JP3562164B2 - 水銀供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光灯の製造工程における水銀封入を行うものに好適な水銀供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、蛍光灯の製造工程においては、管球内を真空状態とする排気工程時に水銀を管球内に供給するようになっている。従来の水銀供給装置においては、水銀の秤量機能と供給機能とを有しており、水銀合金などの所定量の固体水銀を所定のタイミングで管球内に投下させる構成となっている。
【0003】
このような水銀供給装置は、特公平7−105196号公報、実開昭60−149052号公報等によって開示されている。実開昭60−149052号公報の提案においては、装置側面から水銀合金を装置内に供給する方法を採用している。これに対し、特公平7−105196号公報の提案においては、固体水銀を装置上部から装置内に供給することができ、水銀合金の装置への供給を簡単なものとしている。
【0004】
特公平7−105196号公報の提案では、固体水銀の投下タイミングを規定するために、装置と管球との間に磁性金属球を利用した供給弁を設けている。即ち、装置上部に設けた蓋から装置内に供給された固体水銀は、金属球を用いた弁によって装置内に保持される。投下タイミングになると、装置上部からマグネットによって金属球を移動させることにより弁を開いて、固体水銀を管球内に投下して封入するのである。
【0005】
更に、特公平7−105196号公報の提案では、弁として第1及び第2の2つの金属球を有している。これにより、金属球の移動距離を小さくして蓋への衝突力を低減して、気密が損なわれることを防止している。
【0006】
しかしながら、弁として金属球を用いることにより装置上部から固体水銀の供給を可能にした反面、金属球とマグネットとの距離を比較的小さくする必要から、金属球を装置下部方向に位置させることができず、水銀合金が装置上部に保持されてしまう。このため、封入の際に管球までの落下距離が長くなって、弁の動作から実際の封入までの時間が長くなり、封入確率が低下するという問題があった。
【0007】
また、第1及び第2の金属球を重合させた場合でも、金属球の移動量を十分に小さくすることはできず、金属球は蓋に比較的大きな衝突力で衝突してしまう。このため、装置内の気密性を十分に確保することができないという問題もあった。
【0008】
なお、供給装置側面から固体水銀を供給する方法では、固体水銀の管球までの落下距離を短くすることはできるが、上述したように、装置内に固体水銀を供給する装置の構造が複雑となり、前段階の処理時間が長くなって、結局封入時間及び封入確率などの面で問題があった。
【0009】
ところで、従来の水銀供給装置においては、気密性を向上させるために、蓋と本体との間にOリングを設けると共に、蓋の開閉をスプリングによって抑止する方法を採用している。Oリングはスプリングの付勢力と装置内減圧時の負圧によって、押し潰されることにより、気密性を維持する。
【0010】
しかしながら、スプリングの付勢力と装置内の負圧だけでは、Oリングを十分に押しつぶすことはできず、気密性を確保することが困難であった。このため、装置本体からのリーク量が多く、管球内を十分に減圧することができないという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の水銀供給装置においては、封入の際における固体水銀の落下距離が長く、封入時間が長くなって封入確率が低下するという問題点があった。また、金属球の蓋への衝突力で装置内の気密性を十分に確保することができないという問題もあった。更に、Oリングの潰し量が十分でないことから気密性を確保することが困難であるという問題点があった。
【0012】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、固体水銀の落下距離を短くして封入時間を短縮することにより封入確率を向上させることができる水銀供給装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、供給弁が蓋に衝突しても、装置内の気密性を十分に確保することができる水銀供給装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、Oリングを十分な潰し量で押圧することを可能にすることにより、装置内の気密性を十分に確保することができる水銀供給装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る水銀装置は、固体水銀が供給される挿通孔と;前記挿通孔内に設けられ、テーパ状の受部及び筒部を有して前記固体水銀が前記受部に供給される漏斗部と;柱状部を有し、この柱状部が前記挿通孔内に上下に摺動自在に設けられ、下方への移動時に前記柱状部の先端が前記受部の所定位置において前記受部を閉塞して前記受部から前記筒部への前記固体水銀の通過を制御する金属磁性体供給弁と;を具備した水銀供給装置において、
前記金属磁性体供給弁は、前記柱状部とこの柱状部の周囲に設けられる案内部とによって構成され;前記案内部は、前記柱状部に放射状に設けられ水平方向端部が前記挿通孔内周面に摺接するように形成される;
ことを特徴とするものであり、
前記固体水銀としては例えば合金又はアマルガム等の水銀合金がある。金属磁性体供給弁は、径を前記筒部の径よりも若干大きい径にすることにより、前記受部の比較的筒部に近い位置、即ち、管球に近い位置において受部を閉塞することができ、固体水銀を管球に近い位置で保持することができる。また、金属磁性体供給弁は、柱状に形成されるので、その上端が挿通孔の上端開口部近傍に位置するような長さとすることができ、上方への移動距離を小さくして、開口部を閉塞する蓋への衝突力を低減することができる。この場合、前記案内部下端をC面又はR面に形成することにより、金属磁性体供給弁の挿通孔内の摺動を容易にすることができる。また、案内部を薄板形状とするとで、金属磁性体供給弁を軽量に構成することができる。
【0017】
本発明の請求項2に係る水銀供給装置は、請求項1に記載の水銀供給装置において、前記案内部は、前記水平方向端部が鋭角に形成されて前記挿通孔内周面に摺接する;ことを特徴とするものであり、
前記案内部は前記水平方向端部を鋭角にするために、案内部の先端のみを鋭角にしてもよく、案内部の周方向に向かうに従って、薄板形状の厚さを薄くするようにしてもよい。即ち、案内部は、挿通孔内周面に摺接する部分の面積を十分に小さくする形状にすればよい。
【0018】
本発明の請求項3に係る水銀供給装置は、固体水銀が供給される挿通孔と;
前記挿通孔内に設けられ、テーパ状の受部及び筒部を有して前記固体水銀が前記受部に供給される漏斗部と;柱状部を有し、この柱状部が前記挿通孔内に上下に摺動自在に設けられ、下方への移動時に前記柱状部の先端が前記受部の所定位置において前記受部を閉塞して前記受部から前記筒部への前記固体水銀の通過を制御する金属磁性体供給弁と;を具備した水銀供給装置において、
前記金属磁性体供給弁は、前記柱状部とこの柱状部の周囲に設けられる案内部とによって構成され;前記案内部は、棒状に形成されて前記棒状部に放射状に設けられ水平方向端部が前記挿通孔内周面に摺接するように形成される;ことを特徴とするものであり、
前記棒状に形成された案内部は、前記柱状部の上下の複数の位置に配設してもよい。
【0019】
本発明の請求項4に係る水銀供給装置は、請求項1ないし3の何れか一に記載の水銀供給装置において、前記金属磁性体供給弁は、上端が周辺に向かって下方に傾斜した形状を有する;ことを特徴とするものであり、
前記金属磁性体供給弁の上端の形状は、平面的であってもよく、また、例えば曲面的であってもよい。
【0021】
本発明の請求項1においては、固体水銀は挿通孔を通過して漏斗部の受部に到達する。封入前までは金属磁性体供給弁は受部を閉塞しており、固体水銀は受部において保持される。封入時には、金属磁性体供給弁は上方に移動して、固体水銀を受部から筒部に落下させる。また、放射状に設けられた案内部の各水平方向端部は挿通孔内周面に垂直方向の所定長さだけ摺接していることにより、金属磁性体供給弁は、挿通孔の中心軸から偏心することなく、円滑に摺動する。
【0023】
本発明の請求項2においては、案内部の水平方向端部が鋭角であるので、この水平方向端部と挿通孔内周面との間の隙間によって固体水銀の落下が阻止されることはない。
【0024】
本発明の請求項3においては、棒状に形成された案内部によって、金属磁性体供給弁は挿通孔内を偏心することなく円滑に摺動する。
【0025】
本発明の請求項4においては、金属磁性体供給弁の上面が周辺に向かって下方に傾斜しているので、挿通孔に供給された固体水銀は、金属磁性体供給弁に落下が阻止されることはない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る水銀供給装置を示す説明図である。図1(A)は水銀供給装置を垂直方向に切断した断面形状を示し、図1(B)は図1(A)に示す切断面で切断した断面形状を示し、図1(C)は漏斗部の受部近傍を拡大して示している。
【0030】
図1に示す水銀供給装置1は円筒形状の本体部2を有している。本体部2内は上方側が広径で下方側が細径の挿通孔3が設けられている。挿通孔3には漏斗部4が取り付けられている。漏斗部4は受部5及び筒部6によって構成されており、テーパ状の受部5は挿通孔3の広径部分に配設され、筒部6は受部5の下側に取り付けられて、挿通孔3の細径部分下端において筒口7を有する。なお、挿通孔3の細径部分下端には、管球を挿入する挿入部が設けられている。
【0031】
挿通孔3は本体部2上端において開口部8を有しており、この開口部8は蓋9によって閉塞することができるようになっている。水銀供給時には、管球内に封入する水銀を例えば合金又はアマルガム等の固体水銀にして、開口部8から挿通孔3内に供給するようになっている。
【0032】
本実施の形態においては、固体水銀の投下タイミングを規定するために、漏斗部4の受部5に設ける供給弁として、円柱状の磁性金属棒であるプランジャー10を用いるようになっている。
【0033】
図2は図1中のプランジャー10の具体的な構成を示す説明図である。図2(A)はプランジャー10の正面図であり、図2(B)はその斜視図である。
【0034】
金属磁性体供給弁としてのプランジャー10は漏斗部4の筒部6の径よりも若干大きい径の円柱状部11とこの円柱状部11と共に削り出すことによって設けられた羽根状部12とによって構成されている。
【0035】
円柱状部11は下端が漏斗部4の受部5に当接した状態で上端と開口部8との間に所定長の若干の隙間を有する長さに構成され、羽根状部12は、図1(B)に示すように、水平方向には円柱状部11から四方に放射状に延びて挿通孔3内周面に当接すると共に、垂直方向には挿通孔3の内径寸法の約2倍の長さに形成される。
【0036】
プランジャー10は、挿通孔3の上部の隙間の分だけ、挿通孔3内を中心軸に沿って上下に摺動自在である。この場合には、プランジャー10に設けられた羽根状部12に案内されることにより、プランジャー10は挿通孔3の中心軸から偏心することなく、且つ、円滑に摺動することができるようになっている。
【0037】
なお、羽根状部12の下端は、プランジャー10の摺動を容易とするために、C面又はR面が形成されている。また、開口部8からの固体水銀の挿通孔3内への落下を円滑にするために、プランジャー10の上端は中心軸から外周側に向かって下方に向かう円錐形状に形成される。
【0038】
なお、羽根状部12は削り出しによって作成したが、羽根状部を別部材としてもよく、例えば、薄板状部材を円柱状部11に固定して羽根状部を形成するようにしてもよい。
【0039】
円柱状部11の下端が漏斗部4の受部5に当接した状態では、図1(C)に示すように、挿通孔3内に供給された固体水銀13は円柱状部11によって落下が阻止されるようになっている。
【0040】
本実施の形態においては、円柱状部11の下端が漏斗部4の受部5に当接して受部5と筒部6との通路を遮断する場合には、円柱状部11の径が筒部6の径よりも若干大きい径に設定されているので、遮断する位置は比較的筒部6に近い位置となる。即ち、固体水銀13は比較的筒部6に近い位置で保持されることになり、管球との距離を小さくすることができる。
【0041】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図3の説明図を参照して説明する。図3(A)は固体水銀投下時の状態を示し、図3(B)は漏斗部4の受部5近傍を拡大して示している。
【0042】
水銀封入工程においては、前段階として、先ず、固体水銀13を本体部2の上部から挿通孔3内に供給する。即ち、蓋9を開けて開口部8から固体水銀13を挿通孔3内に落下させる。開口部8から供給された固体水銀13は、プランジャー10と挿通孔3との隙間から挿通孔3内に落下するか又は開口部8からプランジャー10の上面に載った後に、例えば図1(B)に示すようにプランジャー10の上面の傾斜によって滑りながら挿通孔3内に落下する。
【0043】
固体水銀13は挿通孔3内を落下して、漏斗部4の受部5に到達する。この時点では、図1に示すように、プランジャー10の円柱状部11は受部5に当接して受部5と筒部6との間を閉塞しており、固体水銀13は図1(C)に示すように、受部5において保持される。なお、この場合には、上述したように、固体水銀13は筒部6に比較的近い位置で保持される。
【0044】
水銀封入タイミングになると、図3(A)に示すように、蓋9の上部にマグネット15を配置する。マグネット15の磁力は磁性金属棒で形成されたプランジャー10に作用して、プランジャー10を上方に移動させる。この場合には、上述したように、羽根状部12によって、プランジャー10は挿通孔3を偏心することなく、且つ、円滑に摺動しながら上方に移動する。
【0045】
そうすると、図3(B)に示すように、受部5と筒部6との間を閉塞していた円柱状部11は上方に移動し、固体水銀13は受部5の傾斜面を滑って筒部6に落下する。更に、固体水銀13は筒部6を通過して筒口7から管球内に投下される。
【0046】
従来のように、供給弁として金属球を用いた場合には、マグネットで金属球を持ち上げる必要から、金属球の大きさを挿通孔3の広径部分の径と同程度に比較的大きくして、比較的高い位置に設ける必要があり、このため、固体水銀は比較的高い位置に保持され、管球からの距離が比較的長くなっていた。これに対し、本実施の形態においては、上述したように、固体水銀13が筒部6に比較的近い位置に保持されているので、固体水銀13の管球までの落下距離は比較的短い。従って、弁の動作から実際の封入までの時間を短縮することができ、封入確率を向上させることができる。
【0047】
また、プランジャー10を円柱状の磁性金属棒で構成していることから、プランジャー10の長さを自由に設定可能であり、プランジャー10の上端と開口部8との隙間を比較的狭くすることができる。これにより、マグネット15の磁力によってプランジャー10が移動して蓋9の下面に衝突するときの衝撃力を小さくすることができ、プランジャー10の移動に伴う蓋9への衝突によって気密が損なわれることを防止することができる。
【0048】
図1の実施の形態においては、プランジャー10は、挿通孔3内の摺動のために、放射状に延びた羽根状部12を有している。しかし、羽根状部12の水平方向端部、即ち、挿通孔3の内周面と摺接する部分は平坦であるので、この平坦部と挿通孔3内周面との間に隙間が生じる。このため、固体水銀13がこの隙間に挟まって、漏斗部4まで落下しにくくなる虞がある。なお、羽根状部材12の挿通孔3との摺接面を挿通孔内周面に沿って円弧状に形成することも考えられるが、この場合においても、製作精度の点から、固体水銀13が挟まってしまうことを完全には防止することはできない。
【0049】
そこで、図4及び図5に示すプランジャーを採用することも考えられる。図4及び図5(A)は正面図であり、図4及び図5(B)は切断面で切断して示す断面図であり、図4及び図5(C)は斜視図である。
【0050】
図4及び図5に夫々示すプランジャー21、25は、羽根状部の構成が図2のプランジャー10と異なるのみである。図4に示すように、プランジャー21に設けられる羽根状部22は、水平方向には円柱状部11から四方に放射状に延びており、図4(B)に示すように、先端は細くなって鋭角状になっている。羽根状部22の先端の鋭角部分で挿通孔3の内周面に摺接するようになっている。これにより、固体水銀13が羽根状部22と挿通孔3内周面との間に挟まってしまうことが防止される。
【0051】
また、図5に示すプランジャー25は、羽根状部に代えて棒状部26を設けている。棒状部26は円柱状部11から四方に放射状に延びて設けられており、先端は比較的半径が小さいR面を形成している。このR面が挿通孔3内周面に摺接するようになっている。なお、棒状部26は、プランジャー25の移動時に偏心することを防止するために、円柱状部11の上方及び下方の2カ所において、四方に放射状に設けられている。プランジャー25を用いた場合でも、固体水銀13の落下が阻害されることを防止することができることは明らかである。
【0052】
ところで、挿通孔3内の気密性を維持するために、本体部2の上端には円周状に溝31を設けてOリング32を取り付けるようになっている。Oリング32は蓋9によって押圧されて潰されることにより、挿通孔3内の気密性を向上させることができるようになっている。なお、蓋9の開閉によって、Oリング32が溝31から飛び出すことを防止するために、溝31は内側壁に傾斜を有して形成されている。
【0053】
本実施の形態においては、Oリング32を十分に押圧してJIS規格の規定量まで確実に潰して保持するために、開閉部33に固定した蓋9の開閉機構としてトグル機構34を採用している。
【0054】
図6は図1中のトグル機構34を詳細に説明するための説明図である。図6(A)は蓋9が閉じた状態を示し、図6(B)は蓋9が開いた状態を示している。
【0055】
図6(A),(B)に示すように、蓋9を配設した開閉部33は固定軸35に枢支されて、固定軸35を中心として揺動自在に設けられている。固定軸35は本体部2の側面外側で上面よりも上方の位置において本体部2に対して固定されて設けられている。また、開閉部33は、本体部2に対して固定軸35よりも外側の位置において連結部36の上端部と軸37によって枢着されている。更に、連結部36は下端においてT字状の揺動部38の上端部に軸39によって枢着されている。揺動部38は水平に延びたロッド部40を有しており、固定軸43に枢支されて、固定軸43を中心として揺動自在である。固定軸43は本体部2に対して固定されて設けられている。図6(A)に示すように、蓋9が閉じている状態では、開閉部33と連結部36とは略々直角となるように設定されている。
【0056】
蓋9を開く場合には、揺動部38のロッド部40の先端側を下方から上方に押し上げる。そうすると、揺動部38は固定軸43を中心にして揺動し、軸39を介して連結部36を固定軸43を中心とした周方向に垂直な向きに変位させる。これにより、軸39も下側に変位し、開閉部33は固定軸35を中心として揺動して、蓋9が挿通孔3の開口部8から持ち上がる。
【0057】
軸37,39及び固定軸35,43相互間の位置及び各リンクの重さ等によって定まる所定のデッドポイント(図6のA−A線)まで開閉部33が持ち上げられると、以後ロッド40の押し上げを必要とすることなく、開閉部33は図6(B)に示す最大開口点に到達する。
【0058】
一方、蓋9を閉じる場合には、ロッド40の先端側を上方から下方に押し下げる。そうすると、揺動部38の揺動は連結部36を介して開閉部33に伝達されて、蓋9で挿通孔3の開口部8を閉じるように開閉部33の固定軸35を中心として回転する。蓋9がデッドポイントを通過すると、以後、ロッド40の押し下げを必要とすることなく開閉部33は回転を続けて、開閉部33に取り付けた蓋9が挿通孔3の開口部8を閉塞する。
【0059】
トグル機構34が図6(A)の状態になると、開閉部33と連結部36とが略々直角となる状態で枢着されるので、蓋9に作用した力によって開閉部33が開く方向に揺動することはない。つまり、一旦トグル機構34が図6(A)の状態になると、開閉部33の本体部2に対する角度は一定となる。この角度は、クランプボルト41によって微調整可能である。即ち、クランプボルト41の先端は、本体部2に取り付けられた調整台42に当接しており、ネジ締め量を調整して揺動部38の本体部2に対する角度を調整することにより、開閉部33の本体部2に対する角度を微調整することができる。
【0060】
従って、蓋9がOリング32をJIS規格に規定された十分な潰し量となるように押圧する位置で、トグル機構34を図6(A)に示す状態に到達させることにより、以後蓋9に何らかの力が作用したとしても、Oリング32の潰し量を維持することができ、気密性を確保することができる。これにより、挿通孔3のリーク量を十分に抑制することができ、水銀封入における効率を向上させることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1,2,3,4,5によれば、固体水銀の落下距離を短くして封入時間を短縮することにより封入確率を向上させることができると共に、供給弁の蓋に対する衝突力を小さくすることにより、装置内の気密性を十分に確保することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す説明図。
【図2】プランジャーの具体的な構成を示す説明図。
【図3】実施の形態の動作を説明するための説明図。
【図4】プランジャーの具体的な構成を示す説明図。
【図5】プランジャーの具体的な構成を示す説明図。
【図6】トグル機構を詳細に説明するための説明図。
【符号の説明】
1…水銀供給装置
2…本体部
3…挿通孔
4…漏斗部
5…受部
6…筒部
9…蓋
10…プランジャー
11…円柱状部
12…羽根状部
13…固体水銀
32…Oリング
34…トグル機構
Claims (4)
- 固体水銀が供給される挿通孔と;
前記挿通孔内に設けられ、テーパ状の受部及び筒部を有して前記固体水銀が前記受部に供給される漏斗部と;
柱状部を有し、この柱状部が前記挿通孔内に上下に摺動自在に設けられ、下方への移動時に前記柱状部の先端が前記受部の所定位置において前記受部を閉塞して前記受部から前記筒部への前記固体水銀の通過を制御する金属磁性体供給弁と;
を具備した水銀供給装置において、
前記金属磁性体供給弁は、前記柱状部とこの柱状部の周囲に設けられる案内部とによって構成され;
前記案内部は、前記柱状部に放射状に設けられ水平方向端部が前記挿通孔内周面に摺接するように形成される;
ことを特徴とする水銀供給装置。 - 前記案内部は、前記水平方向端部が鋭角に形成されて前記挿通孔内周面に摺接する;
ことを特徴とする請求項1に記載の水銀供給装置。 - 固体水銀が供給される挿通孔と;
前記挿通孔内に設けられ、テーパ状の受部及び筒部を有して前記固体水銀が前記受部に供給される漏斗部と;
柱状部を有し、この柱状部が前記挿通孔内に上下に摺動自在に設けられ、下方への移動時に前記柱状部の先端が前記受部の所定位置において前記受部を閉塞して前記受部から前記筒部への前記固体水銀の通過を制御する金属磁性体供給弁と;
を具備した水銀供給装置において、
前記金属磁性体供給弁は、前記柱状部とこの柱状部の周囲に設けられる案内部とによって構成され;
前記案内部は、棒状に形成されて前記柱状部に放射状に設けられ水平方向端部が前記挿通孔内周面に摺接するように形成される;
ことを特徴とする水銀供給装置。 - 前記金属磁性体供給弁は、上端が周辺に向かって下方に傾斜した形状を有する;
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一に記載の水銀供給装置。
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