JP3568986B2 - 皮膚および粘膜用製剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、広いおよび狭い範囲の、皮膚および粘膜の表面の変化、とりわけ表面的な皮膚および粘膜の良性の変化、および皮膚および粘膜の表面感染の局所治療のための、ニトラート(硝酸塩または硝酸エステル)還元生成物を含有する、硝酸水溶液を基礎とする新規な製剤、および該製剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決する課題】
今世紀、皮膚欠損、いぼ等を「燃え付」かせるには、焼灼性製剤、特に、強酸の使用が必要である。これに関連し、皮膚科医の薬キャビネットの特定の箇所は、特に、サリチル酸により、濃硝酸により、およびある種のハロゲン化酢酸により、占拠されることになっているが、塩酸はあまり用いられていない。焼灼薬による治療は、通常、痛みが強く、多くの症例で多かれ少なかれ見苦しい瘢痕を残すことが知られている。
さらに、いぼを治療するために、乳酸、シュウ酸および酢酸の使用も提案されている。しかしながら、これらの酸の角質溶解作用は低く、それ故、これらは殆ど、いつもサリチル酸と一緒に用いられる(German Auslegeschrift, 1 266 448)。
他方、19世紀には、いぼおよび他の皮膚欠損を治療するために、酢酸銅または硫酸銅などの銅の塩、硫酸亜鉛と組み合わせた鉛塩、硫酸銅と酢酸の併用など、様々な金属塩の使用が提案され、さらにアンチモン、ヒ素、クロム、水銀、銀、亜鉛およびカドミウムなどの塩の使用も提案された。これらの塩の内で、塩化亜鉛のみが、トリクロロ酢酸との併用(Moh’s Method)で、1時期は皮膚ガンの治療に意義があるとされた。
【0003】
皮膚および粘膜の表面変化の局所治療のために、EP−A−26 532は亜硝酸の金属塩または亜硝酸を、溶液1mlあたり、亜硝酸塩として0.01mg〜5mg、好ましくは0.1mg〜0.5mgに相当する量、含有する6−10Mの硝酸水溶液の使用を勧めている。
EP−A−26 532に開示されているように、そのような製剤は、皮膚変色に関する測定の結果、濃硝酸と同様の速度で化学反応を起こしたが、様々な強酸の劇的な焼灼性作用による、あらゆる組織の無差別破壊作用はなかった。製剤の作用で、実際、外皮タンパク質はそのままで変成し、解剖学的構造を傷つけることなく、生命体に固定された(乾性壊死)。
既知の製剤の組成物および作用について、酸化可能な有機カルボン酸を硝酸に加えて組成物を調製するか、またはそのような酸化可能なカルボン酸を製剤に加えることが、特に有利であることが分かった。シュウ酸、乳酸、グリコール酸、グリオキシル酸、リンゴ酸等の酸化可能なカルボン酸は硝酸と反応して一連の化合物、特に、亜硝酸ガスおよび亜硝酸などのニトラート還元生成物、およびO−ニトリルおよびO−ニトロシル誘導体などの縮合生成物を形成する。この酸化的な方法で得られた製剤は、特に、より長期間、改善された活性を示す。ニトライト(亜硝酸塩またはエステル)として測定され得る反応生成物の含有量が極端に減少すると活性が失われるが、具体的に、どの反応生成物が第一義的に臨床上有用な性質に寄与しているかは知られていない。
【0004】
酸化可能な有機カルボン酸は6−10M硝酸と反応し、亜硝酸ガス、炭酸ガスなどを形成する。従って、EP−A−26 532の開示によると、この方法で製造された製剤は、密封せず、ゆるやかに閉じた容器内で保存することが重要である。容器が保管されている、あるいは開放されていることによるニトライト(nitrite;亜硝酸塩または亜硝酸エステル)濃度の低下を補うことを目的として、EP−A−26 532では様々な速度で酸化され得るカルボン酸混合物の使用、例えば、ピルビン酸、乳酸、およびシュウ酸などの混合物を用いることを勧めている。しかしながら、実際、後続するニトライトの形成に必要とされている酸化可能なカルボン酸の反応は、室温では遅すぎることが分かった。
【0005】
本出願人は、商品名ゾルコダーム(Solcoderm)およびゾルコギン(Solcogyn)と称する対応する製剤を市場化しており、ニトライト濃度が十分であれば、それら自身、有用であることが分かっている。
しかしながら、既知の製剤は、酸化可能なカルボン酸の反応速度が、温度に大きく依存している点で不都合である。その結果、ニトライト濃度は、保存温度および保存有効期間によりかなり変動する。したがって、指示された保存温度および使用期限の期日が可能な限り正確に守られて、初めて、製剤の組成および作用の十分な再現性が確保されるのである。さもなくば、ある状況下では、ニトライト濃度は組成物が活性でなくなる程度にまで、低下してしまう。不活性になったこの種の組成物は、副作用の危険性が増し、例えば、健康な皮膚に潰瘍を起こし得る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、既知の製剤の欠点がなく、均等に良好な、再現性ある活性を達成できると同時に、より多くの硝酸が還元され得る新規な製剤が見いだされた。しかも、この新規な製剤は、1−5.5Mの水性硝酸と、硝酸1Lあたり45−170mmolの量の第一級C1−C5脂肪族飽和アルコール(アルカノール)から、極めて簡単に製造できる単純な製剤である。一般に、近代薬理学では、多くの活性物質からなる製剤は、問題が多いとされているので、後者の事も本発明製剤の利点である。
皮膚および粘膜の表面変化の局所治療のために本発明の製剤は、1−5.5Mの水性硝酸、溶液1mlあたり、ニトライト0.1−6mgに相当する濃度のニトラート還元生成物、および溶液1Lあたり170mmol以下の濃度のC1−C5脂肪族飽和カルボン酸(アルカン酸)を含有する。本発明の製剤は、通常、溶液1Lあたり、少なくとも5mmolのC1−C5脂肪族飽和カルボン酸を含有し、例えば45−170mmolのC1−C5脂肪族飽和カルボン酸を含有する。通常、好ましい製剤は、少なくとも約9mmol、そして約90mmol以下のC1−C5脂肪族飽和カルボン酸を含有する。
【0007】
本発明の目的から、ニトライト濃度に関する表示は、各場合に応じて、ブントン(N.G.Bunton)、クロスビー(N.T. Crosby)およびパターソン(S.J.Patterson)による記載[Analyst 94: 585 (1969)]の方法により、スルファニル酸および1−ナフチルアミンとの反応の後、光分析測定によって得られる値に関連している。この方法では、亜硝酸ガスのような、溶液中に存在する他のニトラート還元生成物がニトライトに変換され、同様に検出される。従って、各場合に得られるニトライト濃度は、ニトラート還元生成物の全濃度と当量のニトライト濃度を意味する。
本発明によれば、新規な製剤は、単に、1−5.5M水性硝酸と、硝酸1Lあたり45〜170mmol、好ましくは60〜90mmolの量の第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールとを反応させることにより製造される。実際、驚くべきことには、第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールは水性硝酸と、室温または高められた温度で、迅速かつ完全に反応し、それによりC1−C5脂肪族飽和カルボン酸と二酸化炭素に変換されると同時に、有効な一連のニトラート還元生成物を形成する。反応は、約20℃から60℃の間であることが好ましい。
エタノールまたは1−プロパノールのようなC2−C5脂肪族飽和アルコールが好ましい。特に好ましいのはエタノールであり、それは室温で硝酸と混合するだけで完全に反応し角質溶解活性を有する酢酸に変換される(そして、一部は二酸化炭素に)。本発明の製剤中に存在する脂肪族飽和カルボン酸は、従って、C2−C5脂肪族飽和カルボン酸であることが好ましく、特に酢酸であることが好ましい。
【0008】
図1−5は本発明の製剤と対照製剤とを用いて行った様々な実験における結果を示すグラフである。
図1は保存温度および保存時間の関数としての既存の製剤、ゾルコダーム(Solcoderm)中のニトライト濃度を示すグラフである。この関数を求めるには、最初、溶液1ml中に、65%強度の硝酸625.2mg、98%強度の酢酸41.5mg、シュウ酸・二水和物57.4mg、乳酸4.5mg、および硝酸銅(II)・三水和物48μgを含有する混合物を密封したガラス製アンプルに入れ、異なる温度で数カ月保存し、一定間隔をあけてニトライト濃度を測定する。図1に示す結果に表示されているように、ニトライト濃度は、温度に依存してかなり変動し易く、安全な取り扱いはかなり困難である。特に、低温(5℃)保存の場合、ニトライト含有量の減少、従って、活性の減少が認められる。他方、30℃および50℃では、ニトライト濃度の急速な上昇が認められ、このことは、カルボン酸の反応が促進されることによって、保管期限に影響を及ぼすであろう。
【0009】
既知の製剤とは対照的に、本発明の製剤は迅速かつ完全な反応のゆえに、明確で再現性のある組成物を含有し、その結果、活性に関する不確実性が極めて大きく解消されている。
しかしながら、本発明の製剤および既知の製剤のいずれの場合も、製剤を開放したまま放置すると、亜硝酸ガスが消散するために、ニトラート反応生成物が数時間以内に減少する。従って、本発明の製剤は、気密性容器、例えば、ガラスアンプルなどの容器に保存するか、あるいは、必要無ければ、適用の直前まで調製しないでおくこと好ましい。
気密性容器、好ましくは密封したアンプル内に収納された本発明の製剤は、一定した、本質的に温度に無関係な組成および作用を有し、実際上、無期限の保管有効期間を有する。また、既知の製剤とは対照的に、長期間にわたる二酸化炭素および亜硝酸ガスの連続的な生成がないので、気密条件下での保存は容易である。その結果、本発明の製剤の場合は、保存期間中における圧力の増大に伴い起こり得る危険、例えば、極端な場合は、高温保存の場合にアンプルの破裂や、開封に際する溶液の爆発的な噴出を招き得るが、が実際上、ゼロになる。
【0010】
本発明の気密性製剤の製造は、原則として、上記のごとく、まず、該製剤を調製し、次いで、それを適当な容器内に気密的に封入することで行われる。方法は1−5.5M硝酸と、第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールとを、反応温度以下の温度、好ましくは、少なくとも反応温度より10℃低い温度(例、0℃)で混合し、混合物を適当な容器、好ましくはアンプル内に、気密的な方法で封入した後、混合物を反応温度またはそれ以上の温度に加熱する。エタノールを用いる場合、成分を10℃を越えない温度、例えば0−5℃で混合し、次いで混合物を、好ましくは温度約20−40℃で反応させる。
実施例1および2に記載のごとく、第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールと硝酸との反応で生成されるニトラート還元生成物の濃度は、観察した範囲においては、実質上、硝酸濃度と無関係である。しかし、それは、用いた脂肪族飽和アルコール濃度に大いに依存しており、これに関連し、脂肪族飽和アルコール濃度とニトライト濃度測定値との間には、非直線的な関係が認められた。図2およびエタノールに関する実施例1および2に示されているように、エタノール濃度45mmol/L以下では、ごく少量のニトラート還元生成物しか形成されず、ニトライト測定濃度は、一般に0.1mg/mlより著しく低く、それは治療開始時の活性を反映している。しかしながら、エタノール濃度が上昇すると、ニトライト測定濃度値も急速に上昇する。この効果の理由は不明である。しかしながら、このことは、少なくとも45mmol/Lの濃度のC1−C5脂肪族飽和アルコールを用い、脂肪族飽和アルコールと硝酸とを反応させることにより、有効な製剤を得ることができるという可能性を明らかにするものであり、また、それは、脂肪族飽和アルコール濃度がさらに高くなると、亜硝酸ガスの過飽和溶液を得ることができる可能性をも示すものである。
【0011】
実施例3記載の髪の毛を用いる試験で、本発明の製剤は、同じ方法で6.4M硝酸を用いて製造した製剤の効果、および市販のゾルコダームの効果と同等の効果を有することが分かった。いずれの場合も、迅速な黄色化が起こり、髪の毛の分解は抑制されたが、脂肪族飽和アルコール使用量が不適切であったり、純粋な硝酸の使用では、髪の毛が分解された。従って、本発明によれば、驚くべきことに、そしてEP−A−26 532の発見とは逆に、活性を保持しつつ、硝酸濃度の減少を、明らかに6mol/L以下にすることができる。
製剤の活性における何らかの相違をより正確に確かめるために、乾性壊疽の第1反応のモデルとして実施例4記載のペプシン試験を開発した。図3は、時間の関数として、試料1−6に関するペプシン試験において測定した光学密度(OD)を示す。曲線の「勾配b」を、活性モデルの目安(変色の早さ)として用いた。図4は5.4Mおよび6.4M硝酸を用いたペプシン試験における勾配bのエタノールの濃度への依存性を示す。図5は一定濃度(60mmol/L;0.35v/v%)のエタノールを用いたペプシン試験における勾配bの硝酸濃度への依存性を示す
【0012】
少なくとも、濃度45mmol/Lの脂肪族飽和アルコールを用いて製造された製剤はペプシン試験で十分有効であることが分かった。しかしながら、驚くべきことに、結果はペプシン試験での変色速度は、硝酸濃度の増大および脂肪族飽和アルコール濃度の増大の両方に伴って増大した。この発見から、硝酸濃度の低下によって起きる変色速度の低下は、所望により脂肪族飽和アルコール濃度を高め、対応するニトラート還元生成物の濃度を上昇させることで、大いに埋め合わせができるということが導かれる(図2参照)。
本発明の製造方法によれば脂肪族飽和アルコールが完全に反応し、対応する脂肪族飽和カルボン酸を形成し、ある場合、(特にメタノールまたはエタノールを用いた場合)、さらに二酸化炭素も生成する。
脂肪族飽和アルコールの使用量は約170mmol/Lを越えないことが好都合であり、約130mmol/Lを越えないことが好ましい。この方法で、製剤を気密条件下で製造しても過圧になることが避けられる。ペプシン試験の結果に関しては、約60−90mmol/Lの脂肪族飽和アルコール濃度を用いることが一般に好ましい。
【0013】
相応して、本発明の製剤は170mmol/Lを越えない濃度、好ましくは、約9−90mmol/Lの範囲の濃度のC1−C5脂肪族飽和カルボン酸と、ニトライトとして測定したニトラート還元生成物を、溶液1mlあたり、ニトライト約0.1−約6mg、好ましくは約1−5mg、特に好ましくは約2−4mgに相当する濃度のニトライトを含有する。
気密性容器内で製造および/または保存する場合、亜硝酸ガスの形の硝酸還元生成物の形成を促進するには、容器の全容量に対する液体容量の割合は1:2以下、特に好ましくは約1:5〜1:10の範囲から選択する。例えば、本発明製剤は、1mlのガラスアンプル内で、各場合、一回の治療に十分な約0.1−0.2mlの量の製剤を製造し保存する。これにより、余分な溶液を捨てることや、不活性になった溶液を適用する恐れが無くなる。
【0014】
実施例5の皮膚試験から分かるように、本発明の製剤は、数時間以内に消失する僅かな赤色化および極く僅かな水疱以外、硝酸濃度が上限であってもなんらの副作用を示さない。不適切な取り扱いの結果、ニトラート還元生成物の含有量が完全に減少しても、硝酸濃度が低いために、副作用は比較的、低く止まるであろう。硝酸濃度6.4mol/Lにおいて、同様に製造した製剤は、やや副作用が高いが、それでも市販のゾルコダームよりは良いことが分かった。しかしながら、両対照(比較)製剤の場合、取り扱いが不適切なために、相対的に重篤な副作用、例えば、開放性の傷または潰瘍など、が起こる危険性がある。従って、本発明においては、硝酸を5.5mol/L以上の濃度で用いないことが好都合である。
このように、本発明の製剤は、既知の製剤とほぼ同様の優れた活性を有し、副作用が少なく、規定の成分と活性が存在し、例え不適切な取り扱いがあっても副作用の危険性は比較的低くとどまるので、極めて安全に適用することを可能にするものである。
【0015】
本発明の製剤は、化粧品および医薬に用いることができ、EP−A−26 532に記載の、あらゆる適用分野および指示に適合する。特に、表面的な、良性の皮膚変化、例えば、いぼ症(例、尋常性いぼおよび足底いぼ)、良性母斑(あざ)、脂漏性および光線性角化症、およびコンジローム、並びに表面的な良性の粘膜の変化、例えば、脱出部(例、外反症、紅板症、および偽侵食)などの良性の頸部病変、変質帯(Transformation zone)、ナーボト嚢胞、子宮頸管のポリープ、コンジロームおよび術後の肉芽腫などへの局所適用が示されている。
副作用の危険性が非常に低いことから、本発明の製剤は、EP−A−26 532に記載の製剤と異なり、皮膚や粘膜の小さい表面領域の変化のみならず、皮膚および粘膜の広い表面領域の平坦な病変および感染、そして、特に、例えば足真菌症および爪真菌症などの皮膚および粘膜の真菌性疾患の治療にも適する。
【0016】
本発明の全製剤は、基本的に上記の指示に適する。しかしながら、皮膚および粘膜の広い表面積の平坦な患部、および真菌症の治療には、一般に硝酸濃度が1−4mol/Lの製剤を用いることが好ましい。一方、促進された、明らかに分かる皮膚および粘膜の変化である過形成の治療には、硝酸濃度が4−5.5mol/Lの製剤を用いることが好ましい。
EP−A−26 532に記載のように、本発明の製剤は、局所投与または他の局部治療の方法で、病理学的変化を来した組織領域の上および/または中に適当することができる。アプリケーターとしては、先の尖った木製スティック、小さい、薄い、孔のあいたプラスチックスティック、または比較的広い領域の治療のためのブラシを用いることができ、また好ましい、
【0017】
【実施例】
本発明を下記実施例に基いて詳細に説明する。各場合において、室温とは22℃を表わす。また、各場合において、ニトライト濃度は、Analyst 94: 585 (1969)に記載の方法で、スルファニル酸および1−ナフチルアミンとの反応の後、測定され、各場合において、ニトライトとして測定されるニトラート還元生成物の全濃度に関連する濃度である。
【0018】
実施例1
70%強度の硝酸(15.7mol/L)1容量部および水1.907容量部を、あらかじめ、別々の容器内で、氷浴中、5℃以下に冷却した。次いで、冷硝酸を撹拌および冷却下、冷水にゆっくりと加え、得られた溶液(5.4M硝酸)を氷浴中でさらに15分間撹拌した。次いで、溶液にエタノールを、60mmol/L溶液の量、混合し、撹拌した。アンプル充填装置により、限界リングを有する1mlDINアンプルを用いて、その各々に溶液0.2mlを充填し、即座に熔融した。エタノールの添加および充填の期間中、溶液を氷浴中で0−2℃に維持した。0−2℃で24時間維持した試料内では、反応が認められず、この方法で大量のバッチによる製造が可能であることが確信された。
密封したアンプルを室温まで昇温させると、突発的にエタノールが反応を開始し、完全に酢酸と亜硝酸ガスを生成した。24時間後に高速液体クロマトグラフィーで測定した残存エタノール量は、各場合で、明らかに100ppm以下であった。得られたアンプル形の水性硝酸、ニトラート還元生成物、および酢酸からなる製剤は、濃度5.50mol/L当量の酸と、ニトライトとして測定したとき、溶液1mlあたり1.41mgのニトライトに相当する濃度のニトラート還元生成物を含有していた。
表1に示すように、異なる濃度のエタノールと硝酸を用い、同様の方法で製剤を製造し、そのニトライト濃度を測定した。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例2
実施例1と同様、70%強度の硝酸1容量部および水1.453容量部から6.4M硝酸溶液を調製し、この溶液にエタノールを、60mmol/L溶液の量、加え、混合物をアンプルに分配し、室温まで昇温した。得られた製剤は酸を6.64mol/L当量含有し、ニトライトとして測定したニトラート還元生成物濃度は、溶液1mlあたり、ニトライト1.75mgであった。
測定精度の範囲内で、ニトラート還元生成物の濃度は、硝酸の大過剰と、エタノールの完全酸化に基づいて予測されるように、実質上、硝酸濃度と無関係であることが分かった(実施例1および表1参照)。
濃度0−130mmol/Lの範囲の異なる濃度のエタノールを用い、上記と同様の方法で、さらに製剤を製造し、各場合、ニトライトとして測定されるニトライト還元生成物の溶液中の濃度を測定した。測定したニトライト濃度を、用いたエタノールの濃度の関数として、図2にグラフの形で示す。比較のために、理論的に可能なニトライト濃度(これは、ニトライトとして測定され得る溶液中のニトラート還元生成物が、専ら、エタノールとの反応でニトラートからのみ形成されると仮定して計算した)をも図示した。
図2は、測定したニトライト濃度がエタノール濃度の上昇に伴って直線的な増加を示さないことを表している。エタノール濃度45mmol/L以下では、ごく少量のニトラート還元生成物が見いだされた;ニトライト濃度の測定値は、ニトライト濃度0.1mg/Lより著しく低く、治療活性の開始点を表している。しかしながら、エタノール濃度45mmol/L以上では、エタノール濃度の上昇に伴ってニトライト濃度が上昇し、溶液が亜硝酸ガス過飽和の状態になっていることを示している。
【0021】
実施例3 (毛髪試験)
実施例1と同様、表2記載の濃度の硝酸およびエタノールを用い、多数の製剤を調製し、それらのヒト毛髪への作用を研究した。この目的のために、ヒトの金髪を1容量%のアセトン水溶液、次いで、水で洗浄し、乾燥した。この方法で脱グリースした髪を細かく刻んだ。次いで、各場合、10mgの毛髪を製剤1mlに入れ、黄色化、およびなんらかの分解の発現に基づいて視覚的に作用を評価した。色の変化は製剤の化学反応の象徴であり、該化学反応によって組織はその生命力を失うが、なんらかの分解を除いて、実質上、解剖学的構造を維持している。比較のために、市販製剤ゾルコダーム(Solcoderm)の作用も同様に試験した。
【0022】
【表2】
エタノールが添加されていない試料は長期間の遅れの後、初めて黄色化し、次いで、髪が分解した;硝酸濃度の減少によっても黄色変化は遅れた。6.4Mまたは5.4M硝酸1Lあたりエタノール26mmol/Lを用いると、迅速に黄色化したが、同様に、最終的に髪は分解した。エタノール濃度60または86mmol/Lを用いて製造した試料は、試験したあらゆる硝酸濃度において、髪を分解することなく、迅速に黄色化した。試料の黄色化速度における相違は観察されなかった;この観点から、毛髪試験は、余りに敏感でないことが分かった。
このように、エタノールと硝酸との反応で形成されるニトライト還元生成物は、組織との反応をかなり促進し、その結果、作用は明確に善されている。さらに、ニトライト還元生成物のある閾値以上では、組織の分解が抑制され、即ち、十分な量のニトラート還元生成物の存在によって、解剖学的構造の固定化(乾性壊疽)が確実になり、副作用の危険性が減少する。
【0023】
実施例4(ペプシン試験)
実施例1と同様に、表3、および図4および5記載の硝酸およびエタノール濃度を用い、数多くの製剤を製造し、次いで、そのペプシン溶液との作用を試験した。ペプシン試験は、乾性壊疽の第1反応のモデル(1級アミノおよび2級アミノ基との反応、それは、溶液の変色を示す)として開発され、この試験は、毛髪の黄色化よりも正確な該作用の定量を可能にする。
ペプシン試験を行うために、各場合、アンプル開封から正確に1分後、試料100μlをペプシン1mg/水1mlの溶液に加えた。続く反応を、混合物の時間依存性変色に関して分光光学的に監視した。各場合、パラメーターとして、ペプシン溶液への試料の添加から300秒間、波長438nmの光学密度を測定した。第1回の測定は、各場合とも、添加20秒後である。各試料に関して測定した光学密度を、下記の方程式:
y=a+bx+cx2 (1)
(式中、yは光学密度、xは時間(秒)、そしてパラメーターa,b,cを計算する)
に基づいて評価した。変色の早さは、基本的に、パラメーターb(本明細書の文脈から、「勾配b」と称する)によって決定され、それは作用モデルの目安と考えられた。
試料番号1−10で示される試料は、表3記載の勾配を与えた。比較のために、市販の製剤ゾルコダーム(Solcoderm)もペプシン試験で調べた。
【0024】
【表3】
【0025】
図3は、試料番号1−6の試料に関して測定した、時間の関数としての光学密度(OD)をグラフの形に示したものである。
試料番号1の結果は、エタノールを添加しないで調製した製剤が不活性であることを示している。試料番号2−6は、硝酸濃度およびエタノール濃度の上昇に伴って明確に増大する、良好な活性を示している。
図4は、一定の硝酸濃度(5.4Mまたは6.4M)と、様々な濃度のエタノールを用いて製造した製剤の勾配bを示すグラフである。図4から明らかに、勾配bは、用いたエタノール濃度とほぼ比例している。5.4M硝酸を用いた製剤の曲線はゆるやかであるが、これは、エタノール濃度を上げることで、それ相応に補い得る。
図5は一定濃度(60mmol/L)のエタノールと様々な濃度(4.4M−6.4M)の硝酸を用いて調製した製剤の勾配bを示すグラフである。図から分かるように、この濃度範囲の勾配bは、硝酸濃度の上昇に伴って、ほぼ直線的に増大する。
【0026】
実施例5(ヒト皮膚における試験)
ヒトの正常な皮膚への副作用を評価するために、実施例1記載の方法に従い、硝酸(それぞれ、6.4および5.4mol/L)とエタノール(それぞれ、60および86mmol/L)を用いて調製した2種類の製剤、および対照として、エタノールを加えない、対応する濃度の、およびより希釈した硝酸溶液、並びに市販の製剤ゾルコダーム(Solcoderm)を、前腕の下側に適用し、5分間作用させた。適用量は、硝酸濃度5.4mol/L以下の試料は40μl、他の試料は20μlである。36時間にわたって作用を観察し、表4に示す結果を得た。
【0027】
【表4】
【0028】
2倍容量を適用したにもかかわらず、5.4M硝酸は6.4M硝酸よりも副作用が少なく、特に、解放性傷の形成を示さなかった。さらに硝酸濃度が低下するに伴い、副作用の減少が観察された。特に、硝酸濃度2.4Mおよび1.4Mでは、もはや水疱は形成されなかった。ゾルコダームによる反応は、5.4M硝酸の場合と同様であった。エタノールを加えて調製した2つの製剤は、対応する純粋な硝酸溶液に比較して、明らかに副作用が少ない上、副作用は迅速に消失した。換言すれば、これらの製剤中でエタノールとの反応により形成されたニトラート還元生成物は、正常な組織への硝酸の副作用を、相当な程度、抑制したのである。しかも、両製剤はゾルコダームよりも明らかに優れていた。
5.4M硝酸と、濃度86mmol/Lのエタノールから調製した製剤は、純粋な2.4M硝酸と同様の低い副作用を示した。その結果、不適切な取り扱いによってニトラート還元生成物の含有量が減少、または完全に消失してしまっても、副作用は比較的低いままなので、安全に適用することができる。アンプル開封後、24時間目に試料(20μl)を皮膚に適用し、その作用を同様に36時間にわたって観察した対照実験では、褐色の斑点を有する重篤な赤色化と水疱の形成(閉じたまま)を示した。硝酸濃度の低下に従って副作用の危険性が一層減少されるので、そのような製剤も広い表面積の皮膚および粘膜の疾患の治療に適する。
【0029】
実施例6
実施例1と同様に、5.4mol/L硝酸と濃度86mmol/Lのエタノールから調製した製剤(ニトライト含有量測定値:3.20mg/ml)の、ペプシン試験での作用を、アンプル開封後30分間にわたって調べた。ペプシン試験は、実施例4の記載と同様にして行った。結果を表5にまとめて示す。
【表5】
製剤を、アンプル開封後、1時間以内、好ましくは30分以内の、数分以内に適用すると、治療活性が保証され、実質上副作用が無い。
【0030】
実施例7
表6に記載の濃度のエタノールおよび硝酸を用い、実施例1記載の方法に従って多くの製剤を調製し、アンプルを熔融した後、22℃で保存した。様々な保存時間の後、製剤中の酢酸含有量をガスクロマトグラフィー分析で測定した。測定値は、酵素法による対照測定値(Boehringerのアセテート試験キット)と、測定精度の限界内で一致した。
【表6】
結果から、長期保存後でも酢酸濃度が一定のままであり、使用したエタノール濃度に応じて酢酸濃度が上昇することが確認される。しかしながら、酢酸濃度の測定値は、用いたエタノール濃度よりも低い。塩化バリウム試験により、エタノールのさらなる反応生成物として二酸化炭素が検出された。完全に反応した溶液内では、エタノールも他の反応生成物も検出されなかった。換言すると、エタノールは完全に酢酸と二酸化炭素に変換された。
【0031】
実施例8
実施例1と同様に、5.4M硝酸と86mmol/Lのエタノールとを混合し、溶液を幾つかのアンプルに分配した。アンプル形の溶液を様々な温度で14日または1カ月保存し、次いで、その酢酸およびニトラート還元生成物の含有量を調べた。結果を表7に示す。結果は、調査した範囲の温度での保存は、製剤の成分に重大な影響を及ぼさないことが分かった。
【表7】
【0032】
実施例9(尋常性および足底いぼの治療)
尋常性および足底いぼの治療に関する臨床研究を行うために、下記の製剤を実施例1記載の方法で調製した。
【表8】
合計26個のいぼ(患者数22名)を製剤A−Cのいずれか1つで治療し、同じ型のいぼを有する患者の場合、さらに比較のためにゾルコダーム(Solcoderm)で治療した。製剤を、小さい、薄い、孔のあるプラスチックスティックを用い、小さいスティックで製剤を患部上に滴下して分散させ、静かに刺して患部に導入し、適用した。この処置を、各場合、患部が均一に黄色に変色し、そして/または僅かに焼灼感があるまで続けた。製剤A−Cは、各場合、約3−5分以内に患部を変色させ、ゾルコダームは約10分以内に変色させた。同様に、製剤A−Cでは、熱感およびちくちくした痛みは約5−10分以内に起き、ゾルコダームのそれ(15−30分以内)より早い。従って、製剤A−Cによる治療をゾルコダームによる治療の場合と比較すると、時間は明らかに短い上、痛みの感覚(その長さおよび強度のいずれも)は少なかった。4−8日間隔で、患部が完全に治癒するまで治療を1回またはそれ以上繰り返した。結果を表9にまとめて示す。
【0033】
【表9】
表9に記載の症例の内、2回の治療で患部が完全に治癒しなかったものの内、製剤Bによる治療を受けた尋常性いぼの1つは3回目の治療後、製剤Bによる治療を受けた足底いぼの1つは3回目の治療後、もう1つは4回目の治療後、治癒し、製剤Cによる治療を受けた足底いぼの1つは、3回目の治療後、完全に治癒した。他の症例は中間報告がなされた時点で、まだ治療中であった。
4つの尋常性いぼと2つの足底いぼを対照製剤で治療した。それらのいぼの内、2つの尋常性いぼと1つの足底いぼは1回の治療で治癒し、2つの尋常性いぼと1つの足底いぼは2回の治療の後、治癒した。
【0034】
実施例10(足真菌症の治療)
1つの症例研究で、両足が足真菌症に感染している1人の患者を、5.4M硝酸と86mmol/Lエタノールから実施例1記載の方法で調製した製剤で治療した。
1方の足は、第4指と第5指の間が重篤な真菌感染症で、皮膚が分離したり、非常に赤くなっているところもあった。指を開くと、残っていた薄い皮膚が裂け、出血した。オキシコナゾール製剤(Oceral, Roche)治療が不成功に終わった後、本発明製剤約100μlを患部に適用した。患者は、損傷された皮膚領域に、短い、刺すような、焼灼感を数秒間感じ、皮膚の損傷領域付近の明確に示される領域が褐色に変色した。感染した皮膚の広範な残部およびそれを囲む健常な皮膚は変色せず、あるいはごく僅かに黄色化した。治療から8時間後、治療した皮膚は重篤な赤色化を示し、患者はなお僅かな圧痛を感じたが、安静時にはなんら痛みを感じなかった。引き続いて、傷−治癒軟膏[ゾルコセリル(Solcoseryl)軟膏、Solco Basel AG]で一夜、患部を治療した。3日後、典型的な足底真菌症感染の皮膚患部は消失した。皮膚の表面は堅く、張っていた。7日後、感染した領域は完全に治癒し、再発もなかった。
他の足は、皮膚の裂傷もなく、僅かに真菌感染症を示していた。感染した領域を本発明の製剤で治療したが、痛みは起こらなかった。7日後、患部は完全に治癒し、同様に、再発はなかった。
【0035】
実施例11(爪真菌症治療)
さらに、症例研究で、爪真菌症の1人の患者(右手の薬指、中指、人指し指の完全な感染)を、3.4M硝酸と129mmol/Lエタノールから実施例1記載の方法で調製した本発明製剤で治療した。この治療に先立ち、感染した爪をアモロルフィン製剤(Loceryl−Lack, Roche)を用いて治療したが、真菌感染症の軽減や爪の成長を認めなかった。
本発明の製剤を感染した爪に適用すると、1分以内に明確な黄褐色に変色した。患者は、爪基部から正常な皮膚に移行する部分の、小さな傷のある皮膚部位における、約3分間程度持続する僅かな焼灼感を除いて、なんらの痛みを感じなかった。3日後、特に重篤に感染していた爪部分が、崩壊した。本発明の製剤による治療を約7日毎に繰り返した。丁度14日経過したとき、爪の明らかな改善(破壊の程度がより小さくなる)が観察された。2カ月後、爪の再成長が観察された。爪基部に接した爪の背後部分は、まだ爪基部そのものの感染による影響を受けていた。従って、本発明の製剤は、表面的な爪真菌症の治療に適し;爪基部の感染症の場合には、経口抗−真菌剤との併用治療を行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】保存温度および保存時間の関数としての本発明製剤のニトライト濃度を示すグラフである。
【図2】エタノール濃度の関数としての本発明製剤のニトライト濃度を示すグラフである。
【図3】種々の濃度の硝酸およびエタノールを用いて調製した本発明製剤のペプシン溶液との作用を、時間の関数としての光学密度(OD)で示したグラフである。
【図4】一定濃度の硝酸(5.4Mまたは6.4M)と、様々な濃度のエタノールを用いて製造した本発明製剤の勾配bを示すグラフである。
【図5】一定濃度(60mmol/L)のエタノールと様々な濃度(4.4M−6.4M)の硝酸を用いて調製した本発明製剤の勾配bを示すグラフである。
【0001】
本発明は、広いおよび狭い範囲の、皮膚および粘膜の表面の変化、とりわけ表面的な皮膚および粘膜の良性の変化、および皮膚および粘膜の表面感染の局所治療のための、ニトラート(硝酸塩または硝酸エステル)還元生成物を含有する、硝酸水溶液を基礎とする新規な製剤、および該製剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決する課題】
今世紀、皮膚欠損、いぼ等を「燃え付」かせるには、焼灼性製剤、特に、強酸の使用が必要である。これに関連し、皮膚科医の薬キャビネットの特定の箇所は、特に、サリチル酸により、濃硝酸により、およびある種のハロゲン化酢酸により、占拠されることになっているが、塩酸はあまり用いられていない。焼灼薬による治療は、通常、痛みが強く、多くの症例で多かれ少なかれ見苦しい瘢痕を残すことが知られている。
さらに、いぼを治療するために、乳酸、シュウ酸および酢酸の使用も提案されている。しかしながら、これらの酸の角質溶解作用は低く、それ故、これらは殆ど、いつもサリチル酸と一緒に用いられる(German Auslegeschrift, 1 266 448)。
他方、19世紀には、いぼおよび他の皮膚欠損を治療するために、酢酸銅または硫酸銅などの銅の塩、硫酸亜鉛と組み合わせた鉛塩、硫酸銅と酢酸の併用など、様々な金属塩の使用が提案され、さらにアンチモン、ヒ素、クロム、水銀、銀、亜鉛およびカドミウムなどの塩の使用も提案された。これらの塩の内で、塩化亜鉛のみが、トリクロロ酢酸との併用(Moh’s Method)で、1時期は皮膚ガンの治療に意義があるとされた。
【0003】
皮膚および粘膜の表面変化の局所治療のために、EP−A−26 532は亜硝酸の金属塩または亜硝酸を、溶液1mlあたり、亜硝酸塩として0.01mg〜5mg、好ましくは0.1mg〜0.5mgに相当する量、含有する6−10Mの硝酸水溶液の使用を勧めている。
EP−A−26 532に開示されているように、そのような製剤は、皮膚変色に関する測定の結果、濃硝酸と同様の速度で化学反応を起こしたが、様々な強酸の劇的な焼灼性作用による、あらゆる組織の無差別破壊作用はなかった。製剤の作用で、実際、外皮タンパク質はそのままで変成し、解剖学的構造を傷つけることなく、生命体に固定された(乾性壊死)。
既知の製剤の組成物および作用について、酸化可能な有機カルボン酸を硝酸に加えて組成物を調製するか、またはそのような酸化可能なカルボン酸を製剤に加えることが、特に有利であることが分かった。シュウ酸、乳酸、グリコール酸、グリオキシル酸、リンゴ酸等の酸化可能なカルボン酸は硝酸と反応して一連の化合物、特に、亜硝酸ガスおよび亜硝酸などのニトラート還元生成物、およびO−ニトリルおよびO−ニトロシル誘導体などの縮合生成物を形成する。この酸化的な方法で得られた製剤は、特に、より長期間、改善された活性を示す。ニトライト(亜硝酸塩またはエステル)として測定され得る反応生成物の含有量が極端に減少すると活性が失われるが、具体的に、どの反応生成物が第一義的に臨床上有用な性質に寄与しているかは知られていない。
【0004】
酸化可能な有機カルボン酸は6−10M硝酸と反応し、亜硝酸ガス、炭酸ガスなどを形成する。従って、EP−A−26 532の開示によると、この方法で製造された製剤は、密封せず、ゆるやかに閉じた容器内で保存することが重要である。容器が保管されている、あるいは開放されていることによるニトライト(nitrite;亜硝酸塩または亜硝酸エステル)濃度の低下を補うことを目的として、EP−A−26 532では様々な速度で酸化され得るカルボン酸混合物の使用、例えば、ピルビン酸、乳酸、およびシュウ酸などの混合物を用いることを勧めている。しかしながら、実際、後続するニトライトの形成に必要とされている酸化可能なカルボン酸の反応は、室温では遅すぎることが分かった。
【0005】
本出願人は、商品名ゾルコダーム(Solcoderm)およびゾルコギン(Solcogyn)と称する対応する製剤を市場化しており、ニトライト濃度が十分であれば、それら自身、有用であることが分かっている。
しかしながら、既知の製剤は、酸化可能なカルボン酸の反応速度が、温度に大きく依存している点で不都合である。その結果、ニトライト濃度は、保存温度および保存有効期間によりかなり変動する。したがって、指示された保存温度および使用期限の期日が可能な限り正確に守られて、初めて、製剤の組成および作用の十分な再現性が確保されるのである。さもなくば、ある状況下では、ニトライト濃度は組成物が活性でなくなる程度にまで、低下してしまう。不活性になったこの種の組成物は、副作用の危険性が増し、例えば、健康な皮膚に潰瘍を起こし得る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、既知の製剤の欠点がなく、均等に良好な、再現性ある活性を達成できると同時に、より多くの硝酸が還元され得る新規な製剤が見いだされた。しかも、この新規な製剤は、1−5.5Mの水性硝酸と、硝酸1Lあたり45−170mmolの量の第一級C1−C5脂肪族飽和アルコール(アルカノール)から、極めて簡単に製造できる単純な製剤である。一般に、近代薬理学では、多くの活性物質からなる製剤は、問題が多いとされているので、後者の事も本発明製剤の利点である。
皮膚および粘膜の表面変化の局所治療のために本発明の製剤は、1−5.5Mの水性硝酸、溶液1mlあたり、ニトライト0.1−6mgに相当する濃度のニトラート還元生成物、および溶液1Lあたり170mmol以下の濃度のC1−C5脂肪族飽和カルボン酸(アルカン酸)を含有する。本発明の製剤は、通常、溶液1Lあたり、少なくとも5mmolのC1−C5脂肪族飽和カルボン酸を含有し、例えば45−170mmolのC1−C5脂肪族飽和カルボン酸を含有する。通常、好ましい製剤は、少なくとも約9mmol、そして約90mmol以下のC1−C5脂肪族飽和カルボン酸を含有する。
【0007】
本発明の目的から、ニトライト濃度に関する表示は、各場合に応じて、ブントン(N.G.Bunton)、クロスビー(N.T. Crosby)およびパターソン(S.J.Patterson)による記載[Analyst 94: 585 (1969)]の方法により、スルファニル酸および1−ナフチルアミンとの反応の後、光分析測定によって得られる値に関連している。この方法では、亜硝酸ガスのような、溶液中に存在する他のニトラート還元生成物がニトライトに変換され、同様に検出される。従って、各場合に得られるニトライト濃度は、ニトラート還元生成物の全濃度と当量のニトライト濃度を意味する。
本発明によれば、新規な製剤は、単に、1−5.5M水性硝酸と、硝酸1Lあたり45〜170mmol、好ましくは60〜90mmolの量の第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールとを反応させることにより製造される。実際、驚くべきことには、第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールは水性硝酸と、室温または高められた温度で、迅速かつ完全に反応し、それによりC1−C5脂肪族飽和カルボン酸と二酸化炭素に変換されると同時に、有効な一連のニトラート還元生成物を形成する。反応は、約20℃から60℃の間であることが好ましい。
エタノールまたは1−プロパノールのようなC2−C5脂肪族飽和アルコールが好ましい。特に好ましいのはエタノールであり、それは室温で硝酸と混合するだけで完全に反応し角質溶解活性を有する酢酸に変換される(そして、一部は二酸化炭素に)。本発明の製剤中に存在する脂肪族飽和カルボン酸は、従って、C2−C5脂肪族飽和カルボン酸であることが好ましく、特に酢酸であることが好ましい。
【0008】
図1−5は本発明の製剤と対照製剤とを用いて行った様々な実験における結果を示すグラフである。
図1は保存温度および保存時間の関数としての既存の製剤、ゾルコダーム(Solcoderm)中のニトライト濃度を示すグラフである。この関数を求めるには、最初、溶液1ml中に、65%強度の硝酸625.2mg、98%強度の酢酸41.5mg、シュウ酸・二水和物57.4mg、乳酸4.5mg、および硝酸銅(II)・三水和物48μgを含有する混合物を密封したガラス製アンプルに入れ、異なる温度で数カ月保存し、一定間隔をあけてニトライト濃度を測定する。図1に示す結果に表示されているように、ニトライト濃度は、温度に依存してかなり変動し易く、安全な取り扱いはかなり困難である。特に、低温(5℃)保存の場合、ニトライト含有量の減少、従って、活性の減少が認められる。他方、30℃および50℃では、ニトライト濃度の急速な上昇が認められ、このことは、カルボン酸の反応が促進されることによって、保管期限に影響を及ぼすであろう。
【0009】
既知の製剤とは対照的に、本発明の製剤は迅速かつ完全な反応のゆえに、明確で再現性のある組成物を含有し、その結果、活性に関する不確実性が極めて大きく解消されている。
しかしながら、本発明の製剤および既知の製剤のいずれの場合も、製剤を開放したまま放置すると、亜硝酸ガスが消散するために、ニトラート反応生成物が数時間以内に減少する。従って、本発明の製剤は、気密性容器、例えば、ガラスアンプルなどの容器に保存するか、あるいは、必要無ければ、適用の直前まで調製しないでおくこと好ましい。
気密性容器、好ましくは密封したアンプル内に収納された本発明の製剤は、一定した、本質的に温度に無関係な組成および作用を有し、実際上、無期限の保管有効期間を有する。また、既知の製剤とは対照的に、長期間にわたる二酸化炭素および亜硝酸ガスの連続的な生成がないので、気密条件下での保存は容易である。その結果、本発明の製剤の場合は、保存期間中における圧力の増大に伴い起こり得る危険、例えば、極端な場合は、高温保存の場合にアンプルの破裂や、開封に際する溶液の爆発的な噴出を招き得るが、が実際上、ゼロになる。
【0010】
本発明の気密性製剤の製造は、原則として、上記のごとく、まず、該製剤を調製し、次いで、それを適当な容器内に気密的に封入することで行われる。方法は1−5.5M硝酸と、第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールとを、反応温度以下の温度、好ましくは、少なくとも反応温度より10℃低い温度(例、0℃)で混合し、混合物を適当な容器、好ましくはアンプル内に、気密的な方法で封入した後、混合物を反応温度またはそれ以上の温度に加熱する。エタノールを用いる場合、成分を10℃を越えない温度、例えば0−5℃で混合し、次いで混合物を、好ましくは温度約20−40℃で反応させる。
実施例1および2に記載のごとく、第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールと硝酸との反応で生成されるニトラート還元生成物の濃度は、観察した範囲においては、実質上、硝酸濃度と無関係である。しかし、それは、用いた脂肪族飽和アルコール濃度に大いに依存しており、これに関連し、脂肪族飽和アルコール濃度とニトライト濃度測定値との間には、非直線的な関係が認められた。図2およびエタノールに関する実施例1および2に示されているように、エタノール濃度45mmol/L以下では、ごく少量のニトラート還元生成物しか形成されず、ニトライト測定濃度は、一般に0.1mg/mlより著しく低く、それは治療開始時の活性を反映している。しかしながら、エタノール濃度が上昇すると、ニトライト測定濃度値も急速に上昇する。この効果の理由は不明である。しかしながら、このことは、少なくとも45mmol/Lの濃度のC1−C5脂肪族飽和アルコールを用い、脂肪族飽和アルコールと硝酸とを反応させることにより、有効な製剤を得ることができるという可能性を明らかにするものであり、また、それは、脂肪族飽和アルコール濃度がさらに高くなると、亜硝酸ガスの過飽和溶液を得ることができる可能性をも示すものである。
【0011】
実施例3記載の髪の毛を用いる試験で、本発明の製剤は、同じ方法で6.4M硝酸を用いて製造した製剤の効果、および市販のゾルコダームの効果と同等の効果を有することが分かった。いずれの場合も、迅速な黄色化が起こり、髪の毛の分解は抑制されたが、脂肪族飽和アルコール使用量が不適切であったり、純粋な硝酸の使用では、髪の毛が分解された。従って、本発明によれば、驚くべきことに、そしてEP−A−26 532の発見とは逆に、活性を保持しつつ、硝酸濃度の減少を、明らかに6mol/L以下にすることができる。
製剤の活性における何らかの相違をより正確に確かめるために、乾性壊疽の第1反応のモデルとして実施例4記載のペプシン試験を開発した。図3は、時間の関数として、試料1−6に関するペプシン試験において測定した光学密度(OD)を示す。曲線の「勾配b」を、活性モデルの目安(変色の早さ)として用いた。図4は5.4Mおよび6.4M硝酸を用いたペプシン試験における勾配bのエタノールの濃度への依存性を示す。図5は一定濃度(60mmol/L;0.35v/v%)のエタノールを用いたペプシン試験における勾配bの硝酸濃度への依存性を示す
【0012】
少なくとも、濃度45mmol/Lの脂肪族飽和アルコールを用いて製造された製剤はペプシン試験で十分有効であることが分かった。しかしながら、驚くべきことに、結果はペプシン試験での変色速度は、硝酸濃度の増大および脂肪族飽和アルコール濃度の増大の両方に伴って増大した。この発見から、硝酸濃度の低下によって起きる変色速度の低下は、所望により脂肪族飽和アルコール濃度を高め、対応するニトラート還元生成物の濃度を上昇させることで、大いに埋め合わせができるということが導かれる(図2参照)。
本発明の製造方法によれば脂肪族飽和アルコールが完全に反応し、対応する脂肪族飽和カルボン酸を形成し、ある場合、(特にメタノールまたはエタノールを用いた場合)、さらに二酸化炭素も生成する。
脂肪族飽和アルコールの使用量は約170mmol/Lを越えないことが好都合であり、約130mmol/Lを越えないことが好ましい。この方法で、製剤を気密条件下で製造しても過圧になることが避けられる。ペプシン試験の結果に関しては、約60−90mmol/Lの脂肪族飽和アルコール濃度を用いることが一般に好ましい。
【0013】
相応して、本発明の製剤は170mmol/Lを越えない濃度、好ましくは、約9−90mmol/Lの範囲の濃度のC1−C5脂肪族飽和カルボン酸と、ニトライトとして測定したニトラート還元生成物を、溶液1mlあたり、ニトライト約0.1−約6mg、好ましくは約1−5mg、特に好ましくは約2−4mgに相当する濃度のニトライトを含有する。
気密性容器内で製造および/または保存する場合、亜硝酸ガスの形の硝酸還元生成物の形成を促進するには、容器の全容量に対する液体容量の割合は1:2以下、特に好ましくは約1:5〜1:10の範囲から選択する。例えば、本発明製剤は、1mlのガラスアンプル内で、各場合、一回の治療に十分な約0.1−0.2mlの量の製剤を製造し保存する。これにより、余分な溶液を捨てることや、不活性になった溶液を適用する恐れが無くなる。
【0014】
実施例5の皮膚試験から分かるように、本発明の製剤は、数時間以内に消失する僅かな赤色化および極く僅かな水疱以外、硝酸濃度が上限であってもなんらの副作用を示さない。不適切な取り扱いの結果、ニトラート還元生成物の含有量が完全に減少しても、硝酸濃度が低いために、副作用は比較的、低く止まるであろう。硝酸濃度6.4mol/Lにおいて、同様に製造した製剤は、やや副作用が高いが、それでも市販のゾルコダームよりは良いことが分かった。しかしながら、両対照(比較)製剤の場合、取り扱いが不適切なために、相対的に重篤な副作用、例えば、開放性の傷または潰瘍など、が起こる危険性がある。従って、本発明においては、硝酸を5.5mol/L以上の濃度で用いないことが好都合である。
このように、本発明の製剤は、既知の製剤とほぼ同様の優れた活性を有し、副作用が少なく、規定の成分と活性が存在し、例え不適切な取り扱いがあっても副作用の危険性は比較的低くとどまるので、極めて安全に適用することを可能にするものである。
【0015】
本発明の製剤は、化粧品および医薬に用いることができ、EP−A−26 532に記載の、あらゆる適用分野および指示に適合する。特に、表面的な、良性の皮膚変化、例えば、いぼ症(例、尋常性いぼおよび足底いぼ)、良性母斑(あざ)、脂漏性および光線性角化症、およびコンジローム、並びに表面的な良性の粘膜の変化、例えば、脱出部(例、外反症、紅板症、および偽侵食)などの良性の頸部病変、変質帯(Transformation zone)、ナーボト嚢胞、子宮頸管のポリープ、コンジロームおよび術後の肉芽腫などへの局所適用が示されている。
副作用の危険性が非常に低いことから、本発明の製剤は、EP−A−26 532に記載の製剤と異なり、皮膚や粘膜の小さい表面領域の変化のみならず、皮膚および粘膜の広い表面領域の平坦な病変および感染、そして、特に、例えば足真菌症および爪真菌症などの皮膚および粘膜の真菌性疾患の治療にも適する。
【0016】
本発明の全製剤は、基本的に上記の指示に適する。しかしながら、皮膚および粘膜の広い表面積の平坦な患部、および真菌症の治療には、一般に硝酸濃度が1−4mol/Lの製剤を用いることが好ましい。一方、促進された、明らかに分かる皮膚および粘膜の変化である過形成の治療には、硝酸濃度が4−5.5mol/Lの製剤を用いることが好ましい。
EP−A−26 532に記載のように、本発明の製剤は、局所投与または他の局部治療の方法で、病理学的変化を来した組織領域の上および/または中に適当することができる。アプリケーターとしては、先の尖った木製スティック、小さい、薄い、孔のあいたプラスチックスティック、または比較的広い領域の治療のためのブラシを用いることができ、また好ましい、
【0017】
【実施例】
本発明を下記実施例に基いて詳細に説明する。各場合において、室温とは22℃を表わす。また、各場合において、ニトライト濃度は、Analyst 94: 585 (1969)に記載の方法で、スルファニル酸および1−ナフチルアミンとの反応の後、測定され、各場合において、ニトライトとして測定されるニトラート還元生成物の全濃度に関連する濃度である。
【0018】
実施例1
70%強度の硝酸(15.7mol/L)1容量部および水1.907容量部を、あらかじめ、別々の容器内で、氷浴中、5℃以下に冷却した。次いで、冷硝酸を撹拌および冷却下、冷水にゆっくりと加え、得られた溶液(5.4M硝酸)を氷浴中でさらに15分間撹拌した。次いで、溶液にエタノールを、60mmol/L溶液の量、混合し、撹拌した。アンプル充填装置により、限界リングを有する1mlDINアンプルを用いて、その各々に溶液0.2mlを充填し、即座に熔融した。エタノールの添加および充填の期間中、溶液を氷浴中で0−2℃に維持した。0−2℃で24時間維持した試料内では、反応が認められず、この方法で大量のバッチによる製造が可能であることが確信された。
密封したアンプルを室温まで昇温させると、突発的にエタノールが反応を開始し、完全に酢酸と亜硝酸ガスを生成した。24時間後に高速液体クロマトグラフィーで測定した残存エタノール量は、各場合で、明らかに100ppm以下であった。得られたアンプル形の水性硝酸、ニトラート還元生成物、および酢酸からなる製剤は、濃度5.50mol/L当量の酸と、ニトライトとして測定したとき、溶液1mlあたり1.41mgのニトライトに相当する濃度のニトラート還元生成物を含有していた。
表1に示すように、異なる濃度のエタノールと硝酸を用い、同様の方法で製剤を製造し、そのニトライト濃度を測定した。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例2
実施例1と同様、70%強度の硝酸1容量部および水1.453容量部から6.4M硝酸溶液を調製し、この溶液にエタノールを、60mmol/L溶液の量、加え、混合物をアンプルに分配し、室温まで昇温した。得られた製剤は酸を6.64mol/L当量含有し、ニトライトとして測定したニトラート還元生成物濃度は、溶液1mlあたり、ニトライト1.75mgであった。
測定精度の範囲内で、ニトラート還元生成物の濃度は、硝酸の大過剰と、エタノールの完全酸化に基づいて予測されるように、実質上、硝酸濃度と無関係であることが分かった(実施例1および表1参照)。
濃度0−130mmol/Lの範囲の異なる濃度のエタノールを用い、上記と同様の方法で、さらに製剤を製造し、各場合、ニトライトとして測定されるニトライト還元生成物の溶液中の濃度を測定した。測定したニトライト濃度を、用いたエタノールの濃度の関数として、図2にグラフの形で示す。比較のために、理論的に可能なニトライト濃度(これは、ニトライトとして測定され得る溶液中のニトラート還元生成物が、専ら、エタノールとの反応でニトラートからのみ形成されると仮定して計算した)をも図示した。
図2は、測定したニトライト濃度がエタノール濃度の上昇に伴って直線的な増加を示さないことを表している。エタノール濃度45mmol/L以下では、ごく少量のニトラート還元生成物が見いだされた;ニトライト濃度の測定値は、ニトライト濃度0.1mg/Lより著しく低く、治療活性の開始点を表している。しかしながら、エタノール濃度45mmol/L以上では、エタノール濃度の上昇に伴ってニトライト濃度が上昇し、溶液が亜硝酸ガス過飽和の状態になっていることを示している。
【0021】
実施例3 (毛髪試験)
実施例1と同様、表2記載の濃度の硝酸およびエタノールを用い、多数の製剤を調製し、それらのヒト毛髪への作用を研究した。この目的のために、ヒトの金髪を1容量%のアセトン水溶液、次いで、水で洗浄し、乾燥した。この方法で脱グリースした髪を細かく刻んだ。次いで、各場合、10mgの毛髪を製剤1mlに入れ、黄色化、およびなんらかの分解の発現に基づいて視覚的に作用を評価した。色の変化は製剤の化学反応の象徴であり、該化学反応によって組織はその生命力を失うが、なんらかの分解を除いて、実質上、解剖学的構造を維持している。比較のために、市販製剤ゾルコダーム(Solcoderm)の作用も同様に試験した。
【0022】
【表2】
エタノールが添加されていない試料は長期間の遅れの後、初めて黄色化し、次いで、髪が分解した;硝酸濃度の減少によっても黄色変化は遅れた。6.4Mまたは5.4M硝酸1Lあたりエタノール26mmol/Lを用いると、迅速に黄色化したが、同様に、最終的に髪は分解した。エタノール濃度60または86mmol/Lを用いて製造した試料は、試験したあらゆる硝酸濃度において、髪を分解することなく、迅速に黄色化した。試料の黄色化速度における相違は観察されなかった;この観点から、毛髪試験は、余りに敏感でないことが分かった。
このように、エタノールと硝酸との反応で形成されるニトライト還元生成物は、組織との反応をかなり促進し、その結果、作用は明確に善されている。さらに、ニトライト還元生成物のある閾値以上では、組織の分解が抑制され、即ち、十分な量のニトラート還元生成物の存在によって、解剖学的構造の固定化(乾性壊疽)が確実になり、副作用の危険性が減少する。
【0023】
実施例4(ペプシン試験)
実施例1と同様に、表3、および図4および5記載の硝酸およびエタノール濃度を用い、数多くの製剤を製造し、次いで、そのペプシン溶液との作用を試験した。ペプシン試験は、乾性壊疽の第1反応のモデル(1級アミノおよび2級アミノ基との反応、それは、溶液の変色を示す)として開発され、この試験は、毛髪の黄色化よりも正確な該作用の定量を可能にする。
ペプシン試験を行うために、各場合、アンプル開封から正確に1分後、試料100μlをペプシン1mg/水1mlの溶液に加えた。続く反応を、混合物の時間依存性変色に関して分光光学的に監視した。各場合、パラメーターとして、ペプシン溶液への試料の添加から300秒間、波長438nmの光学密度を測定した。第1回の測定は、各場合とも、添加20秒後である。各試料に関して測定した光学密度を、下記の方程式:
y=a+bx+cx2 (1)
(式中、yは光学密度、xは時間(秒)、そしてパラメーターa,b,cを計算する)
に基づいて評価した。変色の早さは、基本的に、パラメーターb(本明細書の文脈から、「勾配b」と称する)によって決定され、それは作用モデルの目安と考えられた。
試料番号1−10で示される試料は、表3記載の勾配を与えた。比較のために、市販の製剤ゾルコダーム(Solcoderm)もペプシン試験で調べた。
【0024】
【表3】
【0025】
図3は、試料番号1−6の試料に関して測定した、時間の関数としての光学密度(OD)をグラフの形に示したものである。
試料番号1の結果は、エタノールを添加しないで調製した製剤が不活性であることを示している。試料番号2−6は、硝酸濃度およびエタノール濃度の上昇に伴って明確に増大する、良好な活性を示している。
図4は、一定の硝酸濃度(5.4Mまたは6.4M)と、様々な濃度のエタノールを用いて製造した製剤の勾配bを示すグラフである。図4から明らかに、勾配bは、用いたエタノール濃度とほぼ比例している。5.4M硝酸を用いた製剤の曲線はゆるやかであるが、これは、エタノール濃度を上げることで、それ相応に補い得る。
図5は一定濃度(60mmol/L)のエタノールと様々な濃度(4.4M−6.4M)の硝酸を用いて調製した製剤の勾配bを示すグラフである。図から分かるように、この濃度範囲の勾配bは、硝酸濃度の上昇に伴って、ほぼ直線的に増大する。
【0026】
実施例5(ヒト皮膚における試験)
ヒトの正常な皮膚への副作用を評価するために、実施例1記載の方法に従い、硝酸(それぞれ、6.4および5.4mol/L)とエタノール(それぞれ、60および86mmol/L)を用いて調製した2種類の製剤、および対照として、エタノールを加えない、対応する濃度の、およびより希釈した硝酸溶液、並びに市販の製剤ゾルコダーム(Solcoderm)を、前腕の下側に適用し、5分間作用させた。適用量は、硝酸濃度5.4mol/L以下の試料は40μl、他の試料は20μlである。36時間にわたって作用を観察し、表4に示す結果を得た。
【0027】
【表4】
【0028】
2倍容量を適用したにもかかわらず、5.4M硝酸は6.4M硝酸よりも副作用が少なく、特に、解放性傷の形成を示さなかった。さらに硝酸濃度が低下するに伴い、副作用の減少が観察された。特に、硝酸濃度2.4Mおよび1.4Mでは、もはや水疱は形成されなかった。ゾルコダームによる反応は、5.4M硝酸の場合と同様であった。エタノールを加えて調製した2つの製剤は、対応する純粋な硝酸溶液に比較して、明らかに副作用が少ない上、副作用は迅速に消失した。換言すれば、これらの製剤中でエタノールとの反応により形成されたニトラート還元生成物は、正常な組織への硝酸の副作用を、相当な程度、抑制したのである。しかも、両製剤はゾルコダームよりも明らかに優れていた。
5.4M硝酸と、濃度86mmol/Lのエタノールから調製した製剤は、純粋な2.4M硝酸と同様の低い副作用を示した。その結果、不適切な取り扱いによってニトラート還元生成物の含有量が減少、または完全に消失してしまっても、副作用は比較的低いままなので、安全に適用することができる。アンプル開封後、24時間目に試料(20μl)を皮膚に適用し、その作用を同様に36時間にわたって観察した対照実験では、褐色の斑点を有する重篤な赤色化と水疱の形成(閉じたまま)を示した。硝酸濃度の低下に従って副作用の危険性が一層減少されるので、そのような製剤も広い表面積の皮膚および粘膜の疾患の治療に適する。
【0029】
実施例6
実施例1と同様に、5.4mol/L硝酸と濃度86mmol/Lのエタノールから調製した製剤(ニトライト含有量測定値:3.20mg/ml)の、ペプシン試験での作用を、アンプル開封後30分間にわたって調べた。ペプシン試験は、実施例4の記載と同様にして行った。結果を表5にまとめて示す。
【表5】
製剤を、アンプル開封後、1時間以内、好ましくは30分以内の、数分以内に適用すると、治療活性が保証され、実質上副作用が無い。
【0030】
実施例7
表6に記載の濃度のエタノールおよび硝酸を用い、実施例1記載の方法に従って多くの製剤を調製し、アンプルを熔融した後、22℃で保存した。様々な保存時間の後、製剤中の酢酸含有量をガスクロマトグラフィー分析で測定した。測定値は、酵素法による対照測定値(Boehringerのアセテート試験キット)と、測定精度の限界内で一致した。
【表6】
結果から、長期保存後でも酢酸濃度が一定のままであり、使用したエタノール濃度に応じて酢酸濃度が上昇することが確認される。しかしながら、酢酸濃度の測定値は、用いたエタノール濃度よりも低い。塩化バリウム試験により、エタノールのさらなる反応生成物として二酸化炭素が検出された。完全に反応した溶液内では、エタノールも他の反応生成物も検出されなかった。換言すると、エタノールは完全に酢酸と二酸化炭素に変換された。
【0031】
実施例8
実施例1と同様に、5.4M硝酸と86mmol/Lのエタノールとを混合し、溶液を幾つかのアンプルに分配した。アンプル形の溶液を様々な温度で14日または1カ月保存し、次いで、その酢酸およびニトラート還元生成物の含有量を調べた。結果を表7に示す。結果は、調査した範囲の温度での保存は、製剤の成分に重大な影響を及ぼさないことが分かった。
【表7】
【0032】
実施例9(尋常性および足底いぼの治療)
尋常性および足底いぼの治療に関する臨床研究を行うために、下記の製剤を実施例1記載の方法で調製した。
【表8】
合計26個のいぼ(患者数22名)を製剤A−Cのいずれか1つで治療し、同じ型のいぼを有する患者の場合、さらに比較のためにゾルコダーム(Solcoderm)で治療した。製剤を、小さい、薄い、孔のあるプラスチックスティックを用い、小さいスティックで製剤を患部上に滴下して分散させ、静かに刺して患部に導入し、適用した。この処置を、各場合、患部が均一に黄色に変色し、そして/または僅かに焼灼感があるまで続けた。製剤A−Cは、各場合、約3−5分以内に患部を変色させ、ゾルコダームは約10分以内に変色させた。同様に、製剤A−Cでは、熱感およびちくちくした痛みは約5−10分以内に起き、ゾルコダームのそれ(15−30分以内)より早い。従って、製剤A−Cによる治療をゾルコダームによる治療の場合と比較すると、時間は明らかに短い上、痛みの感覚(その長さおよび強度のいずれも)は少なかった。4−8日間隔で、患部が完全に治癒するまで治療を1回またはそれ以上繰り返した。結果を表9にまとめて示す。
【0033】
【表9】
表9に記載の症例の内、2回の治療で患部が完全に治癒しなかったものの内、製剤Bによる治療を受けた尋常性いぼの1つは3回目の治療後、製剤Bによる治療を受けた足底いぼの1つは3回目の治療後、もう1つは4回目の治療後、治癒し、製剤Cによる治療を受けた足底いぼの1つは、3回目の治療後、完全に治癒した。他の症例は中間報告がなされた時点で、まだ治療中であった。
4つの尋常性いぼと2つの足底いぼを対照製剤で治療した。それらのいぼの内、2つの尋常性いぼと1つの足底いぼは1回の治療で治癒し、2つの尋常性いぼと1つの足底いぼは2回の治療の後、治癒した。
【0034】
実施例10(足真菌症の治療)
1つの症例研究で、両足が足真菌症に感染している1人の患者を、5.4M硝酸と86mmol/Lエタノールから実施例1記載の方法で調製した製剤で治療した。
1方の足は、第4指と第5指の間が重篤な真菌感染症で、皮膚が分離したり、非常に赤くなっているところもあった。指を開くと、残っていた薄い皮膚が裂け、出血した。オキシコナゾール製剤(Oceral, Roche)治療が不成功に終わった後、本発明製剤約100μlを患部に適用した。患者は、損傷された皮膚領域に、短い、刺すような、焼灼感を数秒間感じ、皮膚の損傷領域付近の明確に示される領域が褐色に変色した。感染した皮膚の広範な残部およびそれを囲む健常な皮膚は変色せず、あるいはごく僅かに黄色化した。治療から8時間後、治療した皮膚は重篤な赤色化を示し、患者はなお僅かな圧痛を感じたが、安静時にはなんら痛みを感じなかった。引き続いて、傷−治癒軟膏[ゾルコセリル(Solcoseryl)軟膏、Solco Basel AG]で一夜、患部を治療した。3日後、典型的な足底真菌症感染の皮膚患部は消失した。皮膚の表面は堅く、張っていた。7日後、感染した領域は完全に治癒し、再発もなかった。
他の足は、皮膚の裂傷もなく、僅かに真菌感染症を示していた。感染した領域を本発明の製剤で治療したが、痛みは起こらなかった。7日後、患部は完全に治癒し、同様に、再発はなかった。
【0035】
実施例11(爪真菌症治療)
さらに、症例研究で、爪真菌症の1人の患者(右手の薬指、中指、人指し指の完全な感染)を、3.4M硝酸と129mmol/Lエタノールから実施例1記載の方法で調製した本発明製剤で治療した。この治療に先立ち、感染した爪をアモロルフィン製剤(Loceryl−Lack, Roche)を用いて治療したが、真菌感染症の軽減や爪の成長を認めなかった。
本発明の製剤を感染した爪に適用すると、1分以内に明確な黄褐色に変色した。患者は、爪基部から正常な皮膚に移行する部分の、小さな傷のある皮膚部位における、約3分間程度持続する僅かな焼灼感を除いて、なんらの痛みを感じなかった。3日後、特に重篤に感染していた爪部分が、崩壊した。本発明の製剤による治療を約7日毎に繰り返した。丁度14日経過したとき、爪の明らかな改善(破壊の程度がより小さくなる)が観察された。2カ月後、爪の再成長が観察された。爪基部に接した爪の背後部分は、まだ爪基部そのものの感染による影響を受けていた。従って、本発明の製剤は、表面的な爪真菌症の治療に適し;爪基部の感染症の場合には、経口抗−真菌剤との併用治療を行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】保存温度および保存時間の関数としての本発明製剤のニトライト濃度を示すグラフである。
【図2】エタノール濃度の関数としての本発明製剤のニトライト濃度を示すグラフである。
【図3】種々の濃度の硝酸およびエタノールを用いて調製した本発明製剤のペプシン溶液との作用を、時間の関数としての光学密度(OD)で示したグラフである。
【図4】一定濃度の硝酸(5.4Mまたは6.4M)と、様々な濃度のエタノールを用いて製造した本発明製剤の勾配bを示すグラフである。
【図5】一定濃度(60mmol/L)のエタノールと様々な濃度(4.4M−6.4M)の硝酸を用いて調製した本発明製剤の勾配bを示すグラフである。
Claims (19)
- 皮膚および粘膜の表面の変化および皮膚および粘膜の表面感染の局所治療のための、ニトラート還元生成物を含有する硝酸水溶液を基礎とする製剤であって、1〜5.5Mの水性硝酸、溶液1mlあたり、ニトライト0.1〜6mgに相当する濃度のニトラート還元生成物、および溶液1Lあたり170mmol以下の濃度のC1−C5脂肪族飽和カルボン酸を含有することを特徴とする製剤。
- 硝酸濃度が4〜5.5Mであることを特徴とする、皮膚および粘膜の過形成性変化の治療のための請求項1記載の製剤。
- 硝酸濃度が1〜4Mであることを特徴とする、皮膚および粘膜の真菌性疾患の治療のための請求項1記載の製剤。
- 溶液1mlあたり、ニトライト1〜5mgに相当する濃度のニトラート還元生成物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤。
- 溶液1mlあたり、ニトライト2〜4mgに相当する濃度のニトラート還元生成物を含有することを特徴とする請求項4記載の製剤。
- C1−C5脂肪族飽和カルボン酸の濃度が、少なくとも5mmol/Lであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
- C1−C5脂肪族飽和カルボン酸の濃度が、9〜90mmol/Lであることを特徴とする請求項6記載の製剤。
- C1−C5脂肪族飽和カルボン酸として酢酸を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤。
- 気密性容器内に収納されていることを特徴とする請求項1−8のいずれかに記載の製剤。
- 気密性容器が密封アンプルである請求項9記載の製剤。
- 容器の全容量に対する液体容量の割合が1:2以下であることを特徴とする請求項9または10記載の製剤。
- 容器の全容量に対する液体容量の割合が1:5〜1:10の範囲であることを特徴とする請求項11記載の製剤。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製剤の製造方法であって、1〜5.5M水性硝酸と、硝酸1Lあたり45〜170mmolの量の第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールとを反応させることを特徴とする方法。
- 硝酸1Lあたり60〜90mmolの第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールを用いることを特徴とする請求項13記載の方法。
- 第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールとしてエタノールを用いることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
- 硝酸と第一級C1−C5脂肪族飽和アルコールとを、反応温度以下で混合し、気密性容器内で混合物を反応温度またはそれ以上に加熱することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 機密容器が密封アンプルである、請求項16記載の方法。
- 硝酸とエタノールとを、10℃以下で混合し、気密性容器内の混合物を20〜40℃に加熱することを特徴とする請求項16または17記載の方法。
- 気密性容器内の混合物を室温に加熱することを特徴とする請求項18記載の方法。
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