を量子化し、量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求め、求めた度数分布に基づいて、極大値のような度数の最大値に対応した輝度である2値化閾値(輝度閾値)を求め、求めた輝度閾値に基づいて撮像画像を2値化することによって被測定面に析出するスパングルの如き所定種類の結晶粒を識別し、識別された結晶粒の画素を計数し、計数結果に応じた面積を演算し、演算結果に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう構成としたので、被測定面における粒径分布の大多数に合わせた輝度を選定し、結晶粒径分布に応じた輝度閾値を選定することができ、鋼板又はメッキの材質、コーティング膜の厚さ又はそのばらつき、及び鋼板のその厚さ方向のばたつき等の影響が少なく、これらの状態に応じた標準サンプルでの結晶粒径真値と輝度閾値とを求める必要がなく、標準サンプルを必要とせず、より誤差の小さい結晶粒径の測定が可能である。
【0089】
また、各結晶粒の面積に対応した円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対する度数分布を求めるなどして分級し、予め設定された基準粒径と演算された前記円の直径に関連する値との比に基づいて、分級結果たる前記度数分布における各級区間の度数に重み付けを行ない、重み付け結果に基づいて結晶粒径を演算する構成としたので、例えば被測定面における粒径分布の大多数に合わせた値を基準粒径とすることにより、高精度な結晶粒径の測定が可能である。
【0090】
また、撮像器により撮像された被測定面の撮像画像を量子化し、量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求め、求めた度数分布に基づいて2値化閾値(輝度閾値)を求め、求めた輝度閾値に基づいて撮像画像を2値化することによって被測定面に析出するスパングルの如き所定種類の結晶粒を識別し、識別された結晶粒の画素を計数し、計数結果に応じた面積を演算し、各結晶粒の面積に対応した円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対する度数分布を求めなどして分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果たる前記度数分布における各級区間の度数に重み付けを行ない、重み付け結果に基づいて結晶粒径を演算する構成としたので、被測定面における結晶粒径分布に応じた輝度閾値を選定することができ、鋼板又はメッキの材質、コーティング膜の厚さ又はそのばらつき、及び鋼板のその厚さ方向のばたつき等の影響が少なく、これらの状態に応じた標準サンプルでの結晶粒径真値と輝度閾値とを求める必要がなく、標準サンプルを必要とせずに結晶粒径の測定が可能であり、また、被測定面における粒径分布の大多数に合わせた値を基準粒径とし、分級した各級区間の中間値と前記基準粒径との比に基づいて各級区間の度数分布を補正することにより、高精度な結晶粒径の測定が可能である。
【0091】
また、前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求める第1ステップと、前記所定の輝度閾値を求める第2ステップとの間に、前記度数分布を平滑化しておく構成としたので、例えば輝度に対する度数分布グラフからその極大値を求め、求めた極大値に対応した輝度を輝度閾値とするような場合において、前記極大値を抽出することが容易となる。
【0092】
さらに、撮像器により撮像された被測定面の撮像画像を量子化し、量子化結果に基づいて2値化することによって被測定面に析出するスパングルの如き所定種類の結晶粒を識別し、識別された結晶粒の画素を計数し、計数結果に応じた面積を演算し、演算結果に対応する円の直径を演算し、演算した各結晶粒の面積に対応した円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対する度数分布を求めるなどして分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果たる前記度数分布における各級区間の度数に重み付けを行ない、重み付け結果に基づいて結晶粒径を演算する構成としたので、前述の重み付けを従来の結晶粒径測定方法及び装置にも適用することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る結晶粒径測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の画像処理部における結晶粒径演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップ6の前処理における孤立点除去を説明するための説明図である。
【図4】図2のステップ6の前処理における穴埋めを説明するための説明図である。
【図5】実施の形態2に係る結晶粒径測定装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2の画像処理部における結晶粒径演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップ8における1画素の実寸法の演算を説明するための説明図である。
【図8】実施の形態3の画像処理部における結晶粒径演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態3の結晶粒径測定装置による撮像画像の一例を示す模式図である。
【図10】図9の撮像画像の輝度に対する度数折線グラフである。
【図11】図10の度数折線グラフを平滑化した結果を示すグラフである。
【図12】図9に示した撮像画像を画像処理装置にて2値化した結果を示す模式図である。
【図13】図12のスパングルの粒径ごとの度数分布を示すヒストグラムである。
【図14】実施の形態3に係る結晶粒径測定装置による測定精度を示すグラフである。
【図15】従来の結晶粒径測定装置と実施の形態3の結晶粒径測定意装置との測定誤差を比較した図表である。
【図16】図5に示した如く搬送されている鋼板を測定した結果とこれに対応する測定長との関係を示すグラフである。
【図17】従来の結晶粒径測定装置によるスパングル粒径の測定結果(平均粒径測定値)とこれに対応する結晶粒径真値との関係を示すグラフである。
【図18】図17における平均粒径測定値のA点及びB点での各スパングルの粒径に対する度数分布を示すヒストグラムである。
【図19】結晶粒径真値の求め方を説明するための説明図である。
【符号の説明】
2 光源
3 撮像器
4 画像処理部
11 被測定面
21 照明プローブ
22 光ファイバ
Claims (10)
- 撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう結晶粒径測定方法において、
前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求める第1ステップと、前記度数分布の度数が最大となる輝度に基づいて前記所定の輝度閾値を求める第2ステップとを有することを特徴とする結晶粒径測定方法。 - 前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級し、予め設定された基準粒径と演算された前記円の直径に関連する値との比に基づいて、分級結果に重み付けし、重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算することを特徴とする請求項1記載の結晶粒径測定方法。
- 撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう結晶粒径測定方法において、
前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を求める第1ステップと、前記輝度分布に基づいて前記所定の輝度閾値を求める第2ステップとを有し、さらに、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果に重み付けし、重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算することを特徴とする結晶粒径測定方法。 - 前記第1及び第2ステップの間に、前記度数分布を平滑化するステップを更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の結晶粒径測定方法。
- 撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径の測定を行なう結晶粒径測定方法において、
前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級し、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、分級結果に重み付けし、重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算することを特徴とする結晶粒径測定方法。 - 撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径を測定する結晶粒径測定装置において、
前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を演算する輝度分布演算手段と、該輝度分布演算手段による演算結果で度数が最大となる輝度に基づいて前記所定の輝度閾値を演算する閾値演算手段とを備えることを特徴とする結晶粒径測定装置。 - 前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級する分級手段と、予め設定された基準粒径と演算された前記円の直径に関連する値との比に基づいて、前記分級手段による分級結果に重み付けする重み付け手段と、該重み付け手段による重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算する粒径演算手段とを更に備えることを特徴とする請求項6記載の結晶粒径測定装置。
- 撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果 を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径を測定する結晶粒径測定装置において、
前記量子化結果に基づいて輝度に対する度数分布を演算する輝度分布演算手段と、該輝度分布演算手段による演算結果に基づいて前記所定の輝度閾値を演算する閾値演算手段と、さらに、前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級する分級手段と、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、前記分級手段による分級結果に重み付けする重み付け手段と、該重み付け手段による重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算する粒径演算手段とを備えることを特徴とする結晶粒径測定装置。 - 前記輝度分布演算手段により演算された前記度数分布を平滑化する平滑化手段を更に備え、前記閾値演算手段は、前記平滑化手段による平滑化結果に基づいて前記所定の輝度閾値を演算すべくなしてあることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れかに記載の結晶粒径測定装置。
- 撮像器を用いて被測定面を撮像し、撮像結果を量子化し、量子化結果を所定の輝度閾値に基づいて2値化することによって前記被測定面に析出する所定種類の結晶粒を識別し、識別された前記所定種類の結晶粒の画素数に応じた面積を演算し、該面積に対応する円の直径を演算し、演算結果に基づいて前記結晶粒の粒径を算出することにより、前記粒径を測定する結晶粒径測定装置において、
前記面積に対応する円の直径を演算した後で、演算された前記円の直径に対して分級する分級手段と、分級した各級区間における中間値と予め設定された基準粒径との比に基づいて、前記分級手段による分級結果に重み付けする重み付け手段と、該重み付け手段による重み付け結果に基づいて前記結晶粒の粒径を演算する粒径演算手段とを備えることを特徴とする結晶粒径測定装置。
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