JP3568594B2 - 散粒器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、農耕地に農薬、肥料、種子等の粒状体を散布するための散粒器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
農作業において、農地に作付けを行なう方法は、その作物の種類や農地の状態によって異なる。種子を直接農地に撒く方法もあれば、専用の苗床で発芽させて一定の大きさになるまで育ててから農地に移植する方法もある。こういった作付け方法のひとつとしてポット栽培による作付け方法が挙げられる。ポット栽培による作付け方法とは、図5に示すように、ポットと呼ばれる浅い有底円筒状の器のなかで一株ずつ発芽させて育てた苗Pを、一定の大きさになったところで土と一緒にポットから取り出し、あらかじめ農地に設けられたくぼみQに根株ごと配置して作付けを行なうというものである。この方法は一般に、茄子、きゅうりといった果菜類等の栽培に取り入れられている。
【0003】
上記のような作付けが行なわれる農地に作付け前に粒状の農薬を散粒する場合には、従来、次のようなふたつの散粒方法がとられていた。まずひとつの方法として、作付けを行なう農地に必要な量の農薬を大まかに散粒し、その上から耕耘することによって土に混ぜるというものである。もうひとつの方法としては、すでに耕耘された農地にくぼみQを設け、そのくぼみQを通過するように畝にそって筋状に農薬を撒いていくというものである。このような散布方法によれば、細かな作業は必要なく、短時間で散粒が行なえる。
【0004】
ところで、最近になって従来の農薬よりもかなり少ない量で同等以上の効果を発揮する新しい農薬が開発された。この農薬は、従来の農薬と同じく粒状であるが、従来のような方法で散粒を行なえば必要以上の農薬を大量に撒き過ぎてしまう。ゆえにポット栽培を行なう農地に使用する際には作業者が一株に必要な量を計り取り、農地のくぼみごとに手作業で撒いていくという方法がとられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、農地に何百と設けられたくぼみごとに僅かな量の農薬を計り取って手作業で撒いていくのは苛酷は作業であり、作業効率も非常に悪い。特に最近は農業従事者の高年齢化が進んでいるため、こういった苛酷な農作業は敬遠されがちであり、少しでも簡単に散粒を行なう手段の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記のような事象に鑑みてなされたものであり、適量の農薬等の粒状体を計り取って特定の場所に撒くことのできる散粒器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の散粒器は、特定の場所に農薬等の粒状体を適量撒くための散粒器であって、長尺のフレームと、該フレームに取り付けられて粒状体を収納する収納部とを具備し、該収納部の下部には、この収納部に納められた粒状体を適量だけ分け取って放出する放出機構が設けられると共に、粒状体の放出方向には、粒状体を拡散させる拡散部が設けられ、前記フレームが、前記収納部の上方に延在する上部フレームと、収納部の下方に延在する下部フレームとからなり、前記上部フレームには、収納部の取り付け側に屈曲する屈曲部が設けられ、この屈曲部の上部には収納部の上方に位置するように取り付けられた取っ手を備えてなることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の散粒器は、前記拡散部が、上下方向に移動自在に支持されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の散粒器は、前記放出機構が、収納部の収納室を形成する底部と、この底部の下側に設けられた摺動体と、この摺動体を支持する支持部とを具備し、前記底部には収納室内の粒状体を流出させる流出孔が設けられ、前記摺動体には流出孔から流出してくる粒状体を一時的に貯留する貯留孔が設けられると共に、前記支持部には、貯留孔内の粒状体を放出する放出孔が前記流出孔と連通しない位置に設けられ、前記摺動体は、その貯留孔が流出孔に連通する位置と、貯留孔が放出孔に連通する位置とを摺動自在に移動するように支持されてなることを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1記載の散粒器は、放出機構を操作することによって、収納部に納められた粒状体を適量だけ分け取って放出し、放出した粒状体を拡散部によって拡散して特定の場所に撒くことができる。
また、この散粒器は、収納部の取り付け側に屈曲する屈曲部が設けられ、この屈曲部の上部に収納部の上方に位置するように取っ手が取り付けられてバランスが調整されているので、取っ手を持って散粒器を持ち上げると、散粒器が垂直方向に向く。
【0013】
請求項2記載の散粒器は、拡散部を上下方向に移動させて拡散部と粒状体が撒かれる地面との距離を変化させることができるので、拡散部が地面から遠ければ広く拡散され、拡散部が地面から近ければ狭く拡散される。
【0014】
請求項3記載の散粒器は、貯留孔が流出孔に連通する位置にあるとき、収納室に納められた粒状体が流出孔から流れ出して摺動体に設けられた貯留孔に適量だけ貯留され、貯留孔が放出孔に連通する位置に移動すると、貯留孔に貯留された粒状体が放出孔から放出される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の散粒器について図1ないし図4を参照して説明する。
散粒器1は、図1に示すように、フレーム2と、このフレーム2に取り付けられて粒状体を収納する収納部10と、収納部10から放出された粒状体を拡散する拡散部40とを備えている。
【0016】
フレーム2は、パイプ状の上部フレーム3と断面コ字状の下部フレーム4とからなっている。上部フレーム3の高さ方向のほぼ中央には、収納部10側に屈曲された屈曲部9が設けられている。その上端には、取っ手5が収納部10の上方に位置し、かつフレーム2の延在方向に直角に取り付けられている。下部フレーム4の下端には、環状の接地脚8が取り付けられている。
【0017】
収納部10は有底円筒状であり、図2に示すように、その側面を上部フレーム3と下部フレーム4との連結部分にボルト6とナット7によって固定されている。収納部10の上部には着脱自在の蓋11が設けられ、内部には収納室12が形成されている。
【0018】
収納部10の下部には放出機構20が設けられている。放出機構20は、収納室12を形成する底部21と、この底部21の下側に設けられた断面矩形の棒状摺動体23と、この摺動体23を支持する支持体24とを備えている。
【0019】
支持体24はチャンネル形状を有し、その溝部25を上に向けて底部21の下面に固定されることによって断面矩形の孔26を形成している。孔26は収納部10の中心から下部フレーム4に向けて設けられており、この孔26に摺動体23が摺動嵌合するように配置されている。
【0020】
底部21には孔26に向けて流出孔27が設けられ、摺動体23には流出孔27に連通する貯留孔28が設けられている。支持部24の溝部25には、摺動体23が下部フレーム4に向けて移動したとき、貯留孔28と連通する放出孔29が設けられている。支持部24の下面には、放出孔29に連通して下方に延びる管22が固定されている。ここで、貯留孔28の容積は、作物一株あたりに必要な農薬の体積と等しい。
【0021】
摺動体23の下部フレーム4側の端面23aには、板体30を介してワイヤー31の一端が取り付けられている。ワイヤー31は、下部フレーム4の端面23aに対向する位置に設けられた孔32に通されている。摺動体23と下部フレーム4との間にはワイヤー31を通されたバネ33が配設されている。バネ33は摺動体23を下部フレーム4から離間させる方向に付勢している。
【0022】
孔32に通されたワイヤー31は、図1に示すように、ビニールパイプ34に通されてフレーム2に沿って上方に伸び、取っ手5に取り付けられたレバー35に連結されている。このレバー35を握ったり離したりすることによって摺動体23を移動させることができる。
【0023】
下部フレーム4には、この下部フレーム4に通されて摺動自在な支持具41が取り付けられている。この支持具41にはネジ穴42が設けられており、このネジ穴42にはネジ43が螺入されて支持具41を下部フレーム4に固定している。さらに支持具41の収納部10の取り付け側には、その軸線が管29の軸線に常に一致するように上方に向けて凸曲面をなす円板44が固定されている。この円板45には複数の小孔45が設けられている。
【0024】
上記のように構成された散粒器1を使用して農薬を散粒する方法を説明する。まず、取っ手5を持って散粒器1を持ち上げ、接地脚8を図5に示す農地のくぼみQに配してフレーム2を垂直に立てる。このとき摺動体23は、図3に示すように、バネ33に付勢されて下部フレーム4から離間し、貯留孔28と流出孔22とが連通した状態にあり、収納室12に納められた農薬が流出孔27から流れ出して貯留孔28に貯留されている。
【0025】
次に、取っ手5を握った手でレバー35を絞ると、摺動体23は、図4に示すように、ワイヤー31に引き寄せられて下部フレーム4に向けて移動し、流出孔27が閉ざされて貯留孔28と放出孔29とが連通する。この摺動体23の移動によって貯留孔28に貯留された農薬だけが分け取られ、放出孔29から管22を通って収納部10の下方に放出される。
【0026】
収納部10から放出された農薬は、あるものは管22の下方に配置された円板44に当り、あるものは小孔45を通ってそのまま落下し、接地脚8周辺に適度に散らばって撒かれる。
【0027】
最後に、レバー35を開放すると摺動体23はバネ33に付勢されて図3に示す位置に戻り、貯留孔28には再び農薬が流れ込む。以上の操作を繰り返すことによって、一定量の農薬を特定の場所に連続的に散粒する。
【0028】
ここで、散粒される農薬の拡散の度合いの調節は、円板44と管22との間隔を変化させて行なう。すなわち、円板44を接地脚8から遠ざけて固定し、農薬が円板44に当ってからくぼみQに達するまでの距離を長くすることでより広い範囲に飛散するようにする。また、円板44を接地脚8に近づけて固定し、農薬が円板44に当ってからくぼみQに達するまでの距離を短くすることで農薬が飛散する範囲を狭めるようにする。
【0029】
上記に説明したように、本実施例の散粒器1を用いれば、簡単に適量の農薬を分け取って特定の場所に農薬を散粒することができる。すなわち、農薬を散粒する場所に接地脚8を配し、農地に対して垂直に立ててレバー35を握るだけで、適量の農薬をくぼみQに撒くことができるので、従来のような手作業による散粒作業を廃し、作業者の身体的負担を軽減することができる。
【0030】
また、散粒器1においては、下部フレーム4に取り付けられた円板44を接地脚8に接近、離間させることによって簡単に農薬の拡散の度合いを調節することができる。したがって、農薬がくぼみQの底の一箇所に集ることなく、満遍なく拡散させて撒くことができる。
【0031】
さらに、散粒器1においては、上部フレーム3を屈曲させ、取っ手5を握って持ち上げたときにフレーム2がほぼ垂直に向くようにバランス調節がなされている。したがって、余計な力をかけなくても、取っ手5を軽く持って接地脚8をくぼみQに配するだけでフレーム2をほぼ垂直に立てることができる。
【0032】
なお、本実施例においては、貯留孔28の径は一定であるが、摺動体23を交換可能にするなどして貯留孔28の大きさを変化させ、散粒する農薬に応じて一度の操作で撒かれる量を調節できるようにしてもよい。また、粒状の農薬だけでなく、粉末の農薬や作物の種子等を撒く場合にも使用可能である。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の散粒器によれば、放出機構を操作することによって、収納部に納められた粒状体を適量だけ分け取って放出し、放出された粒状体を拡散部によって拡散させて撒くことができる。また、この散粒器によれば、上部フレームに収納部の取り付け側に屈曲する屈曲部が設けられ、取っ手を持って持ち上げるだけで散粒器が垂直方向に向くようにバランスが調整されているので、使用時の取り扱いが楽になる。
【0035】
請求項2記載の散粒器によれば、拡散部を上下方向に移動させて拡散部と粒状体が撒かれる地面との距離を変化させることによって、地面に撒かれる粒状体の拡散の度合いを調節することができる。
【0036】
請求項3記載の散粒器によれば、摺動体を移動させることによって、収納室に納められた粒状体を適量だけ分け取って放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す散粒器の平面図である。
【図2】同実施例を示す散粒器の要部分解図である。
【図3】同実施例において板体の移動を示す説明図である。
【図4】同実施例において板体の移動を示す説明図である。
【図5】ポット栽培による作付けを示す説明図である。
【符号の説明】
1 散粒器
2 フレーム
3 上部フレーム
4 下部フレーム
5 取っ手
9 屈曲部
10 収納部
20 放出機構
23 摺動体
24 支持体
27 流出孔
28 貯留孔
29 放出孔
40 拡散部
Claims (3)
- 特定の場所に農薬等の粒状体を適量撒くための散粒器であって、
長尺のフレームと、該フレームに取り付けられて粒状体を収納する収納部を具備し、
該収納部の下部には、この収納部に納められた粒状体を適量だけ分け取って放出する放出機構が設けられると共に、粒状体の放出方向には、粒状体を拡散させる拡散部が設けられ、
前記フレームが、前記収納部の上方に延在する上部フレームと、収納部の下方に延在する下部フレームとからなり、
前記上部フレームには、収納部の取り付け側に屈曲する屈曲部が設けられ、この屈曲部の上部には収納部の上方に位置するように取り付けられた取っ手を備えてなることを特徴とする散粒器。 - 請求項1記載の散粒器において、
前記拡散部は、上下方向に移動自在に支持されてなることを特徴とする散粒器。 - 請求項1記載の散粒器において、
前記放出機構は、収納部の収納室を形成する底部と、この底部の下側に設けられた摺動体と、この摺動体を支持する支持部とを具備し、
前記底部には収納室内の粒状体を流出させる流出孔が設けられ、前記摺動体には流出孔から流出してくる粒状体を一時的に貯留する貯留孔が設けられると共に、前記支持部には、貯留孔内の粒状体を放出する放出孔が前記流出孔と連通しない位置に設けられ、前記摺動体はその貯留孔が流出孔に連通する位置と、貯留孔が放出孔に連通する位置とを摺動自在に移動するように支持されてなることを特徴とする散粒器。
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JP24042294A JP3568594B2 (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | 散粒器 |
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JP24042294A JP3568594B2 (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | 散粒器 |
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JP24042294A Expired - Lifetime JP3568594B2 (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | 散粒器 |
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Families Citing this family (1)
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-
1994
- 1994-10-04 JP JP24042294A patent/JP3568594B2/ja not_active Expired - Lifetime
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