JP3572115B2 - 2−ピラノン誘導体及びそれを含有する免疫抑制剤 - Google Patents

2−ピラノン誘導体及びそれを含有する免疫抑制剤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、免疫抑制作用を有する新規な2−ピラノン誘導体、その製造方法、及び該化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
免疫抑制剤は、臓器あるいは組織の移植に対する拒絶反応、骨髄移植によっておこる移植片対宿主反応の予防、慢性関節リウマチなどの数々の自己免疫疾患の治療には欠かせないものである。現在、種々の免疫抑制剤が開発され、実用化されているが、薬効や副作用などの点で必ずしも満足できるものではなく、新しい免疫抑制剤の創出が望まれている。
即ち、免疫反応の発現にはT細胞及びB細胞の両リンパ細胞を始め、様々な細胞及び因子が複雑に関与していることが知られている。従って、免疫反応の抑制を適切に行うためには、関連する免疫機構を幅広く、効果的に抑制することが重要である。現在臓器移植等に使用されているシクロスポリンやタクロリムスはT細胞のみに作用するにすぎず、より広範な免疫機構に作用する物質の開発が望まれている。しかし、臨床使用に適した、T細胞及びB細胞の両細胞に作用する低毒性で有効な免疫抑制剤は今のところ提供されていない。
【0003】
本発明者らは、微生物の代謝物に様々な活性成分を有する物質があることに着目し、免疫抑制、腫瘍細胞増殖抑制作用等を有する医薬として有用な物質の開発のために、微生物代謝物を検索してきた。その結果、ストレプトミセス プルニカラー(Streptomyces prunicolor)種の微生物が産生するα,β−不飽和δ−ラクトン環を含む化合物、(5R,6R)−5−エチル−5,6−ジヒドロ−6[(E)−(2R,3S,4R,5S)−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−3,5−ジメチル−7−ノネニル]−2H−ピラン−2−オン(以下、PA−48153Cと呼称する)が上記の活性を有することを見い出し、開示した(特開平5−310726)。しかしながら、この化合物は強い毒性のため臨床使用には問題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、PA−48153Cから誘導される一連の2−ピラノン誘導体が、T細胞及びB細胞の両方に作用して強い免疫抑制作用を現すと共に、低毒性であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、式(I):
【化2】
Figure 0003572115
(式中、Rは置換されていてもよい低級アルキルであるか又は−COR、−COORもしくは−CONHRを表す。ここでRは水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルキル、置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよい低級シクロアルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルケニル低級アルキル、置換されていてもよいアシル低級アルキル、置換されていてもよいアシルオキシ低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリール低級アルキル又は−A−(NH)−COOR;ここでAは置換されていてもよい低級アルキレン又は置換されていてもよい低級アルケニレン、nは0もしくは1の整数、そしてRは水素、置換されていてもよい低級アルキル又は置換されていてもよいアリール低級アルキルであり;Rは水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルキル、置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール又は置換されていてもよいヘテロアリール低級アルキル;そしてRは水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルキル、置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリール低級アルキル、置換されていてもよいアミノ又は置換されていてもよいカルバモイルを表す。)
で示される化合物を提供するものである。
【0006】
本明細書において「置換されていてもよい低級アルキル」とは炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキルを意味する。具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、tert−ぺンチル及びヘキシル等を包含する。また、これらは任意に1以上の置換基を有していてもよく、置換基としては例えばヒドロキシル、ハロゲン、アミノ及び低級アルキルオキシ等が挙げられる。
「置換されていてもよいアルキル」とは炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキルを意味し、具体的には上記低級アルキルの他、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びイコシルを包含する。これらは任意に1以上の置換基を有していてもよく、その置換基は上記と同様である。
「置換されていてもよい低級アルケニル」とは炭素数2〜6の直鎖状又は分枝状のアルケニルを意味する。2以上の二重結合を有していてもよく、具体的にはエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル及びヘキセジエニル等を包含する。また、これらは任意に1以上の置換基を有していてもよく、その置換基は上記と同様である。
【0007】
「置換されていてもよい低級シクロアルキル」とは炭素数3〜6の環状の低級アルキルを意味し、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。これらは任意に1以上の置換基を有していてもよく、その置換基としてはヒドロキシル、ハロゲン、低級アルキル、低級アケニル及び低級アルキルオキシ等が挙げられる。
「置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル」という用語において、その低級シクロアルキル部分と低級アルキル部分は上記と同様である。
「置換されていてもよい低級シクロアルケニル」とは炭素数3〜6の環状の低級アルケニルを意味し、具体的にはシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。これらは任意に1以上の置換基を有していてもよく、その置換基は上記低級シクロアルキルのものと同様である。
「置換されていてもよい低級シクロアルケニル低級アルキル」という用語において、その低級シクロアルケニル部分と低級アルキル部分は上記と同様である。「置換されていてもよい低級アルキルオキシ低級アルキル」という用語において、その低級アルキル部分は上記と同様である。
「置換されていてもよいアシル低級アルキル」という用語において、その低級アルキル部分は上記と同様であり、アシル部分は炭素数1〜6の直鎖状、分枝状又は環状のアシル及びアロイルを意味する。具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ヘキサノイル、シクロヘキシルカルボニル及びベンゾイルが挙げられ、これらは任意に置換基を有していてもよく、その置換基は上記低級シクロアルキルのものと同様である。
「置換されていてもよいアシルオキシ低級アルキル」という用語において、そのアシル部分と低級アルキル部分は上記と同様である。
【0008】
「置換されていてもよいアリール」とはフェニル又はナフチルである。任意の位置に1以上の置換基を有していてもよく、その置換基としてはヒドロキシル、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキルオキシ、カルボキシル、低級アルキルオキシカルボニル、アシル、アシルオキシ、置換されていてもよいアミノ及び置換されていてもよいアミノ低級アルキル等が挙げられる。
「置換されていてもよいアリール低級アルキル」という用語において、そのアリール部分と低級アルキル部分は上記と同様である。
「置換されていてもよいヘテロアリール」とはO、S及びNから任意に選択されるヘテロ原子を環内に1以上有するヘテロアリールを意味する。具体的には、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリルイソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル及びチエニル等の5〜6員のヘテロアリールや、インドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、ブテリジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、キサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル等の縮合ヘテロアリールが挙げられる。これらヘテロアリールは全て1以上の置換基を有していてもよく、その置換基は上記アリールのものと同様である。
【0009】
「置換されていてもよいヘテロアリール低級アルキル」という用語において、そのヘテロアリール部分と低級アルキル部分は上記と同様である。
「置換されていてもよいアシル」という用語において、そのアシル部分は上記「アシル低級アルキル」のアシル部分と同様である。
「置換されていてもよいアミノ」とは非置換アミノ、モノ置換アミノ及びジ置換アミノを包含する。置換基としてはヒドロキシル、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、カルボキシル、等が例示される。
「置換されていてもよいカルバモイル」の置換基としては、低級アルキル、低級アルケニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、アシル、アリール、アリール低級アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール低級アルキル等が挙げられる。
「アシルオキシ」という用語において、そのアシル部分は上記「アシル低級アルキル」のアシル部分と同様である。
「ハロゲン」とはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
「置換されていてもよいアミノ低級アルキル」という用語において、そのアミノ部分と低級アルキル部分は上記と同様である。
「製薬上許容し得る塩」とは、医学上許容し得る非毒性塩の全てを含有し、例えばナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩等が例示される。以下、本明細書中では、本発明の化合物という場合に本発明の化合物(I)の他にその製薬上許容し得る塩も含める。
【0010】
化合物(I)は、PA−48153Cの8位ヒドロキシル基における、エステル、エーテル、カルボネート又はカルバメート誘導体である。本発明の目的には式(I)で示される全化合物が適するが、中でもRが置換されていてもよい低級アルキルである化合物;Rが−CORであって、Rが置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリールもしくは−A−(NH)−COOR(ここでAは置換されていてもよい低級アルキレン又は置換されていてもよい低級アルケニレンであり、nは0もしくは1の整数であり、Rは水素、置換されていてもよい低級アルキル又は置換されていてもよいアリール低級アルキルである)である化合物;Rが−COORであって、Rが水素、置換されていてもよい低級アルキルもしくは置換されていてもよいアリールである化合物;及びRが−CONHRであって、Rが置換されていてもよいアシルである化合物(I)が好ましく、以下の化合物がより好ましい。
【0011】
【化3】
Figure 0003572115
【化4】
Figure 0003572115
【化5】
Figure 0003572115
これらの化合物の内、免疫抑制剤として特に好ましい化合物は、Ia−2、Ia−4、Ia−9、Ia−13、Ia−18、Ia−24、Ic−2、Id−1であり、腫瘍細胞増殖抑制剤として特に好ましい化合物は、Ia−1、Ia−5、Ia−15及びIb−1である。
【0012】
本発明の化合物(I)は、PA−48153Cの8位ヒドロキシル基部位で、適宜、エステル、エーテル、カルボネート又はカルバメートを形成することにより製造することができる。
以下に本発明の製造法について、各工程ごとに詳しく説明する。下記の方法は本発明の化合物(I)の製造に特に適した方法であるが、これら以外の方法によって製造された化合物(I)も上記の目的に適し、本発明の範囲に包含される。
出発物質であるPA−48153Cは、例えば、特開平5−310726号記載の方法で、PA−48153Cを産生するストレプトミセス プルニカラー(Streptomyces prunicolor)PA−48153(FERM BP−3754)を培養し、その発酵産物から単離することにより製造されるが、それ以外の方法で得られたPA−48153Cも同様に下記の方法に用いることができる。
【0013】
(1)エステル体の製造
PA−48153Cと酸クロリド(RCOCl:例えば、プロパノイルクロリド、ヘキサノイルクロリド、クロロアセチルクロリド、ジクロロアセチルクロリド、トリクロロアセチルクロリド、4−クロロブチリルクロリド、6−ブロモヘキサノイルクロリド、3−シクロペンチルプロピオニルクロリド、2−キノキサロイルクロリド、メチルマロニルクロリド、3−カルボメトキシプロピオニルクロリド、3−カルボメトキシプロペノイルクロリド又は5−カルボメトキシペンタノイルクロリド)又は酸無水物[(RCO)O:例えば無水プロピオン酸]を、ピリジンもしくはピリジンとジクロロメタンの混合液中、必要ならば塩基[例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)]の存在下、約−20℃〜加熱下、好ましくは約0℃〜約150℃、さらに好ましくは室温下で数分〜数十時間反応させる。
【0014】
又は、PA−48153Cとカルボン酸(RCOOH:例えば、キナルジン酸、トランス−3−ヘキセン酸、4−ペンテン酸、N−tert−ブトキシカルボニルグリシン、N−p−メトキシベンジルオキシカルボニルアラニン、N−p−メトキシベンジルオキシカルボニル−4−アミノ酪酸又はN−p−メトキシベンジルオキシカルボニル−6−アミノヘキサン酸)を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、ジメチルホルムアミド等)中縮合剤(例えば1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC))と塩基(例えば、DMAP)の存在下、約−20℃〜加熱下、好ましくは約0℃〜約150℃、さらに好ましくは室温下で数分〜数十時間反応させる。
末端にカルボン酸をもつ化合物は、対応するメチルエステル体を水−ジメトキシエタン中、水酸化リチウムで約0℃〜加熱下、好ましくは室温下で数分〜数十時間加水分解した後、同時に開環したラクトン環部を酸(例えばp−トルエンスルホン酸)と適当な溶媒(例えばベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、約−20℃〜加熱下、好ましくは約0℃〜約150℃、さらに好ましくは室温下で再閉環することにより得られる。
【0015】
(2)エーテル体の製造
PA−48153Cとハロゲン化アルキル(R−X:例えば、ヨウ化メチル)を適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)中、塩基(例えば、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド等)の存在下、約150℃以下、好ましくは約−70℃〜約100℃、さらに好ましくは約−20℃〜20℃の温度で数分〜数十時間反応させる。
【0016】
(3)カルボネート体の製造
PA−48153Cとクロロ炭酸エステル(ROCOCl:例えば、クロロ炭酸n−ブチル、クロロ炭酸フェニル)を適当な溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン等)中、塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン等)の存在下、約−50℃〜加熱下、好ましくは約0℃〜約100℃さらに好ましくは室温下で数分〜数十時間反応させる。
【0017】
(4)カルバメート体の製造
PA−48153Cとイソシアネート(RNCO:例えばベンゾイルイソシアネート)を適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中、塩基(例えば、DMAP)又はビストリブチルチンオキサイドの存在下、約−50℃〜加熱下、好ましくは約0℃〜約100℃、さらに好ましくは約40℃の温度で数分〜数十時間反応させる。
【0018】
上記の式(I)で示される化合物は、後述する実験例に記載の試験の結果から明らかなように、免疫抑制作用、腫瘍細胞増殖抑制作用等の生物学的活性を有しており、しかも低毒性である。従って、本発明の化合物(I)は、臓器あるいは、組織の移植に対する拒絶反応、骨髄移植により起こる移植片対宿主反応、各種自己免疫病、各種炎症、血液系腫瘍、固形癌等の腫瘍疾病等の治療及び予防に臨床上、有用と考えられる。
本発明の化合物(I)は免疫抑制作用と同時に抗腫瘍作用も併せ持つ、医薬として有用な化合物である。
化合物(I)を免疫抑制又は腫瘍治療のために投与するには、通常の経口又は非経口投与用の製剤として製剤化して用いる。本発明の化合物(I)を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などの経口投与製剤、あるいは、静脈注射、筋肉注射、皮下注射などの注射用溶液又は懸濁液もしくは軟膏剤などの経皮投与用製剤などの非経口製剤とすることもできる。
【0019】
これらの製剤は当業者既知の適当な担体、賦形剤、溶媒、基剤等を用いて製造することができる。例えば、錠剤の場合、活性成分と補助成分を一緒に圧縮又は成型する。補助成分としては、製剤的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例、トウモロコシでん粉)、充填剤(例、ラクトース、微結晶性セルロース)、崩壊剤(例、でん粉グリコール酸ナトリウム)又は滑沢剤(例、ステアリン酸マグネシウム)などが用いられる。錠剤は、適宜、コーティングしてもよい。シロップ剤、液剤、懸濁剤などの液体製剤の場合、例えば、懸濁化剤(例、メチルセルロース)、乳化剤(例、レシチン)、保存剤などを用いる。注射用製剤の場合、溶液、懸濁液又は油性もしくは水性乳濁液の形態のいずれでもよく、これらは懸濁安定剤又は分散剤などを含有していてもよい。
【0020】
化合物(I)の投与量は、投与形態、患者の症状、年令、体重、性別、あるいは併用される薬物(あるとすれば)などにより異なり、最終的には医師の判断に委ねられるが、体重1kgあたり、1日0.01〜100mg、好ましくは0.5〜50mg、より好ましくは1〜25mgを経口投与する。非経口投与の場合、体重1kgあたり、1日0.001〜10mg、好ましくは0.1〜3mg、より好ましくは0.2〜2.5mgを投与する。これを1〜3回に分割して投与すればよい。
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、これらは単なる例示であり本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
製造例1 PA−48153Cの製造
PA−48153Cは、特開平5ー310726号記載の方法に準じて製造した。
1.発酵
可溶性澱粉0.5%、グルコース0.5%、ポリペプトン(日本製薬製)0.5%、牛肉エキス(ディフコ製)0.25%、酵母エキス(ディフコ製)0.5%、食塩0.25%、及び水道水よりなる培地800ml(2N水酸化ナトリウムでpH7に調整)を含む2L容三角フラスコに treptomyces prunicolor PA−48153の種培養スラントから接種し、振幅70mm、毎分180回転で、28℃、48時間振盪培養を行なった。この培養液800mlずつを、上記と同一組成を有する培地16Lを入れた30L容ジャーファメンターに植菌し、通気量12.8L/min、内圧0.35kg/cm、撹拌回転数200rpmで、28℃、24時間培養した。次いでこの培養液8Lを、グルコース2.0%、馬鈴薯澱粉2.0%、脱脂大豆粉2.0%、酵母エキス(ディフコ製)0.5%、食塩0.25%、硫酸亜鉛7水和物0.0005%、塩化マンガン4水和物0.0005%、硫酸銅5水和物0.0005%、炭酸カルシウム0.35%、消泡剤P−2000(大日本インキ製)0.003%、及び水道水よりなる培地150L(2N水酸化ナトリウムでpH7.0に調整)を含む250L容タンクに植菌し、通気量120L/min.、内圧0.35kg/cm、撹拌回転数280rpmで、28℃、90時間培養した。
【0022】
2.分離精製
(1)分離
(a)上記工程で得られた培養液98Lから、S型超遠心分離機(No.6−P関西遠心分離機製作所株式会社製)(15000rpm)によって上清液83Lを得た。この上清液を、2N塩酸でpH7.0に調整し、酢酸エチル46Lで抽出した。抽出液40Lを減圧濃縮し、粗物質(crude−1)18.91gを得た。一方、上記遠心で沈澱として得られた湿菌体8kgは、アセトン28Lで抽出した。溶媒を減圧留去して、水層6Lを得た。2N塩酸でpH7.0に調整し、酢酸エチル13Lで抽出した。抽出液12Lを減圧濃縮し、粗物質(crude−2)22.86gを得た。
【0023】
(b)濾液抽出エキスである粗物質(crude−1)(18.91g)をn−ヘキサン300mlで洗浄した。洗浄後のヘキサンを減圧留去し、残渣(residue−1)5.1gを得た。一方、ヘキサンで洗浄された粗物質(residue−2)を酢酸エチル20mlで懸濁し、ヘキサン300mlで抽出した。ヘキサン層を減圧留去し、残渣(residue−3)3.1gを得た。ヘキサン層を除去した残りの沈澱物(residue−4)は粗物質(residue−2)と同様に処理し、ヘキサン層からの残渣(residue−5)と沈澱物(residue−6)を得た。
【0024】
(c)菌体抽出エキスである粗物質(crude−2)(22.86g)をn−ヘキサン300mlで洗浄した。洗浄後のヘキサンを減圧留去し残渣(residue−11)18.2gを得た。一方、ヘキサンで洗浄された粗物質(residue−12)を酢酸エチル20mlで懸濁した後ヘキサン300mlで抽出し、ヘキサン層からの残渣(residue−13)0.65gと沈澱物(residue−14)2.1gを得た。
【0025】
(2)精製
(a)粗物質(crude−1)から分離したPA−48153C含有分画(residue−1,3,5(計10.4g))をカラムクロマトグラフィー(カラム;SiO,120ml(メルク社製、溶媒;クロロホルム、1分画;20g)で精製し、9〜17番目の分画からPA−48153Cの粗精製物4.2gを得た。これをカラムクロマトグラフィー(カラム;Lobar SiO 60 B size (メルク社製),溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1,1分画;10g)にかけ、38〜90番目の分画から得られたPA−48153Cの精製物1.6gをさらにカラムクロマトグラフィー(カラム;Lobar SiO 60 B size (メルク社製),溶媒;クロロホルム:メタノール=98:2,1分画;10g)で精製して15〜21番目の分画からPA−48153Cの精製物1.39gを得た。これをn−ヘキサン4mlで再結晶し、PA−48153Cの結晶965mgを得た。HPLCにおける純度は98%であった。
【0026】
(b)粗物質(crude−2)から分離したPA−48153C含有分画(residue−11,13(計18.8g))をカラムクロマトグラフィー(カラム;SiO,150ml(メルク社製),溶媒;クロロホルム,1分画;20g)で精製し、15〜57番目の分画からPA−48153Cの粗精製物4.14gを得た。これをカラムクロマトグラフィー(カラム;Lobar SiO 60 B size (メルク社製),溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1,1分画;10g)にかけ、33〜57番目の分画から得られたPA−48153Cの精製物920mgをさらにカラムクロマトグラフィー(カラム;Lobar SiO 60 B size (メルク社製),溶媒;クロロホルム:メタノール=98:2,1分画;15g)で精製して9〜11番目の分画からPA−48153Cの精製物750mgを得た。これをヘキサンで再結晶し、PA−48153Cの結晶530mgを得た。HPLCにおける純度は98%であった。以上の工程より、合計1495mgのPA−48153C結晶が得られた。
【0027】
実施例1 化合物Ia−4(R=−C11
PA−48153C 1.51gとピリジン1.6mlをジクロロメタン15mlに溶解し、氷冷下、n−ヘキサノイルクロリド1.7mlを加えた後、室温下に1時間撹拌した。反応液にアンモニア水を加え10分間撹拌後、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル:ヘキサン=15:85)により精製するとIa−4 1.91g(収率97%)が油状物として得られた。
元素分析(C2542として)
理論値:C,71.05;H,10.02
実測値:C,70.74;H,10.02
LSIMS(m/z):423[M+H]
IRνmax CHCl cm−1:1720
H NMR(CDCl)δ:0.81(3H,d,J=6.8Hz),0.88(3H,d,J=6.8Hz),0.90(3H,t,J=6.7Hz),0.97(3H,t,J=7.5Hz),1.66(3H,d,J=4.8Hz),2.31(2H,t,J=7.5Hz),2.88(1H,dd,J=2.0,9.6Hz),3.39(3H,s),4.46(1H,dt,J=3.4,6.7Hz),5.21−5.56(3H,m),6.02(1H,dd,J=0.5,9.6Hz),7.01(1H,dd,J=6.2,9.6Hz)
[α]:−97.9°(C=1.14,CHCl
【0028】
実施例2 化合物Ia−14(R=キノリル)
PA−48153C 1.01g、キナルジン酸744mg、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド1.06g、4−ジメチルアミノピリジン573mgをジクロロメタン15mlに溶解し、室温下に5時間撹拌した。不溶物を濾過し、濾液を酢酸エチルで希釈した。飽和重ソウ水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル:ヘキサン=3:7)により精製するとIa−14 1.44g(収率97%)が粉末として得られた。融点:106−108℃。
元素分析(C2937NOとして)
理論値:C,72.62;H,7.78;N,2.92
実測値:C,72.63;H,7.83;N,3.00
LSIMS(m/z):480[M+H]
IRνmax CHClcm−1:1721
H NMR(CDCl)δ:0.86(3H,d,J=6.6Hz),0.96(3H,t,J=7.4Hz),1.11(3H,d,J=7.0Hz),1.59(3H,d,J=4.4Hz),3.05(1H,dd,J=1.6,9.4Hz),3.41(3H,s),4.64(1H,dt,J=3.5,6.6Hz),5.26−5.53(2H,m),5.68(1H,dt,J=1.5,6.8Hz),6.03(1H,d,J=9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.0,9.8Hz),7.61−7.95(3H,m),8.13(1H,d,J=8.6Hz),8.32(2H,d,J=8.6Hz)
[α]:−81.6°(C=1.18,CHCl
【0029】
実施例3 化合物Ia−5(R=−C1327
PA−48153C 1.30gと4−ジメチルアミノピリジン50mgをジクロロメタン15mlに溶解し、氷冷下、ピリジン1.6mlとミリストイルクロリド2.2mlを滴下後、室温下に2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:7)により精製すると化合物Ia−5 2.14g(収率100%)が油状物として得られた。
元素分析(C3358として)
理論値:C,74.11;H,10.93
実測値:C,73.86;H,10.89
LSIMS(m/z):535[M+H]
IRν maxCHCl cm−1:1719
H NMR(CDCl)δ:0.81(3H,d,J=6.8Hz),0.88(3H,d,J=7.0Hz),0.88(3H,t,J=6.6Hz),0.97(3H,t,J=7.5Hz),1.66(3H,d,J=5.0Hz),2.31(2H,t,J=7.4Hz),2.88(1H,dd,J=2.0,9.6Hz),3.39(3H,s),4.46(1H,dt,J=3.6,6.5Hz),5.26(1H,dt,J=1.6,6.0Hz),5.32−5.53(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.7,9.7Hz),7.01(1H,dd,J=6.4,9.7Hz)
[α]D:−68.7°(c=1.03,CHCl
【0030】
実施例4 化合物Ib−1(R=−CH
PA−48153C700mgとヨウ化メチル13.4mlをN,N−ジメチルホルムアミド13.5mlに溶解し、−20℃に冷却下、水素化ナトリウム1.04gを加えた。反応液を15〜20℃の温度にて1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液に加えた。酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水芒硝で乾燥後減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル:ヘキサン=1:3)により精製するとIb−1 530mg(収率73%)が得られた。本品をジクロロメタン−ヘキサンから再結晶すると、融点70〜71℃の無色結晶となった。
元素分析(C2034として)
理論値:C,70.97;H,10.12
実測値:C,70.69;H,10.05
LSIMS(m/z):339[M+H]
IRνmax CHClcm−1:1715
H NMR(CDCl)δ:0.83(6H,d,J=6.8Hz),0.98(3H,t,J=7.5Hz),1.68(3H,d,J=4.0Hz),3.10(1H,dd,J=2.0,9.0Hz),3.45(3H,s),3.48(3H,s),4.59(1H,ddd,J=3.7,4.8,8.5Hz),5.32−5.59(3H,m),6.04(1H,d,J=9.7Hz),7.02(1H,dd,J=6.0,9.7Hz)
[α]:−129.6°(C=1.00,CHCl
【0031】
実施例5 化合物Ic−2(R=−C
PA−48153C 1.53g、クロロ炭酸 n−ブチル1.5ml、ピリジン1.5mlをベンゼン15mlに溶解し、室温下に4時間撹拌した。反応液を実施例1と同様に処理し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル:ヘキサン=1:3)により精製するとIc−2 1.93g(収率100%)が油状物として得られた。
元素分析(C2040として)
理論値:C,67.89;H,9.50
実測値:C,67.62;H,9.52
LSIMS(m/z):425[M+H]
IRν max CHClcm−1:1728
H NMR(CDCl)δ:0.82(3H,d,J=6.6Hz),0.91(3H,d,J=7.0Hz),0.94(3H,t,J=7.2Hz),0.97(3H,t,J=7.2Hz),1.67(3H,d,J=4.6Hz),2.98(1H,dd,J=2.0,9.4Hz),3.42(3H,s),4.15(2H,dt,J=1.5,6.7Hz),4.50(1H,ddd,J=3.7,5.5,7.7Hz),5.16(1H,dt,J=2.2,6.8Hz),5.30−5.56(2H,m),6.02(1H,d,J=9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.0,9.8Hz)
[α]:−90.9°(C=1.07,CHCl
【0032】
実施例6 化合物Id−1(R=−COPh)
PA−48153C 1.10g、ベンゾイルイソシアネート1.3ml、4−ジメチルアミノピリジン825mgをジクロロメタン15mlに溶解し、40℃で7時間撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル:ヘキサン=1:2)により精製するとId−1 1.36g(収率85%)が泡状物として得られた。
LSIMS(m/z):472[M+H]
IRνmax CHClcm−1:1780,1716
H NMR(CDCl)δ:0.83(3H,d,J=6.6Hz),0.95(3H,d,J=7.2Hz),0.97(3H,t,J=7.3Hz),1.65(3H,d,J=4.6Hz),2.99(1H,dd,J=2.2,9.4Hz),3.43(3H,s),4.56(1H,ddd,J=3.5,5.7,7.4Hz),5.27−5.57(3H,m),6.02(1H,d,J=9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.1,9.8Hz),7.42−7.66(3H,m),7.80−7.92(2H,m),8.28(1H,brs)
【0033】
上記実施例と同様にして、下記の化合物を合成した。そのNMR値を示す。
H NMR(CDCl)δ:
Ia−1(R=−CH
0.82(3H,d,J=6.8Hz),0.89(3H,d,J=6.8Hz),0.97(3H,t,J=7.6Hz),1.64(3H,d,J=5.0Hz),2.07(3H,s),2.88(1H,dd,J=2.2,9.2Hz),3.39(3H,s),4.42−4.52(1H,m),5.22−5.57(3H,m),6.02(1H,d,J=9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.0,9.8Hz)
Ia−2(R=−C
0.81(3H,d,J=7.0Hz),0.89(3H,d,J=7.0Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.16(3H,t,J=7.6Hz),1.66(3H,d,J=5.0Hz),2.35(2H,q,J=7.6Hz),2.89(1H,dd,J=2.2,9.6Hz),3.39(3H,s),4.47(1H,dt,J=3.4,6.7Hz),5.27(1H,dt,J=1.6,7.0Hz),5.34−5.56(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.8,9.7Hz),7.01(1H,dd,J=6.4,9.7Hz)
Ia−3(R=−C
0.81(3H,d,J=7.0Hz),0.88(3H,d,J=7.0Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),0.97(3H,t,J=7.8Hz),1.66(3H,d,J=5.0Hz),2.30(2H,t,J=7.4Hz),2.89(1H,dd,J=0.9,9.7Hz),3.39(3H,s),4.39−4.53(1H,m),5.22−5.32(1H,m),5.32−5.49(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.8,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.3,9.8Hz)
【0034】
Ia−6(R=−CHCl)
0.82(3H,d,J=6.8Hz),0.92(3H,d,J=7.2Hz),0.98(3H,t,J=7.4Hz),1.67(3H,d,J=5.0Hz),2.89(1H,dd,J=2.4,9.4Hz),3.40(3H,s),4.06(2H,s),4.42−4.53(1H,m),5.29−5.56(3H,m),6.03(1H,dd,J=0.7,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.2,9.8Hz)
Ia−7(R=−CHCl
0.83(3H,d,J=6.8Hz),0.94(3H,d,J=7.0Hz),0.98(3H,t,J=7.5Hz),1.65(3H,d,J=5.2Hz),2.96(1H,dd,J=2.1,9.5Hz),3.41(3H,s),4.48(1H,dt,J=4.2,8.1Hz),5.28−5.56(3H,m),5.96(1H,s),6.03(1H,dd,J=0.8,9.8Hz),7.00(1H,dd,J=6.0,9.8Hz)
【0035】
Ia−8(R=−CCl
0.84(3H,d,J=6.8Hz),0.97(3H,d,J=7.0Hz),0.99(3H,t,J=7.2Hz),1.65(3H,d,J=4.8Hz),3.00(1H,dd,J=1.8,9.2Hz),3.43(3H,s),4.51(1H,dt,J=4.3,8.6Hz),5.27−5.50(2H,m),5.47−5.57(1H,m),6.05(1H,dd,J=0.8,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.0,9.8Hz)
Ia−9(R=−CCHCl)
0.82(3H,d,J=6.8Hz),0.89(3H,d,J=7.0Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.67(3H,d,J=5.0Hz),2.53(2H,t,J=7.6Hz),2.88(1H,dd,J=2.0,9.2Hz),3.39(3H,s),3.61(2H,t,J=6.3Hz),4.40−4.52(1H,m),5.31(1H,dt,J=1.9,6.8Hz),5.30−5.53(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.7,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.2,9.8Hz)
【0036】
Ia−10(R=−(CHBr)
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.89(3H,d,J=7.2Hz),0.97(3H,t,J=7.6Hz),1.67(3H,d,J=5.0Hz),2.34(2H,t,J=7.2Hz),2.87(1H,dd,J=2.2,9.6Hz),3.39(3H,s),3.41(2H,t,J=6.4Hz),4.46(1H,ddd,J=3.6,6.2,7.4Hz),5.28(1H,ddd,J=1.6,6.2,7.7Hz),5.30−5.56(2H,m),6.02(1H,d,J=9.7Hz),7.01(1H,dd,J=6.4,9.7Hz)Ia−11(R=−CHCH=CHC
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.89(3H,d,J=7.0Hz),0.97(3H,t,J=7.5Hz),0.99(3H,t,J=7.4Hz),1.67(3H,d,J=4.8Hz),2.88(1H,dd,J=2.2,9.4Hz),3.03(2H,d,J=6.6Hz),3.38(3H,s),4.47(1H,ddd,J=3.6,6.3,7.2Hz),5.25(1H,ddd,J=1.7,6.2,7.3Hz),5.32−5.73(4H,m),6.02(1H,dd,J=0.7,9.7Hz),7.01(1H,dd,J=6.2,9.7Hz)
【0037】
Ia−12(R=−(CHCH=CH
0.81(3H,d,J=6.8Hz),0.89(3H,d,J=6.8Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.67(3H,d,J=5.0Hz),2.88(1H,dd,J=1.8,9.4Hz),3.38(3H,s),4.46(1H,dt,J=3.1,6.7Hz),4.99(1H,dd,J=1.5,7.2Hz),5.08(1H,dd,J=1.5,14.3Hz),5.28(1H,ddd,J=1.8,6.1,7.9Hz),5.31−5.53(2H,m),5.72−5.94(1H,m),6.02(1H,d,J=9.7Hz),7.01(1H,dd,J=6.1,9.7Hz)
Ia−13(R=2−シクロペンチルエチル)
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.89(3H,d,J=7.2Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.67(3H,d,J=4.6Hz),2.33(2H,t,J=7.6Hz),2.88(1H,dd,J=2.2,9.6Hz),3.39(3H,s),4.46(1H,dt,J=3.6,6.8Hz),5.26(1H,dt,J=2.0,6.8Hz),5.32−5.58(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.7,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.4,9.8Hz)
【0038】
Ia−15(R=2−キノキサリル)
0.86(3H,d,J=6.6Hz),0.98(3H,t,J=7.6Hz),1.12(3H,d,J=7.0Hz),1.60(3H,d,J=4.6Hz),3.03(1H,dd,J=2.3,9.3Hz),3.41(3H,s),4.56−4.68(1H,m),5.28−5.52(2H,m),5.75(1H,dt,J=1.8,6.8Hz),6.04(1H,dd,J=0.8,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.1,9.8Hz),7.84−7.98(2H,m),8.17−8.36(2H,m),9.50(1H,s)
Ia−16(R=−CHCOCH
0.81(3H,d,J=6.8Hz),0.87(3H,d,J=7.0Hz),0.97(3H,t,J=7.5Hz),1.67(3H,d,J=4.6Hz),2.91(1H,dd,J=2.0,9.6Hz),3.40(2H,s),3.4(3H,s),3.74(3H,s),4.42−4.55(1H,m),5.33−5.54(3H,m),6.02(1H,d,J=9.9Hz),7.01(1H,dd,J=5.9,9.9Hz)
【0039】
Ia−17(R=−(CHCOCH
0.81(3H,d,J=6.8Hz),0.89(3H,d,J=6.8Hz),0.97(3H,t,J=7.5Hz),1.67(3H,d,J=4.9Hz),2.64(4H,s),2.89(1H,dd,J=2.0,9.4Hz),3.39(3H,s),3.68(3H,s),4.42−4.53(1H,m),5.27−5.38(1H,m),5.36−5.49(2H,m),6.02(1H,d,J=9.7Hz),7.01(1H,dd,J=6.2,9.7Hz)
Ia−18(R=−CH=CHCOCH
0.82(3H,d,J=6.8Hz),0.93(3H,d,J=7.0Hz),0.97(3H,t,J=7.6Hz),1.66(3H,d,J=5.0Hz),2.87(1H,dd,J=2.1,9.3Hz),3.36(3H,s),3.82(3H,s),4.47(1H,ddd,J=3.7,5.5,8.0Hz),5.31−5.52(3H,m),6.02(1H,dd,J=0.7,9.7Hz),6.87(2H,s),7.00(1H,dd,J=6.1,9.7Hz)
【0040】
Ia−19(R=−(CHCOCH
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.88(3H,d,J=7.2Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.67(3H,d,J=5.0Hz),2.20−2.40(4H,m),2.87(1H,dd,J=1.9,9.3Hz),3.38(3H,s),3.67(3H,s),4.46(1H,ddd,J=3.7,6.0,7.8Hz),5.27(1H,dt,J=1.8,6.9Hz),5.32−5.53(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.8,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.4,9.8Hz)
Ia−20(R=−(CHCOH)
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.88(3H,d,J=6.8Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.67(3H,d,J=5.0Hz),2.88(1H,dd,J=2.0,9.4Hz),3.39(3H,s),4.40−4.52(1H,m),5.21−5.35(1H,m),5.30−5.56(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.7,9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.4,9.8Hz)
【0041】
Ia−21(R=−CHNHCOC(CH
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.89(3H,d,J=7.0Hz),0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.45(9H,s),1.67(3H,d,J=4.6Hz),2.87(1H,dd,J=2.4,9.4Hz),3.39(3H,s),3.89(2H,d,J=5.8Hz),4.46(1H,ddd,J=3.7,4.7,8.1Hz),4.96−5.10(1H,m),5.30−5.55(3H,m),6.02(1H,d,J=9.9Hz),7.00(1H,dd,J=6.2,9.9Hz)
Ia−22(R=−CH(CH)NHCOCHp−OCH
0.82(3H,d,J=6.8Hz),0.88(3H,d,J=7.0Hz),0.96(3H,t,J=7.2Hz),1.41(3H,d,J=7.0Hz),1.66(3H,d,J=4.6Hz),2.82−2.91(1H,m),3.37(3H,s),3.80(3H,s),4.37−4.51(1H,m),5.03(2H,s),5.21−5.55(3H,m),6.01(1H,d,J=9.8Hz),6.88(2H,d,J=8.6Hz),6.99(1H,dd,J=5.9,9.8Hz),7.29(2H,d,J=8.6Hz)
【0042】
Ia−23(R=−(CHNHCOCHp−OCH
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.88(3H,d,J=7.0Hz),0.96(3H,t,J=7.4Hz),1.66(3H,d,J=5.0Hz),2.36(2H,t,J=7.4Hz),2.86(1H,dd,J=2.2,9.4Hz),3.13−3.30(2H,m),3.37(3H,s),3.81(3H,s),4.39−4.51(1H,m),4.80−4.96(1H,m),5.02(2H,s),5.22−5.35(1H,m),5.30−5.55(2H,m),6.01(1H,dd,J=0.8,9.8Hz),6.88(2H,d,J=9.0Hz),7.00(1H,dd,J=6.2,9.8Hz),7.29(2H,d,J=9.0Hz)
Ia−24(R=−(CHNHCOCHp−OCH
0.81(3H,d,J=6.6Hz),0.88(3H,d,J=7.2Hz),0.97(3H,t,J=7.5Hz),1.66(3H,d,J=4.6Hz),2.31(2H,d,J=7.3Hz),2.86(1H,dd,J=2.2,9.6Hz),3.10−3.25(2H,m),3.38(3H,s),3.81(3H,s),4.45(1H,ddd,J=3.6,6.2,7.5Hz),4.65−4.80(1H,m),5.02(2H,s),5.26(1H,dt,J=1.7,6.8Hz),5.30−5.55(2H,m),6.02(1H,dd,J=0.6,9.8Hz),6.88(2H,d,J=8.8Hz),7.00(1H,dd,J=6.1,9.7Hz),7.30(2H,d,J=8.8Hz)
【0043】
Ic−1(R=フェニル)
0.85(3H,d,J=7.0Hz),0.96(3H,d,J=7.0Hz),0.98(3H,t,J=7.0Hz),1.68(3H,d,J=4.8Hz),3.05(1H,dd,J=2.2,9.2Hz),3.47(3H,s),4.55(1H,ddd,J=3.5,5.5,7.8Hz),5.27(1H,dt,J=1.9,6.8Hz),5.32−5.58(2H,m),6.03(1H,d,J=9.8Hz),7.01(1H,dd,J=6.0,9.8Hz),7.10−7.48(5H,m)
本発明化合物(I)の生物学的活性、即ち、免疫抑制作用、抗腫瘍細胞増殖作用等の活性を下記の実験例に示す方法で試験した。
【0044】
実験例1 マウス脾細胞の試験管内マイトジェン反応に対する抑制効果
本実験には化合物Ia−4を用いた。96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルにC3H/HeNマウス脾細胞5×10個を0.1mlの10%牛胎仔血清含有RPMI1640培地(炭酸水素ナトリウム2mM、ペニシリン50単位/ml、ストレプトマイシン50μg/ml、及び2−メルカプトエタノール5×10−5Mを添加)に浮遊させたものを加え、その各ウェルにマイトジェンとしてコンカナバリンA(Con A)5μg/ml、又はリポポリサッカライド(LPS)10μg/mlと、化合物Ia−4を種々の濃度で加え、各ウェルの最終容量を0.2mlとした。化合物Ia−4は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、上記RPMI1640培地にて希釈し最終濃度100ng/ml以下になるように添加した。96ウェルマイクロタイタープレートは、湿度100%、二酸化炭素5%、空気95%に保持された培養器内で37℃、3日間培養した。その後、6mg/mlのMTT{3−(4,5−ジメチルチアゾール−2イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド}(シグマ製)溶液25μlを各ウェルに加え、37℃にて4時間同一条件下で培養した。培養終了後、生成したホルマザンを、20%ドデシルナトリウムスルホン酸(SDS)の0.02N−塩酸溶液50μlを加え、37℃で24時間放置して溶解させた。生細胞数に比例して生成したホルマザンの吸光強度(OD)を570nmのフィルターを装着したイムノリーダーで測定した(ザ.ジャーナル.オブ.イムノロジカル.メソッド、65巻、55〜63頁、1983年参照)。化合物Ia−4の濃度と吸光強度との相関より50%の細胞増殖阻止濃度(IC50値)を算出した。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003572115
表1に示すように、化合物Ia−4はマウス脾細胞のCon A反応及びLPS反応の両反応を抑制した。また、両反応に対して幅広い抑制濃度範囲を示した。
【0046】
実験例2 EL4細胞に対する抗細胞増殖効果
本実験には化合物Ia−4を用いた。96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルにマウス胸腺腫株EL4細胞を4×10個/0.1mlのスケールで加え、化合物Ia−4を0〜5000ng/mlとなるように0.1ml添加した。3日間培養し、実験例1で示したMTT法によりそのIC50値を算出した。対照としてPA−48153Cを用い、同様に実験してEL4細胞に対する毒性を試験した。結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0003572115
上記の各実験例と同様の方法で一連の本発明化合物のCon A反応抑制作用、リポポリサッカライド反応の抑制作用、及びEL4細胞に対する毒性を試験した。これらの結果、及びCon A反応抑制作用と、EL4細胞に対する毒性のIC50値の比を表3にまとめて示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003572115
【0048】
実験例3 試験管内アロ混合リンパ球反応(アロMLR)に対する抑制効果
本実験には化合物Ia−4を用いた。96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルにC3H/HeNマウス脾細胞(H−2、応答細胞)5×10個と、マイトマイシンC処理(50μg/ml,37℃,30分処理後、RPMI1640培地で3回洗浄する)したC57BL/6マウス脾細胞(H−2、刺激細胞)5×10個を0.2mlのRPMI1640培地に加えた。更に、化合物Ia−4を100ng/ml以下になるように添加した。96ウェルマイクロタイタープレートは、上記実験例1と同じ条件下の培養器内で6日間培養し、収穫の18時間前にH−チミジン(0.5μCi/ウェル)でパルスラベルした。培養終了後、セルハーベスターにて細胞を回収し、細胞に取り込まれた放射能の量を測定し、IC50値を算出した。対照としてPA−48153Cについても同様に実験してIC50値を求めた。結果を表4に示す。
【表4】
Figure 0003572115
【0049】
上記実験例1−3から、化合物Ia−4は、PA−46153Cと比較してEL4細胞に対する抗細胞増殖効果が約100倍低下し、一方マイトジェン反応及びアロMLRに対する抑制効果はほぼ同等であることが分かる。また、表3で示される通り、その他の本発明の化合物(I)についても、毒性が低く、T細胞及びB細胞両方に対して増殖抑制作用が強いことが分かる。これらの結果より、本発明化合物(I)は、PA−48153Cに比較して、毒性が低く、かつ免疫反応に対する抑制効果が上昇していることが明らかである。
【0050】
実験例4 マウスでのヒツジ赤血球に対する抗体産生抑制効果
本実験には化合物Ia−4及びIa−5を用いた。
(1)化合物Ia−4の、マウスでのヒツジ赤血球に対する抗体産生抑制効果
マウス(Balb/C)にヒツジ赤血球(SRBC)を1×10個を静脈内投与することにより免疫した。4日後に心採血して血清を回収し、血清中に産生されたIgM抗体価を赤血球凝集反応によりHAタイターとして測定した。化合物Ia−4は、O/Wエマルジョンビークルに溶解し、免疫した日と2日後、及び免疫の翌日と3日後に腹腔内投与した。結果を表5に示す。
【表5】
Figure 0003572115
表5に示すように化合物Ia−4は、SRBCに対するIgM抗体産生を抑制した。
【0051】
(2)化合物Ia−5のマウスでのヒツジ赤血球に対する抗体産生抑制効果
マウス(Balb/C)にヒツジ赤血球(SRBC)を1×10個静脈内投与することにより免疫した。7日後に心採血して血清を回収し、血清中に産生されたIgG抗体価を赤血球凝集反応によりHAタイターとして測定した。化合物Ia−5は、O/Wエマルションビークルに溶解し、免疫の翌日に静脈内投与した。結果を表6に示す。
【表6】
Figure 0003572115
表6に示すように化合物Ia−5は、SRBCに対するIgG抗体産生を抑制した。
【0052】
実験例5 遅延型過敏症反応に対する抑制効果
本実験には化合物Ia−4を用いた。抗原としてSRBC 1×10個をマウス(Balb/C)に静脈内投与により免疫し、4日後に右足蹠にSRBC 5×10個を皮内チャレンジしてDTHを誘発した。チャレンジ48時間後に抗原投与足と非投与足の腫れを測定し、両足の腫れの差をDTHとした。化合物Ia−4は、O/Wエマルジョンビークルに溶解し、免疫当日と2日後に腹腔内投与した。ビークル投与群のDTHが58.3±20.4の時、化合物Ia−4投与群は、40mg/kgの投与量でDTH9.0±9.6(×0.01mm)とSRBCに対する遅延型過敏症を抑制した。
【0053】
実験例6 ラットでのアジュバント関節炎に対する抑制効果
本実験には化合物Ia−4を用いた。7−8週令、体重150−170gのCrj/LEW系雌性ラットの左足蹠部に、流動パラフィンに懸濁した ycobacterium butyricum(Difco社)0.5mg/0.05mlを皮下投与し、アジュバント関節炎を発症させた。アジュバント投与後、経日的に容積測定器(plethysmometer)により両足の浮腫容積を測定した。化合物はO/Wエマルションビークルに溶解してアジュバント注射の翌日から毎日、12日間腹腔内投与した。アジュバント投与18日後のアジュバント非投与足の浮腫容積に対する作用を検討した。。対照群の浮腫容積すなわち測定容積から正常ラットの足容積1.2mlを差し引いた値を100%にとり、その値からの抑制%を抑制率としStudent’s−t検定で有効性を判定した。
【表7】
Figure 0003572115
表7に示すように化合物Ia−4はラットアジュバント関節炎に対し強い抑制効果を有するので、抗リウマチ剤として有用である。
【0054】
実験例7 細胞障害性T細胞(CTL)誘導に対する抑制効果
本実験には化合物Ia−4を用いた。C3H/HeN(H−2κ)マウスにEL4(H−2)細胞を1×10個腹腔内移入し、10〜11日目に脾細胞を採取し、EL4細胞に対する細胞障害活性を4時間のクロム51遊離法で測定した。即ち、EL4細胞をクロム酸ナトリウム(51Cr標識)で1時間ラベルし、洗浄後、一定の比率[エフェクター(Effector):標的(Target)比]で脾細胞と混合培養し、上清中に遊離される51Crをガンマーカウンターで測定した。化合物Ia−4は、O/Wエマルションビークルに溶解し腹腔内投与した。結果を表8に示す。
【表8】
Figure 0003572115
表8に示すように化合物Ia−4は、EL4細胞に対するCTLの誘導を抑制した。
【0055】
実験例8 各種細胞に対する細胞増殖抑制効果
本実験には化合物Ia−1、Ib−1及びIa−15を用いた。96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに下記の表9で示した各細胞の細胞数を0.1mlのスケールで加え、上記実験例1と同じ培養条件下、下記の表9で示した培地で1日前培養し、0〜5000ng/mlとなるように化合物Ia−1を0−10μg/mlの濃度で0.1ml添加した。そして3〜4日間培養を続け、培養終了後、上記実験例1で示したMTT法によってIC50値を算出した。同様にして、化合物Ib−1及びIa−15についても試験した。結果を表9に示す。
【0056】
【表9】
Figure 0003572115
細胞名:
CCD−19Lu:ヒト正常肺細胞
P388:マウス白血病
P388/ADM:耐性腫瘍
Lu−99:ヒト大細胞肺癌
培地:
MEMはイーグルMEMに10%牛胎仔血清を加えた培地であり、RPMI 1640は、実験例1で示した培地であるが、ヒト由来の細胞には2−メルカプトエタノールは含まれていない。
上記結果から、本発明の化合物(I)は、腫瘍細胞増殖抑制作用を有しており、正常肺細胞CCD−19Luに対するIC50値と大細胞肺癌Lu99細胞に対するIC50値との間に大きい差を有することが示された。また、化合物Ia−15が、免疫抑制作用と、腫瘍細胞増殖抑制作用の両作用を有することも示された。
【0057】
実験例9 腹水型腫瘍(マウス白血病P388)に対する治療効果
本実験例には化合物Ia−5を用いた。DBA/2系マウスの腹腔内で移植継代されたP388細胞を取り出し、10個の細胞を含む生理食塩水0.1mlをそれぞれの試験マウス(BDF1系、雌マウス)の腹腔内に移植した。O/Wエマルションビークルに溶解した化合物Ia−5を、癌細胞の移植の翌日、即ち第1日(移植日を第0日とする)に種々の投与量で尾静脈内に投与した。対照マウスには化合物を含まないビークルのみを注射した。薬剤の有効性は生存日数に基き、延命効果の有無で評価した。延命率は対照の生存日数に対するパーセント(%)であり、下記式に従って算出される。有効性の基準は30%以上と決定した。
【数1】
延命率(%)=(T/C−1)×100%
Tは化合物投与群の平均生存日数、Cは対照群の平均日数を表す。
また、副作用の指標として体重測定を経日的に行ない、治療前から4g以上の体重減少を伴う場合には毒性と判定した。
結果を表10に示す。
【表10】
Figure 0003572115
表10に示すように化合物Ia−5の腹水型腫瘍であるマウス白血病P388に対する抗腫瘍効果は、投与量25mg/kgでは弱いが、50mg/kgでは有効である。
【0058】
実験例10 固形腫瘍(マウス肺癌Lewis及びマウス扁平上皮癌SqC−NH F−3)に対する治療効果
本実験には化合物Ia−5を用いた。C57BL/6系マウスの皮下に移植継代されたLewis肺癌の腫瘍塊を取り出し、コラゲナーゼ処理によって細胞を1個ずつ分散させた。調製された細胞2×10個を含むリン酸緩衝液(PBS)0.1mlをそれぞれの試験マウス(BDF1系、雌マウス)の背部皮下に移植した。またマウス扁平上皮癌SqC−NH F−3の実験では、その培養細胞株を用いた。即ち、10%牛胎仔血清を含むRPMI1640培地中で十分に増殖したSqC−NH F−3培養細胞をトリプシン処理により細胞を1個ずつに分散させた。調製された細胞10個を含むPBS0.1mlを試験マウス(DS系、雌マウス)の背部皮内に移植した。
Lewis及びSqC−NH F−3の各腫瘍細胞を移植された試験マウスに対し、第1日あるいは第10日(移植日を第0日とする)に種々の投与量の本化合物を尾静脈内に投薬した。対照マウスには化合物を含まないビークルのみを注射した。治療実験中、各マウスの腫瘍のサイズと体重の測定を行なった。薬剤の有効性を投薬後14日目の腫瘍径の測定値に基き、下記式に従って求められる増殖抑制率で評価した。
【数2】
増殖抑制率(%)=(1−T/C)×100%
T=化合物投与群の平均腫瘍径
C=対照群の平均腫瘍径
但し、腫瘍径=(a+b)/2[aは長径(mm)、bは短径(mm)を表す]
また、Lewis肺癌を用いた治療実験では実験例9と同様、延命率についても評価した。
結果を表11及び表12に示す。
【0059】
【表11】
Figure 0003572115
【表12】
Figure 0003572115
表11及び12に示すように化合物Ia−5は固形腫瘍であるマウス肺癌Lewisとマウス扁平上皮癌SqC−NH F−3に対して25mg/kgの投与量では効果が弱いが、50−100mg/kgでは強い抗腫瘍活性を有する。
【0060】
実験例11 ヒト結腸癌HT−29(固形腫瘍)に対する治療効果
本実験には化合物Ia−5を用いた。化合物Ia−5の無胸腺ヌードマウスに移植されたヒト腫瘍に対する有効性を試験した。10%牛胎仔血清を含むRPMI1640培地中で培養されたヒト結腸癌HT−29細胞10個を含有するPBS0.1mlを試験マウス(BALB/c nude、雌マウス)の背部皮内に移植した。腫瘍が増殖し、そのサイズが3mm程度に達する移植後8日目に種々の投与量の本化合物を尾静脈内に投薬した。対照マウスには化合物を含まないビークルのみを注射した。治療実験中、各マウスの腫瘍のサイズと体重の測定を行なった。実験例10と同様、薬剤の有効性を、投薬後14日目の腫瘍径に基く増殖抑制率で評価した。結果を表13に示す。
【表13】
Figure 0003572115
表13に示すように本化合物Ia−5はヌードマウスにおいてHT−29ヒト結腸癌の増殖を抑制する活性を有する。
【0061】
【発明の効果】
本発明の2−ピラノン誘導体(I)は免疫抑制作用、腫瘍細胞増殖抑制作用を有していることから、臓器あるいは、組織の移植に対する拒絶反応、骨髄移植により起こる移植片対宿主反応、各種自己免疫病、各種炎症、血液系腫瘍、固形癌等の腫瘍疾病等の治療及び予防に有用である。

Claims (8)

  1. 式(I):
    Figure 0003572115
    (式中、Rは置換されていてもよい低級アルキルであるか又は−COR、−COORもしくは−CONHRを表す。
    ここでRは置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリール低級アルキル又は−A−(NH)n−COOR;ここでAは置換されていてもよい低級アルキレン又は置換されていてもよい低級アルケニレン、nは0もしくは1の整数、そしてRは水素、置換されていてもよい低級アルキル又は置換されていてもよいアリール低級アルキルであり;Rは水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルキル、置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール又は置換されていてもよいヘテロアリール低級アルキル;そしてRは水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級シクロアルキル、置換されていてもよい低級シクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリール低級アルキル、置換されていてもよいアミノ又は置換されていてもよいカルバモイルを表す。)
    で表される化合物又はその塩。
  2. Rがメチルである請求項1記載の化合物。
  3. Rが−COR、−COOR又は−CONHRである請求項1記載の化合物。
  4. Rが−CORであり、Rがハロゲンで置換されていてもよい炭素数2以上のアルキル、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルケニル、低級シクロアルキル低級アルキル、キノリル又は−A−(NH)n−COOR;ここでAは置換されていてもよい低級アルキレン又は置換されていてもよい低級アルケニレンであり、nは0もしくは1の整数であり、Rは水素、置換されていてもよい低級アルキル又は置換されていてもよいアリール低級アルキルである;である請求項1記載の化合物。
  5. がぺンチルである請求項4記載の化合物。
  6. Rが−COORであり、Rが置換されていてもよい低級アルキル又は置換されていてもよいアリールである請求項1記載の化合物。
  7. Rが−CONHRであり、Rが置換されていてもよいアシルである請求項1記載の化合物。
  8. 請求項1記載の化合物を有効成分とする免疫抑制剤。
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