JP3564306B2 - サブバンド符号化・復号化方法及び装置 - Google Patents
サブバンド符号化・復号化方法及び装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタル信号の圧縮に用いられるサブバンド符号化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシステムとしては、その代表例としてMPEG1オーデイオ等が知られている。以下、図8及び図9を参照して、従来のサブバンド符号化システムの一例であるMPEG1オーディオレイヤ1符号化システムについて説明する。図8は従来のサブバンド符号化システムの一例であるMPEG1オーディオレイヤ符号化システムの符号化装置の構成を示すブロック図、図9は従来のサブバンド符号化システムの一例であるMPEG1オーディオレイヤ符号化システムの復号化装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
図8において、A01は帯域分割手段、A02は時間−周波数変換手段、A03は周波数解析手段、A04は符号化手段である。
また、図9において、A05はフレーム解析手段、A06は復号化手段、A07は帯域合成手段である。
【0004】
次に、図8及び図9を参照して、従来のサブバンド符号化システムの一例であるMPEG1オーディオレイヤ符号化システムの符号化装置の動作を説明する。まず、図8に示す符号化装置の動作を説明する。帯域分割手段A01は符号化装置に入力されたサンプリング周波数fsのデジタルの符号化入力信号S01を、符号化入力信号S01のナイキスト周波数fs/2を全帯域としてn個の帯域に分割し、n帯域分割信号S02を出力する。ここで、nは任意の整数とし、MPEG1オーディオではn=32の帯域幅均等分割とするが、n個の各分割帯域幅はフィルタの構成手法に応じて予め定められ、可変であることを条件に均等または不均等のいずれをも選択し得るものとする。また、MPEG1オーディオレイヤ1においては、各帯域分割信号S02は周波数変調の一種を用い、ベースバンド信号にダウンサンプリングしたものである。
【0005】
帯域分割手段A01における帯域分割と同時に、時間−周波数変換手段A02は、帯域分割手段A01と時間的同期を維持した上で、符号化入力デジタル信号S01をサンプリング周波数の逆数1/fsを単位サンプル数とするm個について時間窓掛けをおこない、時間−周波数変換して周波数情報S03を出力する。ここで、時間−周波数変換に用いられる時間窓長mは周波数情報S03に要求される周波数分解能frに応じて、m=(1/fr)/(1/fs)により求められる。
【0006】
MPEG1オーディオレイヤにおいては、時間−周波数変換手段A02にFFT(高速フーリエ変換)を用いているため、mの値は所要周波数分解能frを満たす最小の2の乗数となっているほか、時間的連続性を考慮する形で前後時間窓とのオーバーラップ部を設けている。周波数解析手段A03は、周波数情報S03を基に、公知の手法である聴感心理モデルに基づいた聴感マスキングにより、帯域分割手段A01において分割されたn帯域ごとに、時間−周波数変換手段A02で用いた時間窓の前後オーバーラップ部を除いた時間におけるビット割り当て数の計算を行ない、ビット割り当て情報S04を出力する。
【0007】
このようにして、時間窓長から前後オーバーラップ部を除いた時間がフーレムの単位時間長となる。符号化手段A04においては、各分割帯域信号S02の単位フレーム長当たりの最大振幅値から各分割帯域ごとのスケールファクタを導出し、この各分割帯域ごとのスケールファクタを基に各分割帯域信号S02の振幅を正規化したのち、ビット割り当て情報S04に基づき各分割帯域ごとに再量子化し、これらの再量子化されたサンプルと、ビット割り当て情報、スケールファクタおよびフレーム同期用などの情報からビットストリームを形成して符号化出力信号S05を出力する。
【0008】
次に、図9を参照して、従来のサブバンド符号化システムの一例であるMPEG1オーディオレイヤ符号化システムの復号化装置の動作を説明する。図8に示す符号化装置において符号化され出力された符号化出力信号S05が復号化入力信号S06として図9の復号化装置に入力される。フレーム解析手段A05は入力した復号化入力信号S06からフレームを検出し、ビット割り当て情報を検出し、スケールファクタ等を検出して、フレーム解析情報S07を出力する。復号化手段A06は、そのフレーム解析情報S07を基に、各分割帯域ごとに復号処理を行ない、帯域分割復号信号S08として出力する。帯域合成手段A07は、帯域分割復号信号S08を入力して帯域合成し、復号化出力信号S09として出力する。
【0009】
符号化−復号化処理における情報の劣化をなくすため、帯域合成手段A07に要求される条件としては、符号化装置の帯域分割手段A01との間に完全再構成条件が成立することであり、この完全再構成条件を満たすフィルタ構成手段としては、QMFを用いた手法などが既に公知のものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のMPEG等で用いられているサブバンド符号化においては、聴感心理モデルに基づいた情報圧縮を行なうため、時間−周波数変換を行ない、周波数領域の信号解析を行なうことが必須である。ここで、情報劣化を発生させることなく、高い圧縮効率を実現するためには、周波数分解能を充分に維持した上で臨界帯域幅に基づいた聴感マスキングを適用させる必要があり、それを実現するため、周波数変換を行なう場合に、充分長い時間サンプルに対しての窓掛けが必要となり、この窓掛け処理のためのサンプルバッファリング時間が必要であった。
【0011】
また、同様に復号化処理においても、ビット割り当て情報検出のためにビット割り当て情報の拘束時間分のバッファリング時間が必要であり、これらは低遅延処理の実現を阻害する要因となっていた。
さらに、窓掛け処理に必要なサンプル数に基づいてフレーム長が決定され、かつこのフレーム長を基本単位として符号化処理、復号化処理及びバッファリング処理を行なっているため、上記各処理においてフレーム長分の処理時間が発生してしまい、信号を入力し符号化して復号化するまでの処理を行ない、出力が得られるまでにはかなりの処理遅延時間が必要であった。
【0012】
そのため、上記従来の符号方式を用いて処理の遅延時間を低減するためには、聴覚心理モデルに反した圧縮処理による情報劣化及びフレーム当たりの情報量増大による圧縮率の低下のいずれか、もしくは両方を許容しなければならないという問題があった。
【0013】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、上記サブバンド符号化における周波数変換のための窓掛け処理により発生する時間拘束に起因する処理遅延を0にし、さらに前記周波数変換用窓掛け処理に伴う時間拘束の解消により可能となる聴覚心理モデルに基づいた圧縮アルゴリズムを維持した状態において、フレーム長短縮による符号化−復号化処理における処理遅延時間を低減するとともに、処理遅延時間を低減するためには情報劣化もしくは圧縮率低下を許容しなければならないという従来の課題を解決し、情報劣化ならびに圧縮率低下を発生させることなく遅延時間を低減することができるサブバンド符号化方法及び装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるサブバンド符号化方法は、上記の問題を解決するため、従来の符号化システムの周波数変換用窓掛け処理において、現フレームの情報と前フレームの情報との間に振幅、エネルギー等の物理状態量の変化がない程充分に短い時間内における信号の振幅、エネルギー変化に対しての時間冗長性を利用して、過去のサンプルを用いて周波数変換を実施するようにしたものである。
本発明は、過去のサンプルを用いて周波数変換を実施し時間窓掛けを行なうようにしたことにより、窓掛け処理により発生する遅延時間を0にすることができるサブバンド符号化方法及び装置が得られる。
【0015】
また、本発明は、周波数変換用窓掛け処理に伴う時間拘束の解消により可能となる聴覚心理モデルに基づいた高効率圧縮アルゴリズムを維持した上で、フレーム長の最小化を従来の符号化方法に適用するため、各分割帯域ごとに再量子化されたサンプルの最小単位ごとにビット割り当て情報を分割表現し、再量子化されるサンプルの処理の時間と対応するサンプルのビット割り当て情報の算出に適用される拘束時間とを異なる時間にし、ビット割り当て情報を複数の単位フレームに分割してビットストリームを構成するようにしたものである。
【0016】
本発明は、単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成するするようにしたことにより、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にして、サブバンド符号化において発生する遅延時間を最小にすることができるサブバンド符号化方法及び装置が得られる。
【0017】
さらに、本発明は、従来復号化システムの復号化手段におけるビット割り当て情報の検出処理において、入力信号の振幅、エネルギー等の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去のビット割り当て情報を用いて復号処理を行なうようにしたものである。
本発明は、入力信号の振幅、エネルギー等の物理状態量に変化がない程充分に短い時間内に、過去のビット割り当て情報を用いて復号化処理を実施するようにしたことにより、ビット割り当て情報の検出のためのバッファリングにより発生する遅延時間を0にすることができるサブバンド復号化方法及び装置が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明におけるサブバンド符号化方法は、デジタル信号の帯域をサブバンドに分割して各分割帯域毎の帯域分割信号を出力し、前記入力したディジタル信号を保持し現に保持している過去のディジタル信号を時間−周波数変換用入力信号として出力し、前記時間−周波数変換用入力信号に対し時間窓掛けを行ない周波数情報を出力し、聴感心理モデルに基づき前述周波数情報に対し周波数解析を行ないビット割り当て情報を出力し、前記帯域分割信号及びビット割り当て情報に基づき符号化し前記時間窓に対する符号化出力信号を出力する各工程からなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去の入力ディジタル信号を用いて時間窓掛けを行なうようにしたものであり、過去のサンプルを用いて周波数変換を実施し時間窓掛けを行なうようにしたことにより、窓掛け処理により発生する遅延時間を0にすることができるという作用を有する。
【0019】
請求項2に記載の発明におけるサブバンド符号化方法は、前記帯域分割信号の最小単位サンプルに対する前記周波数解析に必要な時間窓長分の時間を単位フレーム長とし、前記単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、前記ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成する各工程からなり、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にするようにしたものであり、単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成するするようにしたことにより、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にして、サブバンド符号化において発生する遅延時間を最小にすることができるという作用を有する。
【0020】
請求項3に記載の発明におけるサブバンド復号化方法は、復号化入力信号のフレーム構成を解析してスケールファクタ・量子化サンプル解析情報とビット割り当て解析情報とを出力し、前記ビット割り当て解析情報を保持し現に保持している過去のビット割り当て解析情報をビット割り当て情報として出力し、前記スケールファクタ・量子化サンプル解析情報を前記ビット割り当て情報に基づき分割帯域ごとに復号処理を行ない帯域分割復号信号を出力し、前記帯域分割復号信号を合成して復号化出力信号を出力する各工程からなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去のビット割り当て情報を用いて復号処理を行なうようにしたものであり、入力信号の振幅、エネルギー等の物理状態量に変化がない程充分に短い時間内に、過去のビット割り当て情報を用いて復号化処理を実施するようにしたことにより、ビット割り当て情報の検出のためのバッファリングにより発生する遅延時間を0にすることができるという作用を有する。
【0021】
請求項4に記載の発明におけるサブバンド符号化装置は、デジタル信号の帯域をサブバンドに分割して各分割帯域毎の帯域分割信号を出力する帯域分割手段と、前記入力したディジタル信号を保持し保持していた過去のディジタル信号を時間−周波数変換用入力信号として出力する時間−周波数変換用入力信号時間制御手段と、前記時間−周波数変換用入力信号に対し時間窓掛けを行ない周波数情報を出力する時間−周波数変換手段と、聴感心理モデルに基づき前述周波数情報に対し周波数解析を行ないビット割り当て情報を出力する周波数解析手段と、前記帯域分割信号及びビット割り当て情報に基づき符号化し前記時間窓に対する符号化出力信号を出力する符号化手段とからなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去の入力ディジタル信号を用いて時間窓掛けを行なうようにしたものであり、過去のサンプルを用いて周波数変換を実施し時間窓掛けを行なうようにしたことにより、窓掛け処理により発生する遅延時間を0にすることができるという作用を有する。
【0022】
請求項5に記載の発明におけるサブバンド符号化装置は、前記帯域分割信号の最小単位サンプルに対する前記周波数解析に必要な時間窓長分の時間を単位フレーム長とし、前記単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、前記ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成するようにし、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にするようにしたものであり、単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成するするようにしたことにより、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にして、サブバンド符号化において発生する遅延時間を最小にすることができるという作用を有する。
【0023】
請求項6に記載の発明におけるサブバンド復号化装置は、復号化入力信号のフレーム構成を解析してスケールファクタ・量子化サンプル解析情報とビット割り当て解析情報とを出力するフレーム解析手段と、前記ビット割り当て解析情報を保持し過去のビット割り当て解析情報をビット割り当て情報として出力するビット割り当て情報時間制御手段と、前記スケールファクタ・量子化サンプル解析情報を前記ビット割り当て情報に基づき分割帯域ごとに復号処理を行ない帯域分割復号信号を出力する復号化手段と、前記帯域分割復号信号を合成して復号化出力信号を出力する帯域合成手段とからなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去のビット割り当て情報を用いて復号処理を行なうようにしたものであり、入力信号の振幅、エネルギー等の物理状態量に変化がない程充分に短い時間内に、過去のビット割り当て情報を用いて復号化処理を実施するようにしたことにより、ビット割り当て情報の検出のためのバッファリングにより発生する遅延時間を0にすることができるという作用を有する。
【0024】
請求項7に記載の発明におけるサブバンド復号化−復号化システムは、請求項4または5に記載の符号化装置と、請求項6に記載の復号化装置とからなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去の情報を用いて符号化及び復号化を行なうようにしたものであり、入力信号の振幅、エネルギー等の物理状態量に変化がない程充分に短い時間内に、過去の情報を用いて符号化及び復号化処理を実施するようにしたことにより、情報劣化ならびに圧縮率低下を発生させることなく遅延時間を0にし、または低減することができるという作用を有する。
【0025】
以下、添付図面、図1乃至図7に基づき、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1におけるサブバンド符号化システムの符号化装置について説明する。図1は本発明の実施の形態1におけるサブバンド符号化システムの符号化装置の構成を示すブロック図、図2は図1に示す各部の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0026】
図1において、A11は符号化入力信号S11を入力して帯域分割信号S12を生成する帯域分割手段、A12は符号化入力信号S11を入力して時間−周波数変換用入力信号S13を生成する時間−周波数変換用入力信号時間制御手段、A13は時間−周波数変換用入力信号S13を入力して周波数情報S14を生成する時間−周波数変換手段、A14は周波数情報S14を入力してビット割り当て情報S15を生成する周波数解析手段、A15は帯域分割信号S12及びビット割り当て情報S15を入力して符号化出力信号S16を出力する符号化手段である。
【0027】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1におけるサブバンド符号化システムの符号化装置の動作を説明する。尚、図2に示すタイミングチャートは符号化システムの具体的なフレーム構成を表すものではなく、各信号の時間的な対応関係を表すものとする。従って、例えば図2の(h)においては、t0からt1の期間に出力される符号化出力信号S16はb0、sf1、d1という情報により構成されるということを示すものである。
【0028】
この符号化システムの符号化装置に入力されたデジタルのサンプリング周波数fsの符号化入力信号S11は、帯域分割手段A11において、符号化入力信号S11のナイキスト周波数fs/2を全帯域としてそれをn帯域に分割し、図2の(a)及び(e)のタイミングチャートに示す入出力の時間対応関係を持つn帯域分割信号S12を出力する。尚、図2の各信号の時間対応関係を示す記号の添字の数値は時間対応関係を示すもので、この添字の数値は符号化入力信号mの添字を基にその添字の順に一致するものが同時に処理された信号であることを示す。
【0029】
ここで、nは任意の整数とし、MPEG1オーディオではn=32の帯域幅均等分割であるが、フィルタの構成手法に応じてn個の各分割帯域幅は予め決められ可変であることを条件に、均等または不均等のいずれをも選択し得るものとする。また、各帯域分割信号S12は一種の周波数変調を用いてベースバンド信号にダウンサンプリングされたものである。これと同時に、帯域分割手段A11に対する入力と時間的に同期して、デジタルの符号化入力信号S11を図2の(a)のタイミングチャートに示すように、サンプリング周波数の逆数1/fsを単位サンプル数とするmサンプル単位の時間:t1−t0分のサンプルm1を時間−周波数変換用入力信号時間制御手段A12に入力して、図2の(b)のタイミングチャートに示すように、t1−t0の期間保持してt1−t0期間遅らせた後、m1の時間−周波数変換用入力信号S13としてt2−t1の期間に出力する。
【0030】
時間−周波数変換用入力信号時間制御手段A12は、符号化入力信号S11を帯域分割手段A11と同時に入力して、t1−t0期間中既に保持していた過去の情報であるm0を時間−周波数変換用入力信号S13としてt1−t0期間に出力する。尚、時間−周波数変換用入力信号時間制御手段A12における処理開始時の初期値はm個のサンプルの振幅情報が全て最小値0を示す値とする。また、時間−周波数変換手段A13は、時間−周波数変換用入力信号S13に基づき、サンプリング周波数の逆数1/fsの単位サンプル数とするmサンプルに対して時間窓掛けを行ない、時間−周波数変換して図2の(b)及び(c)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係を持つ周波数情報S14を出力する。このように、時間−周波数変換手段A13においては、1フレーム期間前の入力信号(m0)に対して窓掛処理を行なうようにして、窓掛処理による遅延時間を解消するようにしたものである。
【0031】
上記で時間−周波数変換に用いられる時間窓長mは周波数情報S14に要求される周波数分解能frに応じて、m=(1/ fr)/(1/fs)により求められる。時間−周波数変換手段に用いられる具体的な方式としては、FFT(高速フーリエ変換)やDCT(離散コサイン変換)など周波数変換に用いられる方式全般とする。さらに、時間的連続性を考慮する形で前後時間窓とのオーバーラップ部を設けることも任意とする。
【0032】
周波数解析手段A14は、周波数情報S14を基に、公知の手法である聴感心理モデルに基づいた聴感マスキングにより、帯域分割手段A11において分割されたn帯域ごとに、時間−周波数変換手段A13で用いた時間窓の前後オーバーラップ部を除いた時間に対するビット割り当て数の計算を行ない、図2の(c)及び(d)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係を持つビット割り当て情報S15を出力する。ここで時間窓長から前後オーバーラップ部を除いた時間がフーレムの単位時間長となる。
【0033】
符号化手段A15においては、各分割帯域信号S12の単位フレーム長当たりの最大振幅値から各分割帯域ごとに図2の(e)及び(f)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係を有するスケールファクタを導出し、この各帯域ごとのスケールファクタを基に各分割帯域信号S12の振幅を正規化したのち、ビット割り当て情報S15に基づき各分割帯域ごとに図2の(e)及び(g)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係を持つように再量子化を行ない、これら再量子化したサンプルと、ビット割り当て情報、スケールファクタおよびフレーム同期用などの情報からビットストリームを形成して符号化出力信号S16を出力する。
【0034】
符号化出力信号S16のビットストリーム構成におけるビット割り当て情報S15(t1−t0期間ではb0)、スケールファクタ(t1−t0期間ではsf1)および再量子化サンプル(t1−t0期間ではd1)の時間対応関係は図2の(d)、(f)、(g)および(h)に示すような形となる。
【0035】
(実施の形態2)
次に、図1、図2及び図3を参照して、本発明の実施の形態2におけるサブバンド符号化システムについて説明する。図1及び図2はすでに実施の形態1において説明したので説明を省略する。図3は本発明の実施の形態2におけるサブバンド符号化システムで使用するフレームの構成を示す図である。
【0036】
尚、図2に示すタイミングチャートはこの符号化システムの具体的なフレーム構成を表すものではなく、各信号の時間的な対応関係を表すものとする。従って、例えば図2の(h)では、t0−t1期間に出力される符号化出力信号S16は、b0、sf1、d1という情報から構成されていることを示している。
【0037】
符号化手段A15は、この符号化装置に入力された符号化入力信号S11が上記実施の形態1と同様に処理して得られたビット割り当て情報S15および帯域分割信号S12を入力する。そして、符号化手段A15は、実施の形態1と同様に、各分割帯域ごとに、各分割帯域信号S12の単位フレーム長当たりの最大振幅値から図2の(e)及び(f)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係を持つスケールファクタを導出し、この各帯域ごとのスケールファクタを基に、各分割帯域信号S12の振幅を正規化し、また各分割帯域ごとに、ビット割り当て情報S15に基づき図2の(e)及び(g)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係で再量子化する。
【0038】
符号化手段A15は、これらの情報に基づきビットストリームを形成するにあたり、再量子化した各分割帯域のサンプルの最小単位サンプル(図3のd11)を単位フレームとするフレーム(図3の▲2▼)を構成し、ビット割り当て情報(b01)、スケールファクタ(sf1)およびフレーム同期用などの情報を単位フレームごとに分割した形でビットストリームを形成し符号化出力信号S16として出力する。
【0039】
次に、図3を参照して、本実施の形態2における具体的なフレーム構成について説明する。図3に示すように、図2の(g)に示す再量子化サンプルの各分割帯域ごとのdx(添字xは時間を表す整数とする)を構成する1グループの帯域分割サンプル数がyサンプルとした場合、図3の▲1▼に相当する従来のサブバンド符号化方式における1フレーム内のビット割り当て情報、スケールファクタ、それぞれの総ビット数をyで割ったビット数を単位フレームごとに挿入してビットストリームを形成する。ここで、yは任意の整数とする。また、本実施の形態2におけるフレーム構成は図3の▲2▼に相当する部分を1フレームとする。符号化出力信号S16のビットストリームの構成におけるビット割り当て情報S15、スケールファクタ、および再量子化されたサンプルの時間対応関係は、図2の(d)、(f)、(g)および(h)に示すような形と同様であるがそのフレーム構成は図3に示す形となる。
【0040】
(実施の形態3)
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施の形態3におけるサブバンド符号化システムの復号化装置について説明する。図4は本発明の実施の形態3におけるサブバンド符号化システムの復号化装置の構成を示すブロック図、図5は図4に示す各部の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0041】
図4において、B01は復号化入力信号S21を入力してスケールファクタ・量子化サンプル解析情報S22及びビット割り当て解析情報S23を生成するフレーム解析手段、B02はビット割り当て解析情報S23を入力してビット割り当て情報S24を生成するビット割り当て情報時間制御手段、B03はスケールファクタ・量子化サンプル解析情報S22及びビット割り当て情報S24を入力して帯域分割複合信号S25を生成する復号化手段、B04は帯域分割複合信号S25を入力して復号化出力信号S26を出力する、例えばフィルタバンク等の帯域合成手段である。
【0042】
尚、図5に示すタイミングチャートは、図2に示すタイミングチャートと同様、この符号化システムの具体的なフレーム構成を表すものではなく、各信号の時間的な対応関係を表すものとする。従って、例えば図5の(a)では、t0−t1期間に出力される復号化入力信号S21は、b1、sf1、d1という情報から構成されていることを示している。このサブバンド符号化システムにおいては、常に1フレーム前のビット割り当て情報に基づいて符号化された信号が復号化入力信号S21として復号化システムに入力されるものとする。
【0043】
このときの符号化信号のフレーム構成は、従来のサブバンド符号化方法により構成されたフレーム構成でも、本発明の実施の形態2により構成されたフレーム構成でも、予め決められ可変であることを条件に、どちらの方式でも使用可能である。フレーム解析手段B01は、復号化入力信号S21に対しフレーム同期用信号の解析によるフレームの検出を行なったのち、スケールファクタの検出をおこない、検出されたスケールファクタ(sf1)と各分割帯域ごとのサンプル(d1)をスケールファクタ・量子化サンプル解析情報S22として出力する。
【0044】
フレーム解析手段B01は、スケールファクタ・量子化サンプル解析情報S22の出力と同時に、ビット割り当て情報(b1)を検出し、それをビット割り当て解析情報S23として出力する。ビット割り当て情報時間制御手段B02は、ビット割り当て解析情報S23を入力すると同時に、既に保持していた1フレーム前のビット割り当て情報S24を出力する。更に、ビット割り当て情報時間制御手段B02は、今入力したビット割り当て解析情報S23を1フレーム期間保持した後、ビット割り当て情報S24として出力する。これら一連の入出力情報のタイミングは図5のタイミングチャートに示す。このように、ビット割り当て情報時間制御手段B02は、1フレーム期間前のビット割り当て情報S24を出力するようにして、ビット割り当て情報検出のためのバッファリングによる遅延時間を解消するようにしたものである。
【0045】
更に、復号化手段B03は、スケールファクタ・量子化サンプル解析情報S22とビット割り当て情報S24とに基づき、各分割帯域ごとに復号処理をおこない、その結果を帯域分割復号信号S25として出力する。帯域合成手段B04は、帯域分割復号信号S25を入力して帯域を合成し、復号化出力信号S26として出力する。
【0046】
(実施の形態4)
次に、図6、図4及び図7を参照して、本発明の実施の形態4におけるサブバンド符号化システムについて説明する。図6は本発明の実施の形態4におけるサブバンド符号化システムの符号化装置の構成を示すブロック図、図4は本発明の実施の形態3及び4におけるサブバンド符号化システムの復号化装置の構成を示すブロック図であり、実施の形態3において既に説明したので説明を省略する。図7は図6及び図4に示す各部の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0047】
図6において、C01は符号化入力信号S31を入力して帯域分割信号S32を生成する帯域分割手段、C02は符号化入力信号S31を入力して時間−周波数変換用入力信号S33を生成する時間−周波数変換用入力信号時間制御手段、C03は時間−周波数変換用入力信号S33を入力して周波数情報S34を生成する時間−周波数変換手段、C04は周波数情報S34を入力してフレーム構成用ビット割り当て情報S35を生成する周波数解析手段、C05はフレーム構成用ビット割り当て情報S35を入力してビット割り当て情報S36を生成するビット割り当て情報時間制御手段、C06は帯域分割信号S32、フレーム構成用ビット割り当て情報S35及びビット割り当て情報S36を入力して符号化出力信号S37を出力する符号化手段である。
【0048】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施の形態4におけるサブバンド符号化システムの符号化装置の動作を説明する。尚、図7に示すタイミングチャートは、図2及び図5に示すタイミングチャートと同様、この符号化システムの具体的なフレーム構成を表すものではなく、各信号の時間的な対応関係を表すものとする。従って、例えば図7の(i)では、t0−t1期間に出力される符号化出力信号S37(=復号化入力信号S21)はb0、sf1、d1という情報から構成されていることを示している。
【0049】
帯域分割手段C01は、図6に示す符号化システムの符号化装置に入力したデジタルのサンプリング周波数fsの符号化入力信号S31を入力して、符号化入力信号S31のナイキスト周波数fs/2を全帯域としてそれをn帯域に分割し、図7の(a)及び(f)のタイミングチャートに示す入出力の時間対応関係を持つn帯域分割信号S32を出力する。尚、図7の各信号の時間対応関係を示す記号の添字の数値は時間対応関係を示すもので、添字の数値は符号化入力信号mの添字を基にその添字の順に一致するものが同時に処理された信号であることを示す。
【0050】
ここで、nは任意の整数とし、MPEG1オーディオではn=32の帯域幅均等分割であるが、フィルタの構成手法に応じてn個の各分割帯域幅は予め決められ可変であることを条件に、均等または不均等のいずれをも選択し得るものとする。また、各帯域分割信号S32は、一種の周波数変調を用いてベースバンド信号にダウンサンプリングしたものである。これと同時に、帯域分割手段C01に対する入力と時間的に同期して、デジタルの符号化入力信号S31を図7の(a)のタイミングチャートに示すように、サンプリング周波数の逆数1/fsの単位サンプル数とするmサンプル単位の時間:t1−t0分のサンプルm1を時間−周波数変換用入力信号時間制御手段C02に入力して、図7の(b)のタイミングチャートに示すように、m1をt1−t0の期間保持した後、時間−周波数変換用入力信号S33としてt2−t1の期間に出力する。
【0051】
時間−周波数変換用入力信号時間制御手段C02は、符号化入力信号S31を帯域分割手段C01と同時に入力して、t1−t0期間中既に保持していた過去の情報であるm0を時間−周波数変換用入力信号S33としてt1−t0期間に出力する。尚、時間−周波数変換用入力信号時間制御手段C02における処理開始時の初期値はm個のサンプルの振幅情報が全て最小値0を示す値とする。また、時間−周波数変換手段C03は、時間−周波数変換用入力信号S33に基づき、サンプリング周波数の逆数1/fsの単位サンプル数とするmサンプルに対して時間窓掛けを行ない、時間−周波数変換して図7の(b)及び(c)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係を持つ周波数情報S34を出力する。
【0052】
このように、時間−周波数変換手段C03においては、1フレーム期間前の入力信号(m0)に対して窓掛処理を行なうようにして、窓掛処理による遅延時間を解消するようにしたものである。
【0053】
上記で時間−周波数変換に用いられる時間窓長mは周波数情報S34に要求される周波数分解能frに応じて、m=(1/ fr)/(1/fs)により求められる。時間−周波数変換手段に用いられる具体的な方式としては、FFT(高速フーリエ変換)やDCT(離散コサイン変換)など周波数変換に用いられる方式全般とする。さらに、時間的連続性を考慮する形で前後時間窓とのオーバーラップ部を設けることも任意とする。
【0054】
周波数解析手段C04は、周波数情報S34を基に、公知の手法である聴感心理モデルに基づいた聴感マスキングにより、帯域分割手段C01において分割されたn帯域ごとに、時間−周波数変換手段C03で用いた時間窓の前後オーバーラップ部を除いた時間におけるビット割り当て数の計算を行ない、図7の(c)及び(d)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係を持つフレーム構成用ビット割り当て情報S35を出力する。ここで時間窓長から前後オーバーラップ部を除いた時間がフーレムの単位時間長となる。
【0055】
ビット割り当て情報時間制御手段C05は、フレーム構成用ビット割り当て情報S35を入力すると同時に、ビット割り当て情報時間制御手段C05に保持していた1フレーム前のフレーム構成用ビット割り当て情報S35をビット割り当て情報S36として出力する。さらに、ビット割り当て情報時間制御手段C05は、入力したフレーム構成用ビット割り当て情報S35を1フレームの期間保持したのちに出力する。これら一連の処理におけるフレーム構成用ビット割り当て情報S35とビット割り当て情報S36の時間的な対応関係は、図7の(d)及び(e)に示すように1フレーム期間ずれた構成となる。なお、ビット割り当て情報時間制御手段C05におけるビット割り当て情報S36の初期値は、入力信号が全て0の場合のビット割り当て情報とする。
【0056】
符号化手段C06において、各分割帯域信号S32の単位フレーム長当たりの最大振幅値から各分割帯域ごとに、図7の(f)及び(g)のタイミングチャートに示すように分割帯域信号S32と一致した入出力の時間対応関係を持つスケールファクタを導出し、この各帯域ごとのスケールファクタを基に、各分割帯域信号S32の振幅を正規化したのち、ビット割り当て情報S36に基づき各分割帯域ごとに、図7の(e)、(f)および(h)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係により再量子化を行ない、これらの再量子化サンプル(d1)と、フレーム構成用ビット割り当て情報S35、スケールファクタ(sf1)およびフレーム同期用などの情報とからビットストリームを形成して符号化出力信号S37を出力する。
【0057】
符号化出力信号S37のビットストリーム構成におけるフレーム構成用ビット割り当て情報S35、スケールファクタおよび再量子化サンプルの時間対応関係は、図7の(d)、(g)、(h)および(i)に示すような形となる。
【0058】
次に、図6に示す符号化手段C06からの符号化出力信号S37が復号化装置に対する復号化入力信号S21として図4に示すフレーム解析手段B01に入力された場合について説明する。このときの符号化信号のフレーム構成は従来のサブバンド符号化方式により構成されるもの、または本発明の実施の形態2によるフレーム構成のもの、これら2つのフレーム構成のうち、予め決められ可変であることを条件に、いずれの方式のものでも可能である。
【0059】
図4において、フレーム解析手段B01は、復号化入力信号S21を基に、フレーム同期用信号解析によるフレームの検出を行なったのち、スケールファクタを検出し、検出されたスケールファクタと各分割帯域ごとのサンプルを図7の(i)及び(j)のタイミングチャートに示すような入出力の時間対応関係によりスケールファクタ・量子化サンプル解析情報S22として出力する。フレーム解析手段B01は、これと同時に、ビット割り当て情報を検出し、ビット割り当て解析情報S23として出力する。ビット割り当て情報時間制御手段B02は、ビット割り当て解析情報S23が入力されると同時に、既に保持していた1フレーム前のビット割り当て情報S24を出力する。
【0060】
さらに、ビット割り当て情報時間制御手段B02は、入力したビット割り当て解析情報S23を1フレームの期間保持した後、ビット割り当て情報S24として出力する。これら一連の入出力タイミングは、図7の(k)及び(l)のタイミングチャートに示す。復号化手段B03は、スケールファクタ・量子化サンプル解析情報S22とビット割り当て情報S24とに基づき、各分割帯域ごとに復号処理を行ない、帯域分割復号信号S25として出力する。帯域合成手段B04は、帯域分割復号信号S25を入力して帯域合成し、復号化出力信号S26として出力する。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成し、特に入力信号の振幅、エネルギー変化等の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去のサンプルを用いて周波数変換を実施し時間窓掛けを行なうようにしたことにより、周波数変換用窓掛け処理により発生する遅延時間を0にすることができるサブバンド符号化方法及び装置を提供することができる。
【0062】
本発明は、上記のように構成し、特に帯域分割信号の最小単位サンプルに対する周波数解析に必要な時間窓長分の時間を単位フレーム長とし、単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成するようにしたことにより、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にして、サブバンド符号化において発生する遅延時間を最小にすることができるサブバンド符号化方法及び装置を提供することができる。
【0063】
本発明は、上記のように構成し、特に入力信号の振幅、エネルギー等の物理状態量に変化がない程充分に短い時間内に、過去のビット割り当て情報を用いて復号化処理を実施するようにしたことにより、ビット割り当て情報の検出のためのバッファリングにより発生する遅延時間を0にすることができるサブバンド復号化方法及び装置を提供することができる。
【0064】
本発明は、上記のように構成し、特に入力信号の振幅、エネルギー等の物理状態量に変化がない程充分に短い時間内に、過去の情報を用いて符号化及び復号化処理を実施するようにしたことにより、情報劣化ならびに圧縮率低下を発生させることなく遅延時間を0にし、または低減することができるサブバンド符号化−復号化システムを提供することができる。
【0065】
従って、本発明は、サブバンド符号化及び復号化における遅延時間を0にし、または低減することにより、オーディオ信号の圧縮処理を行なう場合における待ち時間を低減して、情報量の多い高い品質の音楽、音声等を高い効率で伝送し記録することができるサブバンド符号化・復号化方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるサブバンド符号化システムの符号化装置の構成を示すブロック図、
【図2】図1に示す各部の信号のタイミングを示すタイミングチャート、
【図3】本発明の実施の形態2におけるサブバンド符号化システムで使用するフレームの構成を示す図、
【図4】本発明の実施の形態3におけるサブバンド符号化システムの復号化装置の構成を示すブロック図、
【図5】図4に示す各部の信号のタイミングを示すタイミングチャート、
【図6】本発明の実施の形態4におけるサブバンド符号化システムの符号化装置の構成を示すブロック図、
【図7】図6及び図4に示す各部の信号のタイミングを示すタイミングチャート、
【図8】従来のサブバンド符号化システムの一例であるMPEG1オーディオレイヤ符号化システムの符号化装置の構成を示すブロック図、
【図9】従来のサブバンド符号化システムの一例であるMPEG1オーディオレイヤ符号化システムの復号化装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
A01、A11 帯域分割手段
A02、A13 時間−周波数変換手段
A03、A14 周波数解析手段
A04、A15 符号化手段
A05 フレーム解析手段
A06 復号化手段
A07 帯域合成手段
A12 時間−周波数変換用入力信号時間制御手段
B01 フレーム解析手段
B02 ビット割り当て情報時間制御手段
B03 復号化手段
B04 帯域合成手段
C01 帯域分割手段
C02 時間−周波数変換用入力信号時間制御手段
C03 時間−周波数変換手段
C04 周波数解析手段
C05 ビット割り当て情報時間制御手段
C06 符号化手段
Claims (7)
- デジタル信号の帯域をサブバンドに分割して各分割帯域毎の帯域分割信号を出力し、前記入力したディジタル信号を保持し現に保持している過去のディジタル信号を時間−周波数変換用入力信号として出力し、前記時間−周波数変換用入力信号に対し時間窓掛けを行ない周波数情報を出力し、聴感心理モデルに基づき前述周波数情報に対し周波数解析を行ないビット割り当て情報を出力し、前記帯域分割信号及びビット割り当て情報に基づき符号化し前記時間窓に対する符号化出力信号を出力する各工程からなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去の入力ディジタル信号を用いて時間窓掛けを行なうようにしたことを特徴とするサブバンド符号化方法。
- 前記帯域分割信号の最小単位サンプルに対する前記周波数解析に必要な時間窓長分の時間を単位フレーム長とし、前記単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、前記ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成する各工程からなり、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にするようにしたことを特徴とする請求項1記載のサブバンド符号化方法。
- 復号化入力信号のフレーム構成を解析してスケールファクタ・量子化サンプル解析情報とビット割り当て解析情報とを出力し、前記ビット割り当て解析情報を保持し現に保持している過去のビット割り当て解析情報をビット割り当て情報として出力し、前記スケールファクタ・量子化サンプル解析情報を前記ビット割り当て情報に基づき分割帯域ごとに復号処理を行ない帯域分割復号信号を出力し、前記帯域分割復号信号を合成して復号化出力信号を出力する各工程からなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去のビット割り当て情報を用いて復号処理を行なうようにしたことを特徴とするサブバンド復号化方法。
- デジタル信号の帯域をサブバンドに分割して各分割帯域毎の帯域分割信号を出力する帯域分割手段と、前記入力したディジタル信号を保持し保持していた過去のディジタル信号を時間−周波数変換用入力信号として出力する時間−周波数変換用入力信号時間制御手段と、前記時間−周波数変換用入力信号に対し時間窓掛けを行ない周波数情報を出力する時間−周波数変換手段と、聴感心理モデルに基づき前述周波数情報に対し周波数解析を行ないビット割り当て情報を出力する周波数解析手段と、前記帯域分割信号及びビット割り当て情報に基づき符号化し前記時間窓に対する符号化出力信号を出力する符号化手段とからなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去の入力ディジタル信号を用いて時間窓掛けを行なうようにしたことを特徴とするサブバンド符号化装置。
- 前記帯域分割信号の最小単位サンプルに対する前記周波数解析に必要な時間窓長分の時間を単位フレーム長とし、前記単位フレームのサンプルに対する時間と、対応するビット割り当て情報の拘束時間とを別時間とし、前記ビット割り当て情報を複数の単位フレームで構成するようにし、符号化時の情報量を増加させることなく、バッファリングなどフレーム長に起因する処理遅延時間を最小限にするようにしたことを特徴とする請求項1記載のサブバンド符号化装置。
- 復号化入力信号のフレーム構成を解析してスケールファクタ・量子化サンプル解析情報とビット割り当て解析情報とを出力するフレーム解析手段と、前記ビット割り当て解析情報を保持し過去のビット割り当て解析情報をビット割り当て情報として出力するビット割り当て情報時間制御手段と、前記スケールファクタ・量子化サンプル解析情報を前記ビット割り当て情報に基づき分割帯域ごとに復号処理を行ない帯域分割復号信号を出力する復号化手段と、前記帯域分割復号信号を合成して復号化出力信号を出力する帯域合成手段とからなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去のビット割り当て情報を用いて復号処理を行なうようにしたことを特徴とするサブバンド復号化装置。
- 請求項4または5に記載の符号化装置と、請求項6に記載の復号化装置とからなり、入力信号の物理状態量の変化に対する時間冗長性を有するだけ充分短い時間内における過去の情報を用いて符号化及び復号化を行なうことを特徴とする符号化−復号化システム。
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