JP3563044B2 - ヘルメット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、頭部を衝撃から保護する緩衝構造を有するヘルメットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘルメットは、オートバイやレース用車両のドライバー、工事現場の作業員または航空機の搭乗員や地上戦闘員など危険な業務に従事する人の頭部を保護するための安全装具の一つであり、用途に適した様々な形状のものが用いられている。
【0003】
ヘルメットは、大きく分けて、シェル(帽体)、ライナ、内装、シールド等からなる。
【0004】
シェルの材質は一般的にFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、ポリカーボネイト樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂等からなり、鋭利な障害物に対しても突き抜けることのないように堅く丈夫に作られており、局部的な衝撃を受けとめて、そのエネルギーを広い面積に分散し、鋭い突起物にぶつかっても、直接頭部に影響を及ぼさないように保護するものである。
【0005】
ライナの材質は発泡樹脂で、シェルによって分散された衝撃を発泡樹脂がつぶれることで吸収し、頭部の耐えられる程度にショックを低減させるものである。
【0006】
内装の材質は一般的にスポンジ材、あるいはウレタンフォーム等を生地等で縫製しており、頭の形にしっかりフィットさせ、ショックを吸収し、たとえヘルメットを吹き飛ばすような方向からの衝撃に対しても、ヘルメットを頭部にしっかり固定するとともに、皮膚接触感向上を担うものである。
【0007】
シールドの材質は樹脂材で、走行風を遮るとともに、前面の保護のためのものである。
【0008】
このような従来のヘルメットにおいて、衝撃吸収特性を向上させるために、ライナおよび内装の厚みを増す手法が提案されている。
【0009】
また、この他にも、以下に示すような提案がなされている。
【0010】
実登3008458号公報には、ライナとシェルとの間に大気泡が平面的に列設された気泡緩衝材からなる気泡緩衝材層が形成されたヘルメット用衝撃吸収構造が開示されている。この気泡緩衝材層は、側部が蛇腹構造で縦方向に伸縮可能な中空の円筒状部材を用いており、この円筒状部材は、押圧することで、円筒状部材自身が縮みつつ、かつ、円筒状部材に形成されているオリフィスから内部の空気を圧力損失を生じつつ排出する。このように、圧力損失を生じながらの空気の排出を反発力とし、また、縮むことで変形することで衝撃力を吸収するものである。また、円筒状部材内にコイルバネを有する構成も開示されている。
【0011】
特開2000−14856号公報には、パイプ材からなるフレーム体に付設される緩衝材として独立気泡または連続気泡からなる半硬質フォームを含んだバッティング投手用ヘルメットが開示されている。
【0012】
特開平6−220242号公報には、ヘルメットに適用可能な、網状体またはフォームの骨格格子表面をバウンシングパテによってコーティングした衝撃緩衝材が開示されている。
【0013】
上記の網状体またはフォームにシリコーンバウンシングパテをコーティングした衝撃緩衝材料の他に、ゲル、あるいはパテの軽量化を図った衝撃緩衝材も提案されている。
【0014】
例えば、特開昭62−159601号公報には、ゲル物質中に微小中空体を混入した衝撃緩衝材が記載されている。また、特開平4−117974号公報には、シリコーンバウンシングパテに微小中空体を混入した衝撃緩衝材が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のヘルメットにおいて、衝撃吸収特性を向上させるためになされるライナおよび内装の厚みの増加は、ヘルメットの大型化を来たし、重量増加をも招いてしまう場合があった。
【0016】
ヘルメットが大型化されると、ヘルメットの装着者の頭部が大きく見えてしまいファッション性が低下してしまうという問題があった。特に、オートバイ用のヘルメットに関しては、安全性もさることながら、ファッション性を重視した選択がなされる傾向が見受けられる。このため、安全性が高いにも拘わらず、ファッショナブルでないという理由からシェルの大きいヘルメットは装着を敬遠される傾向がある。十分な安全性は期待できないがファッショナブルな小さいシェルのヘルメットが選択された場合、ヘルメットを着用しているにも拘わらず、ヘルメットの衝撃吸収性が十分でないため、事故が発生した際に頭部の保護が十分でない場合があった。
【0017】
また、ヘルメットの重量増加は、ヘルメットが衝撃を受けた際、軽量なヘルメットに比べて受ける衝撃エネルギが大きくなるので、頭部への衝撃が大きくなるとともに、首への負担が大きくなり、危険度が増してしまう場合があった。
【0018】
衝撃吸収用のゲルとライナとを組み合わせた構成の場合は、ゲルによって衝撃吸収特性が向上するためライナを薄くすることができ、ヘルメットの大型化は避けられるが、ゲルが重いためにヘルメットの重量が増加してしまう傾向にあり、好ましくない。また、ゲルは一般に表面の摩擦係数が大きく、例えば、ゲルがライナとシェルとの間に設けられた構成とする場合、ライナをシェル内に収納する際、ゲルとシェルが擦れながら収納されることとなり、ライナに保持されたゲルがよじれを生じてしまうことが考えられる。このよじれは、ゲルとシェル、ゲルとライナとの密着を妨げる。さらに、よじれだけでなく、位置ずれをも生じると考えられ、ゲルとシェルとの所望の位置関係、あるいゲルとライナとの所望の位置関係が保てなくなる。これら不完全な密着、位置ずれは、衝撃吸収特性を低下させるとともに、所望の部位での所望の衝撃吸収特性を得られなくしてしまう。
【0019】
また、実登3008458号公報は、蛇腹により伸縮する方向以外からの衝撃力に対して、所望の衝撃緩衝特性を得ることが困難な構成であるとともに、構成が複雑であるため、コストの増大が懸念される。さらに、大気泡による衝撃緩衝構造、すなわち、衝撃緩衝を大気泡内の空気の弾性にほとんど依存する構成であるため、外気温により、その衝撃緩衝特性が大きく変わるおそれもある。また、大気泡による衝撃緩衝構造は、各円筒状部材がライナに各円筒状部材の底面、すなわち、局部的な接触であるため、各円筒状部材が吸収しきれなかった衝撃エネルギを効果的に分散させてライナに伝達させることが困難な構造であるといえる。
【0020】
また、特開2000−14856号公報の、独立気泡または連続気泡からなる半硬質フォームでは、ゲルやパテが有する比較的強い衝撃力に対する衝撃緩衝特性は得られにくい。また、パイプ材からなるフレーム体への緩衝材の付設といった方式も、半硬質フォームとパイプ材とが線接触に近い状態であるため、半硬質フォームが吸収しきれなかった衝撃エネルギを効果的にパイプ材に伝達させることが困難な構造であるといえる。つまり、ほぼ半硬質フォームのみでエネルギを吸収する構造であり、衝撃を効果的に減衰させることができるとは言い難い。
【0021】
特開平6−220242号公報に開示されている衝撃緩衝材は、比重が0.1〜0.8の範囲内と軽量であるため、ヘルメットの衝撃緩衝材として好適ではあるが、連続性発泡樹脂およびバウンシングパテの少なくとも2種類の素材を必要とするとともに、連続性発泡樹脂は、気泡による反発特性を高めるため連通している気泡を封止するためのバウンシングパテによる骨格格子表面へのコーティング工程、すなわち、ウレタンフォーム等をバウンシングパテの溶解液に浸漬させて、溶解液をウレタンフォームに十分含浸させた後、余分な溶解液をロールで絞り取るといった工程を要するため、コストが高くなる。
【0022】
特開昭62−159601号公報および特開平4−117974号公報は、いずれも衝撃の吸収、緩和をゲルまたはパテに全面的に依存しており、ゲルまたはパテの使用なくしては衝撃緩衝材としてまったく機能し得ないものである。また、シリコーンバウンシングパテに微小中空体を混入した衝撃緩衝材の場合、連通した気泡を持たないため通気特性が良好とはいえず、ユーザの頭部から発生した汗により蒸れやすいヘルメット用の衝撃緩衝材としては好適とは言い難い。
【0023】
そこで、本発明は、低コストで、衝撃吸収特性が高く、軽量で、かつ、シェルの大型化を伴わないヘルメットを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のヘルメットは、外部からの衝撃を吸収する衝撃吸収層として、外装であるシェルと、シェル内に収納されている、発泡部材からなるライナとを有するヘルメットにおいて、ライナ上のリブで仕切られた複数の凹部内に、独立した発泡気泡を含みかつ各凹部の深さよりも厚いゲル材が密着して保持されており、ゲル材を逃がす空隙がリブ上に形成されていることを特徴とする。
【0025】
上記の通り構成された本発明のヘルメットは、衝撃吸収層としてシェル、ライナに加え、独立した発泡気泡を含むゲル材を有する。ゲル材は、微細な独立気泡内のガスによる反発性と、ゲルの有する比較的強い衝撃力に対する衝撃緩衝性とを併せ持つため、高い衝撃緩衝性を有する。このような高い衝撃緩衝特性のゲル材を衝撃吸収層の構成要素とすることで、本発明のヘルメットはライナを厚くすることなくとも高い衝撃緩衝性をもつことができる。
また、本発明のヘルメットは、ゲル材が凹部内に保持されるため、ライナに対してゲル材が所望の位置からずれるのを防止できる。
さらに、各ゲル材の厚さは、リブで仕切られた各凹部の深さよりも厚いので、凹部内に保持されたゲル材は凹部からはみ出す。このため、例えば、ゲル材をシェルとライナで挟み込む構成とした場合、シェルに対するゲル材の密着をより確実にすることができる。さらに、リブ上にゲル材を逃がす空隙が形成されているため、シェルに対してゲル材を密着させた際のゲル材の余剰部がこの空隙へと逃げることとなる。この逃げにより、ゲル材の余剰部のよじれ、あるいは、衝撃を受ける前にゲル材内の気泡が完全に押し潰されてしまうといったことを防止することができる。
【0026】
また、ゲル材は、微細な独立気泡を有する構造により、軽量であるとともに、ゲル材自身が断熱性を有するため、外気温の影響も受けにくい特性も併せ持ち、さらに、衝撃力のかかる方向により衝撃吸収特性が大きく変わることもない。
【0027】
さらに、ゲル材自身が単独気泡体であるため、ゲル材を製造する際に、連続性発泡樹脂を単独気泡化するための工程、あるいは弾性を有する微小中空球体を混入する工程等を必要としない。
【0028】
また、ゲル材は、ライナに実質的に密着して保持されているため、ゲル材とライナとの間での衝撃エネルギの伝達が広い面積で行われることとなり、衝撃エネルギを分散して伝達することができる。
【0030】
さらに本発明のヘルメットは、各ゲル材が、シェルとライナとの間に配され、シェルに密着しているものであってもよい。この場合、ゲル材とシェルとの間での、吸収しきれなかった衝撃エネルギの伝達が広い面積で行われることとなり、吸収しきれなかった衝撃エネルギの局部的な集中を効果的に回避できる。
【0031】
また、本発明のヘルメットは、各ゲル材が、ライナの内側に配されているものであってもよい。この場合、気泡の量が比較的少なくゲルの量が多い組成であることでライナの比重より大きいゲル材を採用した場合、重量物であるゲル材をヘルメットの中心部に近づけることで、装着者の首周りにおけるヘルメットの慣性モーメントを小さくできるため、衝撃を受けた際、同じ重量のヘルメットに対して、装着者の首にかかる負荷を軽減することができる。
【0032】
さらに、本発明のヘルメットは、ライナが、シェルに実質的に密着する第1のライナと、第1のライナの内側に設けられる第2のライナとを有し、各ゲル材が第1のライナの内面および第2のライナの外面に実質的に密着することで保持されているものであってもよい。この場合、ゲル材がライナに挟まれた構成となるため、ライナをシェル内に収納する際、ゲル材とシェルが擦れあうことでゲル材の位置ずれを生じるといったことがない。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のヘルメットの側断面図であり、図2は、図1に示したヘルメットのA−A線での断面図である。また、図3は、シェルを被せる前の、ライナの上面図であり、図4は、ライナの斜視図であり、図5は、発泡ゲルを貼り付けた状態のライナの斜視図である。
【0035】
ヘルメット1は、局部的な衝撃エネルギを広い面積に分散し、鋭い突起物の貫通を阻止するシェル2と、シェル2によって分散された衝撃を吸収する、微細な独立気泡13を含んだ発泡ゲル3と、外側面6に幅lのリブ7で仕切られるようにして形成された複数の凹部8内に発泡ゲル3を密着させて保持し、発泡ゲル3とともに頭部の耐えられる程度に衝撃を低減させる発泡体からなるライナ4と、ヘルメット1を頭の形にフィットさせ、衝撃を吸収し、たとえヘルメットを吹き飛ばすような方向からの衝撃に対しても、ヘルメット1を頭部にしっかり固定するとともに、皮膚接触感向上を担う内装5とを有する。
【0036】
シェル2は、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)、ポリカーボネイト樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂からなる。また、シェル2の平均厚さは3.5mm程度が好適である。
【0037】
発泡ゲル3は、シリコンを主剤としており、発泡させることで内部に独立気泡13が形成されるようにして製造されているため、発泡ゲル3の素材を発泡させないで製造した、気泡を含まないゲル、あるいは独立気泡として有弾性の中空フィラーを混入したゲルに比べて軽量化が図られている。また、発泡ゲル3は、ゲル内部の独立気泡13を発泡させることで得ており、連続性発泡樹脂にパテ等をしみこませることで気泡の連続性を絶ち独立気泡13を得たものでない。
【0038】
また、発泡ゲル3は、ゲル材に中空フィラーを混入して独立気泡13を得たものでないため、独立気泡13以外に連続した気泡も含まれるため、適度な通気性も有する。
【0039】
さらに、発泡ゲル3は圧縮永久歪みが小さい、すなわち、長期にわたり緩衝性能が変化しない特性を有する。
【0040】
また、発泡ゲル3は、微細な独立気泡13内のガスによる反発性と、ゲルの有する比較的強い衝撃力に対する衝撃緩衝性とを併せ持つため、高い衝撃緩衝性を有する。この発泡ゲル3は、ライナ4を変形させるに要する力よりも小さな力で弾性変形する。
【0041】
ライナ4は、合成樹脂からなる発泡スチロール等からなり、ライナ4の外側面6には、幅lのリブ7で仕切られるようにして複数の凹部8が形成されている。また、ライナ4の発泡倍率は、20〜25倍程度が好適である。
【0042】
内装5は、ウレタンフォーム等からなる内装材クッション9、および内装材クッション9を覆う内装カバー10からなり、ライナ4の内側面11に取り付けられている。
【0043】
次に、発泡ゲル3とライナ4とに関してより詳細に説明する。
【0044】
発泡ゲル3は、平板上に流しながら形成されるため、略平板状を呈している。よって、半球形状のライナ4に形成された立体形状の各凹部8にフィットさせるため、凹部8を、前頭部側から後頭部側へと連なる第1の凹部8aと、側頭部に対応する第2の凹部8bと、第1の凹部8aと第2の凹部8bとの間に位置する斜め側頭部に対応する第3の凹部8cとに分割している。凹部8をさらに細かく分割する構成としてもよいが、平板状の発泡ゲル3はその弾性により立体形状の各凹部8に十分フィットするため、発泡ゲル3のカット工程、発泡ゲル3のライナ4への貼り付け工程に要する時間を短縮可能な本実施形態のような分割が好適である。
【0045】
なお、本実施形態で示した凹部8の分割パターンは一例であり、例えば、左右の側頭部に連なる凹部形状や、各凹部の形状が図示された多角形以外の形状の多角形で構成されるもの等、本発明の目的を達成できる構成となっていれば、いかなる分割パターンであってもよい。また、本実施形態では、発泡ゲル3の占有表面積をできるだけ大きくとる構成の一例として、各凹部8を多角形形状としたが、多角形の角部への応力集中を避けるため、角部がR形状を有するものであってもよいし、各凹部8が円形、あるいは楕円形状であってもよい。
【0046】
また、図6(a)に示すように、発泡ゲル3の厚さtは、各凹部8の深さdよりも厚いため、発泡ゲル3はtだけリブ7の表面より浮き出ている。なお、第1の凹部8a、第2の凹部8bおよび第3の凹部8cの各深さdは異なる深さであってもよく、各凹部8に貼り付けられる発泡ゲル3も、t>dの関係であれば、いかなる厚さであってもよい。
【0047】
上述した各凹部8に収納される発泡ゲル3は、ライナ4がシェル2内に収めされることで、シェル2の内面により押圧されることで押し潰される。図6(b)に示すように、押し潰された発泡ゲル3は、リブ7とシェル2との間に形成された空隙12へとはみ出すこととなる。すなわち、幅lのリブ7は、発泡ゲル3の位置決めおよびはみ出した発泡ゲル3の余剰部を逃がす機能を有する。このように、リブ7を空隙12にはみ出させるようにして、ライナ4をシェル2内に収納することで、発泡ゲル3は、シェル2の内面に密着するようにして保持される。また、この逃げにより、発泡ゲル3の余剰部のよじれ、あるいは、衝撃を受ける前に発泡ゲル3内の独立気泡13が完全に押し潰されてしまうといったことを防止することができる。なお、発泡ゲル3は、両面テープ等で凹部8に貼り付けられているものであってもよい。
【0048】
なお、発泡ゲル3を貼り付けたライナ4をシェル2内に収納する際、シェル2の内面を発泡ゲル3が擦りながら収納されることで生じる発泡ゲル3の位置ずれ、あるいは発泡ゲル3のよじれ等の発生をより効果的に防止するため、テープ等で発泡ゲル3を表面側から固定するものであってもよいし、あるいは、潤滑液等を発泡ゲル3、もしくはシェル2の内面に塗布し、シェル2の内面と発泡ゲル3間での摩擦を減じさせて収納するものであってもよい。
【0049】
なお、本実施形態の構成は、例えば、発泡ゲル3が、気泡の量が多く、ゲルの量が少ない組成であることでライナ4の比重より小さい場合、特に好適である。すなわち、発泡ゲル3より比重の大きい重量物であるライナ4をヘルメット1の中心部に近づけることで、装着者の首周りにおけるヘルメット1の慣性モーメントを小さくできるため、衝撃を受けた際、同じ重量のヘルメットに対して、装着者の首にかかる負荷を軽減することができる。
【0050】
上述した構成の本実施形態のヘルメット1は、シェル2から伝わった衝撃をライナ4が吸収する前に、内部に気泡を含んだ発泡構造の発泡ゲル3が吸収するため、同じ大きさの衝撃に対してライナ4の厚さを薄く形成することができる。すなわち、本実施形態のヘルメット1は、素材を発泡させないで製造したゲルに比べて軽量であるだけでなく、より大きな衝撃を吸収することができる発泡ゲル3により衝撃を吸収する構造であるため、ライナ4を薄くできる。これにより、シェル2を小さくすることができるとともに、これに伴い、ヘルメット1の重量を軽減することができる。
(第2の実施形態)
図7(a)に、本実施形態のヘルメットの側断面図を示す。本実施形態のヘルメット101は、ライナ104の内側面111側に第1の発泡ゲル103aが設けられている以外は、基本的に第1の実施形態で説明したヘルメット1と同様であるため、詳細の説明は省略する。
【0051】
第1の発泡ゲル103aは、ライナ104の内側面111側に両面テープ等により接着されている。
【0052】
なお、本実施形態の構成は、第1の実施形態と逆に、例えば、第1の発泡ゲル103aが、気泡の量が少なく、ゲルの量が多い組成であることで第1の発泡ゲル103aがライナ104の比重がより大きい場合、特に好適である。すなわち、ライナ104より比重の大きい重量物である第1の発泡ゲル103aをヘルメット1の中心部に近づけることで、装着者の首周りにおけるヘルメット101の慣性モーメントを小さくできるため、衝撃を受けた際、同じ重量のヘルメットに対して、装着者の首にかかる負荷を軽減することができる。
【0053】
また、ライナ104とシェル102との間に発泡ゲルが存在しないため、ライナ104をシェル102内に収納する際に、発泡ゲルが位置ずれを起こすことがない。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のヘルメット101によれば、第1の発泡ゲル103aをライナ104の内側面に設けることで、第1の実施形態のヘルメット1と同様に、ヘルメット101を大型化することなく、大きな衝撃を吸収できる。
【0055】
また、ヘルメット101は、第1の実施形態の構成と組み合わせた構成、すなわち、図7(b)に示すように、ライナ104の内側面111側に第1の発泡ゲル103aが設けられているだけでなく、ライナ104の外側面106に第2の発泡ゲル103bが設けられているものであってもよい。なお、ライナ104の両面に各発泡ゲル103a、103bが設けられている構成とする場合、ライナ104は、その厚さを確保するため、ライナ104の外側面、あるいは内側面のいずれか一方のみに凹部を形成することが好ましく、ライナ104の外側面にのみ凹部を形成することがより好ましい。このように、ライナ104の両面に発泡ゲルを設けた構成の場合、より大きな衝撃を吸収することができる。
【0056】
また、図7(a)および図7(b)には、内側面111の全面に第1の発泡ゲル103aが設けられた構成が示されているが、例えば、後頭部のみといったように、部分的に第1の発泡ゲル103aを設ける構成であってもよい。
(第3の実施形態)
図8に、本実施形態のヘルメットの側断面図を示す。本実施形態のヘルメット201は、第1のライナ204aと、第2のライナ204bとの間に発泡ゲル203を挟み込んで保持している以外は、基本的に第1の実施形態で説明したヘルメット1と同様であるため、詳細の説明は省略する。
【0057】
本実施形態の場合、発泡ゲル203を保持する凹部は、第1のライナ204a、および第2のライナ204bの両方、あるいはいずれか一方に設けられているものであってもよい。また、第1のライナ204a、および第2のライナ204bの厚さは、一方を厚くし、他方を薄くするものであってもよいし、両方とも同じ厚さとするものであってもよい。
【0058】
以上説明したように本実施形態のヘルメット201によれば、第1の実施形態と同様に、ヘルメット201を大型化することなく、衝撃を吸収できる。
【0059】
また、第1のライナ204aの内側に発泡ゲル203を設けることで、装着者の首周りにおけるヘルメット201の慣性モーメントを小さくできるとともに、シェル202内に収納する際の発泡ゲル203のズレを生じない。また、シェル202の内面と発泡ゲル203とが直接接触させず、発泡ゲル203を、第1のライナ204aと、第2のライナ204bとの間に挟み込んで保持する構成であるため、両面テープ等によるライナへの発泡ゲル203の固定が不要となる。
【0060】
さらに、発泡ゲル203が第1のライナ204aの内側面、第2のライナ204bの外側面に密着しているため、第1のライナ204aの内側面から伝達されてきた衝撃を発泡ゲル203で効率よく分散させ、さらに、発泡ゲル203から伝達される衝撃を第2のライナ204bで効率よく分散させることができる。
【0061】
なお、上述した各実施形態で示された数値および材質等は、一例であり、これらに限定されるものではない。
【0062】
【実施例】
次に、本発明の第1の実施形態で説明した構造のヘルメット1の実施例について説明する。なお、第1の実施形態で用いた符号を用いて以下説明する。
【0063】
シェル2は、平均厚さ3.5mmのABS樹脂からなる。
【0064】
発泡ゲル3は、NPゲル((株)ジェルテック製)を用いた。NPゲルは、比重が0.26、ヤング率269.5MPa、圧縮残存歪み(70℃の雰囲気温度で50%圧縮して22時間放置後、圧縮を解放し、常温で30分放置後の圧縮量に対する歪み量)がクロロプレン、ポリエチレンフォームの1/300、ウレタンフォームの1/60、ガス透過性は有機系フォームの10倍以上の特性を有する。
【0065】
ライナ4は、平均発泡倍率が18〜20倍の発泡スチロールからなる。
【0066】
ライナ4の各凹部に発泡ゲル3を貼り付け、シェル2内に収納し、シェル2をホワイトカラーでウレタン塗装した場合の、完成品としてのヘルメット1の重量は963gであった。
【0067】
上述のヘルメット1を所定の高さより落下させ、前頭部、後頭部、左側頭部、および右側頭部における最高衝撃値を各2回連続して測定したところ、2回とも許容衝撃値以下となり、十分な衝撃吸収特性が得られたことが確認された。
【0068】
前頭部、後頭部、左側頭部、および右側頭部に各部において、2回目の試験においても的確な衝撃吸収特性が得られたのは、1回目の衝撃を受けた際にも発泡ゲル3が各凹部でその位置を保持されることで、シェル2およびライナ4への密着がなされていたことによるものといえる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のヘルメットによれば、衝撃吸収層としてシェル、ライナに加え、独立気泡を含む、軽量かつ高い衝撃緩衝特性のゲル材を有するため、ライナの厚さを薄くすることができる。よって、シェルの大型化を伴わずに、軽量、かつ、高い衝撃緩衝特性のヘルメットとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるヘルメットの側断面図である。
【図2】図1に示したヘルメットのA−A線での断面図である。
【図3】シェルを被せる前の、本発明の第1の実施形態のライナの上面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のライナの斜視図である。
【図5】発泡ゲルと貼り付けた状態のライナの斜視図である。
【図6】リブ部分の拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるヘルメットの側断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるヘルメットの側断面図である。
【符号の説明】
1、101、201 ヘルメット
2、102、202 シェル
3、203 発泡ゲル
4、104 ライナ
5 内装
6、106 外側面
7 リブ
8 凹部
8a 第1の凹部
8b 第2の凹部
8c 第3の凹部
9 内装材クッション
10 内装カバー
11 内側面
12 空隙
13 独立気泡
103a 第1の発泡ゲル
103b 第2の発泡ゲル
111 内側面
204a 第1のライナ
204b 第2のライナ

Claims (4)

  1. 外部からの衝撃を吸収する衝撃吸収層として、外装であるシェルと、前記シェル内に収納されている、発泡部材からなるライナとを有するヘルメットにおいて、
    前記ライナ上のリブで仕切られた複数の凹部内に、独立した発泡気泡を含みかつ前記各凹部の深さよりも厚いゲル材が密着して保持されており、前記ゲル材を逃がす空隙が前記リブ上に形成されていることを特徴とするヘルメット。
  2. 前記ゲル材が、前記シェルと前記ライナとの間に配され、前記シェルに密着している請求項に記載のヘルメット。
  3. 前記ゲル材が、前記ライナの内側に配されている請求項に記載のヘルメット。
  4. 前記ライナが、前記シェルに実質的に密着する第1のライナと、前記第1のライナの内側に設けられる第2のライナとを有し、前記各ゲル材が前記第1のライナの内面および前記第2のライナの外面に実質的に密着することで保持されている請求項に記載のヘルメット。
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