JP3565397B2 - 摩擦抵抗発生機構及びダンパー機構 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦抵抗発生機構、及び摩擦抵抗発生機構が用いられたダンパー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば車輌においてエンジンとトランスミッションとの間にはエンジンのトルク変動を吸収するためのダンパー機構が設けられている。ダンパー機構は、クラッチディスク組立体やフライホイール組立体に設けられている。ダンパー機構は、相対回転可能な第1回転部材及び第2回転部材と、両部材が相対回転するときにその回転を制限するように配置されたコイルスプリングと、両部材が相対回転するときに摩擦を発生するための摩擦抵抗発生機構とを含んでいる。
【0003】
こょようなダンパー機構では、エンジンの燃焼変動に起因する微小捩じり振動を吸収するために、広捩じり角・低剛性・小摩擦抵抗の特性を必要とする。そのために、円周方向に従来より長く延びたロングストローク・スプリングが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ダンパー機構においては、たとえばエンジンのクランクシャフトに固定されるフライホイール組立体に用いられるダンパー機構は、捩じり角度の大きな範囲で大摩擦抵抗を必要とする。その理由は、エンジンの低回転数領域(始動または停止時)における共振点を通過する際に、大きなトルク変動がダンパー機構に伝達されるからである。このように大捩じり振動に対して大きな抵抗を得るために、粘性流体を用いた粘性ダンパー機構が知られている。しかし、粘性ダンパー機構は、大きな抵抗を得ることはできるが、構造が複雑になり高価になる。
【0005】
本発明の目的は、ダンパー機構に用いられる摩擦抵抗発生機構において、簡単な構造で、過大トルク変動が入力されたときに大きな摩擦抵抗を発生させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の摩擦抵抗発生機構は、捩じり振動を減衰するための摩擦抵抗を発生する機構であり、出力部材と入力部材とスライダと環状弾性部材とを備えている。出力部材は環状チャンバを形成している。入力部材は環状チャンバの外周側内壁に対向する係合部を有し、出力部材に相対回転可能に配置されている。スライダは、係合部に相対回転不能にかつ半径方向内側に移動可能に係合する。環状弾性部材は、スライダに一部が固定され、外周側内壁に近接して配置されている。係合部とスライダには、係合部がスライダを円周方向に押すとスライダを半径方向内側に移動させる係合面が形成されている。
【0007】
この摩擦抵抗発生機構では、所定トルク以上の過大トルク変動が入力されると、スライダは係合部によって円周方向に押され、互いに当接する係合面により半径方向内側に移動させられる。このとき、スライダとともに環状弾性部材の一部が半径方向内側に移動させられる。環状弾性部材はたわみ変形し、その結果、環状弾性部材の他の部分が外周側内壁に対して強く押し付けられる。この結果、弾性部材と出力部材の外周側内壁との間に大きな摩擦抵抗が発生する。この結果、過大トルク変動が効果的に減衰される。この摩擦抵抗発生機構では、係合部、スライダ、リング部材等からなる簡単な構造により、過大トルク変動が入力されたときに大摩擦抵抗を発生させることができる。
【0008】
請求項2に記載の摩擦抵抗発生機構は、請求項1において、外周側内壁と環状弾性部材の間に配置され、外周側内壁及び環状弾性部材より摩擦係数が高い摩擦部材をさらに備えている。
請求項3に記載のダンパー機構では、トルクを伝達するとともに、捩じり振動を減衰するために摩擦抵抗を発生する。ダンパー機構は、出力部材と入力部材と複数のばねとスライダと環状弾性部材とを備えている。出力部材は環状チャンバを形成するとともに、チャンバ内を複数の弧状空間に分割するように配置された複数の第1係合部を有する。入力部材は、複数の第1係合部のそれぞれに対応してチャンバ内に配置された複数の第2係合部を有し、出力部材に相対回転可能である。複数のばねは、複数の弧状空間のそれぞれに配置され円周方向両端が第1係合部及び第2係合部に係合することで入力部材と出力部材との間でトルク伝達可能である。スライダは第2係合部に相対回転不能にかつ半径方向内側に移動可能に係合する。環状弾性部材はスライダに一部が固定され、環状チャンバの外周側内壁に近接して配置されている。係合部とスライダには、係合部がスライダを円周方向に押すとスライダを半径方向内側に移動させる係合面が形成されている。
【0009】
このダンパー機構では、入力部材が回転すると、複数のばねを介して出力部材にトルクが伝達される。具体的には、入力部材の第2係合部が複数のばねの端部を押し、複数のばねが出力部材の第1係合部を押す。このダンパー機構に捩じり振動が入力されると、入力部材と出力部材とが相対回転を行い、第1係合部と第2係合部との間で複数のばねが圧縮される。
【0010】
入力部材と出力部材が相対回転するときに、スライダは第2係合部によって入力部材とともに回転し、出力部材に対して相対回転する。所定トルク以上の過大トルク変動が入力されると、スライダは第2係合部によって円周方向に押され、互いに当接する係合面により半径方向内側に移動させられる。このとき、スライダとともに環状弾性部材の一部が半径方向内側に移動させられる。環状弾性部材はたわみ変形し、スライダが固定されている以外の部分が外周側内壁に対して強く押し付けられる。この結果、環状弾性部材と出力部材の外周側内壁との間に大きな摩擦抵抗が発生する。この結果、過大トルク変動が効果的に減衰される。このダンパー機構では、係合部、スライダ、リング部材等からなる簡単な構造により、過大トルク変動が入力されたときに大摩擦抵抗を発生させることができる。
【0011】
請求項4に記載のダンパー機構は、請求項3において、外周側内壁と環状弾性部材の間に配置され、外周側内壁及び環状弾性部材より摩擦係数が高い摩擦部材をさらに備えている。
請求項5に記載のダンパー機構では、請求項3又は4において、複数のばねは円周方向に弧状に延びている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に示すフライホイール組立体1は、エンジンのクランクシャフト2からトランスミッションのメインドライブシャフト3にトルクを伝達するための装置である。図1のR1 方向がエンジンの回転方向(正側)であり、反対側のR2 方向が反対側回転方向(負側)である。また、図2及び図3に示すO−Oがフライホイール組立体1の回転軸線である。図2及び図3において、下側をエンジン側とし、上側をトランスミッション側とする。
【0013】
フライホイール組立体1は、主に、第1フライホイール8と第2フライホイール9とダンパー機構10とを備えている。第1フライホイール8と第2フライホイール9は、間にダンパー機構10を介してトルク伝達可能になっている。第2フライホイール9は、クラッチ連結時にダンパー機構10の曲がり板ばね19(後述)を境とする入出力系において出力側の部材として機能する。そのため、クラッチ連結時には、入出力系において出力側の慣性モーメントが大きくなっている。その結果、エンジンからのトルクの共振点が実用回転数域より下がっている。また、クラッチ切断時には、第2フライホイール9及びダンパー機構10の第1及び第2ドリブンプレート17,18はトランスミッション側から切り離されているため、これらの部材によりトランスミッションのシンクロ負荷が大きくなることはない。
【0014】
第1フライホイール8は円板状の肉厚の部材であり、たとえば鋳鉄により形成されている。第1フライホイール8の外周部には、トランスミッション側に突出する環状のイナーシャ部8aが形成されている。また、第1フライホイール8の外周面にはリングギア11が固定されている。さらに、第1フライホイール8の内周部にはトランスミッション側に突出する環状の内周側突出部8bが形成されている。内周側突出部8bには、軸方向に貫通する複数のボルト孔8cが形成されている。ボルト孔8cは後述するクランクボルトが挿入される孔であり、ねじ孔は形成されていない。内周側突出部8bの外周側においてトランスミッション側には、他の部分により凹んだ環状の溝8dが形成されている。内周側突出部8bの内周面トランスミッション側には、軸受12が設けられている。軸受12はアウターレースが第1フライホイール8に固定され、インナーレースがメインドライブシャフト3を半径方向に回転自在に支持している。
【0015】
第2フライホイール9は円板状の肉厚の部材であり、たとえば鋳鉄から形成されている。第2フライホイール9は、第1フライホイール8のトランスミッション側に所定の隙間をあけて配置されている。第2フライホイール9は、エンジン側に環状の摩擦面9aを有している。この摩擦面9aに対して、クラッチディスク組立体5のクラッチディスク5aが接近して配置されている。クラッチディスク組立体5は、メインドライブシャフト3にトルク伝達可能に係合している。第2フライホイール9の外周部には、クラッチカバー組立体6が固定されている。クラッチカバー組立体6は、運転者の操作によりクラッチの連結及び遮断を行うための装置である。
【0016】
ダンパー機構10は、第1フライホイール8と第2フライホイール9との軸方向間に配置されている。ダンパー機構10は第1フライホイール8と第2フライホイール9との間でトルクを伝達するとともに、エンジンからトルク変動が入力されると弾性的に円周方向に捩じれさらに抵抗(ヒステリシス)を発生させて振動を減衰するための機構である。このダンパー機構10は、主に、ドライブプレート16と、第1及び第2ドリブンプレート17,18と、曲がり板ばね19とから構成されている。
【0017】
ドライブプレート16は円板状であり、環状部16aと環状部16aから半径方向に対向する2か所で半径方向外側に突出するように延びる係合部16b(第2係合部)とから構成されている。環状部16aには、複数の孔16fが形成されている。この孔16fは、円形部分と円形部分からさら半径方向外側に延びる部分とを有している。半径方向外側に延びる部分は外周側突出部8bの内周面よりさらに半径方向外側に延びている。係合部16bは、先端側(半径方向外側)が円周方向幅の広い扇形状となっている。すなわち係合部16bの円周方向両端面は半径方向内側にいくにしたがって円周方向幅が狭くなる係合面16cとなっている。係合面16cの半径方向内側部分は、先端側とは逆に半径方向内側にいくにしたがって円周方向幅が広くなる面となっている。
【0018】
スライダ22は、係合部16bに対して相対回転不能にかつ半径方向内側は移動可能となるように係合している。スライダ22は、この実施形態において、摩擦抵抗発生機構90(後述)の一部を構成するとともに、係合部16bとともに曲がり板ばね19の両端に直接係合する係合部(第2係合部)を構成している。スライダ22は、係合部16bとほぼ同じ軸方向長さを有している。スライダ22は、係合部16bの外周側に配置された円周方向に延びる本体22aと、本体22aから半径方向内側に延びる突起部22bとから主に構成されている。本体22aの外周面及び内周面は円周方向に弧状に延びている。突起部22bは、本体22aの円周方向両側から半径方向内側に延び、係合部16bに係合している。2個の突起部22bは係合面16cに円周方向から当接・係合する係合面22cを有している。さらに、突起部22bの先端は、係合部16bの形状に沿った形になっている。突起部22bの半径方向外側の面は曲がり板ばね19の形状に沿った形状になっている。
【0019】
第1ドリブンプレート17と第2ドリブンプレート18とは外周部が互いに図示しないリベットにより固定されている。また、第1及び第2ドリブンプレート17,18の外周部は、リベット40により第2フライホイール9の外周部に固定されている。第2ドリブンプレート18は、リベット40が固定された部分から僅かに内周側においてエンジン側に延びる筒状部18aを有している。第2ドリブンプレート18において筒状部18aより内周側の部分は、第1ドリブンプレート17から所定距離だけ軸方向に離れている。このようにして、第1及び第2ドリブンプレート17,18は、環状のチャンバ15を形成している。チャンバ15内には、各部材の磨耗を低減させるための潤滑流体が封入されていてもよい。このチャンバ15内にドライブプレート16が配置されている。第1及び第2ドリブンプレート17,18の内周部はドライブプレート16の環状部16aに接近または当接してチャンバ15の内周部を封鎖している。第1ドリブンプレート17の内周部にはドライブプレート16の環状部16aの外周部トランスミッション側に摺動するダストシール39が設けられている。また、環状チャンバ15の外周側すなわち筒状部18aの外周側には、第1フラホイール8のイナーシャ部8aが配置されている。
【0020】
内周側突出部8bの外周面で溝8d内には、軸受20が装着されている。軸受20は溝8dの底面に当接している。軸受20は、第1フライホイール8に対して、第2ドリブンプレート18を介して第2フライホイール9を相対回転可能に支持するための部材である。軸受20は、インナレース20aと、アウターレース20bと、両レース間に配置された複数の玉状の転動体20cとから構成されている。インナーレース20aは内周側突出部8bの外周面に圧入されている。アウターレース20bは、第2ドリブンプレート18の内周部に固定されている。具体的には、第2ドリブンプレート18の内周部においてドライブプレート16側に曲げられた部分は、環状チャンバ15の内周部を封鎖するとともに、軸受20のアウターレース20bに固定された部分になっている。
【0021】
第1フライホイール8と第2フライホイール9を互いに相対回転自在に支持する構造について詳細に説明する。第2ドリブンプレート18は第1フライホイール8の第2フライホイール9側の面に近接して配置されている。つまり、第2ドリブンプレート18は第1フライホイール8とドライブプレート16との間に配置されている。第1フライホイール8と、以上に述べた位置関係にある第2ドリブンプレート18との間に軸受20が配置されることにより、第2フライホイール9の内周部と第1フライホイール8の内周部との間に軸受を配置する必要がない。その結果、第2フライホイール9の内周部と第1フライホイール8の内周部との間に環状の隙間が確保されている。この隙間を介してダンパー機構10は内周部が外部に露出しており、外部からの空気に接するようになっている。そのため、ダンパー機構10の冷却機能が向上している。
【0022】
ドライブプレート16の孔16fにおいて円形部分からさら半径方向外側に延びる部分は、軸受20を内周側突出部8bに圧入する際に使用される。具体的には、ダンパー機構10及び第2フライホイール9を第1フライホイール8に固定する際に、軸受20はアウタレース20bがあらかじめ第2ドリブンプレート18の内周部に係合されており、孔16fの内周側突出部8bより半径方向外側の部分に器具を通して軸受20のインナレース20aを内周側突出部8bの外周面に圧入していく。
【0023】
チャンバ15内において、スライダ22及び係合部16bに対応する位置には、係合プレート27(第1係合部)が設けられている。係合プレート27は、各場所において、それぞれ第1ドリブンプレート17と第2ドリブンプレート18にリベット28により固定されている。係合プレート27は係合部16b及びスライダ22とほぼ同じ円周方向長さを有している。
【0024】
以上に示したように、環状のチャンバ15内には、2か所のスライダ22,係合部16b及び係合プレート27により2つの弧状室に分割されている。各弧状室内には、曲がり板ばね19が配置されている。曲がり板ばね19は、スライダ22と係合プレート27との間でトルク伝達可能であり、円周方向に圧縮されて捩じり振動を吸収するためのばねとして機能する。曲がり板ばね19は円周方向に弧状に長く延びる(例えば70〜180度)ロングストローク・スプリングであり、広捩じり角度・低剛性の特性を有している。曲がり板ばね19は、複数のばね要素が直列に作用するように弧状に配置されたばねである。具体的には、曲がり板ばね19は、一定の幅を有する板部材を交互に折り曲げた形状で延びるばである。曲がり板ばね19は、外周側の第1リング30と内周側の第2リング31と第1リング30と第2リング31とを連結するレバー32とから構成されている。すなわち、第1リング30、第2リング31及びレバー32からなる複数のばね要素が円周方向に直列に配置されて、広捩じり角・低剛性の特性を有している。
【0025】
第2ドリブンプレート18の筒状部18aは、チャンバ15の外周側内壁を構成している。筒状部18aの内周側には、環状のリング部材24(環状弾性部材)が配置されている。リング部材24は筒状部18aと同じ程度軸方向に延びる筒形状を有しており、半径方向に撓み可能な弾性部材である。リング部材24は、2か所にスリットが形成されており、そのスリット内にスライダ22の外周面に設けられた突起22eが挿入され固着されている。すなわち、リング部材24においてスライダ22の周辺はスライダ22とともに半径方向に移動可能となっている。なお、図4においては、スライダ22はリング部材24により最外周側に配置されており、係合部16bに対して半径方向内側に移動可能となっている。具体的には、スライダ20の本体20aと係合部16bの先端との間、及び突起部22bと環状部16aとの間にはそれぞれ隙間が確保されている。
【0026】
図4に示す係合面16c,22cの傾斜角度(係合部16bの円周方向中心を通る半径線と係合面16c,22cを延ばした直線との角度)θ1 は、たとえばエンジンのトルクの1.5倍程度のトルクがダンパー機構10に入力された際に、スライダ22がリング部材24を撓ませながら半径方向内側に移動するように設定されている。
【0027】
各曲がり板ばね19の円周方向両端の第1リング30の外周側には、スライダ22の外周部から円周方向両側に延びる押え部22dが配置されている。また、第1リング30の外周には、係合プレート27の外周部から円周方向両側に延びる押え部27aが配置されている。押え部22d,27aは圧縮時に曲がり板ばね19の円周方向両端が半径方向外方に移動するのを制限し、それにより曲がり板ばね19とリング部材24との間で摺動抵抗が生じにくくするための構造である。
【0028】
筒状部18aとリング部材24との間には、両部材より摩擦係数の高い材料からなる環状の摩擦部材25が配置されている。摩擦部材25は筒状に形成されており、半径方向幅が狭く、軸方向長さは筒状部18aとほぼ同じである。
さらに、各曲がり板ばね19の外周側には2つのニードルベアリング34が配置されている。ニードルベアリング34は、曲がり板ばね19とリング部材24との間に生じる摩擦抵抗を減らすための機構である。各ニードルベアリング34は、リテーナ41と回転移動部材42とから構成されている。リテーナ41は、曲がり板ばね19の第1リング30に固定される部材であり、回転移動部材42を支持するための部材である。リテーナ41は、円周方向に長く延びる本体41aと、本体41aから半径方向内側に延び第1リング30に係合する係止部41bと、本体41aの円周方向両端から半径方向外側に突出する規制部41cとから構成されている。本体41aの外周面は、リング部材24に沿うように円周方向に弧状に延びている。係止部41bは半径方向内側に延びる2つの突起であり、1つの第1リング30を円周方向両側から挟んでいる。本体41aは、係止部41bが係止された第1リング30の円周方向両側それぞれ3つの第1リング30の外周側まで延びている。このようにしてニードルベアリング34により多数の第1リング30の半径方向外方への移動が制限されている。回転移動部材42は、リテーナ41とリング部材24との間に配置され、両部材の間で円周方向に転がりながら移動可能に配置された部材である。回転移動部材42は、保持器43と、複数のニードルローラ44とから構成されている。保持器43は、円周方向に弧状に延びる板状の部材であり、軸方向に延びる複数のスリットが形成されている。ニードルローラ44は、フライホイール組立体1の回転軸線O−Oに平行に延びる円柱形状の部材であり、保持器43のスリット内に相対回転自在に配置されている。ニードルローラ44は、リテーナ41の外周面とリング部材24の内周面とに当接している。ニードルローラ44は、保持器43に保持された状態でリテーナ41の本体41aとリング部材24との間を転がりながら円周方向に移動可能である。図5に示す自由状態において、保持器43の円周方向両端とリテーナ41の規制部41cとの間には、それぞれθ2 が確保されている。θ2 は、ダンパー機構10の最大捩じり角度の1/4程度である。
【0029】
次に、フライホイール組立体1の動作について説明する。
クランクシャフト2が回転すると、第1フライホイール8にトルクが入力される。そのトルクはダンパー機構10を介して第2フライホイール9に伝達される。さらに、トルクはクラッチ連結状態でクラッチディスク組立体5に伝達され、最後にトランスミッションのメインドライブシャフト3に出力される。
【0030】
ダンパー機構10において、トルク伝達は以下のように行われる。ドライブプレート16が回転すると、係合部16bとともにスライダ22が曲がり板ばね19の一端を押し、曲がり板ばね19の他端がドリブンプレート17,18に固定された係合プレート27を押す。このようにして、ドライブプレート16から第1及び第2ドリブンプレート17,18にトルクが伝達される。
【0031】
ダンパー機構10に捩じり振動(トルク変動)が入力されると、ドライブプレート16と第1及び第2ドリブンプレート17,18とが相対回転を行い、曲がり板ばね19が円周方向に繰り返し圧縮される。
たとえば図1に示す自由状態でエンジンの実用回転数領域で生じる微小捩じり振動が入力されたとする。このとき、曲がり板ばね19により低い捩じり剛性が得られる。さらに、曲がり板ばね19の円周方向両端は、スライダ22及び係合プレート27の押え部22d,27aにより半径方向外方への移動が制限されている。そのため、曲がり板ばね19は半径方向外方に移動しにくく、リング部材24に当接しにくい。さらに、リング部材24は係合部16b,スライダ22と一体回転するドライブ側の部材として機能しているため、曲がり板ばね19の累積撓みが最も大きい部分では、曲がり板ばね19とリング部材24との間でほとんど相対回転がない。以上の結果、両者間での摩擦抵抗が少ない。さらに、曲がり板ばね19の円周方向中間部付近において曲がり板ばね19の外周部とリング部材24との間にはニードルベアリング34が配置されているため、曲がり板ばね19とリング部材24との間で生じる摩擦抵抗がさらに少なくなっている。ここでは、特に複数のニードルローラ44が転がりながらリテーナ41とリング部材24との間で移動するため、従来の摺動抵抗が転がり摩擦に置き換えられ、摩擦抵抗が大幅に減少している。特に、複数のニードルローラ44は保持器43により保持されているため、スムーズに転がる。また、複数のニードルローラ44が用いられることにより、大きな荷重に耐えられる。
【0032】
以上に説明したように、微小捩じり振動伝達時には大きな摩擦抵抗が発生せず、曲がり板ばね19の広い捩じり角・低剛性の特性により微小捩じり振動を効果的に吸収可能である。なお、微小捩じり振動伝達時にはトルクが小さいため、スライダ22はほとんど半径方向内側に移動しない、またはほんのわずかしか半径方向内側に移動しない。
【0033】
次に、エンジンの回転数が共振点を通過する際に生じる過大トルク変動伝達時におけるダンパー機構10の動作について説明する。係合部16bがスライダ22を円周方向に押すと、係合面16c,22cによりスライダ22に半径方向内側へ移動させる力が発生する。たとえばエンジンのトルクの1.5倍程度のトルクが入力されると、スライダ22を半径方向内側に移動させようとする力が、スライダ22に作用する遠心力及びリング部材24からの抵抗に打ち勝ち、スライダ22が半径方向内側に移動する。その結果リング部材24がたわみ変形し摩擦部材25を筒状部18aに強く圧接する。そして、リング部材24と筒状部18aとの間に大きな摩擦抵抗が発生し、過大トルク変動を抑えることができる。
【0034】
図6及び図7を用いてエンジンの回転数が共振点を通過する際に生じる過大トルク変動伝達時のダンパー機構10の動作についてさらに詳細に説明する。ここでは、ダンパー機構10の動作を、第1及び第2ドリブンプレート17,18を他の部材に固定しそれに対してドライブプレート16を捩じっていく動作として説明する。図6に示す自由状態において過大トルク変動が入力され、図7の状態に変化したとする。図7においては、ドライブプレート16が回転方向R2 側にθ3 だけ捩じれている。このとき、係合部16bの係合面16cがスライダ22の係合面22cを押すことにより、スライダ22を半径方向内側に移動させる。図7に示す状態では、スライダ22は最も半径方向内側に移動し、各部分が係合部16bに当接している。スライダ22からリング部材24には半径方向内側への力F1 が作用し、図7に示す状態において、リング部材24の2か所(スライダ22に固定された部分)が半径方向内側に移動している。そのため、リング部材24は撓み変形しており、半径方向に対向する2か所(スライダ22間の円周方向中間部分)が摩擦部材25に半径方向外側への力F2 を与えている。この結果、リング部材24と筒状部18aとの間で大きな摩擦抵抗が発生する。
【0035】
共振点通過後には、リング部材24が元の状態に復元され、スライダ22が半径方向外方に移動させられる。
以上に説明したように、筒状壁18aとドライブプレート16とスライダ22とリング部材24とにより、摩擦抵抗発生機構90が構成されている。摩擦抵抗発生機構90はこの実施形態では、傾斜した係合面を用いることで所定以上のトルクが入力された際に大きな摩擦抵抗を発生する構造を実現している。摩擦抵抗発生機構90は、主にスライダ22とリング部材24とからなる簡単な構造で実現されている。
【0036】
また、スライダ22は摩擦抵抗発生機構90の一部を構成するとともに、弾性連結部材の円周方向両端を支持するシート部材としても機能している。さらに、リング部材24は摩擦抵抗発生機構90の一部を構成するとともに、弾性連結部材の外周側を覆う部材として機能している。逆の見方をすると、円周方向に弧状に延びるロングストローク・スプリングを用いたダンパー機構において、従来より存在する部材を用いて摩擦抵抗発生機構を実現している。そのため、部品点数が増えず、構成も簡単である。
【0037】
係合部16bによって弾性連結部材の円周方向両端を直接支持させてもよい。その場合は、スライダ22は摩擦抵抗発生機構の一部としてのみ機能する。
摩擦部材25は環状の部材でなくてもよい。分割されていても、部分的に配置されていてもよい。また、摩擦部材25はリング部材24または筒状部18a のいずれかに固定されいてもよい。
【0038】
このフライホイール組立体1では、第1フライホイール8と第2フライホイール9との内周部間が開いており、すなわちダンパー機構10が外部に露出しているため、ダンパー機構10の冷却機能が向上している。このため、たとえばダンパー機構10での摩擦による熱や第2フライホイール9の摩擦面9aで発生した熱等は速やかに放出され、高温状態を避けることができる。その結果、ダンパー機構10での各部材に熱による悪影響が生じにくい。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る摩擦抵抗発生機構では、係合部、スライダ、リング部材等からなる簡単な構造により、過大トルク変動が入力されたときに大摩擦抵抗を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのフライホイール組立体の一部を取り去った状態の平面図。
【図2】フライホイール組立体の縦断面概略図。
【図3】フライホイール組立体の縦断面概略図。
【図4】ドライブプレートの係合部とスライダとの係合状態を示す部分平面図。
【図5】ニードルベアリングの構造を示す平面図。
【図6】摩擦抵抗発生機構の動作を示すための模式平面図。
【図7】摩擦抵抗発生機構の動作を示すための模式平面図。
【符号の説明】
1 フライホイール組立体
8 第1フライホイール
9 第2フライホイール
10 ダンパー機構
16 ドライブプレート
17 第1ドリブンプレート
18 第2ドリブンプレート
19 曲がり板ばね
22 スライダ
24 リング部材
25 摩擦部材
90 摩擦抵抗発生機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦抵抗発生機構、及び摩擦抵抗発生機構が用いられたダンパー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば車輌においてエンジンとトランスミッションとの間にはエンジンのトルク変動を吸収するためのダンパー機構が設けられている。ダンパー機構は、クラッチディスク組立体やフライホイール組立体に設けられている。ダンパー機構は、相対回転可能な第1回転部材及び第2回転部材と、両部材が相対回転するときにその回転を制限するように配置されたコイルスプリングと、両部材が相対回転するときに摩擦を発生するための摩擦抵抗発生機構とを含んでいる。
【0003】
こょようなダンパー機構では、エンジンの燃焼変動に起因する微小捩じり振動を吸収するために、広捩じり角・低剛性・小摩擦抵抗の特性を必要とする。そのために、円周方向に従来より長く延びたロングストローク・スプリングが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ダンパー機構においては、たとえばエンジンのクランクシャフトに固定されるフライホイール組立体に用いられるダンパー機構は、捩じり角度の大きな範囲で大摩擦抵抗を必要とする。その理由は、エンジンの低回転数領域(始動または停止時)における共振点を通過する際に、大きなトルク変動がダンパー機構に伝達されるからである。このように大捩じり振動に対して大きな抵抗を得るために、粘性流体を用いた粘性ダンパー機構が知られている。しかし、粘性ダンパー機構は、大きな抵抗を得ることはできるが、構造が複雑になり高価になる。
【0005】
本発明の目的は、ダンパー機構に用いられる摩擦抵抗発生機構において、簡単な構造で、過大トルク変動が入力されたときに大きな摩擦抵抗を発生させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の摩擦抵抗発生機構は、捩じり振動を減衰するための摩擦抵抗を発生する機構であり、出力部材と入力部材とスライダと環状弾性部材とを備えている。出力部材は環状チャンバを形成している。入力部材は環状チャンバの外周側内壁に対向する係合部を有し、出力部材に相対回転可能に配置されている。スライダは、係合部に相対回転不能にかつ半径方向内側に移動可能に係合する。環状弾性部材は、スライダに一部が固定され、外周側内壁に近接して配置されている。係合部とスライダには、係合部がスライダを円周方向に押すとスライダを半径方向内側に移動させる係合面が形成されている。
【0007】
この摩擦抵抗発生機構では、所定トルク以上の過大トルク変動が入力されると、スライダは係合部によって円周方向に押され、互いに当接する係合面により半径方向内側に移動させられる。このとき、スライダとともに環状弾性部材の一部が半径方向内側に移動させられる。環状弾性部材はたわみ変形し、その結果、環状弾性部材の他の部分が外周側内壁に対して強く押し付けられる。この結果、弾性部材と出力部材の外周側内壁との間に大きな摩擦抵抗が発生する。この結果、過大トルク変動が効果的に減衰される。この摩擦抵抗発生機構では、係合部、スライダ、リング部材等からなる簡単な構造により、過大トルク変動が入力されたときに大摩擦抵抗を発生させることができる。
【0008】
請求項2に記載の摩擦抵抗発生機構は、請求項1において、外周側内壁と環状弾性部材の間に配置され、外周側内壁及び環状弾性部材より摩擦係数が高い摩擦部材をさらに備えている。
請求項3に記載のダンパー機構では、トルクを伝達するとともに、捩じり振動を減衰するために摩擦抵抗を発生する。ダンパー機構は、出力部材と入力部材と複数のばねとスライダと環状弾性部材とを備えている。出力部材は環状チャンバを形成するとともに、チャンバ内を複数の弧状空間に分割するように配置された複数の第1係合部を有する。入力部材は、複数の第1係合部のそれぞれに対応してチャンバ内に配置された複数の第2係合部を有し、出力部材に相対回転可能である。複数のばねは、複数の弧状空間のそれぞれに配置され円周方向両端が第1係合部及び第2係合部に係合することで入力部材と出力部材との間でトルク伝達可能である。スライダは第2係合部に相対回転不能にかつ半径方向内側に移動可能に係合する。環状弾性部材はスライダに一部が固定され、環状チャンバの外周側内壁に近接して配置されている。係合部とスライダには、係合部がスライダを円周方向に押すとスライダを半径方向内側に移動させる係合面が形成されている。
【0009】
このダンパー機構では、入力部材が回転すると、複数のばねを介して出力部材にトルクが伝達される。具体的には、入力部材の第2係合部が複数のばねの端部を押し、複数のばねが出力部材の第1係合部を押す。このダンパー機構に捩じり振動が入力されると、入力部材と出力部材とが相対回転を行い、第1係合部と第2係合部との間で複数のばねが圧縮される。
【0010】
入力部材と出力部材が相対回転するときに、スライダは第2係合部によって入力部材とともに回転し、出力部材に対して相対回転する。所定トルク以上の過大トルク変動が入力されると、スライダは第2係合部によって円周方向に押され、互いに当接する係合面により半径方向内側に移動させられる。このとき、スライダとともに環状弾性部材の一部が半径方向内側に移動させられる。環状弾性部材はたわみ変形し、スライダが固定されている以外の部分が外周側内壁に対して強く押し付けられる。この結果、環状弾性部材と出力部材の外周側内壁との間に大きな摩擦抵抗が発生する。この結果、過大トルク変動が効果的に減衰される。このダンパー機構では、係合部、スライダ、リング部材等からなる簡単な構造により、過大トルク変動が入力されたときに大摩擦抵抗を発生させることができる。
【0011】
請求項4に記載のダンパー機構は、請求項3において、外周側内壁と環状弾性部材の間に配置され、外周側内壁及び環状弾性部材より摩擦係数が高い摩擦部材をさらに備えている。
請求項5に記載のダンパー機構では、請求項3又は4において、複数のばねは円周方向に弧状に延びている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に示すフライホイール組立体1は、エンジンのクランクシャフト2からトランスミッションのメインドライブシャフト3にトルクを伝達するための装置である。図1のR1 方向がエンジンの回転方向(正側)であり、反対側のR2 方向が反対側回転方向(負側)である。また、図2及び図3に示すO−Oがフライホイール組立体1の回転軸線である。図2及び図3において、下側をエンジン側とし、上側をトランスミッション側とする。
【0013】
フライホイール組立体1は、主に、第1フライホイール8と第2フライホイール9とダンパー機構10とを備えている。第1フライホイール8と第2フライホイール9は、間にダンパー機構10を介してトルク伝達可能になっている。第2フライホイール9は、クラッチ連結時にダンパー機構10の曲がり板ばね19(後述)を境とする入出力系において出力側の部材として機能する。そのため、クラッチ連結時には、入出力系において出力側の慣性モーメントが大きくなっている。その結果、エンジンからのトルクの共振点が実用回転数域より下がっている。また、クラッチ切断時には、第2フライホイール9及びダンパー機構10の第1及び第2ドリブンプレート17,18はトランスミッション側から切り離されているため、これらの部材によりトランスミッションのシンクロ負荷が大きくなることはない。
【0014】
第1フライホイール8は円板状の肉厚の部材であり、たとえば鋳鉄により形成されている。第1フライホイール8の外周部には、トランスミッション側に突出する環状のイナーシャ部8aが形成されている。また、第1フライホイール8の外周面にはリングギア11が固定されている。さらに、第1フライホイール8の内周部にはトランスミッション側に突出する環状の内周側突出部8bが形成されている。内周側突出部8bには、軸方向に貫通する複数のボルト孔8cが形成されている。ボルト孔8cは後述するクランクボルトが挿入される孔であり、ねじ孔は形成されていない。内周側突出部8bの外周側においてトランスミッション側には、他の部分により凹んだ環状の溝8dが形成されている。内周側突出部8bの内周面トランスミッション側には、軸受12が設けられている。軸受12はアウターレースが第1フライホイール8に固定され、インナーレースがメインドライブシャフト3を半径方向に回転自在に支持している。
【0015】
第2フライホイール9は円板状の肉厚の部材であり、たとえば鋳鉄から形成されている。第2フライホイール9は、第1フライホイール8のトランスミッション側に所定の隙間をあけて配置されている。第2フライホイール9は、エンジン側に環状の摩擦面9aを有している。この摩擦面9aに対して、クラッチディスク組立体5のクラッチディスク5aが接近して配置されている。クラッチディスク組立体5は、メインドライブシャフト3にトルク伝達可能に係合している。第2フライホイール9の外周部には、クラッチカバー組立体6が固定されている。クラッチカバー組立体6は、運転者の操作によりクラッチの連結及び遮断を行うための装置である。
【0016】
ダンパー機構10は、第1フライホイール8と第2フライホイール9との軸方向間に配置されている。ダンパー機構10は第1フライホイール8と第2フライホイール9との間でトルクを伝達するとともに、エンジンからトルク変動が入力されると弾性的に円周方向に捩じれさらに抵抗(ヒステリシス)を発生させて振動を減衰するための機構である。このダンパー機構10は、主に、ドライブプレート16と、第1及び第2ドリブンプレート17,18と、曲がり板ばね19とから構成されている。
【0017】
ドライブプレート16は円板状であり、環状部16aと環状部16aから半径方向に対向する2か所で半径方向外側に突出するように延びる係合部16b(第2係合部)とから構成されている。環状部16aには、複数の孔16fが形成されている。この孔16fは、円形部分と円形部分からさら半径方向外側に延びる部分とを有している。半径方向外側に延びる部分は外周側突出部8bの内周面よりさらに半径方向外側に延びている。係合部16bは、先端側(半径方向外側)が円周方向幅の広い扇形状となっている。すなわち係合部16bの円周方向両端面は半径方向内側にいくにしたがって円周方向幅が狭くなる係合面16cとなっている。係合面16cの半径方向内側部分は、先端側とは逆に半径方向内側にいくにしたがって円周方向幅が広くなる面となっている。
【0018】
スライダ22は、係合部16bに対して相対回転不能にかつ半径方向内側は移動可能となるように係合している。スライダ22は、この実施形態において、摩擦抵抗発生機構90(後述)の一部を構成するとともに、係合部16bとともに曲がり板ばね19の両端に直接係合する係合部(第2係合部)を構成している。スライダ22は、係合部16bとほぼ同じ軸方向長さを有している。スライダ22は、係合部16bの外周側に配置された円周方向に延びる本体22aと、本体22aから半径方向内側に延びる突起部22bとから主に構成されている。本体22aの外周面及び内周面は円周方向に弧状に延びている。突起部22bは、本体22aの円周方向両側から半径方向内側に延び、係合部16bに係合している。2個の突起部22bは係合面16cに円周方向から当接・係合する係合面22cを有している。さらに、突起部22bの先端は、係合部16bの形状に沿った形になっている。突起部22bの半径方向外側の面は曲がり板ばね19の形状に沿った形状になっている。
【0019】
第1ドリブンプレート17と第2ドリブンプレート18とは外周部が互いに図示しないリベットにより固定されている。また、第1及び第2ドリブンプレート17,18の外周部は、リベット40により第2フライホイール9の外周部に固定されている。第2ドリブンプレート18は、リベット40が固定された部分から僅かに内周側においてエンジン側に延びる筒状部18aを有している。第2ドリブンプレート18において筒状部18aより内周側の部分は、第1ドリブンプレート17から所定距離だけ軸方向に離れている。このようにして、第1及び第2ドリブンプレート17,18は、環状のチャンバ15を形成している。チャンバ15内には、各部材の磨耗を低減させるための潤滑流体が封入されていてもよい。このチャンバ15内にドライブプレート16が配置されている。第1及び第2ドリブンプレート17,18の内周部はドライブプレート16の環状部16aに接近または当接してチャンバ15の内周部を封鎖している。第1ドリブンプレート17の内周部にはドライブプレート16の環状部16aの外周部トランスミッション側に摺動するダストシール39が設けられている。また、環状チャンバ15の外周側すなわち筒状部18aの外周側には、第1フラホイール8のイナーシャ部8aが配置されている。
【0020】
内周側突出部8bの外周面で溝8d内には、軸受20が装着されている。軸受20は溝8dの底面に当接している。軸受20は、第1フライホイール8に対して、第2ドリブンプレート18を介して第2フライホイール9を相対回転可能に支持するための部材である。軸受20は、インナレース20aと、アウターレース20bと、両レース間に配置された複数の玉状の転動体20cとから構成されている。インナーレース20aは内周側突出部8bの外周面に圧入されている。アウターレース20bは、第2ドリブンプレート18の内周部に固定されている。具体的には、第2ドリブンプレート18の内周部においてドライブプレート16側に曲げられた部分は、環状チャンバ15の内周部を封鎖するとともに、軸受20のアウターレース20bに固定された部分になっている。
【0021】
第1フライホイール8と第2フライホイール9を互いに相対回転自在に支持する構造について詳細に説明する。第2ドリブンプレート18は第1フライホイール8の第2フライホイール9側の面に近接して配置されている。つまり、第2ドリブンプレート18は第1フライホイール8とドライブプレート16との間に配置されている。第1フライホイール8と、以上に述べた位置関係にある第2ドリブンプレート18との間に軸受20が配置されることにより、第2フライホイール9の内周部と第1フライホイール8の内周部との間に軸受を配置する必要がない。その結果、第2フライホイール9の内周部と第1フライホイール8の内周部との間に環状の隙間が確保されている。この隙間を介してダンパー機構10は内周部が外部に露出しており、外部からの空気に接するようになっている。そのため、ダンパー機構10の冷却機能が向上している。
【0022】
ドライブプレート16の孔16fにおいて円形部分からさら半径方向外側に延びる部分は、軸受20を内周側突出部8bに圧入する際に使用される。具体的には、ダンパー機構10及び第2フライホイール9を第1フライホイール8に固定する際に、軸受20はアウタレース20bがあらかじめ第2ドリブンプレート18の内周部に係合されており、孔16fの内周側突出部8bより半径方向外側の部分に器具を通して軸受20のインナレース20aを内周側突出部8bの外周面に圧入していく。
【0023】
チャンバ15内において、スライダ22及び係合部16bに対応する位置には、係合プレート27(第1係合部)が設けられている。係合プレート27は、各場所において、それぞれ第1ドリブンプレート17と第2ドリブンプレート18にリベット28により固定されている。係合プレート27は係合部16b及びスライダ22とほぼ同じ円周方向長さを有している。
【0024】
以上に示したように、環状のチャンバ15内には、2か所のスライダ22,係合部16b及び係合プレート27により2つの弧状室に分割されている。各弧状室内には、曲がり板ばね19が配置されている。曲がり板ばね19は、スライダ22と係合プレート27との間でトルク伝達可能であり、円周方向に圧縮されて捩じり振動を吸収するためのばねとして機能する。曲がり板ばね19は円周方向に弧状に長く延びる(例えば70〜180度)ロングストローク・スプリングであり、広捩じり角度・低剛性の特性を有している。曲がり板ばね19は、複数のばね要素が直列に作用するように弧状に配置されたばねである。具体的には、曲がり板ばね19は、一定の幅を有する板部材を交互に折り曲げた形状で延びるばである。曲がり板ばね19は、外周側の第1リング30と内周側の第2リング31と第1リング30と第2リング31とを連結するレバー32とから構成されている。すなわち、第1リング30、第2リング31及びレバー32からなる複数のばね要素が円周方向に直列に配置されて、広捩じり角・低剛性の特性を有している。
【0025】
第2ドリブンプレート18の筒状部18aは、チャンバ15の外周側内壁を構成している。筒状部18aの内周側には、環状のリング部材24(環状弾性部材)が配置されている。リング部材24は筒状部18aと同じ程度軸方向に延びる筒形状を有しており、半径方向に撓み可能な弾性部材である。リング部材24は、2か所にスリットが形成されており、そのスリット内にスライダ22の外周面に設けられた突起22eが挿入され固着されている。すなわち、リング部材24においてスライダ22の周辺はスライダ22とともに半径方向に移動可能となっている。なお、図4においては、スライダ22はリング部材24により最外周側に配置されており、係合部16bに対して半径方向内側に移動可能となっている。具体的には、スライダ20の本体20aと係合部16bの先端との間、及び突起部22bと環状部16aとの間にはそれぞれ隙間が確保されている。
【0026】
図4に示す係合面16c,22cの傾斜角度(係合部16bの円周方向中心を通る半径線と係合面16c,22cを延ばした直線との角度)θ1 は、たとえばエンジンのトルクの1.5倍程度のトルクがダンパー機構10に入力された際に、スライダ22がリング部材24を撓ませながら半径方向内側に移動するように設定されている。
【0027】
各曲がり板ばね19の円周方向両端の第1リング30の外周側には、スライダ22の外周部から円周方向両側に延びる押え部22dが配置されている。また、第1リング30の外周には、係合プレート27の外周部から円周方向両側に延びる押え部27aが配置されている。押え部22d,27aは圧縮時に曲がり板ばね19の円周方向両端が半径方向外方に移動するのを制限し、それにより曲がり板ばね19とリング部材24との間で摺動抵抗が生じにくくするための構造である。
【0028】
筒状部18aとリング部材24との間には、両部材より摩擦係数の高い材料からなる環状の摩擦部材25が配置されている。摩擦部材25は筒状に形成されており、半径方向幅が狭く、軸方向長さは筒状部18aとほぼ同じである。
さらに、各曲がり板ばね19の外周側には2つのニードルベアリング34が配置されている。ニードルベアリング34は、曲がり板ばね19とリング部材24との間に生じる摩擦抵抗を減らすための機構である。各ニードルベアリング34は、リテーナ41と回転移動部材42とから構成されている。リテーナ41は、曲がり板ばね19の第1リング30に固定される部材であり、回転移動部材42を支持するための部材である。リテーナ41は、円周方向に長く延びる本体41aと、本体41aから半径方向内側に延び第1リング30に係合する係止部41bと、本体41aの円周方向両端から半径方向外側に突出する規制部41cとから構成されている。本体41aの外周面は、リング部材24に沿うように円周方向に弧状に延びている。係止部41bは半径方向内側に延びる2つの突起であり、1つの第1リング30を円周方向両側から挟んでいる。本体41aは、係止部41bが係止された第1リング30の円周方向両側それぞれ3つの第1リング30の外周側まで延びている。このようにしてニードルベアリング34により多数の第1リング30の半径方向外方への移動が制限されている。回転移動部材42は、リテーナ41とリング部材24との間に配置され、両部材の間で円周方向に転がりながら移動可能に配置された部材である。回転移動部材42は、保持器43と、複数のニードルローラ44とから構成されている。保持器43は、円周方向に弧状に延びる板状の部材であり、軸方向に延びる複数のスリットが形成されている。ニードルローラ44は、フライホイール組立体1の回転軸線O−Oに平行に延びる円柱形状の部材であり、保持器43のスリット内に相対回転自在に配置されている。ニードルローラ44は、リテーナ41の外周面とリング部材24の内周面とに当接している。ニードルローラ44は、保持器43に保持された状態でリテーナ41の本体41aとリング部材24との間を転がりながら円周方向に移動可能である。図5に示す自由状態において、保持器43の円周方向両端とリテーナ41の規制部41cとの間には、それぞれθ2 が確保されている。θ2 は、ダンパー機構10の最大捩じり角度の1/4程度である。
【0029】
次に、フライホイール組立体1の動作について説明する。
クランクシャフト2が回転すると、第1フライホイール8にトルクが入力される。そのトルクはダンパー機構10を介して第2フライホイール9に伝達される。さらに、トルクはクラッチ連結状態でクラッチディスク組立体5に伝達され、最後にトランスミッションのメインドライブシャフト3に出力される。
【0030】
ダンパー機構10において、トルク伝達は以下のように行われる。ドライブプレート16が回転すると、係合部16bとともにスライダ22が曲がり板ばね19の一端を押し、曲がり板ばね19の他端がドリブンプレート17,18に固定された係合プレート27を押す。このようにして、ドライブプレート16から第1及び第2ドリブンプレート17,18にトルクが伝達される。
【0031】
ダンパー機構10に捩じり振動(トルク変動)が入力されると、ドライブプレート16と第1及び第2ドリブンプレート17,18とが相対回転を行い、曲がり板ばね19が円周方向に繰り返し圧縮される。
たとえば図1に示す自由状態でエンジンの実用回転数領域で生じる微小捩じり振動が入力されたとする。このとき、曲がり板ばね19により低い捩じり剛性が得られる。さらに、曲がり板ばね19の円周方向両端は、スライダ22及び係合プレート27の押え部22d,27aにより半径方向外方への移動が制限されている。そのため、曲がり板ばね19は半径方向外方に移動しにくく、リング部材24に当接しにくい。さらに、リング部材24は係合部16b,スライダ22と一体回転するドライブ側の部材として機能しているため、曲がり板ばね19の累積撓みが最も大きい部分では、曲がり板ばね19とリング部材24との間でほとんど相対回転がない。以上の結果、両者間での摩擦抵抗が少ない。さらに、曲がり板ばね19の円周方向中間部付近において曲がり板ばね19の外周部とリング部材24との間にはニードルベアリング34が配置されているため、曲がり板ばね19とリング部材24との間で生じる摩擦抵抗がさらに少なくなっている。ここでは、特に複数のニードルローラ44が転がりながらリテーナ41とリング部材24との間で移動するため、従来の摺動抵抗が転がり摩擦に置き換えられ、摩擦抵抗が大幅に減少している。特に、複数のニードルローラ44は保持器43により保持されているため、スムーズに転がる。また、複数のニードルローラ44が用いられることにより、大きな荷重に耐えられる。
【0032】
以上に説明したように、微小捩じり振動伝達時には大きな摩擦抵抗が発生せず、曲がり板ばね19の広い捩じり角・低剛性の特性により微小捩じり振動を効果的に吸収可能である。なお、微小捩じり振動伝達時にはトルクが小さいため、スライダ22はほとんど半径方向内側に移動しない、またはほんのわずかしか半径方向内側に移動しない。
【0033】
次に、エンジンの回転数が共振点を通過する際に生じる過大トルク変動伝達時におけるダンパー機構10の動作について説明する。係合部16bがスライダ22を円周方向に押すと、係合面16c,22cによりスライダ22に半径方向内側へ移動させる力が発生する。たとえばエンジンのトルクの1.5倍程度のトルクが入力されると、スライダ22を半径方向内側に移動させようとする力が、スライダ22に作用する遠心力及びリング部材24からの抵抗に打ち勝ち、スライダ22が半径方向内側に移動する。その結果リング部材24がたわみ変形し摩擦部材25を筒状部18aに強く圧接する。そして、リング部材24と筒状部18aとの間に大きな摩擦抵抗が発生し、過大トルク変動を抑えることができる。
【0034】
図6及び図7を用いてエンジンの回転数が共振点を通過する際に生じる過大トルク変動伝達時のダンパー機構10の動作についてさらに詳細に説明する。ここでは、ダンパー機構10の動作を、第1及び第2ドリブンプレート17,18を他の部材に固定しそれに対してドライブプレート16を捩じっていく動作として説明する。図6に示す自由状態において過大トルク変動が入力され、図7の状態に変化したとする。図7においては、ドライブプレート16が回転方向R2 側にθ3 だけ捩じれている。このとき、係合部16bの係合面16cがスライダ22の係合面22cを押すことにより、スライダ22を半径方向内側に移動させる。図7に示す状態では、スライダ22は最も半径方向内側に移動し、各部分が係合部16bに当接している。スライダ22からリング部材24には半径方向内側への力F1 が作用し、図7に示す状態において、リング部材24の2か所(スライダ22に固定された部分)が半径方向内側に移動している。そのため、リング部材24は撓み変形しており、半径方向に対向する2か所(スライダ22間の円周方向中間部分)が摩擦部材25に半径方向外側への力F2 を与えている。この結果、リング部材24と筒状部18aとの間で大きな摩擦抵抗が発生する。
【0035】
共振点通過後には、リング部材24が元の状態に復元され、スライダ22が半径方向外方に移動させられる。
以上に説明したように、筒状壁18aとドライブプレート16とスライダ22とリング部材24とにより、摩擦抵抗発生機構90が構成されている。摩擦抵抗発生機構90はこの実施形態では、傾斜した係合面を用いることで所定以上のトルクが入力された際に大きな摩擦抵抗を発生する構造を実現している。摩擦抵抗発生機構90は、主にスライダ22とリング部材24とからなる簡単な構造で実現されている。
【0036】
また、スライダ22は摩擦抵抗発生機構90の一部を構成するとともに、弾性連結部材の円周方向両端を支持するシート部材としても機能している。さらに、リング部材24は摩擦抵抗発生機構90の一部を構成するとともに、弾性連結部材の外周側を覆う部材として機能している。逆の見方をすると、円周方向に弧状に延びるロングストローク・スプリングを用いたダンパー機構において、従来より存在する部材を用いて摩擦抵抗発生機構を実現している。そのため、部品点数が増えず、構成も簡単である。
【0037】
係合部16bによって弾性連結部材の円周方向両端を直接支持させてもよい。その場合は、スライダ22は摩擦抵抗発生機構の一部としてのみ機能する。
摩擦部材25は環状の部材でなくてもよい。分割されていても、部分的に配置されていてもよい。また、摩擦部材25はリング部材24または筒状部18a のいずれかに固定されいてもよい。
【0038】
このフライホイール組立体1では、第1フライホイール8と第2フライホイール9との内周部間が開いており、すなわちダンパー機構10が外部に露出しているため、ダンパー機構10の冷却機能が向上している。このため、たとえばダンパー機構10での摩擦による熱や第2フライホイール9の摩擦面9aで発生した熱等は速やかに放出され、高温状態を避けることができる。その結果、ダンパー機構10での各部材に熱による悪影響が生じにくい。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る摩擦抵抗発生機構では、係合部、スライダ、リング部材等からなる簡単な構造により、過大トルク変動が入力されたときに大摩擦抵抗を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのフライホイール組立体の一部を取り去った状態の平面図。
【図2】フライホイール組立体の縦断面概略図。
【図3】フライホイール組立体の縦断面概略図。
【図4】ドライブプレートの係合部とスライダとの係合状態を示す部分平面図。
【図5】ニードルベアリングの構造を示す平面図。
【図6】摩擦抵抗発生機構の動作を示すための模式平面図。
【図7】摩擦抵抗発生機構の動作を示すための模式平面図。
【符号の説明】
1 フライホイール組立体
8 第1フライホイール
9 第2フライホイール
10 ダンパー機構
16 ドライブプレート
17 第1ドリブンプレート
18 第2ドリブンプレート
19 曲がり板ばね
22 スライダ
24 リング部材
25 摩擦部材
90 摩擦抵抗発生機構
Claims (5)
- 捩じり振動を減衰するために摩擦抵抗を発生する摩擦抵抗発生機構であって、
環状チャンバを形成する出力部材と、
前記環状チャンバの外周側内壁に対向する係合部を有し、前記出力部材に相対回転可能に配置された入力部材と、
前記係合部に相対回転不能にかつ半径方向内側に移動可能に係合するスライダと、
前記スライダに一部が固定され、前記外周側内壁に近接して配置された環状弾性部材とを備え、
前記係合部と前記スライダには、前記係合部が前記スライダを円周方向に押すと前記スライダを半径方向内側に移動させる係合面が形成されている、
摩擦抵抗発生機構。 - 前記外周側内壁と前記環状弾性部材の間に配置され、前記外周側内壁及び前記環状弾性部材より摩擦係数が高い摩擦部材をさらに備えている、請求項1に記載の摩擦抵抗発生機構。
- トルクを伝達するとともに、捩じり振動を減衰するために摩擦抵抗を発生するダンパー機構であって、
環状チャンバを形成するとともに、前記チャンバ内を複数の弧状空間に分割するように配置された複数の第1係合部を有する出力部材と、
前記複数の第1係合部のそれぞれに対応して前記チャンバ内に配置された複数の第2係合部を有する、前記出力部材に相対回転可能な入力部材と、
前記複数の弧状空間のそれぞれに配置され円周方向両端が前記第1係合部及び前記第2係合部に係合することで前記入力部材と前記出力部材との間でトルク伝達可能な複数のばねと、
前記第2係合部に相対回転不能にかつ半径方向に移動可能に係合するスライダと、
前記スライダに一部が固定され、前記複数のばねの外周側において前記チャンバの外周側内壁に近接して配置された環状弾性部材とを備え、
前記係合部と前記スライダには、前記係合部が前記スライダを円周方向に押すと前記スライダを半径方向内側に移動させる係合面が形成されている、
ダンパー機構。 - 前記外周側内壁と前記環状弾性部材の間に配置され、前記外周側内壁及び前記環状弾性部材より摩擦係数が高い摩擦部材をさらに備えている、請求項3に記載のダンパー機構。
- 前記複数のばねは円周方向に弧状に延びている、請求項3又は4に記載のダンパー機構。
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- 1997-03-28 JP JP07792197A patent/JP3565397B2/ja not_active Expired - Fee Related
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