JP3573570B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化する磁気共鳴イメージング(MRI)装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
典型的なMRI装置の構成を説明する。MRI装置は、被検体の周囲を取り巻く空間に静磁場を発生する磁石と、その空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイルと、その領域に高周波磁場を発生するRFコイルと、被検体から発生するNMR信号を検出するRFプローブとを備えている。傾斜磁場コイルは、X、Y、Zの3方向の傾斜磁場コイルで構成され、傾斜磁場電源からの信号に応じてそれぞれ傾斜磁場を発生する。RFコイルはRF送信部の信号に応じて高周波磁場を発生する。RFプローブによって受信された信号は、信号検出部で検出され、信号処理部で信号処理されるとともに計算により画像信号に変換される。画像は表示部で表示される。傾斜磁場電源、RF送信部、信号検出部は制御部で制御される。これらの各部分の動作のタイムチャートは一般にパルスシーケンスと呼ばれている。なお、被検体を横たえ撮影位置へ移動するために寝台が備えられている。
【0003】
現在MRIの撮影対象は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質、プロトンである。プロトン密度の空間分布や、励起状態からの核スピンの緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態、または機能を2次元若しくは3次元的に撮影する。撮影された画像の空間分解能は、現状では、256、512等が用いられている。
【0004】
次に、MRI装置による撮影方法を説明する。MRI装置の代表的な高速シーケンスとしてエコープレナーシーケンス(EPI:Echo Planar Imaging、以下EPI法と記す。)がある。EPI法は、図2に示すように、検知する磁化を含む被検体に高周波パルス201を照射すると同時に、スライスを選択する傾斜磁場パルス202を印加する。これにより被検体において画像化するスライスが選択される。次に位相エンコードのオフセットを与えるパルス203と読み出し傾斜磁場のオフセットを与えるパルス205を印加する。その後に、連続して極性が反転する読み出し傾斜磁場パルス206を印加する。傾斜磁場パルス206は台形のパルスである。傾斜磁場パルス206に同期して、位相エンコード傾斜磁場パルス204を離散的に印加する。極性が反転する読み出し傾斜磁場206の各周期内で各位相エンコード量が付与されたエコー信号207が時系列的に発生するので、これを時間範囲208の間各々サンプリングし時系列データを得る。こうして得られた各エコー信号から画像を再構成する。時間範囲208は典型的には各々が1ms程度である。時間範囲208の隣接する間隔は0.5msから1ms程度である。一連の動作209により画像再構成に必要な全エコーを収集する。撮影する断面は、スライス方向の傾斜磁場202で決定される。同一断面を連続して撮影する場合、磁化の回復を待つため、時間210だけ待ったあと、動作209を繰り返す。時間210は典型的には、1秒から2秒で、動作209が要する時間は、100ms程度である。
【0005】
EPI法には、分割型EPI法も提案されており、これは図2の動作209で、一部分のみの位相エンコードデータを取得し、次に位相エンコードのオフセットを与えるパルス203を変化させながら(図中点線で示す)動作209を繰り返し、残りのエコー信号207を取得する。分割型EPI法は、動作209を繰り返すため1枚の画像を取得するためのデータ取得時間は長くなるが、動作209内で取得するエコー207の数が減り、動作209自体は短時間になる。この結果、209の後半におけるエコーの信号の低化が少なくなり、高画質の画像が取得できる。
【0006】
このようにMRI装置では、傾斜磁場パルスにより異なる位相エンコードを与え、それぞれの位相エンコード(204のそれぞれ)で得られるエコー信号を検出している。位相エンコード204の数(すなわちエコー208の数)は通常1枚の画像あたり128、256、512等の値が選ばれる。各エコー208は通常128、256、512、1024個のサンプリングデータからなる時系列信号として得られる。これらのデータを2次元フーリエ変換して1枚のMR画像を作成する。
【0007】
MRIの信号取得手順は、当業者の間では、一般にk空間軌跡(図3)を使って、表わされる。k空間は、横軸が読み出し傾斜磁場印加量、縦軸が位相エンコード量を示している。k空間の座標は(kx,ky)で表わされ、空間の中心が、(0,0)である。図2のシーケンスのk空間軌跡は図3に示すように、1エコーをサンプリングしたデータが、データの取得順にk空間の横軸に沿って複素データ(検出信号そのもの)として軌跡上に配置される。1エコー分のデータ列が、丁度、軌跡の横1列分に相当する。また、位相エンコードパルスを印加する毎に、縦軸方向に軌跡はシフトする。ワンショットEPI法では、k空間を一筆書き状に空間を走査する。走査線上のデータを公知の反転処理、位相補正処理を行ったあと、2次元FFTすることで、実空間での画像を得る。一般的に、EPI法における位相補正処理は図6に示すように、プリスキャン(a)を行って、そのプリスキャンデータを用いてその後の本スキャン(b)のデータを補正する方法が行われている。
【0008】
近年、脳の局所活性化を時系列のMR画像の局所のわずかな信号変化から抽出するFMRI(Functional MRI)が、実用化されつつある。このFMRIでは、被検体のわずかな動きが、信号解析時に問題となることが指摘されている。そこで、この動きによる画像間の位置ずれを、後処理により補正する方式が提案されている。(Medical Imaging Technology,メディカル・イメージング・テクノロジー、13巻4号pp583−584「MR機能画像のための相関画像処理」、大宮淳ほか(1995年7月))この方式は、2枚の画像間の位置ずれを、周波数空間(k空間)の原点付近の情報を使って、検出・補正するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
発明者等の検討によれば、上記生体の動きの他に、本来動きがないはずの被検体(例えば生体等価ファントム)を撮像した場合にも、装置の特性の変動から、被検体がわずかに動いて見える場合があった。このような動きは、特に、位相エンコード方向に見られ、その大きさは、0.5から1.0絵素程度であった。
【0010】
このようなものに対しても、上記動き補正を施すことにより補正可能ではあるが、MRI装置内で高速で処理するには、より簡便な指標を使った単純な位置補正アルゴリズムが求められた。しかし、従来技術では、このような特殊な位置変動に対してアルゴリズムの最適化はされていなかった。また、MRI装置に組み込む観点からの詳細な検討も報告されておらず、MRI装置への搭載に、一層適した位置補正方式が求められていた。
【0011】
本発明は上記に鑑みて成されたもので、撮像中に時間経過とともに生ずる装置の特性変動による画像の位置ずれや歪を補正する新規の手法を提供し、それによりFMRIの精密な画像が得られるMRI装置を提供することを目的として成されたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、検知する磁化を含む被検体に高周波パルスを照射し前記被検体内の核スピンに横磁化を付与する手段と、横磁化が付与された前記核スピンに位相エンコード傾斜磁場と読み出し傾斜磁場を印加する手段と、エコー信号を時系列的に検出する手段と、検出されたエコー信号から前記被検体のスライス画像を再構成する手段を有した磁気共鳴イメージング装置において、前記被検体の同一部位をエコープレナーシーケンスで撮影し多数の画像を得る際に、各画像に対応する信号のうち前期位相エンコード傾斜磁場による位相エンコード量がゼロである信号の位相値、および、前記高周波パルス印加時刻と前記位相エンコード量がゼロである信号の取得時刻の時間差から単位時間あたりのエコー信号の位相回転量を画像毎に算出し、この算出した位相回転量から位相エンコード量がゼロおよび非ゼロの各エコー信号の位相補正量を画像毎に決定し、各エコー信号の位相補正を画像毎に行う手段を備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。先ず、図4を用いて本発明を実施するためのMRI装置の構成を説明する。図4において、401は被検体であり、頭部を検査のために計測空間に置かれている。402は静磁場発生用磁石装置であり、所定空間領域に均一磁場を発生するものである。この静磁場発生用磁石装置402は超電導磁石、常電導磁石または永久磁石を磁場発生源とした各種の方式のものが用いられる。403は傾斜磁場コイルで、計測空間において静磁場へ重畳するように、かつその計測空間内において直交する3方向へ傾斜磁場を発生するもの、404は計測空間に置かれた被検体401へ電磁波を照射するためのRFコイル、405はRFコイル404からの電磁波により核磁気共鳴を起こした被検体内の核スピンから生ずる信号を検出するRF受信コイル、406はRF受信コイル405で検出された信号に対し増幅、検波、A/D変換を行う信号検出部、407は信号検出部406からの信号を用いて各種の処理及び計算を行い画像データを作成する信号処理部、408は信号処理部407で作成された画像データを表示するCRT等を有した画像表示部、409は傾斜磁場コイル403へ電力を供給する傾斜磁場電源、410はRF送信部で、RFコイル404から被検体401へ照射される電磁波に対応した信号を作成するもの、411は制御部で、傾斜磁場電源409、RF送信部410、信号検出部406、信号処理部410等をシステム的に制御するとともに、被検体401から信号を検出するパルスシーケンスの実行を制御するもの、412は被検体401を支持するとともに、被検体401の検査部位を計測空間へ移動する寝台である。
【0014】
次に、ワンショットEPI法を用いて被検体の同一部位を連続的に撮影する際の装置の動作を説明する。検知する磁化を含む被検体401に撮像スライスを選択する傾斜磁場パルス202を印加するとともに高周波パルス201を照射する。これにより被検体401において画像化するスライスが選択される。すなわち、被検体401のスライス内の核スピンのみを選択的に励起する。次に位相エンコードのオフセットを与えるパルス203と読み出し傾斜磁場のオフセットを与えるパルス205を印加する。位相エンコードのオフセットはk空間おけるエコー信号の書き込みのスタート位置を設定するもので、また読み出し傾斜磁場のオフセットはエコー信号を発生させるための準備としての核スピンのディフェーズをするためのものである。
【0015】
その後に、連続して極性が反転する読み出し傾斜磁場パルス206を印加する。傾斜磁場パルス206は台形のパルスである。傾斜磁場パルス206の極性変化点に同期して、位相エンコード傾斜磁場パルス204を離散的に印加する。このように位相エンコード傾斜磁場204と読み出し傾斜磁場206とを印加すると、207で示すようにエコー信号207が発生する。
【0016】
極性が反転する読み出し傾斜磁場206の各周期内で各位相エンコード量が付与されたエコー信号207が時系列的に発生するので、これを時間範囲208(2081,2082,・・・の各々のサンプリング期間)の間に各々サンプリングし時系列データを得る。こうして得られた各エコー信号はk空間に書き込まれ、そのデータを2次元フーリエ変換して画像を再構成する。サンプリング期間208は典型的には各々が1ミリ秒程度であり、サンプリング期間208の隣接する間隔(サンプリングをしない期間)は0.5ミリ秒から1ミリ秒程度である。図2に示すRFパルス201を印加してから209として示した時間内に画像再構成に必要な全エコーを収集する。撮影する断面は、RFパルス201の周波数とスライス方向の傾斜磁場202で決定されるので、同一断面を連続して撮影する場合は、それ等を同じにして図2のパルスシーケンスを繰り返す。ただし、磁化の回復を待つため、所定時間だけ待ったあと、パルスシーケンスを繰り返す。その待ち時間は典型的には、1秒から2秒で、パルスシーケンスを1回実行するに要する時間209は、100ミリ秒程度である。
【0017】
以下、図1と図5を用いて本発明の信号補正方法を説明するが、初めにその原理を説明する。k空間軌跡上で、位相エンコード量を0として計測した信号、すなわちky=0の信号は、ky軸方向に被検体を投影したデータに対応する。そして、被検体の巨視的な状態が変わらない限り、連続する画像同志でky=0の信号は同一の信号として得られるはずである。しかし、実際に連続した複数枚の画像についてky=0上の信号の位相を調べて見ると、画像間で位相差があることが判明した。また、この位相差と、再構成後の画像のky方向の位置ずれ量が対応することも明らかになった。そこで、本発明では、図6の紙面右側に示すように、この位相差を使って、画像の位置ずれを戻す。
【0018】
図5は、EPIによる連続画像取得を模式的に示した図である。まず、プリスキャンデータ501を取得する。プリスキャンデータは、例えば、図2のシーケンスにおいて、位相エンコードを付与しないで取得した各エコー信号のデータから成る。このプリスキャンデータを用いて、装置固有の特性に起因する位相オフセット等を補正する。本補正は、原理的には、P0,P1補正として公知の補正と同様の補正効果があり、Tj(0,0)の位相値はすべて0になる。ここにjは画像番号であり、図5において、jは1からM迄の値となる。次に図2に示すパルスシーケンスをM回続けて実行し、連続したM枚分の画像データとしての本スキャンデータ502を取得する。本スキャンデータ502は、それぞれについて横方向(kx方向)にのみフーリエ変換し、Tj(x,ky)(503)を得る。図5に示すデータ503の横軸はx、縦軸は位相エンコード量kyである。各データ503のうちの図中×印を付した点(0,0)は、本来位相が一定であり、どの画像も等しくなるはずであるが、現実には変化する。この位相変化は、エコー信号を検波する際の基準周波数f0や傾斜磁場波形の不安定性、被検体自体の不本意な動き等が原因と推定される。
【0019】
次に、ky=0の信号の位相差と、画像上の被検体揺らぎの関係を説明する。撮影シーケンス(図2)において、ky=0のエコー2071の中心とRFパルス201の中心との時間211は、エコー時間TEと呼ばれる。また、第1エコーまでの時間211を待ち時間WTとし、ky=0のエコー番号をn(0)とする。発明者らの検討の結果、前記位相変化は、これらの値と関連することがことがわかった。また、ky≠0のエコーについても、本来位相エンコード量のみによって付与される位相以外に、各エコーの取得時刻とRFパルス201の印加時刻の時間差に比例する量の位相が付加されていた。そこで、本発明は、これらの付加的な位相回転を除去するものである。
【0020】
以下、その位相補正を順序立てて説明する。
【0021】
図1は本発明の信号補正方法のフローチャート図であり、図5は図2のパルスシーケンスを用いて被検体の同一部位の画像を経時的に連続してM枚撮影する手順を示す図である。先ず図5により撮影手順を説明する。撮影はプリスキャンから始める。このプリスキャンでは、図2のパルスシーケンスにおいて位相エンコードを付与しない(Ge=0)で各エコー信号のデータ計測を行う。このプリスキャンデータをその後の撮影の本スキャンで計測したデータと対応付けて補正に用いる。プリスキャンによって得られた各エコー信号のデータは、k空間に書き込まれ、そして読み出し方向にフーリエ変換される。フーリエ変換されたデータTp(x,ky)はメモリへ記憶される。ここでpはプリスキャンを意味する。
【0022】
次いで被検体の1枚目(j=1)の画像撮像のための本スキャンを実行する。この本スキャンは、前記プリスキャンと同一断面の核スピンをスライス方向傾斜磁場202とRFパルス201とを印加して選択励起し、位相エンコード傾斜磁場(Ge)203,204および読み出し傾斜磁場(Gr)205,206を印加してエコー信号207をサンプリング期間208の各々について計測し、k空間に記憶する。このk空間への書き込みの際に、前記プリスキャンの信号との対応が取れるようにしておく。そして得られた1枚目の画像の本スキャンデータS1(kx,ky)を読み出し方向(kx方向)にフーリエ変換するとともに、プリスキャンデータTp(x,ky)を用いて位相補正を行いT1(x,ky)を得る。次に、ky=0すなわち位相エンコードを0とした(エコー信号が最大となる。)エコー2071のエコー取得番号n(0)[図2ではn=2となる。]と、T1(0,0)の位相phs0(1)から、位相エンコードステップ当たりの位相回りphs(1)を計算する。
【0023】
この計算に用いる計算式を一般化したものを数1として示す。
【数1】
【0024】
ここに、TEはエコー時間と呼ばれ、図2において符合211で示す。またWTは待ち時間と呼ばれ、RFパルスの印加から第1エコーが生ずるまでの時間で、図2において符合212で示す。この式1は、phs0(j)がエコー信号の何番目のものであって、そのエコー信号が生ずるまでにエコー時間の何倍の時間が掛かったかによりエンコードの1ステップ当たりの位相ずれを推定しているものである。
【0025】
次に、T1(x,ky)に対し、位相エンコードステップ毎に位相補正を行い、T1´(x,ky)を得る。
【0026】
この計算に用いる計算式を一般化したものを数2として示す。
【数2】
【0027】
個々に、Re[Tj´(x,ky)]は位相補正後の信号の実部、Re[Tj´(x,ky)]は虚部、iはエンコードステップ、nはエコー番号、jは画像番号である。この式2は、式1で計算したエンコード1ステップ当たりの位相ずれが各エンコード量に比例するものとして位相補正を行っていることを示している。
【0028】
そして、補正後の信号T1´(x,ky)を位相エンコード方向にフーリエ変換をし、画像U1(x,y)を得る。画像U1(x,y)は位相補正されたものとなる。
【0029】
以上は、1枚目の画像の本スキャンで得られた信号に対しての信号補正について述べたが、2枚目、3枚目、…、j枚目、…、m枚目の本スキャンの計測信号についても同様に信号補正を行うことができる。
【0030】
上記発明の実施形態においては、2次元のワンショットEPIについての適用方法を述べたが、3次元イメージングにも拡張できる。また、マルチショットEPIにも適用できる。また、スパイラルスキャン法やGRSE(Gradient and spin echo)法など、EPIと類似の撮影シーケンスにも適用できる。
【0031】
【実施例】
ワンショットEPIのダイナミックスキャンにおいて、撮影条件が、n(0)=8、TE=18ms、WT=10msで、連続して100枚の画像をTR=2秒で撮影した。被検体は、円柱状の生体等価ファントムである。画像マトリックスは、128×64(読み出し方向×位相エンコード方向)である。位相エンコードの数の足りない分は、公知の方法(ハーフフーリエ法)で外挿した。100枚の画像間の位相エンコード方向の位置の変動は、1.3絵素(peak to peak)であった。最も位置変動がある画像jの位相phs0(j)の実測値は、8.2degであった。したがって、式1にしたがって、phs(j)=0.82degを得、式2にしたがって、各信号を補正した。同様に、すべての画像のデータを、本発明のアルゴリズムで処理した結果、100枚の画像間の位相エンコード方向の位置の変動は、0.17絵素(peak to peak)に、抑制できた。
【0032】
被検体として、頭部断層像を用いたり類似の実験でも、本発明のアルゴリズムを適用した結果、100枚の画像間の位相エンコード方向の位置の変動は、0.17絵素(peak to peak)に抑制できた。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、FMRIの様に連続的に被検体をMRI装置によって撮像し、得られた複数枚の画像間でデータ処理を行って被検体を検査する場合に、稼働時間の経過とともに現われる装置の特性の変化により、画像データに生ずる位相誤差を補正することができる。したがって、FMRIの正確な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における信号の補正手順を示すフローチャート図。
【図2】本発明を実施する際に信号を計測するパルスシーケンスの一例を示す図。
【図3】k空間への計測信号書き込み軌跡を示す図。
【図4】本発明を実施するMRI装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】本発明のプリスキャンと本スキャンとの間の信号処理を示す図。
【図6】EPI法における位相補正法を示す図。
【符号の説明】
201 RFパルス
202 スライス方向傾斜磁場
203,204 位相エンコード傾斜磁場
205,206 読み出し傾斜磁場
207 エコー信号
208 サンプリング期間
Sj(kx,ky) j枚目の画像のk空間上のデータ
Tj(x,ky) Sj(kx,ky)をkx方向にフーリエ変換するとともにプリスキャンデータで補正したデータ
Uj(x,y)…画像。
Claims (1)
- 検知する磁化を含む被検体に高周波パルスを照射し前記被検体内の核スピンに横磁化を付与する手段と、横磁化が付与された前記核スピンに位相エンコード傾斜磁場と読み出し傾斜磁場を印加する手段と、エコー信号を時系列的に検出する手段と、検出されたエコー信号から前記被検体のスライス画像を再構成する手段を有した磁気共鳴イメージング装置において、前記被検体の同一部位をエコープレナーシーケンスで撮影し多数の画像を得る際に、各画像に対応する信号のうち前期位相エンコード傾斜磁場による位相エンコード量がゼロである信号の位相値、および、前記高周波パルス印加時刻と前記位相エンコード量がゼロである信号の取得時刻の時間差から単位時間あたりのエコー信号の位相回転量を画像毎に算出し、この算出した位相回転量から位相エンコード量がゼロおよび非ゼロの各エコー信号の位相補正量を画像毎に決定し、各エコー信号の位相補正を画像毎に行う手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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