JP3568982B2 - 排気ガス浄化用触媒の製造装置 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒の製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は排気ガス浄化用触媒の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の排気ガス浄化用触媒として、貴金属を活性種としγ−アルミナ及び酸化セリウムを母材とする三元触媒をモノリス型担体(ハニカム担体)に担持させてなるものは一般に知られている。この排気ガス浄化用触媒の製造には、上記三元触媒と水とを混合することによって触媒スラリーを調製し、ウォッシュコートによって該触媒をモノリス型担体に担持させる、という方法が一般に採用されている。
【0003】
また、Pdでイオン交換したゼオライトをアルミナスラリー中に添加し、該アルミナスラリーを用いウォッシュコートによってモノリス型担体に活性アルミナ層を形成し、その後、該活性アルミナ層の表面にPt,Rhの貴金属を担持させることにより、排気ガス浄化用触媒を得る方法も一般に知られている(特開平2−218439号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記ゼオライトのような結晶質の金属含有シリケートを用いてなるシリケート触媒をウォッシュコートによってモノリス型担体に担持させるに適した装置を提供することにある。
【0005】
すなわち、上記従来技術の場合、ウォッシュコートに供する触媒スラリーはいずれもアルミナスラリーであるが、このアルミナスラリーは、該スラリーにおけるアルミナの濃度変化、あるいはスラリーのpHや温度の変化しても、ウォッシュコートには支障がほとんどない。従って、ウォッシュコートに際して特別な工夫はなされていないのが実情である。
【0006】
しかし、上述のシリケート触媒のスラリー場合は、ウォッシュコートを行なう度にスラリー特性が変化し、モノリス型担体の目詰りを生じたり、ウォッシュコートの度に触媒担持量が異なるものになったり、さらにはモノリス型担体の各部に触媒が均一に担持されない、という問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記の問題について種々検討した結果、上記シリケート触媒のスラリーの場合は、該スラリーにおけるシリケート触媒の濃度、pH、温度等の変化によってスラリーの粘度が大きく変化し、そのことによって、ウォッシュコートに上記問題を生ずること、従って、該粘度を調整することによって所期のウォッシュコートが可能になることを見出だし、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、上記課題を解決する請求項1に係る発明は
晶質の金属含有シリケート触媒のスラリーを調合する調合槽と、
上記調合槽のスラリーが供給され、該スラリーにモノリス型担体を浸漬して上記金属含有シリケート触媒をモノリス型担体に担持させるウォッシュコート用の浸漬槽と、
上記調合槽と浸漬槽との間で上記スラリーを循環させる循環手段と、
上記調合槽のスラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度を検出する濃度計と、
上記調合槽に水を添加する水添加手段と、
上記濃度計によって上記スラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該濃度が所定値以下になるよう上記水添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置である。
【0009】
当該発明の場合、調合槽と浸漬槽との間でスラリーを循環させることができるため、これによって該スラリーの撹拌効果が得られ、その粘度上昇を防ぐことができる。そして、調合槽のスラリーの触媒濃度に基づいて該調合槽に水を添加することによって該調合槽のスラリーの触媒濃度をコントロールするが、そのスラリーは上述の如く調合槽と浸漬層との間で循環するから、結果的には浸漬層のスラリーの触媒濃度をコントロールすることができるものであり、よって、該浸漬槽のスラリーの粘度を所期の値に調整維持しながら、ウォッシュコートを実行することができる。
【0010】
すなわち、当該発明は、要するにスラリーの触媒濃度をコントロールすることによって当該スラリーの粘度を調整するものであるが、これは、スラリーの粘度は、pHや温度など他の条件を大きく変えない限りは、スラリーの触媒濃度に依存するという関係があるために可能となるものである。すなわち、スラリーの粘度と触媒濃度との関係を予め求めておき、期する粘度となるように触媒濃度をコントロールすることになる。そして、この触媒濃度のコントロールはスラリーへの水の添加によって行なうことができるから、粘度調整としては簡易なものになる。
【0011】
そうして、当該発明の場合、調合槽のスラリーの触媒濃度に基づいて該調合槽に水を添加するから、該調合槽のスラリーの触媒濃度が変化した場合、これを直ちに所期の値に調整することができ、濃度変化に対する応答性が高い。
【0012】
よって、ウォッシュコートを繰り返していっても、モノリス型担体の全体にシリケート触媒(以下、金属含有シリケート触媒のことを単にシリケート触媒ということがある)が均一に担持され、該担体の目詰りを防止することができるとともに、各ウォッシュコート毎に担体のシリケート触媒の担持量が変化する、あるいは担体各部のシリケート触媒担持量が不均一になる、という事態を避けることができる。
【0013】
上記課題を解決する請求項2に係る発明は、
結晶質の金属含有シリケート触媒のスラリーを調合する調合槽と、
上記調合槽のスラリーが供給され、該スラリーにモノリス型担体を浸漬して上記金属含有シリケート触媒をモノリス型担体に担持させるウォッシュコート用の浸漬槽と、
上記調合槽と浸漬槽との間で上記スラリーを循環させる循環手段と、
上記浸漬槽のスラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度を検出する濃度計と、
上記調合槽に水を添加する水添加手段と、
上記濃度計によって上記スラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該濃度が所定値以下になるよう上記水添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置である。
【0014】
当該発明においても、調合槽と浸漬槽との間でスラリーを循環させることができるため、スラリーの粘度上昇を防ぐことができる。また、浸漬槽のスラリーの触媒濃度に基づいて調合槽に水を添加することによって該調合槽のスラリーの触媒濃度をコントロールするが、そのスラリーは調合槽と浸漬層との間で循環するから、結果的には浸漬層のスラリーの触媒濃度をコントロールすることができるものであり、よって、該浸漬槽のスラリーの粘度を所期の値に調整維持しながら、ウォッシュコートを実行することができ、上記請求項1に係る発明と同様の効果が得られる。
【0015】
そうして、当該発明の場合、浸漬槽のスラリーの触媒濃度に基づいて調合槽に水を添加するから、応答性は高くないが、浸漬槽のスラリーの触媒濃度を所期の値に正確に調整する上では有利になり、精度が高いということができる。
【0016】
上記課題を解決する請求項3に係る発明は、
結晶質の金属含有シリケート触媒のスラリーが貯溜され、該スラリーにモノリス型担体を浸漬して上記金属含有シリケート触媒をモノリス型担体に担持させるウォッシュコート用の浸漬槽と、
上記浸漬槽のスラリーを外部に取出し再び該浸漬槽に戻すスラリー循環路と、 上記浸漬槽のスラリーが上記スラリー循環路を通って循環するよう該スラリーを駆動するスラリー駆動手段と、
上記スラリー循環路を移動するスラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度を検出する濃度計と、
上記浸漬槽に水を添加する水添加手段と、
上記濃度計によって上記スラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該濃度が所定値以下になるよう上記水添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置である。
【0017】
当該発明においては、浸漬槽のスラリーがスラリー循環路を通って循環移動するから、それによって該スラリーの撹拌効果が得られ、スラリーの粘度上昇が防止される。そして、スラリー循環路に濃度計を設けて浸漬槽のスラリーの触媒濃度を検出し、これに基づいて該浸漬槽に水を直接添加するから、該浸漬槽のスラリーの触媒濃度を所期の値に応答性良く且つ正確に調整維持しながら、ウォッシュコートを実行することができ、上記請求項1に係る発明と同様の効果が得られる。
【0018】
上記請求項1乃至請求項3において、上記シリケート触媒としては、結晶質の金属含有シリケート単独であっても、あるいは1種若しくは2種以上の金属含有シリケートに1種若しくは2種以上の活性種を担持させたものであってもよい。
【0019】
金属含有シリケートとしては、結晶の骨格を形成する金属としてAlを用いたアルミノシリケート(ゼオライト)が好適であり、その他に上記Alに代えて或いはAlと共にGa,Fe,Ni,Ce,Mn,Tb等の他の金属を骨格形成材料として用いた金属含有シリケートについても結晶構造が上記アルミノシリケートと同じであり、同様のスラリー特性を有することから適用することができる。ゼオライトとしてはA型,X型,Y型,モルデナイト,ZSM−5等が好適である。
【0020】
活性種の種類については特に限定されるものでなく、Pt、Ir、Rh等の貴金属を初めとして、貴金属以外の遷移金属、あるいはアルカリ土類金属等の典型元素であっても適用が可能である。
【0021】
活性種の金属含有シリケートへの担持にあたっても、蒸発乾固法、スプレードライ法、含浸法、イオン交換法など種々の方法を採用することができる。
【0022】
上記スラリーの粘度は20〜50cPとなるようにすることが好ましい。スラリー粘度を20cP以上とするのは、それ未満であると1回のウォッシュコートによって担体に担持されるシリケート触媒量が少なくなり、所期の担持量にするためのウォッシュコート回数が多くなってしまうとともに、担体からのスラリーの液だれを生じ易くなるからである。この液だれはウォッシュコート直後に生じるだけでなく、ウォッシュコート層の表面が一旦固まった後であっても、その後の加熱乾燥時に当該表面が軟化して生ずる。また、上記粘度を50cP以下とするのは、それよりも高いと、ウォッシュコートが難しくなり、担体の目詰り、触媒担持量の変動、あるいは触媒担持量の不均一を招くからである。
【0023】
上記金属含有シリケート触媒が金属含有シリケートに貴金属活性種を担持させたものである場合、上記スラリーの触媒濃度は450〜750g/リットルとすることが好ましい。ここにいう触媒濃度は、スラリー中の水の量に対するシリケート触媒の量によって定義している。
【0024】
すなわち、スラリーの触媒濃度を750g/リットル以下とすれば該スラリーの粘度を50cP以下とすることが容易になる。また、スラリーの触媒濃度を450g/リットル以上とするのは、それよりも低いと1回のウォッシュコートによってモノリス型担体に担持される触媒量が少なくなり過ぎ、予定量の触媒担持量を得るのにウォッシュコート回数 が多くなってしまうためである。
【0025】
上記貴金属活性種としてPtを含むようにすると、排気ガス中のNOxを比較的低い温度から分解させることに有効である。
【0026】
上記スラリーのpHは5.5以下にすることが好ましい。このようにpHを5.5以下にすれば、上記スラリーの粘度を所期の値に調整することが容易になる。
【0027】
また、上記モノリス型担体がセラミック製の多孔質体によって形成されている場合、ウォッシュコートによって水分を比較的多く吸うため、スラリーの触媒濃度及び粘度が高くなるが、上記請求項1乃至請求項3に係る発明は、このような触媒濃度ないしは粘度の変化がある場合に特に有効である。
【0028】
上記課題を解決する請求項4に係る発明は、
上記請求項3に記載の排気ガス浄化用触媒の製造装置において、
上記浸漬槽に酸を添加する酸添加装置と、
上記スラリー循環路を移動するスラリーの粘度を検出する粘度計と、
上記粘度計によって上記スラリーの粘度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該粘度が所定値以下になるよう上記酸添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0029】
当該発明においては、スラリーの触媒濃度をコントロールするだけではなく、スラリー循環路に粘度計を設けて浸漬槽のスラリーの粘度を検出し、浸漬槽に酸を添加することによって該浸漬槽の粘度が所定値を越えないように該粘度を直接監視するから、偶発的に浸漬槽のスラリーの粘度が大きく変化してウォッシュコートに支障が出ることを防止することができる。
【0030】
すなわち、スラリーの粘度を基本的にはスラリーの触媒濃度によって調整するが、そうではあっても、何らかの原因、例えば新しく補給したウォッシュコート用のスラリーの特性が少し異なるものであったり、スラリーの撹拌状態が悪くなったり(シリケート触媒のスラリーの場合は常に撹拌を続けていないと粘度が急激に高くなる)して、粘度変化が大きくなることがある。この場合、水の添加によって触媒濃度、従って粘度調整を調整しようとすると、多量の水を添加する必要を生ずるためその調整が難しいとともに、多量の水の添加は当該濃度の大きな低下を招き、1回のウォッシュコートによってモノリス型担体に付着するシリケート触媒量が少なくなる。
【0031】
そこで、当該発明では、かかる問題を招くことなく粘度調整を速やかに行なうことができるよう、スラリーの粘度を直接監視し、該粘度が急に大きくなったときには、該粘度の低減に即効性がある酸を添加するようにし、粘度の急変による不具合を防止するものである。
【0032】
上記課題を解決する請求項5に係る発明は、
上記請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の排気ガス浄化用触媒の製造装置において、
上記浸漬槽に該浸漬槽のスラリーの温度を所定温度に保持する保温手段が設けられていることを特徴とする。
【0033】
当該発明においては、保温手段によって浸漬槽のスラリー温度を所定温度に維持することができるから、スラリーの粘度ないしは触媒濃度の調整に有利になる。上記スラリーの温度は20〜50℃とすることが好ましい。
【0034】
なお、保温手段とは、スラリー温度が低下した際に使用する加熱手段、及びスラリー温度が高くなった際に使用する冷却手段のいずれであってもよい。
【0035】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、スラリー調合槽とウォッシュコート用浸漬槽との間でスラリーを循環させる循環手段を備えているとともに、調合槽のスラリーの触媒濃度に基づいて該濃度が所定値以下になるよう該調合槽へ水を添加させる制御手段を備えているから、スラリーの循環による撹拌効果によってその粘度上昇を防ぐことができるとともに、調合槽のスラリーの触媒濃度を応答性良くコントロールしながら、結果的に浸漬槽のスラリーの触媒濃度をコントロールして該浸漬槽のスラリーの粘度を所期の値に調整維持することができ、ウォッシュコートを繰り返していったときの、モノリス型担体の目詰りを防止することができるとともに、シリケート触媒担持量の変動を防止することでき、さらに担体各部のシリケート触媒担持量を均一なものにすることができる。
【0036】
請求項2に係る発明によれば、スラリー調合槽とウォッシュコート用浸漬槽との間でスラリーを循環させる循環手段を備えているとともに、浸漬槽のスラリーの触媒濃度に基づいて該濃度が所定値以下になるよう上記調合槽に水添加させる制御手段を備えているから、請求項1に係る発明と同様に、スラリーの粘度上昇を防ぎながら、ウォッシュコートを繰り返していくことができ、モノリス型担体の目詰りを防止することができるとともに、シリケート触媒担持量の変動を防止することでき、さらに担体各部のシリケート触媒担持量を均一なものにすることができる。
【0037】
請求項3に係る発明によれば、ウォッシュコート用の浸漬槽にスラリー循環路及びスラリーの循環駆動手段を付設し、該スラリー循環路を移動するスラリーの触媒濃度に基づいて該濃度が所定値以下になるよう上記浸漬槽に水を添加させる制御手段を設けたから、上記スラリーの循環による撹拌効果によってその粘度上昇を防止することができるとともに、浸漬槽のスラリーの触媒濃度を所期の値に応答性良く且つ正確に調整維持しながら、ウォッシュコートを繰り返していくことができ、モノリス型担体の目詰りを防止することができるとともに、シリケート触媒担持量の変動を防止することでき、さらに担体各部のシリケート触媒担持量を均一なものにすることができる。
【0038】
請求項4に係る発明によれば、上記スラリー循環路を移動するスラリーの粘度を検出し、該粘度が所定値を越えるときに上記浸漬槽に酸を添加するようにしたから、偶発的に浸漬槽のスラリーの粘度が大きく変化してウォッシュコートに支障が出ることを防止することができる。
【0039】
請求項5に係る発明によれば、浸漬槽に該浸漬槽のスラリーの温度を所定温度に保持する保温手段が設けられているから、粘度ないしは触媒濃度の調整が容易になる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0041】
<排気ガス浄化用触媒の製造方法について>
−実験1(スラリーの触媒濃度、粘度及び担体の目詰りとの関係)−
母材としてのゼオライト(H型ZSM5)に、活性種としてPt、Ir及びRhを比率がPt:Ir:Rh=30:6:1、総量がゼオライト160gに対して4.5gとなるように担持させた。得られたシリケート触媒のパウダーをイオン交換水1リットル当り600gとなるようにイオン交換水及びバインダ(水和アルミナ)と混合した。得られた触媒スラリーを用いコーディライト製のモノリス型多孔質担体(断面;オーバル形状,400セル/inch2 ,容量;0.8リットルのハニカム)にウォッシュコートを行なった。
【0042】
すなわち、上記スラリーに担体を浸漬してから引き上げ、エアブローを行なうことによって余分のスラリーを吹き飛ばすとともに、担体の目通しを行なった後、乾燥機によってコート層を乾燥させる、という浸漬→エアブロー→乾燥という工程を2度繰り返し、担体重量に対して30wt%の触媒パウダーを担持させた。スラリーは常温であり、pH=5.0であった。
【0043】
上記ウォッシュコートは良好であり、エアブローによって完全な目通しを行なうことができ、目詰りや触媒担持状態も担体全体にわたって略均一であった。そこで、上記スラリーを用い、新たなスラリーや水等を補給することなく、上記ウォッシュコートを繰り返していったところ、担体20個目で目詰りを生じた。以後は連続して目詰りを生じたので、テストを中止した。この20個目の担体にウォッシュコートを行なったときのスラリーの触媒濃度は620g/リットルであった。
【0044】
次に、触媒濃度が上昇した当該スラリーに水を添加し、触媒濃度を600g/リットルに戻してから、ウォッシュコートを行なったところ、担体に目詰りは生じなかった。
【0045】
このことから、スラリーが常温でpH=5.0の場合、触媒濃度は620g/リットル未満にすることが好適であること、特に600g/リットルとすれば良いことがわかった。
【0046】
また、別にγ−アルミナにPt及びRhをPt:Rh=5:1、総量1.6g/リットルとなるように担持させ、このアルミナ触媒とイオン交換水とを混合して、600g/リットルの触媒濃度のスラリーを得た。このスラリーは常温であり、pH=5.0であった。このスラリーを用い、先のシリケート触媒のスラリーの場合と同じ方法でウォッシュコートを行なったところ、担体50個目でも目詰りは生じなかった。担体20個目でのスラリーの触媒濃度は620g/リットル、50個目では650g/リットルであった。
【0047】
このことから、アルミナ触媒の場合はスラリーの触媒濃度の高低はウォッシュコートに悪影響を及ぼさないことがわかった。
【0048】
そこで、上記シリケート触媒の場合のスラリーの触媒濃度と担体の目詰り率との関係を調べたところ、図1に示す結果が得られた。すなわち、図1は、予め2回のウォッシュコートを行なって上記触媒を90g程度担持させた担体に対し、3回目のウォッシュコートを行なう際にスラリーの触媒濃度を変化させて担体の目詰り率をみたものである。
【0049】
同図によれば、600g/リットルの触媒濃度までは担体に目詰りを生じていないが、650g/リットルを越えると目詰り率が急に高くなっている。このことから、触媒濃度と目詰り率との間には一定の関係があることがわかる。
【0050】
一方、上記担体の目詰りは1回のウォッシュコートによる触媒の担持量が多くなるときに生ずる現象である。そこで、上記担体1個当りの触媒担持量と目詰り率との関係を調べたところ、図2に示す結果が得られた。触媒担持量45g以上では目詰りが見られ、該担持量が多くなるにつれて目詰り率が高くなっている。さらに、スラリーの粘度と触媒担持量との関係を調べたところ、図3に示す結果が得られた。同図において、10cPのものは触媒濃度250g/リットルのスラリーに、20cPのものは触媒濃度400g/リットルのスラリーに、25cPのものは触媒濃度550g/リットルのスラリーに対応し、それ以外のデータはすべて触媒濃度が600g/リットルのスラリーのものである。スラリーの粘度が高くなるにつれて触媒担持量が多くなっている。
【0051】
以上のことから、スラリーの粘度が担体の目詰りに関係し、図1に示すように触媒濃度が高くなると目詰り率が高くなっているのは、スラリーの粘度が高くなったためであることがわかる。
【0052】
そこで、上記シリケート触媒及びアルミナ触媒の各スラリーについて、その触媒濃度とスラリーの粘度との関係を調べたところ、図4に示す結果が得られた。図中、○はシリケート触媒のスラリー(pH=4.9,温度20℃)、△はアルミナ触媒のスラリー(pH=5.0,温度20℃)である。
【0053】
同図によれば、アルミナ触媒のスラリーは触媒濃度の違いが粘度に及ぼす影響はほとんど認められないが、シリケート触媒のスラリーの場合は触媒濃度によって粘度が変化しており、特に活性種を担持していない場合には粘度が触媒濃度によって大きく変化している。従って、上記シリケート触媒のスラリーを用いたウォッシュコートにおいて、20個目で目詰りを生じたのはスラリーの粘度が高くなったためであると認められる。図5はゼオライトYSZ(Y型ゼオライト)についてスラリーの触媒濃度とスラリーの粘度との関係を図4の場合と同様の条件で調べた結果を示す。同図からZSM5以外のゼオライトの場合でもスラリーの粘度が触媒濃度によって大きく変化することがわかる。
【0054】
また、スラリーの触媒濃度と触媒担持量との関係は図6に示す通りであり、触媒濃度が高くなるにつれてスラリーの粘度が高くなり、触媒担持量が多くなっているものと認められる。なお、図6のデータは1個の担体に対し3回のウォッシュコートを行なった場合の触媒担持量を示す。
【0055】
−実験2(スラリーの粘度と温度との関係)−
上記実験1のシリケート触媒のスラリー(触媒濃度600g/リットル)の温度を40℃として同様のウォッシュコートを行なったところ目詰りを生じなかったが、該スラリーを1時間放置することによって放冷した後に同様のウォッシュコートを行なったところ、担体に目詰りを生じた。そこで、ウォッシュコート用の浸漬槽に保温装置を設け、スラリー温度を40℃に保った状態で1時間放置した後にウォッシュコートを行なったところ、担体に目詰りを生ずることがなかった。
【0056】
一方、上記実験1のアルミナ触媒のスラリー(触媒濃度600g/リットル)について、上記シリケート触媒の場合と同様のテストを行なったところ、1時間の放冷後のウォッシュコートでも担体に目詰りは生じなかった。
【0057】
このことから、アルミナ触媒のスラリーの場合は、スラリー温度はウォッシュコートに影響を与えないが、シリケート触媒の場合はスラリー温度の高低がウォッシュコート性に影響を与えること、40℃に加温することが、ウォッシュコート性を高める上で好適であることがわかった。
【0058】
そこで、上記シリケート触媒及びアルミナ触媒の各スラリー、並びに上記実験1の活性種なしのシリケート触媒のスラリーについて、その温度と粘度との関係を調べたところ、図7に示す結果が得られた。図中、○はシリケート触媒のスラリー(pH=4.9,触媒濃度600g/リットル)、△はアルミナ触媒のスラリー(pH=5.0,触媒濃度600g/リットル)、また、□は活性種担持なしのシリケート触媒のスラリー(pH=5.0,触媒濃度600g/リットル)である。
【0059】
同図によれば、アルミナ触媒のスラリーの場合は粘度が温度にあまり影響されないこと、シリケート触媒のスラリーの場合は活性種の有無で温度の高低に差を生ずるが、いずれにおいてもスラリー温度が粘度に大きな影響を及ぼしている。このことから、上記シリケート触媒のスラリーを用いたウォッシュコートにおいて、1時間の放冷後に目詰りを生じたのはスラリーの粘度が上昇したためであることがわかる。
【0060】
−実験3(スラリーの粘度とpHとの関係)−
上記実験1のシリケート触媒に関し、そのゼオライトへの活性種の担持量を実験1の場合の1/2の量としてスラリーを調製したところ、該スラリーはpH=5.5となった。同様に実験1のアルミナ触媒に関し、その活性種担持量を1/2の量として調製したスラリーはpH=5.3であった。このpHを変えた各スラリーを用いて実験1と同様のウォッシュコートを行なったところ、アルミナ触媒のスラリーの場合には担体に目詰りを生じなかったが、シリケート触媒のスラリーの場合は目詰りを生じた。
【0061】
この結果と実験1の結果とから、アルミナ触媒の場合はpHの大小はウォッシュコートをする上で特に問題にならないが、シリケート触媒のスラリーの場合はpHが重要であり、ph=5.5未満にすることが望ましいこと、pH=5.0であれば問題がないことがわかる。
【0062】
そこで、上記シリケート触媒及びアルミナ触媒の各スラリー、並びに上記実験1の活性種なしのシリケート触媒のスラリーについて、そのpHと粘度との関係を調べたところ、図8に示す結果が得られた。図中、○はシリケート触媒のスラリー、△はアルミナ触媒のスラリー、□は活性種担持なしのシリケート触媒のスラリーであり、いずれも触媒濃度600g/リットル,温度20℃である。
【0063】
同図によれば、アルミナ触媒のスラリーの場合はpH=6.0程度であっても粘度は60cP程度であって、ウォッシュコートが可能であるが、シリケート触媒のスラリーの場合は、活性種がある場合、ない場合のいずれにおいても、pHが高くなってくると粘度が急に上昇している。このことから、上記pH=5.5のシリケート触媒のスラリーにおいて目詰りを生じたのはスラリーの粘度が高くなり過ぎたためであること、活性種を担持させたシリケート触媒のスラリーの場合はpH=5以下がウォッシュコートを行なう上で好適であること、また、活性種を担持していないシリケート触媒のスラリーの場合はpH=4.5以下が好ましいことがわかる。
【0064】
−実験4(活性種の影響)−
H型ZSM5にPtを2g/リットル担持させたシリケート触媒のパウダーによって650g/リットルの触媒濃度のスラリーを調製した。スラリー温度20℃では粘度が55cPであった。このスラリーを用いて実験1と同様のウォッシュコートを行なったところ、担体に目詰りを生じた。そこで、上記スラリーに硝酸を添加してpH=4.5としたところ、粘度が40cPとなった。これを用いてウォッシュコートを行なったところ、目詰りは生じなかった。
【0065】
このことから、活性種としてPtのみを用いた場合にも、粘度とウォッシュコートとの関係は先の実験と同様のことが言えることがわかる。
【0066】
−実験5(ケイバン比の影響)−
金属含有シリケートとしてゼオライトYSZ(ケイバン比200)を用い、これにPtを1g/リットル担持させたシリケート触媒のパウダーによって550g/リットルの触媒濃度のスラリーを調製した。このスラリーはpH=5.1、粘度は35cPであった。このスラリーを用いて実験1と同様のウォッシュコートを行なったところ、担体に目詰りは生じなかった。また、上記ケイバン比を30として同様の実験を行なったところ、粘度は38cpであり、目詰りは生じなかった。
【0067】
このことから、金属含有シリケートのケイバン比を変えても粘度を調整すればウォッシュコート性には実質的な影響を与えないことがわかった。
【0068】
−実験6(添加物の影響)−
上記実験4においてpH=4.5に調製したシリケート触媒のスラリーにγ−アルミナを20wt%、セリアを20wt%添加した後に、イオン交換水を加えて粘度35cPのスラリーを得た。このスラリーを用いて実施1と同様のウォッシュコートを行なったところ、担体に目詰りは生じなかった。
【0069】
このことから、スラリーに添加物を添加しても粘度を調整すればウォッシュコート性には実質的な影響を与えないことがわかった。
【0070】
−実験7(スラリーの撹拌の影響について)−
実験1のシリケート触媒及びアルミナ触媒の各スラリー、並びに活性種なしのシリケート触媒のスラリーについて、その撹拌時間と粘度との関係を調べたところ、図9に示す結果が得られた。図中、○はシリケート触媒のスラリー(pH=4.9)、△はアルミナ触媒のスラリー(pH=5.0)、□は活性種担持なしのシリケート触媒のスラリー(pH=5.0)であり、いずれも触媒濃度600g/リットル,温度20℃である。
【0071】
同図によれば、いずれのスラリーも撹拌時間が長くなるにつれて粘度が低下し撹拌時間60時間を越えると粘度が略一定になっている。このことから、スラリーの撹拌時間を長くすることが粘度の安定化に有効であること、従って、ウォッシュコートをする場合にも、スラリーに撹拌効果を与えることが望ましいことがわかる。
【0072】
−考察−
以上の実験結果から、シリケート触媒のスラリーを用いたウォッシュコートにおいては以下のことが言える。
【0073】
スラリーの粘度は20〜50cpが好ましく、さらには25〜45cPとすることがより好ましい。粘度が高いとモノリス型担体のセル内にスラリーが含浸し難くなって目詰りを生ずるからであり、また、粘度が低いとスラリーが担体に付着しても液だれを生ずるからである。
【0074】
スラリーの触媒濃度は450〜750g/リットルが好ましく、さらには500〜650g/リットルがより好ましい。濃度が高すぎるとそれだけスラリーの粘度が高くなりウォッシュコートが難しくなるからであり、濃度が低すぎると1回のウォッシュコートによって担体に付着する触媒量が少なくなるからである。また、上記触媒濃度の範囲内であっても上限付近では粘度も高くなるが、該粘度は酸の添加によって所期の値に下げることができる。但し、酸の多量添加による粘度調整はスラリーのpHの低下を招き、そのことによって触媒特性自体に悪影響が出るため、上記触媒濃度の上限を越えて該濃度を高くすることは好ましくない。
【0075】
スラリーのpHは5.5以下が好ましく、さらには3.5〜4.5がより好ましい。pHが高いとスラリーの粘度が高くなりウォッシュコートが難しくなるためであり、pHが低いと触媒特性自体に悪影響が出るためである。
【0076】
スラリーの温度は20〜50℃が好ましい。温度が低いとスラリーの粘度が高くなりウォッシュコートが難しくなるためであり、温度が高いと1回のウォッシュコートによって担体に付着する触媒量が少なくなるからである。また、スラリーの温度変化幅は±10℃が好ましく、さらには±5℃がより好ましい。温度変化が著しいとスラリーの粘度変化が大きくなり、ウォッシュコートが難しくなったり、1回のウォッシュコートによって担体に付着する触媒量が少なくなったりして、品質の安定なものにすることが難しくなるためである。
【0077】
−排気ガス浄化用触媒の製造方法の実施例−
以上の実験結果から、排気ガス浄化用触媒の製造方法の好適な実施例は以下のようになる。
【0078】
2価白金アンミン結晶と三塩化イリジウムと硝酸ロジウムとを秤量し、2価白金アンミン結晶と硝酸ロジウムとについてはイオン交換水に溶解し、三塩化イリジウムについてはエタノールに分散させ、しかる後に両者を混合し、さらにその中にH型ZSM5粉末を加え、室温で2時間撹拌することによって、スプレードライ用のスラリーを得る。そして、該スラリーをスプレードライ法によって噴霧乾燥させることによってシリケート触媒のパウダーを得る。
【0079】
次に、上記シリケート触媒をイオン交換水1リットル当り600gとなるようにイオン交換水及びバインダ(水和アルミナ)と混合することによって触媒スラリーを得る。該スラリーの温度は40℃程度、pHは4.0程度とし、これにより、該スラリーの粘度を35cP程度に設定する。しかる後に、該触媒スラリー用いてモノリス型担体へのウォッシュコートを行なう。
【0080】
ウォッシュコートに際しては、上記触媒スラリーをウォッシュコート用の浸漬槽に供給し、該触媒スラリーにコーディライト製のモノリス型担体を浸漬した後に引き上げる。そして、該担体に対してエアブローを行なうことによって余分のスラリーを吹き飛ばすとともに、担体の目通しを行なった後、乾燥機によってウォッシュコート層を乾燥させる。この浸漬→エアブロー→乾燥という工程を2〜3度繰り返し、モノリス型担体に上記シリケート触媒を担体重量に対して30wt%程度担持させた排気ガス浄化用触媒を得る。
【0081】
上記浸漬槽において上記ウォッシュコートを繰り返していくことにより、多数の排気ガス浄化用触媒を得る。
【0082】
上記ウォッシュコートを繰り返す過程では、上記触媒スラリーの触媒濃度、温度、pH及び粘度を監視するとともに、新しい触媒スラリーを適宜補給する。
【0083】
すなわち、上記スラリーの触媒濃度に関しては、濃度計を用いてこれを監視し該濃度が450〜750g/リットル、より好ましくは500〜650g/リットルの範囲内において略一定になるように上記浸漬槽に水を適宜補給する。上記スラリーの温度に関しては、浸漬槽にサーモスタット及び加熱装置を付設し、スラリー温度が20〜50℃となるように、より好ましくは40±5℃となるように加熱を制御する。上記スラリーのpHに関しては、浸漬槽のスラリーにpHメータを浸漬しておき、pH≦5.5となるように、より好ましくはpH=3.5〜4.5の範囲に収まるよう酸又はアルカリを適宜添加する。
【0084】
しかして、上記スラリーの粘度に関しては、粘度計を用いてこれを監視し、該粘度が20〜50cPとなるように、より好ましくは45cPを越えるときにそれ以下となるように酸を添加する。
【0085】
以上の態様で排気ガス浄化用触媒の製造を行なったところ、担体50個目のウォッシュコートにおいても該担体に目詰りはなく、且つ触媒担持量のバラツキもなく、所期の排気ガス浄化用触媒を得ることができた。
【0086】
<排気ガス浄化用触媒の製造装置の実施例>
−第1例−
本例の装置は図10に示されている。同図において、1はウォッシュコート用のシリケート触媒のスラリーを調合する調合槽、2は該調合槽1から供給される触媒スラリーにモノリス型担体(ハニカム担体)を浸漬するためのウォッシュコート用の浸漬槽、3は上記調合槽1に水を添加補給する補給水タンクである。
【0087】
上記調合槽1と浸漬槽2とは、該調合槽1の底部から浸漬槽2に延設され該調合槽1から浸漬槽2に上記スラリーを供給するためのポンプ4を備えたスラリー供給路5と、浸漬槽2からオーバーフローするスラリーを調合槽1に戻すスラリー戻し路6とによって接続されている。従って、上記スラリー供給路5とスラリー戻し路6とが上記調合槽1と浸漬槽2との間でスラリーを循環させる循環手段を構成している。また、上記補給水タンク3から調合槽1に延設された補給水通路には補給用ポンプ7が設けられている。
【0088】
そうして、上記スラリー供給路5には調合槽1のスラリーにおけるシリケート触媒の濃度を検出する濃度計(密度計)8が設けられていて、上記補給用ポンプ7は濃度計8によって検出される濃度に基づいて制御手段9により作動が制御されるように構成されている。すなわち、制御手段9は、上記濃度計8によって上記スラリーの触媒濃度が500〜650g/リットルとなるように上記補給用ポンプ7を作動させるものである。
【0089】
また、上記調合槽1には調合されたスラリーを常時撹拌する撹拌機11が付設されている。一方、上記浸漬槽2には、その底部からスラリーを外部に取出して再び該浸漬槽2に上から戻す自己循環路12が付設され、該循環路12には循環用ポンプ13が設けられている。
【0090】
従って、本例の場合、浸漬槽2のスラリーは、スラリー供給路5及びスラリー戻し路6による循環と自己循環路12による循環とによって、常時流動した状態か保たれるため、その撹拌効果が得られ、スラリーの粘度上昇を防止するうえで有利になっている。また、浸漬槽2からスラリーをオーバーフローによって調合槽1に戻すから、浸漬槽2のスラリーの液面を一定に保持することができ、ウォッシュコートに有利になる。
【0091】
そうして、濃度計8によって検出される調合槽1のスラリーの触媒濃度は、該調合槽1と浸漬槽2との間でスラリーが循環しているから、浸漬槽2のスラリーの触媒濃度を間接的に表わすことになる。そして、調合槽1のスラリーは、その濃度が予定値からずれた場合、補給水タンク3からの水の添加補給によって直ちに予定値に修正され、そのことによって間接的に浸漬槽2のスラリーの触媒濃度が予定値にコントロールされることになる。
【0092】
−第2例−
本例の装置は図11に示されている。本例の場合は、浸漬槽2の底部からスラリーを抜いて調合槽1に戻すスラリー戻し路21を備え、該戻し路21にスラリーの触媒濃度を検出する濃度計8とポンプ22とが設けられ、さらに該戻し路21におけるポンプ22よりも上流側の部位に浸漬槽2のオーバーフロー液を導くオーブーフロー路23が接続されている。他は実施例1と同様である。なお、スラリー供給路5におけるポンプ4の下流側の部位からは流量調整用のリターン通路24が調合槽1に延設されている。
【0093】
本例の場合は、スラリーの循環による撹拌効果及びオーバーフローによるスラリー液面の一定化については実施例1と同様であるが、濃度計8が調合槽1ではなくて浸漬槽2のスラリーの触媒濃度を検出し、それに基づいて調合槽1へ補給水が添加される。従って、この水の添加の効果が濃度計8に表われるまでに時間がかかるが、実際にウォッシュコートが行なわれる浸漬槽2のスラリーの触媒濃度をコントロールするから、該触媒濃度をウォッシュコートに最適な値に調整することができる。
【0094】
−第3例−
本例の装置は図12に示されており、調合槽1と浸漬槽2との間でのスラリーの循環は行なわず、浸漬槽2とは別に設けられた予備タンク31との間でスラリーを循環させるようにし、且つ浸漬槽2にスラリーの粘度調整液を直接供給する点に特徴がある。
【0095】
すなわち、調合槽1からはポンプ4を備えたスラリー供給路5が浸漬槽2に延設されている。そして、浸漬槽2のオーバーフロー液を予備タンク31に導くオーバーフロー路32と、予備タンク31から浸漬槽2にスラリーを戻すポンプ33を備えたスラリー戻し路34とによって浸漬槽2のスラリーを循環移動させる循環手段が構成されている。このスラリー戻し路34にはスラリーの触媒濃度を検出する濃度計(密度計)8と、該スラリーの粘度を検出する粘度計35とが設けられている。さらに、上記浸漬槽2にはそのスラリーのpHを検出するpHメータ36が設けられている。
【0096】
また、上記浸漬槽2には補給水タンク3と硝酸を貯溜した酸タンク37とが接続されていて、その補給水供給路及び酸供給路の各々には開閉バルブ38,39が設けられている。そして、この両バルブ38,39は、上記濃度計8、粘度計35及びpHメータ36の検出結果に基づいて制御手段40により作動が制御されるようになっている。
【0097】
すなわち、上記制御手段40は、上記濃度計8によって上記スラリーの触媒濃度が500〜650g/リットルとなるように上記補給水用バルブ38を作動させ、上記粘度計35によって検出されるスラリーの粘度が45cpを越えないように上記酸用バルブ39を作動させ、この酸の添加によって上記pHメータ36によって検出されるスラリーのpHが3.5未満になる場合には当該酸の添加を中止するように働く。
【0098】
従って、本例の場合は、浸漬槽2と予備タンク31との間でスラリーが循環するから、それによる撹拌効果によって該スラリーの粘度上昇が防止される。また、浸漬槽2のスラリーをオーブーフローによって予備タンク31に送る構成であるから、浸漬槽2のスラリーの液面を一定なものにすることができる。そして、このスラリー循環路に濃度計8を設けて予備タンク31のスラリーの触媒濃度を検出することによって浸漬槽2のスラリーの触媒濃度を監視し、これに基づいて該浸漬槽2に水を直接添加するから、該浸漬槽2のスラリーの触媒濃度を所期の値に正確に調整維持することができる。
【0099】
また、スラリーの触媒濃度をコントロールするだけではなく、上記スラリー循環路に粘度計35を設けて浸漬槽2のスラリーの粘度を検出し、浸漬槽2に酸を添加することによって該粘度が所定値を越えないように該粘度を直接監視するから、偶発的に浸漬槽2のスラリーの粘度が大きく変化してウォッシュコートに支障が出ることを防止することができる。また、その際、pHの異常低下があるときには酸の添加が中止されるから、得られる排気ガス浄化用触媒の品質が悪化することは避けられる。
【0100】
−第4例−
本例の装置は図13に示されており、第3例のものとの相違点は、予備タンクを用いずに、浸漬槽2の底部からスラリーをポンプ33によって直接引出して循環させるようにした点にある。
【0101】
従って、本例の場合は、濃度計8及び粘度計35によって浸漬槽2のスラリーの触媒濃度及び粘度を直接検出して該浸漬槽2のスラリーの調整を行なうから、該スラリーの性状が変動しても、これを直ちに所期の値に正確に修正することができ、応答性が高い。また、予備タンクを必要としないから、スラリー量を余分に多くする必要がない。
【0102】
尚、上記実施例ではゼオライトとしてH型ZSM5を使用したが、ZSM5と同様にスラリー濃度の減少とともに粘度が急激に低下するA型、X型、Y型、モルデナイト等にも本発明は当然適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラリーの触媒濃度と担体の目詰り率との関係を示すグラフ図
【図2】担体の触媒担持量とその目詰り率との関係を示すグラフ図
【図3】スラリーの粘度と担体の触媒担持量との関係を示すグラフ図
【図4】スラリーの触媒濃度と粘度との関係を示すグラフ図
【図5】Y型ゼオライトについてスラリーの触媒濃度と担体の触媒担持量との関係を示すグラフ図
【図6】スラリーの触媒濃度と担体の触媒担持量との関係を示すグラフ図
【図7】スラリーの温度と粘度との関係を示すグラフ図
【図8】スラリーのpHと粘度との関係を示すグラフ図
【図9】スラリーの撹拌時間と粘度との関係を示すグラフ図
【図10】排気ガス浄化用触媒の製造装置の第1例を示す図
【図11】排気ガス浄化用触媒の製造装置の第2例を示す図
【図12】排気ガス浄化用触媒の製造装置の第3例を示す図
【図13】排気ガス浄化用触媒の製造装置の第4例を示す図
【符号の説明】
1 調合槽
2 浸漬槽
3 補給水タンク
4 スラリーポンプ
7 水補給用ポンプ
8 濃度計
9 制御手段
31 予備タンク
33 スラリーポンプ
35 粘度計
36 pHメータ
37 酸タンク
38,39 開閉バルブ
40 制御手段

Claims (5)

  1. 結晶質の金属含有シリケート触媒のスラリーを調合する調合槽と、
    上記調合槽のスラリーが供給され、該スラリーにモノリス型担体を浸漬して上記金属含有シリケート触媒をモノリス型担体に担持させるウォッシュコート用の浸漬槽と、
    上記調合槽と浸漬槽との間で上記スラリーを循環させる循環手段と、
    上記調合槽のスラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度を検出する濃度計と、
    上記調合槽に水を添加する水添加手段と、
    上記濃度計によって上記スラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該濃度が所定値以下になるよう上記水添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置。
  2. 結晶質の金属含有シリケート触媒のスラリーを調合する調合槽と、
    上記調合槽のスラリーが供給され、該スラリーにモノリス型担体を浸漬して上記金属含有シリケート触媒をモノリス型担体に担持させるウォッシュコート用の浸漬槽と、
    上記調合槽と浸漬槽との間で上記スラリーを循環させる循環手段と、
    上記浸漬槽のスラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度を検出する濃度計と、
    上記調合槽に水を添加する水添加手段と、
    上記濃度計によって上記スラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該濃度が所定値以下になるよう上記水添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置。
  3. 結晶質の金属含有シリケート触媒のスラリーが貯溜され、該スラリーにモノリス型担体を浸漬して上記金属含有シリケート触媒をモノリス型担体に担持させるウォッシュコート用の浸漬槽と、
    上記浸漬槽のスラリーを外部に取出し再び該浸漬槽に戻すスラリー循環路と、 上記浸漬槽のスラリーが上記スラリー循環路を通って循環するよう該スラリーを駆動するスラリー駆動手段と、
    上記スラリー循環路を移動するスラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度を検出する濃度計と、
    上記浸漬槽に水を添加する水添加手段と、
    上記濃度計によって上記スラリーにおける金属含有シリケート触媒の濃度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該濃度が所定値以下になるよう上記水添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置。
  4. 請求項3に記載の排気ガス浄化用触媒の製造装置において、
    上記浸漬槽に酸を添加する酸添加装置と、
    上記スラリー循環路を移動するスラリーの粘度を検出する粘度計と、
    上記粘度計によって上記スラリーの粘度が所定値を越えたことが検出されたときに、当該粘度が所定値以下になるよう上記酸添加手段を作動させる制御手段とを備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の排気ガス浄化用触媒の製造装置において、
    上記浸漬槽に該浸漬槽のスラリーの温度を所定温度に保持する保温手段が設けられていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造装置。
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