JP3564281B2 - 燃料集合体の上部支持ピン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉容器内において炉心を構成する燃料集合体を正規位置に固定し且つ適切に保持する上部支持ピンに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉、例えば加圧水型原子炉においては、炉心を構成する多数の燃料集合体は下部炉心板上に支持ピンを介して位置決めされ、他方炉心の上方に位置する上部炉心板は、スプリングを介して燃料集合体を下方に押圧保持すると共に支持ピンを介して燃料集合体の横方向の位置決めを行っている。これを図3を参照して概説すると、燃料集合体10は、上部ノズル11,下部ノズル13,これらを連結すると共に互いに離れて延びる複数の制御棒案内管15,制御棒案内管15に長手方向に間隔をおいて配設された複数の支持格子17及び支持格子17の格子開口の中に挿通された複数の燃料棒19から構成されている。このような燃料集合体10は、原子炉容器内の下部炉心板1の上に置かれ、図示しない支持ピンにより水平位置が規制される。
【0003】
而して、上部ノズル11と上部炉心板3との位置決めは、下部ノズル13と下部炉心板1の場合と同様に支持ピン21により行っている。しかしながら、燃料集合体10には原子炉運転による中性子照射成長があったり、又関連部材間の熱膨張差等があるので、燃料集合体10の上部ノズル11の上端面と上部炉心板3の間には所定の隙間を確保し、上部ノズル11の上面に設けたリーフスプリング24(図4に示す。)を利用して燃料集合体10を下方に向けて確りと保持している。図4において、上部ノズル11の対角位置にある位置決め穴25が支持ピン21を受け入れるものであるが、上部ノズル11が支持ピン21を位置決め穴25に受け入れ、リーフスプリング23が上部炉心板3の接する状態が図5に拡大されて示されている。リーフスプリング23は、中性子照射成長や熱膨張差等に起因する隙間dの寸法変化を過大応力を発生せずに吸収すると共に、冷却材流による燃料集合体10の浮き上がりを防止している。尚、支持ピン21は上部炉心板3を貫いて延び、上端部に螺合したナット27によって上部炉心板3に締結されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リーフスプリング自体も炉心近くに位置している上、高温高圧の冷却材に接しているので、材質劣化によりばね力を喪失する恐れがある。その場合、炉心内を上向きに流れる冷却材により燃料集合体が浮き上がって上部炉心板に接触して不具合を生ずる恐れがある。
従って、本発明の課題は、燃料集合体の上部ノズルに取り付けた押圧ばねに機能喪失が生じても、燃料集合体と上部炉心板との接触を防止できる上部支持ピンの提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
如上の課題を解決するため、本発明によれば、原子炉炉心内の燃料集合体の上部支持ピンは、その炉心を構成する燃料集合体の上方に位置する上部炉心板に下方に突出して固定される軸と、この軸の下端部外側に摺動可能に嵌装されるピン本体と、このピン本体の内部に前記軸の下端面に接して介装された、ばねのような付勢手段とを有し、そのピン本体が燃料集合体の上部ノズルに挿通されて下方に押圧するように構成される。付勢手段は、ピン本体でなく、中空軸として構成された軸の中に介装しても良い。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。尚、前述の従来構造に関する図面を含め全図に渡り同一部分には同一の符号を付すこととする。
先ず図1を参照するに、本発明による上部支持ピン30の軸31は、上部炉心伴3を上下方向に貫いて延び、上端部に螺合するナット33により確りと締結される。軸31の下端部31aに摺動自在に嵌合したピン本体35は下端が砲弾形の外形を有し、燃料集合体10の上部ノズル11の位置決め穴25に嵌合している。そして、その下端は冷却材貫流穴を多数備えた端板11aの凹み面に当接している。そして、ピン本体35の内部には、軸31の下端部31aを受け入れる中空部35aが形成され、中空部35aの底面と軸31の下端面との間に付勢手段即ち圧縮コイルばね37が介装されている。
【0007】
以上のような構成の上部支持ピン30によれば、軸31が上部炉心板3に確りと固定され、更にピン本体35が上部ノズル11の位置決め穴25に嵌合しているので、燃料集合体10を定位置に確りと位置決めし、横方向への変位を規制する。更に、圧縮コイルばね37によりピン本体35が上部ノズル11の端板11aに付勢されているので、その弾性変形による復元力が上部ノズル11ひいては燃料集合体10に作用している。従って、図示しないリーフスプリングがへたってばね力が減少しても、圧縮コイルばね37により燃料集合体10を下方に押し付け、上部炉心板3との接触を防止する。
【0008】
次にピン本体ではなく、軸部の方に圧縮コイルばねを設ける改変実施形態を説明する。図2を参照するに、上部炉心板103には、相対的に大きい径の穴が穿設され、上部支持ピン130の中空軸乃至シリンダ131が貫設され、同様にナット133により固定される。下端部がピン本体35と同形のピン本体135の上端部135aがシリンダ131の内部に摺動可能に嵌合している。ピン本体135の上部の内部には、前述の中空部35aより短い中空部135bが形成され、その中空部135bとシリンダ131の内部空間とにかけて圧縮コイルばね137が介装されている。このような上部支持ピン130の構造を前述の上部支持ピン30と対比すると、当業者に容易に理解されるように、圧縮コイルばね137は、燃料集合体10を後備的に下方に押し下げ、更にピン本体135がその横方向変位を規制し、同様の効果を奏する。
【0009】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上部支持ピンを固定される軸の部分と相対変位自在のピン本体とから伸縮自在に構成し、それらの間に介装された付勢手段によりピン本体を燃料集合体の上部ノズルに押し当てるようにしたので、上部支持ピンは横方向変位を規制する機能ばかりでなく、燃料集合体を後備的に押し下げる機能をも有し、主たる押圧スプリングの機能が喪失しても燃料集合体の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体断面図である。
【図2】本発明の改変実施形態を示す全体断面図である。
【図3】本発明にかかる上部支持ピンによって支持される燃料集合体の一例を示す立面図である。
【図4】前記燃料集合体の一部を拡大して示す概念的斜視図である。
【図5】従来の支持ピンの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
3 上部炉心板
10 燃料集合体
11 上部ノズル
11a 端板
30 上部支持ピン
31 軸
31a 下端部
33 ナット
35 ピン本体
35a 中空部
37 圧縮コイルばね
103 上部炉心板
130 上部支持ピン
131 シリンダ
133 ナット
135 ピン本体
135b 中空部
137 圧縮コイルばね

Claims (2)

  1. 炉心を構成する燃料集合体の上方に位置する上部炉心板に下方に突出して固定される軸と、同軸の下端部外側に摺動可能に嵌装されるピン本体と、同ピン本体の内部に前記軸の下端面に接して介装された付勢手段とを有し、前記ピン本体が前記燃料集合体の上部ノズルに挿通されて下方に押圧していることを特徴とする燃料集合体の上部支持ピン。
  2. 炉心を構成する燃料集合体の上方に位置する上部炉心板内に上下方向に延びて設けられた中空軸と、同中空軸内に上端部が摺動自在に嵌装され下方に向かって延びるピン本体と、前記中空軸内に介装され前記ピン本体を下方に偏倚する付勢手段とを有し、前記ピン本体が前記燃料集合体の上部ノズルに挿通されて下方に押圧していることを特徴とする燃料集合体の上部支持ピン。
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