JP3579748B2 - ジャイロ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車、船舶、航空機等の移動体に使用して好適な、慣性空間に対する角速度又は角変化及び加速度を検出するための加速度検出型ジャイロ装置に関する。より詳細には、本発明は、ジャイロロータを静電支持力によって浮動的に支持する形式の極めて小型の加速度検出型ジャイロ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12〜図18を参照して従来のジャイロ装置の例を説明する。このジャイロ装置は、本願出願人と同一の出願人によって平成6年6月17日に出願された特願平6−136074号に開示されたものである。詳細については同出願を参照されたい。
【0003】
先ず図12を参照してこのジャイロ装置の構造を説明する。このジャイロ装置は静電ジャイロと称され、静電支持力によって浮動的に支持された円盤状のジャイロロータ20と斯かるジャイロロータ20を内部に収容するジャイロケース21とを有する。
【0004】
ここで、ジャイロ装置に対して図示のように、XYZ座標を設定する。ジャイロ装置の中心軸線に沿って上方にZ軸をとり、それに垂直にX軸及びY軸をとる。ジャイロロータ20のスピン軸線はZ軸に沿って配置される。
【0005】
ジャイロケース21は上側底部材22と下側底部材24と両者を接続する環状のスペーサ23とを有し、これらは適当な締結手段、例えば小ねじ25によって接続されてよい。こうして、ジャイロケース21の内部にはジャイロロータ20を収容するための円盤状の空洞部26が形成される。
【0006】
図12Aに示すように、上側底部材22及び下側底部材24には空洞部26に通ずる孔22A、22A’が形成されており、上側底部材22の孔22Aにはキャップ32が装填され、斯かるキャップ32は空洞部26を長期間高い真空度に維持するためにゲッタ部材33を内蔵する。下側底部材24の孔22A’にはパイプ34が接続されており、斯かるパイプ34を経由して空洞部26が排気され真空にされる。
【0007】
ジャイロロータ20は導電性材料によって形成され、図12Aに示すように、好ましくは、肉薄の中心部20Bとその外側のより肉厚な環状の電極部20Cとを有するように構成してよい。中心部20Bには中心軸線に沿って貫通孔20Aが形成されている。
【0008】
ジャイロ装置はジャイロケース21に対するジャイロロータ20の変位を検出する変位検出装置を有しており、斯かる変位検出装置によってジャイロロータ20の半径方向の変位が検出される。斯かる変位検出装置は、例えば図12Aに示すように、ジャイロケース21の空洞部26の内側の上面と下面にそれぞれ配置された発光素子27と受光素子28とを含むものであってよい。受光素子28は、図12Bに示すように、4つのセグメント28−1、28−2、28−3、28−4に分割されたものより構成されてよい。
【0009】
発光素子27と受光素子28は、ジャイロロータ20の孔20Aを光路が通るようにその両側にそれぞれ配置されている。ジャイロロータ20が半径方向に変位すると、光路に対して孔20Aの位置が偏倚するため、発光素子27によって発生された光のうち受光素子28によって受光される光の量が変化する。4つの受光素子セグメントの受光量の変化量は互いに異なるから、ジャイロロータ20の半径方向の変位の大きさと方向が求められる。
【0010】
上側底部材22の内面には同心的に静電支持電極29−1〜29−4及びロータ回転駆動用コイル30−1〜30−4が配置されており、同様に、下側底部材24の内面には同心的に静電支持電極29’−1〜29’−4及びロータ回転駆動用コイル30’−1〜30’−4が配置されている。斯かる静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4及びロータ回転駆動用コイル30−1〜30−4、30’−1〜30’−4はジャイロロータ20の電極部20Cに対応して且つそれより隔置して配置されている。尚、静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4とジャイロロータ20の電極部20Cとの間の位置関係は後に詳細に説明する。
【0011】
図12Bに示すように、例えば、第1の対の静電支持電極29−1、29’−1及び第3の対の静電支持電極29−3、29’−3はX軸に沿って配置され、第2の対の静電支持電極29−2、29’−2及び第4の対の静電支持電極29−4、29’−4はY軸に沿って配置される。静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4は、ロータ回転駆動用コイル30−1〜30−4、30’−1〜30’−4の間に配置されてよい。静電支持電極29−1〜29−4及び29’−1〜29’−4は、図示のように、扇形に形成されてよい。
【0012】
ロータ回転駆動用コイル30−1〜30−4、30’−1〜30’−4に駆動用交流電圧を印加すると、ジャイロロータ20はZ軸をスピン軸として高速回転する。所望の回転数に達すると、交流電圧はカットオフされるが、ジャイロロータ20はその後の使用期間中惰性回転し続ける。ジャイロロータ20は高真空に維持されたジャイロケース21の空洞部26にて非接触的に支持されているため、数カ月以上回転し続ける。
【0013】
ジャイロロータ20には外部よりいかなるトルクも作用しないから、ジャイロケース21がどのような運動をしても、慣性の法則によって、ジャイロロータ21のスピン軸線の方向は慣性空間に対して一定方向に維持される。
【0014】
次に図13を参照して本例のジャイロ装置に設けられたZ拘束制御系及びXY拘束制御系とロータ駆動系100の構成と動作を説明する。Z拘束制御系はジャイロロータ20のZ軸方向の変位を拘束するように機能する。即ち、ジャイロロータ20を浮揚させ所定位置に保持する機能を有する。XY拘束制御系はジャイロロータ20のXY軸方向の変位を拘束するように機能し、ロータ駆動系100はジャイロロータ20をスピン軸線周りに回転させるように機能する。
【0015】
ジャイロロータ20の電極部20Cのうち、第1の対の静電支持電極29−1、29’−1に対応した部分を第1の部分P1 とし、第2の対の静電支持電極29−2、29’−2に対応した部分を第2の部分P2 とし、第3の対の静電支持電極29−3、29’−3に対応した部分を第3の部分P3 とし、第4の対の静電支持電極29−4、29’−4に対応した部分を第4の部分P4 とする。
【0016】
先ずZ拘束制御系の構成と動作を説明する。本例のZ拘束制御系は静電方式であり、ジャイロロータ20と静電支持電極との間に生成される静電気力によってジャイロロータ20は浮動的に支持され拘束される。
【0017】
本例のZ拘束制御系は、ジャイロロータ20の電極部20C(図13ではP1 、P3 の部分)とジャイロロータ20の両側に設けられた4対の静電支持電極29−1、29’−1、29−2、29’−2、29−3、29’−3、29−4、29’−4(図13では29−1、29’−1、29−3、29’−3のみ図示)と斯かる静電支持電極の各々に接続された4つのトランス41、42、43、44(図13では41、43のみ図示)とを有する。
【0018】
ここで、簡単化のため、ジャイロロータ20のX軸方向の変位Δx及びY軸方向の変位Δyはゼロであると仮定する。図13に示すように、第1及び第3のトランス41、43の各中点T1、T4には変位Δxによって修正された交流電圧(1±K1 Δx)VTXが印加されるが、ここでは斯かる係数は(1±K1Δx)=1となる。従って点T1、T4には基準周波数fo の交流電圧VTXが印加されている。第1のトランス41の出力端T2、T3はそれぞれ静電支持電極29−1、29’−1に接続され、第3のトランス43の出力端T5、T6はそれぞれ静電支持電極29−3、29’−3に接続されている。
【0019】
第1の対の静電支持電極29−1、29’−1とジャイロロータ20の電極部20Cの第1の部分P1 とによってコンデンサ(静電容量をCとする。)が構成され、斯かるコンデンサと第1のトランス41(インダクタンスをLとする。)とによって共振回路が構成される。斯かる共振回路の共振周波数fa 〔=1/2π√(LC)〕は、第1のトランス41に印加される交流電圧VTXの基準周波数fo より小さい値に設定される。
【0020】
次に図14を参照して本例のジャイロ装置のZ拘束制御系の動作を説明する。図14は第1のトランス41とそれに接続された静電支持電極29−1、29’−1とを含む共振回路の動作を示す共振曲線のグラフであり、縦軸は一方の電極、例えば、ジャイロロータ20の上側に配置された静電支持電極29−1の電極電圧VT 、横軸は周波数比(fO /fa )である。ここに、fO は上述のように交流電圧VTXの基準周波数であり、fa は共振回路の共振周波数fa 〔=1/2π√(LC)〕である。
【0021】
上述のように動作点では共振回路の共振周波数fa は交流電源の基準周波数fo より小さく、周波数比(fO /fa )は1より大きい。従って、図14に示すように、動作点付近では電極電圧VT は減少関数である。
【0022】
ジャイロロータ20の電極部20Cの第1の部分P1 が上方に変位した場合を考える。斯かる第1の部分P1 とその上側に配置された静電支持電極29−1との間の距離が減少し、両者間の静電容量Cは増加する。従って、共振周波数fa 〔=1/2π√(LC)〕は減少し、周波数比(fO /fa )は増加する。その結果、図示のように、静電支持電極29−1の電極電圧VT は動作電圧VTOより小さくなる。こうして、上側の静電支持電極29−1とジャイロロータ20の第1の部分P1 との間に働く引力は小さくなる。
【0023】
ジャイロロータ20の第1の部分P1 とその下側に配置された静電支持電極29’−1との間の関係は丁度それと逆になる。第1の部分P1 とその下側に配置された静電支持電極29’−1との間の距離は増加し、両者間の静電容量Cは減少する。従って、共振周波数fa 〔=1/2π√(LC)〕は増加し、周波数比(fO /fa )は減少する。その結果、静電支持電極29’−1の電極電圧VT は動作電圧VTOより大きくなる。こうして、下側の静電支持電極29’−1とジャイロロータ20の第1の部分P1 との間に働く引力は大きくなる。
【0024】
ジャイロロータ20の第1の部分P1 が上方に変位した場合、この第1の部分P1 を上方に偏倚させる力が小さくなり、下方に偏倚させる力が大きくなるため、第1の部分P1 は相対的に下方に偏倚され、元の位置に戻されるように動作する。
【0025】
本例のZ拘束制御系によると、第1のトランス41と第1の対の静電支持電極29−1、29’−1とを含む第1の共振回路によって、ジャイロロータ20の電極部20Cの第1の部分P1 のZ軸方向の変位は常にゼロに維持され、第3のトランス43と第3の対の静電支持電極29−3、29’−3とを含む第3の共振回路によって、ジャイロロータ20の電極部20Cの第3の部分P3 のZ軸方向の変位は常にゼロに維持される。同様に、第2及び第4の共振回路によってジャイロロータ20の電極部20Cの第2及び第4の部分P2 、P4 のZ軸方向の変位は常にゼロに維持される。
【0026】
ジャイロロータ20の第1の部分P1 がジャイロケース21より受ける力Fz1は、両側の静電支持電極29−1、29’−1に印加されている電圧A1 、B1の差に比例する。ジャイロロータ20の電極部20Cの第3の部分P3 の動作、第2及び第4の部分P2 、P4の動作も同様である。
【0027】
【数1】
Fz1=K(A1 −B1 )
Fz2=K(A2 −B2 )
Fz3=K(A3 −B3 )
Fz4=K(A4 −B4 )
【0028】
次に再び図13を参照して本例のロータ駆動系100の構成と動作を説明する。ロータ駆動系100は、ジャイロロータ20と駆動用交流電源101とそれに接続された4対のコイル(図13では下側のコイル30’−1、30’−2、30’−3、30’−4のみ図示)とを有する。2相交流電圧の基本相V0 は直列に接続された2つのコイル30’−1、30’−3に接続され、2相交流電圧の90°相V90は直列に接続された2つのコイル30’−2、30’−4に接続される。
【0029】
4対のコイル30−1、30’−1、30−2、30’−2、30−3、30’−3、30−4、30’−4に駆動用交流電源101より交番電圧が付与されると、ジャイロケース21の空洞部26に駆動用交流電源101の周波数に比例した回転磁界が発生し、斯かる磁界とジャイロロータ20内に発生した渦電流との相互作用によってジャイロータ20は回転する。
【0030】
次に図15を参照して本例のジャイロ装置のXY拘束制御系の構成と動作を説明する。XY拘束制御系は、ジャイロータ20の電極部20Cと静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4と発光素子27及び受光素子28を含む変位検出装置と斯かる変位検出装置の出力信号を入力するX及びY制御系50、60とを有する。ジャイロロータ20がX軸及びY軸方向に偏倚した場合でも、XY拘束制御系によって、スピン軸線がジャイロ装置の中心軸線即ちZ軸に整合するようにジャイロロータ20のX軸及びY軸方向の位置が制御される。
【0031】
図15Aに示すように、X制御系50は周波数fo の交流電圧VT を供給する交流電源50−1とVTX演算部50−2と2つの乗算器50−3、50−4とを有する。VTX演算部50−2は、変位検出装置の受光素子28より供給されたジャイロロータ20のX軸方向の変位Δxを指示する信号を入力し、係数1±K1 Δx(K1 は定数。)を演算する。交流電源50−1の一端は接地され他端は2つの乗算器50−3、50−4に接続されている。こうして、2つの乗算器50−3、50−4からは、係数1±K1 Δxによって修正された交流電圧VT (1±K1 Δx)が出力される。図15Bに示すようにY制御系60の構成はX制御系50の構成と同様である。
【0032】
ここでジャイロータ20の電極部20Cと静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4との間の位置関係を説明する。ジャイロータ20の電極部20Cは、静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4に対して同心的に配置されているが同時に半径方向内方に又は外方に偏倚して配置されている。
【0033】
図12及び図13に示すように、ジャイロータ20の電極部20Cが、静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4に対して半径方向内方に偏倚して配置されている場合について説明する。図示のように、静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4の外径をジャイロロータ20の電極部20Cの外径より大きく形成し、静電支持電極が半径方向外側に長さδ2 だけジャイロロータ20より突出するように構成する。
【0034】
更に、静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4の内径をジャイロロータ20の電極部20Cの内径より大きく形成し、ジャイロロータ20の電極部20Cが半径方向内側に長さδ1 だけ静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4より突出するように構成する。
【0035】
こうして、ジャイロータ20の電極部20Cを静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4に対して半径方向内方に偏倚して配置することによって、ジャイロロータ20には、第1の対の静電支持電極29−1、29’−1によって半径方向外方(X軸の正の方向に)に力Fx1が作用し、第3の対の静電支持電極29−3、29’−3によって半径方向外方(X軸の負の方向に)に力Fx3が作用する。これらの力Fx1及びFx3はそれぞれトランス41、43の中点T1、T4に印加される交流電圧の大きさによって変化する。斯かる交流電圧が等しければ2つの力Fx1及びFx3は等しく釣り合っている。
【0036】
ジャイロロータ20にX軸方向の加速度αX が作用して、ジャイロロータ20がジャイロケース21に対してX軸の正の方向にΔxだけ変位したものとする。斯かる変位Δxは受光素子28によって電圧信号として出力される。斯かる信号はX制御系50のVTX演算部50−2に供給され、係数1±K1 Δxを指示する信号が生成される。こうして、2つの乗算器50−3、50−4からはそれぞれ異なる電圧信号(1−K1 Δx)VT 、(1+K1 Δx)VT が生成される。
【0037】
斯かる電圧信号(1±K1 Δx)VT はそれぞれ2つトランス41、43の中点T1、T4に印加され、第1の対の静電支持電極29−1、29’−1によって力Fx1が生成され、第3の対の静電支持電極29−3、29’−3によって力Fx3が生成される。ジャイロロータ20に作用するX軸の正の方向の力Fx1とX軸の負の方向の力Fx3はそれぞれ次の数2の式によって表される。
【0038】
【数2】
Fx1=k1 (1−K1 Δx)VT
Fx3=k1 (1+K1 Δx)VT
【0039】
k1 は定数である。ジャイロロータ20に作用するX軸方向の力の合力は次のようになる。
【0040】
【数3】
Fx1−Fx3=−2k1 K1 VT ・Δx
【0041】
こうして数3の式によって表されるように変位Δxに比例した力によって、ジャイロロータ20はX軸の負の方向に引っ張られ、それによって変位がゼロとなる。ジャイロロータ20がY軸方向に偏倚した場合も同様である。こうして、本例のXY拘束制御系によって、ジャイロロータ20がX軸及びY軸方向に偏倚した場合でも、変位量Δx及びΔyは常にゼロに維持される。すなわち、ジャイロロータ20のスピン軸線は常にジャイロ装置の中心軸線即ちZ軸に整合するように制御される。
【0042】
尚、上述の説明では2つトランス41、43の中点T1、T4に印加される電圧の変化量は変位Δxに比例すると仮定したが、実際に印加される電圧は斯かる変位Δxに比例する項K1 ΔxVT 以外にダンピングに起因する項KD (dΔx/dt)VT も含む。
【0043】
図12及び図13を参照して、ジャイロータ20の電極部20Cが、静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4に対して半径方向内方に偏倚して配置されている場合について説明したが、静電支持電極29−1〜29−4、29’−1〜29’−4に対して半径方向外方に偏倚して配置されている場合についても同様である。但し、その場合には、ジャイロロータ20に作用する力Fx1、Fx3の方向が逆になる。更に、ジャイロロータ20にY軸方向の加速度αY が作用して、ジャイロロータ20がジャイロケース21に対してY軸方向にΔyだけ変位した場合も同様である。
【0044】
図16〜図18を参照して、本例のジャイロ演算部及び加速度演算部の構成と動作を説明する。ジャイロ演算部はX軸周りの角速度dφ/dtを演算するXジャイロ演算部51とY軸周りの角速度dθ/dtを演算するYジャイロ演算部61とを有し、加速度演算部はX軸方向の加速度を演算するX加速度演算部53とY軸方向の加速度を演算するY加速度演算部63とZ軸方向の加速度を演算するZ加速度演算部73とを有する。
【0045】
図16を参照してXジャイロ演算部51及びX加速度演算部53の構成と動作を説明する。Xジャイロ演算部51は、図示のように、4つの分圧部51−1〜51−4と斯かる分圧部の各々に接続された4つの整流部51−5〜51−8と各2対の整流部51−5、51−6及び51−7、51−8に接続された2つの減算部51−9、51−10と斯かる2つの減算部に接続された第3の減算部51−11と演算部51−12とを有する。
【0046】
Xジャイロ演算部51は入力端子51a、51b及び51c、51dを経由して2つのトランス41、43の出力端T2、T3及びT5、T6の端子出力A1 、B1 及びA3 、B3 を入力する。2つのトランス41、43の出力端T2、T3及びT5、T6の端子出力A1 、B1 及びA3 、B3 は通常1000V以上の高電圧であるため、斯かる電圧はそれぞれ4つの分圧部51−1〜51−4によって低電圧に分圧され、4つの整流部51−5〜51−8にて直流電圧に整流される。斯かる直流電圧信号は減算部51−9、51−10、51−11にて減算演算される。こうして、演算部51−12の出力端よりジャイロロータ20のX軸周りの回転角速度dφ/dtを指示するジャイロ信号が得られる。
【0047】
次に、Xジャイロ演算部51の動作を詳細に説明する。X軸周りに角速度dφ/dtが入力された場合を考える。ジャイロロータ20のスピン運動による角運動ベクトルHを図13に示すようにZ軸に沿って上向きにとる。慣性の法則によりジャイロロータ20のスピン軸線はZ軸方向に沿って配置され続けようとする。一方、ジャイロケース21がX軸周りに角速度dφ/dtで回転変位すると、第2の対の静電支持電極29−2、29’−2及び第4の対の静電支持電極29−4、29’−4において、ジャイロロータ20の第2及び第4の部分P2 、P4 と上側電極の間の隙間と下側電極の間の隙間とに差が生ずる。斯かる上下の隙間の差はY制御系60の動作によってゼロとなる。このとき、上述のようにジャイロロータ20の第2及び第4の部分P2 、P4 にZ軸に沿って2つの互いに反対方向の力Fz2とFz4が作用し、それによって次式によって表されるトルクTX が発生する。
【0048】
【数4】
TX =(Fz2−Fz4)×r
【0049】
ここに、rはスピン軸線から力の作用点までの距離である。
【0050】
斯かるトルクTX によってジャイロロータ20のスピン軸線はY軸周りに小さい角度でプリセッション運動する。斯かるプリセッション運動によって、第1の対の静電支持電極29−1、29’−1及び第3の対の静電支持電極29−3、29’−3とジャイロロータ20の第1及び第3の部分P1 、P3 との間の間隙が変化する。即ち、上側の間隙と下側の間隙で差が生ずる。
【0051】
同様に、X制御系50の動作によって、斯かる上側の間隙と下側の間隙の差がゼロとなるように制御される。このとき、上述のようにジャイロロータ20の第1及び第3の部分P1 、P3 に2つの互いに反対方向の力Fz1とFz3が作用し、それによって次式によって表されるトルクTY が発生する。
【0052】
【数5】
TY =(Fz1−Fz3)×r
【0053】
斯かるトルクTY によってジャイロロータ20のスピン軸線はX軸周りに小さい角度でプリセッション運動する。斯かるプリセッション運動は入力角速度dφ/dtと同一の運動となり、その結果、スピン軸線とジャイロケース21は一体となってX軸周りに角速度dφ/dtで回転する。
【0054】
数4及び数5の式より角運動の方程式をたて、数1の式を使用すると次の式が得られる。
【0055】
【数6】
【0056】
ここにHはジャイロロータ20の角運動量である。従って、
【0057】
【数7】
dφ/dt=〔(A3 −B3 )−(A1 −B1 )〕×Kr/H
dθ/dt=〔(A4 −B4 )−(A2 −B2 )〕×Kr/H
【0058】
こうして、Xジャイロ演算部51及びYジャイロ演算部53では、4つのトランスの端子出力A1 、B1 、A2 、B2 、A3 、B3 、A4 、B4 を入力してXジャイロ信号dφ/dt及びYジャイロ信号dθ/dtを出力する。
【0059】
次にX加速度演算部53の構成と動作を説明する。X加速度演算部53は、Xジャイロ演算部51の第1の対の整流部51−5、51−6の出力信号a1 、b1 を入力する加算部53−1と及び第2の対の整流部51−7、51−8の出力信号a3 、b3 を入力する加算部53−2と斯かる2つの加算部に接続された減算部53−3とを有する。
【0060】
加算部53−1及び53−2によってXジャイロ演算部51の内部出力の和a1 +b1 、a3 +b3 が求められる。斯かる和は各電極に印加された電圧の和A1 +B1 、A3 +B3 に対応している。したがって、加算部53−1及び53−2の出力はそれぞれX軸方向の力Fx1及びFx3に対応している。
【0061】
減算部53−3では加算部53−1及び53−2の出力a1 +b1 、a3 +b3 の差(a1 +b1 )−(a3 +b3 )が求められる。斯かる差は(A1 +B1 )−(A3 +B3 )に対応している。従って、減算部53−3の出力はX軸の正の方向の力Fx1とX軸の負の方向の力Fx3との差に対応している。
【0062】
こうして、減算部53−3からは数3の式によって表される変位Δxを指示する信号が出力され、これより加速度αX が求められる。
【0063】
図17に示すYジャイロ演算部61及びY加速度演算部63の構成と動作は同様なので説明は省略する。
【0064】
図18を参照してZ加速度演算部73の構成と動作を説明する。Z加速度演算部73はXジャイロ演算部51の内部信号a1 、b1 及びa3 、b3 とYジャイロ演算部61の内部信号a2 、b2 及びa4 、b4 を入力してZ軸方向の加速度αZ を演算する。
【0065】
次に、Z加速度演算部73の動作を説明する。以上の説明では、ジャイロロータ20の質量をゼロとして計算したが、実際にはゼロではない。ジャイロロータ20の質量をmとし、これを4つの部分に分割して考える。Z軸方向に加速度αZ が作用したとすると、ジャイロロータ20の第1及び第3の部分P1 、P3 に作用する力Fz1、Fz3はそれぞれ次の数8の式によって表される。
【0066】
【数8】
Fz1=mαZ /4−(H/r)(dφ/dt)
Fz3=mαZ /4+(H/r)(dφ/dt)
【0067】
この2つの式の和を計算してZ軸方向の加速度αZ を求めることができる。
【0068】
【数9】
【0069】
尚、Z軸方向の加速度αZ はジャイロロータ20の第2及び第4の部分P2 、P4 に作用する力Fz2、Fz4によっても求めることができる。従って、本例のZ加速度演算部73では、ジャイロロータ20の各部分に作用する4つの力Fz1、Fz2、Fz3、Fz4よりZ軸方向の加速度αZ が演算される。
【0070】
【発明が解決しようとする課題】
従来のジャイロ装置のZ拘束制御系及びXY拘束制御系は図13、図14及び図15を参照して説明したように、LC共振回路を使用してジャイロロータ20のZ軸方向及びXY方向の変位を常にゼロに維持するように構成されている。例えば、ジャイロロータ20の電極部20Cの第1の部分P1 において、X制御系50の交流電源50−1とトランス41と第1の対の静電支持電極29−1、29’−1とを含む系によって、LC共振回路が構成される。
【0071】
LC共振回路を使用したZ拘束制御系及びXY拘束制御系は、電源からジャイロロータ20に至る経路、上述の例では、交流電源50−1からX制御系50、トランス41及び第1の対の静電支持電極29−1、29’−1を経由してジャイロロータ20に至る経路にて様々な誤差が発生する欠点がある。斯かる誤差として配線やコイルの大型化に伴う浮遊容量の発生がある。
【0072】
また、従来のZ、XY拘束制御系では、ジャイロロータ20に対する浮揚力又は復元力の大きさを調節する場合には、VTX演算部50−2の係数1±K1 Δxを変化させる必要があり、操作が煩雑であった。特に始動時にジャイロロータ20を浮揚させるための制御が困難であるという欠点があった。
【0073】
本発明は斯かる点に鑑み、より制御が容易な拘束制御系を有するジャイロ装置を提供することを目的とする。
【0074】
本発明は斯かる点に鑑み、従来のパッシブな拘束制御系に対してアクティブな拘束制御系を提供することを目的とする。
【0075】
【課題を解決するための手段】
本発明による、例えば図1に示すように、中心軸線方向に沿ってZ軸、それに直交するX軸及びY軸を有するジャイロケースと、
該ジャイロケースの内部に静電支持力によって非接触的に支持され上記中心軸線方向のスピン軸線を有する円盤状のジャイロロータと、
上記ジャイロロータの両面に円周方向に沿って形成された電極部と、
上記ジャイロロータの両面の電極部にそれぞれ対応して且つそれより隔置され、円周方向に互いに等角度の中心角度にて隔置された少なくとも3対の静電支持電極と、
上記ジャイロロータを上記スピン軸線周りに高速回転させるためのロータ駆動系と、を有する加速度検出型のジャイロ装置において、
上記少なくとも3対の静電支持電極の各々はそれに対応する上記ジャイロロータの電極部に対して半径方向外方又は半径方向内方に偏倚して配置されていることと、
上記静電支持力を生成するための制御用直流電圧と上記ジャイロロータの変位を検出するための変位検出用交流電圧とを重畳して上記少なくとも3対の静電支持電極に印加するための機構制御回路と、
該機構制御回路より出力された上記ジャイロロータのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の直線変位とY軸周り及びX軸周りの回転変位を指示する変位検出用信号を入力して上記ジャイロロータの直線変位及び回転変位がゼロとなるように上記制御用直流電圧の修正量を演算し、それを上記機構制御回路にフィードバックする制御演算部と、
該制御演算部の出力信号を入力してジャイロ出力を演算するジャイロ加速度出力演算部と、を有することを特徴とする。
【0076】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記制御演算部は上記ジャイロロータの直線変位及び回転変位を演算する変位演算部と上記ジャイロロータに印加すべき力及び回転モーメントを演算するPID演算部と上記制御用直流電圧の修正量を演算する制御電圧演算部とを有することを特徴とする。
【0077】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ジャイロ加速度出力演算部は上記制御演算部のPID演算部の出力信号を入力してジャイロ出力を演算するように構成されていることを特徴とする。
【0078】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記静電支持電極は4対の静電支持電極を含み、該4対の静電支持電極は円周方向に互いに90度の中心角度にて隔置されていることを特徴とする。
【0079】
本発明によると、ジャイロ装置において、
上記4対の静電支持電極の第1及び第3の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV1A、ΔV1B及びΔV3A、ΔV3B、上記第2及び第4の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV2A、ΔV2B及びΔV4A、ΔV4Bとすると次の関係を満たすことを特徴とする。
ΔV1A+ΔV1B+ΔV3A+ΔV3B=0
ΔV2A+ΔV2B+ΔV4A+ΔV4B=0
【0080】
本発明によると、ジャイロ装置において、
上記第1及び第3の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV1A、ΔV1B及びΔV3A、ΔV3B、上記第2及び第4の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV2A、ΔV2B及びΔV4A、ΔV4Bとすると次の関係を満たすことを特徴とする。
ΔV1A=V0 (A11・Fx+A12・Fz/2+A13・Tθ)
ΔV1B=V0 (A21・Fx+A22・Fz/2+A23・Tθ)
ΔV3A=V0 (A31・Fx+A32・Fz/2+A33・Tθ)
ΔV3B=V0 (A41・Fx+A42・Fz/2+A43・Tθ)
ΔV2A=V0 (B11・Fy+B12・Fz/2+B13・Tφ)
ΔV2B=V0 (B21・Fy+B22・Fz/2+B23・Tφ)
ΔV4A=V0 (B31・Fy+B32・Fz/2+B33・Tφ)
ΔV4B=V0 (B41・Fy+B42・Fz/2+B43・Tφ)
但し、Fx、Fy、Fzはジャイロロータに付与すべき力の無次元化量、Tθ、Tφはジャイロロータに付与すべきトルクの無次元化量、Fx、Fy、Fz及びTθ、Tφの係数はアクチュエータ補正マトリックスの要素であり次の式によって表される。
A11=(1/4)(1−2ΔZ−2Δθ)
A12=(1/4)(1−ΔX−Δθ)
A13=(1/4)(1−ΔX−ΔZ)
A21=(1/4)(1+2ΔZ+2Δθ)
A22=(−1/4)(1−ΔX+Δθ)
A23=(−1/4)(1−ΔX+ΔZ)
A31=(−1/4)(1−2ΔZ+2Δθ)
A32=(1/4)(1+ΔX+Δθ)
A33=(−1/4)(1+ΔX−ΔZ)
A41=(−1/4)(1+2ΔZ−2Δθ)
A42=(−1/4)(1+ΔX−Δθ)
A43=(1/4)(1+ΔX+ΔZ)
B11=(1/4)(1−2ΔZ−2Δφ)
B12=(1/4)(1−ΔY−Δφ)
B13=(1/4)(1−ΔY−ΔZ)
B21=(1/4)(1+2ΔZ+2Δφ)
B22=(−1/4)(1−ΔY+Δφ)
B23=(−1/4)(1−ΔY+ΔZ)
B31=(−1/4)(1−2ΔZ+2Δφ)
B32=(1/4)(1+ΔY+Δφ)
B33=(−1/4)(1+ΔY−ΔZ)
B41=(−1/4)(1+2ΔZ−2Δφ)
B42=(−1/4)(1+ΔY−Δφ)
B43=(1/4)(1+ΔY+ΔZ)
ここに、ΔX、ΔY、ΔZはジャイロロータのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の変位の無次元化量、Δθ、ΔφはジャイロロータのY軸周り及びX軸周りの回転変位の無次元化量である。
【0081】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記静電支持電極の各々は、1対の互いに隔置された櫛形部を含み、該櫛形部の各々は円周方向に延在する複数の円周部と該円周部を接続する接続部とを有し、上記1対の櫛形部の円周部は互い違いに他を挟むように配置されていることを特徴とする。
【0082】
本発明によると、ジャイロ装置において、
上記各静電支持電極の第1及び第2の櫛形部に印加される上記制御用直流電圧は大きさが同じで互いに極性が異なることを特徴とする。
【0083】
本発明によると、ジャイロ装置において、
上記ジャイロロータの電極部は上記静電支持電極の櫛形部の円周部の各々に対応した複数の環状部を含み、上記静電支持電極の櫛形部の円周部の各々はそれに対応する上記ジャイロロータの電極部の環状部の各々に対して半径方向外方又は内方に偏倚して配置され、それによって上記ジャイロロータの上記中心軸線に対するX軸方向及びY軸方向の変位がゼロとなるような力を生成することを特徴とする。
【0084】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ジャイロロータは導電性材料よりなり上記電極部は上記ジャイロロータの両面に形成された突起部として構成されていることを特徴とする。
【0085】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ジャイロロータは単結晶の珪素よりなることを特徴とする。
【0086】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ジャイロケースは絶縁材料よりなる上側底部材及び下側底部材を含み、上記静電支持電極は上記上側底部材及び下側底部材の内面に装着された金属薄膜として構成されていることを特徴とする。
【0087】
本発明によると、ジャイロ装置において、
上記ジャイロケースの上側底部材及び下側底部材はガラスよりなることを特徴とする。
【0088】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記静電支持電極は蒸着、イオンプレーティング、フォトファブリケーションを含む薄膜生成技術によって形成されていることを特徴とする。
【0089】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ジャイロケースは上記上側底部材及び下側底部材の間に配置されたスペーサを含み、該スペーサは上記上側底部材及び下側底部材と陽極接合によって接続されていることを特徴とする。
【0090】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ジャイロケースには放電兼用のストッパが装着されており、該ストッパは上記ジャイロロータの変位を制限し且つ上記ジャイロロータに蓄積した静電気を外部に放電させる機能を有することを特徴とする。
【0091】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ジャイロケースにはゲッタ部材を収容する凹部が形成され、該凹部は上記ジャイロケースの内部と通路によって接続されていることを特徴とする。
【0092】
本発明によると、ジャイロ装置において、上記ロータ駆動系は上記ジャイロロータの両面に設けられたロータ駆動用電極部と該ロータ駆動用電極部に対応して且つそれより隔置されたロータ駆動用電極と該ロータ駆動用電極にロータ駆動用交流電圧を印加するためのロータ駆動用交流電圧回路とを有し、上記ロータ駆動用電極部は円周方向に1列に配置された複数の互いに隔置された電極部を含み、上記ロータ駆動用電極は円周方向に1列に配置された複数の互いに隔置された電極を含むことを特徴とする。
【0097】
【作用】
本発明によるジャイロ装置は、ジャイロロータの上面及び下面に形成された電極部とそれに対応してジャイロケースの内面に形成された4対の静電支持電極とを有し、ジャイロケースの4対の静電支持電極はジャイロロータの電極部に対して半径方向内方又は外方に偏倚して配置されている。ジャイロ装置は、更にジャイロロータを静電気力によって所定の位置に浮動的に支持するための拘束制御系を有する。
【0098】
ジャイロロータの両面及びそれに対応するジャイロケースの内面には、それぞれ、変位検出用電極部及び変位検出用電極が設けられ、更に、ジャイロロータを回転駆動するためのロータ駆動用電極部及びロータ駆動用電極が設けられている。
【0099】
4対の静電支持電極には静電支持力を生成するための制御用直流電圧とジャイロロータの変位を検出するための変位検出用交流電圧が印加される。ジャイロケースの内面の変位検出用電極には変位検出用電流が生成され斯かる変位検出用電流は機構制御回路によって検出される。
【0100】
機構制御回路より出力される変位検出用電圧信号は、ジャイロロータの全ての変位、即ち、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の直線変位ΔX、ΔY及びΔZとY軸周り及びX軸周りの回転変位Δθ及びΔφを含む。制御演算部は機構制御回路より出力された変位検出用電圧を入力してジャイロロータの変位と4対の静電支持電極に印加すべき制御用直流電圧とを演算する。制御演算部は斯かる制御用直流電圧を機構制御回路にフィードバックする。機構制御回路は制御用直流電圧と変位検出用交流電圧を4対の静電支持電極に印加する。こうして、機構制御回路によって検出されたジャイロロータの変位は制御用直流電圧にフィードバックされ、ジャイロロータの変位はアクティブにゼロに保持される。
【0101】
制御演算部は更に、ジャイロロータに印加すべきX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の加速度fx、fy及びfzとY軸周り及びX軸周りの回転モーメントfθ及びfφを求め、ジャイロロータに印加すべきX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の力Fx、Fy及びFzとY軸周り及びX軸周りのトルクTθ及びTφを求める。それによってジャイロ出力を演算する。
【0102】
4対の静電支持電極の各々は、1対の互いに隔置された櫛形部を含み、斯かる櫛形部は円周方向に延在する複数の円周部と斯かる円周部を接続する半径部とを含み、2つの櫛形部の円周部は互い違いに他を挟むように配置されている。
【0103】
各対の櫛形部に絶対値が等しく符号が反対の制御用直流電圧±V1A〜±V4Bを印加することによって、ジャイロロータ20の電位は常にゼロに保持される。
【0104】
ジャイロケース21の上側底部材22及び下側底部材24はガラスの如き絶縁材料よりなり、ジャイロロータ20及びそれを囲むスペーサ23は単結晶シリコン(珪素)の如き導電性材料よりなる。ジャイロロータ20及びスペーサ23は同一の材料より製造される。
【0105】
【実施例】
図1に本発明のジャイロ装置の例を示す。本例のジャイロ装置は薄い円盤状のジャイロロータ20と斯かるジャイロロータ20を内部に収容するジャイロケース21とを有する。
【0106】
ここで、ジャイロ装置に対して図示のように、XYZ座標を設定する。ジャイロ装置の中心軸線に沿って上方にZ軸をとり、それに垂直にX軸及びY軸をとる。ジャイロロータ20のスピン軸線はZ軸に沿って配置される。
【0107】
図1Aに示すように、ジャイロケース21は上側底部材22と下側底部材24と両者を接続するスペーサ23とを有し、スペーサ23は環状の内壁23Aを有する。こうして、上側底部材22及び下側底部材24の内面とスペーサ23の内壁23Aとによって、ジャイロケース21の内部にジャイロロータ20を収容するための円盤状の密閉された空洞部26が形成される。斯かる空洞部26は適当な方法によって真空排気されている。
【0108】
スペーサ23の環状の内壁23Aの外側には凹部23Bが形成されており、斯かる凹部23Bは通路23Cによって空洞部26に接続されている。斯かる通路23Cの高さは2〜3μmであってよい。斯かる凹部23Bにはゲッタ部材33が配置されている。それによって、空洞部26は長期間高い真空度に維持されることができる。
【0109】
ジャイロロータ20は導電性材料によって形成されている。斯かる導電性材料として例えば単結晶シリコン(珪素)が使用されてよい。単結晶材料を使用することによって熱歪み、経年変化の影響が少ない高い精度のジャイロロータを提供することができる。ジャイロケース21の上側底部材22と下側底部材24は非導電性材料、例えばガラスによって形成されている。スペーサ23はジャイロロータ20と同一の材料によって形成されてよい。尚、ジャイロロータ20及びジャイロケース21の製造方法については後に詳細に説明する。
【0110】
図1A及び図1Bの右側に示すように、本例のジャイロロータ20の上面及び下面には、同心状に複数の環状の電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’200D’が形成されている。即ち、上面及び下面には、同心状に複数の環状溝200a、200b、200c、200d及び200a’、200b’、200c’、200d’が形成され、斯かる環状溝によって突起状の環状の電極部が形成されている。
【0111】
本例のジャイロロータ20の上面及び下面には、環状の電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’の内側に駆動用電極部200E及び200E’が形成されている。斯かる駆動用電極部200E、200E’は、2つの同心状の環状溝200d、200e及び200d’、200e’の間に形成された複数の扇形突起部として構成され、円周上に沿って1列に環状に配置されてよい。
【0112】
ジャイロロータ20の上面及び下面の突起部として形成された環状の電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’及び駆動用電極部200E、200E’は共面に形成されてよい。
【0113】
一方、図1A及び図1Bの左側に示すように、ジャイロケース21の上側底部材22と下側底部材24の内面には、少なくとも3対の静電支持電極、本例では、第1、第2、第3及び第4の対の静電支持電極221、231、222、232、223、233及び224、234が配置されている。4対の静電支持電極は円周方向に沿って互いに90°の角度間隔にて配置されている。例えば、第1及び第3の対の静電支持電極221、231及び223、233はX軸に沿って配置され、第2及び第4の対の静電支持電極222、232及び224、234はY軸に沿って配置されている。
【0114】
各静電支持電極は1対の櫛形部よりなる。例えば図1Bの左側には、第3の対の静電支持電極223、233のうち、上側底部材22の内面に形成された静電支持電極223が示されている。この静電支持電極223は互いに隔置された2つの櫛形部223−1、223−2を含み、斯かる2つの櫛形部は互いに隔置されている。
【0115】
一方の櫛形部223−1は半径方向に延在する半径部223Rと複数の円周方向に延在する円周部223A、223Cとを有する。同様に、他方の櫛形部223−2は半径方向に延在する半径部223Rと複数の円周方向に延在する円周部223B、223Dとを有する。各櫛形部223−1、223−2の円周部223A、223C及び223B、223Dは互い違いに他を挟むように配置されている。各櫛形部223−1、223−2の半径部223R、223Rの端部には端子部223R’、223R’がそれぞれ形成されている。
【0116】
ジャイロケース21の上側底部材22と下側底部材24の内面には、4対の静電支持電極221、231、222、232、223、233及び224、234の内側に駆動用電極225、235がそれぞれ形成されている。斯かる駆動用電極225、235は、円周上に沿って1列に環状に配置された複数の扇形に構成されてよい。
【0117】
次にジャイロロータ20の環状の電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’とジャイロケース21の上側底部材22及び下側底部材24の静電支持電極221、222、223、224及び231、232、233、234の寸法及び相対的位置関係について説明する。
【0118】
ジャイロロータ20の外径Dは5mm以下であってよく、厚さtは0.1mm以下であってよく、質量は10ミリグラム以下であってよい。図1には、4本の環状の電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’が図示されているが、実際には多数の環状の電極部が形成されている。例えば、各電極部の半径方向の幅Lが約10μmであり、約20μmのピッチにて等間隔に形成されている場合、半径方向に約2mmの幅の環状領域内に約100本の環状の電極部が形成される。尚、各電極部の半径方向の幅L及びピッチは製造方法が許す限りできるだけ小さいほうが好ましい。
【0119】
ジャイロケース21の上側底部材22及び下側底部材24の静電支持電極221、222、223、224及び231、232、233、234の寸法は環状の電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’の寸法に対応して形成されてよい。例えば、図1にて、第3の静電支持電極223の各櫛形部223−1、223−2の円周部223A、223C及び223B、223Dは合計4本含むものとして図示されているが、実際には多数の円周部が形成されている。例えば、各円周部の半径方向の幅Lが約10μmであり、約20μmのピッチにて等間隔に形成されている場合、半径方向に約2mmの幅の環状領域内に約100本の円周部が形成される。
【0120】
次にジャイロロータ20の電極部とジャイロケース21の静電支持電極の間の位置関係を説明する。例えば、ジャイロロータ20の電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’と第3の対の静電支持電極223、233の間の位置関係を説明する。ジャイロロータ20の第1の電極部200A、200A’に対して第3の対の静電支持電極223、233の第1の円周部223A、233Aが対応し、第2の電極部200B、200B’に対して第3の対の静電支持電極223の第2の円周部223B、233Bが対応する。以下同様に、第3及び第4の電極部200C、200C’及び200D、200D’に対して第3及び第4の円周部223C、233C及び223D、233Dが対応する。
【0121】
ジャイロロータ20の電極部とそれに対応するジャイロケース21の静電支持電極の間の間隙δは数μm、例えばδ=2〜3μmであってよい。
【0122】
ジャイロロータ20の各電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’は、対応する静電支持電極223、233の円周部223A、233A、223B、233B、223C、233C及び223D、233Dに対して同心的に配置されているが同時に半径方向内方に又は外方に偏倚して配置されている。
【0123】
例えば、ジャイロロータ20の各電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’の幅及びピッチが、対応する静電支持電極223、233の円周部223A、233A、223B、233B、223C、233C及び223D、233Dの幅及びピッチと等しく、両者は互いに所定の距離だけ、半径方向内方に又は外方に偏倚して配置されている。
【0124】
ジャイロロータ20の各電極部200A、200B、200C、200D及び200A’、200B’、200C’、200D’が、それに対応する静電支持電極の円周部より半径方向内方に配置されている場合を第3の静電支持電極223、233を例として説明する。
【0125】
例えば、ジャイロロータ20の第1の電極部200A、200A’の内径は対応する第1の円周部223A、233Aの内径よりそれぞれ小さく、第1の電極部200A、200A’の外径は対応する第1の円周部223A、233Aの外径よりそれぞれ小さい。同様に、ジャイロロータ20の第2、第3及び第4の電極部200B、200B’、200C、200C’及び200D、200D’の内径は対応する第2、第3及び第4の円周部223A、233A、223B、233B、223C、233C及び223D、233Dの内径よりそれぞれ小さく、ジャイロロータ20の第2、第3及び第4の電極部200B、200B’、200C、200C’及び200D、200D’の外径は対応する第2、第3及び第4の円周部223A、233A、223B、233B、223C、233C及び223D、233Dの外径よりそれぞれ小さい。
【0126】
ジャイロロータ20の電極部と第1、第2及び第4の対の静電支持電極221、231、222、232、224、234との間の位置関係も同様である。またジャイロロータ20の電極部200A、200B、200C、200D、200A’、200B’、200C’、200D’の各々が、それに対応する静電支持電極の円周部の各々より半径方向外方に配置されている場合も同様である。
【0127】
ここで、本例の静電支持電極を互い違いに他を挟むように配置された1対の櫛形部を含むように構成した理由を説明する。斯かる構成によって、ジャイロロータ20の上側及び下側において、各対の櫛形部とそれに対応するジャイロロータ20の電極部との間の静電容量は等しくなっている。例えば、第1の対の静電支持電極221、231の第1の静電支持電極221において、第1の櫛形部221−1(221A、221C)とそれに対応するジャイロロータ20の第1及び第3の電極部200A、200Cの間の静電容量は第2の櫛形部221−2(221B、221D)とそれに対応するジャイロロータ20の第2及び第3の電極部200C、200Dの間の静電容量に等しく共にC1Aである。
【0128】
従って第1の櫛形部221−1(221A、221C)に印加する制御用直流電圧と第2の櫛形部221−2(221B、221D)に印加する制御用直流電圧を、大きさが等しく極性が反対の電圧、例えば±V1Aとすることによって、ジャイロロータ20の電位をゼロにすることができる。これについては後に図4を参照して再度説明する。
【0129】
第1の対の静電支持電極221、231の第2の静電支持電極231においても同様である。また第2、第3及び第4の静電支持電極222、232、223、233、224、234についても同様である。
【0130】
尚、ジャイロロータ20の駆動用電極部200E、200E’と対応するジャイロケース21の駆動用電極225、235は互いに同一形状且つ半径方向に同一位置に配置されてよい。
【0131】
ジャイロロータ20の上面及び下面には、中心部に、突起部200F及び200F’が形成され、斯かる突起部200F、200F’の中心部には凹部200f、200f’が形成されている。一方、ジャイロケース21の上側底部材22と下側底部材24の内面には、中心部に、それぞれ放電兼用ストッパ127、128が設けられている。斯かるストッパ127、128は、ジャイロロータ20の上面及び下面の中心部に形成された凹部200f、200f’に対応して配置されている。
【0132】
放電兼用ストッパ127、128は、ジャイロロータ20のZ軸方向の変位、X軸方向及びY軸方向の変位を制限しジャイロロータ20がジャイロケース21の内面に接触することを阻止すると同時にジャイロロータ20に蓄積した静電気を放電させるために設けられている。
【0133】
ジャイロロータ20がZ軸方向に変位してジャイロケース21の内面に近づくと、ジャイロロータ20の電極部がジャイロケース21の電極に接触する前に、放電兼用ストッパ127、128がジャイロロータ20の凹部200f、200f’の底に当接する。また、ジャイロロータ20がX軸又はY軸方向に変位すると、ジャイロロータ20がジャイロケース21の円周内壁23Aに接触する前に、放電兼用ストッパ127、128がジャイロロータ20の凹部200f、200f’の円周内壁に当接する。
【0134】
それによって、ジャイロロータ20のZ軸方向、X軸方向及びY軸方向の変位が制限され、ジャイロロータ20がジャイロケース21の内面に接触することが阻止される。また、ジャイロロータ20が停止し着地したとき、放電兼用ストッパ127、128がジャイロロータ20の凹部200f、200f’に当接することによって、ジャイロロータ20に蓄積した静電気が放電兼用ストッパ127、128を経由して外部に放電される。
【0135】
ジャイロケース21の上側底部材22又は下側底部材24に形成された静電支持電極221、231、222、232、223、233、224、234及び駆動用電極225、235と外部電源又は外部回路と間は、スルーホール接続によって電気的に接続されてよい。例えば図示のように、上側底部材22又は下側底部材24には小さな孔、即ち、スルーホール22B、24Aが設けられ、斯かるスルーホールの内面には金属膜が形成される。斯かる金属膜によって、静電支持電極が外部の機構制御回路123、131に接続される。
【0136】
次に本発明のジャイロ装置におけるロータ駆動系を説明する。本例のロータ駆動系はジャイロロータ20の上面及び下面に形成された駆動用電極部200E及び200E’とジャイロケース21の上側底部材22又は下側底部材24に形成された駆動用電極225、235とを含む。上述のように、駆動用電極部200Eと駆動用電極225及び駆動用電極部200E’と駆動用電極235とは同一半径の円周上に1列に配置され、各々、複数の同一形状の扇形部よりなる。
【0137】
本例の駆動用電極部200E及び200E’と駆動用電極225、235は3相電極を構成している。本例によると、ジャイロロータ20の上側の駆動用電極部200Eは互いに90度の中心角にて隔置された4個の扇形部を含み、下側の駆動用電極部200E’は互いに90度の中心角にて隔置された4個の扇形部を含む。
【0138】
それに対応してジャイロケース21の上側の駆動用電極225は互いに等しい中心角にて隔置された12個の扇形部を含み、下側の駆動用電極235は互いに等しい中心角にて隔置された12個の扇形部を含む。各12個の駆動用電極225又は235は4組の扇形部を含み、各組は3個の扇形部、即ち、第1相、第2相及び第3相の扇形部よりなる。
【0139】
各組の駆動用電極225又は235の対応する相の扇形部は互いに電気的に接続されている。例えば、第1相の4つの駆動用電極225又は235は互いに接続され、第2相の4つの駆動用電極225又は235は互いに接続され、第3相4つの駆動用電極225又は235は互いに接続されている。
【0140】
斯かる3相の共通端子に3相駆動用電圧が付与される。駆動用電圧はステップ状電圧又はパルス電圧であってよい。斯かる駆動用電圧は隣接する次の相の4個の扇形部に順次切り換えられる。駆動用電圧の切替えはジャイロロータ20の回転に同期して行われる。それによってジャイロロータ20は高速回転する。ジャイロケース21の空隙部26は真空に維持されているので、ジャイロロータ20の回転速度が高くなったら、駆動用電圧を遮断してもよいが、常に駆動用電圧を付与し続けててもよい。
【0141】
尚、3相電極を構成する駆動用電極部200E及び200E’と駆動用電極225、235は、より多くの扇形部を含むように構成してもよい。例えば、駆動用電極部200E、200E’の各々は5個の扇形部を含み、それに対応して駆動用電極225、235の各々は5組(15個)の扇形部を含むように構成してもよい。
【0142】
図2に本発明によるジャイロ装置の制御ループを示す。本例の制御ループは4対の静電支持電極221〜224、231〜234に接続された機構制御回路121〜124、131〜134と各機構制御回路121〜134からの出力電圧P1A〜P4A、P1B〜P4Bを入力して制御用直流電圧V1A〜V4A、V1B〜V4Bを生成する制御演算部140とを有する。制御演算部140によって生成された制御用直流電圧V1A〜V4A、V1B〜V4Bは各機構制御回路121〜134に供給される。各機構制御回路121〜134は制御用直流電圧±V1A〜±V4A、±V1B〜±V4Bと変位検出用交流電圧AC0 を重畳して静電支持電極221〜224、231〜234に供給する。
【0143】
尚、本例のジャイロ装置には制御演算部140の出力信号を入力するジャイロ加速度出力演算部145が設けられているが、それについては後に詳細に説明する。
【0144】
静電支持電極221〜224、231〜234に制御用直流電圧±V1A〜±V4A、±V1B〜±V4Bを印加することによってジャイロロータ20は所定の基準位置に浮動的に支持され拘束される。機構制御回路121〜124、131〜134は4対の静電支持電極221〜224、231〜234に接続されており、斯かる4対の静電支持電極221〜224、231〜234に印加される電圧を検出する。静電支持電極221〜224、231〜234に変位検出用交流電圧AC0 を印加することによって、機構制御回路121〜124、131〜134は静電支持電極221〜224、231〜234によって出力された電圧信号P1A〜P4A、P1B〜P4Bを検出する。
【0145】
斯かる電圧信号P1A〜P4A、P1B〜P4Bはジャイロロータ20の全ての直線変位及び回転変位を含む。斯かる電圧信号P1A〜P4A、P1B〜P4Bは制御演算部140に供給される。制御演算部140によってジャイロロータ20のZ軸方向の変位±Δz、X軸方向の変位±Δx及びY軸方向の変位±ΔyとX軸周り及びY軸周りの回転変位Δφ、Δθ(図3の右上に示す矢印の方向を正とする。)が検出される。更に、斯かる変位より静電支持電極221〜224、231〜234に印加すべき制御用直流電圧±V1A〜±V4A、±V1B〜±V4Bが演算される。こうして制御用直流電圧±V1A〜±V4A、±V1B〜±V4Bが変化し、ジャイロロータ20はその偏倚量がゼロとなるように元の位置に戻される。
【0146】
本例の拘束制御系は、このようにジャイロロータ20の偏倚量を実際に測定して斯かる偏倚量がゼロになるように静電気力を積極的に変化させる点で、従来のパッシブ式拘束系とは異なりアクティブ式に構成されている。
【0147】
図3を参照して本発明によるジャイロ装置の拘束制御系について説明する。本例の拘束制御系はジャイロロータ20を所定の位置に浮動的に支持するように構成されており、ジャイロロータ20をジャイロケース21の内面に接触しないようにZ軸方向、X軸方向及びY軸方向に拘束する。またジャイロロータ20のX軸周り及びY軸周りの回転変位を拘束する。
【0148】
ジャイロロータ20は実際には高速で回転しているが、ジャイロロータ20のうち、第1、第2、第3及び第4の対の静電支持電極に対応した位置にある4つの部分をそれぞれP1 、P2 、P3 及びP4 とする。
【0149】
図3には、本例のジャイロ装置をXZ平面に沿って切断した断面が示されており、X軸に沿って配置されたジャイロロータ20の第1及び第3の部分P1 、P3 とそれに対応して配置された第1及び第3の対の静電支持電極221、231及び223、233とそれに接続された第1の対及び第3の対の機構制御回路121、131及び123、133が示されている。Y軸に沿って配置されたジャイロロータ20の第2及び第4の部分P2 及びP4 とそれに対応した第2及び第4の対の静電支持電極及び機構制御回路は図示されていないが、紙面に垂直な方向に沿って配置されている。
【0150】
第1の対の静電支持電極221の円周部221A、221B、221C、221Dはジャイロロータ20の上面の電極部200A、200B、200C、200Dに対応しており、第1の対の静電支持電極231の円周部231A、231B、221C、221Dはジャイロロータ20の下面の電極部200A’、200B’、200C’、200D’に対応しており、第3の対の静電支持電極223の円周部223A、223B、223C、223Dはジャイロロータ20の上面の電極部200A、200B、200C、200Dに対応しており、第3の対の静電支持電極233の円周部233A、233B、233C、233Dはジャイロロータ20の下面の電極部200A’、200B’、200C’、200D’に対応している。
【0151】
次に図4を参照して機構制御回路121の構成例及び変位検出の原理を説明する。この機構制御回路121は第1の対の静電支持電極221、231の第1の静電支持電極221に接続されたものであるが他の機構制御回路122、123、124、131、132、133、134も同様な構成を有してよい。図示のように機構制御回路121は制御用直流電圧V1A及び変位検出用交流電圧AC0 を入力して加算する加算器121−1と符号反転器121−2と2つのコンデンサ121−3A、121−3Bと減算器121−4とを含む。
【0152】
図4において、第1の静電支持電極221の第1及び第2の櫛形部221−1(221A、221C)及び221−2(221B、221D)とそれに対応するジャイロロータ20の電極部200A、200C及び200B、200Dはそれぞれ第1及び第2のコンデンサに置き換えられている。上述のように、第1の静電支持電極221において、第1の櫛形部221−1と第1及び第3の電極部200A、200Cの間の静電容量と第2の櫛形部221−2と第2及び第4の電極部200B、200Dの間の静電容量は等しくC1Aである。従って斯かる2つのコンデンサの静電容量は共にC1Aである。
【0153】
機構制御回路121は制御用直流電圧±V1Aを出力する。第1の静電支持電極221の第1の櫛形部221−1(221A、221C)には制御用直流電圧+V1Aが印加され第2の櫛形部221−2(221B、221D)にはそれと大きさが同じで極性が異なる制御用直流電圧−V1Aが印加される。従って第1及び第2コンデンサには大きさが同じで極性が異なる制御用直流電圧±V1Aが印加される。それによって2対のコンデンサの中点Q1 の電位はゼロとなる。本例によると、静電支持電極の各対の櫛形部に大きさが同じで極性が異なる制御用直流電圧が印加されるから、ジャイロロータ20の電位は常にゼロである。
【0154】
また、機構制御回路121は制御用直流電圧±V1Aに重畳して変位検出用交流電圧AC0 を出力し、2つのコンデンサに斯かる変位検出用交流電圧AC0 が印加される。変位検出用交流電圧AC0 は例えば次のように表される。
【0155】
【数10】
AC0 =E0 cos(ω0 t+ξ)
【0156】
同様に、第3の対の静電支持電極223、233の第1の静電支持電極223において、第1の櫛形部223−1と第1及び第3の電極部200A、200Cの間の静電容量と第2の櫛形部223−2と第2及び第4の電極部200B、200Dの間の静電容量は等しくC3Aであり、第2の静電支持電極233において、第1の櫛形部233−1と第1及び第3の電極部200A’、200C’の間の静電容量と第2の櫛形部233−2と第2及び第4の電極部200B’、200D’の間の静電容量は等しくC3Bである。
【0157】
例えば、ジャイロロータ20がX軸方向にΔXだけ直線変位し、Y軸周りに回転角Δθだけ回転変位し、Z軸方向にΔZだけ直線変位したものとする。斯かる変位は十分小さいものと仮定すると、各コンデンサの静電容量は次のように表される。
【0158】
【数11】
C1A=C0 (1+ΔX+ΔZ+Δθ)
C1B=C0 (1+ΔX−ΔZ−Δθ)
C3A=C0 (1−ΔX+ΔZ−Δθ)
C3B=C0 (1−ΔX−ΔZ+Δθ)
【0159】
ここにC0 は全ての変位がゼロの時の各コンデンサの静電容量である。逆にこの式から各変位ΔX、ΔZ、Δθを各コンデンサの静電容量によって表すことができる。
【0160】
【数12】
ΔX=(1/4C0 )(C1A+C1B−C3A−C3B)
Δθ=(1/4C0 )(C1A−C1B−C3A+C3B)
ΔZ=(1/4C0 )(C1A−C1B+C3A−C3B)
【0161】
本例のジャイロ装置をYZ平面に沿って切断した断面は図示してないが、Y軸に沿って配置された第2及び第4の対の静電支持電極222、232及び224、234とそれに対応したジャイロロータ20の第2及び第4の部分P2 及びP4 に関しても同様な議論が成り立つ。
【0162】
例えば、ジャイロロータ20がY軸方向にΔYだけ直線変位し、Z軸方向にΔZだけ直線変位し、X軸周りに回転角Δφだけ回転変位したものとする。数11の式に対応して、各コンデンサの静電容量は次のように表される。
【0163】
【数13】
C2A=C0 (1+ΔY+ΔZ+Δφ)
C2B=C0 (1+ΔY−ΔZ−Δφ)
C4A=C0 (1−ΔY+ΔZ−Δφ)
C4B=C0 (1−ΔY−ΔZ+Δφ)
【0164】
また数12の式に対応して変位ΔX、ΔY、Δφをコンデンサの静電容量によって表すと次のようになる。
【0165】
【数14】
ΔY=(1/4C0 )(C2A+C2B−C4A−C4B)
Δφ=(1/4C0 )(C2A−C2B−C4A+C4B)
ΔZ=(1/4C0 )(C2A−C2B+C4A−C4B)
【0166】
各機構制御回路121、122、123、124、131、132、133、134の出力電圧信号P1A、P1B、P2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4Bは次の式によって表される。
【0167】
【数15】
P1A=KV C1AE0 cos(ω0 t+ξ)
P1B=KV C1BE0 cos(ω0 t+ξ)
P2A=KV C2AE0 cos(ω0 t+ξ)
P2B=KV C2BE0 cos(ω0 t+ξ)
P3A=KV C3AE0 cos(ω0 t+ξ)
P3B=KV C3BE0 cos(ω0 t+ξ)
P4A=KV C4AE0 cos(ω0 t+ξ)
P4B=KV C4BE0 cos(ω0 t+ξ)
【0168】
ここにKV はコンデンサの形状等によって決まる定数である。数15の式よりコンデンサの静電容量C1A、C1B、C2A、C2B、C3A、C3B、C4A、C4Bは次のうように表される。
【0169】
【数16】
C1A=P1A〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
C1B=P1B〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
C2A=P2A〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
C2B=P2B〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
C3A=P3A〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
C3B=P3B〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
C4A=P4A〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
C4B=P4B〔1/KV E0 cos(ω0 t+ξ)〕
【0170】
この式を数12の式及び数14の式の右辺に代入してジャイロロータ20の直線変位及び回転変位が求められる。
【0171】
【数17】
ΔX=Kx(P1A+P1B−P3A−P3B)
ΔY=Ky(P2A+P2B−P4A−P4B)
ΔZ=Kz(P1A+P2A+P3A+P4A−P1B−P2B−P3B−P4B)
Δθ=Kθ(P1A−P1B−P3A+P3B)
Δφ=Kφ(P2A−P2B−P4A+P4B)
【0172】
Kx、Ky、Kz、Kθ、Kφは比例定数である。尚、斯かる比例定数は数16の式より明らかなように、振動成分1/cos(ω0 t+ξ)を含む。本例によれば、4対の機構制御回路の出力電圧P1A〜P4Bよりジャイロロータ20の全ての直線変位及び回転変位が得られる。例えば、直線変位ΔX、ΔY、ΔZと回転変位Δθ、Δφが2つ以上重畳した場合でも、数17の式より各変位が得られる。
【0173】
本例の拘束制御系は、このようにジャイロロータ20の偏倚量を実際に測定して斯かる偏倚量がゼロになるように静電気力を積極的に変化させる点で、従来のパッシブ式拘束系とは異なりアクティブ式に構成されている。
【0174】
図5に本発明によるジャイロ装置の制御演算部140の構成及びジャイロ加速度出力演算部145を示す。本例の制御演算部140は、各機構制御回路121〜124、131〜134の出力電圧P1A、P1B、P2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4Bを入力して直線変位ΔX、ΔY、ΔZ及び回転変位Δθ、Δφを演算する変位演算部141とジャイロロータ20の変位をゼロにするためにジャイロロータ20に印加すべき直線加速度(無次元量)fx、fy、fz及び回転モーメントfθ、fφを演算するPID演算部142と制御用直流電圧の変化量ΔV1A、ΔV1B、ΔV2A、ΔV2B、ΔV3A、ΔV3B、ΔV4A、ΔV4Bを演算する制御電圧演算部143と制御用直流電圧V1A、V1B、V2A、V2B、V3A、V3B、V4A、V4Bを発生する制御電圧発生器144とを有する。
【0175】
尚、ジャイロ装置はジャイロ加速度出力演算部145を有し、斯かるジャイロ加速度出力演算部145はPID演算部142によって出力された加速度fx、fy、fz及び回転モーメントfθ、fφを入力してジャイロ出力dθ/dt、dφ/dt及び加速度αX 、αY 、αZ を演算する。
【0176】
図6を参照して本例の変位演算部141の構成及び動作を説明する。本例の変位演算部141は、周波数ω0 の基準信号によって電圧信号P1A、P1B、P2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4Bを同期検波する第1〜第8の同期検波器141−1〜141−8と、各同期検波器141−1〜141−8の出力波形を直流波形に整流するためのフィルタ141−9〜141−16と変位演算器141−17と周波数ω0 の基準信号を発生する信号発生器141−18とを有する。
【0177】
変位演算器141−17は数17の式によって直線変位ΔX、ΔY、ΔZ及び回転変位Δθ、Δφを演算する。斯かる変位信号はPID演算部142及び制御電圧演算部143に供給される。
【0178】
図7を参照して本例のPID演算部142の構成及び動作を説明する。本例のPID演算部142は5つのPID演算器142−1、142−2、142−3、142−4、142−5を含み、各PID演算器はそれぞれ直線変位ΔX、ΔY、ΔZ及び回転変位Δθ、Δφを入力して直線加速度fx、fy、fz及び回転モーメントfθ、fφを演算する。
【0179】
図7は第1のPID演算器142−1の構成を示す。第1のPID演算器142−1は、直線変位ΔXを入力して微分演算する微分部142−1Aと比例演算する比例部142−1Bと積分演算する積分部142−1Cとそれらの演算結果を加算する加算部142−1Dとを有する。加算部142−1Dの出力信号がPID演算器142−1の出力信号である。尚、図7において、Sはラプラス演算子、KP は比例定数、TD 及びTI は微分時定数及び積分時定数である。
【0180】
本例のPID演算部142に含まれる他の3つのPID演算器、即ち、第2、第3、第4及び第5のPID演算器142−1の構成は、図7に示した第1のPID演算器142−1の構成と同様であってよい。
【0181】
PID演算部142の出力信号fx、fy、fz、fθ、fφは制御電圧演算部143及びジャイロ加速度出力演算部145に供給される。尚、ジャイロ加速度出力演算部145には、加算部142−1D〜142−5Dの出力信号fx、fy、fz、fθ、fφではなく積分部142−1C〜142−5Cの出力信号が供給されてよい。
【0182】
図8及び図9を参照して本例による制御電圧演算部143の構成及び動作を説明する。本例による制御電圧演算部143はジャイロロータ20に付与すべき直線加速度fx、fy、fz及び回転モーメントfθ、fφより制御用直流電圧の変化量ΔV1 〜ΔV8 を演算する。本例によると、先ず直線加速度fx、fy、fz及び回転モーメントfθ、fφと直線変位ΔX、ΔY、ΔZ及び回転変位Δθ、Δφを無次元化し、次に実際にジャイロロータ20の変位がゼロとなるようにジャイロロータ20に付与すべき力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφを演算する。斯かる力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφは無次元量として得られる。最後に、斯かる力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφから制御用直流電圧V1A〜V4Bの変化量ΔV1A〜ΔV4Bを演算する。
【0183】
図8を参照して制御電圧演算部143の入力信号の無次元化を説明する。図8Aに示すように、ジャイロロータ20の電極部200Aと対応するジャイロケース21の静電支持電極の円周部221Aを模式的なコンデンサと考える。静電支持電極の円周部221Aは電極部200Aに対して半径方向外方に距離δ2 だけ偏倚されており、両者が重なりあう部分がコンデンサとなる。
【0184】
斯かるコンデンサは半径rの位置に配置され、半径方向の幅がL、円周方向の幅がB、間隙がδであるものとする。直線変位ΔX、ΔY、ΔZ及び回転変位Δθ、Δφの無次元化は次の式によってなされる。
【0185】
【数18】
ΔXN =ΔX/L
ΔYN =ΔY/L
ΔZN =ΔZ/δ
ΔθN =Δθ/(δ/r)
ΔφN =Δφ/(δ/r)
【0186】
ここに添字Nは無次元量を表す。次に図8Bを参照して直線加速度fx、fy、fz及び回転モーメントfθ、fφを無次元化する方法を説明する。直線加速度fx、fy、fzは次の式によってなされる。
【0187】
【数19】
fxN =fx(C0 V0 2/L)−1
fyN =fy(C0 V0 2/L)−1
fzN =fz(C0 V0 2/δ)−1
fθN =fθ(rC0 V0 2/δ)−1
fφN =fφ(rC0 V0 2/δ)−1
【0188】
ここに添字Nは無次元量を表す。C0 はジャイロロータ20の変位がゼロのときの静電容量であり、誘電率εを使用してC0 =εBL/δと表される。V0 はジャイロロータ20の変位がゼロのときの制御用直流電圧、rは半径、δは電極部と電極の間の間隔である。ジャイロロータ20に付与すべき力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφは次のように表すことができる。
【0189】
【数20】
Fx=fxN
Fy=fyN
Fz=fzN −8ΔZN
Tθ=fθN
Tφ=fφN
【0190】
次に、無次元化された力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφと無次元化された直線変位ΔXN 、ΔYN 、ΔZN 及び回転変位ΔθN 、ΔφN より制御用直流電圧の変化量ΔV1A〜ΔV4Bを演算する。
【0191】
第1及び第3の静電電極221、223に印加する制御用直流電圧±V1A、±V1B及び±V3A、±V3Bの変化量ΔV1A、ΔV1B及びΔV3A、ΔV3Bについて考える。4つの変化量ΔV1A、ΔV1B及びΔV3A、ΔV3Bの各々は3つの無次元化された力Fx、Fz及びトルクTθによって表すことができる。同様に、第2及び第4の静電電極222、224に印加する制御用直流電圧±V2A、±V2B及び±V4A、±V4Bの変化量ΔV2A、ΔV2B及びΔV4A、ΔV4Bについて考える。4つの変化量ΔV2A、ΔV2B及びΔV4A、ΔV4Bの各々は3つの無次元化された力Fy、Fz及びトルクTφによって表すことができる。
【0192】
従って4つの変化量ΔV1A、ΔV1B及びΔV3A、ΔV3BとΔV2A、ΔV2B及びΔV4A、ΔV4Bを求めるために更にもう1つの条件を設ける。
【0193】
【数21】
ΔV1A+ΔV1B+ΔV3A+ΔV3B=0
ΔV2A+ΔV2B+ΔV4A+ΔV4B=0
【0194】
この第1の式はジャイロロータ20のXZ平面に沿った部分、即ち、第1及び第3の部分P1 、P3 における制御用直流電圧の変化量の和が0であることを表し、第2の式はジャイロロータ20のYZ平面に沿った部分、即ち、第2及び第4の部分P2 、P4 における制御用直流電圧の変化量の和が0であるということを表している。斯かる条件を設定することによって、ジャイロロータ20に不要な電荷が流れ込むことが防止され、同時に、8個の制御用直流電圧の変化量ΔV1A〜ΔV4Bの値を一意的に決めることができる。
【0195】
本例によると、無次元化された力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφと無次元化された直線変位ΔXN 、ΔYN 、ΔZN 及び回転変位ΔθN 、ΔφN によって制御用直流電圧の変化量ΔV1A〜ΔV4Bを演算する。
【0196】
図9に斯かる演算式の例を示す。斯かる演算式はマトリックスで表され、これをアクチュエータ補正マトリックス(ACTUATER COMPENSATING MATRIX)ACMと称する。
【0197】
【数22】
ΔV1A=V0 (A11・Fx+A12・Fz/2+A13・Tθ)
ΔV1B=V0 (A21・Fx+A22・Fz/2+A23・Tθ)
ΔV3A=V0 (A31・Fx+A32・Fz/2+A33・Tθ)
ΔV3B=V0 (A41・Fx+A42・Fz/2+A43・Tθ)
ΔV2A=V0 (B11・Fy+B12・Fz/2+B13・Tφ)
ΔV2B=V0 (B21・Fy+B22・Fz/2+B23・Tφ)
ΔV4A=V0 (B31・Fy+B32・Fz/2+B33・Tφ)
ΔV4B=V0 (B41・Fy+B42・Fz/2+B43・Tφ)
【0198】
この式の右辺の無次元化された力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφの係数はアクチュエータ補正マトリックスの要素である。
【0199】
【数23】
A11=(1/4)(1−2ΔZ−2Δθ)
A12=(1/4)(1−ΔX−Δθ)
A13=(1/4)(1−ΔX−ΔZ)
A21=(1/4)(1+2ΔZ+2Δθ)
A22=(−1/4)(1−ΔX+Δθ)
A23=(−1/4)(1−ΔX+ΔZ)
A31=(−1/4)(1−2ΔZ+2Δθ)
A32=(1/4)(1+ΔX+Δθ)
A33=(−1/4)(1+ΔX−ΔZ)
A41=(−1/4)(1+2ΔZ−2Δθ)
A42=(−1/4)(1+ΔX−Δθ)
A43=(1/4)(1+ΔX+ΔZ)
【0200】
【数24】
B11=(1/4)(1−2ΔZ−2Δφ)
B12=(1/4)(1−ΔY−Δφ)
B13=(1/4)(1−ΔY−ΔZ)
B21=(1/4)(1+2ΔZ+2Δφ)
B22=(−1/4)(1−ΔY+Δφ)
B23=(−1/4)(1−ΔY+ΔZ)
B31=(−1/4)(1−2ΔZ+2Δφ)
B32=(1/4)(1+ΔY+Δφ)
B33=(−1/4)(1+ΔY−ΔZ)
B41=(−1/4)(1+2ΔZ−2Δφ)
B42=(−1/4)(1+ΔY−Δφ)
B43=(1/4)(1+ΔY+ΔZ)
【0201】
制御電圧発生器144は4対の静電支持電極221、231、222、232、223、233、224、234に供給する制御用直流電圧V1A、V1B、V2A、V2B、V3A、V3B、V4A、V4Bを発生する。斯かる制御用直流電圧は次の式によって表される。
【0202】
【数25】
V1A=V0 +ΔV1A
V1B=V0 +ΔV1B
V2A=V0 +ΔV2A
V2B=V0 +ΔV2B
V3A=V0 +ΔV3A
V3B=V0 +ΔV3B
V4A=V0 +ΔV4A
V4B=V0 +ΔV4B
【0203】
V0 は基準電圧である。V1A及びV1Bは第1の対の静電支持電極221、231に印加する制御用直流電圧、V2A及びV2Bは第2の対の静電支持電極222、232に印加する制御用直流電圧、V3A及びV3Bは第3の対の静電支持電極223、233に印加する制御用直流電圧、V4A及びV4Bは第4の対の静電支持電極224、234に印加する制御用直流電圧である。
【0204】
次にジャイロロータ20に実際に作用する力を求める。従来例で説明した数1の式〜数9の式及びそれに対応した説明が本発明でも成り立つ。ジャイロロータ20の4つの部分P1 、P2 、P3 、P4 に作用する静電力はそれに対応する4対の静電支持電極221、231、222、232、223、233、224、234に印加される制御用直流電圧V1A、V1B、V2A、V2B、V3A、V3B、V4A、V4Bの差に比例する。
【0205】
【数26】
Fz1=KZ (V1A−V1B)
Fz2=KZ (V2A−V2B)
Fz3=KZ (V3A−V3B)
Fz4=KZ (V4A−V4B)
【0206】
KZ はジャイロケース21の静電支持電極とジャイロロータ20の電極部によって構成されるコンデンサの形状によって決まる定数である。ジャイロロータ20に作用する静電力の合力は4つの部分P1 、P2 、P3 、P4 に作用する静電力の和である。
【0207】
【数27】
Fz=KZ (V1A−V1B+V2A−V2B+V3A−V3B+V4A−V4B)
【0208】
上述のようにジャイロケース21の静電支持電極はジャイロロータ20の電極部より半径方向外方又は内方に偏倚しており、それによってジャイロロータ20はX軸方向及びY軸方向の力を受けている。ジャイロロータ20の第1及び第3の部分P1 、P3 に作用するX軸方向の力は次のように表される。
【0209】
【数28】
Fx1=KX (V1A+V1B)
Fx2=KX (V3A+V3B)
【0210】
ジャイロロータ20の作用するX軸方向の力は第1及び第3の部分P1 、P3 に作用する力の差である。
【0211】
【数29】
Fx=Fx1−Fx2=KX (V1A+V1B−V3A−V3B)
【0212】
同様に、ジャイロロータ20に作用するY軸方向の力は第2及び第4の部分P2 、P4 に作用する力の差である。
【0213】
【数30】
Fy=Fy1−Fy2=KY (V2A+V2B−V4A−V4B)
【0214】
上述の議論はジャイロロータ20の第1及び第3の部分P1 、P3 に互いに同一方向の静電力Fz1、Fz3が作用した場合及び第2及び第4の部分P2 、P4 に互いに同一方向の静電力Fz2、Fz4が作用した場合である。ジャイロロータ20の第1及び第3の部分P1 、P3 に互いに反対方向の静電力Fz1、Fz3が作用した場合にはジャイロロータ20をY軸周りに回転させるトルクTθが生成される。同様に、ジャイロロータ20の第2及び第4の部分P2 、P4 に互いに反対方向の静電力Fz2、Fz4が作用するとジャイロロータ20はX軸周りに回転させるトルクTφが生成される。斯かるトルクTθ、Tφは次の式によって表される。
【0215】
【数31】
Tθ=(Fz3−Fz1)r
Tφ=(Fz4−Fz2)r
【0216】
図10を参照して本発明によるジャイロ加速度出力演算部145の構成及び動作を説明する。本例のジャイロ加速度出力演算部145は先ず数19の式及び数20の式と同一の演算をし、それによってジャイロロータに印加すべき力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφを求める。斯かる演算は乗算器145−1〜145−5及び加算器145−11によってなされる。それによって得られた力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφは無次元量である。
【0217】
次にジャイロロータに印加すべき力Fx、Fy、Fz及びトルクTθ、Tφより外力加速度αX 、αY 、αZ 及び角速度dθ/dt、dφ/dtを求める。外力加速度及び角速度は次のように表される。
【0218】
【数32】
αX =Fx/mg
αY =Fy/mg
αZ =Fz/mg
dθ/dt=Tφ/H
dφ/dt=Tθ/H
【0219】
mはジャイロロータ20の質量、gは重力加速度、Hはジャイロロータ20のスピン角運動量である。斯かる演算は乗算器145−6〜145−10によってなされる。数32の式の右辺はジャイロロータ20の変位がゼロとなるようにジャイロロータ20に印加すべき力又はトルクであり、数27の式〜数31の式によって表される。左辺はジャイロ装置に実際に作用した外力加速度又は角速度である。
【0220】
ジャイロ装置にY軸周りの外力角速度dθ/dtが作用するとジャイロケース21はY軸周りに回転変位する。トルクTφによってジャイロロータ20をX軸周りにトルキングする。ジャイロロータ20はプリセッション運動によってY軸周りに回転変位し、ジャイロケース21に対するY軸周りの回転変位はゼロとなる。ジャイロ装置にX軸周りの外力角速度dφ/dtが作用した場合には、トルクTθによってジャイロロータ20をY軸周りにトルキングする。ジャイロロータ20はプリセッション運動によってX軸周りに回転し、ジャイロケース21に対するジャイロロータ20のX軸周りの回転変位はゼロとなる。
【0221】
図11を参照して本発明のジャイロ装置のジャイロロータ20の製造方法について説明する。導電性材料よりなる薄い板材又は円盤状部材を用意し、図11Aに示すように上面及び下面に深さδの円形凹部を形成し、斯かる円形凹部にそれぞれ溝200a、200b、200c、200d、200e、200f、200a’、200b’、200c’、200d’、200e’、200f’を形成して電極部を形成する。同時にその外側に切断用の環状溝200g、200g’を形成する。
【0222】
図1を参照して説明したように、ゲッタ部材33を収納するための凹部23B及び斯かる凹部23Bと空隙部26を接続するための通路23Cを形成する。
【0223】
最初に形成する円形凹部の深さδはジャイロロータ20の電極部とそれに対応するジャイロケース21の静電支持電極の間の間隙δに相当する。斯かる深さは数μm、例えばδ=2〜3μmであってよい。溝200a、200b、200c、200d、200e、200f、200a’、200b’、200c’、200d’、200e’、200f’の深さは適当な大きさであってよい。
【0224】
次に切断用の環状溝200g、200g’を更に削り、中央の円盤状部分を分離する。斯かる分離された円盤状部分がジャイロロータ20であり、残された外側の部分がスペーサ23である。
【0225】
本例によるとジャイロロータ20とスペーサ23は同一材料より同時に製造することができる。ジャイロロータ20とスペーサ23はリソグラフィ技術等、例えばエッチングによって製造されてよい。
【0226】
次にジャイロケース21の上側底部材22及び下側底部材24の製造方法を説明する。先ず絶縁材料、例えばガラスよりなる板材又は円盤状部材を用意する。斯かる板材又は円盤状部材の内面に静電支持電極を形成する。静電支持電極は適当な薄膜生成技術によって金属薄膜を形成することによって製造されてよい。薄膜生成技術には蒸着、イオンプレーティング、フォトファブリケーション等が含まれる。尚、斯かる板材又は円盤状部材にはスルーホールが形成されその内面には同様な金属薄膜が形成される。それによって静電支持電極と外部の電源又は回路との間にスルーホール接続が形成される。スルーホール接続が形成された後に、斯かるスルーホールは密閉される。
【0227】
こうして製造された上側底部材22及び下側底部材24の間にサンドイッチ状にジャイロロータ20とスペーサ23が挿入される。また凹部23Bにはゲッタ部材33が配置される。次に上側底部材22及び下側底部材24とスペーサ23が適当な接合方法によって接合される。好ましくは陽極接合によって両者は接合される。斯かる接合は真空雰囲気にてなされてよい。
【0228】
以上本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限ることなく本発明の要旨を逸脱することなく他の種々の構成が採りうることは当業者にとって容易に理解されよう。
【0229】
【発明の効果】
本発明によれば、静電支持電極には制御用直流電圧に重畳して変位検出用交流電圧が付与されており、変位検出用回路の出力電圧よりジャイロロータ20の全ての変位、即ち、XYZ軸方向の直線変位及びY軸及びX軸周りの回転変位を検出することができる利点がある。
【0230】
本発明によれば、従来の静電ジャイロのように発光素子及び受光素子を含む光学式変位検出装置を使用しないから、ジャイロ装置を小型化することができる利点がある。
【0231】
本発明によれば、変位検出系によって検出されたジャイロロータ20の変位を制御用直流電圧にフィードバックするフィードバックループを有するから、ジャイロロータ20の位置をアクティブ式に制御してその変位をゼロにすることができる利点がある。
【0232】
本発明によれば、フィードバックループを有するアクティブ式制御によってジャイロロータ20の位置を制御するから、従来のパッシブ式の静電ジャイロのようにコイル及びトランスを使用しないから、装置を小型化することができる利点がある。
【0233】
本発明によれば、変位検出系によって検出されたジャイロロータ20の変位を制御用直流電圧にフィードバックするフィードバックループはアクチュエータ補正マトリックス(ACM)を有するから、ジャイロロータ20の位置を正確に且つ容易に制御することができる利点がある。特に、起動時にジャイロロータ20を所定の位置に浮動的に支持させることが容易となる。
【0234】
本発明によれば、変位検出系によって検出されたジャイロロータ20の変位を制御用直流電圧にフィードバックするフィードバックループはアクチュエータ補正マトリックス(ACM)を有するから、ジャイロロータ20の位置を正確に且つ容易に制御することができる利点がある。
【0235】
本発明によれば、ジャイロロータ20とスペーサ23はリソグラフィ技術等によって1つの導電性材料の薄い板材より同時に製造することができるから、製造費が安く且つ高い精度のジャイロ装置を得ることができる利点がある。
【0236】
本発明によれば、ジャイロロータ20とスペーサ23は単結晶金属例えばシリコン(珪素)を用いることができるから、温度変化や経年変化の影響がない高精度のジャイロ装置を提供することができる利点がある。
【0237】
本発明によれば、スペーサ23と上側底部材21及び下側底部材24を陽極接合によって接合するから、真空中でジャイロロータ20を内部に封入した状態でジャイロケース21を製造することができる利点がある。
【0238】
本発明によれば、上側底部材21及び下側底部材24の内面に配置された4対の静電支持電極の薄膜生成技術によって金属薄膜状の電極を形成することによって製造されるから、上側底部材21及び下側底部材24において互いに同心的に且つ同一形状にて形成することができる利点がある。
【0239】
本発明によれば、上側底部材21及び下側底部材24の内面に形成された4対の静電支持電極の各々は1対の櫛形部を含み、斯かる櫛形部は互い違いに他を挟むように配置されているから、ジャイロロータ20の電極部とジャイロケース21の静電支持電極との間に蓄えられる電気的エネルギ(E=CV2 )の変化率を大きくすることができる利点がある。
【0240】
本発明によれば、静電支持電極の各1対の櫛形部に絶対値が等しく符号が反対の制御用直流電圧±V1A〜±V4Bを印加するため、ジャイロロータ20の電位を常にゼロにすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジャイロ装置の例を示す図である。
【図2】本発明のジャイロ装置の制御ループの構成例を示す図である。
【図3】本発明のジャイロ装置の拘束制御系を説明するための説明図である。
【図4】本発明のジャイロ装置の機構制御回路の構成例を示す図である。
【図5】本発明のジャイロ装置の制御演算部の構成例及びジャイロ加速度出力演算部を示す図である。
【図6】本発明のジャイロ装置の変位演算部の構成例を示す図である。
【図7】本発明のジャイロ装置のPID演算部の構成例を示す図である。
【図8】本発明のジャイロ装置の制御電圧演算部の動作を説明するための説明図である。
【図9】本発明のジャイロ装置の制御電圧演算部に使用されるACM(アクチュエータ補正マトリックス)の例を説明するための図である。
【図10】本発明のジャイロ装置のジャイロ加速度出力演算部の動作を説明するための図である。
【図11】本発明のジャイロ装置のジャイロロータとスペーサの製造方法を説明するための説明図である。
【図12】従来のジャイロ装置の例を示す図である。
【図13】従来のジャイロ装置の拘束制御系とロータ駆動系の動作を説明するための説明図である。
【図14】従来のジャイロ装置のZ制御系の動作を説明するための説明図である。
【図15】従来のジャイロ装置のXY制御系の構成例を示す図である。
【図16】従来のジャイロ装置のXジャイロ演算部とX加速度演算部の例を示す図である。
【図17】従来のジャイロ装置のYジャイロ演算部とY加速度演算部の例を示す図である。
【図18】従来のジャイロ装置のZ加速度演算部の例を示す図である。
【符号の説明】
20 ジャイロロータ
20A 孔
20B 中心部
20C 電極部
21 ジャイロケース
22 上側底部材
22A、22A’ 孔
23 スペーサ
23A 内壁
23B 凹部
23C 通路
24 下側底部材
25 ねじ
26 空洞部
27 発光素子
28 受光素子
29−1、29−2、29−3、29−4電極
29’−1、29’−2、29’−3、29’−4 電極
30−1、30−2、30−3、30−4 コイル
30’−1、30’−2、30’−3、30’−4 コイル
32 キャップ
33 ゲッタ部材
34 パイプ
41、42、43、44 トランス
50 X制御系
50−1 交流電源
50−2 演算部
50−3、50−4 乗算器
51 Xジャイロ演算部
51−1、51−2、51−3、51−4 分圧部
51−5、51−6、51−7、51−8 整流部
51−9、51−10、51−11 減算部
51−12 演算部
53 X加速度演算部
53−1、53−2 加算部
53−3 減算部
60 Y制御系
60−1 交流電源
60−2 演算部
60−3、60−4 乗算器
61 Yジャイロ演算部
61−1、61−2、61−3、61−4 分圧部
61−5、61−6、61−7、61−8 整流部
61−9、61−10、61−11 減算部
61−12 演算部
63 Y加速度演算部
63−1、63−2 加算部
63−3 減算部
73 Z加速度演算部
73−1、73−2 加算部
73−3 減算部
100 ロータ駆動系
101 駆動用電源
121、122、123、124 機構制御回路
127、128 放電兼用ストッパ
131、132、133、134 機構制御回路
140 制御演算部
141 変位演算部
142 PID演算部
143 制御電圧演算部
144 制御電圧発生器
200A、200B、200C、200D、200E、200A’、200B’、200C’、200D’、200E’ 電極部
200a、200b、200c、200d、200e、200f、200g、200a’、200b’、200c’、200d’、200e’、200f’、200g 溝
221、222、223、224、225 電極
231、232、233、234、235 電極
Claims (18)
- 中心軸線方向に沿ってZ軸、それに直交するX軸及びY軸を有するジャイロケースと、
該ジャイロケースの内部に静電支持力によって非接触的に支持され上記中心軸線方向のスピン軸線を有する円盤状のジャイロロータと、
上記ジャイロロータの両面に円周方向に沿って形成された電極部と、
上記ジャイロロータの両面の電極部にそれぞれ対応して且つそれより隔置され、円周方向に互いに等角度の中心角度にて隔置された少なくとも3対の静電支持電極と、
上記ジャイロロータを上記スピン軸線周りに高速回転させるためのロータ駆動系と、を有する加速度検出型のジャイロ装置において、
上記少なくとも3対の静電支持電極の各々はそれに対応する上記ジャイロロータの電極部に対して半径方向外方又は半径方向内方に偏倚して配置されていることと、
上記静電支持力を生成するための制御用直流電圧と上記ジャイロロータの変位を検出するための変位検出用交流電圧とを重畳して上記少なくとも3対の静電支持電極に印加するための機構制御回路と、
該機構制御回路より出力された上記ジャイロロータのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の直線変位とY軸周り及びX軸周りの回転変位を指示する変位検出用信号を入力して上記ジャイロロータの直線変位及び回転変位がゼロとなるように上記制御用直流電圧の修正量を演算し、それを上記機構制御回路にフィードバックする制御演算部と、
該制御演算部の出力信号を入力してジャイロ出力を演算するジャイロ加速度出力演算部と、
を有することを特徴とするジャイロ装置。 - 請求項1記載のジャイロ装置において、上記制御演算部は上記ジャイロロータの直線変位及び回転変位を演算する変位演算部と上記ジャイロロータに印加すべき力及び回転モーメントを演算するPID演算部と上記制御用直流電圧の修正量を演算する制御電圧演算部とを有することを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項1又は2記載のジャイロ装置において、上記ジャイロ加速度出力演算部は上記制御演算部のPID演算部の出力信号を入力してジャイロ出力を演算するように構成されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項1、2又は3記載のジャイロ装置において、上記静電支持電極は4対の静電支持電極を含み、該4対の静電支持電極は円周方向に互いに90度の中心角度にて隔置されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項4記載のジャイロ装置において、
上記4対の静電支持電極の第1及び第3の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV1A、ΔV1B及びΔV3A、ΔV3B、上記第2及び第4の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV2A、ΔV2B及びΔV4A、ΔV4Bとすると次の関係を満たすことを特徴とするジャイロ装置。
ΔV1A+ΔV1B+ΔV3A+ΔV3B=0
ΔV2A+ΔV2B+ΔV4A+ΔV4B=0 - 請求項4又は5記載のジャイロ装置において、
上記第1及び第3の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV1A、ΔV1B及びΔV3A、ΔV3B、上記第2及び第4の対の静電支持電極に印加される上記制御用直流電圧の修正量をΔV2A、ΔV2B及びΔV4A、ΔV4Bとすると次の関係を満たすことを特徴とするジャイロ装置。
ΔV1A=V0 (A11・Fx+A12・Fz/2+A13・Tθ)
ΔV1B=V0 (A21・Fx+A22・Fz/2+A23・Tθ)
ΔV3A=V0 (A31・Fx+A32・Fz/2+A33・Tθ)
ΔV3B=V0 (A41・Fx+A42・Fz/2+A43・Tθ)
ΔV2A=V0 (B11・Fy+B12・Fz/2+B13・Tφ)
ΔV2B=V0 (B21・Fy+B22・Fz/2+B23・Tφ)
ΔV4A=V0 (B31・Fy+B32・Fz/2+B33・Tφ)
ΔV4B=V0 (B41・Fy+B42・Fz/2+B43・Tφ)
但し、Fx、Fy、Fzはジャイロロータに付与すべき力の無次元化量、Tθ、Tφはジャイロロータに付与すべきトルクの無次元化量、Fx、Fy、Fz及びTθ、Tφの係数はアクチュエータ補正マトリックスの要素であり次の式によって表される。
A11=(1/4)(1−2ΔZ−2Δθ)
A12=(1/4)(1−ΔX−Δθ)
A13=(1/4)(1−ΔX−ΔZ)
A21=(1/4)(1+2ΔZ+2Δθ)
A22=(−1/4)(1−ΔX+Δθ)
A23=(−1/4)(1−ΔX+ΔZ)
A31=(−1/4)(1−2ΔZ+2Δθ)
A32=(1/4)(1+ΔX+Δθ)
A33=(−1/4)(1+ΔX−ΔZ)
A41=(−1/4)(1+2ΔZ−2Δθ)
A42=(−1/4)(1+ΔX−Δθ)
A43=(1/4)(1+ΔX+ΔZ)
B11=(1/4)(1−2ΔZ−2Δφ)
B12=(1/4)(1−ΔY−Δφ)
B13=(1/4)(1−ΔY−ΔZ)
B21=(1/4)(1+2ΔZ+2Δφ)
B22=(−1/4)(1−ΔY+Δφ)
B23=(−1/4)(1−ΔY+ΔZ)
B31=(−1/4)(1−2ΔZ+2Δφ)
B32=(1/4)(1+ΔY+Δφ)
B33=(−1/4)(1+ΔY−ΔZ)
B41=(−1/4)(1+2ΔZ−2Δφ)
B42=(−1/4)(1+ΔY−Δφ)
B43=(1/4)(1+ΔY+ΔZ)
ここに、ΔX、ΔY、ΔZはジャイロロータのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の変位の無次元化量、Δθ、ΔφはジャイロロータのY軸周り及びX軸周りの回転変位の無次元化量である。 - 請求項1、2、3、4、5又は6記載のジャイロ装置において、上記静電支持電極の各々は、1対の互いに隔置された櫛形部を含み、該櫛形部の各々は円周方向に延在する複数の円周部と該円周部を接続する接続部とを有し、上記1対の櫛形部の円周部は互い違いに他を挟むように配置されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項7記載のジャイロ装置において、
上記各静電支持電極の第1及び第2の櫛形部に印加される上記制御用直流電圧は大きさが同じで互いに極性が異なることを特徴とするジャイロ装置。 - 請求項7又は8記載のジャイロ装置において、
上記ジャイロロータの電極部は上記静電支持電極の櫛形部の円周部の各々に対応した複数の環状部を含み、上記静電支持電極の櫛形部の円周部の各々はそれに対応する上記ジャイロロータの電極部の環状部の各々に対して半径方向外方又は内方に偏倚して配置され、それによって上記ジャイロロータの上記中心軸線に対するX軸方向及びY軸方向の変位がゼロとなるような力を生成することを特徴とするジャイロ装置。 - 請求項1〜9のいずれか1項記載のジャイロ装置において、上記ジャイロロータは導電性材料よりなり上記電極部は上記ジャイロロータの両面に形成された突起部として構成されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項10記載のジャイロ装置において、上記ジャイロロータは単結晶の珪素よりなることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載のジャイロ装置において、上記ジャイロケースは絶縁材料よりなる上側底部材及び下側底部材を含み、上記静電支持電極は上記上側底部材及び下側底部材の内面に装着された金属薄膜として構成されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項12記載のジャイロ装置において、
上記ジャイロケースの上側底部材及び下側底部材はガラスよりなることを特徴とするジャイロ装置。 - 請求項1〜13のいずれか1項記載のジャイロ装置において、上記静電支持電極は蒸着、イオンプレーティング、フォトファブリケーションを含む薄膜生成技術によって形成されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項12、13又は14項記載のジャイロ装置において、上記ジャイロケースは上記上側底部材及び下側底部材の間に配置されたスペーサを含み、該スペーサは上記上側底部材及び下側底部材と陽極接合によって接続されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項1〜15のいずれか1項記載のジャイロ装置において、上記ジャイロケースには放電兼用のストッパが装着されており、該ストッパは上記ジャイロロータの変位を制限し且つ上記ジャイロロータに蓄積した静電気を外部に放電させる機能を有することを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項1〜16のいずれか1項記載のジャイロ装置において、上記ジャイロケースにはゲッタ部材を収容する凹部が形成され、該凹部は上記ジャイロケースの内部と通路によって接続されていることを特徴とするジャイロ装置。
- 請求項1〜17のいずれか1項記載のジャイロ装置において、上記ロータ駆動系は上記ジャイロロータの両面に設けられたロータ駆動用電極部と該ロータ駆動用電極部に対応して且つそれより隔置されたロータ駆動用電極と該ロータ駆動用電極にロータ駆動用交流電圧を印加するためのロータ駆動用交流電圧回路とを有し、上記ロータ駆動用電極部は円周方向に1列に配置された複数の互いに隔置された電極部を含み、上記ロータ駆動用電極は円周方向に1列に配置された複数の互いに隔置された電極を含むことを特徴とするジャイロ装置。
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