JP3576743B2 - 発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は発光素子、特に発光ダイオード、半導体レーザ等の発光素子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より発光素子の実用的な材料としては、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化ガリウムアルミニウム(GaAlN)等の窒化ガリウム系化合物半導体が知られている。
【0003】
これらの材料を用いて製造された発光デバイスの一例として以下、図3および4を用いて従来の発光ダイオードの構造及びその製造方法、問題点について説明する。
【0004】
図3(a)はエピタキシャル成長によって複数の成長層を形成した異種ヘテロ接合を有する発光ダイオードの断面図である。また図3(b)は図3(a)に示した発光ダイオードにおけるN型不純物のプロファイルを示しており、その横軸はN型不純物の不純物濃度を示し、その縦軸は図3(a)に対応し、基板の下面からの距離を示している。
【0005】
図3(a)に示すように従来の発光ダイオードは、サファイア、SiC等よりなる基板111表面上に、非結晶のGaNよりなるバッファ層112(第一GaN層)、単結晶のGaNよりなるスペーサ層113(第二GaN層)、高濃度にN型不純物がドープされた高濃度N型層114(第三GaN層)、InGaNよりなる活性層115(InGaN層)、P型不純物がドープされたAlGaN層116、高濃度にP型不純物がドープされたGaNよりなるコンタクト層(第四GaN層)117の各成長層が積層に構成されている。
【0006】
N型不純物の不純物濃度は、第三GaN層においては、1〜5×1018atoms ・cm−3程度であり、その他の層においてはN型不純物の不純物濃度はバックグラウンドレベルである1×1015atoms ・cm−3程度である。またこれらの各成長層は、導入する気体の種類及び温度を変化させることによりMO−CVD(Matal Organic−Chemical Vapour Deposition)法等の気相成長法により形成されている。上記の構成において第三GaN層114は、摂氏1000〜1100度程度の反応室内にて、キャリアガスとして水素、原料ガスとしてアンモニア(NH3 )及びTMGa(トリメチルガリウム)を導入することにより第二GaN層113を形成した後、これに連続して上記のガスを導入したままSiH4 (シランガス)をさらに供給することにより、N型不純物を高濃度にドープして形成する。尚、第二GaN層の膜厚は0.01μm以上、第三GaN層の膜厚は0.1μmで形成するのが望ましい。
【0007】
ところで第二GaN層113は本来、機能的に必要な層ではない。すなわち機能的にはバッファ層として形成する第一GaN層上に、N型不純物が高濃度にドープされた第三GaN層が形成されていれば、発光素子として所望の動作を果たす。しかしながら非結晶で形成されるGaN層表面上に、高濃度の単結晶GaN層を形成しようとする場合には、例えば図4(a)、(b)に示すように、第一GaN層112表面上には、ピンホール211が生じたり、ドーパンドを核としたGaN層の異常成長212が生じる場合がある。従って従来の発光ダイオードにおいては、第一GaN層112表面上には単結晶の第二GaN層113をスペーサ層として形成し、続いてN型不純物が高濃度にドープされた第四GaN層114を形成している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の窒化ガリウム系化合物半導体を用いた半導体デバイスでは、発光層として機能する活性層下の高濃度N型層を形成する際には、その結晶性を向上させるために、予めその下面にスペーサ層としてアンドープの単結晶GaN層を形成している。これらの各成長層の形成にはMO−CVD法等の気相成長法が用いられるが、成長速度が遅く、本来、機能的に必要の無い層を形成するために、スループットが低下することとなる。また機能的に必要の無い層を形成することにより、発光素子の全体の膜厚も増加することになる。膜厚が厚くなると、格子不接合によって、各成長層の歪量が増加することにもなり、機能的に必要な成長層の劣化を招くことにもなる。
【0009】
従って本発明は上記のような問題点を踏まえ、窒化ガリウム系化合物半導体を用いた発光デバイスを製造する際のスループットの向上と品質を向上できる発光素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる発光素子によれば、基板と、第一のN型不純物濃度から第二のN型不純物濃度まで増加して前記基板上に形成された第一窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第二のN型不純物濃度を有し前記第一窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された第二窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第二窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成されたP型窒化ガリウム系半導体層とを有する。
【0011】
第一窒化ガリウム系化合物半導体層のN型不純物濃度の変化は膜厚に応じて指数関数的、直線的、飽和曲線的、ステップ状のいずれかの態様で変化することが好ましい。
【0012】
第一及び第二のN型不純物濃度は、1×1013atoms ・cm−3乃至1×1023atoms ・cm−3の範囲内にあり、また、第一窒化ガリウム系化合物半導体層の膜厚は0.01乃至2.00μmの範囲内であると良い。
【0013】
また、本発明にかかる発光素子は、基板と、前記基板表面上に形成され第一の不純物濃度を有する第一窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第一窒化ガリウム系化合物半導体層表面上に形成され、膜厚に応じて前記第一の不純物濃度から第二の不純物濃度まで増加する第二窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第二窒化ガリウム系化合物半導体層表面上に形成され、前記第二の不純物濃度を有する第三窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第三窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成されたP型窒化ガリウム系化合物半導体層とを有することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明にかかる発光素子は、基板と、第一のP型不純物濃度から第二のP型不純物濃度まで増加して前記第二のP型不純物濃度まで増加して前記基板上に形成された第一のP型窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第二のP型不純物の不純物濃度を有し前記第一P型窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された第二P型窒化ガリウム系化合物半導体層とを有することを特徴とする。
【0015】
前記第一P型窒化ガリウム系化合物半導体層のP型不純物濃度は膜厚に応じて直線的、指数関数的、飽和曲線的、ステップ状に変化していることが好ましい。
前記第一及び第二のP型不純物濃度は、1×1013〜1×1023の範囲内にあり、前記第一P型窒化ガリウム系化合物半導体層の膜厚は、0.01乃至2.00μmの範囲であると良い。
【0016】
以上の構成により、発光素子の製造にかかるスループットを向上させることができ、発光素子における格子不接合による歪量の増加を防ぐことができ、成長層の劣化を防ぐことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
はじめに図1を参照して本発明の発光デバイスの構造について説明する。図1(a)はエピタキシャル成長によって複数の成長層を形成したヘテロ接合を有する発光ダイオードの断面図である。図1(b)は図1(a)に示した発光ダイオードにおけるN型不純物のプロファイルを示しており、その横軸はN型不純物の不純物濃度を示し、その横軸は図1(a)に対応して、基板の下面からの距離を示している。
【0018】
本発明の発光ダイオードではサファイアよりなる基板11表面上に、膜厚0.01μm〜2.00μm程度の非結晶のGaNよりなるバッファ層12(第一GaN層)、膜厚0.01μm〜0.05μm程度、N型不純物の不純物濃度がバックグラウンドレベルから所望の不純物濃度、例えば1×1013atoms ・cm−3程度から1×1023atoms ・cm−3まで増加するN型変調ドープ層13(便宜上、これを第二GaN層と称する。)、膜厚0.01μm以上、N型不純物の不純物濃度が所望の不純物濃度、例えば1×1023atoms ・cm−3程度の高濃度N型層14(第三GaN層)、膜厚0.01μm〜0.03μmのInGaNよりなる活性層15(InGaN層)、膜厚0.1μm〜0.3μmのP型不純物のドープされたAlGaN層16、膜厚0.05μm以上の高濃度にP型不純物がドープされたGaNよりなるコンタクト層(第四GaN層)17よりなる積層が形成されている。
【0019】
尚、上記に示した各膜の膜厚、不純物濃度は上記の数値のみに限定されることはなく、特に第三GaN層の不純物濃度は1×1013atoms ・cm−3程度以上から1×1023atoms ・cm−3以下の範囲であればよく、これと共に第三GaN層の不純物濃度は、第一GaN層の不純物濃度から第三GaN層の不純物濃度に変化していればよい。
【0020】
ここで従来の発光デバイスと異なる構成は、従来形成していたスペーサ層(第二GaN層)の代わりに、N型変調ドープ層13を形成し、さらにこれに連続して高濃度N型層14を形成した点にある。すなわち本発明によれば、本来機能的に必要の無い層を形成すること無く、バッファ層表面上より動作に必要なN型層をその表面上より徐々にN型不純物の不純物濃度を上昇するように形成する。
【0021】
N型不純物の不純物濃度は、第三GaN層において1×1018atoms ・cm−3程度であり、第二GaN層では基板側でバックグラウンドレベル、第三GaN層側では不純物濃度は1×1018atoms ・cm−3程度となるように増加している。このN型不純物の不純物濃度の変化については種々の態様が考えられる。これらの態様について図2を参照して説明する。尚、図2において横軸は主に第二GaN層基板側からの距離(図中14で示す範囲。)、縦軸は不純物濃度を示している。
【0022】
不純物濃度の変化は曲線(A)で示すように基板側で緩やかに、第三GaN層側で大きく変化するような指数関数的な変化により形成するのが望ましい。これは第一GaN層表面上に成長するN型変調ドープ層が、ピンホールを発生しない有限の厚さを必要とし、このピンホールを発生しない程度の膜厚まで形成されたN型変調ドープ層は、その後、徐々に不純物濃度を上昇させても、安定して結晶成長するからである。
実施例2
図2の線(B)を参照して本発明の第二の実施例について説明する。線(B)で示されるようにN型変調ドープ層が、基板側から直線的に増加して第三N型GaN層の不純物濃度まで形成している。この様な変調ドープ方法を行うことで、成長レートやドーピング効率の変動を少なくすることが可能となる。
【0023】
例えば、ドーピングガスを供給する際に生じるガス供給系・ガス種の変化が、基板に到達する直前、或いは基板上の雰囲気ガスを冷却する等の微少な揺らぎを発生する。ここで、ドーピングガスを線形に変化させると、温度制御が追いつくことで成長温度が一定に保たれる。よって、温度に起因する成長レートや、ドーピング効率の変動が減少する。
実施例3
図2の線(C)を参照して本発明の第三の実施例について説明する。線(C)で示されるように、N型変調ドープ層を、基板側からステップ状に増加して第三N型GaN層の不純物濃度まで形成している。この様な変調ドープを行うと、成長表面の復元をしながら成長することになるので比較的短成長時間、或いは比較的薄層とした変調ドープ層上に高濃度にドーピングしたN層を形成することが可能となる。
【0024】
また、結晶の回復を図りながら成長するために、成長表面の平坦性が良い。この効果を実現するために極端な場合には周期的にアンドープ層を挟んでもよい。
【0025】
更に、このステップは程度によるが1段でもその効果は得られる。
実施例4
図2の曲線(D)を参照して本発明の第四の実施例について説明する。線(D)で示されるようにN型変調ドープ層を、基板側から飽和曲線的に増加するように形成する。この様な変調ドープ層を形成すると、変調ドープ層中の低濃度領域を極小に設定できる。このため、全体の成長厚みを減らして成長時間の短縮が可能となる。よって量産を行うにあたってスループットの高い工程を形成できる。
実施例5
図5を参照しながら本発明の第五の実施例について説明する。図5(a)は、本実施例を用いて形成した窒化ガリウム系化合物半導体を素子化したものの断面図である。図5(b)は図5(a)の素子を上部からみた図(上面図)である。図中の51,52で現した部分はそれぞれn側電極、p側電極である。これまで述べてきた実施例1〜4の手法を用いて結晶成長したウェーハを用いた。これに、パターニングを施し、RIE(reactive ion etching)、RIBE(reactive ion beam etching)、CDE(chemical dry etching)等のドライエッチングを行った。エッチング後の表面53は、高濃度N型GaN層14の中で得ている。
【0026】
ここで、高濃度N型GaN層14の厚みは横方向に電流を流すために一定の規格(キャリア濃度と移動度とで決定される)値を必要とする。
【0027】
この高濃度N型GaN層14の表面53にN型電極を形成する。次いで、コンタクト層17の表面54にp型電極52を形成する。なお、これらp表面、n表面は、p/n界面を含めて絶縁膜や誘電体薄膜等で保持されている。この後、ダイシングおよびスクライビングにより素子形状に分離を行う。
【0028】
これら分離された素子はマウントされ、図7に示すように組立てが行われる。チップの電極パッドには図7(a)に示すボールボンディングあるいは図7(b)に示すウェッジボンディングが行われる。図7(a)のボールボンディングよりも図7(b)の様にウェッジボンディングを用いる方がボンディングパッドを小さくできるのでより好ましい。また、図7(c)の様にフリップチップマウントを行う方法もある。図7(d)に図7(b)のウェッジボンディングを適用した場合の上面図を示す。図7(d)から分かるように、ボールボンドを行う場合のパッド75より小さいパッド76となっている。これは、ボールボンディングを行う場合のパッドはボール径+αで100um〜120umが必要であるが、ウェッジの場合にはワイア径の25um〜50umで済むからである。図7(e)に、図7(c)のフリップチップマウントを適用した場合の上面図を示す。図7(e)から分かるように、ボール用パッド75と比較して、更にパッド77,78が縮小されている。これは、フリップチップマウントを行うための半田バンプの形成には数〜数十umのパッドで十分であるためである。また、電極は通常2個所(77或いは78の片側或いは両方)あれば十分であるが、図7(e)の様に固定のため4点全てを設ける方がより良い。これらの電極を接続した後、樹脂でモールドする等で固定し完成する。
実施例6
本発明の第六の実施例について、例としてこれまで述べてきた窒化ガリウム系化合物半導体を使って説明する。図2及び図6を参照しながら説明する。図6は本実施例を説明するために模式化したMO−CVD装置の断面図である。成長室51には、キャリアガス供給用の配管57、アンモニア等V族を供給する配管、TMG(トリメチルガリウム)等のIII 族原子を供給する配管58、n型ドーパント59を供給する配管56、及び、バックグラウンド補償ガス60(以下補償ガスと略)を供給する配管55が接続されており、成長に寄与するガスはここから供給される。そして、反応後、及び成長に寄与しなかった残ガスは排気54を通って排ガス処理装置へと排出される。この成長室の内部には、ヒータ52上に基板53が配置され、上述の成長ガスを供給することで窒化ガリウム系化合物半導体層を成長する。
【0029】
ところで、本発明の趣旨は、基板側から不純物濃度が増加して形成された成長層を有することである。よって、基板側のバックグラウンド不純物濃度を下げ、成長方向に増加させることで得られた図2の(A)〜(D)の不純物プロファイルも当然含まれる。
【0030】
以下に、図6の装置を用いてこの形成方法を説明する。装置内にキャリアガス、成長ガスの他に例えば総流量の1ppm以下(例えば1ppb程度)のO2等の補償ガス60を供給する。この補償ガスの供給量を下限から始めてバックグラウンドレベルまで減らす。または、補償ガスでバックグラウンドレベルを下げたまま、SiH4等のドーピングガスを例えば順次増加して供給する。これらの方法で、図2の(A)〜(D)の所望の不純物濃度プロファイルを持たせることが容易にできる。
実施例7
図8を参照しながら、本発明の第七の実施例について説明する。図8(a)はエピタキシャル成長によって複数の成長層を形成した異種ヘテロ接合を有する発光素子の断面図である。図8(b)は、図8(a)に対応した発光素子のp型不純物のプロファイルを示している。図中、横軸はp型不純物の不純物濃度を示し、縦軸は図8(a)に対応して基板からの距離を示している。
【0031】
なお異種ヘテロ接合としてはGaAs/Si・Inp/GaAs・GaN/Al2O3・GaN/Si・GaN/SiCのような種々のヘテロ接合を含む。
【0032】
本実施例の発光素子では、サファイアよりなる基板81表面上に膜厚0.01〜2.00um程度の非晶質GaNよりなるバッファ層82と、膜厚0.01〜0.5um程度で、Be、Mg、Ca等のp型不純物濃度がバックグラウンドレベルから所望の不純物濃度、例えば1×1013cm−3程度から1×1023cm−3程度まで増加するp型変調ドープ層84と、膜厚0.01μm以上でp型不純物の不純物濃度が所望の不純物濃度、例えば1×1018cm−3程度から1×1023cm−3程度の高濃度p型層85と、膜厚0.01〜0.03μm程度で、InGaNよりなる活性層86と、膜厚0.01〜2.0μm程度で、n型不純物濃度がドープされたAlGaN層87よりなる。
【0033】
なお、上記の膜厚、不純物濃度は実施例1で述べたのと同じ理由で上記数値のみに限定されるものでは無い。
【0034】
尚、各層の構成については上記の種類に限定されることはなく、各種の窒化ガリウム系化合物半導体を用いて形成することが可能である。例えば基板11はサファイアの他、SiC、GaAs、Si、また第一GaN層はInxAlyGa1−(x+y) N、また第二、第三GaNはAlxGa(1−x) N、またInGaN層はInxGa(1−x) N、またAlGaN層はAlxGa(1−x) N、また第四GaN層はInxAlyGa1−(x+y) N(上記の各x、yは、0または1である。)によりそれぞれ形成することができる。
【0035】
続いて図1における本発明の発光ダイオードの製造方法について説明する。
【0036】
はじめにサファイア基板11を反応室に載置し、摂氏500度〜600程度に加熱する。次にこの反応室内にキャリアガスとして水素、窒素あるいはこれらの混合ガス、原料ガスとしてアンモニア(NH3)及びTMGa(トリメチルガリウム)を導入することにより非結晶の第一GaN層12を形成する。次に反応室内の温度を1000度〜1100度程度に上昇させ、上記同様のガスを導入しさらに、これと共にN型不純物のドーピングのためSiH4(シランガス)を導入する。
【0037】
ここで成長させようとする膜はN型不純物の不純物濃度が徐々に増加するように形成するが、この制御はシランガスの流量を制御することにより容易に制御することができる。すなわちここでGaN層の成長と共に、シランガスの流量を指数関数的に増加させれば、それに対応して形成されるN型変調ドープ層の不純物濃度も指数関数的に増加させることができる。また不純物濃度を直線的に増加させて形成する場合には、シランガスの流量も直線的に、不純物濃度を飽和曲線的に増加させて形成する場合には、シランガスの流量も飽和曲線的に、また不純物濃度をステップ状に増加させて形成する場合には、シランガスの流量もステップ状に増加させればよい。
【0038】
尚、本発明での一例としてはシランガスの濃度を1ppm程度、流量を0〜200sccm程度まで変化させて形成することにより、第二GaN層の不純物濃度を所望の値に変化させて形成することができる。
【0039】
次に反応室内の温度を保ったまま、或いは若干低下させTMI(トリメチルインジウム)を導入することによりInGaN層を形成する。さらにTMAl(トリメチルアルミニウム)とCp2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を導入することによりP型不純物が導入されたAlGaN層を形成する。さらにTMGa(トリメチルガリウム)、NH3、Cp2Mgを導入することによりGaNコンタクト層をそれぞれ形成する。以上の工程により本発明の発光ダイオードの製造工程の一例が終了する。
【0040】
尚、上記の実施の形態においては主に発光ダイオードの構成及びその製造方法について示しているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、半導体レーザ等の発光デバイスについても本発明を適用できる。
【0041】
本発明によれば、従来の発光デバイスにおいて形成していたスペーサ層としてアンドープの単結晶GaN層を形成することなく、バッファ層表面上にN型変調ドープ層と高濃度N型層とを連続的にシランガスの流量を変化させることのみにより、異常成長無く結晶性を安定して形成することができる。すなわち機能的には必要の無いスペーサ層を形成することなく、バッファ層表面上に直接動作に寄与するN型層を形成することができるため、スペーサ層を形成するために生じていたスループットの低下を防ぐことができる。また、スペーサ層を形成することがないため、発光素子全体の膜厚も多少減少するため、格子不整合による歪量の増加を防ぐことができ、成長層の劣化を防ぐことができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明にかかる発光素子によれば、基板と、第一のN型不純物濃度から第二のN型不純物濃度まで増加して前記基板上に形成された第一窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第二のN型不純物濃度を有し前記第一窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された第二窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第二窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成されたP型窒化ガリウム系半導体層と、を有しているので、異常成長無く結晶性を安定して形成することができるため、発光素子の製造にかかるスループットを向上させることができる。
【0043】
また、本発明にかかる発光素子の製造方法によれば、従来の発光デバイスにおいて形成していたスペーサ層としてアンドープの単結晶GaN層を形成することなく、バッファ層表面上にN型変調ドープ層と高濃度N型層とを連続的にシランガスの流量を変化させることのみにより、異常成長無く結晶性を安定して形成することができるため、発光素子の製造にかかるスループットを向上させることができる。さらに発光素子全体の膜厚も多少減少させることができるため、格子不整合による歪量の増加を防ぐことができ、成長層の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態を説明する発光ダイオードの断面図及び(b)はN型不純物の不純物プロファイルを示すグラフ。
【図2】本発明のN型変調ドープ層の不純物プロファイル。
【図3】(a)は従来の発光ダイオードを示す断面図、(b)はそのN型不純物のプロファイルを示すグラフ。
【図4】従来技術に固有の問題を示す模式図。
【図5】(a)は窒化ガリウム系化合物半導体の断面図、(b)はその上面図。
【図6】MO−CVD装置を示す構成図。
【図7】本発明の発光ダイオードの組立を説明する図であって、(a)および(b)は電極にワイヤが接合される様子を示す説明図、(c)はウェッジボンディング従来の問題点を示す説明図、(d)は(b)のウェッジボンディングが行われた様子を示す上面図、(e)は(c)のボンディングが行われた様子を示す上面図。
【図8】(a)は異種ヘテロ接合を含む発光素子の断面図、(b)はそのP型不純物のプロファイルを示すグラフ。
Claims (20)
- 基板と、
第一のN型不純物濃度から第二のN型不純物濃度まで増加して前記基板上に形成された第一窒化ガリウム系化合物半導体層と、
前記第二のN型不純物濃度を有し前記第一窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された第二窒化ガリウム系化合物半導体層と、
前記第二窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成されたP型窒化ガリウム系半導体層と、
を有することを特徴とする発光素子。 - 前記第一のN型不純物濃度から前記第二のN型不純物濃度までの前記増加は指数関数的に変化するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記第一のN型不純物濃度から前記第二のN型不純物濃度までの前記増加は
膜厚に応じて直線的に変化するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 - 前記第一のN型不純物濃度から前記第二のN型不純物濃度までの前記増加は
膜厚に応じて飽和曲線的に変化するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 - 前記第一のN型不純物濃度から前記第二のN型不純物濃度までの前記増加は
膜厚に応じてステップ状に変化するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 - 前記第一及び第二のN型不純物濃度は、1×1013atoms ・cm−3乃至1×1023atoms ・cm−3の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記第一窒化ガリウム系化合物半導体層の膜厚は0.01乃至2.00μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記不純物はシリコンであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記第一のN型不純物濃度は、バックグラウンドレベルであることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記第二の窒化ガリウム系化合物半導体層は、前記第一の窒化ガリウム系化合物半導体層に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記基板上に形成されたバッファ層を有し、第一窒化ガリウム系化合物半導体層は前記バッファ層上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 基板がサファイアであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 基板と、
前記基板表面上に形成され第一の不純物濃度を有する第一窒化ガリウム系化合物半導体層と、
前記第一窒化ガリウム系化合物半導体層表面上に形成され、膜厚に応じて前記第一の不純物濃度から第二の不純物濃度まで増加する第二窒化ガリウム系化合物半導体層と、
前記第二窒化ガリウム系化合物半導体層表面上に形成され、前記第二の不純物濃度を有する第三窒化ガリウム系化合物半導体層と、
前記第三窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成されたP型窒化ガリウム系化合物半導体層と
を有することを特徴とする発光素子。 - 基板と、第一のP型不純物濃度から第二のP型不純物濃度まで増加して前記基板上に形成された第一のP型窒化ガリウム系化合物半導体層と、前記第二のP型不純物濃度を有し前記第一P型窒化ガリウム系化合物半導体層上に形成された第二P型窒化ガリウム系化合物半導体層とを有することを特徴とする発光素子。
- 前記第一のP型不純物濃度から前記第二のP型不純物濃度までの前記増加は指数関数的に変化するものであることを特徴とする請求項14に記載の発光素子。
- 前記第一のP型不純物濃度から前記第二のP型不純物濃度までの前記増加は
膜厚に応じて直線的に変化するものであることを特徴とする請求項14に記載の発光素子。 - 前記第一のP型不純物濃度から前記第二のP型不純物濃度までの前記増加は
膜厚に応じて飽和曲線的に変化するものであることを特徴とする請求項14に記載の発光素子。 - 前記第一のP型不純物濃度から前記第二のP型不純物濃度までの前記増加は膜厚に応じてステップ状に変化するものであることを特徴とする請求項14に記載の発光素子。
- 前記第一及び第二のP型不純物濃度は、1×1013〜1×1023の範囲内にあることを特徴とする請求項14に記載の発光素子。
- 前記第一P型窒化ガリウム系化合物半導体層の膜厚は、0.01乃至2.00μmの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の発光素子。
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