JP3567819B2 - 配光制御パネルとこれを用いた機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は屋外街路灯や玄関のアプローチ灯、ダウンライト等に用いられて光源からの光を効率良く特定方向に向けるための配光制御パネル(照明カバー)とこれを用いた機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の街路灯は照明器具近傍全体を照らすものが多く、有効に下面の道路などを照らしていないために、光のエネルギーを有効に使用しておらず、無駄に電力を消費するものであった。また、近年、都会に星空を蘇らせる運動が盛んになり、環境庁からも上方(天空)への光を抑制した照明器具の使用を要請する「光害ガイドライン」が施行された。しかし、現状の照明器具では上方への光をカットする遮蔽板等を使用したものしかなく、器具効率及びデザイン上、好ましくない。
【0003】
図23に示すように、光源1の側方にプリズムを上下に重ねたパネル2を配置することで光の方向を制御するものが特公平3−75963号公報にグレア除去装置として示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に示されたものでは、プリズム形状が大きいために、光の配光分布の変化が大きく、高強度のランプからのぎらつきが存在しており、光の方向制御も完全でなかった。また、グレア除去が本来の目的であるために、プリズム間に不透明膜やカラー不透明膜を設置しており、これは光を任意の方向に制御するという点からすれば、光の利用効率の低下が問題となる。さらにプリズムを上下方向に重ねて配置するために、部品点数が多く、コスト高である。
【0005】
特開昭62−217501号公報に示されたものでは、シート上に微細形状を施したものとなっていることから、コストの点では有利であるが、ここで示されたものは、図24に示すように、光が2方向に分割されてしまうものであり、特定の一方向にのみ光を制御することは困難である。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは光の配光分布の変化率を小さく抑制し、光の和らぎ感を損なうことなく、特定方向に光を効率良く向けることができる配光制御パネルとこれを用いた機器を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、光源側の一面微細形状による配光制御用の光制御手段を設けており、この光制御手段の少なくとも一面にさらに微細な形状による第2光制御手段を設けていることに特徴を有している。
【0008】
光制御手段の微細形状は、人間の目の分解能以下のものであることが、和らぎ感の点で好ましい。
【0009】
ここにおける第2光制御手段は、微小な多数のプリズムや、微小な錐状突起物、回折格子、拡散面などで形成することができ、拡散面とする場合は、その面粗度が通過する光の波長の4/5以上とするのが好ましい。
【0010】
光制御手段はプリズムアレーであるとともに光源軸に対して略垂直な面を備えたものとすれば、配光(偏向角)の制御が容易となり、この場合、第2光制御手段は光源軸に対して略垂直な面に設けておく。
【0011】
光制御手段をプリズムアレーとしてその頂角部を曲面としたり、光源軸に対して略平行な面を備えたものとするのも好ましく、上記光源軸に対して略平行な面は光学的に粗面となっているのがより好ましい。
【0012】
光制御手段はプリズムアレーであるとともにその斜面部の水平断面に直交する溝を備えたものとするのも好ましい。
【0013】
表裏両面に光制御手段を設けたり、拡散顔料を添加したり、表面に保護膜を備えたものとしたり、表面に反射防止膜を備えたものとしたり、表面に光触媒が塗布されたものとするのも好ましい。
【0014】
さらに、透光材料からなる板状あるいはシート状で且つ円筒形もしくは円筒の分割形状とするのが配光分布の点で好ましいものとなる。
【0015】
光源との位置関係に応じて光制御手段の形状を徐々にもしくは段階的に変化させておけば、より適切な配光を行うことができる。
【0016】
そして、上記のような配光制御パネルを上方光束低減用として用いた屋外照明器具は、光害対策ガイドラインに対応したものとすることが容易となる。
【0017】
また、上記のような配光制御パネルを光源の下方側に方向を可変として配設したダウンライト照明器具は、配光制御パネルの方向を変えるだけで照射方向を変更することができる。
【0018】
さらに上記のような配光制御パネルを光学的センサの光入射路に配設している光学的センサー器具は、センシング方向を自由に変化させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、本発明に係る配光制御パネル2は、図1に示すように、光源1の外周を囲むように配置されて光源1の側方に配設されるものであって、ポリメチルメタクリレートやポリカーボネートやガラス等の透光材料からなる板状もしくはシート状のものであり、その一面である光源1側の面に、微細な形状による光制御手段3を設けるとともに、この光制御手段3に更に微細な形状による第2光制御手段4を設けたものである。具体的には光制御手段3は微細なプリズムを使用することができ、第2光制御手段4としてはさらに微細なプリズムを用いることができる。なお、これら光制御手段3及び第2光制御手段4を備えた配光制御パネル2は、切削加工や成形工法によって得ることができる。
【0020】
上下に傾き方向が逆となった傾斜面が並ぶプリズムからなる光制御手段3において、光を制御したい方向に屈折させるのであるが、この時、光の制御方向と反対方向に配光制御パネル2に入射する光は、制御したい方向と逆方向に出射してしまう。このために設けたのがその形状によって確率的に反射屈折を制御する第2光制御手段4である。図1(d)に示すように、光制御手段3であるプリズムと略平行な線状のプリズムを第2光制御手段4として、光制御手段3のプリズムにおける下側の傾斜面に設ければ、光の制御方向と反対方向に配光制御パネル2に入射する光も、多重反射屈折によって制御したい方向に出射させることができる。
【0021】
ここにおいて、光制御手段3を構成する微細な形状であるが、これは人間の目の分解能以下のものとしておく。人間の目の分解能は視野角で40〜50秒程度であり、対象物との距離によりその形状サイズも変化するが、街路灯として使用する場合は、人間の目の位置から2〜3m程度であるために、光制御手段3の最大形状サイズPとしては、0.5mm程度とする。屋内のダウンライトなどでは距離が小さくなるために、さらに微細にする必要があり、0.2mm程度以下が好ましい。いずれにしろ、人間の目の分解能以下の形状とすることで、形状の付与がわからないものとなり、乳白拡散板と同様の和らぎ感のある光を得ることができるものであり、また、この和らぎ感は乳白のガラスやプラスチックと同程度の感覚を与えて、あたかもパネルの透過率を低下させて上方への光量を低下させているように感ずるものとなる。
【0022】
第2光制御手段4のプリズムの大きさは、50μmからサブミクロンの形状とする。図1では頂角がほぼ45°の柱状形状のものを示したが、この形状は光の制御方向によって変わるものであり、柱状形状で面内で同一でもよいが個々に単体で配置してもよい。また、各プリズム全てが同一でなくてもよい。
【0023】
第2光制御手段4は図2に示すように微小な円錐状、あるいは角錐状のプリズム(突起物)を配置して形成したものであってもよい。錐状プリズムの大きさは底面が5μm〜100μm、高さが1μm〜200μmとする。錐状プリズムに光が入射すれば、錐状プリズムにおいて光は多重反射するために、設計方向と反対方向に行く光を低減することができる。また、この場合は左右方向への制御光もプラスされるために視覚的により和らぐものとなる。
【0024】
第2光制御手段4は図3に示すように回折格子であってもよい。回折格子を設ければ、特定波長の光は干渉によって方向が変化するが、この性質を利用して回折ピッチを制御することにより、方向を制御して他の面での反射屈折と組み合わせることで光の出射方向を制御することができる。ちなみに回折条件は格子定数をd、入射角度をθ1、回折角度をθ2、次数をm、波長をλとする時、d(sinθ1+sinθ2)=mλ となる。回折格子による方向の変化は波長によって異なるために、光源1から出る波長成分にあった回折ピッチを設定する。通常、光源1からは種々の波長の光が出射されているために、回折格子ピッチを変化させて組み合わせて用いてもよい。
【0025】
第2光制御手段4はさらに図4に示すように、拡散面であってもよい。拡散面とした場合、入射した光は拡散するために、特定の方向に光を向けることは困難であるが、向けたくない方向への光の量を低減するという点で有効である。光制御手段3によって大半の光を特定方向に向けており、光制御手段3で制御できない光は第2光制御手段4で拡散させることで、向けたくない方向への光は大部分を低減することができる。
【0026】
なお、拡散面とする場合は、通過する光の波長の4/5以上の面粗度とするのが好ましい。一般的に光学的な平面とは波長の1/4以下の凹凸を有する面のことを指しており、それ以上の凹凸が存在する面では光は拡散反射あるいは拡散しながら透過することになる。この時、面粗度の値に応じて配光分布も変化するものであり、面粗度が小さい時は図5(c)のような配光分布となるのに対して、面粗度が中の時には図5(b)のような配光分布に、面粗度が大の時には図5(a)のような配光分布となり、粗くなるほど片側に偏った配光とすることができて、上下に出射される光の割合を変えることができる。特に使用波長の4/5以上の粗さとすることで、指向性を強く持たせて片側にだけ配光することができる。
【0027】
このような拡散面としての第2光制御手段4を備えた配光制御パネル2は、第2光制御手段4を設ける面の切削加工時に面精度の良くない超硬バイトを用いて粗面化することで得ることができるが、このほか、プリズム形状をランダムに形成するといった形状制御でも拡散面を生成することができる。
【0028】
ところで、プリズムアレーである光制御手段3で光を制御する場合、光源1との相対位置関係によって入射角が決まる。一般に光源1からその軸Lに対して略平行な方向に光が発せられるために、図6に示すように、配光制御パネル2を光源軸Lに略平行に配置すると、配光制御パネル2に略垂直に入射する光が多くなる。したがって、光制御手段3における一面(下面)を光源軸Lに対して略垂直とすることで、この面に直接入射する光は少なくなり、特定方向(下方向)に光を屈折させる他面に入射する光の割合が増える。また、光制御手段3のプリズムの頂角θを小さくするほど偏向角αを大きくすることができ、その結果、上方への光束は低減されて有効な照明が行われることになる。ただし、偏向角αをあまり大きくすると、出射面側での全反射が増加して透過率が低下するために、頂角θは30〜80°程度が好ましい。第2光制御手段4は図7に示すように、光源軸と略垂直とした面に設けるのはもちろんである。
【0029】
図8は光制御手段4であるプリズムアレーの頂角部を曲面Rを設けたものを示している。光制御手段3の第2光制御手段4を設けていない側の面に入射して屈折した光が第2光制御手段4を設けた面にあたると、多重反射屈折するために光量のロスが大きくなることから、頂角部付近に曲面Rを設けることで、頂角部付近に入射した光の偏向角を抑えて第2光制御手段4を設けた面に当たらないようにしたものである。これにより、変更各が小さくなる成分が生じるが、上方への上方へ出射は抑えられる。また、出射効率が向上する分、下方への光制御を有効に行うことができる。
【0030】
また、配光制御パネル2を射出成形等の成形で行うことを想定すると、頂角部が尖鋭なものを得ることは実際上、不可能であるが、成形の際にどうしても生じてしまう曲面Rを考慮した設計を行うことができることになり、製造上、有効な形状であるとも言える。
【0031】
ところで、光制御手段3をプリズムアレーで構成した場合、図14においてA方向から見た場合は拡散光を見ることになるために乳白様に見えるが、B方向から見た場合は屈折光を見ることになるために、ランプイメージが見えてしまう。このランプイメージが見えてしまうことを防ぐには、配光制御パネル2として、図15に示すように、拡散顔料6を添加した透光体(半透明体を含む)を用いるとよい。B方向から見た場合、屈折光+拡散光を見ることになるために、ランプイメージが和らいだものとなる。拡散顔料としては、粒径数μmのシリコンゴム、BaSO等を用いることができ、この添加によって透過率がほぼ90%程度、拡散率数十%としたものを材料とするのが好ましい。
【0032】
図16に示すように、光制御手段3や第2光制御手段4の微細構造をつぶさないようにSiOの保護膜7をTEOS−CVD法等によって500nm以下の厚みでコーティングするのも好ましい。表面硬度が上がり、耐擦傷性を向上させて傷がつきにくくすることができる。また、フッ素系の材料を重ねてコーティングしたり、TEOS(Si(OC)の4つの−OCのうち1つがフッ素に置き換わった材料をCVDすることで、表面硬度上昇に加えて撥水性も持たせることができ、この結果、防汚機能を付与することもできる。なお、コーティング法はCVD法に限るものではなく、スプレーやディッピング法を用いてもよい。
【0033】
図17に示すように、配光制御パネル2全体に反射防止膜8を塗布することも好ましい。もっとも、構造を持った表面に膜厚制御がきびしい反射防止膜8(例えばMgFをλ/4の厚みでコーティング)を設けるのは困難であるが、形状が一軸方向のみの場合、〜0.1μmの粒径のSiOの微粒子をディッピング法によって一層コーティングすればよい。波長以下の領域でλ/4程度の凹凸は空気と板材の中間の屈折率を連続的に持つことができるために、反射防止膜8としての効果を得ることができるものである。このような反射防止膜8を設けることで、表面で反射される光が4%から0.5%以下に低減させることができるために、全体の透過率を7%ほど向上させることができる。コーティング法としては、超微粒子を含有したアルコールをスプレーすることで行ってもよい。
【0034】
光触媒(TiO)の超微粒子(0.1μm以下のサイズ)を上記反射膜8の形成と同様の方法により表面にコーティングしてもよく、この場合、光触媒反応によって表面についた汚れを分解することができるために、汚れの付着による透過率の低下や光制御機能の低下を長期にわたり防止することができる。
【0035】
光制御手段3であるプリズムアレーは、図9に示すように、光源軸に対して略平行な平面30を備えたものであってもよい。この平面30に入射した光は入射方向と同方向に出射されることになり、斜面部に対する略平行部の比率を増大させることで、図10(b)に示す配光から図9(b)に示す配光のように、出射光線の配光分布を変化させることができるとともに、制御量を自由に調整することができる。
【0036】
もっとも、上記略平行な面30を設けた場合、外から見ると光源1の形状、すなわちランプイメージがそのまま見えてしまうことになって好ましくない。これを避けるには、図11に示すように、略平行な面30を光学的に粗面としてやればよい。拡散して出射していくために、ランプイメージを低減することができる。
【0037】
上記の各例では、光制御手段3を上下に柱状プリズムが並ぶプリズムアレーとしていたが、図12に示すように、水平断面と直交する方向の溝を備えたものとしてもよく、この場合、光は水平面内でも屈折によって方向を変えるために、水平方向についても配光分布を制御することができるものとなる。また、水平方向の屈折は光を複数方向に分けるために、光源1の像も広がって見えることになり、ランプイメージがわかりにくくなって、ランプイメージ低減の効果も有する。なお、水平断面に直交する方向の溝は、図示例のようなプリズム形状以外にレンチキュラーのような曲面形状であってもよい。
【0038】
図13は配光制御パネル2の外面側にも光制御手段5を設けたものを示している。この光制御手段5は光制御手段3と同等の構造のものを持つものを採用することができ、さらには第2光制御手段4と同等の構造を持つものを付加してもよい。2つの制御手段3,5によって光を偏向させることができるものであり、偏向角αを大きくすることや指向性をさらに高めることなども容易となる。
【0039】
とこで、上記のような配光制御パネル2は、光源1の外周を取り巻くように配置する場合、円筒形もしくは円筒の分割形状としておく。図18(a)のように平板形状のパネル2を並べて光源1を囲んだ場合は、同図(b)に示すような等照度曲線となるが、図18(c)に示すように、円筒形のパネル2を用いれば、図18(d)に示す等照度曲線を持つものとなり、照度分布に方向性がなくて全方向に均一な照明を行うことができる。
【0040】
また、光源1から出た光は様々な方向へと出射していくことから、パネル2に設ける光制御手段3,4、特に光制御手段3をすべて同じとすると、図19(a)に示すように、想定外の方向から光が入射するために制御できていない光Uが出射することになる。このために、図19(b)に示すように、光源1との位置関係に応じて光制御手段3の形状を徐々にもしくは段階的に変化させて、各位置に適切な光制御手段3,4を設けることで、どの位置においても求める配光制御を行うことができるものとなり、指向性の強い照明を行うことができる。
【0041】
以上のような配光制御パネル2は、屋外照明器具に用いることで、その機能を有効に発揮させることができる。すなわち、屋外で用いる照明器具(街路灯、道路灯、アプローチ灯など)の照明対象は一般的に器具設置位置から下方の路面や通路部分であり、効率の良い照明を行うには光を下方のみに出射させればよく、また上方へと出射する光は無駄な照明光となるだけでなく、光害の原因となる。しかし、上記配光制御パネル2を用いた屋外照明器具であれば、乳白パネルを用いたもの(図20(c))に比して、図20(b)に示すように上方光束を抑えて下方光束を増加させた照明を得ることができるものであり、効率を落とすことなく下方への出射光量を増やすことができて、路面の照度を従来より高くすることができ、光源1のワット数を減らしたり器具の設置間隔を広くとることができて省エネルギー化を図ることができる。
【0042】
また、上記配光制御パネル2をダウンライト照明器具に用いるにあたり、パネル2の方向を可変としておけば、図21に示すように、パネル2の方向を変えることによって指向性を変えることができる。天井に設置して下方照明を行ったり一定場所をスポット的に照明するダウンライト照明器具では、通常、反射板の形状や光源の位置によって指向性を持たせているが、この場合、設置時に照明する方向を決めて施工することになり、設置後に照明方向を変更するにはユニバーサルジョイント等を有したものでなければ再度取り付け直すことが必要であったが、このような手間を要することなく、パネル2の方向を変更するだけで指向性を変えることができる。この場合のパネル2の方向の変更は、パネル2を回転させたり向きを入れ換えたりすることで対応できるようにしておくのが好ましい。また、光源1として蛍光灯のように反射板の大きさに対して光源の体積が比較的大きいものを用いた場合には、反射板形状では制御が行えないが、このパネル2を用いることで制御を効率的に行うことができる。
【0043】
さらに上記配光制御パネル2は、たとえば赤外線による人体検知センサのような光学的センサSの光入射路に配置することで、図22に示すように、検知領域Aを特定の方向の振ることができるとともに、配光制御パネル2の向きの変更や取り換えだけで、レンズ交換や設置角度乃至設置位置の変更を必要とすることなく、検知領域Aの変更に応じられるものとすることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、透光材料からなる板状あるいはシート状のものであり、光源側の一面微細形状による配光制御用の光制御手段を設けており、この光制御手段の少なくとも一面にさらに微細な形状による第2光制御手段を設けているために、光透過率を高く保ったままで乳白拡散板と同様に光に和らぎ感を持たせることができるものであり、また光制御手段に加えて第2光制御手段を設けていることで、光源の中心から水平方向より上方に放射される光を低減するという配光制御を容易に行うことができるものである。
【0045】
特に光制御手段の微細形状は、人間の目の分解能以下のものとしておくことで、和らぎ感をより確実に演出することができる。
【0046】
ここにおける第2光制御手段は、微小な多数のプリズムで形成した場合、多重反射屈折により片側への配光成分を増やすことができ、微小な錐状突起物で形成した場合、多重反射屈折により片側への配光成分を増やすことができる上に左右方向の配光制御も行うことができるとともに視覚的により和らいだものとすることができ、回折格子で形成した場合、特定の波長の光の方向を効果的に変化させることができ、さらに拡散面で形成した場合、向けたくない方向への光の低減を簡便に行うことができる。拡散面とする場合は、特にその面粗度を通過する光の波長の4/5以上としておくと、配光の点で有利なものを得ることができる。
【0047】
光制御手段はプリズムアレーであるとともに光源軸に対して略垂直な面を備えたものとすれば、配光(偏向角)の制御が容易となるとともに特定方向への光の照射を効率よく行うことができる。この場合、第2光制御手段は光源軸に対して略垂直な面に設けておくことで、より有効な照明を行うことができる。
【0048】
光制御手段をプリズムアレーとしてその頂角部を曲面としたならば、多重反射屈折による光量ロスを減らすことができて、全体の光制御量を増加させることができる。また、成形加工で製作する場合の成形条件設定が容易となる。
【0049】
光制御手段を光源軸に対して略平行な面を備えたものとしておけば、斜面部と略平行部との比率に応じて配光制御の制御量を変化させることができる。
【0050】
上記略平行な面は光学的に粗面となっていると、略平行な面が存在することによるランプイメージを低減することができる。
【0051】
光制御手段はプリズムアレーであるとともにその斜面部の水平断面に直交する溝を備えたものとなっておれば、水平方向の配光分布の制御も可能となる上に、ランプイメージの低減も可能である。
【0052】
表裏両面に光制御手段を設けたならば、光の出射方向を精度良く制御することができる。
【0053】
拡散顔料を添加しておけば、光の屈折方向から見た場合のランプイメージを和らげることができる。
【0054】
表面に保護膜を備えたものすることで、微細構造が損傷するのを防止することができる上に、汚れが付着した場合の清掃性を向上させることができ、光の方向制御効果を長時間維持することができる。
【0055】
表面に反射防止膜を備えたものとすれば、パネルの透過率を上げることができ、照明効率を高めることができる。
【0056】
表面に光触媒を塗布したものとすれば、光触媒による汚れの分解によって、光制御効果を長時間維持できるものとなる。
【0057】
さらに、透光材料からなる板状あるいはシート状で且つ円筒形もしくは円筒の分割形状とすることで、照度分布に方向性がない均一な照明を行うことができる。
【0058】
光源との位置関係に応じて光制御手段の形状を徐々にもしくは段階的に変化させておけば、光源から出る光をより効率的に制御して、指向性が強い配光を行うことができる。
【0059】
そして、上記のような配光制御パネルを上方光束低減用として用いた屋外照明器具は、下方照明を有効に行うことができるとともに光害対策ガイドラインに対応したものとすることが容易となる。
【0060】
また、上記のような配光制御パネルを光源の下方側に方向を可変として配設したダウンライト照明器具は、配光制御パネルの方向を変えるだけで照射方向を変更することができる。
【0061】
さらに上記のような配光制御パネルを光学的センサの光入射路に配設している光学的センサー器具は、センシング方向を自由に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)は断面図、(b)は拡大断面図、(c)は光路の説明図、(d)は拡大断面図である。
【図2】同上の他例を示すもので、(a)は断面図、(b)は拡大断面図、(c)〜(e)は形状例を示す斜視図である。
【図3】同上のさらに他例を示すもので、(a)は断面図、(b)は拡大断面図である。
【図4】同上の別の例を示すもので、(a)は断面図、(b)は拡大断面図である。
【図5】(a)は面粗度が大の時の配光分布図、(b)は面粗度が中の時の配光分布図、(c)は面粗度が小の時の配光分布図である。
【図6】他例の断面図である。
【図7】さらに他例の断面図である。
【図8】別の例の断面図である。
【図9】異なる例を示すもので、(a)は断面図、(b)は配光分布説明図である。
【図10】(a)は断面図、(b)は配光分布説明図である。
【図11】さらに異なる例の断面図である。
【図12】別の例を示すもので、(a)は断面図、(b)はX−X線断面図である。
【図13】他例の断面図である。
【図14】断面図である。
【図15】異なる例の断面図である。
【図16】別の例の断面図である。
【図17】さらに異なる例を示すもので、(a)は破断斜視図、(b)は拡大断面図である。
【図18】(a)は配光制御パネルを用いた照明器具の水平断面図、(b)は同上の照明器具の等照度曲線説明図、(c)は円筒形配光制御パネルを用いた照明器具の水平断面図、(d)は同上の照明器具の等照度曲線説明図である。
【図19】(a)は光源と配光制御パネルとの関係を示す説明図、(b)は光源と他の配光制御パネルとの関係を示す説明図である。
【図20】(a)は配光制御パネルを用いた屋外照明器具の一例の正面図、(b)は同上の照明器具の配光分布図、(c)は乳白パネルを用いた屋外照明器具の配光分布図である。
【図21】(a)(b)は方向を可変とした配光制御パネルを用いたダウンライト照明器具の概略図である。
【図22】配光制御パネルを用いた光学的センサの検知領域説明図である。
【図23】従来例の断面図である。
【図24】他の従来例の断面図である。
【符号の説明】
2 配光制御パネル
3 光制御手段
4 第2光制御手段

Claims (23)

  1. 透光材料からなる板状あるいはシート状のものであり、光源側の一面微細形状による配光制御用の光制御手段を設けており、この光制御手段の少なくとも一面にさらに微細な形状による第2光制御手段を設けていることを特徴とする配光制御パネル。
  2. 光制御手段は人間の目の分解能以下の微細形状であることを特徴とする請求項1記載の配光制御パネル。
  3. 第2光制御手段は微小な多数のプリズムで形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  4. 第2光制御手段は微小な錐状突起物で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  5. 第2光制御手段は回折格子で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  6. 第2光制御手段は拡散面で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  7. 第2光制御手段である拡散面はその面粗度が通過する光の波長の4/5以上であることを特徴とする請求項6記載の配光制御パネル。
  8. 光制御手段はプリズムアレーであるとともに光源軸に対して略垂直な面を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の配光制御パネル。
  9. 第2光制御手段は光源軸に対して略垂直な面に設けられていることを特徴とする請求項8記載の配光制御パネル。
  10. 光制御手段はプリズムアレーであるとともにその頂角部が曲面となっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の配光制御パネル。
  11. 光制御手段はプリズムアレーであるとともに光源軸に対して略平行な面を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の配光制御パネル。
  12. 光源軸に対して略略平行な面は光学的に粗面となっていることを特徴とする請求項11記載の配光制御パネル。
  13. 光制御手段はプリズムアレーであるとともにその斜面部の水平断面に直交する溝を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の配光制御パネル。
  14. 表裏両面に光制御手段を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  15. 拡散顔料が添加されていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  16. 表面に保護膜を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  17. 表面に反射防止膜を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  18. 表面に光触媒が塗布されていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  19. 透光材料からなる板状あるいはシート状で且つ円筒形もしくは円筒の分割形状となっていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  20. 光源との位置関係に応じて光制御手段の形状を徐々にもしくは段階的に変化させていることを特徴とする請求項1または2記載の配光制御パネル。
  21. 請求項1〜20のいずれかの項に記載の配光制御パネルを上方光束低減用として用いていることを特徴とする屋外照明器具。
  22. 請求項1〜20のいずれかの項に記載の配光制御パネルを光源の下方側に方向を可変として配設していることを特徴とするダウンライト照明器具。
  23. 請求項1〜20のいずれかの項に記載の配光制御パネルを光学的センサの光入射路に配設していることを特徴とする光学的センサー器具。
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