JP3564496B2 - 樹脂成形のシミュレーション方法 - Google Patents
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
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- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
- Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、樹脂成形中の樹脂の一部に往復運動を加えた場合の流動状況をシミュレーションする樹脂成形のシミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂材料の射出成形、押出し成形等の樹脂成形は、一般に、樹脂を成形機により金型内に流入させて成形している。樹脂成形の金型の設計や温度・加圧力等の成形条件については、以前は経験的に、あるいは試行錯誤に決定されていたが、近年、コンピュータによるシミュレーションが行われるようになってきた。
【0003】
このシミュレーションは、成形品本体の部分、および本体に樹脂を供給するための通路であるチャンネル、さらに金型に樹脂を導入するためのノズルの部分について行われる。シミュレーションは、これらの各部分における樹脂の流動状況を、位置と時間を変数とする偏微分方程式で表現し、それを解くことにより達成される。コンピュータで偏微分方程式を解く際は、対象についてメッシュ分割を行い、差分方程式として繰返し演算を行う。
【0004】
例えば、「成形加工」(第8巻10号p.675−681,p.682−687)には、市販の射出成形CAE解析プログラムに、さらに樹脂の結晶化挙動を表すプログラムを作成して組込むことにより、射出成形過程における結晶化シミュレーションを行っている。
【0005】
この技術では、溶融樹脂の注入開始からジャストパック(充填完了)までの充填解析プログラム、および保圧(樹脂に圧力をかけて凝固させる工程)から型開きまでの保圧冷却解析プログラムを用いて、樹脂の結晶化挙動、およびそれに基づく樹脂の材料物性の変化を考慮した樹脂成形を、シミュレーションしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような樹脂成形においては、材料が金型内に十分に充填されずにボイドが発生したり、冷却中の収縮によるヒケ等の欠陥が問題となる。そこで、これらの欠陥を防止するため、種々の技術が提案されている。その中で、充填後の樹脂を金型内で流動させて、ボイドの発生を防止する方法が開発されている。
【0007】
例えば、特開平6−155535号公報、特開平6−270218号公報、特開平7−256714号公報には、熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に射出注入して充填後、その樹脂を流動(往復流動)あるいは振動させて冷却する成形方法が提案されている。この技術では、ノズルと金型の間にピストン機構を設け、樹脂の加圧と往復運動により、樹脂を振動(往復流動)させている。
【0008】
その他、特開平3−274127号公報、特開平6−31778号公報、特開平9−1611号公報、特開平10−138292号公報には、樹脂に剪断力を加えることにより、成形品の寸法精度、外観の向上等を図る技術が提案されている。これらの技術も、やはりノズルと金型の間にピストン機構を設けており、基本的には、前述の樹脂を振動(往復流動)させる成形技術と同じ技術と言える。
【0009】
しかし、従来は、このような樹脂を振動させる成形技術に対して、シミュレーション技術が知られていなかった。例えば、前述のシミュレーション技術の論文でも、それぞれの「計算方法と条件」の節で、解析条件を「樹脂の流入速度(充填速度)が一定」としていることが分る。
【0010】
樹脂を振動させる場合は、ノズルと金型の間にピストン機構を設けているため、ピストンの面と接触する樹脂が、往復運動することになる。この例では、樹脂とピストンの境界面が、メッシュ間で移動することになり、従来のシミュレーション技術では、対処することが困難であった。
【0011】
この発明は、以上のような従来技術の問題点を解決し、樹脂の往復運動あるいは加圧減圧の繰返し等、樹脂を振動させながら流動させる成形方法におけるシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は次の発明により解決される。その発明は、樹脂成形中の樹脂の一部に対して、往復運動又は加圧と減圧の繰返しの操作を施した場合の流動状況をシミュレーションする際、所定の断面における樹脂の流量に、加えた往復運動に対応して振動する値を与えて、その値を境界値として流動状況を演算することにより、樹脂の流動状況のシミュレーションを行うことを特徴とする樹脂成形のシミュレーション方法である。
【0013】
この発明は、樹脂成形装置の中の成形中の樹脂について、仮想的な境界面を設定して、その境界面に境界値を与えて、境界条件に対する解を求めることにより、樹脂の流動状況をシミュレーションする。このように、ピストン等の運動そのものを扱う代りに、仮想的な境界面をシミュレーション用の境界面として設定しているので、流動状況を表す式(偏微分方程式)は、固定した位置に関する境界値問題の式となる。その結果、市販の射出成形CAE解析プログラム等で、容易に流動状況をシミュレーションすることができる。
【0014】
この境界面としては、樹脂の一部に往復運動、加圧と減圧の繰返しを施す機構(ピストン等)による樹脂の流量の変化が、実験等により予め得られている断面を用いる。このようにして、加えた往復運動に対応して振動する値を、所定の境界面に与える。この境界面の位置としては、ピストン等からある程度離れた位置で、ピストンによる樹脂の流動状況の乱れが無視できる位置に設定することが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明の実施に当たっては、まず、所定の断面、即ち仮想的な境界面を設定する。図1は、金型に樹脂を射出するためのスクリューを、2台有する射出成形機の内部を示す断面図である。ここでは2台のスクリュー1、1が、それぞれ金型3に樹脂を射出する。金型3への樹脂の充填が完了すると、2台のスクリュー1、1は、交互に樹脂を送り出して、金型3の内部に充填された樹脂を往復させて振動流動させる。
【0016】
この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、スクリュー1のバレル2とノズル8、スクリュー1の先端から離れた位置にとる。シミュレーションの対象とする領域は、この境界面a−bから金型の内部にかけての領域である。図では、境界面a−bから右側の部分であり、上のバレル2の境界面から金型の内部を通り、下のバレル2の境界面に至る領域となる。
【0017】
図2は、1台のスクリューと金型の間に、ピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。ここでは、2台のピストン4、4が、金型3の内部に充填された樹脂を往復させて振動流動させる。この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、ピストン4の先端から離れた位置にとる。シミュレーションの対象とする領域は、図1と同様、この境界面a−bから金型の内部にかけての領域である。
【0018】
図3は、金型自体にピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。ここでは、ピストン4が、金型3の内部に充填された樹脂を往復させて振動流動させる。この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、ピストン4の先端から離れた位置、およびc−dで示すように、スクリュー1の先端から離れた位置にとる。シミュレーションの対象とする領域は、この境界面a−bから金型の内部を通り、境界面c−dに至る領域となる。
【0019】
図4は、押出成形機の内部を示す断面図である。この金型3は、開いた金型(ダイ)であり、金型に供給された樹脂は、開放された端部から外部に押出される。ここでは、金型自体にピストン機構が設けられ、2台のピストン4、4が、樹脂を往復させて振動流動させる。
【0020】
この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、ピストン4の先端から離れた位置、金型の出口、およびノズル8の付近にとる。シミュレーションの対象とする領域は、この2つの境界面a−b、金型の出口、および境界面で囲まれた領域となる。
【0021】
境界条件としては、2つの境界面a−bでは、交互または同時に振動する流量を与える。これに対して、境界面e−fでは、押出速度に対応する流量を与える。金型出口の流量については、境界面a−bおよびe−fの流量に依存するので、流量値は指定する必要がない。なお、いずれの場合(図1〜4)も、境界面における流量の振動変化の振幅や周期は、成形機あるいは金型のスクリューやピストンの往復運動の大きさ(樹脂流動量)に合せて決定すればよい。また、振動変化の形は、正弦波、矩形波、鋸歯状波等、目的に応じて種々用いることができる。
【0022】
【実施例】
この発明の方法で、押出成形でパイプ形状の成形品を製造する場合のシミュレーションを行った。押出成形機は、図4に示すように、ピストン機構を備えている物を想定し、流量を振動させた場合と、一定流量の場合について比較を行った。境界面a−bの位置の流量を、振幅15cm3/sec、周期0.5secで振動させた場合(発明例)と、一定流量10cm3/secの条件で、それぞれシミュレーションを行った。
【0023】
図5は、この3次元流動シミュレーション結果に基づき算出された、金型の途中の断面c−dにおける圧力分布(パイプ形状の円周方向)を示す図である。一定流量の場合は、圧力分布は当然ながら平坦となる。これに対して、流量を振動させた場合は、円周方向で圧力が変化しており、図では0度(加圧側のピストンの位置に対応で最大値を示し、反対側(同減圧側に対応)で最低値となっている。なお、圧力の値は最低値を1.0として規格化してある。
【0024】
また、シミュレーション結果より、押出成形においては、ピストンの位置より下流側でも、樹脂が振動しながら流動し、円周方向にも流動が生じている様子が認められた。これらの流動状況は、実際の成形について報告されている挙動と同様の傾向を示している。図5に見られた円周方向の圧力分布は、この円周方向の流動が生じてることを反映している。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、成形中の樹脂について、仮想的な境界面を設定し、境界値を与えて解を求めるので、固定した位置に関する境界値問題の式を解くことになる。従って、樹脂の往復運動あるいは加圧減圧の繰返し等、樹脂を振動させながら流動させる成形方法におけるシミュレーションを、通常の射出成形CAE解析プログラム等で、容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリューを2台有する射出成形機の内部を示す断面図である。
【図2】ピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。
【図3】金型自体にピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。
【図4】押出成形機の内部を示す断面図である。
【図5】本発明のシミュレーションにより得られた、金型の途中の断面(図4のc−d)における圧力分布を示す図である。
【符号の説明】
1 スクリュー
2 バレル
3 金型3
4 ピストン
8 ノズル
【発明の属する技術分野】
この発明は、樹脂成形中の樹脂の一部に往復運動を加えた場合の流動状況をシミュレーションする樹脂成形のシミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂材料の射出成形、押出し成形等の樹脂成形は、一般に、樹脂を成形機により金型内に流入させて成形している。樹脂成形の金型の設計や温度・加圧力等の成形条件については、以前は経験的に、あるいは試行錯誤に決定されていたが、近年、コンピュータによるシミュレーションが行われるようになってきた。
【0003】
このシミュレーションは、成形品本体の部分、および本体に樹脂を供給するための通路であるチャンネル、さらに金型に樹脂を導入するためのノズルの部分について行われる。シミュレーションは、これらの各部分における樹脂の流動状況を、位置と時間を変数とする偏微分方程式で表現し、それを解くことにより達成される。コンピュータで偏微分方程式を解く際は、対象についてメッシュ分割を行い、差分方程式として繰返し演算を行う。
【0004】
例えば、「成形加工」(第8巻10号p.675−681,p.682−687)には、市販の射出成形CAE解析プログラムに、さらに樹脂の結晶化挙動を表すプログラムを作成して組込むことにより、射出成形過程における結晶化シミュレーションを行っている。
【0005】
この技術では、溶融樹脂の注入開始からジャストパック(充填完了)までの充填解析プログラム、および保圧(樹脂に圧力をかけて凝固させる工程)から型開きまでの保圧冷却解析プログラムを用いて、樹脂の結晶化挙動、およびそれに基づく樹脂の材料物性の変化を考慮した樹脂成形を、シミュレーションしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような樹脂成形においては、材料が金型内に十分に充填されずにボイドが発生したり、冷却中の収縮によるヒケ等の欠陥が問題となる。そこで、これらの欠陥を防止するため、種々の技術が提案されている。その中で、充填後の樹脂を金型内で流動させて、ボイドの発生を防止する方法が開発されている。
【0007】
例えば、特開平6−155535号公報、特開平6−270218号公報、特開平7−256714号公報には、熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に射出注入して充填後、その樹脂を流動(往復流動)あるいは振動させて冷却する成形方法が提案されている。この技術では、ノズルと金型の間にピストン機構を設け、樹脂の加圧と往復運動により、樹脂を振動(往復流動)させている。
【0008】
その他、特開平3−274127号公報、特開平6−31778号公報、特開平9−1611号公報、特開平10−138292号公報には、樹脂に剪断力を加えることにより、成形品の寸法精度、外観の向上等を図る技術が提案されている。これらの技術も、やはりノズルと金型の間にピストン機構を設けており、基本的には、前述の樹脂を振動(往復流動)させる成形技術と同じ技術と言える。
【0009】
しかし、従来は、このような樹脂を振動させる成形技術に対して、シミュレーション技術が知られていなかった。例えば、前述のシミュレーション技術の論文でも、それぞれの「計算方法と条件」の節で、解析条件を「樹脂の流入速度(充填速度)が一定」としていることが分る。
【0010】
樹脂を振動させる場合は、ノズルと金型の間にピストン機構を設けているため、ピストンの面と接触する樹脂が、往復運動することになる。この例では、樹脂とピストンの境界面が、メッシュ間で移動することになり、従来のシミュレーション技術では、対処することが困難であった。
【0011】
この発明は、以上のような従来技術の問題点を解決し、樹脂の往復運動あるいは加圧減圧の繰返し等、樹脂を振動させながら流動させる成形方法におけるシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は次の発明により解決される。その発明は、樹脂成形中の樹脂の一部に対して、往復運動又は加圧と減圧の繰返しの操作を施した場合の流動状況をシミュレーションする際、所定の断面における樹脂の流量に、加えた往復運動に対応して振動する値を与えて、その値を境界値として流動状況を演算することにより、樹脂の流動状況のシミュレーションを行うことを特徴とする樹脂成形のシミュレーション方法である。
【0013】
この発明は、樹脂成形装置の中の成形中の樹脂について、仮想的な境界面を設定して、その境界面に境界値を与えて、境界条件に対する解を求めることにより、樹脂の流動状況をシミュレーションする。このように、ピストン等の運動そのものを扱う代りに、仮想的な境界面をシミュレーション用の境界面として設定しているので、流動状況を表す式(偏微分方程式)は、固定した位置に関する境界値問題の式となる。その結果、市販の射出成形CAE解析プログラム等で、容易に流動状況をシミュレーションすることができる。
【0014】
この境界面としては、樹脂の一部に往復運動、加圧と減圧の繰返しを施す機構(ピストン等)による樹脂の流量の変化が、実験等により予め得られている断面を用いる。このようにして、加えた往復運動に対応して振動する値を、所定の境界面に与える。この境界面の位置としては、ピストン等からある程度離れた位置で、ピストンによる樹脂の流動状況の乱れが無視できる位置に設定することが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明の実施に当たっては、まず、所定の断面、即ち仮想的な境界面を設定する。図1は、金型に樹脂を射出するためのスクリューを、2台有する射出成形機の内部を示す断面図である。ここでは2台のスクリュー1、1が、それぞれ金型3に樹脂を射出する。金型3への樹脂の充填が完了すると、2台のスクリュー1、1は、交互に樹脂を送り出して、金型3の内部に充填された樹脂を往復させて振動流動させる。
【0016】
この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、スクリュー1のバレル2とノズル8、スクリュー1の先端から離れた位置にとる。シミュレーションの対象とする領域は、この境界面a−bから金型の内部にかけての領域である。図では、境界面a−bから右側の部分であり、上のバレル2の境界面から金型の内部を通り、下のバレル2の境界面に至る領域となる。
【0017】
図2は、1台のスクリューと金型の間に、ピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。ここでは、2台のピストン4、4が、金型3の内部に充填された樹脂を往復させて振動流動させる。この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、ピストン4の先端から離れた位置にとる。シミュレーションの対象とする領域は、図1と同様、この境界面a−bから金型の内部にかけての領域である。
【0018】
図3は、金型自体にピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。ここでは、ピストン4が、金型3の内部に充填された樹脂を往復させて振動流動させる。この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、ピストン4の先端から離れた位置、およびc−dで示すように、スクリュー1の先端から離れた位置にとる。シミュレーションの対象とする領域は、この境界面a−bから金型の内部を通り、境界面c−dに至る領域となる。
【0019】
図4は、押出成形機の内部を示す断面図である。この金型3は、開いた金型(ダイ)であり、金型に供給された樹脂は、開放された端部から外部に押出される。ここでは、金型自体にピストン機構が設けられ、2台のピストン4、4が、樹脂を往復させて振動流動させる。
【0020】
この場合、シミュレーション用の境界面は、図中、a−bで示すように、ピストン4の先端から離れた位置、金型の出口、およびノズル8の付近にとる。シミュレーションの対象とする領域は、この2つの境界面a−b、金型の出口、および境界面で囲まれた領域となる。
【0021】
境界条件としては、2つの境界面a−bでは、交互または同時に振動する流量を与える。これに対して、境界面e−fでは、押出速度に対応する流量を与える。金型出口の流量については、境界面a−bおよびe−fの流量に依存するので、流量値は指定する必要がない。なお、いずれの場合(図1〜4)も、境界面における流量の振動変化の振幅や周期は、成形機あるいは金型のスクリューやピストンの往復運動の大きさ(樹脂流動量)に合せて決定すればよい。また、振動変化の形は、正弦波、矩形波、鋸歯状波等、目的に応じて種々用いることができる。
【0022】
【実施例】
この発明の方法で、押出成形でパイプ形状の成形品を製造する場合のシミュレーションを行った。押出成形機は、図4に示すように、ピストン機構を備えている物を想定し、流量を振動させた場合と、一定流量の場合について比較を行った。境界面a−bの位置の流量を、振幅15cm3/sec、周期0.5secで振動させた場合(発明例)と、一定流量10cm3/secの条件で、それぞれシミュレーションを行った。
【0023】
図5は、この3次元流動シミュレーション結果に基づき算出された、金型の途中の断面c−dにおける圧力分布(パイプ形状の円周方向)を示す図である。一定流量の場合は、圧力分布は当然ながら平坦となる。これに対して、流量を振動させた場合は、円周方向で圧力が変化しており、図では0度(加圧側のピストンの位置に対応で最大値を示し、反対側(同減圧側に対応)で最低値となっている。なお、圧力の値は最低値を1.0として規格化してある。
【0024】
また、シミュレーション結果より、押出成形においては、ピストンの位置より下流側でも、樹脂が振動しながら流動し、円周方向にも流動が生じている様子が認められた。これらの流動状況は、実際の成形について報告されている挙動と同様の傾向を示している。図5に見られた円周方向の圧力分布は、この円周方向の流動が生じてることを反映している。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、成形中の樹脂について、仮想的な境界面を設定し、境界値を与えて解を求めるので、固定した位置に関する境界値問題の式を解くことになる。従って、樹脂の往復運動あるいは加圧減圧の繰返し等、樹脂を振動させながら流動させる成形方法におけるシミュレーションを、通常の射出成形CAE解析プログラム等で、容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリューを2台有する射出成形機の内部を示す断面図である。
【図2】ピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。
【図3】金型自体にピストン機構を設けた射出成形機の内部を示す断面図である。
【図4】押出成形機の内部を示す断面図である。
【図5】本発明のシミュレーションにより得られた、金型の途中の断面(図4のc−d)における圧力分布を示す図である。
【符号の説明】
1 スクリュー
2 バレル
3 金型3
4 ピストン
8 ノズル
Claims (1)
- 樹脂成形中の樹脂の一部に対して、往復運動又は加圧と減圧の繰返しの操作を施した場合の流動状況をシミュレーションする際、所定の断面における樹脂の流量に、加えた往復運動に対応して振動する値を与えて、その値を境界値として流動状況を演算することにより、樹脂の流動状況のシミュレーションを行うことを特徴とする樹脂成形のシミュレーション方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12359099A JP3564496B2 (ja) | 1999-04-30 | 1999-04-30 | 樹脂成形のシミュレーション方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP12359099A JP3564496B2 (ja) | 1999-04-30 | 1999-04-30 | 樹脂成形のシミュレーション方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000313039A JP2000313039A (ja) | 2000-11-14 |
JP3564496B2 true JP3564496B2 (ja) | 2004-09-08 |
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ID=14864376
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JP12359099A Expired - Fee Related JP3564496B2 (ja) | 1999-04-30 | 1999-04-30 | 樹脂成形のシミュレーション方法 |
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JP (1) | JP3564496B2 (ja) |
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KR100932848B1 (ko) * | 2006-02-13 | 2009-12-21 | 주식회사 엘지화학 | 전단유동 발생부를 갖는 사출금형장치 |
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1999
- 1999-04-30 JP JP12359099A patent/JP3564496B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2000313039A (ja) | 2000-11-14 |
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Legal Events
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A977 | Report on retrieval |
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