JP3561416B2 - 形状データ処理装置および処理方法並びに形状データ処理プログラムが格納された記憶媒体 - Google Patents

形状データ処理装置および処理方法並びに形状データ処理プログラムが格納された記憶媒体 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CAD/CAM/CAEシステム等の設計支援を行うための装置に係り、特に形状データの数値データ長を変えずに、形状データを高精度に作成する場合に好適な形状データの処理装置及び形状データの処理方法並びに形状処理プログラムが格納された記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の形状データ処理装置(設計支援装置)として、情報処理装置としての計算機に形状データを入力し、計算機内部に図形形状を生成することは例えば「越智利夫、『図形処理システムGIPS−I』、機械設計、16巻7号、p29−37、1972−7」に記載されている。また、これらの内部処理方法として近似計算を用いることは「山口富士夫、『形状処理工学―I、II、III』、日刊工業新聞社」及び「千代倉弘明、『ソリッドモデリング』、工業調査会」にそれぞれ開示されている。さらに、形状データから微分幾何的特徴、光学的特徴、形状から測定できる地理学的特徴、幾何学的特徴、位相的特徴、幾何学的状態特徴、経験的特徴を抽出して保存し、参照しながら複数用意した図形処理の優先度合いを与えて図形処理を行う方法が、特開平6−68206号公報に「形状処理装置および方法」として開示されている。そのほかに、計算機の数値演算誤差を小さくするために、数値演算を多倍長精度で行うこと、近似計算時の分割数を多くすること、収束計算の繰り返し回数を増加することは公知である。また、形状データの位置を決めるために高さ方向、幅方向、奥行き方向に一定間隔の平面を配置し、この平面を基準として数値を設定することは「坂本 浩、『曲面図学入門』、日刊工業新聞社」に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、計算機による演算装置において原点から遠い点の精度が、原点から近い点より低くなることを考慮していないために精度良い形状データの作成ができなかった。具体的に、原点から遠い点と近い点との精度の問題について説明する。
【0004】
計算機を用いて形状データ作成を行う場合、そのための処理演算は浮動小数点データを用いて表現する。このとき、原点から遠い形状データは指数部が大きく、原点に近い形状データは指数部が小さいデータになる。計算機による浮動小数点演算では、指数部が大きいデータと指数部が小さいデータを演算したとき指数部の大きいデータの有効桁数より小さいデータは無視されてしまう。例えば、図2で示されるように原点201に近い点を点210、遠い点を点220とし、有効桁数4の計算機を用いるとする。このとき、点210は小数点以下2桁の精度で表現されるのに対し、点220は小数点以上4桁で表現される。点220を点210だけ移動して点230を作成する場合、計算機では2つの数値を加算する。このとき点230は2つの桁数を加算した6桁の桁数が必要になる。しかしながら、有効桁数が4桁しかないことから数値が丸められ、点220を移動することができなくなる。
【0005】
より現実的な計算機としてIEEE準拠の倍精度実数型が扱える計算機を用いた場合について説明する。IEEE準拠の倍精度実数型では、仮数部52ビット即ち10進数で16桁までしか表せない。このことから桁数が16を超えると値は丸められてしまう。図2の例で言えば点210は1/1000000000000000000迄小さい距離を移動できるが、点220は1/10000000000000迄の距離しか移動できない。即ち、原点に近い場合はより小さな距離だけ移動できるということが言える。このように現状の形状データ作成においては、上記のように原点との距離の大小が形状データの精度に影響することになる。したがって、上記原点位置を考慮しないと様々な問題が生じる。
【0006】
例えば、2直線AとBの交点を計算する問題で、一致とみなす球の半径を1/1000000000000とした場合では、交点が原点に近い場合には求まるが、原点から10000の距離だけ離れたときには数値が丸められてしまい、求まらなくなってしまう。交点の計算処理は形状データ作成における基本処理であるため、関連する形状データ作成処理、例えば曲線のトリミングや曲面同士の相貫線といった図形データ作成処理が正常に動作しなくなる。また、図形間の連結関係を定めるといった位相記述を行う際にも点の一致関係を検査するため正常に動作しなくなってしまう。そのため高精度な形状修正操作が行えず、利用者が想定した形状が作成できないという問題がある。
【0007】
この問題の一部を回避するために前述の従来技術における坂本 浩著の「曲面図学入門」には、形状データを分割し局所的な座標値で管理する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、局所的な座標値で管理する方法は原点から一番遠い距離を限定するだけであり、一致とみなす精度を更に小さくした場合に前述の問題が生じることに変わりはない。また、形状データを分割して局所的な座標値に変換して管理するためデータ量が増大するという問題がある。
【0009】
以上のように、従来技術では原点を考慮した形状データ作成処理ができないために、利用者が想定した形状が作成できなかったり、形状データ量が増大するといった問題が生じる。
【0010】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、原点を考慮した形状データ生成処理を行うことによって形状の作成や修正を高精度に行うことができる形状データ生成処理装置を提供することにある。
【0011】
また、第2の目的は、同様に形状の作成や修正を高精度に行うことができる形状データ生成処理方法を提供することにある。
【0012】
さらに、第3の目的は、このような形状データ生成処理方法を実行するためのプログラムが格納された記憶媒体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、第1の手段は、図形要素からなる形状を規定するための浮動小数点データを入出力する情報入出力手段と、該情報入出力手段で入力された前記浮動小数点データを蓄積する情報蓄積手段と、該情報蓄積手段に蓄積された前記浮動小数点データを用いて他の形状を規定する浮動小数点データを作成する形状作成・修正処理手段とを有する形状データ処理装置において、前記情報蓄積手段が蓄積した浮動小数点データに基いて図形要素又は図形要素の集合の原点を取り出す原点抽出部と、前記原点抽出部によって取り出された図形要素又は図形要素の集合の原点に基いて図形要素又は図形要素の集合の原点座標系の原点に移動させる原点移動部と、前記原点移動部によって移動させた図形要素又は図形要素の集合を移動前の位置に戻す原点復帰部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
この場合、前記情報蓄積手段には移動・復帰イベントデータを記憶するイベント管理領域と原点データを記憶する原点領域とを設定するとよい。
【0015】
また、前記移動・復帰イベントデータとしては、少なくとも原点移動・復帰データの数、原点移動と原点復帰を識別する識別子、形状データが一致する範囲を示すしきい値、形状データを構成する図形要素又は図形要素データ、あるいは情報蓄積装置に蓄積された図形要素又は図形要素データへのポインタで構成するようにするとよい。
【0016】
また、前記移動・復帰イベント発行部は、形状作成・修正処理を実行する手続きを細分化し、細分化した手続きの途中に挿入されるように構成するとよい。
【0017】
また、前記移動・復帰イベント発行部は、前記細分化した手続きが同一の細分化した手続きを繰り返すとき、当該同一の細分化した手続きの前後に挿入されるように構成するとよい。
【0018】
また、前記原点抽出部は、図形要素または図形要素の集合から図形要素を取り出して原点にしたり、同一の細分化した手続きで作成した図形要素または図形要素の集合を原点にする。
【0019】
さらに、前記誤差検出部は、原点移動の効果がない図形要素又は図形要素の集合を判別し利用者に提示するが、その際、前記原点移動の効果がない図形要素又は図形要素の集合の判別は、しきい値との桁数比較に基づいて行われる。
【0020】
上記第2の目的を達成するため、第2の手段は、図形要素からなる形状を規定するための浮動小数点データを入出力する情報入出力装置と、該情報入出力装置で入力された前記浮動小数点データを蓄積する情報蓄積装置と、該情報蓄積装置に蓄積された前記浮動小数点データを用いて他の形状を規定する浮動小数点データを作成する形状作成・修正処理手段とを使用し、情報処理装置内で形状表現を行う形状データ処理方法において、前記浮動小数点データの移動及び/又は復帰指示を行う第1の処理工程と、前記情報蓄積装置に蓄積された浮動小数点データに基いて図形要素又は図形要素の集合の原点を取り出す第2の処理工程と、前記第2の処理工程において取り出された図形要素又は図形要素の集合の原点に基いて図形要素又は図形要素の集合の原点座標系の原点に移動させる移動処理を前記形状作成・修正手段により実行する第3の処理工程と、前記第3の処理工程で移動させた図形要素又は図形要素の集合の原点前記形状作成・修正手段により移動前の位置に戻す第4の処理工程とを含んでなることを特徴とする。
【0021】
上記第3の目的を達成するため、第3の手段は、図形要素からなる形状を規定する浮動小数点データを情報蓄積手段に蓄積する第1の処理手順と、前記第1の処理手順において前記情報蓄積手段に蓄積された浮動小数点データに基いて図形要素又は図形要素の集合の原点を取り出す第2の処理工程を実行するための第2の処理手順、前記第2の処理手順において取り出された図形要素又は図形要素の集合の原点に基いて図形要素又は図形要素の集合の原点形状修正手段により原点に移動させる第3の処理工程を実行するための第3の処理手順、及び、前記第3の処理手順で移動させた図形要素又は図形要素の集合の原点前記形状修正手段により移動前の位置に戻す第4の処理工程を実行するための第4の処理手順に関するプログラムを少なくとも含み、情報処理装置内の記憶手段にダウンロードされて前記第1ないし第4の処理手順に基いて情報処理装置内で形状表現を行うことが可能な形状データ処理プログラムが記憶媒体に格納されていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
1.第1の実施形態
1.1 構成
図1は、本実施形態に係る形状データ処理装置の概略構成を示すブロック図である。装置自体はパーソナルコンピュータなどの情報処理装置から構成され、情報処理装置内のハードおよびインストールされたプログラムによって本実施形態の形状データ処理装置が構成されている。
【0024】
具体的には、情報処理装置100は、情報入出力装置1と処理装置本体2とから構成され、処理装置本体2は、形状作成・修正処理部3、情報蓄積部4、移動・復帰イベント発行部5、移動・復帰イベント抽出部7、原点抽出部8、誤差検出部9、原点移動部10、及び原点復帰部11を備えている。情報蓄積部4には、図形要素または図形要素の集合41を格納する領域と、イベント管理領域6と、原点領域12とが設定され、イベント管理領域6には、原点移動・復帰データ数61、原点移動・復帰識別子62、しきい値63、及び図形要素及び図形要素の集合64が格納される。
【0025】
移動・復帰イベント発行部5は、形状作成・修正処理部3の処理過程において、原点移動・復帰データを情報蓄積部4に格納し、また、原点移動・復帰データの個数を情報蓄積部4に格納する機能を有する。原点移動・復帰データは、形状作成・修正処理の種別と原点を移動するか復帰するかを表す識別子、形状作成・修正処理を行う場合に一致する図形を判別するためのしきい値、形状作成・修正処理の対象とする図形要素及び図形要素の集合からなる。また、原点移動または原点復帰が終了するまで形状作成・修正処理の手続きを停止する機能を有する。
【0026】
移動・復帰イベント抽出部7は、情報蓄積部4から原点移動・復帰データの個数の取り出し、原点抽出部8、誤差検出部9、原点移動部10、原点復帰部11の起動、及び原点移動または原点復帰を終了する機能を有する。
【0027】
原点抽出部8は、移動・復帰イベント抽出部7を介して情報蓄積部4に格納されている移動・復帰する図形要素及び図形要素の集合から原点を取り出したり作成する機能、及び当該原点(に関するデータ)を情報蓄積部4に格納する機能を有する。
【0028】
誤差検出部9は、図形要素及び図形要素の集合からデータの有効桁数を算出し、原点移動・復帰データ中のしきい値と比較して数値の丸めが有効か判別する機能を有する。
【0029】
原点移動部10は、図形要素及び図形要素の集合を原点に移動する機能、移動後の図形要素及び図形要素の集合を情報蓄積部4に格納する機能、原点移動・復帰データ中の図形要素及び図形要素の集合を移動後の図形要素及び図形要素の集合に書き換える機能を有する。
【0030】
原点復帰部11は、原点を移動した図形要素及び図形要素の集合を元に戻す機能、元に戻した移動後の図形要素及び図形要素の集合を情報蓄積部4に格納する機能、原点移動・復帰データ中の移動後の図形要素及び図形要素の集合を、元に戻した移動後の図形要素及び図形要素の集合に書き換える機能を有する。
【0031】
なお、移動・復帰イベント発行部5、原点移動部10、及び原点復帰部11における処理で用いる原点移動・復帰データ中の図形要素及び図形要素の集合、移動後の図形要素及び図形要素の集合、元に戻した移動後の図形要素及び図形要素の集合は、記憶されている情報蓄積部4の図形領域の先頭をあらわすポインタまたは当該図形領域をあらわすファイル名でもよい。
【0032】
1.2 概略の動作
形状作成・修正処理部3は、形状作成・修正処理に移動・復帰イベント発行手段5を組み込んで利用する。この形状作成・修正処理に移動・復帰イベント発行部5を組み込む位置は、形状作成・修正処理の中の図形要素及び図形要素の集合を編集する前後とする。移動イベント発行部5を組み込む時に、形状作成・修正処理で原点移動・復帰データを設定する。原点移動時に設定する原点移動・復帰データは、形状作成・修正処理の種別と原点移動を表す識別子、形状作成・修正処理を行う場合に一致する図形を判別するためのしきい値、形状作成・修正処理の対象とする図形要素及び図形要素の集合とする。また、原点復帰時に設定する原点移動・復帰データは、形状作成・修正処理の種別と原点復帰を表す識別子、形状作成・修正処理を行う場合に一致する図形を判別するためのしきい値、形状作成・修正処理の結果作成した図形要素及び図形要素の集合とする。なお、これらの原点移動・復帰識別子、しきい値、および図形要素及び図形要素の集合は情報蓄積部4のイベント管理領域6に設定されたメモリ領域にそれぞれ格納されている。
【0033】
移動・復帰イベント発行部5は、原点移動・復帰データ、原点移動・復帰データの個数を情報蓄積部4に設定し、原点移動または原点復帰が終了するまで形状作成・修正処理の手続きを停止する。
【0034】
移動・復帰イベント抽出部7は、情報蓄積部4のイベント管理領域6を参照し、原点移動・復帰データが記憶されているかどうかを検出する。原点移動・復帰データが記憶されていない場合は、情報蓄積部4のイベント管理領域6の参照から繰り返す。原点移動・復帰データが記憶されている場合は、原点移動・復帰データを情報蓄積部4のイベント管理領域6から取り出す。次に、移動・復帰イベント抽出部7は原点抽出部8を起動する。
【0035】
原点抽出部8は、原点移動・復帰データ中の図形要素及び図形要素の集合と形状作成・修正処理の種別を取り出す。次に、形状作成・修正処理の種別に対応して、複数用意した原点抽出処理の中から少なくとも1つを選択し、実行した後、移動・復帰イベント抽出部7に戻る。実行の結果作成された原点は情報蓄積部4に保管しておく。
【0036】
次に、移動・復帰イベント抽出部7は誤差検出部9を起動する。誤差検出部9は、原点移動・復帰データ中の図形要素及び図形要素の集合から数値データ、しきい値を取り出して有効桁数を算出する。有効桁数としきい値を比較して数値の丸めが有効な場合は、移動・復帰イベント抽出部7に戻る。数値の丸めが無効な場合は、メッセージを出力して利用者に注意を促し、移動・復帰イベント抽出部7に戻る。次に、移動・復帰イベント抽出部7が原点移動・復帰データ中の原点移動・復帰識別子を取り出し、原点移動か原点復帰かを判定する。判定の結果が原点移動の場合、原点移動部10を起動する。判定の結果が原点復帰の場合、原点復帰部11を起動する。
【0037】
原点移動部10は、情報蓄積部4から原点を取り出し、原点移動・復帰データ中の図形要素及び図形要素の集合を原点に移動する。次に、移動後の図形要素及び図形要素の集合を情報蓄積部4に格納し、原点移動・復帰データ中の図形要素又は図形要素の集合を、移動後の図形要素及び図形要素の集合に書き換えて、移動・復帰イベント抽出部7に戻る。
【0038】
原点復帰部11は、情報蓄積部4から原点を取り出し、原点移動・復帰データ中の形状作成・修正処理で作成した図形要素及び図形要素の集合を元の位置に復帰させる。次に復帰後の図形要素又は図形要素の集合を情報蓄積部4に格納し、原点移動・復帰データ中の形状作成・修正処理で作成した図形要素及び図形要素の集合を、復帰後の図形要素及び図形要素の集合に書き換えて、移動・復帰イベント抽出手段に戻る。次に、移動・復帰イベント抽出部7は、原点移動・復帰データ数を0にして終了する。
【0039】
最後に、移動・復帰イベント発行部5は原点移動・復帰データ数が0になったことを確認し、形状作成・修正処理で設定した原点移動・復帰データを原点移動部10または原点復帰部11で書き換えた原点移動・復帰データに書き換えて終了する。形状作成・修正処理部3は、原点移動部10または原点復帰部11で書き換えた原点移動・復帰データで処理を続ける。
【0040】
以上のようにして、原点から遠い位置に作成した図形要素及び図形要素の集合を原点に近い位置に修正し、形状作成・修正処理を実行する。これにより、形状の作成や修正を高精度に行うことができる。
【0041】
1.3 交点の計算
上記のような動作を直線と直線の交点を計算する例を用いて説明する。直線と直線の交点を計算する例の説明を容易にするために、直線の図形要素が形状データ処理装置を用いて作成済みで、情報蓄積部4中の図形要素又は図形要素の集合41として記憶されているものとする。また、直線と直線の交点を作成した結果も情報蓄積部4中の図形要素又は図形要素の集合41として記憶するものとする。
【0042】
ここで、情報蓄積部4中の図形要素又は図形要素の集合41を記憶するためのデータ形式の一例を図10を用いて説明する。同図において、図形要素又は図形要素の集合データ1000は、形状データ処理装置が図形を識別するための図形番号1001、直線や交点などの図形の種類を識別するための図形種1002、図形要素又は図形要素の集合データの数を示すデータ数1003、倍精度実数や整数などのデータの種類を示すデータ種1004、及び図形要素データを示すデータ1005で構成するものとする。直線1データ1010及び直線2データ1020は、図形番号1001として「1」及び「2」、図形種1002に「直線」、データ数1003に「6」、データ種1004に「倍精度実数」を設定し、データ1005に始点を表す座標値(1.0,1.0,1.0)及び(100.0,100.0,100.0)、終点を表す座標値(100.0,100.0,100.0)及び(0.0,0.0,0.0)を設定する。直線1データ1010により、始点座標値が(1.0,1.0,1.0)、終点座標値が(100.0,100.0,100.0)の直線を記憶する。また、直線2データ1020により、始点座標値が(100.0,100.0,100.0)、終点座標値が(0.0,0.0,0.0)の直線を記憶する。
【0043】
図形要素又は図形要素の集合データ1000を用いて記憶された交点のデータ(交点データ)1030として、図形番号1001に「3」、図形種1002に「交点」、データ数1003に「3」、データ種1004に「倍精度実数」、データ1005に座標値(50.0,50.0,50.0)を設定し、交点データ1030により点座標値が(50.0,50.0,50.0)の交点が記憶される。
【0044】
一方、直線の原点移動・復帰処理で利用するデータは、情報蓄積部4中のイベント管理領域6に図1に示すようにして記憶される。イベント管理領域6に記憶するデータは、原点移動・復帰データの数を示す原点移動・復帰データ数61、原点移動か原点復帰かを識別する原点移動・復帰識別子62、図形要素又は図形要素の集合41が同一になることを判定するためのしきい値63、図形要素又は図形要素の集合64で記述する。図11は、イベント管理領域6に記憶する原点移動・復帰データ1100を表す一例である。
【0045】
原点移動・復帰データ1100は、原点移動・復帰データ数61を設定するデータ数1101、原点移動・復帰識別子62を設定する識別子1102、しきい値63を設定するしきい値データ1103、図形要素又は図形要素の数を表す図形数1104、及び図形要素又は図形要素の集合41を表す図形番号1105を記憶する。例えば、直線と直線の原点移動データ1110は、図11に示すようにデータ数1101に原点移動データ1110が1個であることを示す「1」を設定し、識別子1102に原点移動、しきい値1103に同一とみなす値である「0.01」を設定し、直線データが2個あることから図形数1104に「2」、図形番号1105に直線1データ1010の図形番号1101である「1」、直線2データ1020の図形番号1101である「2」を設定する。このような原点移動データ1110により、直線1データ1010及び直線2データ1020の原点を移動することが移動・復帰イベント抽出部7に伝えられる。
【0046】
交点の原点復帰データ1120は、データ数1101に原点復帰データ1120が1個であることを示す「1」を設定し、識別子1102に「原点復帰」、しきい値1103に同一とみなす値である「0.01」を設定し、交点データが1個であることから図形数1104に「1」、図形番号1105に交点データ1030の図形番号である「3」を設定する。この原点復帰データ1120により、交点データ1030の原点を移動することが移動・復帰イベント抽出部7に伝えられる。
【0047】
1.3.1 直線と直線の交点の作成
このようにして情報蓄積部4に蓄積されたデータを使用して直線と直線の交点を作成する処理手順を図8のフローチャートを用いて説明する。図8は図1の形状作成・修正処理部3における細分化した形状作成・修正処理31、移動・復帰イベント発行部5の処理の流れの一例として、直線と直線の交点作成処理の流れを示している。以下、直線と直線の交点を作成する処理について説明する。なお、説明を分かりやすくするために、対応する個所には後述の図3における参照符号を( )を付けて示す。詳しくは後述の1.4で述べる。
【0048】
この処理では、最初に、ステップ801で図形番号1001に一致する直線1を取り出し、次いで、ステップ802で図形番号1001に一致する直線2を取り出す。これにより交点(305)を作成するための直線1(直線303)データ1010と直線2(直線304)データ1020が情報蓄積部4から取り出される。ステップ802で直線2のデータの取り出しが完了すると、ステップ803で原点移動イベント発行処理を実行し、直線1データ1010、直線2データ1020の原点を移動し(300→300’→300”)、移動した原点(300”)に関する直線1と直線2のデータを直線1データ1010、直線2データ1020に格納する。そして、交点作成を実行する(ステップ804)。このステップ804における交点作成処理では、直線1データ1010、直線2データ1020に対して直線同士の交点(315)を作成する。この交点作成処理は原点移動後の直線1データ1010、直線2データ1020に対して実行され、原点移動後の交点データ1030を情報蓄積部4中の図形要素又は図形要素の集合41として記憶する。
【0049】
ステップ804の処理が終了すると、原点復帰イベント発行処理を実行し(ステップ805)、原点移動後の交点データ1030の原点を復帰させ(300”→300’→300)、復帰後の交点(305)を交点データ1030に格納する。このステップ805の処理が終了すると、図形番号を更新し(ステップ806)交点の図形番号1001を設定した後、情報蓄積部4に交点データ1030を格納して(ステップ807)この処理を終了する。
【0050】
1.3.2 移動・復帰イベント発行部の処理
図8のステップ803、805における原点移動・復帰イベント発行処理は移動・復帰イベント発行部5によって図13(a),(b)に示すような手順で実行される。すなわち、ステップ803で原点移動イベント発行処理を実行したとき、最初に原点移動データの設定が行われる(ステップ1301)。原点移動データの設定(ステップ1301)は、次のようにして行われる。すなわち、図11に示す原点移動・復帰データ1100のデータ数1101に「1」を設定し、識別子1102に「原点移動」を設定後、図形要素又は形要素の集合41が一致するとみなすしきい値を取り出し、しきい値データ1103に「0.01」を設定する。次に、原点移動する図形の個数を図形数1104に設定する。本実施形態では、直線1データ1010と直線2データ1020を原点移動する図形としていることから図形数1104には「2」を設定する。この設定が終了すると、直線1データ1010の図形番号1001である「1」と、直線2データ1020の図形番号である「2」を図形番号1105に設定する。以上で、原点移動データ1110が作成できる。最後に原点移動データ1110を情報蓄積部4のイベント管理領域6に格納して終了する。
【0051】
次いで移動・復帰イベント抽出部の起動処理を実行して(ステップ1302)、移動・復帰イベント抽出部7を起動する。移動・復帰イベント抽出部7の起動とは、図9に示す移動・復帰イベント抽出処理を実行することである。これでステップ803の原点移動イベント発行処理が終了する。
【0052】
一方、ステップ805で原点復帰イベント発行処理を実行した場合には、最初に原点復帰データを設定する(ステップ1303)。原点復帰データの設定は、次のようにして行われる。すなわち、図11に示す原点移動・復帰データ1100のデータ数1101に「1」を設定し、識別子1102に「原点復帰」を設定後、図形要素又は図形要素の集合41が一致するとみなすしきい値「0.01」を取り出してしきい値データ1103に設定する。本実施形態では、交点データ1030を原点復帰する図形としていることから図形数1104には「1」を設定する。次に交点データ1030の図形番号である「3」を図形番号1105に設定する。以上で原点復帰データ1120が作成できる。最後に原点復帰データ1120を情報蓄積部4のイベント管理領域6に格納して終了する。
【0053】
次いで、ステップ1304の移動・復帰イベント抽出部の起動処理で、移動・復帰イベント抽出部7を起動する。このステップ1304の移動・復帰イベント抽出部7の起動とは、図9に示す移動・復帰イベント抽出処理を実行することであり、この図9の一連の処理を終了することによってステップ805の原点復帰イベント発行処理が終了する。
【0054】
図9の移動・復帰イベント抽出処理は以下のようにして実行される。
【0055】
すなわち、ステップ803の原点移動イベント発行処理又はステップ805の原点復帰イベント発行処理を実行し、前述のステップ1302またはステップ1304の起動処理が行われると、図9に示す移動・復帰イベント抽出処理が実行される。
【0056】
この移動・復帰イベント抽出処理では、まず最初に、ステップ901で原点移動・復帰データ取り出し処理を実行する。このステップ901の原点移動・復帰データ取り出し処理は、ステップ803の原点移動イベント発行処理又はステップ805の原点復帰イベント発行処理を実行したときに作成した原点移動・復帰データ1100を情報蓄積部4のイベント管理領域6から取り出す処理である。このステップ901の処理を終えると、ステップ902で識別子を取り出し処理を実行し、「原点移動」または「原点復帰」を表す識別子1102を取り出した後、ステップ903で識別子判別を行い、取り出された識別子によって取り出された原点移動・復帰データ1100が原点移動データ1110であるか原点復帰データ1120であるかどうかを判別する。
【0057】
この判別で、原点移動・復帰データ1100が原点移動データ1110であれば、識別子1102は「原点移動」となっているのでステップ911で原点抽出処理を実行する。
【0058】
原点抽出処理は、原点移動データ1110から図形数1104において「2」を取り出し、2個の図形番号1105である「1」と「2」を取り出し、さらに、「1」と「2」に一致する直線1データ1010と直線2データ1020を情報蓄積部4から取り出し、さらに直線1データ1010からデータ1005を取り出すことで、直線1の始点座標値(1.0,1.0,1.0)、直線1の終点座標値(100.0,100.0,100.0)、直線2の始点座標値(100.0,100.0,100.0)、直線2の終点座標値(0.0,0.0,0.0)を取り出すことにより行われる。原点抽出処理は、直線1と直線2の始点座標値、終点座標値を用いて、例えば、以下の3処理の内、1つを実行する。
【0059】
▲1▼ 原点抽出処理1
原点移動する前の直線1と直線2で交点を算出し、原点とする処理。
▲2▼ 原点抽出処理2
直線1の始点座標値を原点とする処理。
▲3▼ 原点抽出処理3
直線2の始点座標値を原点とする処理。
【0060】
本実施形態は、直線と直線の交点を求める例なので(原点抽出処理1)が最も良好な原点となるが、交点を計算する処理が必要になるため処理速度が遅くなってしまう。そのため、(原点抽出処理2)を用いている。他の原点抽出処理として、直線1又は直線2の終点座標値を原点とする方法、直線1と直線2の始点座標値及び終点座標値の平均を用いる方法が考えられる。原点抽出処理で求めた原点は、情報蓄積部4の原点領域12に図12に示す原点データ1200中に原点のX座標値1201、原点のY座標値1202、原点のZ座標値1203の形式で格納する。
【0061】
ステップ911で上記の原点抽出処理を実行した後、ステップ912で誤差検出処理を実行する。誤差検出処理は、原点移動データ1110から図形数1104である「2」を取り出し、2個の図形番号1105である「1」と「2」を取り出し、さらに「1」と「2」に一致する直線1データ1010と直線2データ1020を情報蓄積部4から取り出す。次に、直線1データ1010からデータ1005を取り出すことで、直線1の始点座標値(1.0,1.0,1.0)、直線1の終点座標値(100.0,100.0,100.0)、直線2の始点座標値(100.0,100.0,100.0)、直線2の終点座標値(0.0,0.0,0.0)を取り出すとともに、しきい値データ1103である「0.01」も取り出して、誤差検出処理を実行する。
【0062】
誤差検出処理は、直線1と直線2の始点座標値、終点座標値、しきい値を用いて数値の丸めが有効か無効かを判別する。数値の丸めが有効か無効かを判別する処理は例えば、次のように行う。今、直線1及び直線2の始点座標値、終点座標値がIEEEの倍精度実数データに準拠していると仮定すると、仮数部の有効桁数は16桁になる。次に直線1及び直線2の始点座標値、終点座標値の数値を取り出して最大値を求め、小数点以上の桁数を求める。次に、仮数部の有効桁数16桁と小数点以上の桁数の差をとることで小数点以下の桁数の最小値を得、小数点以下の桁数の最小値に相当する値を限界の数値とする。例えば、最大値が100.01とすると小数点以上の桁数は3桁であるから、仮数部の有功桁数16桁から小数点以上の桁数3桁を引いた桁数である13桁まで表現できる。13桁の最小値を数値で言うと1/10000000000000であることから、最大値が100.01の数値では1/10000000000000まで表現できることになる。当該限界の数値としきい値データ1103を比較して、しきい値データ1103が小さいときは、本形状データ処理装置による高精度化が望めないため、高精度化が望めない旨のメッセージを例えば情報入出力装置1の表示装置に出力して利用者に注意を促す。次に、しきい値データ1103と当該限界の数値の内、大きい方の数値を、情報蓄積部4の原点領域12に図12に示す原点データ1200中の誤差1204の形式で格納する。図12の原点データ例1210は、直線1データ1010、直線2データ1020を図形要素とする原点移動データ1110に対して、ステップ911で原点抽出処理とステップ912で誤差検出処理を行った後の原点データの例である。
【0063】
ステップ912で誤差検出処理が終了すると、ステップ913で原点移動処理を行う。原点移動処理は、直線1データ1010、直線2データ1020からデータ1005を取り出して始点座標値及び終点座標値を取り出した後、当該始点座標値及び終点座標値から原点X1201、原点Y1202、原点Z1203の値を引いた値を、直線1データ1010及び直線2データ1020のデータ1005として設定するものである。ステップ913で原点移動処理が終了すると、ステップ914で原点データ格納処理を実行する。原点データ格納処理は、原点データ1210を情報蓄積部4の原点領域12に格納する処理である。ステップ914で原点データ格納処理を終えると、最後に、ステップ915で原点移動・復帰データ数を「0」に設定する。このステップ915における設定処理は、情報蓄積部4のイベント管理領域6中に蓄積している原点移動データ1110を削除する処理である。このような各ステップを経て原点移動処理を終了する。
【0064】
一方、ステップ903における識別子判別処理で原点復帰データ1120であると判別された場合、原点復帰処理が実行される。すなわち、原点復帰処理は、原点移動・復帰データ1100が原点復帰データ1120のとき、識別子1102が「原点復帰」なのでステップ921に進んで、原点データを取り出す。ステップ921における原点データ取り出し処理は、情報蓄積部4の原点領域12から原点データ1210を取り出す処理で、この処理を終えると、ステップ922で原点取り出し処理を実行し、原点データ1210から原点X1201、原点Y1202、原点Z1203を取り出す。次に、ステップ923で誤差取り出し処理を行い、原点データ1210から誤差1204を取り出し、次いで、ステップ924で原点復帰処理を実行する。
【0065】
このステップ924における原点復帰処理では、最初に情報蓄積部4のイベント管理領域6から原点復帰データ1120を取り出す。次に、原点復帰データ1120から図形数1104を取り出して1個の図形番号1105である「3」を取り出し、「3」に一致する交点データ1030を情報蓄積部4から取り出し、さらに、交点データ1030からデータ1005を取り出すことで、交点の座標値(50.0,50.0,50.0)を取り出すことにより原点復帰処理が実行される。原点復帰処理は、交点の座標値に原点X1201、原点Y1202、原点Z1203の値を足した値を交点データ1030のデータ1005として設定する処理である。そして、最後にステップ915で前述と同様に原点移動・復帰データ数を「0」に設定する。このステップ915における原点移動・復帰データ数を0に設定する処理では、情報蓄積部4のイベント管理領域6中に蓄積している原点復帰データ1120を削除し、原点移動処理を終了する。
【0066】
1.4 原点移動
図3は直線1データ1010と直線2データ1020の原点移動913を行った例を2次元で示したイメージ図である。ステップ913における原点移動処理を実行する前の直線1データ1010と直線2データ1020を、直線1データ表示例303、直線2データ表示例304とする。ここで、座標系の原点を300、X軸を軸X301、座標系のY軸を軸Y302とする。原点データ1110は軸X301及び軸Y302の原点300から直線1データ表示例303の始点座標(300’)値までのベクトル306である。直線1データ表示例303と直線2データ表示例304の交点を点305とする。始点300’を原点座標300”(実質的には原点300に同じ)まで移動させる原点移動を行った後、直線1データ表示例303、直線2データ表示例304は、直線1データ表示例313、直線2データ表示例314に示すように点300”を原点する座標に移動する。ここで、原点移動後の座標系のX軸を軸311、座標系のY軸を軸312とする。直線1データ表示例313と直線2データ表示例314の交点を点315とすると、点315は点305より原点300に近いことからより高精度な値を表現できる。このようにして図形要素又は図形要素の集合を原点移動して交点計算を行うことにより高精度な交点を作成することができる。
【0067】
2.第2の実施形態
本発明の第2の実施の形態として、曲線同士の交点を計算する例を用いてその形状処理方法と結果について示す。
【0068】
本実施の形態の処理の流れを図1、図4を参照して以下に説明する。一般に形状データ処理装置では、曲線同士の交点を求めるためのコマンドは、高次方程式を解くものや収束演算により求めるもの、更に収束演算により求めるものの中にも数値解法の違いを持つものなど幾つか用意されているが、ここではその内の一例について述べる。
【0069】
曲線同士の交点を計算する例の説明を容易にするために、ここでは曲線の形状データが図1に示す情報処理装置本体2を用いて作成され、情報蓄積部4に図形要素又は図形要素の集合41として記憶されているものとする。また、曲線と曲線の交点を作成した結果も情報蓄積部4中の図形要素又は図形要素の集合41として記憶するものとする。
【0070】
次に曲線同士の交点を作成する処理の流れを図4を用いて説明する。
【0071】
図4は図1の形状作成修正処理部3における細分化した形状作成・修正処理31、復帰・移動イベント発行部5の処理の流れの一例として、曲線同士の交点作成処理の流れを示している。以下、曲線同士の交点を作成する処理について説明する。
【0072】
最初に、ステップ400で図形要素又は図形要素の集合を取り出し、交点を作成するための曲線データを情報蓄積部4から取り出す。次に、ステップ401で初期解の設定処理を行い交点の初期値を設定する。交点の初期値決定方法としては、以下の2種の方法が代表的なものである。
【0073】
▲1▼ 折れ線化
曲線上の点を多数作成して折れ線を作成し、折れ線同士の交点を用いる方法。
▲2▼ 制御点矩形化
曲線をベジエ曲線などの制御点で記述し、制御点で囲む多角形同士の交差位置を用いる方法。
【0074】
折れ線化は、交点計算が簡単であるが交差個所が見つからないことが多いため、一般的には制御点矩形化が良く利用されている。
【0075】
ステップ401における初期解の設定処理が終了すると、ステップ402で初期解の位置へ原点を移動させる。この初期解の位置への原点移動処理は、原点を初期解の位置として、ステップ400で取り出した図形要素の原点を移動させるものである。このステップ402の初期解の位置への原点移動処理が終了すると、ステップ403で次の解作成処理を実行し、原点が移動した図形要素に対して交点の計算を行う。次に、ステップ404で収束判別処理を行い、交点が収束したかどうかを判別する。この収束とは交点の計算が終了したということと等価であって、収束しない場合、すなわち、交点の計算が終了していない場合には、ステップ405で初期解を次の解に置き換えて、ステップ402に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0076】
収束した場合はステップ410で原点復帰処理を実行して、交点を元の図形位置に戻した後、ステップ411の交点データ格納処理を実行して情報蓄積部4中の図形要素又は図形要素の集合41として記憶する。
【0077】
上述のように、初期解または次の解を原点とすると、収束計算が実行されるたびに原点が移動し、交点計算精度が良くなる。
【0078】
具体的な装置としては、第1の実施形態においても、第2の実施形態においても、専用の装置として構成することも可能であるが、図5に示すように、キーボード501と、前述したようなデータや処理プログラムを入力する入力部、入力されたデータやプログラムを蓄積する記憶部、及び演算部などを備えたコンピュータ本体502と、ディスプレイ503で構成される汎用のコンピュータシステムとその上で稼働する処理プログラムによって実現することが可能である。
【0079】
このような汎用のコンピユータシステムに処理プログラムを付加して実現するときには、処理プログラムは図6に示すような磁気ディスク601や図7に示すようなCD−ROM701などの記憶媒体に記録して配送、保管、実装され、コンピュータ本体502に設けた磁気ディスク読み取り装置やCD−ROM読み取り装置によって読み取って該コンピュータ本体502内に取り込まれる。通信ネットワークを通じて配送される処理プログラムを入力部によって取り込んで実現する場合には、取り込んだ処理プログラムを磁気ディスク等の記憶媒体に記憶させて保存することにより、繰り返し使用できるようにする。
【0080】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、原点抽出部によって取り出された原点を原点移動部によって移動させ、移動させた状態で情報蓄積手段に蓄積された形状データを用いて他の形状を規定する形状データを作成し、再度、原点復帰部によって移動した原点に関する形状データを移動前の原点に関する形状データに戻すので、情報処理装置によって形状データの有効桁数を上げることができ、これによって、利用者は従来の設計支援装置を用いて高精度な形状データを作成することが可能になる。
【0081】
また、本発明によれば、第3の処理工程で取り出した原点を第5の処理工程で移動させ、移動させた状態で蓄積された形状データを用いて形状作成・修正手段によって他の形状を規定するデータを作成し、第6の処理工程で移動前の原点に関するデータに戻すので、情報処理装置によって形状データの有効桁数を上げることができ、これによって、利用者は従来の設計支援装置を用いて高精度な形状データを作成することが可能になる。
【0082】
さらに、本発明によれば、形状データの移動及び/又は復帰指示を行う第1の処理工程を実行するための第1の処理手順、形状データの移動及び/又は復帰指示を抽出する第2の処理工程を実行するための第2の処理手順、形状データの原点を取り出す第3の処理工程を実行するための第3の処理手順、形状データが同一とみなされるしきい値を検証する第4の処理工程を実行するための第4の処理手順、形状データの移動、回転及び拡大の少なくとも1つの処理を実行し、前記第3の処理工程で取り出された原点を移動させる第5の処理工程を実行するための第5の処理手順、及び前記第5の処理工程で移動した原点に関する前記データを移動前の原点に関するデータに戻す第6の処理工程を実行するための第6の処理手順が少なくとも含まれたプログラムを記録媒体に記録したので、情報処理装置内の記憶手段にダウンロードすることにより、第1ないし第6の処理手順に基づいて情報処理装置内で形状データの有効桁数を上げて形状表現を行うことができ、これにより利用者は従来の設計支援装置を用いて高精度な形状データを作成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る設計支援装置としての情報処理装置の構成を示す図である。
【図2】点の厳密性を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る直線同士の交点を求める説明図である。
【図4】本発明の実施形態における曲線の交点データを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【図5】設計支援装置のハードウェア構成図である。
【図6】本発明の実施形態に係る処理プログラムを記憶した記憶媒体としてのFDを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る処理プログラムを記憶した記憶媒体としてのCD−ROMを示す図である。
【図8】本発明の実施形態における直線同士の交点データを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図8における移動・復帰イベント抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態における図形要素又は図形要素の集合データ(直線データ及び交点データ)を示す図である。
【図11】本発明の実施形態における原点移動データ及び原点復帰データを示す図である。
【図12】本発明の実施形態における原点データを示す図である。
【図13】原点移動・復帰イベント発行処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 情報入出力装置
2 情報処理装置本体
3 形状作成・修正処理部
4 情報蓄積部
5 移動・復帰イベント発行部
6 イベント管理領域
7 移動・復帰イベント抽出部、
8 原点抽出部
9 誤差検出部
10 原点移動部
11 原点復帰部
12 原点領域
13 データの流れ経路、
41 図形要素又は図形要素の集合
61 原点移動・復帰データ数
62 原点移動・復帰識別子
63 しきい値
64 図形要素又は図形要素の集合、
100 情報処理装置(設計支援装置)
501 キーボード
502 コンピュータ本体
503 ディスプレイ
601 磁気ディスク
701 CD−ROM

Claims (3)

  1. 図形要素からなる形状を規定するための浮動小数点データを入出力する情報入出力手段と、該情報入出力手段で入力された前記浮動小数点データを蓄積する情報蓄積手段と、該情報蓄積手段に蓄積された前記浮動小数点データを用いて他の形状を規定する浮動小数点データを作成する形状作成・修正処理手段とを有する形状データ処理装置において、
    前記情報蓄積手段が蓄積した浮動小数点データに基いて図形要素又は図形要素の集合の原点を取り出す原点抽出部と、
    前記原点抽出部によって取り出された図形要素又は図形要素の集合の原点に基いて図形要素又は図形要素の集合の原点座標系の原点に移動させる原点移動部と、
    前記原点移動部によって移動させた図形要素又は図形要素の集合を移動前の位置に戻す原点復帰部と、
    を備えていることを特徴とする形状データ処理装置。
  2. 図形要素からなる形状を規定するための浮動小数点データを入出力する情報入出力装置と、該情報入出力装置で入力された前記浮動小数点データを蓄積する情報蓄積装置と、該情報蓄積装置に蓄積された前記浮動小数点データを用いて他の形状を規定する浮動小数点データを作成する形状作成・修正処理手段とを使用し、情報処理装置内で形状表現を行う形状データ処理方法において、
    前記浮動小数点データの移動及び/又は復帰指示を行う第1の処理工程と、
    前記情報蓄積装置に蓄積された浮動小数点データに基いて図形要素又は図形要素の集合の原点を取り出す第2の処理工程と、
    前記第2の処理工程において取り出された図形要素又は図形要素の集合の原点に基いて図形要素又は図形要素の集合の原点座標系の原点に移動させる移動処理を前記形状作成・修正手段により実行する第3の処理工程と、
    前記第3の処理工程で移動させた図形要素又は図形要素の集合の原点前記形状作成・修正手段により移動前の位置に戻す第4の処理工程と、
    を含んでなることを特徴とする形状データ処理方法。
  3. 図形要素からなる形状を規定する浮動小数点データを情報蓄積手段に蓄積する第1の処理手順と、
    前記第1の処理手順において前記情報蓄積手段に蓄積された浮動小数点データに基いて図形要素又は図形要素の集合の原点を取り出す第2の処理工程を実行するための第2の処理手順、
    前記第2の処理手順において取り出された図形要素又は図形要素の集合の原点に基いて図形要素又は図形要素の集合の原点形状修正手段により原点に移動させる第3の処理工程を実行するための第3の処理手順、及び、
    前記第3の処理手順で移動させた図形要素又は図形要素の集合の原点前記形状修正手段により移動前の位置に戻す第4の処理工程を実行するための第4の処理手順、
    に関するプログラムを少なくとも含み、情報処理装置内の記憶手段にダウンロードされて前記第1ないし第4の処理手順に基いて情報処理装置内で形状表現を行うことが可能な形状データ処理プログラムが格納されていることを特徴とする記憶媒体。
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