JP3562770B2 - ベンズアゼピン−2−オン誘導体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ベンズアゼピン−2−オン誘導体に関し、さらに詳しくは、医薬として優れた作用を有するベンズアゼピン−2−オン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に心不全と称される心疾患は、急性心不全は勿論のこと、慢性心不全のような疾患であっても、進行すれば生命の危機に直接結びついてしまうことから、治療薬に関する研究が古くから盛んに行われ、その結果、現在に至るまでに様々な作用機序の薬剤が開発されてきた。
【0003】
例えば、ジギタリスで代表される強心配糖体は、心拍数を増加させることなく心収縮力や運動耐容能を改善するものとして古くから使用されている。しかし、これら強心配糖体は安全域が狭く、投与できる患者の範囲が狭いという欠点があり、さらには重篤な不整脈を引き起こすなどの副作用があることから、使用しづらい面があった。
また、心不全の後方障害によるうっ血を軽減させる薬剤として、フロセミドやスピロノラクトンなどの利尿剤を使用することがある。しかし、これらの薬剤は、軽症心不全にも使用可能で、自覚症状を改善するという長所はあるものの、電解質異常や糖代謝異常などの副作用が出現する、あるいは運動耐容能や、いわゆるクオリティ・オブ・ライフの改善に結びつかないという欠点があった。
【0004】
冠血管の血流改善を目的とする血管拡張剤としては、硝酸イソソルビドなどの硝酸薬や、ブナゾシン、プラゾシンに代表されるα遮断薬も用いられる。しかし、前者は、前負荷を軽減して自覚症状や運動耐容能を改善するなどの特徴を有し、速効性で重篤な副作用も見られないことから広く使用されているものの、耐性が生じ易いという欠点がある。また、後者は、前負荷、後負荷の両方を軽減して心拍出量を増加させるという特徴を有するが、自覚症状や運動耐容能の改善に効果がないという報告がなされている。
また、ドパミン、ドブタミンなどのβ刺激剤は、強力な心収縮力増加作用をもたらし、急性心不全の救急治療の第一選択薬として知られているが、耐性を起こし易く、不整脈などを引き起こす可能性もあり、さらに心筋障害などの副作用も知られていることから、使用に際しては注意を要する薬剤であった。
【0005】
ところで、近年、新たな心不全治療剤として、アンジオテンシンI変換酵素(以下、ACEと記す。)阻害剤及び心房性ナトリウム利尿ペプチド分解酵素(Neutral EndPeptidase:NEP−24.11)阻害剤が注目されてきている。
上記心房性ナトリウム利尿ペプチド(以下、ANPと記す。)は、生体内に存在するホルモンで、強力な水・ナトリウム利尿作用及び血管拡張作用などの他、交感神経抑制によるノルエピネフリン遊離抑制作用、腎からのレニン分泌抑制作用、副腎からのアルドステロン分泌抑制作用、さらには静脈における水透過性を亢進させることによる灌流圧低下作用なども示す。例えば、前負荷の上昇を伴ううっ血性心不全患者におけるANPの作用は、心房伸展刺激に比例して分泌が亢進し、循環体液量を代謝的に調節していると考えられている。実際に、心不全患者へのANP投与の結果、肺動脈楔入圧の減少や利尿作用が認められており、心係数及び一回拍出係数を改善する結果も得られている。さらに、ANPは、心不全の悪循環を助長する内因性ホルモン、例えばアルドステロンやノルエピネフリンなどの遊離も抑制し、心不全の病態を多面的に改善することが報告されている。これらのANPの作用は、心不全のみならず、高血圧症の治療薬としても好ましいと考えられるものである。
【0006】
しかしながら、ANPはペプチドであるため、経口投与が不可能な上に代謝的安定性も低く、現在のところ臨床での使用は急性期に限られているという問題があり、また、長期間投与による心機能の悪化例も報告されている。
そこで、ANPの上記特徴をふまえ、経口投与型のANP関連製剤として注目を集めてきたのが、先に述べたANP分解酵素阻害剤(以下、NEP阻害剤と記す。)である。NEP阻害剤は、心不全患者への投与により血中ANP濃度を上昇させ、ナトリウム利尿作用を示すことが報告されている。しかしながら、既存のNEP阻害剤は、心血行動態に対する作用が軽微であり、前負荷及び後負荷の作用が明確ではなかった。
【0007】
一方、血管拡張薬の一つであるACE阻害剤は、心不全の増悪因子であるアンジオテンシンII(以下、AT−IIと記す。)の生成を抑制することにより、慢性心不全に対しNYHA重症度の有為な改善と運動耐用能の向上が認められ、延命効果をも含めた有用性が証明されている。しかしながら、既存のACE阻害剤の有用率は必ずしも高いものではなく、また、低血圧症を起こす等の副作用を有するために腎機能低下例では投与が制限されるなどの問題も指摘されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、現在、NEP阻害剤及びACE阻害剤が新たな心不全治療薬として注目されているが、既存のNEP阻害剤及びACE阻害剤は、何れも有用性の点で限界があることから、両阻害剤の長所を同時に示す様なより有用性の高い心不全治療薬の開発が渇望されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑み、経口投与が可能で、かつ代謝的安定性も良好であり、有効率が高く、合併症のある患者にも広く使用できる薬剤の研究に取り組んだ結果、以下一般式(I)に示すベンズアゼピン−2−オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩が、NEPとACEを同時に阻害して所期の目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R1 は水素原子またはアシル基を意味する。
R2 は水素原子、低級アルキル基を意味する。
R3 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基またはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を意味する。
R4 は水素原子、低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を意味する。
l及びmは、それぞれ独立して0、1又は2の整数を意味する。
nは、1または2の整数を意味する。)
【0012】
R2 、R3 、R4 の定義において、低級アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、 sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基(アミル基)、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基などを意味する。
【0013】
R3 の定義にみられる低級アルコキシ基とは、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−プトキシ基などの上記低級アルキル基から誘導される基を意味する。
【0014】
R3 及びR4 の定義にみられる置換基を有していてもよいアリール基において、アリールとは、フェニル、ナフチルなどを意味する。
【0015】
R3 及びR4 の定義にみられる置換基を有していてもよいヘテロアリール基において、ヘテロアリールとは、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、イソキサゾリル、ピラニル、チアゾリルなどの単環系のヘテロアリールや、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、キノキサリル、キノリル、イソキノリル、インドリル、ベンゾフラニルなどの縮合複素環から誘導される基などを意味する。
【0016】
また、R3 及びR4 の定義にみられる「置換されていてもよいアリール基」及び「置換されていてもよいヘテロアリール基」において、「置換基」とは、メチル、エチル、イソプロピルなどの低級アルキル基、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシなどの低級アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子などのハロゲン原子、置換されていてもよいアリール基などを例としてあげることができる。
【0017】
R1 の定義にみられるアシル基とは、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基などの脂肪族飽和モノカルボン酸から誘導される基、アクリロイル基、プロピオロイル基などの脂肪族不飽和カルボン酸から誘導される基、グリコロイル基、ラクトイル基、サリチロイル基、アニソイル基などのヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸から誘導される基、ニコチノイル、フロイル、テノイルなどの複素環式カルボン酸から誘導される基、ベンゾイル、トルオイルなどの炭素環式カルボン酸から誘導される基などを挙げることができるが、すなわちカルボン酸から誘導される基であればいかなるものでもよい。
【0018】
R3 、R4 の定義にみられるハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを意味する。
薬理学的に許容できる塩とは、例えば塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、りん酸塩などの無機酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。
【0019】
以下に本発明を得るための方法の一例を記す。
製造方法1
【0020】
【化6】
【0021】
(式中、R3 、R4 、n、m、lは前記と同様の意味を有する。
R1aは、アシル基を意味する。
R2aは、低級アルキル基を意味する。)
【0022】
(第1工程)
本工程は、3−アミノ−ベンズアゼピン−2−オン誘導体(III )と、公知もしくは公知の方法によって得られるカルボン酸誘導体(IV)あるいはその酸ハロゲン化物などの活性誘導体を縮合し、アミド誘導体(V)を得る工程である。縮合は、通常用いられる方法により行われるが、例をあげれば、化合物(III )および(IV)をEEDQ(1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン)、DCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DEC[1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩]、またはジエチルシアノホスホネートのような通常使用する縮合試薬の存在下に塩化メチレンやテトラヒドロフランなどに代表される不活性溶媒中で反応させることにより化合物(V)が得られる。化合物(IV)の酸クロライドを経由する場合は、化合物(IV)を適当な不活性溶媒中で塩化チオニル、シュウ酸クロライドなどの通常用いられるクロル化剤により酸フロライドとし、アミン体(III )を反応させることにより、化合物(V)を得ることができる。
【0023】
(第2工程)
本工程は、第1工程で得られたアミド誘導体(V)のエステル基及びアシルチオ基を常法により脱保護し、メルカプトカルボン酸誘導体(VI)を得る工程である。脱保護は、アミド誘導体(V)を、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの希アルカリ水溶液あるいは希鉱酸水溶液中で加水分解させることにより行われる。
【0024】
製造方法2
R3 が置換基を有していていてもよいアリール基の場合の化合物(III )は、以下の方法によって合成することができる。
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
(式中、R2a、nは前記と同様の意味を有する。
R3aは、置換基を有していてもよいアリール基を意味する。
Xは、ハロゲン原子を意味する。)
【0029】
(第1工程)
本工程は、公知もしくは公知の方法によって得られるヒドロキシテトラロン誘導体(VII )のトリフルオロメタンスルホニル化により、トリフルオロメタンスルホニルオキシ体を得る工程である。トリフルオロメタンスルホニル化は、化合物(VII)を、ピリジンなどの塩基存在下に塩化メチレンやテトラヒドロフランなどに代表される不活性溶媒中で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物あるいはトルフルオロメタンスルホニルクロライドを反応させることにより行われる。
【0030】
(第2工程)
本工程は、第1工程で得られたトリフルオロメタンスルホニルオキシ体(VII )とアリールほう酸化合物(IX)あるいはアリールすず化合物(X)をカップリングし、アリールテトラロン誘導体(XI)を得る工程である。(VIII)と(IX)あるいは(X)とのカップリング反応は本反応を阻害しない適当な溶媒中、適当な塩基およびパラジウム触媒の存在下に行われる。溶媒としては、トルエンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類があげられる。塩基としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ若しくはアルカリ土類金属炭酸塩、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等の有機塩基があげられる。パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)があげられる。
【0031】
(第3工程)
本工程は、第2工程で得られたアリールテトラロン誘導体(XI)を、一般的に知られるベックマン転位あるいはシュミット転位により、ベンズアゼピン誘導体(XII )を得る工程である。転位反応は、化合物(XI)をヒドロキシルアミン塩酸塩で処理してオキシム体とした後、適当な酸存在下で加熱するか(ベックマン転位)、適当な酸存在下、アジ化水素酸あるいはアジ化ナトリウムを反応させる(シュミット転位)ことにより行われる。酸としては、硫酸、ポリリン酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸などがあげられる。
【0032】
(第4および第5工程)
本工程は、第3工程で得られたベンズアゼピン誘導体(XII )のハロゲン化および還元反応により、3−ハロ−ベンズアゼピン誘導体(XIV )を得る工程である。ジハロゲン化および還元反応は、Nagasawa等の方法[J.Med.chem., 14, 501(1979) 〕に従って行われる。すなわち、まず(XII )をPX5 (X=BrあるいはCl)と反応させて(XIII)を得、次いでパラジウム触媒下、接触水素添加を行うことにより(XIV )を得ることができる。
【0033】
(第6工程)
本工程は、第5工程で得られたハロ体(XIV )のアジド化により、アジド体(XV)を得る工程である。アジド化は、ハロ体(XIV )を適当な溶媒、例えばエタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド中、アジ化ナトリウム、あるいはアジ化リチウムを反応させることにより行われる。
【0034】
(第7工程)
本工程は、第6工程で得られたアジド体(XV)のアルキル化により、N−アルキル体(XVI )を得る工程である。アルキル化はアジド体(XV)を適当な溶媒、例えばジメチルホルムアミドあるいはテトラヒドロフラン中、水素化ナトリウムのような強塩基存在下ヨードアルキルエステルを反応させるか、あるいはテトラヒドロフラン中、炭酸カリウムなどの塩基存在下、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨーダイド等のような相間移動触媒を用いて、ハロアルキルエステルを反応させることによって行われる。
【0035】
(第8工程)
本工程は、第7工程で得られたN−アルキル体(XVI )の還元反応によりアミン体(III )を得る工程である。還元反応はN−アルキル体(XV)を適当な溶媒、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル中、パラジウム−炭素のような触媒の存在下、接触水素添加することにより行われる。
このアミン体(XVII)またはその誘導体である一般式(II)で示されるベンズアゼピン−2−オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩は新規物質であり、本発明の前記一般式(I)で示されるベンズアゼピン−2−オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩の製造中間体として有用である。
【0036】
以下に本発明化合物の効果を示すために、薬理実験例を示す。
薬理実験例1
ラット腎皮質を用いた薬物のNEP阻害活性の測定
1.実験方法
ラットの腎皮質より Booth and Kennyの方法(A Rapid Metod for the Purificaton of Microvilli from Rabbit Kidney., Andrew G. Booth and A.John Kenny, Biochem j., 1974, 142, 575−581.)に準じて調製した膜画分を用いて、NEP活性を測定した。
【0037】
NEP活性は、Orlowsky and Wilk の方法(Purification and Specificity of a Membrane−Bound Metalloendpeptidase from Bovine Pituitaries., Marian Orlowsky and Shrwin Wilk, Biochemistry, 1981, 20, 4942−4950.)に準じて、以下の方法によって測定した。
基質としてベンゾイル−グリシン−アルギニン−アルギニン−2−ナフチルアミド(ベンゾイル−Gly−Arg−Arg−2ナフチルアミド(Nova Biochem, Switzerland ))を用い、NEP酵素標品及び過剰のロイシンアミノペプチダーゼ(leucine aminopeptidase(sigma chemical Co., U.S.A.))存在下、遊離するナフチルアミン(Naphthyl amine)をファーストガーネット(first garnet(Sigma chemical Co., U.S.A.))で発色させて 540nmの波長の吸光度を測定した。
【0038】
NEPの阻害活性は、上記の実験系に、阻害剤の最終濃度が1、3、10、30、 100、 300及び1000nMになるように添加し、阻害曲線を求め、50%阻害を示す濃度をIC50として求めた。
2.実験結果
上記実験の結果を薬理実験例2の結果と共に以下の表1に示す。
【0039】
薬理実験例2
ラット肺を用いた薬物のACE阻害活性の測定
1.実験方法
ラットの肺より Wu−Wongらの方法(Characterization of Endthelin Converting Enzyme in Rat Lung., Junshyum R.Wu−Wong, Gerald P.Budzik, Edward M.Devine and Terry J.Opgenorth, Biochem. Biophys. Res. Commun., 1990, 171, 1291−1296. )に従って調製した膜画分を用いて、ACE阻害活性を見た。
【0040】
ACE活性は、Cushman and Cheung(Spectrophotometric Assay and Properties of the Angiotensin−Converting Enzyme of Rabbit Lung., Cushman D.W. and Cheung H.S., 1971, 20, 1637−1648.)の変法(ホウ酸塩バッファー(borate
buffer )pll 8.3 に改変)を用いて測定した。
ACE存在下、ヒプリル−ヒスチジン−ロイシン(Hippuryl−His−Leu(Peptid elnstitute lnc., Japan ))から遊離するヒプレート(Hippurate )を酢酸エチルで抽出後 228nmの波長の吸光度を測定した。
ACEの阻害活性は、上記実験系に、阻害剤の最終濃度が1、3、10、30、 100、 300及び1000nMになるように添加し、阻害曲線を求め、50%阻害を示す濃度をIC50として求めた。
2.実験結果
上記実験方法により行った実験結果を以下の表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
上記実験より本発明の化合物は、ACE阻害作用及びNEP阻害作用の両方を有していることが明らかとなった。従って、本発明の化合物は、上述したACE阻害作用及びNEP阻害作用により、心不全における病態の代償機構であるANPの作用を増強するとともに、心不全の増悪因子であるAT−IIの生成を抑制し、体液減少、前負荷軽減、後負荷軽減など、心不全に対して多面的な治療効果が期待でき、加えて利尿降圧剤としての応用も可能である。
【0043】
さらに具体的に本発明の化合物が適用される疾患を挙げれば、急性又は慢性心不全、狭心症、高血圧症などを挙げることができる。また、本発明の化合物は、毒性が低く、安全性が高いという性質を有することからも、医薬品として極めて価値の高い物質である。
【0044】
また、本発明の化合物は、上述した疾患の予防あるいは治療剤として用いる場合、経口投与あるいは非経口投与で用いることができる。なお、投与量は、患者の症状の程度、年齢、性別、薬物に対する感受性差、投与方法、投与の時期、投与間隔、医薬製剤の性質、医薬製剤の種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、通常成人1日当たり、約 0.1〜1000mgを1〜数回にわたって投与するのが好適である。
【0045】
本発明の化合物を製剤化する際は、通常の製剤用担体を用い、常法により行うことができる。
すなわち、経口用固形製剤を調製する場合は、主薬の賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、抗酸化剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などとする。
【0046】
上記賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素などが用いられる。
また、結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン等が用いられ、滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油等が用いられる。
【0047】
また、着色剤としては、医薬品に添加することが許可されているものであればよく、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香酸、ハッカ油、龍脳、桂皮末等が用いられる。抗酸化剤としては、アスコルビン酸(ビタミンC)、α−トコフェロール(ビタミンE)など、医薬品に添加することが許可されているものであればよい。また、これらの錠剤、顆粒剤には、糖衣、ゼラチン衣、その他必要に応じ適宜コーティングすることは勿論差し支えない。
【0048】
一方、注射剤を調製する場合は、主薬に、必要に応じてpH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、抗酸化剤、保存剤などを添加し、常法により静脈、皮下、筋肉内注射を調製することができる。また、その際、必要に応じ、凍結乾燥物とすることも可能である。
【0049】
上記懸濁化剤としての例を挙げれば、例えばメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。
【0050】
また、溶解補助剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。
【0051】
また、安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、エーテル等が用いられ、保存剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の理解を容易にするために実施例を挙げるが、本発明がこれらのみに限定されることがないことは言うまでもない。
なお、本発明の原料化合物の合成例も以下に示す。
【0053】
合成例1
7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン
【0054】
【化10】
【0055】
7−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン(9.94g、61.29mmol )およびピリジン24.8ml(306mmol )のジクロロメタン溶液100ml を0℃で攪拌しながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物11.86ml を5℃を超えないように少量ずつ滴下した。同温度で10分、次いで室温で30分攪拌した後、反応液に水を加えた。ジクロロメタン層を分取し、1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン:酢酸エチル=10:1、v/v より8:1、v/v まで漸次溶出し、表記化合物を淡黄色油状物として15.33 g得た。収率85%。
【0056】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.91(1H,t,J=1Hz), 7.37(2H,d,J=1Hz), 3.00(2H,t,J=6Hz), 2.70(1H,d,J=6Hz), 2.68(1H,d,J=6Hz), 2.18(2H,quint,J=6Hz)
【0057】
合成例2
7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン
【0058】
【化11】
【0059】
合成例1で得られた7−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン15.32 g(52.06mmol )、フェニルほう酸12.7g(104.12mmol)、炭酸カリウム10.8g(78.09mmol )、トルエン450ml の混合物を室温で攪拌しながら、窒素ガスを30分通した。次いでテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.81g(1.57mmol)を加え、徐々に加熱し、内温を90℃前後に保った。この温度で90分攪拌後、反応液を冷却し水を加えた。不溶物をセライトで濾過し、酢酸エチルでよく洗った。有機層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、1N塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン:酢酸エチル=20:1、v/v より12:1、v/v まで漸次溶出し、表記化合物を白色結晶として9.53gを得た。収率82%。
【0060】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 8.28(1H,d,J=2Hz), 7.72(2H,dd,J=8.2Hz), 7.64 〜 7.33(8H,m), 3.01(2H,t,J=6Hz), 2.71(1H,d,J=6Hz), 2.69(1H,d,J=6Hz), 2.18(2H,quint,J=6Hz)
【0061】
合成例3
8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0062】
【化12】
【0063】
合成例2で得られた7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン9.19g(41.34mmol )と、ポリリン酸150 gの混合物を50℃〜60℃で攪拌し、アジ化ナトリウム2.96g(45.47mmol )を固体のまま少量ずつ加えた。この温度でさらに90分攪拌した後、反応液を氷水に加えた。析出した結晶を濾取し、水、n−ヘキサンで洗浄し、70℃で一晩温風乾燥し、表記化合物9.3 gを得た。収率95%。
【0064】
1H−NMR(400 MHz、DMSO−d6 )δ: 9.60(1H,s), 7.58(2H,d,J=8Hz), 7.44(2H,t,J=8Hz), 7.35−7.29(3H,m), 7.22(1H,d,J=2Hz), 2.69(2H,t,J=7Hz), 2.17(2H,t,J=7Hz), 2.09(2H,quint,J=7Hz)
【0065】
合成例4
3,3−ジクロロ−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0066】
【化13】
【0067】
合成例3で得られた8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン8.94g(37.67mmol )と、キシレン180ml の混合物に五塩化リン23.53 g(113mmol )を加え、徐々に加熱した。90℃前後で30分攪拌後、反応液に水を加えて、飽和炭酸ナトリウム水溶液で中和した。ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣の油状物に酢酸エチルを加えて結晶化させ、表記した化合物2.60gを得た。母液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル:20:1、v/V まで漸次溶出し、さらに表記化合物を0.38g得た。トータル2.98g。収率26%。
【0068】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.70(1H,d,J=2Hz), 7.61 〜 7.35(6H,m), 7.21(1H,d,J=8Hz), 3.09 〜 3.01(4H,m)
【0069】
合成例5
3−クロロ−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0070】
【化14】
【0071】
合成例4で得られた3,3−ジクロロ−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン2.88g(9.4mmol )、酢酸ナトリウム0.89g(11.89mmol )、10%Pd−C0.2 gおよび酢酸40mlの混合物を室温下3atm で2時間接触水素添加した。不溶物を濾去し、濾液を濃縮後、残渣にジクロロメタンを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。ジクロロメタン層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣に少量のジクロロメタンを加えて結晶を濾取し、表記化合物を0.53g得た。母液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン:酢酸エチル=6:1、v/v より3:1、v/v まで、さらにCH2 Cl2 :メタノール= 200:1、v/v で漸次溶出して、さらに表記化合物を0.4 g得た。トータル0.93g。収率36%。
【0072】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.55〜7.21(8H,m), 4.55(1H,dd,J=11.7Hz), 3.09 〜 2.51(4H,m)
【0073】
合成例6
3−アジド−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0074】
【化15】
【0075】
合成例5で得られた3−クロロ−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.93g(3.42mmol)、アジ化ナトリウム0.27g(4.18mmol)およびジメチルスルホキシド15mlの混合物を80℃で3時間攪拌した。アジ化ナトリウムをさらに0.05g追加し、30分攪拌後、反応液を氷水に加えて結晶を濾取し、減圧乾燥することにより表記化合物を0.77g得た。収率81%。
【0076】
1H−NMR(400 MHz、DMSO−d6 )δ: 7.60〜7.33(7H,m), 7.24(1H,d,J=2Hz), 3.97(1H,dd,J=11.7Hz), 2.81 〜 2.69(2H,m), 2.40(1H,m), 2.10(1H,m)
【0077】
合成例7
3−アジド−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0078】
【化16】
【0079】
合成例6で得られた3−アジド−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.75g(2.70mmol)、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド0.093 g(0.288mmol )、粉末炭酸カリウム0.17g(3.03mmol)およびテトラヒドロフランの混合物30mlを室温で攪拌しながら、ブロモ酢酸エチル0.35ml(3.16mmol)を加えて2時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加えて、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン:酢酸エチル=15:1、v/v で溶出して、表記化合物を淡黄色油状物として0.8 g得た。収率81%。
【0080】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.55〜7.34(7H,m), 7.31(1H,d,J=8Hz), 4.78(1H,d,J=17Hz), 4.47(1H,d,J=17Hz), 4.20(2H,dq,J=7.3Hz), 3.87(1H,brt,J=9Hz), 3.40(1H,m), 2.74(1H,m), 2.52 〜 2.33(2H,m), 1.26(3H,t,J=7Hz)
【0081】
実施例1
3−アミノ−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0082】
【化17】
【0083】
合成例7で得られた3−アジド−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.785 g(2.15mmol)、10%Pd−C0.05gおよびエタノール20mlの混合物を室温下4atm で1時間接触水素添加した。触媒を濾去し、濾液を濃縮し、表記化合物を淡黄色油状物として0.73g得た。収率 100%。
【0084】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.56〜7.35(6H,m), 7.33(1H,d,J=2Hz), 7.30(1H,d,J=8Hz), 4.69(1H,d,J=17Hz), 4.51(1H,d,J=17Hz), 4.21(2H,dq,J=7.1Hz), 3.53(1H,dd,J=11.8Hz), 3.28(1H,dt,J=13.8Hz), 2.65(1H,dd,J=14.7Hz), 2.46(1H,m), 1.96(1H,m)
【0085】
実施例2
(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−3−フェニルプロピオニルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0086】
【化18】
【0087】
実施例1で得られた3−アミノ−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン341mg (1mmol )、(2S)−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸247mg (1.1mmol )をジクロロメタン20mlに溶解し、EEDQ300mg (1.21mmol)を加え、混合溶液を一晩攪拌した。反応液を1N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン:酢酸エチル=15:1、v/v より、3:1、v/v まで漸次溶出し、表記化合物を無色アモルファスとして329mg を得た。収率72%。
【0088】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.55〜7.15(13H,m), 7.04 and 6.88(total 1H,each br), 4.82 and 4.78(total 1H,each d,J=17Hz), 4.50(1H,m), 4.39 and 4.34(total 1H,each d,J=17Hz), 4.27 〜 4.12(3H,m), 3.42 〜 3.22(2H,m), 2.94(1H 、 m), 2.77 〜 2.49(2H,m), 2.34 and 2.33(total 3H,each S), 1.24(3H,q,J=7Hz)
【0089】
実施例3
(RS)−1−カルボキシメチル−3−[(2S)−メルカプト−3−フェニルプロピオニルアミノ]−8−フェニル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0090】
【化19】
【0091】
実施例2で得られた(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−3−フェニルプロピオニルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン358mg (0.657mmol )と脱気したエタノール10mlの混合物を窒素雰囲気下、0℃で攪拌しながら脱気した1規定水酸化ナトリウム水溶液3.3ml を加え、次いで室温で2時間30分攪拌した。反応液を冷却し、1規定塩酸で酸性とし、さらに水を加えた。析出した白色結晶を濾取し水、n−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥することにより、表記化合物を267mg 得た。収率86%。
【0092】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.54〜7.14(13H,m), 4.74 and 4.73(total 1H,each d,J=17Hz), 4.54(1H,m), 4.47 and 4.45(total 1H,each d,J=17Hz), 3.56 and 3.42(total 1H,each m), 3.3 〜 3.16(2H,m), 3.06(1H,dd,J=14.7Hz), 2.98(1H,dd,J=14.7Hz), 2.74 〜 2.52(2H,m), 2.08 and 1.97(total 1H,each d,J=9Hz)
【0093】
実施例4
(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−3−メチルブチリルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0094】
【化20】
【0095】
実施例1で得られた3−アミノ−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン352mg (1.04mmol)、(2S)−アセチルチオ−3−メチルブタン酸202mg (1.14mmol)を実施例2と同様の方法で反応させ、表記化合物を無色アモルファスとして396mg 得た。収率77%。
【0096】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.55〜7.29(8H,m), 7.10 and 7.03(total 1H,each brd,J=7Hz), 4.86 and 4.83(total 1H,each d,J=17Hz), 4.61 〜 4.54(1H,m), 4.39 and 4.37(total 1H,each d,J=17Hz), 4.24 〜 4.13(3H,m), 3.85 and 3.84(total 1H,each d,J=7Hz), 3.40(1H,m), 2.80 〜 2.60(2H,m), 2.37(3H,s), 2.26 and 2.95(total 1H,each m), 1.25(3H,q,J=7Hz), 0.99 and 0.96(total 6H,each d,dd,each J=7Hz,J=7.2Hz)
【0097】
実施例5
(RS)−1−カルボキシメチル−3−[(2S)−メルカプト−3−メチルブチリルアミノ]−8−フェニル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0098】
【化21】
【0099】
実施例4で得られた(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−3−メチルブチリルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−8−フェニル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン347mg (0.7mmol )を実施例3と同様の方法で加水分解し、表記化合物を白色結晶として243mg を得た。収率81%。
【0100】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.55〜7.29(8H,m), 4.80 and 4.78(total 1H,each d,J=17Hz), 4.60(1H,m), 4.48 and 4.46(total 1H,each d,J=17Hz), 3.33(1H,m), 3.11(1H,m), 2.78 〜 2.62(2H,m), 2.18(1H,m), 2.01(1H,m), 1.84 and 1.83(total 1H,each d,J=9Hz), 0.99 〜 0.94(6H,m)
【0101】
実施例6
(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−3−フェニルプロピオニルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0102】
【化22】
【0103】
3−アミノ−1−エトキシカルボニルメチル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.76g(2.9mmol )、(2S)−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸0.65g(2.9mmol )およびテトラヒドロフラン30mlの混合溶液にDEC0.61g(3.18mmol)、N−メチルモルホリン0.35ml(3.18mmol)、1−ヒドロキシベンズトリアゾール0.43g(3.18mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水、1N塩酸、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。トルエン:酢酸エチル=7:1、v/v で溶出して、表記化合物を無色アモルファスとして0.95gを得た。収率70%。
【0104】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.30〜7.08(9H,m), 7.04 and 6.88(total 1H,each brd,J=7Hz), 4.77 and 4.72(total 1H,each d,J=17Hz), 4.42(1H,m), 4.33 and 4.28(total 1H,each d,J=17Hz), 4.24 〜 4.08(3H,m), 3.38 〜 3.21(2H,m), 2.93(1H,m), 2.75 〜 2.46(2H,m), 2.33 and 2.32(total 3H,each s), 1.83 and 1.66(total 1H,each m)
【0105】
実施例7
(RS)−1−カルボキシメチル−3−[(2S)−メルカプト−3−フェニルプロピオニルアミノ]1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0106】
【化23】
【0107】
実施例6で得られた(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−3−フェニルプロピオニルアミノ]−1−エトキシカボニルメチル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.65g(1.39mmol)を脱気したエタノール10mlの混合溶液を窒素雰囲気下、0℃で攪拌しながら脱気した1規定水酸化ナトリウム水溶液7mlを加え、次いで室温で3時間攪拌した。反応液を冷却して1規定塩酸で酸性としジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、表記化合物を無色アモルファスとして0.53gを得た。収率96%。
【0108】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.31〜7.11(9H,m), 4.68 and 4.65(total 1H,each d,J=17Hz), 4.51 〜 4.38(2H,m), 3.55 and 3.42(total 1H,each m), 3.28 〜 3.14(2H,m), 3.05 and 2.97(total 1H,each dd,J=14.7Hz), 2.72 〜 2.48(2H,m), 2.07 and 1.96(total 1H,each d,J=9Hz), 1.88 and 1.64(total 1H,each m)
【0109】
実施例8
(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−(3S)−メチルバレリルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0110】
【化24】
【0111】
3−アミノ−1−エトキシカルボニルメチル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.525g(2mmol)、(2S)−アセチルチオ−(3S)−メチルバレリン酸0.418g(2.2mmol)を実施例2と同様の方法で反応させ表題化合物0.42gを無色アモルファスとして得た。収率48%。
【0112】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.31〜7.00(5H,m), 4.81 and 4.78(total 1H,each d,J=17Hz), 4.53 〜 4.45(1H,m), 4.33 and 4.31(total 1H,each d,J=17Hz), 4.22 〜 4.12(2H,m), 3.91 and 3.89(total 1H,each d,J=7Hz), 3.44 〜 3.33(1H,m), 2.78 〜 2.56(2H,m), 2.37(3H,s), 2.07 〜 1.87(2H,m), 1.59 〜 1.50(1H,m), 1.28 〜 1.22(3H,m), 0.96 and 0.95(total 3H,each d,J=7Hz), 0.85(total 3H,each t,J=7Hz)
【0113】
実施例9
(RS)−1−カルボキシメチル−3−[(2S)−メルカプト−(3S)−メチルバレリルアミノ]−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0114】
【化25】
【0115】
実施例8で得られた(RS)−3−[(2S)−アセチルチオ−(3S)−メチルバレリルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.385g(0.89mmol)と脱気したエタノール15mlの混合溶液を窒素雰囲気下0℃で攪拌しながら、脱気した1規定塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、表題化合物0.34g を無色アモルファスとして得た。(収率:定量的)。
【0116】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.39〜7.14(5H,m), 4.74 and 4.71(total 1H,each d,J=17Hz), 4.57 〜 4.50(1H,m), 4.44 and 4.43(total 1H,each d,J=17Hz), 3.34 〜 3.10(2H,m), 2.77 〜 2.58(2H,m), 2.03 〜 1.87(2H,m), 1.85 and 1.84(total 1H,each d,J=9Hz), 1.64 〜 1.50(1H,m), 1.22 〜 1.15(1H,m), 0.95(3H,d,J=7Hz), 0.86(3H,t,J=7Hz)
【0117】
実施例10
(3S)−[(2S)−アセチルチオ−(3S)−メチルバレリルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0118】
【化26】
【0119】
(3S)−アミノ−1−エトキシカルボニルメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.55g (2.1mmol)、(2S)−アセチルチオ−(3S)−メチルバレリン酸0.434g (2.3mmolを実施例2と同様の方法で反応させ表題化合物0.614g を無色アモルファスとして得た。収率67%。
【0120】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.31〜7.17(3H,m), 7.12(1H,dd,J=8.1Hz), 7.01(1H,brd,J=7Hz), 4.78(1H,d,J=17Hz), 4.49(1H,dt,J=11.8Hz), 4.33(1H,d,J=17Hz), 4.24 〜 4.12(2H,m), 3.89(1H,d,J=7Hz), 3.38(1H,m), 2.74 〜 2.56(2H,m), 2.37(3H,s), 2.04 〜 1.87(2H,m), 1.56(1H,m), 1.25(3H,t,J=7Hz), 1.14(1H,m), 0.96(3H,d,J=7Hz), 0.86(3H,t,J=8Hz)
【0121】
実施例11
(3S)−1−カルボキシメチル−[(2S)−メルカプト−(3S)−メチルバレリルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン
【0122】
【化27】
【0123】
実施例10で得られた(3S)−[(2S)−アセチルチオ−(3S)−メチルバレリルアミノ]−1−エトキシカルボニルメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]ベンズアゼピン−2−オン0.6g (1.38mmol)を実施例9の方法と同様に加水分解し、表題化合物0.49g を無色アモルファスとして得た。収率97%。
【0124】
1H−NMR(400 MHz、CDCl3 )δ: 7.40(1H,brd,J=7Hz), 7.33 〜 7.14(4H,m), 4.71(1H,d,J=17Hz), 4.54(1H,dt,J=11,7Hz), 4.44(1H,d,J=17Hz), 3.29(1H,m), 3.17(1H,dd,J=9.7Hz), 2.74 〜 2.59(2H,m), 2.04 〜 1.89(2H,m), 1.84(1H,d,J=9Hz), 1.55(1H,m), 1.17(1H,m), 0.95(3H,d,J=7Hz), 0.86(3H,t,J=7Hz)
Claims (7)
- 請求項1記載のベンズアゼピン―2―オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする心房性ナトリウム利尿ペプチド分解酵素阻害剤。
- 請求項1記載のベンズアゼピン―2―オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とするアンジオテンシンI変換酵素阻害剤。
- 請求項1記載のベンズアゼピン―2―オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする心不全治療・予防剤。
- 請求項1記載のベンズアゼピン―2―オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする高血圧症治療・予防剤。
- 請求項1記載のベンズアゼピン―2―オン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする狭心症治療・予防剤。
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