JP3572960B2 - アンテナの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主として、携帯電話機などに備えられるアンテナの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機に代表される携帯機器が普及している。携帯電話機は、通常、アンテナを備えており、このアンテナの性能により携帯電話機としての性能が大きく左右される。そのため、携帯電話機の製造においては、アンテナ性能が所期の性能を達成するように配慮する必要がある。携帯電話機に備えられるアンテナとしては、小型のヘリカルアンテナを挙げることができる。ヘリカルアンテナは、たとえばレーザビームを利用することにより製造することができる。
【0003】
図15は、レーザビームによりヘリカルアンテナを製造する技術を説明するための図である。この製造技術は、たとえば特開平10−22157号公報に開示されている薄膜形成技術を利用している。すなわち、絶縁材からなる円筒80の外周面に形成されている導電膜81をレーザヘッド82から照射されるレーザビームLで除去し、螺旋状のアンテナパターンAPを円筒80の外周面に形成する。
【0004】
より詳述すれば、図16(a)に示すように、円筒80の半面80aをレーザヘッド82に対向配置する。レーザヘッド82から照射されるレーザビームLの走査範囲Cは、二点鎖線で示すように、円筒80の半面80a全体をカバーする範囲に設定される。そして、レーザヘッド82に対向している半面80aを、たとえば回動軸Bに対して斜めに交差する方向に沿ってレーザビームLで走査する。その結果、当該半面80aにおけるアンテナパターンが形成される。
【0005】
その後、円筒80を反転し、図16(b)に示すように、円筒80の反対側の半面80bをレーザヘッド82に対向させる。そして、この状態で当該半面80bを上述と同様に回動軸Bに対して斜めに交差する方向に沿ってレーザビームLで走査する。こうすることにより、円筒80の外周面全体に螺旋状のアンテナパターンAPを形成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の従来技術では、たとえば、平面図である図17に示すように、円筒80の断面に平行な平面に対するアンテナパターンAPの傾斜角度Eが大きい場合、レーザビームLの走査範囲Cの境界付近においては、断面図である図18に示すように、レーザビームLが円筒80の外周面に対して斜めに当たる。
【0007】
したがって、レーザビームLの走査範囲Cの境界付近において除去される導電膜81の幅d1は、レーザビームLがほぼ垂直に当たる場合に除去される導電膜81の幅d2よりも大きくなる。その結果、図17に示すように、本来ならば破線で示される幅で導電膜81を除去したいのに、破線よりも広い実線で示される幅の導電膜81が除去されることになる。したがって、不必要な導電膜81まで除去することになる。この場合、アンテナパターンAPを所期のパターンと一致させることができなくなる。ゆえに、アンテナ性能が所期の性能を発揮しないおそれがある。
【0008】
また、図19に示すように、レーザビームLのビーム幅gは、レーザビームLの焦点深度fを越えると広がるので、レーザビームLの焦点深度fよりも円筒80の半径rが長い場合には、レーザビームLの走査範囲Cの境界付近において除去される導電膜81の幅が広がる。そのため、この場合においても、アンテナパターンAPを所期のパターンと一致させることができなくなり、アンテナ性能が所期の性能を発揮しないという問題がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、導電膜を所期の幅で除去することができ、これにより所期のパターン幅を有するアンテナパターンを形成することができるアンテナの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明は、導電膜が形成された絶縁材からなる本体の外周面をレーザビームで走査して、本体の外周面に本体の軸方向に対して斜めに交差する方向に沿ったパターンを含むアンテナパターンを形成することにより、アンテナを製造する方法であって、上記本体の外周面をレーザビームがほぼ垂直に照射されるような3以上の表面領域に本体の外周方向に沿って分割するとともに本体の外周長を取得し、アンテナパターンとその外周長に基づき、分割された各表面領域ごとの2次元アンテナパターンデータを作成し、表面領域を当該表面領域に対応する2次元アンテナパターンデータに基づいてレーザビームで走査して導電膜を除去し、当該走査終了後、本体を上記分割数に応じた角度だけ軸まわりに回動させ、走査済の上記表面領域に隣接する表面領域を当該表面領域に対応する2次元アンテナパターンデータに基づいてレーザビームで走査して導電膜を除去することにより、アンテナパターンを形成することを特徴とするアンテナの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施形態1に係るアンテナの製造方法が適用されるアンテナ製造装置の概略構成を示す斜視図である。このアンテナ製造装置は、携帯電話機などに備えられる小型のヘリカルアンテナをレーザビームにより製造するものである。製造前のヘリカルアンテナは、斜視図である図2に示すように、外周面に導電膜1が被着された絶縁材からなる円筒2である。このアンテナ製造装置は、円筒2の外周面をレーザビームで走査することにより、斜視図である図3に示すように、螺旋状のアンテナパターンAPを有するヘリカルアンテナ3を製造する。
【0013】
図1に戻って、このアンテナ製造装置は、手動式の角度割出回転装置10と、レーザユニット20と、入力制御装置30とを備えている。角度割出回転装置10は、円筒2を保持するとともに、この保持している円筒2を円周方向Aに沿って回動させるものである。角度割出回転装置10は、平板状の基台11を備えている。基台11の表面には、一対の支持部材12が所定間隔を開けて立設されている。各支持部材12の対向面側には、それぞれ、円形の回動部材13が回動軸Bのまわりに円周方向Aに沿って回動可能に取り付けられている。各回動部材13には、取っ手(図示せず)がそれぞれ取り付けられている。取っ手は、回動部材13を手で回転させるためのものである。また、各回動部材13には、保持部材14がそれぞれ取り付けられている。保持部材14は、円筒2の内部空間に両端からはめ込んで円筒2を保持するものである。
【0014】
角度割出回転装置10はまた、図示しない角度割出機構を有している。角度割出機構は、予め定める単位角度(たとえば15度)ごとに回動部材13を停止させることができる。したがって、単位角度のm倍の角度だけ円筒2を回動させたければ、回動部材13を回動させた後いったん停止させるという動作をm回にわたって繰り返せばよいことになる。
【0015】
レーザユニット20は、レーザヘッド21と、レンズ駆動装置22と、レーザ光源23とを備えている。レーザヘッド21は、角度割出回転装置10に保持された状態の円筒2の上方であって、かつ回動軸Bに沿った方向B1に関しほぼ中央に設けられている。レーザヘッド21は、レンズ24を有している。レンズ駆動装置22は、レンズ24を2次元的に移動させることができるものである。すなわち、レンズ駆動装置22は、保持状態の円筒2の円周方向Aおよび軸方向B1に沿ってレンズ24を往復移動させることができる。レーザ光源23は、レーザヘッド21にレーザビームLを供給するためのもので、たとえばYAG(Yttrium Alminum Garnet)レーザ光源を適用することができる。
【0016】
入力制御装置30は、ユーザが3次元アンテナパターンデータを入力するために用いられる。また、入力制御装置30は、入力された3次元アンテナパターンデータに基づいて、レーザ光源23からのレーザビームLの照射およびレンズ駆動装置22の駆動を制御する。
【0017】
図4は、ヘリカルアンテナの製造方法の流れを説明するためのフローチャートである。ユーザは、まず、製造前処理を実行する。具体的には、ユーザは、図5に示すように、円筒2の外周面を円筒2の円周方向Aに沿ってn個(n≧3;nは整数)の表面領域に等分割し、分割数データを入力制御装置30から入力する(ステップS1)。たとえば、この実施形態1では、円筒2の外周面を円周方向Aに沿って8個の表面領域40a〜40h(以下総称するときは「表面領域40」という。)に等分割する。この場合、ユーザは、レーザビームLが円筒2の外周面に対してほぼ垂直に当たるか否かに基づいて、分割数を決定する。
【0018】
レーザビームLが円筒2の外周面に対してほぼ垂直に当たるか否かは、アンテナパターンの形状、レーザビームの焦点深度および導電膜1の除去幅の要求精度などの分割要素に基づいて決定される。すなわち、アンテナパターンの傾斜角が大きければ、特にレーザビームの照射範囲Cの境界付近において、レーザビームLが円筒2の外周面に対して斜めに当たりやすくなる。また、レーザビームLの焦点深度が浅い場合も同様である。さらに、導電膜1の除去幅の要求精度が高ければ、除去幅の許容範囲が狭くなるから、垂直の度合いの決定に影響する。
【0019】
そこで、ユーザは、これら分割条件に基づいて、レーザビームLが円筒2の外周面に当たる際に、レーザビームLがほぼ垂直に円筒2の外周面に当たる範囲を決定する。そして、この決定された範囲に相当する幅を円筒2の外周長で割ることにより、分割数を決定する。この場合、割り切れないときには許容範囲内で適当に調整することにより、円筒2の外周面を等分割する。また、許容範囲内で調整することができないときには、分割数を増加させる。
【0020】
なお、分割数を3以上としたのは、分割数が少なくとも3以上でなければ、円筒2の外周面をレーザビームLがほぼ垂直に当たるような表面領域に分割することが困難だからである。
【0021】
また、レーザビームLが円筒2の外周面に対してほぼ垂直に当たるか否かの範囲は、たとえば実際に実験を行うことにより得るようにしてもよく、この場合導電膜の除去精度を向上することができる。
【0022】
その後、ユーザは、所望の3次元アンテナパターンのデータを入力制御装置から入力する(ステップS2)。入力制御装置30は、入力された3次元アンテナパターンデータに基づいて、8個の表面領域40ごとに分けられた2次元パターンデータを作成する(ステップS3)。
【0023】
より具体的には、入力制御装置30は、図6に示すように、まず表面領域40aを平面に投影して2次元アンテナパターン40a’のデータを作成する。以後同様にして、入力制御装置30は、表面領域40b〜40hにそれぞれ対応する2次元アンテナパターン40b’〜40h’(説明の便宜上参照符号を使用する。)のデータを作成する。作成された2次元アンテナパターンデータは、2次元アンテナパターン40a’〜40h’の円周方向Aに沿った幅D1、軸方向B1に沿った幅D2およびアンテナパターンの形状を少なくとも含む。
【0024】
前処理終了後、ユーザは、図示しないスタートキーを操作して、アンテナの製造開始を指示する(ステップS4)。この指示に応答して、入力制御装置30は、8個の表面領域40a〜40hにそれぞれ対応する2次元アンテナパターンデータのうち最初の表面領域40aに対応する2次元アンテナパターンデータをレンズ駆動装置22に与える。
【0025】
レンズ駆動装置22は、この与えられた2次元アンテナパターンデータに基づいて、レンズ24の駆動を開始する(ステップS5)。より具体的には、レンズ駆動装置22は、まず、レンズ24を初期位置に移動させる。その後、レンズ駆動装置22は、上記2次元アンテナパターンデータに基づいて、レンズ24を軸方向B1に沿って往路を移動させた後円周方向Aに沿ってずらし、再び軸方向B1に沿って復路を移動させる。このとき、レンズ24の円周方向Aへの移動長は単位長に相当し、その全移動長は2次元アンテナパターン40a’の幅D1に相当する。また、レンズ24の軸方向B1への全移動長は、2次元アンテナパターン40a’の幅D2に相当する。
【0026】
また、入力制御装置30は、スタートキーの操作に応答して、最初の表面領域40aに対応する2次元アンテナパターンデータに基づいて、レンズ24の駆動タイミングに同期して、レーザ光源23からのレーザビームLの照射を制御する(ステップS5)。
【0027】
より具体的には、入力制御装置30は、レンズ24が軸方向B1に移動を開始するタイミングに同期して、レーザビームLの照射を開始させる。その結果、レーザビームLは、円筒2の端部から軸方向B1に沿った走査が開始される。
【0028】
レーザビームLが導電膜1を残すべき区間に達すると、入力制御装置30は、レーザビームLの照射を停止させる。アンテナパターンの形状は2次元アンテナパターンデータからわかるので、円筒2の端部から導電膜1を残すべき区間までの長さがわかる。したがって、導電膜1を残すべき区間に達したか否かは、たとえば、レーザビームLの照射開始からの時間を計測することにより判断することができる。
【0029】
入力制御装置30は、残すべき導電膜1の幅を走査する時間にわたってその停止状態を維持した後、レーザビームLの照射を再び開始させる。その結果、レーザビームLの照射が禁止されていた区間の導電膜1は残る。以後、以上と同様の動作を繰り返し、2次元アンテナパターン40a’のデータに含まれる幅D2に基づいて、レンズ24の軸方向B1への移動を終了させる。また、入力制御装置30は、このレンズ24の移動終了タイミングに同期して、レーザビームLの照射を停止させる。これにより、当該ラインの走査が終了する。
【0030】
レンズ24は、軸方向B1への移動が終了すると、円周方向Aに沿ってずらされる。入力制御装置30は、このずれたレンズ24の軸方向B1に沿った移動の開始タイミングに同期して、レーザビームLの照射を開始させる。そして、上述と同様に、導電膜1を除去すべき区間においてはレーザビームLを照射させ、導電膜1を残すべき区間においてはレーザビームLの照射を停止させる。
【0031】
図7は、表面領域40aにおける走査途中の状態を示す斜視図である。上述した動作を繰り返し実行することにより、表面領域40aは、導電膜1が除去された区域45と導電膜1が残された区域46とに分けられる。
【0032】
2次元アンテナパターン40a’の幅D1は、2次元アンテナパターンデータに含まれている。そこで、入力制御装置30は、幅D1にわたって走査をしたと判断した段階で、レンズ24の駆動を停止させるとともに、レーザビームLの照射を停止させる。こうして、図8(a)に示すように、当該表面領域40a内のアンテナパターンが形成される。
【0033】
このように、レーザビームLによる走査は、表面領域40内だけで行われる。一方、表面領域40は、上述のように、この範囲内ならばレーザビームLは円筒2の外周面に対してほぼ垂直に照射されるものとして得られたものである。この場合、レーザビームLは表面領域40に対してほぼ垂直に照射されるから、その照射深度は、通常、焦点深度よりも大幅に短くなる。したがって、レーザビームLが余計な導電膜1を除去することはなく、導電膜1の除去幅は所期の幅に一致する。そのため、所期のパターン幅のアンテナパターンを形成することができる。
【0034】
入力制御装置30は、表面領域40a内のアンテナパターンの形成が終了すると(ステップS6のYES)、たとえば終了ランプ(図示せず)により表面領域40aのビーム走査が終了したことをユーザに知らせる。
【0035】
ユーザは、この知らせに基づいて、すべての表面領域40におけるビーム走査が終了していないことを条件に(ステップS7のNO)、角度割出回転装置10の回動部材13を回動させる。このとき、回動部材13の回動角度は、円筒2の外周面の分割数に応じた角度とする。具体的には、360/8=45度である。その結果、回動部材13の回動に連動して円筒2が回動し、図8(b)に示すように、ビーム走査終了後の表面領域40aに隣接する表面領域40hがレーザヘッド21に対向する。こうして、次の表面領域40hを走査対象とする(ステップS8)。その後、ユーザは、スタートキーを操作する。
【0036】
レンズ駆動装置22は、スタートキーの操作に応答して、上述と同様に、レンズ24を初期位置に移動させた後、軸方向B1への移動および円周方向Aへの移動を実行する。また、入力制御装置30は、走査対象の表面領域40hに対応する2次元アンテナパターンデータに基づいて、上述と同様に、レンズ24の駆動に同期させてレーザビームLの照射を制御する。図9は、2つ目の表面領域40hを走査している途中の状態を表すものであり、破線で挟まれた範囲が2つ目の走査対象の表面領域40hである。
【0037】
以上と同様の処理をすべての表面領域40a〜40hに対して実行することにより(ステップS7のYES)、元の3次元アンテナパターンに相当するパターンが円筒2の外周面に形成されることになる。こうして、図3に示すような螺旋状のアンテナパターンAPを有するヘリカルアンテナ3を製造することができる。
【0038】
以上のようにこの実施形態1によれば、円筒2の外周面をレーザビームLがほぼ垂直に照射されるような複数個の表面領域40に分割し、各表面領域40ごとにアンテナパターンを分割して形成するようにしている。したがって、余計な導電膜1を除去することなく、所期のパターン幅のアンテナパターンを円筒2の外周面に形成することができる。そのため、所期のアンテナ性能を有するヘリカルアンテナ3を製造することができる。ゆえに、送受信機能に優れた携帯電話機を提供することができる。
【0039】
実施の形態2.
図10は、この発明の実施形態2に係るアンテナの製造方法が適用されるアンテナ製造装置の概略構成を示す斜視図である。図10において、図1と同じ機能部分については同一の参照符号を使用する。
【0040】
上記実施形態1では、所定の外周長を有する円筒モデルを利用して作成された3次元アンテナパターンデータをそのまま平面に投影することにより、各表面領域40ごとの2次元アンテナパターンデータを作成している。しかし、実際の円筒2の外周長には、通常、製造ばらつきがあるため、この製造ばらつきを考慮した2次元アンテナパターンデータを作成することが望ましい。そこで、この実施形態2では、2次元アンテナパターンデータの作成に先立って円筒2の外周長を実際に測定し、この測定結果を加味した2次元アンテナパターンデータを作成することとしている。
【0041】
より詳述すれば、このアンテナ製造装置は、直径測定装置50を備えている。直径測定装置50は、角度割出回転装置10に保持された状態の円筒2の直径Rを測定するためのものである。直径測定装置50は、保持状態の円筒2と直交するように配置されている。直径測定装置50は、発光部材51、搬送機構52および受光センサ53を備えている。発光部材51および搬送機構52と受光センサ53とは、保持状態の円筒2を挟んで上下に対向配置されている。
【0042】
発光部材51は、測定用の光を照射するものである。搬送機構52は、発光部材51を円筒2の軸方向B1に直交する方向Fに沿って搬送するためのものである。受光センサ53は、発光部材51から照射された光を受光するためのものである。受光センサ53は、細長形状のもので、その長手方向が円筒2の軸方向B1に直交する方向Fに沿うように配置されている。受光センサ53は、複数の単位センサ53aを有し、各単位センサ53aから受光の有無を示す出力信号を入力制御装置30に出力する。入力制御装置30は、受光センサ53からの出力信号に基づき、保持状態の円筒2の直径を求める。
【0043】
図11は、この実施形態2に係るアンテナの製造方法の流れを説明するためのフローチャートである。ユーザは、円筒2を角度割出回転装置10に保持させた後、図示しないスタートキーを操作して直径測定装置50の動作開始を指示する(ステップT1)。直径測定装置50は、スタートキーの操作に応答して、発光部材51から光照射を開始させるとともに、搬送機構52により発光部材51を軸方向B1に直交する方向Fに沿って搬送させる(ステップT2)。
【0044】
発光部材51が円筒2に達するまでは、発光部材51から照射される光は受光センサ53において受光されている。一方、発光部材51が円筒2の上を通過しているときには、円筒2により発光部材51から遮蔽されている受光センサ53では光を受光することはできず、発光部材51が円筒2を通り過ぎると、受光センサ53による受光が再び開始される。したがって、受光していない区間の各単位センサ53aからは、未受光を表す出力信号が入力制御装置30に与えられることになる。
【0045】
入力制御装置30は、未受光信号を出力してきた単位センサ53aの数に基づき、保持状態の円筒2の直径Rを求める(ステップT3)。こうして、円筒2の直径Rを求めることができる。入力制御装置30は、また、この求められた円筒2の直径Rに基づいて、円筒2の外周長を求める(ステップT4)。その後、この求められた円筒2の外周長に基づき、入力された3次元アンテナパターンデータから2次元アンテナパターンデータを作成する(ステップT5)。
【0046】
より具体的には、入力制御装置30は、入力された3次元アンテナパターンデータを、求められた円筒2の外周長を有する3次元アンテナパターンに変更する。この場合、アンテナパターンの傾斜角度および長さは、外周長の変化に伴って同時に補正される。その後、入力制御装置30は、この新たに作成された3次元アンテナパパターンを平面に投影することにより、2次元アンテナパターン40a’〜40h’のデータを得る。こうすることにより、実際に保持されている円筒2の外周長に応じたアンテナパターンを得ることができる。その後の動作は、図4のステップS4以降の動作と同じなので、省略する。
【0047】
なお、円筒2の外周面をn個の表面領域40に分割する作業および3次元アンテナパターンデータの入力作業は、2次元アンテナパターンデータの作成前であれば、任意のタイミングで行えばよい。
【0048】
以上のようにこの実施形態2によれば、入力された3次元アンテナパターンデータを実際に保持されている円筒2の外周長に応じた2次元アンテナパターンデータに補正しているから、より精密なアンテナパターンを円筒2の外周面に形成することができる。したがって、アンテナ性能をより向上できる。そのため、送受信性能がより向上された携帯電話機を提供することができる。
【0049】
なお、たとえば発光素子51に対向配置された1つの単位センサからなる受光センサを発光素子51と同期させて移動させ、その過程において光を受光しなかった時間を測定することにより、円筒2の直径Rを求めるようにしてもよい。
【0050】
また、受光センサを発光素子51の近傍に配置して発光素子51と一緒に移動するようにしておき、その移動過程において円筒2からの反射光を受光している時間を測定することにより、円筒2の直径Rを求めるようにしてもよい。
【0051】
実施の形態3.
上記実施形態1および2では、円筒2の材質、導電膜1の材質および導電膜1の膜厚などの材料要素を特に考慮することなく、2次元アンテナパターンデータを作成している。しかし、上述のような材料要素が異なれば、レーザビームにより昇華される導電膜量が異なるため、所期の幅のアンテナパターンを得ることができないおそれがある。そこで、この実施形態3では、上述のような材料要素を考慮した上で、2次元アンテナパターンデータを作成することとしている。
【0052】
より詳述すれば、たとえば導電膜1の材質としてレーザビームによって昇華しやすい材質、たとえば無電解銅めっきが使用されている場合には、図12(a)に示すように、除去後に残る導電膜1の幅が3次元アンテナパターンにおいて想定されている幅w1よりも狭いパターン幅w2を有する2次元アンテナパターンを作成する。
【0053】
レーザビームが照射される際には、2次元アンテナパターンにおいて想定されている除去幅よりも多く導電膜が除去されることになる。したがって、除去後に残る導電膜1の幅を3次元アンテナパターンにおいて想定されている幅w1と一致させることができる。
【0054】
同様に、昇華しやすい材質の円筒2を使用する場合および導電膜1の膜厚が薄い場合には、上述のように、3次元アンテナパターンデータにおいて想定されている幅w1よりも狭いパターン幅w2を有する2次元アンテナパターンデータを作成すればよい。
【0055】
逆に、導電膜1が昇華しにくい材料要素(たとえば電気ニッケルめっき)を適用する場合には、3次元アンテナパターンデータにおいて想定されている幅w1よりも広いパターン幅w3を有する2次元アンテナパターンを作成すればよい。この場合、図12(b)に示すように、実際には2次元アンテナパターンデータにおいて想定されている幅w3よりも狭い幅しか導電膜1を除去できない。したがって、除去後に残る導電膜1の幅を3次元アンテナパターンデータにおいて想定されている幅w1と一致させることができる。
【0056】
以上のようにこの実施形態3によれば、導電膜1の昇華量を決定する材料要素を考慮した上で2次元アンテナパターンを作成している。したがって、より一層精密なアンテナパターンを円筒2の外周面に形成することができる。そのため、アンテナ性能をより一層向上できる。ゆえに、送受信性能がより一層向上された携帯電話機を提供することができる。
【0057】
他の実施形態
以上、この発明の3つの実施形態について説明してきた。しかし、この発明が他の実施形態を採り得るのはもちろんである。たとえば上記実施形態においては、円筒2の外周面全体にわたって螺旋状のアンテナパターンAPを形成する場合を例にとっているが、アンテナパターンAPの形状は螺旋状に限定されることはない。たとえば図13に示すように、螺旋部AP1の端部から軸方向B1に沿って延びた直線部AP2を有するアンテナパターンAPであってもよい。また、図14に示すように、螺旋部AP1の端部から軸方向B1に沿って延びた直線部AP2を有し、さらにこの直線部AP2の端部から円筒2の円周方向Aに沿って延びた円周部AP3を有するアンテナパターンであってもよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、アンテナの本体として円筒を例にとって説明しているが、アンテナの本体としては、円柱および楕円筒など他の形状のものを適用することもできる。
【0059】
さらに、上記実施形態においては、手動式の角度割出回転装置を用いる場合を例にとって説明しているが、たとえば自動式の角度割出回転装置を用いるようにしてもよい。自動式の角度割出回転装置は、入力制御装置30から与えられる2次元アンテナパターンデータに基づき、各表面領域40が走査対象となるように回動部材を自動的に回動させるものである。この構成によれば、人手を介さずにアンテナの製造を行うことができるので、ユーザの作業を簡単にすることができる。
【0060】
さらにまた、上記実施形態においては、ヘリカルアンテナを例にとって説明しているが、この発明は、他のアンテナにおいても適用することができる。
【0061】
さらに、上記実施形態においては、この発明を携帯電話機に備えられるアンテナの製造に適用する場合を説明しているが、この発明は、PHS(Personal Handyphone System)電話機など小型のアンテナを備える他の携帯機器に対しても容易に適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、円筒の外周面をレーザビームがほぼ垂直に照射されるような3以上の表面領域に分割し、各表面領域のアンテナパターンを個別に形成することにより、全体のアンテナパターンを形成している。したがって、所期のパターン幅のアンテナパターンを円筒の外周面に形成することができる。そのため、所期のアンテナ性能を有するアンテナを製造することができる。ゆえに、送受信機能に優れた携帯電話機を提供することができる。
【0063】
また、円筒の外周長を実際に測定し、この測定結果に基づいてアンテナパターンを補正する場合には、円筒の外周長の製造ばらつきを補償することができる。したがって、パターン幅を所期の幅により近づけることができる。そのため、アンテナ性能をより所期値に近づけたアンテナを製造することができる。
【0064】
さらに、材料要素を考慮してアンテナパターンを補正する場合には、パターン幅を所期の幅により一層近づけることができる。そのため、アンテナ性能をより一層所期値に近づけたアンテナを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1に係るアンテナの製造方法が適用されるアンテナ製造装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】製造前のヘリカルアンテナの構成を示す斜視図である。
【図3】製造後のヘリカルアンテナの構成を示す斜視図である。
【図4】ヘリカルアンテナの製造方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【図5】円筒の外周面の分割について説明するための図である。
【図6】2次元アンテナパターンデータを説明するための図である。
【図7】表面領域を走査している途中の状態を示す図である。
【図8】表面領域におけるビーム走査が終了した状態を示す図である。
【図9】次の表面領域を走査している途中の状態を示す図である。
【図10】この発明の実施形態2に係るアンテナの製造方法が適用されるアンテナ製造装置の概略構成を示す斜視図である。
【図11】実施形態2に係るヘリカルアンテナの製造方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【図12】この発明の実施形態3に係る製造方法によりアンテナを製造する場合における2次元アンテナパターンデータの作成について説明するための図である。
【図13】他のアンテナパターン形状のヘリカルアンテナの構成を示す斜視図である。
【図14】他のアンテナパターン形状のヘリカルアンテナの構成を示す斜視図である。
【図15】従来のアンテナ製造方法を説明するための図である。
【図16】従来のアンテナ製造方法をより詳しく説明するための図である。
【図17】従来技術の課題を説明するための円筒の構成を示す平面図である。
【図18】従来技術の課題を説明するための円筒の構成を示す断面図である。
【図19】従来技術の課題を説明するための概念図である。
【符号の説明】
1 導電膜
2 円筒
3 ヘリカルアンテナ
10 角度割出回転装置
20 レーザユニット
21 レーザヘッド
22 レーザ駆動装置
23 レーザ光源
24 レンズ
30 入力制御装置
40a〜40h、40 表面領域
50 直径測定装置
AP アンテナパターン
Claims (2)
- 導電膜が形成された絶縁材からなる本体の外周面をレーザビームで走査して、本体の外周面に本体の軸方向に対して斜めに交差する方向に沿ったパターンを含むアンテナパターンを形成することにより、アンテナを製造する方法であって、上記本体の外周面をレーザビームがほぼ垂直に照射されるような3以上の表面領域に本体の外周方向に沿って分割するとともに本体の外周長を取得し、上記アンテナパターンと上記外周長に基づき、分割された各表面領域ごとの2次元アンテナパターンデータを作成し、表面領域を当該表面領域に対応する2次元アンテナパターンデータに基づいてレーザビームで走査して導電膜を除去し、当該走査終了後、本体を上記分割数に応じた角度だけ軸まわりに回動させ、走査済の上記表面領域に隣接する表面領域を当該表面領域に対応する2次元アンテナパターンデータに基づいてレーザビームで走査して導電膜を除去することにより、アンテナパターンを形成することを特徴とするアンテナの製造方法。
- レーザビームによって除去される導電膜が設定された照射幅より広く除去されるような昇華しやすい材質の場合は、除去する導電膜の幅の設定値を所期の値より小さく設定し、設定された照射幅より狭く除去されるような昇華しにくい材質の場合は、除去する導電膜の幅の設定値を所期の値より大きく設定することを特徴とする請求項1に記載のアンテナの製造方法。
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