JP3561004B2 - 音場定位操作装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は音場定位操作装置に関し、さらに詳しく言えば、左右2つのスピーカーによってサラウンド型の音場を形成し、その音場において前後左右自由に音像の位置を変更することができる音場定位操作装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サラウンド型の音場を制御するものとして、例えば実開平2−10700号公報に記載の音場定位操作装置が知られている。この装置は、ゲーム機のジョイスティックからのコントロール信号により、CRTディスプレイに映し出されたゲームキャラクターの移動操作の他に、多元音場を構成するための4つのゲインコントロールアンプの利得を制御し、音像の定位を同時に操作する機能を組み合わせ、アウトプットマトリックス回路から各アンプを介して4つのスピーカーから音声信号として出力し、ゲームプログラムに関係なく映像と音声の定位移動を連動させるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この先行例では、スピーカーを4個使用することを前提にしており、ジョイスティックで操作するのは4つのチャンネルであり、スピーカー、アンプなどをそれぞれ4チャンネル分用意しなければならず、当然、コストが高くならざるを得ない。
【0004】
また、サラウンドプロセッサーやエフェクターなどが知られているが、従来のサラウンドプロセッサーやマトリックスサラウンドは、使用者がサラウンドのパターンを選択することしかできなかった。
【0005】
これに対して、自由に音像位置を変化させることが可能な回路の場合は、その操作がタクトスイッチなどによって段階的にのみ可変可能であり、これでは使用者が曲やリズムに合わせてスピーディーに音像を変えることはできない。もっとも、デジタルサラウンド方式の機器は、音像をスピーディーに変えることができるが、回路のパーツ数が多く、また、デジタルシグナルプロセッサーなどを用いる必要があり、価格が非常に高くなる。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、その目的は、左右の2つのスピーカーのみで360度自由に音像の位置を変更することができる安価な音場定位操作装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、左右2つの入力チャンネルのそれぞれに設けられる入力信号増幅手段と、この各入力信号増幅手段から出力される原音信号をそれぞれ第1原音信号と第2原音信号とに分割し、かつ、その両原音信号のバランス量を設定する第1および第2のボリュームからなる一対の信号バランス手段と、この各信号バランス手段から出力される各々の第1原音信号をそれぞれ逆相にするバッファ手段と、上記各信号バランス手段から出力される各々の第2原音信号から同相成分を除去し、異相成分のみにする同相信号除去手段と、上記各バッファ手段の出力信号と上記同相信号除去手段からの出力信号とを各チャンネルごとに合成する信号合成手段と、この両信号合成手段から出力される左右の信号のバランスを可変とする第3のボリュームと、同第3のボリュームによってバランスが変更された左右の信号を増幅して出力する出力信号増幅手段と、これらの出力信号増幅手段の出力信号を音声情報として出力する左右2つのスピーカーと、上記第1ないし第3のボリュームを操作し、音像位置を前後左右の所定位置に設定する音像位置操作手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
この場合、上記音像位置操作手段は、上記第1、第2および第3のボリュームを1本のスティックによって操作するスティックボリュームによって構成されることが好ましい。
【0009】
【作用】
上記構成によると、各チャンネルごとに入力信号増幅手段にて増幅された音声信号(原音信号)は、次段の信号バランス手段の第1および第2のボリュームにより、そのチャンネルごとに第1原音信号と第1原音信号とに分割され、かつ、そのバランス量がとられる。この各々の第1原音信号は、それぞれチャンネルごとにバッファ手段に入力され、その位相が反転されて逆相とされる。
【0010】
一方、各第2原音信号は同相信号除去手段に入力され、同手段の例えば差動アンプによって両チャンネルの同相成分が除去され異相成分のみにされた後、信号合成手段においてバッファ手段にて逆相とされた第1原音信号と合成される。そして、第3のボリューム(Pan)にて各信号合成手段の出力バランスが可変され、出力アンプを介して左右のスピーカーから出力される。
【0011】
この場合、同相信号除去手段から出力される信号レベルをバッファ手段から出力される信号レベルよりも大きくする必要がある。この信号レベルバランスは、この回路を使用する機器によりその適正レベルが異なるが、レベルを適正に設定することによって音像を効果的に移動させることが可能となる。また、サラウンド感も大きくなる。なお、スティックボリュームを使用すると、1本のスティックの位置を操作することによって音像の位置を前方から、右、後方、左を簡単に移動させることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1に示されているように、この音場定位操作装置は、入力信号増幅手段としての入力アンプ1L,1Rと、信号バランス手段としての信号バランス回路2L,2Rと、同相信号除去手段としての同相信号除去回路3L,3Rと、バッファ手段としてのバッファアンプ4L,4Rと、信号合成手段としてのミックスアンプ5L,5Rと、Pan6と、出力アンプ7L,7Rとを備えている。以下、Lは左チャンネル、Rは右チャンネルを表している。
【0013】
入力アンプ1L,1Rは、図示しないコンパクトディスクやテープなどの音声再生機器から左右それぞれから入力される音声信号をそのチャンネルごとに増幅して信号バランス回路2L,2Rに出力するアンプで、これは公知のものであってよい。
【0014】
この実施例において、信号バランス回路2L,2Rは、それぞれ第1および第2のボリューム8,9からなり、入力アンプ1L,1Rから入力された入力信号(原音信号)は、この各ボリューム8,9によって第1原音信号と第2原音信号とに分割されるとともに、その両者のバランス量が調整され、一方の第1原音信号はバッファアンプ4L,4Rにそれぞれ出力され、他方の第2原音信号は同相信号除去回路3L,3Rにそれぞれ出力される。
【0015】
同相信号除去回路3L,3Rは差動アンプによって構成されており、この場合、一方の同相信号除去回路3Lの反転端子には右チャンネルR側の第2原音信号が入力され、その非反転端子には左チャンネルL側の第2原音信号が入力され、両第2原音信号の同相成分が除去され異相成分のみとされる。
【0016】
また、他方の同相信号除去回路3Rの反転端子には左チャンネルL側の第2原音信号が入力され、その非反転端子には右チャンネルR側の第2原音信号が入力され、両第2原音信号の同相成分が除去され異相成分のみとされる。
【0017】
これに対して、信号バランス回路2L,2Rから出力される第1原音信号は、各バッファアンプ4L,4Rにてその位相が逆相とされる。この逆相とされた各第1原音信号は、同相信号除去回路3L,3Rから出力される異相成分信号とともにミックスアンプ5L,5Rに入力され、その第1原音信号と異相成分とが合成される。
【0018】
このミックスアンプ5L,5Rの出力は、第3のボリューム10からなるPan6にてその左右のバランス量が可変とされ、出力アンプ7L,7Rを介して図示しないパワーアンプによりスピーカーを駆動する。
【0019】
なお、この実施例において、第1、第2および第3のボリューム8,9,10は、図2の平面図に示すようなスティックボリューム本体11に設けられている1本のスティック12により、連動して操作されるようになっている。
【0020】
次に、この音場定位操作装置の動作ついて説明する。左右各チャンネルの入力信号(原音信号)をそれぞれVL(t)、VR(t)とし、各アンプ、すなわち入力アンプ1L,1R、同相信号除去回路(差動アンプ)3L,3R、バッファアンプ4L,4R、ミックスアンプ5L,5Rおよび出力アンプ7L,7Rの増幅率をそれぞれA1,A2,A3,A4,A5とし、信号バランス回路2L,2Rの各固定抵抗の抵抗値をR、可変抵抗の全抵抗値をRA、その各ボリューム8,9の摺動接点を移動させたときの抵抗成分をyとすると、音像を前後に移動させる場合には、次のようになる。
【0021】
すなわち、各チャンネルL,Rに入力されたVL(t)、VR(t)は、入力アンプ1L,1Rで増幅され、信号バランス回路2L,2Rにおいて、第1原音信号VL1(t)、VR1(t)と、第2原音信号V′L1(t)、V′R1(t)とされるが、その内の第1原音信号VL1(t)、VR1(t)は、バッファアンプ4L,4Rで増幅され、数1および数2に示すような信号VL2(t)、VR2(t)となる。
【0022】
【数1】
【0023】
【数2】
また、第2原音信号V′L1(t)、V′R1(t)は、次の数3および数4で示され、これらの各第2原音信号が同相信号除去回路3L,3Rに入力される。
【0024】
【数3】
【0025】
【数4】
そして、同相信号除去回路3L,3Rにおいて、各チャンネルの第2原音信号中からそれらの同相成分が取り除かれ、下記の数5び数6に示すような異相成分信号V′L2(t)、V′R2(t)が出力される。
【0026】
【数5】
【0027】
【数6】
ここで、スティックボリューム11のスティック12の位置をリアにした場合、音像効果をより発揮させるために、同相信号除去回路3L,3Rの増幅率をA3>1とすると、ミックスアンプ5L,5Rの出力VL3(t)、VR3(t)は、次に示す数7および数8のようになる。なお、入力アンプ1L,1Rおよびバッファアンプ4L,4Rの増幅率A1,A2はそれぞれ1である。
【0028】
【数7】
【0029】
【数8】
ここで、第1および第2のボリューム8,9を操作するスティック12の位置がフロントの位置、すなわちx=RA、y=0の場合に、利得が1になるようにするため、ミックスアンプ4L,4Rの増幅率A4を数9に示すようにしておく。なお、xはスティック12をX軸方向に移動させた場合に変化する抵抗値である。
【0030】
【数9】
このように出力信号が合成されると、スティック12の位置を前後に移動させることにより、第1および第2のボリューム8,9の抵抗値が0(Ω)≦y≦RA(Ω)まで変わり、数1および数2で示される信号VL2(t)、VR2(t)と、数5および数6で示される異相成分信号V′L2(t)、V′R2(t)との混合比が変化し、音像はy=RAのときフロント側にあるように感じ、y=0のときリア側にあるように感じることになる。
【0031】
このように前後に移動させられる音像は、Pan6の第3のボリューム10によって左右方向に移動する。すなわち、ミックスアンプ5L,5Rから出力される左右チャンネルL,Rの合成信号は、Pan6の第3のボリューム10によって分圧され、数10および数11で示す信号VL4(t)、VR4(t)のようになる。
【0032】
【数10】
【0033】
【数11】
この信号VL4(t)、VR4(t)は、出力アンプ7L,7Rによって増幅され、数12および数13で示す信号VLO(t)、VR4(t)のようになる。
【0034】
【数12】
【0035】
【数13】
ここで、出力アンプ7L,7Rの増幅率A5は、スティック12が中央に位置しているときに利得が1となるように下記の数14のように設定される。
【0036】
【数14】
このように出力信号が合成されると、スティック12の位置を左右に移動させることにより、第3のボリューム10の抵抗値が0(Ω)≦x≦RA(Ω)まで変わり、数12および数13で示されるように、そのバランスが調整され音像はx=0のとき左側にあるように感じ、x=RAのとき右側にあるように感じることになる。
【0037】
したがって、スティックボリューム11を使用し、スティック12によって第1ないし第3のボリューム8,9,10を連動させて可変することによって、音像が図3の説明図に示されているように変化する。
【0038】
すなわち、図3(a)のようにスティック12の位置を前方にすると、音像イメージIはユーザーUの前方に、右方にすると音像イメージIはユーザーUの右側に、後方にすると、音像イメージIはユーザーUの後方に、左方にすると音像イメージIはユーザーUの左方にそれぞれ変位することになる。
【0039】
なお、この実施例では、スティックボリューム11を使用して音像イメージ位置を変位させているが、スティックボリューム11の代わりに第1および第2のボリューム8,9と、第3のボリューム10をそれぞれスライドボリュームに代えてもよく、これによれば1つの音楽の中のリズム成分を入れたり出したりすることがより簡単に行える。
【0040】
このようにこの実施例によれば、以下のような効果がある。アナログ回路のみで構成されるので、低コストで提供することができる。操作手段としてスティックボリューム11を使用しているので、ユーザは曲やリズムに合わせて任意かつスピイーディーに音像のイメージ位置を変更することができる。スティックボリューム11のスティック12の位置をセンターにすると、前領域から同等に音が聴取でき、サラウンド感を得ることができる。左チャンネルLおよび右チャンネルRの同相成分を取り除くことができる。スティック12を左右に動かすことにより、音像も左右に移動させることができる。片手で簡単に操作できる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、発明によれば、左右両チャンネルのアナログ信号を演算することによって位相を操作することができ、その際、回路定数を変えるために導入された操作手段を操作することによって、簡単に左右の2つのスピーカーのみで360度自由に音像の位置を変更することができる。また、使用される回路はアナログ回路なので、コストも安く提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る音場定位操作装置の回路図。
【図2】同実施例に係る音場定位操作装置に使用される音像の位置を変更させるスティックボリュームの平面図。
【図3】同実施例に係るスティックボリュームのスティックの操作位置と音像イメージ位置との関係を示す説明図。
【符号の説明】
1L,1R 入力アンプ
2L,2R 信号バランス回路
3L,3R 同相信号除去回路
4L,4R バッファアンプ
5L,5R ミックスアンプ
6 Pan
7L,7R 出力アンプ
8 第1のボリューム
9 第2のボリューム
10 第3のボリューム
11 スティックボリューム
12 スティック
【産業上の利用分野】
本発明は音場定位操作装置に関し、さらに詳しく言えば、左右2つのスピーカーによってサラウンド型の音場を形成し、その音場において前後左右自由に音像の位置を変更することができる音場定位操作装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サラウンド型の音場を制御するものとして、例えば実開平2−10700号公報に記載の音場定位操作装置が知られている。この装置は、ゲーム機のジョイスティックからのコントロール信号により、CRTディスプレイに映し出されたゲームキャラクターの移動操作の他に、多元音場を構成するための4つのゲインコントロールアンプの利得を制御し、音像の定位を同時に操作する機能を組み合わせ、アウトプットマトリックス回路から各アンプを介して4つのスピーカーから音声信号として出力し、ゲームプログラムに関係なく映像と音声の定位移動を連動させるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この先行例では、スピーカーを4個使用することを前提にしており、ジョイスティックで操作するのは4つのチャンネルであり、スピーカー、アンプなどをそれぞれ4チャンネル分用意しなければならず、当然、コストが高くならざるを得ない。
【0004】
また、サラウンドプロセッサーやエフェクターなどが知られているが、従来のサラウンドプロセッサーやマトリックスサラウンドは、使用者がサラウンドのパターンを選択することしかできなかった。
【0005】
これに対して、自由に音像位置を変化させることが可能な回路の場合は、その操作がタクトスイッチなどによって段階的にのみ可変可能であり、これでは使用者が曲やリズムに合わせてスピーディーに音像を変えることはできない。もっとも、デジタルサラウンド方式の機器は、音像をスピーディーに変えることができるが、回路のパーツ数が多く、また、デジタルシグナルプロセッサーなどを用いる必要があり、価格が非常に高くなる。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、その目的は、左右の2つのスピーカーのみで360度自由に音像の位置を変更することができる安価な音場定位操作装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、左右2つの入力チャンネルのそれぞれに設けられる入力信号増幅手段と、この各入力信号増幅手段から出力される原音信号をそれぞれ第1原音信号と第2原音信号とに分割し、かつ、その両原音信号のバランス量を設定する第1および第2のボリュームからなる一対の信号バランス手段と、この各信号バランス手段から出力される各々の第1原音信号をそれぞれ逆相にするバッファ手段と、上記各信号バランス手段から出力される各々の第2原音信号から同相成分を除去し、異相成分のみにする同相信号除去手段と、上記各バッファ手段の出力信号と上記同相信号除去手段からの出力信号とを各チャンネルごとに合成する信号合成手段と、この両信号合成手段から出力される左右の信号のバランスを可変とする第3のボリュームと、同第3のボリュームによってバランスが変更された左右の信号を増幅して出力する出力信号増幅手段と、これらの出力信号増幅手段の出力信号を音声情報として出力する左右2つのスピーカーと、上記第1ないし第3のボリュームを操作し、音像位置を前後左右の所定位置に設定する音像位置操作手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
この場合、上記音像位置操作手段は、上記第1、第2および第3のボリュームを1本のスティックによって操作するスティックボリュームによって構成されることが好ましい。
【0009】
【作用】
上記構成によると、各チャンネルごとに入力信号増幅手段にて増幅された音声信号(原音信号)は、次段の信号バランス手段の第1および第2のボリュームにより、そのチャンネルごとに第1原音信号と第1原音信号とに分割され、かつ、そのバランス量がとられる。この各々の第1原音信号は、それぞれチャンネルごとにバッファ手段に入力され、その位相が反転されて逆相とされる。
【0010】
一方、各第2原音信号は同相信号除去手段に入力され、同手段の例えば差動アンプによって両チャンネルの同相成分が除去され異相成分のみにされた後、信号合成手段においてバッファ手段にて逆相とされた第1原音信号と合成される。そして、第3のボリューム(Pan)にて各信号合成手段の出力バランスが可変され、出力アンプを介して左右のスピーカーから出力される。
【0011】
この場合、同相信号除去手段から出力される信号レベルをバッファ手段から出力される信号レベルよりも大きくする必要がある。この信号レベルバランスは、この回路を使用する機器によりその適正レベルが異なるが、レベルを適正に設定することによって音像を効果的に移動させることが可能となる。また、サラウンド感も大きくなる。なお、スティックボリュームを使用すると、1本のスティックの位置を操作することによって音像の位置を前方から、右、後方、左を簡単に移動させることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1に示されているように、この音場定位操作装置は、入力信号増幅手段としての入力アンプ1L,1Rと、信号バランス手段としての信号バランス回路2L,2Rと、同相信号除去手段としての同相信号除去回路3L,3Rと、バッファ手段としてのバッファアンプ4L,4Rと、信号合成手段としてのミックスアンプ5L,5Rと、Pan6と、出力アンプ7L,7Rとを備えている。以下、Lは左チャンネル、Rは右チャンネルを表している。
【0013】
入力アンプ1L,1Rは、図示しないコンパクトディスクやテープなどの音声再生機器から左右それぞれから入力される音声信号をそのチャンネルごとに増幅して信号バランス回路2L,2Rに出力するアンプで、これは公知のものであってよい。
【0014】
この実施例において、信号バランス回路2L,2Rは、それぞれ第1および第2のボリューム8,9からなり、入力アンプ1L,1Rから入力された入力信号(原音信号)は、この各ボリューム8,9によって第1原音信号と第2原音信号とに分割されるとともに、その両者のバランス量が調整され、一方の第1原音信号はバッファアンプ4L,4Rにそれぞれ出力され、他方の第2原音信号は同相信号除去回路3L,3Rにそれぞれ出力される。
【0015】
同相信号除去回路3L,3Rは差動アンプによって構成されており、この場合、一方の同相信号除去回路3Lの反転端子には右チャンネルR側の第2原音信号が入力され、その非反転端子には左チャンネルL側の第2原音信号が入力され、両第2原音信号の同相成分が除去され異相成分のみとされる。
【0016】
また、他方の同相信号除去回路3Rの反転端子には左チャンネルL側の第2原音信号が入力され、その非反転端子には右チャンネルR側の第2原音信号が入力され、両第2原音信号の同相成分が除去され異相成分のみとされる。
【0017】
これに対して、信号バランス回路2L,2Rから出力される第1原音信号は、各バッファアンプ4L,4Rにてその位相が逆相とされる。この逆相とされた各第1原音信号は、同相信号除去回路3L,3Rから出力される異相成分信号とともにミックスアンプ5L,5Rに入力され、その第1原音信号と異相成分とが合成される。
【0018】
このミックスアンプ5L,5Rの出力は、第3のボリューム10からなるPan6にてその左右のバランス量が可変とされ、出力アンプ7L,7Rを介して図示しないパワーアンプによりスピーカーを駆動する。
【0019】
なお、この実施例において、第1、第2および第3のボリューム8,9,10は、図2の平面図に示すようなスティックボリューム本体11に設けられている1本のスティック12により、連動して操作されるようになっている。
【0020】
次に、この音場定位操作装置の動作ついて説明する。左右各チャンネルの入力信号(原音信号)をそれぞれVL(t)、VR(t)とし、各アンプ、すなわち入力アンプ1L,1R、同相信号除去回路(差動アンプ)3L,3R、バッファアンプ4L,4R、ミックスアンプ5L,5Rおよび出力アンプ7L,7Rの増幅率をそれぞれA1,A2,A3,A4,A5とし、信号バランス回路2L,2Rの各固定抵抗の抵抗値をR、可変抵抗の全抵抗値をRA、その各ボリューム8,9の摺動接点を移動させたときの抵抗成分をyとすると、音像を前後に移動させる場合には、次のようになる。
【0021】
すなわち、各チャンネルL,Rに入力されたVL(t)、VR(t)は、入力アンプ1L,1Rで増幅され、信号バランス回路2L,2Rにおいて、第1原音信号VL1(t)、VR1(t)と、第2原音信号V′L1(t)、V′R1(t)とされるが、その内の第1原音信号VL1(t)、VR1(t)は、バッファアンプ4L,4Rで増幅され、数1および数2に示すような信号VL2(t)、VR2(t)となる。
【0022】
【数1】
【0023】
【数2】
また、第2原音信号V′L1(t)、V′R1(t)は、次の数3および数4で示され、これらの各第2原音信号が同相信号除去回路3L,3Rに入力される。
【0024】
【数3】
【0025】
【数4】
そして、同相信号除去回路3L,3Rにおいて、各チャンネルの第2原音信号中からそれらの同相成分が取り除かれ、下記の数5び数6に示すような異相成分信号V′L2(t)、V′R2(t)が出力される。
【0026】
【数5】
【0027】
【数6】
ここで、スティックボリューム11のスティック12の位置をリアにした場合、音像効果をより発揮させるために、同相信号除去回路3L,3Rの増幅率をA3>1とすると、ミックスアンプ5L,5Rの出力VL3(t)、VR3(t)は、次に示す数7および数8のようになる。なお、入力アンプ1L,1Rおよびバッファアンプ4L,4Rの増幅率A1,A2はそれぞれ1である。
【0028】
【数7】
【0029】
【数8】
ここで、第1および第2のボリューム8,9を操作するスティック12の位置がフロントの位置、すなわちx=RA、y=0の場合に、利得が1になるようにするため、ミックスアンプ4L,4Rの増幅率A4を数9に示すようにしておく。なお、xはスティック12をX軸方向に移動させた場合に変化する抵抗値である。
【0030】
【数9】
このように出力信号が合成されると、スティック12の位置を前後に移動させることにより、第1および第2のボリューム8,9の抵抗値が0(Ω)≦y≦RA(Ω)まで変わり、数1および数2で示される信号VL2(t)、VR2(t)と、数5および数6で示される異相成分信号V′L2(t)、V′R2(t)との混合比が変化し、音像はy=RAのときフロント側にあるように感じ、y=0のときリア側にあるように感じることになる。
【0031】
このように前後に移動させられる音像は、Pan6の第3のボリューム10によって左右方向に移動する。すなわち、ミックスアンプ5L,5Rから出力される左右チャンネルL,Rの合成信号は、Pan6の第3のボリューム10によって分圧され、数10および数11で示す信号VL4(t)、VR4(t)のようになる。
【0032】
【数10】
【0033】
【数11】
この信号VL4(t)、VR4(t)は、出力アンプ7L,7Rによって増幅され、数12および数13で示す信号VLO(t)、VR4(t)のようになる。
【0034】
【数12】
【0035】
【数13】
ここで、出力アンプ7L,7Rの増幅率A5は、スティック12が中央に位置しているときに利得が1となるように下記の数14のように設定される。
【0036】
【数14】
このように出力信号が合成されると、スティック12の位置を左右に移動させることにより、第3のボリューム10の抵抗値が0(Ω)≦x≦RA(Ω)まで変わり、数12および数13で示されるように、そのバランスが調整され音像はx=0のとき左側にあるように感じ、x=RAのとき右側にあるように感じることになる。
【0037】
したがって、スティックボリューム11を使用し、スティック12によって第1ないし第3のボリューム8,9,10を連動させて可変することによって、音像が図3の説明図に示されているように変化する。
【0038】
すなわち、図3(a)のようにスティック12の位置を前方にすると、音像イメージIはユーザーUの前方に、右方にすると音像イメージIはユーザーUの右側に、後方にすると、音像イメージIはユーザーUの後方に、左方にすると音像イメージIはユーザーUの左方にそれぞれ変位することになる。
【0039】
なお、この実施例では、スティックボリューム11を使用して音像イメージ位置を変位させているが、スティックボリューム11の代わりに第1および第2のボリューム8,9と、第3のボリューム10をそれぞれスライドボリュームに代えてもよく、これによれば1つの音楽の中のリズム成分を入れたり出したりすることがより簡単に行える。
【0040】
このようにこの実施例によれば、以下のような効果がある。アナログ回路のみで構成されるので、低コストで提供することができる。操作手段としてスティックボリューム11を使用しているので、ユーザは曲やリズムに合わせて任意かつスピイーディーに音像のイメージ位置を変更することができる。スティックボリューム11のスティック12の位置をセンターにすると、前領域から同等に音が聴取でき、サラウンド感を得ることができる。左チャンネルLおよび右チャンネルRの同相成分を取り除くことができる。スティック12を左右に動かすことにより、音像も左右に移動させることができる。片手で簡単に操作できる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、発明によれば、左右両チャンネルのアナログ信号を演算することによって位相を操作することができ、その際、回路定数を変えるために導入された操作手段を操作することによって、簡単に左右の2つのスピーカーのみで360度自由に音像の位置を変更することができる。また、使用される回路はアナログ回路なので、コストも安く提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る音場定位操作装置の回路図。
【図2】同実施例に係る音場定位操作装置に使用される音像の位置を変更させるスティックボリュームの平面図。
【図3】同実施例に係るスティックボリュームのスティックの操作位置と音像イメージ位置との関係を示す説明図。
【符号の説明】
1L,1R 入力アンプ
2L,2R 信号バランス回路
3L,3R 同相信号除去回路
4L,4R バッファアンプ
5L,5R ミックスアンプ
6 Pan
7L,7R 出力アンプ
8 第1のボリューム
9 第2のボリューム
10 第3のボリューム
11 スティックボリューム
12 スティック
Claims (2)
- 左右2つの入力チャンネルのそれぞれに設けられる入力信号増幅手段と、この各入力信号増幅手段から出力される原音信号をそれぞれ第1原音信号と第2原音信号とに分割し、かつ、その両原音信号のバランス量を設定する第1および第2のボリュームからなる一対の信号バランス手段と、この各信号バランス手段から出力される各々の第1原音信号をそれぞれ逆相にするバッファ手段と、上記各信号バランス手段から出力される各々の第2原音信号から同相成分を除去し、異相成分のみにする同相信号除去手段と、上記各バッファ手段の出力信号と上記同相信号除去手段からの出力信号とを各チャンネルごとに合成する信号合成手段と、この両信号合成手段から出力される左右の信号のバランスを可変とする第3のボリュームと、同第3のボリュームによってバランスが変更された左右の信号を増幅して出力する出力信号増幅手段と、これらの出力信号増幅手段の出力信号を音声情報として出力する左右2つのスピーカーと、上記第1ないし第3のボリュームを操作し、音像位置を前後左右の所定位置に設定する音像位置操作手段とを備えていることを特徴とする音場定位操作装置。
- 上記音像位置操作手段が、上記第1、第2および第3のボリュームを1本のスティックによって操作するスティックボリュームからなる請求項1に記載の音場定位操作装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19751894A JP3561004B2 (ja) | 1994-07-30 | 1994-07-30 | 音場定位操作装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP19751894A JP3561004B2 (ja) | 1994-07-30 | 1994-07-30 | 音場定位操作装置 |
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JPH0847100A JPH0847100A (ja) | 1996-02-16 |
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Family Applications (1)
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JP19751894A Expired - Fee Related JP3561004B2 (ja) | 1994-07-30 | 1994-07-30 | 音場定位操作装置 |
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US8660280B2 (en) * | 2007-11-28 | 2014-02-25 | Qualcomm Incorporated | Methods and apparatus for providing a distinct perceptual location for an audio source within an audio mixture |
-
1994
- 1994-07-30 JP JP19751894A patent/JP3561004B2/ja not_active Expired - Fee Related
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