JP3559965B2 - 姿勢角検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はジャイロと加速度計とを搭載して姿勢角を検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばこの種の姿勢角検出装置を人間の頭部に取付け、その頭部の動きを検出して、その頭部の動きに応じて表示器に表示される仮想空間画像が変化するようにされたものがある。
従来の姿勢角検出装置は図7に示すように、例えば互いに直交する3軸を入力軸とするジャイロ11の各出力はAD変換器12でデジタル値に変換され、これらデジタル値は減算器13でリセット時の初期バイアスが減算され、更に補正部14で補正されてボディ角速度ωB とされる。
【0003】
一方、直交する軸を入力軸とする加速度計15の出力は、その出力がアナログ信号の場合はAD変換器16でデジタル値に変換され、更に補正部17で補正されてボディ加速度AB として出力される。
姿勢基準計算部18よりの方向余弦マトリクスCとボディ加速度AB が水平加速度計算部19に入力されて、水平加速度AL が計算され、その水平加速度AL は水平加速度ダンピング部21で角速度誤差ΔωBAが推定され、この角速度誤差ΔωBAがボディ角速度ωB から引算器22で引算され、その引算出力は姿勢基準計算部18で角速度積分されて、姿勢基準が計算され、この姿勢基準はオイラー角計算部23でオイラー角に変換され、その局所座標系の姿勢角として出力される。
【0004】
補正部14及び17はAD変換後のフィルタ処理や、センサの製品出荷時に行われる調整時に取得されるミスアライメント補正値、スケールファクタ補正、バイアス補正値などによる補正が行われる。
水平加速度ダンピング部21では、図8に示すように方向余弦マトリクスCとボディ加速度AB が水平加速度計算部19で乗算されて水平加速度AL が求められ、水平加速度AL から重力加速度(0,0,G)が引算器25で引算され、水平成分ΔAL =(ΔAL X ,ΔAL Y ,0)が加速度計算部26で角速度ΔωL1=(ΔωL1X ,ΔωL1Y,0)が計算され、ΔωL1は座標変換部27で方向余弦マトリクスCによりボディ座標成分ΔωB1に変換される。またΔAL は加速度計算部28で角速度ΔωL2=(ΔωL2X ,ΔωL2Y ,0)が計算され、ΔωL2は座標変換部29でボディ座標成分に変換された後積分器31で積分される。この積分結果とΔωB1が加算器32で加算されて角速度誤差ΔωBAとされる。
【0005】
水平加速度ダンピング計算部21は、図9に示すように構成されることもある。図9において、図8と異なる部分は水平加速度成分ΔAL は角度変換部33で誤差角度成分(Δφ,Δθ,0)が計算され、この誤差角度成分は姿勢基準計算部18の出力に対し、引算器34で姿勢基準の回転(トルキング)を行うことにより、誤差補正を行う。
人間の頭部に姿勢角検出装置を取付ける場合はその大きさを数cm立方、重さを100g以下程度の小形軽量なものとする必要がある。この点から使用されるジャイロ(角速度センサ)や加速度計は低精度でしかも誤差のばらつきが大きいものを使用せざるを得ない。このような低精度のジャイロを使用した場合、角速度誤差が発生することにより、姿勢角がドリフトする現象が発生する。これを抑えるために、角度ドリフトがない傾斜計のような角度センサを用いて、ジャイロの誤差を推定するループを構成していた。
【0006】
またリセット時、つまり初期ジャイロバイアス推定時に、ジャイロバイアス誤差が大きいジャイロについては角速度ゼロのAD変換値がAD変換器の中心から大きくずれて、ジャイロ出力の有効なAD変換範囲が狭くなる。つまり従来においては図10Aに示すようにAD変換器12にジャイロ出力が直接入力され、AD変換器12の出力は引算器13を通じ、リセット時(ジャイロバイアス推定時)にオンにされるスイッチ36を通じてジャイロバイアス推定部422に入力され、その値が初期バイアスとして保持されると共に引算器13へ供給され、引算器13の出力がゼロになるようにされている。
【0007】
このようにジャイロセンサ出力がAD変換器12へ直接入力されているため、温度環境の異なる場所や、ジャイロバイアスやそのバイアスの変動による誤差の大きいセンサの場合には、例えば図10Bに示すようにAD変換器12として入力レンジ(変換範囲)が0〜5Vであり、角速度がゼロの場合の入力が入力レンジの中心2.5Vのものが用いられているが、ジャイロバイアスやドリフト誤差が大きいため、角速度がゼロ時のジャイロ出力が3.2Vであったとすると、−側での入力変化に対応できる範囲(−側角速度レンジ)は3.2Vであるが、+側角速度レンジは1.8Vしかない。このため有効レンジとしては±1.8V分しかとれず、つまり狭い方のレンジに制約されてしまう。この対策としては、性能の悪い角速度センサを事前に排除するか、調整用抵抗素子を取付けて出荷前に調整し、そのバイアス誤差値を図7の引算器13に入力する必要があった。これらは何れも、高価なものとなり、しかも温度環境によりジャイロバイアスが大きく変動する場合には、対応できなかった。
【0008】
例えば人間の頭部に姿勢角検出装置を取付けて使用する場合に、人間の頭部の鉛直軸に対して姿勢角検出装置の鉛直軸を正確に平行に取付けることは困難であり、期待しない軸回りに回転が入力されるおそれがある。つまり図11Aに示すように人間の頭部38に姿勢角検出装置39を取付けた場合に装置39の水平軸を水平に、つまりロール角及びピッチ角が共に0度になるように取付けることができなかった場合、図11Aではピッチ方向にΔθ傾けて装置39を取付けた場合には、真の鉛直軸回りの角速度ωが入力されると、装置39の期待しない軸、つまりX軸にも角速度ωsin(Δθ)が入力され、Z軸にも角速度ωcos(Δθ)が入力されてしまい、正しい姿勢角を検出できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
姿勢角検出装置は、出荷前のジャイロバイアスの調整を不要とし、しかも大きなジャイロバイアスが入力されても、AD変換器のレンジを十分確保できるという第1の課題と、
角度ドリフトがない磁気方位センサのような角度センサを用いることなく、ジャイロ出力を利用して、方位角(ヨー角)のドリフトを抑圧することができるという第2の課題と、
【0010】
被取付け体の鉛直軸に対して装置の鉛直軸が正確に平行に取付けられていなくても簡単に姿勢角を決定することができるという第3の課題とがあるが、本願発明は上記第1の課題を解決することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を解決するこの発明によれば、第1及び第2補正器が設けられ、これらはリセットコマンドにより動作され、ジャイロ出力が第1補正器に直接入力され、推定されたジャイロバイアス誤差が引算され、その引算されたアナログ値から前記引算結果が小さくなるように上記ジャイロバイアス誤差が推定される。この第1補正器により補正されたジャイロ出力は、第2補正器において推定されたデジタル値のジャイロバイアス補正残差が引算され、その引算された結果のデジタル値が小さくなるようにジャイロバイアス補正残差が推定され、そのジャイロバイアス補正残差が引算されたデジタル値のジャイロ出力が姿勢角を求めるために利用される。
【0012】
上記第2の課題を解決するために次の技術が考えられる。角速度バイアス推定部においてジャイロ出力から得られる角速度が所定値以下になると本装置への角速度入力がゼロの状態と判定し、水平加速度ダンピング計算部の入力がゼロとされ、ジャイロ出力から推定したジャイロバイアス誤差を引算し、その引算結果から前記ジャイロバイアス誤差が推定される。
上記第3の課題を解決するために次の技術が考えられる。リセットコマンドにより初期姿勢角計算部が動作し、加速度計の出力から初期姿勢角が計算され、姿勢角設定部において初期姿勢角により姿勢基準が補正され、その補正された姿勢基準がオイラー角計算に用いられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照してこの発明の実施形態を実施例により説明する。図1はこの発明の実施例を示し、図7と対応する部分には同一参照番号を付けてある。この実施例ではジャイロバイアス補正部40が設けられ、ジャイロ11の出力からジャイロバイアス誤差が差し引かれる。ジャイロバイアス補正部40においてはジャイロ11の出力はまず第1補正器41でリセット時の推定ジャイロバイアス誤差がアナログ演算により差し引かれて補正され、その補正されたジャイロ出力はAD変換器12によりデジタル値に変換され、そのデジタル値のジャイロ出力は第2補正器42でリセット時の推定ジャイロバイアス補正残差がデジタル演算により差し引かれて補正される。この補正されたジャイロ出力は補正部14で補正され、引算器22へ供給される。
【0014】
引算器22の出力は角速度バイアス推定部43において本装置への角速度入力がゼロの状態とみなされた時の引算器22の出力によりジャイロバイアス誤差が推定され、その推定ジャイロバイアス誤差が、引算器22で補正部14で補正されたジャイロ出力から差し引かれて補正される。水平加速度ダンピング部21の入力側は水平加速度計算部19の出力側と0レジスタ44側とにスイッチ45により切替え接続されるようにされ、角速度バイアス推定部43において本装置への角速度入力がゼロの状態とみなされた時は、スイッチ45は0レジスタ44側に切替えられる。
【0015】
更にこの例では姿勢基準計算部18の入力側は引算器22の出力側と、0度レジスタ46とにスイッチ47により切替え接続されるようになされた場合である。
初期姿勢角計算部48においてリセット時の初期姿勢角が加速度計出力により計算され、その初期姿勢角分だけ、姿勢基準計算部18よりの方向余弦マトリクスが出力姿勢角設定部49で回転補正され、その回転補正された方向余弦マトリクスがオイラー角計算部23へ供給される。
【0016】
次にこの実施例において新たに設けた各部の具体例を説明する。
先ずリセット時のバイアス補正を行う第1及び第2補正器41及び42の例を図2Aを参照して説明する。これら第1及び第2補正器41及び42はこの姿勢角検出装置を使用するごとにその始めにリセットスイッチ又は姿勢角検出装置を制御するパソコンからのリセットコマンドにより動作され、その時(本装置への角速度入力がゼロの状態)バイアス誤差値を求める。
第1補正器41においてはジャイロ出力が減算器411に直接入力され、DA変換器412からのジャイロバイアス誤差Bi が引算され、その引算されたジャイロ出力がAD変換器12でデジタル値Δi に変換され、そのデジタル値は、リセットコマンドによりオンにされるスイッチ413を通じて誤差推定部414に入力される。誤差推定部414においては入力されたデジタル値はノイズ除去フィルタ415により雑音成分が除去され、誤差補正部416で前回のジャイロバイアス誤差Bi に対し、減算器411の出力Δi が加算されて、ジャイロバイアス誤差がBi+1 に更新され、この更新されたBi+1 がDA変換器412によりアナログ信号に変換されて減算器411へ供給される。AD変換器12の出力がゼロになるようにこの更新ループが何回か繰返され、AD変換器12の出力値が、DA変換器412のLSB(最小桁ビット)以内になるまで行われる。
【0017】
ノイズ除去フィルタ415は低域通過フィルタ又は移動平均を行うものなどが用いられる。最終的に得られたリセット時バイアス誤差は誤差補正部416内のレジスタに保持され、DA変換器412でアナログ信号とされて減算器411へ供給される。
第1補正器41でリセット時のバイアス誤差Bi の値が確定した後、第1補正器41の出力、この例ではAD変換器12の出力が第2補正器42の減算器421へ供給され、補正残差推定部422からのジャイロバイアス補正残差が引算され、第1補正器41における補正残差分(DA変換器412のLSB以下の値)がゼロになるように補正される。減算器421の出力はリセットコマンドによりオンにされるスイッチ423を通じて補正残差推定部422に入力される。補正残差推定部422では雑音を除去するために例えば約0.3秒間の平均値をとるフィルタ処理が行われて、第1補正器41によるジャイロバイアス誤差の補正残差が推定され、これが引算器421へ供給される。この補正残差に対するジャイロバイアス補正値も例えばレジスタに保持され、減算器421へ供給され続ける。
【0018】
AD変換器12の変換レンジが0〜5.0Vの場合、図2Bに示すように静止時のジャイロ出力が3.2Vの場合は、+角速度に対する変換レンジは1.8Vであり、−角速度に対する変換レンジは3.2Vであり、このままでは図10Bで説明したように、有効角速度レンジは±1.8V分しかない。しかし、図2A中のDA変換器412からジャイロバイアス誤差として0.7Vが出力されると、静止時において減算器411の出力は2.5Vになり、図2Cに示すように、+角速度レンジ及び−角速度レンジも共に2.5となり、有効角速度レンジが+方向及び−方向において最大になる。なお、実際にはDA変換器412は、そのLSB以内の変換誤差をもつため、減算器411の出力はAD変換器12の入力レンジ中央2.5Vに対しDA変換器412のLSB以内の大きさの出力が減算器411から出力される。これが第2補正器42により補正される。以上のようにして温度環境などによりジャイロバイアス誤差が大きく変化しても、使用の都度、リセット時のジャイロバイアス誤差値を求めることにより、角速度の検出範囲を常に最大に利用することができ、かつジャイロバイアス誤差を補正することができる。
【0019】
図1中の姿勢基準計算部18で姿勢角基準計算(積分)を行う点からAD変換器12の分解能を高くすることが望ましい。AD変換器12の分解能を高くすると、その変換可能レンジが狭くなる。そのため図2Aに示した構成では大きな初期ジャイロバイアスを取り除くことができなくなる。このような場合図3に示すような構成とすればよい。つまり減算器411の出力は、AD変換器12よりも低分解能のAD変換器417でデジタル値に変換し、その変換されたデジタル値がスイッチ413を通じてノイズ除去フィルタ415へ供給されるようにする。このようにしてレンジの広いAD変換器417を用いて、大きなジャイロバイアス誤差に対しても、角速度がゼロ時のジャイロ出力が、減算器411で補正され、そのAD変換器417の変換レンジのほぼ中心値になるようにされる。その後、減算器411の補正されたジャイロ出力は、AD変換器417よりも高分解能(例えば20倍程度高い)のAD変換器12でデジタル値に変換され、第2補正器42により、第1補正器41での、リセット時のジャイロバイアス誤差の補正残差に対する補正値が求められる。図2A及び図3に示したようにジャイロバイアス補正部40では第1補正器41によりまずアナログ量での補正を行っているため、大きなジャイロバイアス誤差があっても、デジタル値で行う場合にはAD変換器の飽和のため、補正が不十分で有効動作範囲が狭まるおそれはない。なお、AD変換器12,417などこの明細書でAD変換器とは狭義のものではなく、例えば増幅器など他のものが含まれることがあり、要はアナログ値をデジタル値に変換するものであり、同様にDA変換器412は狭義のものではなく、増幅器などを含んだものであってもよく、要はデジタル値をアナログ値に変換するものであればよい。
【0020】
次に図1中の角速度バイアス推定部43における角速度バイアス推定処理を、図4を参照して説明する。図1中の補正部14からの補正されたジャイロ出力ωBはノイズ除去フィルタ431で、雑音成分が除去されて角速度誤差判定処理部432に入力される。ノイズ除去フィルタ431は移動平均処理や低域通過処理により雑音成分の除去を行う。このノイズ除去フィルタ431の特性はこの姿勢角検出装置の使用環境などにより決定する。
角速度誤差判定処理部432は、判定しきい値テーブル433を参照して入力された角速度が所定の角速度しきい値範囲内であれば誤差と判定して、スイッチ434及び435をオンにし、また図1中のスイッチ45を0レジスタ44側に切替え、必要に応じてスイッチ47も0レジスタ46側に切替える。ノイズ除去フィルタ431の誤差とみなされた出力はスイッチ434を通じて角速度バイアス推定処理部436に入力され、その時の角速度バイアス値Δωi とされる。この角速度バイアス値Δωi はスイッチ435を通じて角速度バイアス積分部437に入力され、それまでの角速度バイアスΔωBS,i-1にΔωi が加算されて角速度バイアス値ΔωBSが更新される。つまり下記の式が計算される。
【0021】
ΔωBS,i=ΔωBS,i-1+Δωi
この場合、図1中において水平加速度ダンピング部21にスイッチ45を通じて0が入力されているため図8及び図9における角速度誤差ΔωBAが変化するおそれがなく、正しく角速度バイアス値ΔωBSを求めることができる。
角速度誤差判定処理部432における誤差の判定は角速度しきい値範囲内であると連続してN回判定された時に、ノイズ除去フィルタ431の出力は本装置への角速度入力がゼロの状態に生じる誤差と判定するようにすることもできる。このためにはj=0でX軸、j=1でY軸、j=2でZ軸とし、1つのjについての処理例を図5に示す。フラグFj =0とし(S1)j軸入力のジャイロ出力(フィルタ431の出力)ωj が、判定しきい値ωjmの範囲、つまり−ωjm<ωj <+ωjmであるかを調べ(S2)、このしきい値範囲内になければnj を0と(S3)、このしきい値範囲内にあればnj を+1して更新し(S4)、その更新されたnj がN以上かを調べ(S5)、N以上であれば静止状態にあり、その時のωj をj軸回り角速度誤差Δωと判定し、フラグFj を1にする(S6)。図に示していないがjを更新して同様に処理を行って次々と各軸回りの角速度の誤差を求める。
【0022】
判定しきい値テーブル433に各ジャイロの入力軸X,Y,Zごとに、各種値を格納しておき、利用者が判定しきい値を使用状態に応じて選ぶことにより入力角速度に対する感度を変更することができるようにしてもよい。判定しきい値を小さくすれば入力角速度に対する感度が高くなる。図示例では判定しきい値を全軸共通の2゜/秒としたが、各軸ごとに設定してもよい。図5に示したように各軸ごとにその入力がしきい値以内か否かを判定したが、全軸の入力ωj が同時にしきい値以内とされた時のみ、その各軸のジャイロ出力を誤差と判定してもよい。場合によってはいずれかの軸の組合せについて行ってもよい。これらは姿勢角検出装置の利用の状況に応じて決めればよい。
【0023】
角速度誤差判定処理部432において、その入力が判定しきい値の範囲外と判定されると、スイッチ434及び435はオフとされ、図1中のスイッチ45及び47に0レジスタ44,46から切り離されるように切替えられる。このスイッチ435がオフとされた時の角速度バイアス積分部437の出力が最新の角速度バイアスΔωBSとして出力される。なお前記本装置への角速度入力がゼロの状態と判定され、スイッチ434,435がオフ、スイッチ45,47が0レジスタ44,46側に接続されている状態では図1において姿勢基準計算部18の入力がゼロとなりオイラー角計算部23はその時の姿勢角を出力し続けるため、例えばこの姿勢角に応じた画像を表示する場合、その画像が変動して見苦しくなるようなことはない。
【0024】
また図4に示した角速度バイアスの推定処理によれば、各軸におけるジャイロ出力の角速度バイアスを推定できる。つまり、この姿勢角検出装置をほぼ水平面で使用した場合は、Z軸ジャイロについては水平加速度ダンピングにより、補正がなされない。このため通常であれば使用した角速度センサの誤差によりヨー角がドリフトしてしまうが、図4に示した角速度バイアス推定処理によりヨー角のドリフトを抑えることができる。なお従来においては磁気方位センサなどジャイロ以外の方位センサを組み合せることによりヨー角の誤差補正を行っているが、この実施例によればそのようなジャイロ以外の方位センサを必要としない。
【0025】
次に図1中の出力姿勢角設定部49について説明する。図6に示すように加速度計出力が、リセット時にオンにされるスイッチ491を通じてノイズ除去フィルタ492に入力され、例えばN回の平均化が行われ、雑音除去されて加速度による姿勢角計算部493に入力される。この姿勢角計算部493においてその入力された加速度により姿勢角が計算され、この初期姿勢角が初期方向余弦マトリクスC0 として出力される。図1中の姿勢基準計算部18において、その積分の初期値として、加速度から姿勢角を計算しているが、これと同様な手法で、姿勢角計算部493においても初期姿勢角を計算すればよい。この初期方向余弦マトリクスC0 は姿勢角計算部493内の記憶部に保持される。
【0026】
このようにして求めた初期方向余弦マトリクスC0 を用いて、図1中の姿勢基準計算部18で求めた姿勢基準である方向余弦ベクトルCに対し、
C′=C・C0 T , C0 TはC0 の転置行列
出力姿勢角設定部49で計算し、リセット時の姿勢角分だけ回転させた方向余弦ベクトルC′を求め、このC′を用いてオイラー角を計算する。このようにして、図11Aに示したように例えばピッチ方向にΔθだけ傾けて姿勢角検出装置39が取付けられても、図11Bに示すように、初期姿勢角C0 により姿勢基準がΔθだけ回転補正され、期待しない軸に角速度が入力されるおそれがなく、それだけ正しい姿勢角を出力することができる。
【0027】
このように初期姿勢角は加速度計出力により求める。従って加速度計にバイアス誤差がある場合は、正しい水平面を検出することができず初期姿勢角に誤差が発生する。リセットごとに姿勢角検出装置を水平に設置することは頭部38などに取付けた後では難かしい。また出荷後に誤差が発生した場合も修正できるよう、利用者により設定することができるバイアス誤差の補正モードを用意するとよい。
【0028】
つまり姿勢角検出装置39をなるべく水平面に近い状態に置き、図6にも示すように、この補正モードにおいてはスイッチ494をオンにして加速度計出力を引算器495へ供給して重力加速度(0,0,1G)との差を求め、この差を加速度バイアス推定部496で必要に応じてN回平均化して加速度バイアスを推定し、この推定値を、不揮発性メモリ497に記憶する。その後、スイッチ498をオンにして、メモリ497よりの加速度バイアス補正値を引算器499に入力し、加速度計出力から加速度バイアス補正値を差し引き、その結果が重力加速度(0,0,1G)になるようにされる。このようにして、次回の電源ON時からは正しい加速度が引算器497の出力から得られるようにされる。
上述において各部はコンピュータによりプログラムを実行させて機能させることもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば大きな角速度バイアス誤差があってもジャイロ出力の有効なAD変換レンジが狭まることがなく、ドリフトが生じない方位センサを用いることなく角速度バイアス誤差を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の機能構成を示すブロック図。
【図2】Aは図1中の第1及び第2補正器41及び42の具体例を示す図、B及びCはその説明のための図である。
【図3】図1中の第1及び第2補正器41及び42の他の具体例を示す図。
【図4】図1中の角速度バイアス推定部43の具体例を示す図。
【図5】図4中の角速度誤差判定処理部432における処理手順の一部の例を示す流れ図。
【図6】図1中の初期姿勢計算部48の具体例を示す図。
【図7】従来の姿勢角検出装置を示すブロック図。
【図8】図7中の水平加速度ダンピング部21の具体例を示す図。
【図9】その他の例を示す図。
【図10】Aは従来のジャイロバイアス補正の構成を示す図、Bはその説明のための図である。
【図11】Aは取付け状態が傾いた場合の必要な軸に角速度が生じる様子を示す図、Bはその補正を行った状態を示す図である。
Claims (1)
- ジャイロを備え、そのジャイロの出力により姿勢角を検出する姿勢角検出装置において、
ジャイロバイアス補正部を備え、
このジャイロバイアス補正部は、
リセットコマンドにより動作し、上記ジャイロの出力からジャイロバイアス誤差を推定する誤差推定部と、上記ジャイロの出力と上記ジャイロバイアス誤差との差をアナログ値として求める第1減算器とを有する第1補正器と、
上記第1補正器の誤差推定完了後に動作し、上記第1減算器の出力がデジタル値として入力され、そのデジタル値から補正残差を推定する補正残差推定部と、上記デジタル出力と上記補正残差との差をデジタル値として求め、上記姿勢角を求めるためのジャイロ出力とする第2減算器とを有する第2補正器とよりなることを特徴とする姿勢角検出装置。
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JP2904118B2 (ja) * | 1996-05-27 | 1999-06-14 | 日本電気株式会社 | 姿勢角検出装置及び方法 |
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