JP3573247B2 - ランプ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光管を使用するランプの構造に関し、特に溶着を使用する電極の封止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
発光管を使用するランプの電極構造としては、代表的なものとして、図4に示す石英の発光管を利用するランプのように、先端部にタングステンのコイル固定したタングステンのシャフトからなる内部電極と外部端子用の外部電極をモリブデン箔を介して導通可能に連設し、この電極部分を発光管内方と外方を気密にするために、発光管の端部を加熱しながら電極と共に溶着しているものがあげられる。
【0003】
また、より優れた点灯特性、例えば点光源を得るためには、石英リッチな部分からモリブデンリッチな部分に除々に組成を傾斜させたほぼ円柱形状を有する傾斜機能材料を用い、電極間距離を短くし、発光管内の内圧を上げるといったような種々の技術も考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、モリブデン箔を用いた電極構造の場合には、石英発光管との溶着部分は、通常内部電極を構成するタングステンシャフト部分の一部も同時に溶着している為、溶着時やランプ点灯、消灯時の熱サイクル変化で、石英とタングステンの熱膨張係数の違いにより、クラックを生じる問題があった。
【0005】
これに対しては、例えば特開昭63ー228563号のように、溶着されるシャフト部分の長さとシャフト径を規定して回避を行うといった技術も提案されているが、製造に精度を要求されるために工程が煩雑になり、さらに径の大きいものには対応できないと言った問題点があった。また、タングステンシャフトと石英との間にクリアランスが出来るように設計することでも回避し得るが、この場合には、クリアランス部分に入り込んだ発光物質が発光に寄与しなくなる、もしくは全く発光に寄与しないのではなく、時々発光に寄与するといった原因の為、所望のランプ特性が得られなくなるといった問題があった。
【0006】
本発明は、ランプ特性の変化を低減させるとともに、ランプの破壊の起点となりうるクラックを防止しうるランプを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明では、発光管の開口部を密封する封止部材と、封止部材と接合して発光管の内部へ突出する電極とを有するランプに対して、封止部材と電極との接合部に、粒子が互いに一部で溶着し粒子間に空間が形成された中間層を設け、封止気体の進入を防ぎつつクラックを中間層(脆弱層)に止めることにより、ランプ特性の変化を低減し、ランプの溶着や点灯消灯時の熱サイクル変化で熱膨張係数の違いから発生するクラックを防止することができる。
【0008】
封止部材と電極との接合部は、接合部部分が脆弱であるように構成してもよく(封止部材もしくは電極と同じ材質でも可)、また、脆弱な部分の構成しやすさや生産性のメリットから、脆弱であるような中間層を設けてもよい。中間層を設けるような場合においては、中間層の成分を(封止部材を兼ねる)接続部材側および内部電極シャフト側に対し、少なくとも封止後は脆弱な中間層を形成するような成分や構成を選択することにより、接続部材が収縮する際に発生する接続部材側のクラックに対し、中間層が剥離または中間層のクラックに止め、(封止部材を兼ねる)接続部材側のクラックを防止することができる。例えば、電極表面もしくは封止部材表面との接合強度について、どちらか一方との接合強度が弱く、前記のようなクラック防止を期待できる成分を選択することができ、また中間層自体の強度が内部電極および封止部材より低いものも選択できる。具体的成分としては、強度と耐熱温度等の条件を考慮し、W,Mo等が望ましいが、前記の性質を有する成分であればこれ以外でもよい。
【0009】
中間層の厚みに関しては、中間層が厚い場合には、内部電極シャフトと封止部材との間で、塊としての性質を示し中間層自体の熱膨張によりクラックを発生させる可能性もある為、薄い方が好ましい。中間層の好適な膜厚としては、200μm以下が望ましい。
【0010】
なお、中間層を設けるような場合において、特に、前記封止部材が開口部を密封する部分では、絶縁性材料の存在比が前記導電性材料の存在比より大なる傾斜機能材料を用いているが故に、絶縁性部分と電極間に空間を設けて熱膨張係数の違いによるクラック発生を防止しているようなランプに対しては、上記空間への封止気体の進入を防ぐことにより、ランプ特性の向上も期待できる。
【0011】
次に、中間層を設ける場合の製造方法としては、クラック防止を良好に行う為に均一に、かつ複雑な形状に対しても容易に、行える方法がよい。前記の目的を実現できる手法であれば何れでもよいが、例えば、予め内部電極シャフトの外表面に中間層の成分をペースト刷毛で均一な巻厚になるように塗布したり、ディッピングをもちいて塗布するようにし、乾燥・焼成工程を経る方法がある。なお、中間層の厚みに関しても、上記製造方法により好適な厚みを得ることが可能となる。
【0012】
このように、本発明によれば、電極と封止部材との溶着部分に中間層(脆弱層)を設けるという簡便な方法により、ランプの破壊の起点となりうるクラックを防止すると同時に、ランプ特性の変化の小さいランプを得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下に本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下に説明する実施例は封止部材材料として石英を用い、中間層を設けたものであるが、本発明の実施はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1に、本発明の一実施形態に係るランプの電極構造を示す。図1は、傾斜機能材料から電極構造を利用したランプであって、参照符号1は、発光部1a、端部1bを有する石英からなる発光管であって、発光部側に臨むタングステンのシャフトの先端にタングステンコイルを固定した内部電極2と発光管外部に臨むタングステンからなる外部電極3を有する傾斜機能材料からなる(封止部材を兼ねる)接続部材4を発光管端部1b内に位置させ、接続部材の石英部分を発光管端部内方部分に溶着させ、発光管内部と外部とを気密に封止している。なお、発光管内部には、Hg、メタルハライド、希ガスなど所望の発光物質を導入している。
【0015】
図2に、電極の拡大図を示す。石英リッチ部分5からモリブデンリッチ部分6を有する接続部材4の石英リッチ部分には、先端部分をモリブデンリッチ部分に固定され、表面に中間層7となるモリブデンの被膜を有する内部電極を構成するタングステンシャフトが、位置している。各組成のリッチ部分の間には、双方の組成が除々に傾斜したものとなっている。
【0016】
この中間層は、図3に示す通り、モリブデン粒子が完全に焼結した状態になく、粒子が互いに一部で溶着した状態(点接触)であり、粒子間に空間が形成されている。(封止部材を兼ねる)接続部材に面した側は、接続部材の石英が溶融し、上記粒子間に入り込み中間層と強固な結合を形成しているが、一方、内部電極に面した側は、上記点接触にある粒子同士または粒子とタングステンが点接触状態で接合されるといった脆弱な状態となる。このため、タングステンの収縮によるストレスは、上記点接触にある粒子とタングステンの接合を外すこと(粒子上をタングステンが滑るように移動)で開放され、粒子間隙を伝わって接続部材の石英側まで亀裂として伝わることはなくなる。また、接続部材の石英側のモリブデン粒子は、粒子一つ一つが自由度を持っているので、粒子自体が収縮してもそのストレスを伝達することがなくなる。
【0017】
中間層の製造方法としては、内部電極のタングステンシャフトの外表面にモリブデン等のペースト刷毛で均一な巻厚になるように塗布したり、ディッピングをもちいて塗布するようにし、乾燥機で、十分に乾燥させた後、1100℃〜1500℃位で仮焼しておき、その後、モリブデンと石英の混合スラリーを円盤状の石膏型の上に載置したアクリル筒内に注入して成型した円柱状の傾斜機能材料の石英リッチ側の中心にモリブデンリッチ層までのびる孔を穿設し、その孔内に前記モリブデン薄膜を形成した内部電極を挿入し、真空炉で焼成することにより得られる。
【0018】
なお、封止部材の径が大きくなった場合、電極周囲の熱膨張係数の違いにより、クラックを発生するおそれがあるので、接合部全てを中間層(脆弱層)として構成することが望ましい。
【0019】
以上の傾斜機能材料を用いた本実施例に関しては、従来のモリブデン箔を接続部材に用いたものの場合にも同様に適用できる。特に、従来からの単純にモリブデン箔と電極を封止に用いた方法に対し、傾斜機能材料接続部材のモリブデンリッチ側において、モリブデン箔と接続部材との間で広い通電可能な接触面積を確保できる為、より良好な通電特性を得ることができる。
【0020】
次に、上記実施例によるランプのクラック防止効果とランプ特性変化の低減の実施結果を述べる。
【0021】
表1に表面に中間層を形成した径の異なるタングステンシャフトを用いて、シリカとともに溶着し、クラックを実体顕微鏡にて観察した結果を示す。中間層を形成しなかったタングステンを同様に評価したところ全てクラックが生じた。
【0022】
【表1】
【0023】
また、表2にタングステンシャフトと石英との接触を空間を形成することで回避した傾斜機能材料からなる接続部材を用いて、ランプ特性評価を以下の条件にて製造し、中間層を設けたものと設けないものを比較した結果を示す。中間層を設けたものは、無いものに比べ、空洞が無いので、蒸発水銀量が多くランプ電圧が高くなっている。また、水銀蒸気が最冷部となる空間に溜らないので、点灯後における電圧低下が少なくなっている。結果的に良好な点灯特性を得ている。
【0024】
【表2】
【0025】
以上のように、上記実施例によれば、ランプの破壊の起点となりうるクラックを防止すると同時に、ランプ特性の変化の小さいランプを得ることができる。こうして得られたランプは、例えばランプ特性の変化が測定結果に影響する光学式測定における照明等にも好適となる。
【0026】
なお、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るランプの断面図
【図2】本発明の一実施形態に係るランプの断面拡大図
【図3】本発明の一実施形態に係る中間層の拡大図
【図4】モリブデン箔を電極に利用した従来のランプの例
【符号の説明】
1…発光管、 1a…発光管の発光部、 1b…発光管の端部、 2…内部電極、 4…接続部材、 5…石英リッチ部分、 6…モリブデンリッチ部分、 7…中間層。
Claims (5)
- 発光管の開口部を密封する封止部材と前記封止部材と接合して前記発光管の内部へ突出する電極とを有するランプにおいて、前記封止部材と前記電極との接合部に、粒子が互いに一部で溶着し粒子間に空間が形成された中間層を有することを特徴とするランプ。
- 発光管の開口部を密封する封止部材と前記封止部材と接合して前記発光管の内部へ突出する電極とを有し、かつ前記封止部材は導電性材料と絶縁性材料とを含有するとともに、前記封止部材が開口部を密封する部分では、絶縁性材料の存在比が前記導電性材料の存在比より大なる傾斜機能材料を用いたランプにおいて、前記封止部材と前記電極との接合部に、粒子が互いに一部で溶着し粒子間に空間が形成された中間層を有することを特徴とするランプ。
- 前記接合部は、前記封止部材の少なくとも絶縁性を呈する部分と電極との間で構成されることを特徴とする請求項2記載のランプ。
- 前記中間層は、Mo、Wを含有することを特徴とする請求項2記載のランプ。
- 発光管の開口部を密封する封止部材と前記封止部材と接合して前記発光管の内部へ突出する電極とを有し、前記封止部材と前記電極とを共に溶着することで密封するランプの製造方法において、前記封止部材は導電性材料と絶縁性材料の存在比を徐々に傾斜させた傾斜機能材料からなり、発光管の開口部については前記傾斜機能材料の絶縁性材料の存在比が大きな部分で密封し、また前記封止部材と前記電極との接合部に、粒子が互いに一部で溶着し粒子間に空間が形成された中間層を設け、この中間層は、予め前記電極の外表面に粒子ペーストを塗布し、1100℃〜1500℃で仮焼した後、前記封止部材に穿設した孔内に前記粒子ペーストを塗布した電極を挿入し、更に焼成することで形成することを特徴とするランプの製造方法。
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JP32050097A JP3573247B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | ランプ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP32050097A JP3573247B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | ランプ及びその製造方法 |
Publications (2)
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JPH11144681A JPH11144681A (ja) | 1999-05-28 |
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Family Applications (1)
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JP32050097A Expired - Lifetime JP3573247B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | ランプ及びその製造方法 |
Country Status (1)
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JP4585823B2 (ja) * | 2004-09-24 | 2010-11-24 | 東芝ライテック株式会社 | 管球および封止部材 |
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1997
- 1997-11-05 JP JP32050097A patent/JP3573247B2/ja not_active Expired - Lifetime
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