JP3575424B2 - 関数機能再構成可能半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、集積回路製造後であっても、関数機能の再構成を行うことが可能である集積回路を含む半導体装置に係り、特に、関数機能の再構成を可能にする可変論理部として、しきい素子回路網を使用する関数機能再構成可能半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
FPGA(Field Programable Gate Array)や、PLD(Programmable Logic Device)に代表される論理機能再構成可能デバイスは、その大規模化と共に、様々な場所で用いられるようになってきた。
【0003】
出現当初は、多品種でかつ少量しか必要としないような部品の実現、又はプロトタイピングの状況において用いられることが主であったが、現在ではASIC(Application Specific Integrated Circuit)の代りに、最終製品に組み込まれていることも多い。FPGAでも、所望の性能を十分に満足し、ASICよりも数ヶ月早くtime−to−marketに製品を出荷できるからである。
【0004】
また、論理機能再構成可能デバイスを用いて、アプリケーションに対応してハードウェア構成を適応的に変更できるリコンフィギュラブルコンピューティングシステム(Reconfigurable Computing System)の研究開発も活発になり始めている。
【0005】
この論理機能再構成可能デバイスにおいて可変論理を実現する構造には様々なものがあり、その可変論理部として、図15に示すSRAMを用いたテーブル参照(LUT:Look−Up Table)型、図16に示すアンチフューズを用いたマルチプレクサ型、図17に示すEPROMやEEPROMを用い、積和形論理を実現するPLA(Programable Logic Array)型等がある。その中でも、LUT型のものが大規模で柔軟性も高く、幅広く用いられている。
【0006】
LUT型の論理機能再構成可能デバイスは、SRAMにより実現されたLUTが可変論理部に用いられ、任意のk入力変数論理関数を実現する。その可変論理部を構成するSRAMセルは、図18に示すように、通常6個のトランジスタで構成されている。k入力変数のLUTは、2k個のSRAMを必要とし、トランジスタ数はセルだけで6×2kになる。
【0007】
一般に用いられているLUT型FPGAの入力変数はk=4、又はk=5である場合が多い。k=4のLUTは、SRAMセルだけで96個のトランジスタが必要になり、k=5では、192個のトランジスタが必要になる。また、アドレスデコーダ、書き込み回路、プリチャージ回路、センスアンプ等の周辺回路も必要となり、回路規模は大きくなっていた。このように、LUT型FPGAでは、回路規模が大きく、LSI上に面積的に可変論理部の占める割合が大きく、小面積の可変論理部が望まれていた。
【0008】
また一方では、論理LSIの代表的な例であるマイクロプロセッサ(μP)や、ディジタル信号処理プロセッサ(DSP)の演算部(データパス部)においては、算術演算回路が頻度高く用いられている。この算術演算回路は、加算回路、減算回路、乗算回路等であり、これらは対称関数である全加算器を用いている場合が多い。また、論理LSIの制御部においては、セレクタ機能を用いた回路が多く使用される。
【0009】
このように、論理LSIにおいて、レジスタ、ラッチ等を含む順序回路を除けば、対称関数機能を有する回路とセレクタ機能を有する回路は非常に高い頻度で用いられている。
【0010】
なお、LUT型FPGAは任意のブール関数を表現できるが、セレクタ又はマルチプレクサ機能を有していなかった。また、LUTに作り込まれる論理が常に複雑なものとは限らないため、任意のk入力変数論理関数を実現できるようしておく機能は、必ずしも必要ではない。一方、マルチプレクサ型FPGAは任意の論理を表現するのにマルチプレクサを使用しているが、多段接続により関数を表現しているため、通常アンチヒューズ等の低抵抗素子でプログラムされ、再構成は容易でない。また、複雑な論理を構成するためには多くの素子を必要とする。従って、大面積を必要とする。
【0011】
上記のように、算術演算回路等で頻繁に使用される対称関数機能と、制御部でよく使用されるセレクタ機能とを同時に併せ持ち、対称関数機能を保持できる回路構成は提案されていない。
【0012】
更に、対称関数機能を有する基本的な回路ブロックが低面積又は少ない素子数で実現でき、高速動作する場合は、その回路ブロックを配線として使用することも可能であり、設計の自由度を向上させることができる。
【0013】
これらの機能は、LUT型やPLA型やマルチプレクサ型とは異なるしきい論理を論理可変の基本原理とするしきい素子回路網で実現できる可能性がある。しきい素子を容易に実装できる素子としては、図19に示すニューロンMOSインバータが知られている。
【0014】
ニューロンMOSトランジスタ及び、ニューロンMOSトランジスタを用いた基本回路については、文献1「Tadashi Shibata and Tadahiro Ohmi,“A Functional MOS Transistor Featuring Gate−Level Weighted Sum and Threshold Operations,”IEEE Transactions on Electron Devices,Vol.39,No,6,pp.1444−1455,1992」、文献2「Tadashi Shibata and Tadahiro Ohmi,“Neuron MOS Binary−Logic Integrated Circuits−Part I:Design Fundamentals and Soft−Hardware−Logic Circuit Implementation,”IEEE Trans. Electron Devices, Vol. 40, No. 3, pp. 570−576, 1993.」、文献3「Tadashi Shibata and Tadahiro Ohmi,“Neuron MOS Binary−Logic Integrated Circuits−Part II:Simplifying Techniques of Circuit Configuration and thier Practical Applications,”IEEE Trans. Electron Devices, Vol. 40, No.5, pp. 974−979, 1993」に記載されている。
【0015】
これらを発展させた回路として、文献4「特開平6−77427号 半導体集積回路」、文献5「T.Shibata, K.kotani and T.Ohmi, “Real−Time Reconfugurable LogicCircuits Using Neuron MOS Transistors,”ISSCC, FA 15.3, pp.238−239,1993」、文献6「特開平7−161942号 半導体集積回路」が公知である。以下、文献4、文献5、文献6の概要を説明する。
【0016】
文献4では、「MOS型半導体装置で構成された少くとも2段のインバータを有するブロックを有し、そのブロック間の配線パターンを変えることで、任意の関数を構成することができる半導体集積回路」の発明が記載されている。文献4で公知にされている関数機能を変える物理的構造は、「配線パターン」即ち、「ブロックとブロックの接続状態」のみである。これは、ある一定の機能を有する回路ブロックをアレイ状に並べ、配線の製造工程において関数機能を決定する「ゲートアレイ」と同等である。
【0017】
例えば、NANDゲートを基本ブロックとしたゲートアレイの、NANDゲートを「MOS型半導体装置で構成された2段のインバータ」で置き換えたゲ←トアレイと言うことができる。従って、この構造によって関数機能が決められるのは、集積回路の製造過程であり、製造終了後に集積回路がユーザの手に渡った後でユーザが自由に関数機能を構成できることを意図していない。
【0018】
次に、文献5について説明する。この論文で公知になっていることは、「ニューロンMOSインバータの2段フィードフォワード回路について、入力変数以外に、常に回路の外部から与えられる制御変数を用いることによって、所定の論理関数機能を実現できる」ということである。重要なことは、「外部から制御変数が連続的に与えられなければ、関数機能を実現することができない」ということである。
【0019】
再構成可能デバイスにおいて、関数機能を可変にするために必要な機能が2つある。1つは、関数機能自身を変更する機能である。他の1つは、ある関数機能を実現した際に、その関数を保存又は保持する機能である。第2の機能があることによって、論理関数によって構成される複数の組合せ回路と情報を処理する際に必要となる順序回路との集積化が可能になる。仮に、この論文に示されている回路のように、第2の機能がない場合は、多くの論理関数により回路が構成されているという現状を考えると、外部から制御変数を入力するという方法を取るために、非常に多くの入力ピンが必要になり、回路の集積化が非常に困難になる。
【0020】
以上、説明したように、この論文で公知である事実だけでは有用な再構成可能デバイスを設計することは困難である。
【0021】
更に、この論文には任意の論理関数機能を構成するための自動設計手法が示されていないために、多くの論理関数が集積される再構成可能デバイスを作製するには設計技術という面からも困難であると言える。
【0022】
最後に文献6について説明する。
【0023】
文献6は、「ニューロンMOSトランジスタの信頼性向上」を目的とした回路構成が記載されている。
【0024】
その回路は、ニューロンMOSトランジスタのフローティングゲートと入力信号端子にスイッチを付加した構造を持つ。この構造によって、製造時又は経時変化によりフローティングゲート中に蓄積した電荷を除去することが可能になる。フローティングゲートに付加されたスイッチの他方の端子をこのニューロンMOSトランジスタの出力端子又はインバータなどの論理回路の山力端子にスイッチを介して接続することで、素子特性のバラツキを抑制したり、低消費電力化の実現を可能にすることが記載されている。
【0025】
しかしながら、複数の配置済の基本回路ブロックを用いて、論理機能を再構成することが可能な回路への適用に関しての記載はない。また、ニューロンMOSトランジスタの入力信号部は入力信号、又は、入力変数のみに関して記載されている。異なる制御系により制御される入力変数部と関数構成変数部に分類されてはいない。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
従来の論理機能再構成可能デバイスの中で、論理機能を高速に再構成することができるデバイスはLUT型FPGAであり、その可変論理部はSRAMを用いたLUTで構成されている。SRAMを用いたk入力変数LUTは、k入力変数から生成可能な全てのブール関数を実現することが可能であるが、LSI上に大きい面積を必要としていた。このため、小面積で高速に論理機能を再構成できる可変論理部の実現が望まれていた。
【0027】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、論理機能においては、論理LSIの中で高頻度で使用されている対称関数を実現する可変論理部をLSI上において小面積で実現し、かつセレクタ機能とメモリ機能を併せ持ち、従来のデバイスにない統合された機能を実現でき、かつ高速に論理を再構成可能な可変論理部を提供し、そのような可変論理部を有する集積回路で構成された半導体装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は次のように構成される。
【0029】
請求項1に記載の発明は、関数機能再構成可能な半導体装置であって、関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、各関数セルは複数のしきい素子を有し、各しきい素子は、電位駆動型非線形素子と、当該電位駆動型非線形素子に電位を与える端子と、当該電位を与える端子に容量結合された複数の端子とを有し、前記複数のしきい素子の中の少なくとも1つのしきい素子は、前記電位駆動型非線形素子に電位を与える端子と所定の電位を有する端子との間にスイッチを有し、前記スイッチを制御することにより、前記しきい素子のしきい値を保持する。
【0030】
請求項2に記載の発明は、請求項1の記載において、前記半導体装置は、関数機能を構成するためのデータを記憶する不揮発性メモリを各関数セル内に有する。
【0031】
請求項3に記載の発明は、請求項2の記載において、前記複数の関数セルは、接続状態を切り替えることを可能とする複数の配線により接続される。
【0032】
請求項4に記載の発明は、請求項3の記載において、前記半導体装置は更に少なくとも2つの制御系を有し、前記関数セルにおける各しきい素子は、前記配線を介して各制御系に接続され、該制御系のうち少なくとも1つの制御系が、前記不揮発性メモリに接続される。
【0033】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のうちいずれか1項の記載において、前記各関数セルを、少なくとも1つのしきい素子を有する段を、複数段接続して構成する。
【0034】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のうちいずれか1項の記載において、前記しきい素子は、処理されるべき入力信号を入力する第1の入力部と、関数機能を構成するための制御信号を入力する第2の入力部とを有し、第2の入力部から入力された該制御信号により前記しきい値を設定し、その設定されたしきい値に応じて第1の入力部から入力された入力信号に対する出力値を決定する。
【0035】
請求項7に記載の発明は、請求項1の記載において、前記少なくとも1つのしきい素子は、前記複数の端子のうちの少なくとも1つの端子にスイッチとして機能する素子を有し、該スイッチとして機能する素子を制御して、該少なくとも1つの端子における信号入力側又は所定の電位を有する端子のうちのいずれか一方に接続状態を切り替える手段を有する。
【0036】
請求項8に記載の発明は、請求項7の記載において、前記電位駆動型非線型素子はインバータ回路とする。
【0037】
請求項9に記載の発明は、請求項8の記載において、前記インバータ回路はCMOSインバータ又は抵抗負荷型インバータであるとする。
【0038】
請求項10に記載の発明は、関数機能再構成可能な半導体装置であって、関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、各関数セルは複数のしきい素子を有し、複数のしきい素子の中の少なくとも1つのしきい素子は、基板上に第1の導電型の半導体領域と、該半導体領域内に設けられた第2の導電型の半導体であるソース及びドレイン領域と、前記ソース及びドレイン領域を隔てる領域上に絶縁膜を介して設けられたフローティングゲート電極と、該フローティングゲート電極と絶縁膜を介して接続された複数の入力ゲート電極とを有し、該フローティングゲート電極は、導通と遮断又は電気的に高インピーダンスの2つの状態を取り得る素子を介して第1の電位を有する端子に接続され、該入力ゲート電極は、該半導体装置に設けられた少くとも2つの異なる入力制御部によって制御され、該入力ゲート電極の少くとも1つを、関数機能を構成するためのデータを入力する入力線又は第2の電位を有する端子のうちのいずれか一方に接続することを可能にする切り替えのための素子を有する。
【0039】
請求項11に記載の発明は、関数機能再構成可能な半導体装置であって、関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、各関数セルは複数のしきい素子を有し、前記しきい素子におけるしきい値を変えることにより関数セルが実現する論理を変えるようにした半導体装置であり、前記しきい素子は、複数の入力端子と、過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子と、非線型素子とを有し、該複数の入力端子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子に容量を介して接続され、該非線型素子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子の電位を入力とし、前記しきい素子は更に、前記過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子と第1の所定の電位を有する端子との間に第1のスイッチを有し、前記複数の入力端子のうちの少なくとも1つの端子に第2のスイッチが接続され、該第2のスイッチを、該少なくとも1つの端子における信号入力側又は第2の所定の電位を有する端子のうちのいずれか一方に接続状態を切り替える手段を有する。
また、請求項12に記載の発明は、関数機能再構成可能な半導体装置であって、関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、各関数セルは複数のしきい素子を有し、各しきい素子はしきい値を保持する手段を有し、該しきい値を変えることにより関数セルが実現する論理を変えるようにした半導体装置であり、前記しきい素子は、複数の入力端子と、過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子と、非線型素子とを有し、該複数の入力端子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子に容量を介して接続され、該非線型素子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子の電位を入力とし、前記非線型素子はインバータ回路であり、該インバータ回路はCMOSインバータ又は抵抗負荷型インバータである。
【0040】
上記の発明によれば、しきい値を変えることにより実現する論理を変えることが可能な関数セルを複数個有する関数機能再構成可能な半導体装置を提供することができる。また、本発明のように構成したことにより、論理LSIの中で高頻度で使用されている対称関数を実現する可変論理部をLSI上において小面積で実現し、かつセレクタ機能とメモリ機能を併せ持ち、従来のデバイスにない統合された機能を実現でき、かつ高速に論理を再構成可能な半導体装置を提供することが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
本実施例では、本発明の関数機能再構成可能半導体装置の全体構成から、しきい関数を基礎とした関数機能を再構成できる基本回路までを具体的な例を用いて説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施例1における関数機能再構成可能半導体装置を表す図である。この関数機能再構成可能半導体装置は、関数セル101をアレイ状に配置し、接続状態を切り替えることが可能な配線を用いて関数セル101を結合し、関数セルアレイと集中型不揮発性メモリ回路12が接続された構成を有する。関数セル101は、後述するようなしきい素子を用いて構成される集積回路である。また、この関数機能再構成可能半導体装置は、制御回路ブロック104、入力回路ブロック105及び出力回路ブロック106を有する。
【0043】
図1中、関数セル101の入力信号線と出力信号線は、関数セル間に設けられた配線に、接続状態を切り替えることが可能な素子又は回路であるスイッチ103を介して接続される。
【0044】
また、集中型不揮発性メモリ回路102には、関数機能を再構成することが可能な領域の少くとも一部の関数機能を構成するためのデータ(以降、関数機能構成データと呼ぶ)が保持される。
【0045】
次に、この半導体装置の動作について説明する。
【0046】
関数機能を再構成する際には、集中型不揮発性メモリ回路102に記憶された関数機能構成データは制御回路ブロック104を介して、関数セル101と配線接続状態切り替えスイッチ103との両方に配送される。なお、関数機能を再構成するための構成及び方法については後述する。
【0047】
制御回路ブロック104を介して関数機能が設定された後、入力回路ブロック105から入力変数又は入力信号が入力され、処理された結果が出力回路ブロック106より出力される。回路が動作中に、ある回路の出力結果に応じて配線の接続状態又は、関数セルによって実行される関数が変更された場合には、電源遮断時又は必要に応じて、その情報は再び不揮発性メモリ回路102に転送され不揮発性メモリ回路102の内容は更新される。
【0048】
不揮発性メモリ回路102を用いない関数機能再構成可能半導体装置も、例えば、次の2つの例のような場合に実現可能である。1つは、電源を常時オンにしておく場合である。この場合、電源電位が常時供給されているため、揮発性メモリ回路を用いていたとしてもメモリ中のデータが揮発してしまうことはなく、不揮発性メモリ回路と同等の機能を持つ。2つ目は、外部から関数機能を制御される関数セルと配線切り替えスイッチの量が非常に少ない場合である。これは、ある関数セルが他の関数セルの機能や配線接続切り替えスイッチの状態を切り替えるためのデータを生成することが可能な場合でもある。この場合、電源オフの状態から電源をオンし、関数機能構成データを読み込む際の読み込み時間が短いために、不揮発性メモリ回路を持たなくても使用することができる。
【0049】
図2は、2つのしきい値を持ち、その値のいずれか一方を保持することが可能なしきい素子を用いた3入力変数の任意の対称関数を実現可能な2段論理フィードフォワード回路を示す図である。図1中の関数セルとして、例えば、図2に示す2段論理のしきい素子回路網を用いることができる。
【0050】
図2に示す回路は、上記のしきい素子、入力端子input1[1]〜input1[3]、入力端子input2[1]〜input2[4]を有する。しきい素子(以下、しきい素子の略号としてTEを用いる。なお、TEはThreshold Elementの略である)は1段目にTE[1]〜TE[4]、2段目にTE[5]という2段構成をとり、2段目のしきい素子から出力信号が出力される。また、1段目の各しきい素子には全ての入力信号線が接続され、また、各制御信号線が接続される。また、1段目の各しきい素子の出力は2段目のしきい素子に「否定」をとられた後に入力される。更に、2段目のしきい素子には全ての入力信号線が接続される。その他、タイミングを与えるための端子initを有する。
【0051】
input1[1]〜input1[3]、input2[1]〜input2[4]、initの端子群は図1中の関数セル101の入力部に対応し、ouput端子は出力部に対応する。input1[1]〜input1[3]は3つの入力変数の入力端子であり、input2[1]〜input2[4]は3入力変数によって実現可能な24個の対称関数を実現するための関数機能構成データ入力用の端子であり、initは図中の各々のしきい素子TE[1]〜TE[4]に入力されるinput2[1]〜input2[4]の値によって選択される2つのしきい値のいずれか一方を保持するタイミングを与える信号のための端子である。また、図2中のwは入力変数に乗算される重みを表す。
【0052】
次に、図2の回路網を用いて3入力変数の任意の対称関数を実現できることを説明する。以下、入力変数中で論理的に1である入力変数の数を入力状態数と呼ぶ。
【0053】
3入力変数の場合、入力状態数は0,1,2,3の4つの状態のいずれか1つを取る。図2の回路が、各入力状態数において、論理的に0又は1のいずれか一方を選択的に出力できるとき、その回路は任意の対称関数を実現できる。
【0054】
図3は、図2で示す回路網中の1段目のTE[1]〜TE[4]のしきい素子の入力状態数と各しきい素子の論理的出力値の関係を表す図である。図中の黒丸印は、しきい素子のしきい値がいずれの値であっても確定している出力値を表し、白丸印は、当該入力状態数のときに、選ばれるしきい値に依存して、論理的に1又は0のいずれか一方を取る際の出力値を表す。
【0055】
図3において、入力状態数0の場合(即ち、全ての入力値が論理的に0である場合)、各しきい素子の入力値と重みとの積和値は0となり、TE[2]〜TE[4]のしきい素子では、2つのしきい値のいずれであっても積和値は各しきい値より小さいため、各しきい素子は論理的0を出力する。TE[1]は他のしきい素子とは異なり、しきい値が−1の場合は1を出力し、しきい値が1の場合は0を出力する。次に、入力状態数1の場合は、入力値と重みの積和値が2となり、TE[1]はいずれのしきい値であっても、しきい値が積和値よりも小さいために、1を出力し、TE[3]、TE[4]は逆に0を出力する。TE[2]の出力値のみがしきい値に依存して、論理的に1又は0のいずれか一方を出力する。入力状態数2、3の場合も前記と同様の方法で図3に示すように出力値が定まる。
【0056】
図4(a)は、2段目のしきい素子TE[5]の入力状態数に対する入力値を表す図であり、図4(b)は、入力状態数に対する出力値を表す図である。
【0057】
図4(a)では、各入力状態数ごとに、確定的な入力値を網掛け部で、しきい値に依存する部分を白抜き部で表し、入力値の所属、即ち入力元を各入力状態数ごとに記載した。また、図2で示したように1段目のしきい素子の出力値の否定、即ち、論理反転値が2段目のしきい素子であるTE[5]に入力される。例えば、入力状態数1の場合は、図3からTE[3]、TE[4]の出力値は共に0であるから、その論理反転値の1がTE[5]の入力値となり、入力値と重みの積和値の2が各々TE[5]に入力される。また、入力状態数が1であるからinput1[1]〜input1[3]端子の値のいずれか1つが論理的1であるため、該当する端子の積和値の2が入力値に加算される。図4(a)中のinput1の表記は、input1[1]〜input1[3]端子のいずれかの値であることを意味している。入力状態数が1の場合、TE[2]のしきい値が1の場合は出力値は1であり、しきい値が3の場合は出力値が0である。従って、TE[5]にはTE[2]のしきい値が1の場合には積和値として2が加算され、逆にしきい値が3の場合には0が加算される。
【0058】
ここで、TE[5]のしきい値は7であるために、TE[2]からの入力として2が加算される場合、TE[5]には合計8が入力され、TE[5]の出力値は論理的に1となる。逆に0が加算される場合は、TE[5]の出力値は0となる。即ち、図4(b)に示すように、TE[2]のしきい値が1か3かのいずれが設定されるかに依存して、しきい素子回路網の出力値が0か1かのいずれかになる。入力状態数が0のときには、TE[1]のしきい値に応じてTE[5]の出力値が定まり、入力状態数が1のときには、TE[2]のしきい値に応じてTE[5]の出力値が定まり、入力状態数が2のときには、TE[3]のしきい値に応じてTE[5]の出力値が定まり、入力状態数が3のときには、TE[4]のしきい値に応じてTE[5]の出力値が定まる。
【0059】
以上、説明したように各しきい素子のしきい値の選択によって、図2の回路網は3入力変数の任意の対称関数を実現することが可能となる。この回路網と任意の対称関数を実現する方法は任意の入力変数kに容易に拡張することができる。
【0060】
上記の機能は任意の対称関数を実現すると同時に、マルチプレクサ機能を実現できることも示している。即ち、入力状態数をセレクタデータとして、input2[1]〜input2[4]端子の値をデータとするマルチプレクサ機能を実現できる。
【0061】
次に、図2の各しきい素子のしきい値を選択し、保持する手順を説明する。各しきい素手は異なる2つのしきい値を有して、1bitの選択信号(ここではinput2[1]〜input2[4]端子の値のことをいう)の1と0との2つの値によってしきい値のいずれか一方を選択できる。また、選択信号が入力されている状態で、init信号を1から0に切り変えることによって、そのしきい値が保持される。
【0062】
上記の機能を有する時、図2のしきい素子回路網は任意の対称関数を実現する関数セルの1例となる。
【0063】
これまでは、図2に示す2段論理回路によって任意の対称関数機能を実現する回路構成とその方法について説明した。次に、論理段数を2段に限定する必要がないことを示す例として、任意の2入力変数対称関数を実現する回路を示す。
【0064】
図5は、2入力変数対称関数を実現するしきい素子を用いた3段論理回路の構成を示す図である。1段目のしきい素子はTE[1]、2段目のしきい素子はTE[2]とTE[3]、3段目のしきい素子はTE[4]である。各しきい素子は2つの異なるしきい値を持っており、各々1bitの選択信号によってどちらか一方が選択される。TE[1]のしきい値は−1又は1であり、input2[1]端子の値である選択信号によっていずれか一方が選択される。TE[2]とTE[3]のしきい値は、各々1又は3、3又は5であり、各々input2[2]端子、input2[3]端子の値によって選択される。 また、input1[1]端子とinput1[2]端子の値である入力変数に掛けられる重みは各しきい素子とも2である。また、TE[1]の出力値の論理反転(否定)値がTE[2]に入力され、その際に掛けられる重みは4である。TE[4]のしきい値は5であり、TE[4]は、入力変数とTE[2]の出力値の否定とTE[3]の出力値の否定を入力とし、各々の重みは2、4、2である。更に、図2に示した回路と同様にinit端子の信号により、各しきい素子のしきい値が保存される。
【0065】
図6は、1段目と2段目の各しきい素子の出力値の値と入力状態数及びしきい値との関係を表す図である。TE[1]の出力値は入力状態数が1又は2の場介は、しきい値とは独立に常に1であり、入力状態数が0の場合はしきい値に依存して図のように0又は1を取る。TE[3]の出力値は入力状態数が0又は1の場合は、しきい値とは独立に常に0であり、入力状態数が2の場合はしきい値に依存して図のように0又は1を取る。TE[2]の出力値は、入力状態数が0の場合は、TE[1]の出力値に依存し、入力状態数が1の場合はしきい値に依存して、図に示すように0又は1を出力し、入力状態数が2の場合は常に1を出力する。
【0066】
図7は、TE[4]の入力値であるTE[2]の出力値の否定とTE[3]の出力値の否定と入力状態数及びTE〔4]の出力値を表す図である。図7より、TE[4]の出力値は入力状態数が1の場合はTE[2]の出力値の否定、即ち、図5のinput2[1]端子の値に依存して0又は1となり、入力状態数が1の場合はTE[2]の出力値の否定、即ち、input2[2]端子の値に依存して、入力状態数が2の場合はTE[3]の出力値の否定、即ち、input2[3]端子の値に依存して0又は1になる。
【0067】
図8は、各入力状態数におけるinput2[1]〜input2[3]端子の値とoutput端子の値の関係を表す図であり、以上をまとめたものである。ここで、図5の回路において、各しきい値に入力される選択信号が1の時に小さい値のしきい値が選択され、0の時に大きいしきい値が選択されると仮定している。また、図8中の横棒は該当する選択信号が0又は1のいずれであってもoutput端子の値は変わらないことを意味している。
【0068】
以上説明したように、しきい素子による3段論理回路網であっても任意の対称関数を実現することができる。
【0069】
次に、図2中のしきい素子の実装例について説明する。
【0070】
図9は、図2に示した3入力変数の任意の対称関数を実現するしきい素子の実装例を示す図である。しきい素子は外部接続可能な端子として、3つの入力変数用の入力端子input1[1]〜input1[3]、2つのしきい値を選択するための信号用の入力端子input2[3]、選択されたしきい値を保持するための初期化信号用の入力init、及び出力用端子outputを有する。
【0071】
また、しきい素子は、複数の入力端子(又は、入力ゲートと呼ぶ)とフローティングゲートftgが容量を介して直列接続され、このフローティングゲートの電位を入力値とし、この入力値をステップ関数、シグモイド関数などに代表される非線形関数によって処理した値を出力値とする電位駆動型非線形素子111によって構成する。
【0072】
また、フローティングゲートはスイッチA(112)を介して、グランドに接続され、しきい値を選択するための信号を入力するinput2[3]はスイッチB(113)を介してフローティングゲートに容量を介して接続される。スイッチAはinit信号によってグランドとの接続と遮断を制御される。スイッチBとスイッチAとは同期しており、スイッチAが接続している時にスイッチBはinput2[3]と接続状態になり、スイッチAが遮断の時にスイッチBは電源と接続状態になる。
【0073】
今、入力ゲートin11,in12,in13,in23とフローティングゲートftgとの間のそれぞれの容量値をCとし、グランドに接続された端子ingndとフローティングゲートftgとの間の容量値をCとし、電位駆動型非線形素子中のフローティングゲートと容量結合される容量の値はCに比べて非常に小さく無視できるとする。また、input1[1]〜input1[3]端子の電位をV11,V12,V13とし、input2[3]端子の電位をV23とし、フローティングゲート電位をVfgとし、電源電位をVddとする。更に、V11〜V13及びV23はVdd又は0の2値のみを取ることができ、V11,V12,V13,V23をVddによって規格化した値をx11,x12,x13,x23とし、VfgをVddで規格化した値をUfgとする。この時、規格化フローティングゲート電位Ufgの1/2の値を非線形素子のしきい値とする。この条件を有するしきい素子の動作を説明する。
【0074】
まず初めに、初期状態として、全ての入力ゲートに0が入力された状態でftgの電位が0に設定され、その後、フローティングゲートftgが完全フローティングの状態にされる場合について説明する。
【0075】
本実施例においてVfg及びUfgは以下の式で表される。
【0076】
【数1】
【0077】
【数2】
従って、input2[3]から入力されるしきい値選択変数x23が0の場合、入力変数の和であるΣ3 i=1x1iが2以下の場合は、最大でもUfg=2/5であり、1/2より小さくしきい値に達しない。また、Σ3 i=1x1iが3の時は、Ufg=3/5となりしきい値より大きくなる。従って、入力変数からみた場合、しきい値は入力状態数が2と3の間にある。一方、x23=1の場合、Σ3 i=1x1i=2であっても、Ufg=3/5となり、しきい値より大きくなり、Σ3 i=1x1i=1の時、Ufg=2/5であることから、入力変数からみた場合、しきい値は入力状態数が1と2の間にあることになる。このように、input2[3]端子の電位を継続的にある値に保ち続けることによって、2つのしきい値のいずれか一方を選択することが可能になる。
【0078】
次に、図9のしきい素子中のスイッチAとスイッチBとを用いて、ある時刻t0にinput2[3]からしきい値選択変数を入力し、継続的に選択変数を入力し続けるのではなく、スイッチBによりin23とinput2[3]とを開放しても、t0に入力した値により選択されたしきい値が保持されることを説明する。
【0079】
図9中のスイッチAによりフローティングゲートftgとグランドを接続する。そして、スイッチBによりin23とinput2[3]とを接続する。この状態をスイッチが初期状態にあるという。スイッチが初期状態にある時、input2[3]からしきい値選択変数として1を入力する。また、input1[1]〜input1[3]端子には各々0を入力する。この入力状態の時、フローティングゲートftgはグランドに接続されているので、Vfg=0である。
【0080】
次に、スイッチAを開放し、フローティングゲートftgをグランドから切り離し、その後、スイッチBによりin23を電源に接続する。スイッチBが切り替わってもin23の電位は変わらずVdd、即ち選択変数としては1である。しかし、Vfg=0であるため、規格化したフローティングゲート電位Ufgと入力変数x1iの関係は次式のようになる。
【0081】
【数3】
このため、Σ3 i=1x1i=3になって初めてUfgはしきい値より大きくなる。
【0082】
一方、スイッチが初期状態にある時、input2[3]からしきい値選択変数として0を入力する。また、input1[1]〜input1[3]には0を入力する。次に、スイッチAを開放し、フローティングゲートftgをグランドから切り離し、その後、スイッチBによりin23を電源に接続する。スイッチBが切り替わることによって、in23の電位は0からVddに変化する。即ち、前記の継続的に制御変数を入力する場合のx23=1の場合に匹敵する。この時の規格化フローティングゲート電位Ufgと入力変数x1iの関係は次式のようになる。
【0083】
【数4】
このため、Σ3 i=1x1i=2の時に初めてUfgはしきい値より大きくなる。
【0084】
以上、input2[3]から一時的に入力されるしきい値制御変数によって、2つのしきい値を選択することができ、input2[3]からの入力が遮断されたとしても同じしきい値を保持することが可能であることを示した。
【0085】
図9で示した構成は、図2のTE[3]に対応するしきい素子であるが、グランドに接続されたingnd端子とフローティングゲートとの間の容量と入力端子とフローティングゲートとの間の容量との容量比を変える、又は、ingnd端子の接続先を電源に変更するなどの方法により、TE[1]からTE[4]までの異なるしきい値を有するしきい素子として実現することができる。
【0086】
例えば、TE[1]を実現するには、ingnd端子の接続先を電源に変え、ingnd端子とフローティングゲートとの聞の容量値を3Cに設定する。TE[2]のためには、ingnd端子の接続先を電源に変え、容量値をCに設定する。TE[3]のためには、前記で示した通りである。TE[4]のためには、ingnd端子をTE[3]の時と同様にグランドに接続し、容量値を3Cに設定する。
【0087】
また、図2で示したTE[1]〜TE[4]のしきい素子について同じinit信号を用いて、しきい素子内スイッチを制御することが可能である。
【0088】
図10と図11は、図9中の電位駆動型非線形素子111とスイッチAとスイッチBの具体例を表す図である。
【0089】
図10では、非線形素子としてCMOSインバータを用い、スイッチAとしてはパストランジスタを、スイッチBとしてはトランスミッションゲートtg1、tg2を用いている。また、図11では、非線形素子として抵抗負荷型インバータを用い、スイッチAとしてパストランジスタを、スイッチBとして2入力NANDゲートを用いている。NANDゲートを用いる場合、input2[3]から入力されるしきい値選択変数の値は図10のトランスミッションゲートを用いた場合とは論理反転した値を用いることで、同じ状態を作ることができる。
【0090】
以上、図2中で異なる2つのしきい値を有し、いずれか一方を選択的に保持可能なしきい素子の実現形態について説明した。
【0091】
(実施例2)
図12は、関数機能を保持するための不揮発性メモリが関数セル内に分散されて配置される関数機能再構成可能半導体装置を表す図である。即ち、図1の構成における不揮発性メモリ回路102を設ける代りに、関数セル121ごとに不揮発性メモリ回路122を設ける。不揮発性メモリ回路としては、EEPROM回路による構成、Flashメモリ回路による構成、強誘電体材料を用いたメモリ回路による構成、及びMRAMによる構成がある。
【0092】
(実施例3)
図13は、関数機能を保持するための不揮発性メモリ132が関数セル131内に分散されて配置されており、かつ配線領域が存在しない関数機能再構成可能半導体装置を表す図である。本実施例では関数セル自体が配線として使用されるために、配線領域を必要としない。
【0093】
図2と図14を用いて、図13の構成を実現するための関数セルによる配線の実現方法を説明する。図14は図10と類似の構成であるが、図14に示す構成にはスイッチが追加されている点が図10に示す構成と異なる。
【0094】
図14に示す構成では、図2に示すinput1[1]〜input1[3]とinput2[1]〜input2[4]とのどちらも不揮発性メモリに接続することができるように構成する。前述した通り、図2のinit信号によりinput1[1]〜input1[3]の端子から入力される入力変数が保持される。即ち、入力状態数がある入力状態数で固定されることになる。
【0095】
既に実施例1で説明したように、入力状態数が0の場合は、図2中のしきい素子TE[1]にinput2[1]端子から入力される選択変数によって関数セルの出力値が決まり、入力状態数1の場合はTE[2]に入力される選択変数値によって、入力状態数2の場合はTE[3]の選択変数値によって、入力状態数3の場合はTE[4]の選択変数値によって、関数セルの出力値が決まる。即ち、各入力状態を固定することで、input2[1]〜input2[4]の4つの選択変数のいずれか1つに依存した論理値が関数セルの出力値となる。従って、出力値そのままか論理反転をさせた値かのいずれか一方を用いることで、選択変数値の値が関数セルの値となる配線機能を実現することができる。
【0096】
図14は上記を実現する関数セルを表す回路構成図である。init1はフローティングゲートと容量を介して接続されているin11−in13を入力変数用端子input1[1]〜input1[3]と電源とのいずれかに接続するためのトランスミッションゲートtg11aとtg11b、tg12aとtg12b、tg13aとtg13bで構成されるスイッチを制御する信号用端子であり、init2は図10に示したinitと同様の機能をもつ、即ち、in23端子を制御変数用端子input2[3]又は電源のいずれかに接続することを制御するための信号用端子であり、init3はinit1又はinit2のいずれか一方と同期する信号用の端子である。
【0097】
関数セルを配線として使用する場合は、論理的1に固定することでinput2[3]とin23を接続し、init1を制御し、init3はinit1と同期させる。今、配線として使用したい制御変数用端子をinput2[3]とする。この場合、input2[3]に入力される変数は論理を制御変数ではなく、伝送される変数になる。input2[3]が関数セルの出力値を決定するのは、入力状態数が2の時であるから、入力状態数2を形成する入力変数の値の論理的反転をフローティングゲートの初期化時に入力する。ここで、フローティングゲートの初期化時とは、フローティングゲートがパストランジスタを介してグランドに接続されている状態のことである。また、初期化時には、input2[3]からは論理的0が入力される。
【0098】
次に、init1とinit3から論理的0を入力し、パストランジスタを遮断し、フローティングゲートを電気的絶縁状態にし、in11〜in13を電源に接続する。この操作により、図14の関数セルは配線としての機能を持つ。以上説明したように、配線領域を削除し、関数セル自体を配線として使用する回路構成も可能である。
【0099】
本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内で種々変更・応用が可能である。
【0100】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、論理LSIの中で高頻度で使用されている対称関数を実現する可変論理部をLSI上において小面積で実現し、かつセレクタ機能とメモリ機能を併せ持ち、従来のデバイスにない統合された機能を実現でき、かつ高速に論理を再構成可能な半導体装置を提供することが可能となる。
【0101】
【図面の簡単な説明】
【図1】しきい素子を有する回路綱である関数セルをアレイ状にし、接続状態を切り替えることが可能である配線によりアレイを結合し、関数セルアレイと集中型メモリとが接続された構成をとる関数機能再構成可能半導体装置を表す図である。
【図2】2つのしきい値を選択的に保持することが可能なしきい素子を用いた2段論理回路網を表す図である。
【図3】図2で示した2段論理回路の1段目のしきい素子の入力状態数に対する出力値の関係を表す図であり、白抜き丸印は制御変数に依存して出力値が決まる場合を表し、黒丸印は制御変数とは独立に入力状態数のみで出力値が決まる場合を表す。
【図4】(a)は図2で示した2段論理回路の2段目のしきい素子における入力状態数と入力値との関係を表し、(b)は2段目のしきい素子における入力状態数に対する出力値の関係を表す。(a)の黒塗りつぶしで表される入力値は入力状態数によって決まる入力であり、白抜き部分は制御信号の値に依存して加算される入力を表す。(b)の白抜き丸印は制御変数の値に応じて決まる出力値を表す。
【図5】2つのしきい値を選択的に保持することが可能なしきい素子を用いた3段論理回路網を表す図である。
【図6】図5の3段論理回路の1段目と2段目のしきい素子の入力状態数と出力値との関係を表す図である。
【図7】図5の3段論理回路の3段目のしきい素子における入力状態数に対する入力値と出力値とを表す図である。
【図8】図5の3段論理回路の各入力状態数におけるinput2[1]〜input2[3]端子の値とoutput端子の値との関係を表す図である。
【図9】図2で示す3入力変数のしきい素子の構成を表す図である。
【図10】図9のしきい素子を実現する回路構成を表す図である。
【図11】図9のしきい素子を実現する回路構成を表す図である。
【図12】しきい素子を有する回路網である関数セルをアレイ状にし、接続状態を切り替えることが可能である配線によりアレイを結合し、関数セル中に分散的に不揮発性メモリを有する関数機能再構成可能半導体装置を表す図である。
【図13】しきい素子を有する回路網である関数セルをアレイ状にし、関数セル中に分散的に不揮発性メモリを有する関数機能再構成可能半導体装置を表す図である。
【図14】配線機能を有する関数セルを表す図である。
【図15】従来技術におけるLUT型論理関数機能再構成可能デバイスを表す図である。
【図16】従来技術におけるマルチプレクサ型論理関数機能再構成可能デバイスを表す図である。
【図17】従来技術におけるPLA型論理関数機能再構成可能デバイスを表す図である。
【図18】従来技術における典型的なSRAMセルを表す図である。
【図19】(a)は従来技術におけるニューロンMOSインバータを表す回路図であり、(b)はニューロンMOSインバータの論理記号を表す図である。
【符号の説明】
101 しきい素子回路網による関数セル
102 集中型不揮発性メモリ回路
103 配線の接続状態切り替えスイッチ
104 制御回路ブロック
105 入力回路ブロック
106 出力回路ブロック
111 電位駆動型非線形素子
112 スイッチA
113 スイッチB
121 しきい素子回路網による関数セル
122 不揮発性メモリ回路
131 しきい素子回路網による関数セル
132 不揮発性メモリ回路
Claims (12)
- 関数機能再構成可能な半導体装置であって、
関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、
各関数セルは複数のしきい素子を有し、
各しきい素子は、電位駆動型非線形素子と、当該電位駆動型非線形素子に電位を与える端子と、当該電位を与える端子に容量結合された複数の端子とを有し、
前記複数のしきい素子の中の少なくとも1つのしきい素子は、前記電位駆動型非線形素子に電位を与える端子と所定の電位を有する端子との間にスイッチを有し、
前記スイッチを制御することにより、前記しきい素子のしきい値を保持することを特徴とする半導体装置。 - 前記半導体装置は、関数機能を構成するためのデータを記憶する不揮発性メモリを各関数セル内に有する請求項1に記載の半導体装置。
- 前記複数の関数セルは、接続状態を切り替えることを可能とする複数の配線により接続される請求項2に記載の半導体装置。
- 前記半導体装置は更に少なくとも2つの制御系を有し、
前記関数セルにおける各しきい素子は、前記配線を介して各制御系に接続され、 該制御系のうち少なくとも1つの制御系が、前記不揮発性メモリに接続される請求項3に記載の半導体装置。 - 前記各関数セルは、少なくとも1つのしきい素子を有する段を、複数段接続して構成される請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記しきい素子は、処理されるべき入力信号を入力する第1の入力部と、関数機能を構成するための制御信号を入力する第2の入力部とを有し、第2の入力部から入力された該制御信号により前記しきい値を設定し、その設定されたしきい値に応じて第1の入力部から入力された入力信号に対する出力値を決定する請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記少なくとも1つのしきい素子は、
前記複数の端子のうちの少なくとも1つの端子にスイッチとして機能する素子 を有し、
該スイッチとして機能する素子を制御して、該少なくとも1つの端子における信号入力側又は所定の電位を有する端子のうちのいずれか一方に接続状態を切り替える手段を有する請求項1に記載の半導体装置。 - 前記電位駆動型非線型素子はインバータ回路である請求項7に記載の半導体装置。
- 前記インバータ回路はCMOSインバータ又は抵抗負荷型インバータである請求項8に記載の半導体装置。
- 関数機能再構成可能な半導体装置であって、
関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、
各関数セルは複数のしきい素子を有し、
複数のしきい素子の中の少なくとも1つのしきい素子は、
基板上に第1の導電型の半導体領域と、
該半導体領域内に設けられた第2の導電型の半導体であるソース及びドレイン領域と、
前記ソース及びドレイン領域を隔てる領域上に絶縁膜を介して設けられたフローティングゲート電極と、
該フローティングゲート電極と絶縁膜を介して接続された複数の入力ゲート電極とを有し、
該フローティングゲート電極は、導通と遮断又は電気的に高インピーダンスの2つの状態を取り得る素子を介して第1の電位を有する端子に接続され、
該入力ゲート電極は、該半導体装置に設けられた少くとも2つの異なる入力制御部によって制御され、
該入力ゲート電極の少くとも1つを、関数機能を構成するためのデータを入力する入力線又は第2の電位を有する端子のうちのいずれか一方に接続することを可能にする切り替えのための素子を有することを特徴とする半導体装置。 - 関数機能再構成可能な半導体装置であって、
関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、
各関数セルは複数のしきい素子を有し、
前記しきい素子におけるしきい値を変えることにより関数セルが実現する論理を変えるようにした半導体装置であり、
前記しきい素子は、複数の入力端子と、過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子と、非線型素子とを有し、
該複数の入力端子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子に容量を介して接続され、該非線型素子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子の電位を入力とし、
前記しきい素子は更に、
前記過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子と第1の所定の電位を有する端子との間に第1のスイッチを有し、
前記複数の入力端子のうちの少なくとも1つの端子に第2のスイッチが接続され、
該第2のスイッチを、該少なくとも1つの端子における信号入力側又は第2の所定の電位を有する端子のうちのいずれか一方に接続状態を切り替える手段を有することを特徴とする半導体装置。 - 関数機能再構成可能な半導体装置であって、
関数機能を構成する基本単位である関数セルを複数個有し、
各関数セルは複数のしきい素子を有し、
各しきい素子はしきい値を保持する手段を有し、
該しきい値を変えることにより関数セルが実現する論理を変えるようにした半導体装置であり、
前記しきい素子は、複数の入力端子と、過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子と、非線型素子とを有し、
該複数の入力端子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子に容量を介して接続され、該非線型素子は該過渡的に電気的絶縁状態と見なせる端子の電位を入力とし、
前記非線型素子はインバータ回路であり、該インバータ回路はCMOSインバータ又は抵抗負荷型インバータであることを特徴とする半導体装置。
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