JP3559632B2 - ダブルチューブフラムポンプ、ダブルチューブフラムおよびダブルチューブフラムの製造方法 - Google Patents
ダブルチューブフラムポンプ、ダブルチューブフラムおよびダブルチューブフラムの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はダブルチューブフラムポンプ、そのダブルチューブフラムポンプに使用されるダブルチューブフラムおよびそのダブルチューブフラムを製造する方法に関し、さらに詳しくは、ポンプ機能が達成できなくなるようなチューブフラムの破損事故の発生を未然に防止し、チューブ交換時期を的確に知ることのできるダブルチューブフラムポンプ、そのように便利かつ優れたダブルチューブフラムポンプに好適なダブルチューブフラム、およびそのようなダブルチューブフラムを容易に製造することのできるダブルチューブフラムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧チューブフラムポンプに用いられるチューブフラムは樹脂製またはゴム製のチューブ単体であった。したがって、このチューブフラムが破損すると、作動油がチューブフラム内の移送液と混合してしまうという問題があった。
【0003】
一方、油圧ダイヤフラムポンプは周辺部を固定したダイヤフラムを有する。この油圧ダイヤフラムにおいては、吸引押圧される作動油によりダイヤフラムがポンプ室側に膨張したり、ポンプ室とは反対側に膨張したりすることによりポンプ作用が発揮される。ところで、ダイヤフラムのこのような膨張による変形量が、その直径の数%〜10%程度であるから、ポンプ室による移送液の吐出量を大きくするには、ダイヤフラムの直径を大きくすれば良いと考えられる。つまり、油圧ダイヤフラムポンプの大型化を目指すのである。
【0004】
しかしながら、油圧ダイヤフラムポンプを大型化したとしても、ダイヤフラムの変形量が期待した程には大きくならずに小さくて、ポンプ室における死容積が大きく、その結果として流速自体が期待した程には大きくならない。さらに、ポンプ室の容積が大きくなる割りには移送液の通過流速が大きくならないので、たとえば移送液が沈降速度の大きなスラリー液あるいは固液混相流である場合には、ポンプ室内で粒子の沈降が生じて移送液の吸引吐出に支障を来す。
【0005】
油圧ダイヤフラムポンプを用いて薬品などを吸引吐出する場合には、油圧ダイヤフラムポンプにおけるポンプ室においては、もともとダイヤフラムを耐薬品性の素材で形成してあったとしても、移送液が接するポンプ室内壁を全て耐薬品性の高級素材で形成しなければならないという問題がある。この問題は、移送液の種類に応じてポンプ室内壁を特別仕様で形成した特殊な油圧ダイヤフラムポンプを誂えなければならないという問題につながる。
【0006】
また、油圧ダイヤフラムポンプには二重の膜からなるダイヤフラムを有するタイプがある。このタイプの油圧ダイヤフラムポンプにおいては、2枚の膜の間に液体を充填する密閉空間を形成し、この密閉空間の物理量の変化を検出する検出器を設けることにより、二重の膜からなるダイヤフラムの破損を検出することができるようにしている。
【0007】
このような油圧ダイヤフラムポンプにおいてダイヤフラムを二重にするという技術は油圧チューブフラムポンプに直ちに転用することはできない。なぜならば、ダイヤフラムとチューブフラムとはその形状および構造が全く相違するからである。さらに言うと、油圧チューブフラムポンプにおけるチューブフラムは、油圧室内にチューブフラムを装着する必要から、そのチューブ両端部を折り返して鍔状に形成されてなるフレア部が必要である。ダブルチューブフラムを形成しようとする場合、内側のチューブおよび外側のチューブそれぞれにフレア部を設けなければならない。ところが、内側チューブを外側チューブに挿入しようとしても、内側チューブのフレア部がその挿入を阻害する。また、内側チューブのフレア部を小さめに形成し、そのようなフレア部を有する内側チューブを外側チューブ内に挿入したとしても、内側チューブの外周面と外側チューブの内周面とが密着せずに隙間が開いてしまう。内側チューブと外側チューブとの間に隙間を生じているダブルチューブフラムを油圧チューブフラムポンプに適用しても、そのようなポンプでは、外側チューブに加わる圧力が内側チューブに十分に伝達することができなくなり、ポンプ機能が低下して実用的ではなくなるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、チューブが破損したときにチューブの破損を検知することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することにある。この発明の目的は、ポンプ機能が完全に停止する程のチューブ破損事故が発生する以前にチューブの交換時期を容易に知ることのできるダブルチューブフラムポンプを提供することにある。この発明の目的は、ポンプ機能を十分に発揮することのできるダブルチューブフラムを使用したダブルチューブフラムポンプを提供することにある。この発明の目的は、上記ダブルチューブフラムポンプに好適なダブルチューブフラムを提供することにある。この発明の目的は、内側のチューブおよび外側のチューブそれぞれの両端にフレア部があるにもかかわらず、内側のチューブを外側のチューブの内部に、外側のチューブの内周面と内側のチューブの外周面とが接触可能に、収容されてなるダブルチューブフラムを提供することにある。この発明の目的は、前記ダブルチューブフラムを好適に、かつ容易に製造することのできる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、作動油を収容する油圧室と、吸引押圧手段と、ポンプ室と、チューブ破損検出手段とを備え、前記吸引押圧手段は、シリンダーおよびピストンを備え、前記シリンダーの先端内部が前記油圧室の一部を形成し、前記ピストンが往復運動することによりシリンダーの先端内部の部分的な容積変化を生起させて前記油圧室内の作動油を吸引押圧するように形成され、前記ポンプ室は、前記油圧室内を貫通するように配置され、複数の柔軟性チューブを相互に非癒着状態で積層してなるダブルチューブフラムにより形成され、前記チューブ破損検出手段は、前記柔軟性チューブ間の状態変化を検出する検出器を備えてなり、複数の柔軟性チューブの最内層の柔軟性チューブが、両端部に外側に鍔状に広がるフレア部と、一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面と、そのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部とを備え、前記最内層の柔軟性チューブの軸方向長さが、他の柔軟性チューブの軸線方向より長いことを特徴とするダブルチューブフラムポンプであり、
請求項2に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、それを形成する複数の柔軟性チューブの相互間隙が減圧状態に維持されてなり、前記検出器は圧力検出器である前記請求項1に記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項3に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、それを形成する複数の柔軟性チューブの相互間隙に非圧縮性流体が装填されてなり、前記チューブ破損検出手段は、前記柔軟性チューブと前記検出器とを連絡し、かつ途中に逆止弁を備えた流路を備えてなり、前記検出器が圧力検出器である前記請求項1に記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項4に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブが耐油性エラストマーで形成され、最内層の柔軟性チューブが耐薬品性合成樹脂で形成されてなり、ダブルチューブフラムを形成する各柔軟性チューブはその端部にフレア部を有し、前記最内層の柔軟性チューブとなり得るチューブを配置した金型内に前記耐油性エラストマーを充填して一体成形することにより形成されてなる前記請求項1〜3のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項5に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブが耐油性エラストマーで形成され、最内層の柔軟性チューブが耐薬品性合成樹脂またはエラストマーで形成され、予め形成された最外層の柔軟性チューブ内に、この最外層の柔軟性チューブとは別個に形成された最内層の柔軟性チューブを、挿入することにより形成された柔軟性チューブ間に非圧縮性流体を装填してなる前記請求項1〜3のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項6に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブと最内層の柔軟性チューブとの一端または両端が機密に接合されてなる前記請求項1〜5のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項7に記載の発明は、両端に外側に鍔状に広がるフレア部と、一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面と、そのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部を有し、かつ耐薬品性合成樹脂で形成された内側柔軟性チューブと、両端にフレア部を有し、かつこの内側柔軟性チューブの外周面と非癒着状態で接触する内周面を有するところの、耐油性エラストマーで形成された外側柔軟性チューブとを有することを特徴とするダブルチューブフラムであり、
請求項8に記載の発明は、耐薬品性合成樹脂で形成された内側柔軟性チューブを金型内に配置し、金型内の内側柔軟性チューブの外周面側に耐油性エラストマーを注入して外側柔軟性チューブを加熱成形することを特徴とする前記請求項7に記載のダブルチューブフラムを製造する方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明のダブルチューブフラムポンプは、油圧室と、吸引押圧手段と、ダブルチューブフラムと、チューブ破損検出手段とを有する。
【0011】
前記油圧室は、作動油を内蔵する。この油圧室は、前記作動油の圧力により前記ダブルチューブフラムを収縮拡大あるいは縮小膨満させる機能を有し、目的に応じてその形状、構造、大きさ等が適宜に選択される。
【0012】
この作動油としては、圧縮率の小さな液体であれば特に制限がなく、たとえばギヤ油、油圧作動油、およびトルクコンバータ油等の油類等が好適例として挙げられる。
【0013】
前記吸引押圧手段は、シリンダーおよびピストンを備え、前記シリンダーの先端内部が前記油圧室の一部を形成し、前記ピストンが前記シリンダー内を往復運動することによりシリンダーの先端内部の部分的な容積変化を惹起させて前記油圧室内の作動油を吸引押圧する機能を有するように形成される。前記吸引押圧手段の例としては、前記油圧室に開口するシリンダーとこのシリンダー内を往復動可能にシリンダー内に装填されたピストンとを備え、ピストンを往復動させることにより油圧室内の作動油を吸引押圧可能に形成された手段を挙げることができる。
【0014】
前記ダブルチューブフラムは、複数のチューブを備え、各チューブは同心円状に配置されてなる。チューブの数については制限がないとは言うものの、通常の場合チューブの数は2あるいは3であり、好ましい数は2である。換言すると好適なダブルチューブフラムは内側チューブと外側チューブとを有する。
【0015】
各チューブは、互いに非癒着状態で配置される。この場合、それぞれのチューブは他のチューブとそれらの表面を接触していても良く、また、互いに間隙を有していても良い。好ましいダブルチューブフラムは2本のチューブすなわち内側チューブと外側チューブとを備え、外側チューブの内部に内側チューブが配置される。外側チューブと内側チューブとを有する二層構成のダブルチューブフラムにおいては、外側チューブの内側周面と内側チューブの外周面とは、非癒着状態になっている。また、外側チューブと内側チューブとの間は、接触状態になっていても良く、また、非圧縮性流体が存在する程度の間隙を有する状態になっていても良い。ダブルチューブフラムの外側から作動油による圧力が加わると、その圧力が内側チューブに伝達されるようにするには、外側チューブと内側チューブとの間は、減圧状態になっているか、あるいは非圧縮性流体が充填されていることを要する。
【0016】
また、ダブルチューブフラムを外側チューブと内側チューブとで形成すると、外側チューブおよび内側チューブのいずれかの破損により外側チューブと内側チューブとの間に作動油または移送液が浸入し、この移送液の浸入によりチューブ破損検出手段により外側チューブおよび内側チューブの間における圧力変化を検出することができる。
【0017】
なお、ダブルチューブフラムを形成する複数のチューブはそれぞれその端部にフレア部を有する。このフレア部は、チューブ本体の両端部に形成されたところの、チューブ本体よりも外側に広がる鍔状の部分である。
【0018】
このダブルチューブフラムにおいては、外側チューブの一端と内側チューブの一端とが一体に接合され、あるいは外側チューブの両端それぞれが内側チューブの両端それぞれと一体に接合されていることが望ましい。この場合、接合部分は、接着剤で貼着されていても良く、また、癒着状態であっても良い。このように外側チューブの一端または両端と内側チューブの一端または両端とを一体に接合することにより、外側チューブと内側チューブとの間に非圧縮性流体を装填することができ、外側チューブと内側チューブとの間に存在する空気と非圧縮性流体との置換を容易に行なうことができ、あるいは外側チューブと内側チューブとの間を減圧にすることもできるという利点がある。
【0019】
ダブルチューブフラムを形成する外側および内側のいずれのチューブにおいても柔軟性を有する材質、好ましくは柔軟性および弾性を有する材質で形成されることを要する。柔軟性を有することにより作動油による加圧によってダブルチューブフラムを変形圧縮することができる。
【0020】
ダブルチューブフラムにおける外側チューブは耐油性を有することが望ましく、また内側チューブは移送液に対する耐久性特に耐薬品性を有することが望ましい。
【0021】
ダブルチューブフラムにおける外側チューブを形成するための、たとえば柔軟性および耐油性を有する素材としては、例えば天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、弗素ゴム等の合成ゴム、EPDM、およびハイパロン等のうち耐油性のあるエラストマーを挙げることができる。
【0022】
ダブルチューブフラムにおける内側チューブを形成するための、たとえば柔軟性および耐薬品性を有する素材としては、耐薬品性合成樹脂たとえばフッ素樹脂、およびポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ならびにフッ素ゴム、EPDM、ハイパロン等の耐薬品性エラストマー等を挙げることができる。
【0023】
外側チューブおよび内側チューブにどのような素材を選択するかはダブルチューブフラムの製造法に依存することがある。
【0024】
たとえば、外側チューブと内側チューブとを一体成形により製造する場合には、内側チューブは柔軟性のある耐薬品性の合成樹脂特にフッ素樹脂で形成され、外側チューブは耐油性エラストマーで形成されるのが好ましい。このような素材を選択した場合、以下のようにして一体成形によりダブルチューブフラムが製造される。
【0025】
すなわち、先ず耐薬品性の合成樹脂を用いて、両端部に鍔状のフレア部を有する円筒状の内側チューブを得る。この内側チューブを、ダブルチューブフラム製造用の金型内に配置する。このとき、内側チューブの内側円筒状空間には同形の中子を挿入しておく。金型内に、内側チューブの外周面と金型内壁面との間に、加熱により流動可能な溶融状態となった耐油性エラストマーたとえばNBRを注入する。注入後所定時間をかけて冷却してから、金型を取り外すと、ダブルチューブフラムを得ることができる。この場合、NBRは180℃程度の温度で加圧注型されるのであるが、この温度でフッ素樹脂はダブルチューブフラムの機能上問題になるような変形を起こさないので、NBRの加圧成形を行うことができる。しかも、フッ素樹脂は離型性が良好であるから、成形時にNBR等のエラストマーと密着することがあったとしてもエラストマー製の外側チューブと癒着することもない。
【0026】
この製造方法においては、内側チューブの形状として、内側チューブの両端部に外側に鍔状に広がるフレア部を設け、内側チューブの一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面を設け、更にそのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部を一本もしくは複数本設けるのが好ましい。一体成形により形成される外側チューブの長さ(軸線方向に沿う長さ)を内側チューブの長さ(軸線方向に沿う長さ)よりも短くし、内側チューブのテーパ面の形成されている端部におけるフレア部と外側チューブの一端におけるフレア部とが重なるように、したがって内側チューブのテーパ面の形成されていない端部におけるフレア部と外側チューブの他端におけるフレア部とが離隔するように、内側チューブと外側チューブとが前記製造方法により一体に形成されると、外側チューブに密着している内側チューブを、テーパ面を有する端部側から容易に引っ張り出すことができ、引っ張り出すことにより、内側チューブにおけるテーパ面を有する端部のフレア部と外側チューブのフレア部とが離隔して、後述するようなスペーサを収容可能な空間を形成することができる。また、前記線状の突出部により、外側チューブの端部内周面に線状の溝が形成される。この溝は、ダブルチューブフラムポンプの運転中に内側チューブおよび外側チューブのいずれかが破損したときに、内側チューブおよび外側チューブの間隙に浸入した作動油または移送液のいずれかを、チューブ破損検出手段に案内する作用を発揮することができて、好都合である。
【0027】
この一体成形による製造方法において、内側チューブを外側チューブから引っ張り出す際に、内側チューブのフレア部(テーパ面の形成されていない端部におけるフレア部)に接着剤等を塗布しておくと、内側チューブを引っ張り出すことにより、接着剤を塗布したフレア部と外側チューブのフレア部とが接着し、内側チューブの一端と外側チューブの一端とを気密に封じてなるダブルチューブフラムが得られる。
【0028】
前記一体成形によりダブルチューブフラムを製造する方法とは別の方法として、別々に製造した内側チューブと外側チューブとを組み立ててダブルチューブフラムを製造する方法がある。
【0029】
この製法においては、内側チューブの素材としてフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の耐薬品製合成樹脂を選択し、外側チューブの素材として耐油性のエラストマーを選択する。内側チューブは、内側チューブの一端開口部に、外側に向かって鍔状に広がる環状のフレア部を有し、内側チューブの他端部にはフレア部を設けずに、一端開口部におけるよりも大きな肉厚を有する肉厚開口部を備えてなる。外側チューブは、内側チューブの軸線方向長さよりも短い軸線長さを有し、その両端部にはそれぞれ、外側に向かって鍔状に広がる環状のフレア部を有してなる。このような形状の内側チューブおよび外側チューブを成形加工により製造し、外側チューブの内側空間内に、前記内側チューブを、肉厚開口部側から挿入し、内側チューブのフレア部と外側チューブのフレア部とがたとえば接着剤で一体に接合するように、内側チューブを引っ張る。こうすることにより、内側チューブおよび外側チューブからなるダブルチューブフラムを製造することができる。
【0030】
またダブルチューブフラムの他の製造方法として、耐薬品性のエラストマーで形成された内側チューブと耐油性のエラストマーで形成された外側チューブとを別々に製造し、これらを組み立てる方法もある。この方法においては、内側チューブおよび外側チューブのいずれにおいても、両端開口部それぞれに、外側に向かって鍔状に広がる環状のフレア部を設けても良い。この方法においては、外側チューブの内部空間内に、ひねること等して径方向に小さく縮めた内側チューブを挿入することにより、容易にダブルチューブフラムが製造される。
【0031】
いずれの製法によるも、この発明におけるダブルチューブフラムにおいては、たとえば内側チューブと外側チューブとの間は、減圧状態にある空間ないし間隙にされ、あるいは、非圧縮性流体が充填される間隙にされる。
【0032】
このようにしておくと、たとえば作動油による押圧力および吸引力が、外側チューブから内側チューブに良好に伝達されることができる。
【0033】
前記チューブ破損検出手段は、前記ダブルチューブフラムにおける柔軟性外側チューブと柔軟性内側チューブとの間の状態変化を検出することのできる機能を有する。好適なチューブ破損検出手段は、ダブルチューブフラムにおける外側チューブおよび内側チューブにより形成された内部空間(この内部空間をチューブ室と称することがある。)の物理量ないしチューブ室の状態の変化を検知することができるように設けられる。このチューブ室内の物理量としては、チューブ室内の圧力、チューブ室内の温度、チューブ室内の電気伝導度あるいは電気抵抗値等を挙げることができる。チューブ室内の状態の変化としては、それまで減圧であったチューブ室内が液体で充填されるような状態変化等を挙げることができる。
【0034】
好適なチューブ破損検出手段は、(1) 外側チューブと内側チューブとで形成され、所定の減圧に維持されたチューブ室内の圧力上昇を検出する圧力検出器を有してなる検出手段、および、(2) 圧力検出器と、前記チューブ室内に充填された非圧縮性流体を前記圧力検出器に導く流路と、この流路中に設けられた逆止弁とを有して形成される検出手段等が挙げられる。
【0035】
前記(1) の検出手段においては、ダブルチューブフラムの運転中にたとえば外側チューブおよび内側チューブのいずれかが破損したときには、前記チューブ室内に作動油および移動液のいずれかが浸入するので、それまで減圧に維持されていたチューブ室内の圧力が、浸入した作動油および移動液によって急速に上昇し、この上昇した圧力を圧力検出器が検出することにより、ダブルチューブフラムの破損を検知することができる。この圧力検出器は、チューブ室内に直接に設けても良いのであるが、通常はこのチューブ室に連通するように設けられた流路中に設けられる。この流路は、前記チューブ室に浸入した作動油または移送液が圧力検出器に到達することのできる空間であれば良く、たとえば配管であっても良い。
【0036】
前記(2) の検出手段においては、ダブルチューブフラムポンプを運転すると、作動油の押圧吸引に応じてチューブ室内の非圧縮性流体も加圧され、加圧された非圧縮性流体は逆止弁を通って逆止弁と圧力検出器との間の流路中に押し出される。ダブルチューブフラムポンプの駆動を継続すると、ついにはチューブ室とチューブ室から逆止弁までの流路とに充満していた非圧縮性流体が、逆止弁から圧力検出器までの流路に移動してしまい、チューブ室とチューブ室から逆止弁までの流路とには非圧縮流体がほとんど存在しない状態となる。この状態にてポンプは運転されるが、このような状態のときにダブルチューブフラムが破損すると、チューブ室内に作動油または移送液が浸入してチューブ室内の圧力が高まり、逆止弁を通じて逆止弁と圧力検出器との間の流路にも浸入して、圧力検出器により異常な圧力変化が検出されることになる。
【0037】
この発明のダブルチューブフラムポンプは、以下のような組み立て体となるように製造される。
【0038】
すなわち、この発明のダブルチューブフラムポンプは、ダブルチューブフラムが油圧室内を貫通するように、油圧室内に配置され、ダブルチューブフラムの一端開口部には流体導入路が結合され、ダブルチューブフラムの他端開口部には流体導出路が結合される。
【0039】
ダブルチューブフラムを油圧室内に配置する場合、油圧室を形成する壁体に開設された上下一対の装着穴の縁辺外側(油圧室の内部から見た外側)に外側チューブのフレア部が重なり、油圧室内の液密性がこのフレア部で確保される。また、内側チューブのフレア部が前記外側チューブのフレア部に重なるように内側チューブを配置するとチューブ室の気密性が確保される。
【0040】
流体導入路には、ダブルチューブフラムの内側チューブの内側空間で形成されるポンプ室内から流体が流体導出路中に排出されるときには、ポンプ室から流体導入路内に流体が逆流するのを防止する逆止弁たとえばボール弁が好適に設けられ、流体導出路には、ポンプ室内に流体導入路から流体を導入するときに、流体導出路中の流体がポンプ室内に逆流するのを防止する逆止弁たとえばボール弁が好適に設けられる。
【0041】
ダブルチューブフラムにおけるチューブ室には、チューブ破損検出手段が設けられている。
【0042】
油圧室には吸引押圧手段が臨み、この吸引押圧手段により油圧室内の作動油が吸引押圧されるようになっている。この吸引押圧手段におけるシリンダーの開口部が油圧室に開口するようにシリンダーが配置され、シリンダーに装填されたピストンの往復動により油圧室の作動油が吸引押圧されるようになっている。
【0043】
次に、この発明のダブルチューブフラムポンプの動作について説明する。
【0044】
この発明のダブルフラムポンプにおける流体導入路は、適宜の配管等を介して結合されたところの、外部の所定の場所に設置された流体供給部たとえば貯留槽ないしタンクに結合される。吸引押圧手段を駆動させることにより、たとえばシリンダー内のピストンを後退させて油圧室内の作動油を吸引すると、ダブルチューブフラムが膨満する。ダブルチューブフラムの膨満によりポンプ室内に流体導入路から流体が導入される。次いで、吸引押圧手段を駆動することにより、たとえばシリンダー内のピストンを前進させて油圧室内の作動油を押圧すると、ダブルチューブフラムが縮小してポンプ室内の流体が流体導出路に導出される。この吸引押圧手段の繰り返しの駆動により、たとえばピストンの往復動を繰り返し行うことにより、ダブルチューブフラムを膨満収縮させてポンプ室への流体の吸引およびポンプ室からの流体の吐出が継続して行われる。このダブルチューブフラムポンプが正常に作動している場合、すなわちダブルチューブフラムを形成するいずれのチューブも破損していないときには、チューブ破損検出手段は特に作動しない。
【0045】
このダブルフラムポンプの運転中にダブルチューブフラムの破損として外側チューブが破損したときには、チューブ室内に作動油が浸入する。作動油が浸入すると、チューブ破損検出手段は、ダブルチューブフラムの破損事故発生を検知する。破損事故発生の表示は、たとえばチューブ破損検出手段自体が視覚的表示手段たとえば警報ランプ、あるいは聴覚的表示手段たとえば警報ブザーを備えているときにはそのような視覚的表示手段あるいは聴覚的手段により、行われる。また、チューブ破損検出手段自体が上記表示手段を備えていないときには、たとえばチューブ破損検出手段から検出信号が視覚的表示手段たとえば警報ランプ、あるいは聴覚的表示手段たとえば警報ブザーに出力されてこれらが動作する。
【0046】
このダブルフラムポンプの運転中にダブルチューブフラムの破損として内側チューブが破損したときには、チューブ室内に移送液が浸入する。移送液が浸入すると、チューブ破損検出手段は、前記と同様に動作する。
【0047】
このようにチューブ破損検出手段が動作することにより、操作者は、ダブルチューブフラムを形成する外側チューブあるいは内側チューブのいずれかが破損したことを知ることができる。このチューブ破損検出手段が動作した段階ではダブルチューブフラムを形成する外側チューブおよび内側チューブのいずれかが未だ破損していないのでポンプ機能は維持されているのであるが、いずれ破損していないチューブも破損するであろうことが予測され、ダブルチューブフラムの交換が必要であると操作者に認識されることができる。つまりダブルチューブフラムの全損事故発生以前にダブルチューブフラムの交換時期を知ることができる。しかも、ポンプ室内の流体と作動油との混交を引き起こすこともない。
【0048】
【実施例】
以下、この発明について実施例を参照しながら詳細に説明する。なお、この発明は、この実施例により何ら限定されず、この発明の要旨の範囲内で適宜に設計変更をすることができるのは言うまでもない。
【0049】
(実施例1)
図1は、この発明の一実施例であるダブルチューブフラムポンプの概略を示す一部切欠断面図である。
【0050】
図1に示されるように、ダブルチューブフラムポンプ1は、油圧室2と、吸引押圧手段3と、ダブルチューブフラム4と、チューブ破損検出手段5とを有する。
【0051】
この油圧室2は、ポンプ本体6の上下に設けられた開口部から中央部に向かうに従って拡大する内周面に囲まれてなる内部空間をもって形成される。油圧室2内には作動油が充填される。
【0052】
前記ダブルチューブフラム4は、ポンプ本体6の一端開口部から他端開口部へと貫通するように前記油圧室2内に配置される。
【0053】
このダブルチューブフラム4は、外側チューブ4aと内側チューブ4bとを有する二重構造である。外側チューブ4aの両端部それぞれは、外側チューブ4aの外側に鍔状に折り返された環状のフレア部となっている。この外側チューブ4aは、その両端部に有するフレア部をポンプ本体6の開口部における外側縁辺に重ねるようにして、油圧室2内に挿通配置される。内側チューブ4bの両端部それぞれは、内側チューブ4bの外側に鍔状に折り返された環状のフレア部となっている。この内側チューブ4bは、外側チューブ4aの内部に挿通配置され、この内側チューブ4bの一方のフレア部は外側チューブ4aの一方のフレア部と重ねられている。この内側チューブ4bの軸線方向長さが外側チューブ4aの軸線方向より長くなるように、内側チューブ4bの大きさが設定されている。したがって、この内側チューブ4bの一方のフレア部を外側チューブ4aの一方のフレア部に重ねると、内側チューブ4bの他方のフレア部は外側チューブ4aのフレア部と離隔する。この内側チューブ4bのフレア部と外側チューブ4aのフレア部との間隙には環状のスペーサ7aが介装される。このスペーサ7aを介装する内側チューブ4bのフレア部と外側チューブ4aのフレア部とは、固定部材7により固定される。内側チューブ4bの他方のフレア部と外側チューブ4aの他方のフレア部とは互いに密着し、しかも固定部材7で固定される。このように固定部材7で固定されることにより、内側チューブ4bの外周面と外側チューブ4aの内周面とで形成されるチューブ室が液密に形成される。
【0054】
このダブルチューブフラム4におけるチューブ室には、後述するチューブ破損検出手段5の一部である流体案内管5aが接続される。
【0055】
この外側チューブ4aの内周面と内側チューブ4bの外周面とは非癒着状態となって接触している。この外側チューブ4aは耐油性のゴムたとえばNBRで形成され、内側チューブ4bはフッ素樹脂で形成される。したがって、このダブルチューブフラム4は油圧室2内に充填される作動油および内側チューブ4bの内側空間すなわち実質的なポンプ室8内を流通する移送液による劣化を受けにくくなる。
【0056】
この外側チューブ4aの内周面と内側チューブ4bの外周面との間の空間すなわちチューブ室内に非圧縮流体が充填される。
【0057】
ポンプ本体6における一端開口部(図1においてはポンプ本体6の下端開口部)には流体導入管9が結合装着され、他端開口部(図1においてはポンプ本体6の上端開口部)には流体導出管10が結合装着される。この流体導入管9中には、ポンプ室8から流体導出管10へと流体を導出するときに、流体導入管9に流体が逆流するのを防止し、かつ、流体導入管9から流体がポンプ室8内に流入するのを許容することができる一方向弁たとえば逆止弁11が設けられる。同様に、この流体導出管10中には、ポンプ室8から流体導出管10へと流体を導出するときに、ポンプ室8から流体導入管9へ流体が逆流するのを防止し、かつ流体がポンプ室8から流体導出管10へと流出するのを許容する一方向弁たとえば逆止弁11が設けられる。
【0058】
前記チューブ破損検出手段5は、流体案内管5aと、逆止弁5bと、液圧センサー5cと、警報手段5dとを有する。前記流体案内管5aの一端は、外側チューブ4aのフレア部(折り返し部分)と内側チューブ4bのフレア部(折り返し部分)とで形成される所定の空間に挿入され、流体案内管5aの他端は、液圧センサー5cを有する液溜め部5eに挿入結合され、外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間に浸入した液が前記所定の空間内に至ると、前記液が流体案内管5a中を通って液溜め部5eにまで至るようになっている。なお、液溜め部5e内に逆止弁5bが設けられる。前記液圧センサー5cからは導線を介して電気信号が出力され、警報手段5dに入力可能になっている。警報手段5dは、警報ブザー5fおよび警報ランプ5gとを有する。
【0059】
前記吸引押圧手段3は、シリンダー3aおよびピストン3bを備える。前記シリンダー3aはその先端開口部が前記油圧室2に開口するように、油圧室2に臨んで配置される。ピストン3bは前記シリンダー3aに往復動可能に挿入される。このピストン3bは、図示しない駆動手段により往復動可能になっている。
【0060】
このダブルチューブフラムポンプ1は以下のように動作する。
【0061】
シリンダー3a内に挿入されたピストン3bの先端部がシリンダー3aの先端開口部近傍に位置するとする。シリンダー3a内でピストン3bを後進させると、シリンダー3a内に作動油が吸引される。作動油の吸引に応じてダブルチューブフラム4が拡大ないし膨満してポンプ室8内の容積が増大する。ポンプ室8内の容積増大により、流体導入管9からポンプ室8内に流体が導入される。このとき、逆止弁11により流体導出管10からポンプ室8内に流体が逆流することがない。
【0062】
ピストン3bが後退仕切ってから後ピストン3bを前進させると、油圧室2内の作動油が加圧され、ダブルチューブフラム4を収縮させる。ダブルチューブフラム4の収縮によりポンプ室8内の容積が減少する。これによって、ポンプ室8内の流体が流体導出管10へと排出される。このとき、流体導入管9中の逆止弁11の作用により、ポンプ室8内の流体が流体導入管9中に逆流することがない。
【0063】
以上の動作の繰り返しにより、ピストン3bの往復動に従ってポンプ室8内の容積の増大減少が繰り返され、これによってポンプ機能が発揮される。
【0064】
ポンプ機能が発揮されるうちに、外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間に形成されたチューブ室内に充填されている非圧縮性流体が、逆止弁を通過して液溜め部5eに移動する。その結果、このチューブ室内にはほとんど非圧縮性流体が存在していないような状態になっている。
【0065】
ポンプ機能が円滑に発揮されているところ、たとえば外側チューブ4aが破損したとする。すると、外側チューブ4aの破損部位から外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙に作動油が浸入する。浸入した作動油は、たとえばピストン3bの吐出工程時にチューブ破損検知手段5側へ排出され、吸込工程では逆止弁5bによりチューブ破損検知手段5側からの逆流が防がれているために、通常時の運転のようにチューブフラムを変形させる。あるいは、浸入した作動油は、外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙における毛細管現象に従って、外側チューブ4aのフレア部と内側チューブ4bのフレア部とで形成される所定の空間に到達する。到達した作動油は、更に流体案内管5aおよび逆止弁5bを通って液溜め部5eに到達する。これが吐出工程毎に行なわれる。液溜め部5eに到達した作動油の圧力を液圧センサー5cが検知し、液圧センサー5cが検知信号を警報手段5dに出力する。警報手段5dにより警報が発令される。操作者はこの警報により、ダブルチューブフラム4の外側チューブ4aおよび内側チューブ4bのいずれかが破損したものと判断し、今後近い将来に破損していないチューブも破損するであろうと予期することができる。したがって、ダブルチューブフラム4の交換が実行される。
【0066】
一方、ポンプ機能が円滑に発揮されているところ、たとえば内側チューブ4bが破損したとする。すると、内側チューブ4bの破損部位から外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙にポンプ室8内の流体が浸入する。浸入した流体は、たとえばピストン3bによるの吐出工程時にチューブ破損検知手段5側へ排出され、吸込工程では逆止弁5bによりチューブ破損検知手段5側からの逆流が防がれているために、通常時の運転のようにチューブフラムを変形させる、あるいは外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙における毛細管現象に従って、外側チューブ4aの折り返し部分と内側チューブ4bの折り返し部分とで形成される所定の空間に到達する。到達した流体は、更に流体案内管5aを通って液溜め部5eに到達する。これが吐出工程毎に行なわれる。液溜め部5eに到達した流体の圧力を液圧センサー5cが検知し、液圧センサー5cが検知信号を警報手段5dに出力する。警報手段5dにより警報が発令される。操作者はこの警報により、ダブルチューブフラム4の外側チューブ4aおよび内側チューブ4bのいずれかが破損したものと判断し、今後近い将来破損していないチューブも破損するであろうと予期することができる。したがって、ダブルチューブフラム4の交換が実行される。
【0067】
この実施例に係るダブルチューブフラムポンプ1によると、チューブフラムの破損により作動油と流体とが混交することがない。したがって、チューブフラムの破損事故により、流体が流通する経路が作動油で汚染され、汚染された流体の流通経路全体を洗浄するという煩雑な作業を皆無にすることができる。しかもこのダブルチューブフラムポンプ1は、外側チューブ4aの内側表面と内側チューブ4bの外側表面とが非癒着状態になる程度に外側チューブ4aと内側チューブ4bとを積層しているだけであるから、チューブフラムポンプの構造自体が非常に簡潔になる。つまり、この実施例に係るダブルチューブフラムポンプ1はその構造が非常に簡単である。
【0068】
この実施例においては、外側チューブ4aは耐油性のゴムで形成され、内側チューブ4bはフッ素樹脂で形成されるので、外側チューブ4aと内側チューブ4bとを一体成形しても両チューブが癒着することもない。したがって、このような素材で形成されたダブルチューブフラム4は製造が容易である。
【0069】
この実施例において使用されるダブルチューブフラムは、外側チューブと内側チューブとの一体成形により製造される。この場合、内側チューブの材質は柔軟性のある耐薬品性のフッ素樹脂であり、外側チューブの材質は耐油性エラストマーであるNBRである。
【0070】
すなわち、図2に示されるように、フッ素樹脂を用いて円筒状の内側チューブ4bを成形する。この内側チューブ4bには、その両端部に外側に鍔状に広がるフレア部4cが形成される。一端側に形成されたフレア部4cから内側チューブ4bの胴部の端部にかけて、この胴部を一巡するようにテーパ面4dが形成される。このテーパ部4dには、内側チューブ4bの中心線に沿うように形成された複数本の突出部4eが設けられている。なお、他端側に形成されたフレア部4cと内側チューブ4bの胴部の他端部との間には特にテーパ面が設けられていない。
【0071】
この内側チューブ4bを、ダブルチューブフラム製造用の金型内に配置する。このとき、内側チューブ4bの内側円筒状空間には同形の中子を挿入しておく。金型内に、内側チューブ4bの外周面と金型内壁面との間に、加熱により流動可能な溶融状態となったNBRを注入する。注入後所定時間をかけて冷却してから、金型を取り外すと、ダブルチューブフラムを得ることができる。この場合、NBRは180℃程度の温度で加圧注型されるのであるが、この温度でフッ素樹脂はダブルチューブフラムの機能上問題になるような変形を起こさないので、NBRの加圧成形が良好に行なわれる。しかも、フッ素樹脂は離型性が良好であるから、成形時にNBRと密着することがあったとしても、内側チューブ4bと外側チューブ4aとが癒着することもない。
【0072】
なお、この製造方法においては、上記の一体成形により形成される外側チューブ4aの長さ(軸線方向に沿う長さ)を内側チューブ4bの長さ(軸線方向に沿う長さ)よりも短くし、内側チューブ4bの端部におけるフレア部4cと外側チューブ4aの一端におけるフレア部4fとが重なるように、したがって内側チューブ4bのテーパ面4dの形成されていない端部におけるフレア部4cと外側チューブ4aの他端におけるフレア部4gとが離隔するように、内側チューブ4bと外側チューブ4aとが前記製造方法により一体に形成される。
【0073】
このように内側チューブ4bの一端部側の外周面にテーパ面4dが形成され、しかも内側チューブ4bと外側チューブ4aとの材質が前記のように相違しているので、一体成形後に、外側チューブ4aに密着している内側チューブ4bを、テーパ面4dを有する端部側から容易に引っ張り出すことができ、引っ張り出すことにより、図3に示されるように、内側チューブ4bにおけるテーパ面4dを有する端部のフレア部4cと外側チューブ4aのフレア部4fとが離隔して、後述するようなスペーサを収容可能な空間を形成することができる。また、前記線状の突出部4eにより、外側チューブ4aの端部内周面に線状の溝4hが形成される。この溝4hは、ダブルチューブフラムポンプの運転中に内側チューブ4bおよび外側チューブ4aのいずれかが破損したときに、内側チューブ4bおよび外側チューブ4aの間隙に浸入した作動油または移送液のいずれかを、チューブ破損検出手段に案内する作用を発揮することができて、好都合である。
【0074】
この一体成形による製造方法において、内側チューブ4bを外側チューブ4aから引っ張り出す際に、内側チューブ4bのフレア部4c(テーパ面の形成されていない端部におけるフレア部)に接着剤等を塗布しておくと、内側チューブ4bを引っ張り出すことにより、接着剤を塗布したフレア部4cと外側チューブ4aのフレア部4gとが接着し、内側チューブ4bの一端と外側チューブ4aの一端とを気密に封じてなるダブルチューブフラムが得られる。
【0075】
(実施例2)
この実施例2に係るダブルチューブフラムポンプが、実施例1に係るダブルチューブフラムポンプと相違する大きな点は、ダブルチューブフラムである。
【0076】
すなわち、この実施例2におけるダブルチューブフラム4は、図4に示されるように、フッ素樹脂製の内側チューブフラム4BとエラストマーたとえばNBR製の外側チューブ4Aとを有し、内側チューブフラム4Bは、その一端開口部にフレア部を有し、他端開口部にはフレア部を有さず、他端開口部から中央部に向かって所定長さまでが全周に亙って肉厚に形成されてなる。外側チューブ4Aは、両端開口部それぞれにフレア部が形成されている。このダブルチューブフラム4は、次のようにして製造されてなる。すなわち、外側のチューブ4Aと内側チューブ4Bとは別々に形成され、外側チューブ4Aの一端開口部から内側チューブ4Bのフレア部の内一端を挿入し、外側チューブ4Aのフレア部と内側チューブ4Bのフレア部とを重畳してなる。なお、外側チューブ4Aのフレア部と内側チューブ4Bのフレア部とは、単に重ねるだけでも良いが、接着剤等の接着手段あるいは融着手段等により、一体に接合しておくのが好ましい。
【0077】
このように実施例1におけるチューブフラムとは異なる形状を有するチューブフラム4は、次のようにしてダブルチューブフラムポンプ1に組み込まれている。
【0078】
すなわち、ポンプ本体6の下部に設けられた開口部からダブルチューブフラム4を挿入し、外側チューブ4Aおよび内側チューブ4Bそれぞれのフレア部を、ポンプ本体6の開口部端縁部と流体導入口を有する第1固定部材7aとで挟み、かつ固定する。この第1固定部材7aには流体導入管9が装着される。
【0079】
外側チューブ4Aの他方のフレア部は、ポンプ本体6の上部に設けられた開口部の端縁部と円形開口部を有する第2固定部材7bで挟み付け、かつ固定する。内側チューブ4Bの、フレア部の内一端開口部は前記第2固定部材7bの円形開口部を挿通される。この内側チューブ4Bの肉厚部内にアダプタ7cの筒状部を挿入し、前記肉厚部の外周に環状のシールリング7dおよび環状の押さえリング7eを介装し、内側チューブ4Bの端部をアダプタ7cと第3固定部材7fとで固定する。
【0080】
第3固定部材7fには、流体導出管10が装着される。
【0081】
以上の他の機械的構成は前記実施例1におけるのと同様である。
【0082】
この実施例2に係るダブルチューブフラムポンプ1は、実施例1に係るダルブチューブフラムポンプとはダブルチューブフラム4の構造ないし形状が相違するのであるが、その作用効果はほぼ同等である。また、チューブフラムポンプ1自体の作用効果も、前記実施例1に係るダブルチューブフラムポンプの作用効果とほぼ同様である。
【0083】
【発明の効果】
この発明によると、ダイヤフラムチューブポンプでは吸引吐出することの困難であった固液混相流を固体成分の沈降分離を生じさせることなく、吸引吐出することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0084】
この発明によると、チューブの破損を検知することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0085】
この発明によると、チューブの全面的な破損が発生する前にチューブの交換の必要性を検知することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0086】
この発明によると、油圧作動油とポンプの流体(移送液)とが混合してしまうような全面的なチューブ破損事故の発生を未然に防止することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0087】
この発明によると、ダブルチューブフラムポンプに好適なダブルチューブフラムを提供することができる。
【0088】
この発明によると、内側チューブおよび外側チューブそれぞれの両端にフレア部が存在するとしても、内側チューブを外側チューブの内部に、外側チューブの内周面と内側チューブの外周面とが非癒着状態で接触可能に、収容されてなるダブルチューブフラムを提供することができる。
【0089】
この発明によると、前記ダブルチューブフラムを好適にかつ容易に製造することができる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のダブルチューブフラムポンプの一例を示す一部切欠断面概略図である。
【図2】図2は、この発明のダブルチューブフラムの一例であって、一体成形後の状態を示す断面説明図である。
【図3】図3は、この発明のダブルチューブフラムの一例であってダブルチューブフラムポンプに取り付ける直前の状態を示す断面説明図である。
【図4】図4はこの発明のダブルチューブフラムポンプの他の例を示す一部切欠断面概略図である。
【符号の説明】
1・・・ダブルチューブフラムポンプ、2・・・油圧室、3・・・吸引押圧手段、3a・・・シリンダー、3b・・・ピストン、4・・・ダブルチューブフラム、4a,4A・・・外側チューブ、4b,4B・・・内側チューブ、4c・・・フレア部、4d・・・テーパ部、4e・・・突出部、4f,4g・・・フレア部、4h・・・溝、5・・・チューブ破損検出手段、5a・・・流体案内管、5b・・・逆止弁、5c・・・液圧センサー、5d・・・警報手段、5e・・・液溜め部、5f・・・警報ブザー、5g・・・警報ランプ、6・・・ポンプ本体、7・・・固定部材、7a・・・第1固定部材、7b・・・第2固定部材、7c・・・アダプタ、7d・・・シールリング、7e・・・押さえリング、7f・・・第3固定部材、8・・・ポンプ室、9・・・流体導入管、10・・・流体導出管、11・・・逆止弁。
【発明の属する技術分野】
この発明はダブルチューブフラムポンプ、そのダブルチューブフラムポンプに使用されるダブルチューブフラムおよびそのダブルチューブフラムを製造する方法に関し、さらに詳しくは、ポンプ機能が達成できなくなるようなチューブフラムの破損事故の発生を未然に防止し、チューブ交換時期を的確に知ることのできるダブルチューブフラムポンプ、そのように便利かつ優れたダブルチューブフラムポンプに好適なダブルチューブフラム、およびそのようなダブルチューブフラムを容易に製造することのできるダブルチューブフラムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧チューブフラムポンプに用いられるチューブフラムは樹脂製またはゴム製のチューブ単体であった。したがって、このチューブフラムが破損すると、作動油がチューブフラム内の移送液と混合してしまうという問題があった。
【0003】
一方、油圧ダイヤフラムポンプは周辺部を固定したダイヤフラムを有する。この油圧ダイヤフラムにおいては、吸引押圧される作動油によりダイヤフラムがポンプ室側に膨張したり、ポンプ室とは反対側に膨張したりすることによりポンプ作用が発揮される。ところで、ダイヤフラムのこのような膨張による変形量が、その直径の数%〜10%程度であるから、ポンプ室による移送液の吐出量を大きくするには、ダイヤフラムの直径を大きくすれば良いと考えられる。つまり、油圧ダイヤフラムポンプの大型化を目指すのである。
【0004】
しかしながら、油圧ダイヤフラムポンプを大型化したとしても、ダイヤフラムの変形量が期待した程には大きくならずに小さくて、ポンプ室における死容積が大きく、その結果として流速自体が期待した程には大きくならない。さらに、ポンプ室の容積が大きくなる割りには移送液の通過流速が大きくならないので、たとえば移送液が沈降速度の大きなスラリー液あるいは固液混相流である場合には、ポンプ室内で粒子の沈降が生じて移送液の吸引吐出に支障を来す。
【0005】
油圧ダイヤフラムポンプを用いて薬品などを吸引吐出する場合には、油圧ダイヤフラムポンプにおけるポンプ室においては、もともとダイヤフラムを耐薬品性の素材で形成してあったとしても、移送液が接するポンプ室内壁を全て耐薬品性の高級素材で形成しなければならないという問題がある。この問題は、移送液の種類に応じてポンプ室内壁を特別仕様で形成した特殊な油圧ダイヤフラムポンプを誂えなければならないという問題につながる。
【0006】
また、油圧ダイヤフラムポンプには二重の膜からなるダイヤフラムを有するタイプがある。このタイプの油圧ダイヤフラムポンプにおいては、2枚の膜の間に液体を充填する密閉空間を形成し、この密閉空間の物理量の変化を検出する検出器を設けることにより、二重の膜からなるダイヤフラムの破損を検出することができるようにしている。
【0007】
このような油圧ダイヤフラムポンプにおいてダイヤフラムを二重にするという技術は油圧チューブフラムポンプに直ちに転用することはできない。なぜならば、ダイヤフラムとチューブフラムとはその形状および構造が全く相違するからである。さらに言うと、油圧チューブフラムポンプにおけるチューブフラムは、油圧室内にチューブフラムを装着する必要から、そのチューブ両端部を折り返して鍔状に形成されてなるフレア部が必要である。ダブルチューブフラムを形成しようとする場合、内側のチューブおよび外側のチューブそれぞれにフレア部を設けなければならない。ところが、内側チューブを外側チューブに挿入しようとしても、内側チューブのフレア部がその挿入を阻害する。また、内側チューブのフレア部を小さめに形成し、そのようなフレア部を有する内側チューブを外側チューブ内に挿入したとしても、内側チューブの外周面と外側チューブの内周面とが密着せずに隙間が開いてしまう。内側チューブと外側チューブとの間に隙間を生じているダブルチューブフラムを油圧チューブフラムポンプに適用しても、そのようなポンプでは、外側チューブに加わる圧力が内側チューブに十分に伝達することができなくなり、ポンプ機能が低下して実用的ではなくなるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、チューブが破損したときにチューブの破損を検知することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することにある。この発明の目的は、ポンプ機能が完全に停止する程のチューブ破損事故が発生する以前にチューブの交換時期を容易に知ることのできるダブルチューブフラムポンプを提供することにある。この発明の目的は、ポンプ機能を十分に発揮することのできるダブルチューブフラムを使用したダブルチューブフラムポンプを提供することにある。この発明の目的は、上記ダブルチューブフラムポンプに好適なダブルチューブフラムを提供することにある。この発明の目的は、内側のチューブおよび外側のチューブそれぞれの両端にフレア部があるにもかかわらず、内側のチューブを外側のチューブの内部に、外側のチューブの内周面と内側のチューブの外周面とが接触可能に、収容されてなるダブルチューブフラムを提供することにある。この発明の目的は、前記ダブルチューブフラムを好適に、かつ容易に製造することのできる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、作動油を収容する油圧室と、吸引押圧手段と、ポンプ室と、チューブ破損検出手段とを備え、前記吸引押圧手段は、シリンダーおよびピストンを備え、前記シリンダーの先端内部が前記油圧室の一部を形成し、前記ピストンが往復運動することによりシリンダーの先端内部の部分的な容積変化を生起させて前記油圧室内の作動油を吸引押圧するように形成され、前記ポンプ室は、前記油圧室内を貫通するように配置され、複数の柔軟性チューブを相互に非癒着状態で積層してなるダブルチューブフラムにより形成され、前記チューブ破損検出手段は、前記柔軟性チューブ間の状態変化を検出する検出器を備えてなり、複数の柔軟性チューブの最内層の柔軟性チューブが、両端部に外側に鍔状に広がるフレア部と、一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面と、そのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部とを備え、前記最内層の柔軟性チューブの軸方向長さが、他の柔軟性チューブの軸線方向より長いことを特徴とするダブルチューブフラムポンプであり、
請求項2に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、それを形成する複数の柔軟性チューブの相互間隙が減圧状態に維持されてなり、前記検出器は圧力検出器である前記請求項1に記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項3に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、それを形成する複数の柔軟性チューブの相互間隙に非圧縮性流体が装填されてなり、前記チューブ破損検出手段は、前記柔軟性チューブと前記検出器とを連絡し、かつ途中に逆止弁を備えた流路を備えてなり、前記検出器が圧力検出器である前記請求項1に記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項4に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブが耐油性エラストマーで形成され、最内層の柔軟性チューブが耐薬品性合成樹脂で形成されてなり、ダブルチューブフラムを形成する各柔軟性チューブはその端部にフレア部を有し、前記最内層の柔軟性チューブとなり得るチューブを配置した金型内に前記耐油性エラストマーを充填して一体成形することにより形成されてなる前記請求項1〜3のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項5に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブが耐油性エラストマーで形成され、最内層の柔軟性チューブが耐薬品性合成樹脂またはエラストマーで形成され、予め形成された最外層の柔軟性チューブ内に、この最外層の柔軟性チューブとは別個に形成された最内層の柔軟性チューブを、挿入することにより形成された柔軟性チューブ間に非圧縮性流体を装填してなる前記請求項1〜3のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項6に記載の発明は、前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブと最内層の柔軟性チューブとの一端または両端が機密に接合されてなる前記請求項1〜5のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプであり、
請求項7に記載の発明は、両端に外側に鍔状に広がるフレア部と、一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面と、そのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部を有し、かつ耐薬品性合成樹脂で形成された内側柔軟性チューブと、両端にフレア部を有し、かつこの内側柔軟性チューブの外周面と非癒着状態で接触する内周面を有するところの、耐油性エラストマーで形成された外側柔軟性チューブとを有することを特徴とするダブルチューブフラムであり、
請求項8に記載の発明は、耐薬品性合成樹脂で形成された内側柔軟性チューブを金型内に配置し、金型内の内側柔軟性チューブの外周面側に耐油性エラストマーを注入して外側柔軟性チューブを加熱成形することを特徴とする前記請求項7に記載のダブルチューブフラムを製造する方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明のダブルチューブフラムポンプは、油圧室と、吸引押圧手段と、ダブルチューブフラムと、チューブ破損検出手段とを有する。
【0011】
前記油圧室は、作動油を内蔵する。この油圧室は、前記作動油の圧力により前記ダブルチューブフラムを収縮拡大あるいは縮小膨満させる機能を有し、目的に応じてその形状、構造、大きさ等が適宜に選択される。
【0012】
この作動油としては、圧縮率の小さな液体であれば特に制限がなく、たとえばギヤ油、油圧作動油、およびトルクコンバータ油等の油類等が好適例として挙げられる。
【0013】
前記吸引押圧手段は、シリンダーおよびピストンを備え、前記シリンダーの先端内部が前記油圧室の一部を形成し、前記ピストンが前記シリンダー内を往復運動することによりシリンダーの先端内部の部分的な容積変化を惹起させて前記油圧室内の作動油を吸引押圧する機能を有するように形成される。前記吸引押圧手段の例としては、前記油圧室に開口するシリンダーとこのシリンダー内を往復動可能にシリンダー内に装填されたピストンとを備え、ピストンを往復動させることにより油圧室内の作動油を吸引押圧可能に形成された手段を挙げることができる。
【0014】
前記ダブルチューブフラムは、複数のチューブを備え、各チューブは同心円状に配置されてなる。チューブの数については制限がないとは言うものの、通常の場合チューブの数は2あるいは3であり、好ましい数は2である。換言すると好適なダブルチューブフラムは内側チューブと外側チューブとを有する。
【0015】
各チューブは、互いに非癒着状態で配置される。この場合、それぞれのチューブは他のチューブとそれらの表面を接触していても良く、また、互いに間隙を有していても良い。好ましいダブルチューブフラムは2本のチューブすなわち内側チューブと外側チューブとを備え、外側チューブの内部に内側チューブが配置される。外側チューブと内側チューブとを有する二層構成のダブルチューブフラムにおいては、外側チューブの内側周面と内側チューブの外周面とは、非癒着状態になっている。また、外側チューブと内側チューブとの間は、接触状態になっていても良く、また、非圧縮性流体が存在する程度の間隙を有する状態になっていても良い。ダブルチューブフラムの外側から作動油による圧力が加わると、その圧力が内側チューブに伝達されるようにするには、外側チューブと内側チューブとの間は、減圧状態になっているか、あるいは非圧縮性流体が充填されていることを要する。
【0016】
また、ダブルチューブフラムを外側チューブと内側チューブとで形成すると、外側チューブおよび内側チューブのいずれかの破損により外側チューブと内側チューブとの間に作動油または移送液が浸入し、この移送液の浸入によりチューブ破損検出手段により外側チューブおよび内側チューブの間における圧力変化を検出することができる。
【0017】
なお、ダブルチューブフラムを形成する複数のチューブはそれぞれその端部にフレア部を有する。このフレア部は、チューブ本体の両端部に形成されたところの、チューブ本体よりも外側に広がる鍔状の部分である。
【0018】
このダブルチューブフラムにおいては、外側チューブの一端と内側チューブの一端とが一体に接合され、あるいは外側チューブの両端それぞれが内側チューブの両端それぞれと一体に接合されていることが望ましい。この場合、接合部分は、接着剤で貼着されていても良く、また、癒着状態であっても良い。このように外側チューブの一端または両端と内側チューブの一端または両端とを一体に接合することにより、外側チューブと内側チューブとの間に非圧縮性流体を装填することができ、外側チューブと内側チューブとの間に存在する空気と非圧縮性流体との置換を容易に行なうことができ、あるいは外側チューブと内側チューブとの間を減圧にすることもできるという利点がある。
【0019】
ダブルチューブフラムを形成する外側および内側のいずれのチューブにおいても柔軟性を有する材質、好ましくは柔軟性および弾性を有する材質で形成されることを要する。柔軟性を有することにより作動油による加圧によってダブルチューブフラムを変形圧縮することができる。
【0020】
ダブルチューブフラムにおける外側チューブは耐油性を有することが望ましく、また内側チューブは移送液に対する耐久性特に耐薬品性を有することが望ましい。
【0021】
ダブルチューブフラムにおける外側チューブを形成するための、たとえば柔軟性および耐油性を有する素材としては、例えば天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、弗素ゴム等の合成ゴム、EPDM、およびハイパロン等のうち耐油性のあるエラストマーを挙げることができる。
【0022】
ダブルチューブフラムにおける内側チューブを形成するための、たとえば柔軟性および耐薬品性を有する素材としては、耐薬品性合成樹脂たとえばフッ素樹脂、およびポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ならびにフッ素ゴム、EPDM、ハイパロン等の耐薬品性エラストマー等を挙げることができる。
【0023】
外側チューブおよび内側チューブにどのような素材を選択するかはダブルチューブフラムの製造法に依存することがある。
【0024】
たとえば、外側チューブと内側チューブとを一体成形により製造する場合には、内側チューブは柔軟性のある耐薬品性の合成樹脂特にフッ素樹脂で形成され、外側チューブは耐油性エラストマーで形成されるのが好ましい。このような素材を選択した場合、以下のようにして一体成形によりダブルチューブフラムが製造される。
【0025】
すなわち、先ず耐薬品性の合成樹脂を用いて、両端部に鍔状のフレア部を有する円筒状の内側チューブを得る。この内側チューブを、ダブルチューブフラム製造用の金型内に配置する。このとき、内側チューブの内側円筒状空間には同形の中子を挿入しておく。金型内に、内側チューブの外周面と金型内壁面との間に、加熱により流動可能な溶融状態となった耐油性エラストマーたとえばNBRを注入する。注入後所定時間をかけて冷却してから、金型を取り外すと、ダブルチューブフラムを得ることができる。この場合、NBRは180℃程度の温度で加圧注型されるのであるが、この温度でフッ素樹脂はダブルチューブフラムの機能上問題になるような変形を起こさないので、NBRの加圧成形を行うことができる。しかも、フッ素樹脂は離型性が良好であるから、成形時にNBR等のエラストマーと密着することがあったとしてもエラストマー製の外側チューブと癒着することもない。
【0026】
この製造方法においては、内側チューブの形状として、内側チューブの両端部に外側に鍔状に広がるフレア部を設け、内側チューブの一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面を設け、更にそのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部を一本もしくは複数本設けるのが好ましい。一体成形により形成される外側チューブの長さ(軸線方向に沿う長さ)を内側チューブの長さ(軸線方向に沿う長さ)よりも短くし、内側チューブのテーパ面の形成されている端部におけるフレア部と外側チューブの一端におけるフレア部とが重なるように、したがって内側チューブのテーパ面の形成されていない端部におけるフレア部と外側チューブの他端におけるフレア部とが離隔するように、内側チューブと外側チューブとが前記製造方法により一体に形成されると、外側チューブに密着している内側チューブを、テーパ面を有する端部側から容易に引っ張り出すことができ、引っ張り出すことにより、内側チューブにおけるテーパ面を有する端部のフレア部と外側チューブのフレア部とが離隔して、後述するようなスペーサを収容可能な空間を形成することができる。また、前記線状の突出部により、外側チューブの端部内周面に線状の溝が形成される。この溝は、ダブルチューブフラムポンプの運転中に内側チューブおよび外側チューブのいずれかが破損したときに、内側チューブおよび外側チューブの間隙に浸入した作動油または移送液のいずれかを、チューブ破損検出手段に案内する作用を発揮することができて、好都合である。
【0027】
この一体成形による製造方法において、内側チューブを外側チューブから引っ張り出す際に、内側チューブのフレア部(テーパ面の形成されていない端部におけるフレア部)に接着剤等を塗布しておくと、内側チューブを引っ張り出すことにより、接着剤を塗布したフレア部と外側チューブのフレア部とが接着し、内側チューブの一端と外側チューブの一端とを気密に封じてなるダブルチューブフラムが得られる。
【0028】
前記一体成形によりダブルチューブフラムを製造する方法とは別の方法として、別々に製造した内側チューブと外側チューブとを組み立ててダブルチューブフラムを製造する方法がある。
【0029】
この製法においては、内側チューブの素材としてフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の耐薬品製合成樹脂を選択し、外側チューブの素材として耐油性のエラストマーを選択する。内側チューブは、内側チューブの一端開口部に、外側に向かって鍔状に広がる環状のフレア部を有し、内側チューブの他端部にはフレア部を設けずに、一端開口部におけるよりも大きな肉厚を有する肉厚開口部を備えてなる。外側チューブは、内側チューブの軸線方向長さよりも短い軸線長さを有し、その両端部にはそれぞれ、外側に向かって鍔状に広がる環状のフレア部を有してなる。このような形状の内側チューブおよび外側チューブを成形加工により製造し、外側チューブの内側空間内に、前記内側チューブを、肉厚開口部側から挿入し、内側チューブのフレア部と外側チューブのフレア部とがたとえば接着剤で一体に接合するように、内側チューブを引っ張る。こうすることにより、内側チューブおよび外側チューブからなるダブルチューブフラムを製造することができる。
【0030】
またダブルチューブフラムの他の製造方法として、耐薬品性のエラストマーで形成された内側チューブと耐油性のエラストマーで形成された外側チューブとを別々に製造し、これらを組み立てる方法もある。この方法においては、内側チューブおよび外側チューブのいずれにおいても、両端開口部それぞれに、外側に向かって鍔状に広がる環状のフレア部を設けても良い。この方法においては、外側チューブの内部空間内に、ひねること等して径方向に小さく縮めた内側チューブを挿入することにより、容易にダブルチューブフラムが製造される。
【0031】
いずれの製法によるも、この発明におけるダブルチューブフラムにおいては、たとえば内側チューブと外側チューブとの間は、減圧状態にある空間ないし間隙にされ、あるいは、非圧縮性流体が充填される間隙にされる。
【0032】
このようにしておくと、たとえば作動油による押圧力および吸引力が、外側チューブから内側チューブに良好に伝達されることができる。
【0033】
前記チューブ破損検出手段は、前記ダブルチューブフラムにおける柔軟性外側チューブと柔軟性内側チューブとの間の状態変化を検出することのできる機能を有する。好適なチューブ破損検出手段は、ダブルチューブフラムにおける外側チューブおよび内側チューブにより形成された内部空間(この内部空間をチューブ室と称することがある。)の物理量ないしチューブ室の状態の変化を検知することができるように設けられる。このチューブ室内の物理量としては、チューブ室内の圧力、チューブ室内の温度、チューブ室内の電気伝導度あるいは電気抵抗値等を挙げることができる。チューブ室内の状態の変化としては、それまで減圧であったチューブ室内が液体で充填されるような状態変化等を挙げることができる。
【0034】
好適なチューブ破損検出手段は、(1) 外側チューブと内側チューブとで形成され、所定の減圧に維持されたチューブ室内の圧力上昇を検出する圧力検出器を有してなる検出手段、および、(2) 圧力検出器と、前記チューブ室内に充填された非圧縮性流体を前記圧力検出器に導く流路と、この流路中に設けられた逆止弁とを有して形成される検出手段等が挙げられる。
【0035】
前記(1) の検出手段においては、ダブルチューブフラムの運転中にたとえば外側チューブおよび内側チューブのいずれかが破損したときには、前記チューブ室内に作動油および移動液のいずれかが浸入するので、それまで減圧に維持されていたチューブ室内の圧力が、浸入した作動油および移動液によって急速に上昇し、この上昇した圧力を圧力検出器が検出することにより、ダブルチューブフラムの破損を検知することができる。この圧力検出器は、チューブ室内に直接に設けても良いのであるが、通常はこのチューブ室に連通するように設けられた流路中に設けられる。この流路は、前記チューブ室に浸入した作動油または移送液が圧力検出器に到達することのできる空間であれば良く、たとえば配管であっても良い。
【0036】
前記(2) の検出手段においては、ダブルチューブフラムポンプを運転すると、作動油の押圧吸引に応じてチューブ室内の非圧縮性流体も加圧され、加圧された非圧縮性流体は逆止弁を通って逆止弁と圧力検出器との間の流路中に押し出される。ダブルチューブフラムポンプの駆動を継続すると、ついにはチューブ室とチューブ室から逆止弁までの流路とに充満していた非圧縮性流体が、逆止弁から圧力検出器までの流路に移動してしまい、チューブ室とチューブ室から逆止弁までの流路とには非圧縮流体がほとんど存在しない状態となる。この状態にてポンプは運転されるが、このような状態のときにダブルチューブフラムが破損すると、チューブ室内に作動油または移送液が浸入してチューブ室内の圧力が高まり、逆止弁を通じて逆止弁と圧力検出器との間の流路にも浸入して、圧力検出器により異常な圧力変化が検出されることになる。
【0037】
この発明のダブルチューブフラムポンプは、以下のような組み立て体となるように製造される。
【0038】
すなわち、この発明のダブルチューブフラムポンプは、ダブルチューブフラムが油圧室内を貫通するように、油圧室内に配置され、ダブルチューブフラムの一端開口部には流体導入路が結合され、ダブルチューブフラムの他端開口部には流体導出路が結合される。
【0039】
ダブルチューブフラムを油圧室内に配置する場合、油圧室を形成する壁体に開設された上下一対の装着穴の縁辺外側(油圧室の内部から見た外側)に外側チューブのフレア部が重なり、油圧室内の液密性がこのフレア部で確保される。また、内側チューブのフレア部が前記外側チューブのフレア部に重なるように内側チューブを配置するとチューブ室の気密性が確保される。
【0040】
流体導入路には、ダブルチューブフラムの内側チューブの内側空間で形成されるポンプ室内から流体が流体導出路中に排出されるときには、ポンプ室から流体導入路内に流体が逆流するのを防止する逆止弁たとえばボール弁が好適に設けられ、流体導出路には、ポンプ室内に流体導入路から流体を導入するときに、流体導出路中の流体がポンプ室内に逆流するのを防止する逆止弁たとえばボール弁が好適に設けられる。
【0041】
ダブルチューブフラムにおけるチューブ室には、チューブ破損検出手段が設けられている。
【0042】
油圧室には吸引押圧手段が臨み、この吸引押圧手段により油圧室内の作動油が吸引押圧されるようになっている。この吸引押圧手段におけるシリンダーの開口部が油圧室に開口するようにシリンダーが配置され、シリンダーに装填されたピストンの往復動により油圧室の作動油が吸引押圧されるようになっている。
【0043】
次に、この発明のダブルチューブフラムポンプの動作について説明する。
【0044】
この発明のダブルフラムポンプにおける流体導入路は、適宜の配管等を介して結合されたところの、外部の所定の場所に設置された流体供給部たとえば貯留槽ないしタンクに結合される。吸引押圧手段を駆動させることにより、たとえばシリンダー内のピストンを後退させて油圧室内の作動油を吸引すると、ダブルチューブフラムが膨満する。ダブルチューブフラムの膨満によりポンプ室内に流体導入路から流体が導入される。次いで、吸引押圧手段を駆動することにより、たとえばシリンダー内のピストンを前進させて油圧室内の作動油を押圧すると、ダブルチューブフラムが縮小してポンプ室内の流体が流体導出路に導出される。この吸引押圧手段の繰り返しの駆動により、たとえばピストンの往復動を繰り返し行うことにより、ダブルチューブフラムを膨満収縮させてポンプ室への流体の吸引およびポンプ室からの流体の吐出が継続して行われる。このダブルチューブフラムポンプが正常に作動している場合、すなわちダブルチューブフラムを形成するいずれのチューブも破損していないときには、チューブ破損検出手段は特に作動しない。
【0045】
このダブルフラムポンプの運転中にダブルチューブフラムの破損として外側チューブが破損したときには、チューブ室内に作動油が浸入する。作動油が浸入すると、チューブ破損検出手段は、ダブルチューブフラムの破損事故発生を検知する。破損事故発生の表示は、たとえばチューブ破損検出手段自体が視覚的表示手段たとえば警報ランプ、あるいは聴覚的表示手段たとえば警報ブザーを備えているときにはそのような視覚的表示手段あるいは聴覚的手段により、行われる。また、チューブ破損検出手段自体が上記表示手段を備えていないときには、たとえばチューブ破損検出手段から検出信号が視覚的表示手段たとえば警報ランプ、あるいは聴覚的表示手段たとえば警報ブザーに出力されてこれらが動作する。
【0046】
このダブルフラムポンプの運転中にダブルチューブフラムの破損として内側チューブが破損したときには、チューブ室内に移送液が浸入する。移送液が浸入すると、チューブ破損検出手段は、前記と同様に動作する。
【0047】
このようにチューブ破損検出手段が動作することにより、操作者は、ダブルチューブフラムを形成する外側チューブあるいは内側チューブのいずれかが破損したことを知ることができる。このチューブ破損検出手段が動作した段階ではダブルチューブフラムを形成する外側チューブおよび内側チューブのいずれかが未だ破損していないのでポンプ機能は維持されているのであるが、いずれ破損していないチューブも破損するであろうことが予測され、ダブルチューブフラムの交換が必要であると操作者に認識されることができる。つまりダブルチューブフラムの全損事故発生以前にダブルチューブフラムの交換時期を知ることができる。しかも、ポンプ室内の流体と作動油との混交を引き起こすこともない。
【0048】
【実施例】
以下、この発明について実施例を参照しながら詳細に説明する。なお、この発明は、この実施例により何ら限定されず、この発明の要旨の範囲内で適宜に設計変更をすることができるのは言うまでもない。
【0049】
(実施例1)
図1は、この発明の一実施例であるダブルチューブフラムポンプの概略を示す一部切欠断面図である。
【0050】
図1に示されるように、ダブルチューブフラムポンプ1は、油圧室2と、吸引押圧手段3と、ダブルチューブフラム4と、チューブ破損検出手段5とを有する。
【0051】
この油圧室2は、ポンプ本体6の上下に設けられた開口部から中央部に向かうに従って拡大する内周面に囲まれてなる内部空間をもって形成される。油圧室2内には作動油が充填される。
【0052】
前記ダブルチューブフラム4は、ポンプ本体6の一端開口部から他端開口部へと貫通するように前記油圧室2内に配置される。
【0053】
このダブルチューブフラム4は、外側チューブ4aと内側チューブ4bとを有する二重構造である。外側チューブ4aの両端部それぞれは、外側チューブ4aの外側に鍔状に折り返された環状のフレア部となっている。この外側チューブ4aは、その両端部に有するフレア部をポンプ本体6の開口部における外側縁辺に重ねるようにして、油圧室2内に挿通配置される。内側チューブ4bの両端部それぞれは、内側チューブ4bの外側に鍔状に折り返された環状のフレア部となっている。この内側チューブ4bは、外側チューブ4aの内部に挿通配置され、この内側チューブ4bの一方のフレア部は外側チューブ4aの一方のフレア部と重ねられている。この内側チューブ4bの軸線方向長さが外側チューブ4aの軸線方向より長くなるように、内側チューブ4bの大きさが設定されている。したがって、この内側チューブ4bの一方のフレア部を外側チューブ4aの一方のフレア部に重ねると、内側チューブ4bの他方のフレア部は外側チューブ4aのフレア部と離隔する。この内側チューブ4bのフレア部と外側チューブ4aのフレア部との間隙には環状のスペーサ7aが介装される。このスペーサ7aを介装する内側チューブ4bのフレア部と外側チューブ4aのフレア部とは、固定部材7により固定される。内側チューブ4bの他方のフレア部と外側チューブ4aの他方のフレア部とは互いに密着し、しかも固定部材7で固定される。このように固定部材7で固定されることにより、内側チューブ4bの外周面と外側チューブ4aの内周面とで形成されるチューブ室が液密に形成される。
【0054】
このダブルチューブフラム4におけるチューブ室には、後述するチューブ破損検出手段5の一部である流体案内管5aが接続される。
【0055】
この外側チューブ4aの内周面と内側チューブ4bの外周面とは非癒着状態となって接触している。この外側チューブ4aは耐油性のゴムたとえばNBRで形成され、内側チューブ4bはフッ素樹脂で形成される。したがって、このダブルチューブフラム4は油圧室2内に充填される作動油および内側チューブ4bの内側空間すなわち実質的なポンプ室8内を流通する移送液による劣化を受けにくくなる。
【0056】
この外側チューブ4aの内周面と内側チューブ4bの外周面との間の空間すなわちチューブ室内に非圧縮流体が充填される。
【0057】
ポンプ本体6における一端開口部(図1においてはポンプ本体6の下端開口部)には流体導入管9が結合装着され、他端開口部(図1においてはポンプ本体6の上端開口部)には流体導出管10が結合装着される。この流体導入管9中には、ポンプ室8から流体導出管10へと流体を導出するときに、流体導入管9に流体が逆流するのを防止し、かつ、流体導入管9から流体がポンプ室8内に流入するのを許容することができる一方向弁たとえば逆止弁11が設けられる。同様に、この流体導出管10中には、ポンプ室8から流体導出管10へと流体を導出するときに、ポンプ室8から流体導入管9へ流体が逆流するのを防止し、かつ流体がポンプ室8から流体導出管10へと流出するのを許容する一方向弁たとえば逆止弁11が設けられる。
【0058】
前記チューブ破損検出手段5は、流体案内管5aと、逆止弁5bと、液圧センサー5cと、警報手段5dとを有する。前記流体案内管5aの一端は、外側チューブ4aのフレア部(折り返し部分)と内側チューブ4bのフレア部(折り返し部分)とで形成される所定の空間に挿入され、流体案内管5aの他端は、液圧センサー5cを有する液溜め部5eに挿入結合され、外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間に浸入した液が前記所定の空間内に至ると、前記液が流体案内管5a中を通って液溜め部5eにまで至るようになっている。なお、液溜め部5e内に逆止弁5bが設けられる。前記液圧センサー5cからは導線を介して電気信号が出力され、警報手段5dに入力可能になっている。警報手段5dは、警報ブザー5fおよび警報ランプ5gとを有する。
【0059】
前記吸引押圧手段3は、シリンダー3aおよびピストン3bを備える。前記シリンダー3aはその先端開口部が前記油圧室2に開口するように、油圧室2に臨んで配置される。ピストン3bは前記シリンダー3aに往復動可能に挿入される。このピストン3bは、図示しない駆動手段により往復動可能になっている。
【0060】
このダブルチューブフラムポンプ1は以下のように動作する。
【0061】
シリンダー3a内に挿入されたピストン3bの先端部がシリンダー3aの先端開口部近傍に位置するとする。シリンダー3a内でピストン3bを後進させると、シリンダー3a内に作動油が吸引される。作動油の吸引に応じてダブルチューブフラム4が拡大ないし膨満してポンプ室8内の容積が増大する。ポンプ室8内の容積増大により、流体導入管9からポンプ室8内に流体が導入される。このとき、逆止弁11により流体導出管10からポンプ室8内に流体が逆流することがない。
【0062】
ピストン3bが後退仕切ってから後ピストン3bを前進させると、油圧室2内の作動油が加圧され、ダブルチューブフラム4を収縮させる。ダブルチューブフラム4の収縮によりポンプ室8内の容積が減少する。これによって、ポンプ室8内の流体が流体導出管10へと排出される。このとき、流体導入管9中の逆止弁11の作用により、ポンプ室8内の流体が流体導入管9中に逆流することがない。
【0063】
以上の動作の繰り返しにより、ピストン3bの往復動に従ってポンプ室8内の容積の増大減少が繰り返され、これによってポンプ機能が発揮される。
【0064】
ポンプ機能が発揮されるうちに、外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間に形成されたチューブ室内に充填されている非圧縮性流体が、逆止弁を通過して液溜め部5eに移動する。その結果、このチューブ室内にはほとんど非圧縮性流体が存在していないような状態になっている。
【0065】
ポンプ機能が円滑に発揮されているところ、たとえば外側チューブ4aが破損したとする。すると、外側チューブ4aの破損部位から外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙に作動油が浸入する。浸入した作動油は、たとえばピストン3bの吐出工程時にチューブ破損検知手段5側へ排出され、吸込工程では逆止弁5bによりチューブ破損検知手段5側からの逆流が防がれているために、通常時の運転のようにチューブフラムを変形させる。あるいは、浸入した作動油は、外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙における毛細管現象に従って、外側チューブ4aのフレア部と内側チューブ4bのフレア部とで形成される所定の空間に到達する。到達した作動油は、更に流体案内管5aおよび逆止弁5bを通って液溜め部5eに到達する。これが吐出工程毎に行なわれる。液溜め部5eに到達した作動油の圧力を液圧センサー5cが検知し、液圧センサー5cが検知信号を警報手段5dに出力する。警報手段5dにより警報が発令される。操作者はこの警報により、ダブルチューブフラム4の外側チューブ4aおよび内側チューブ4bのいずれかが破損したものと判断し、今後近い将来に破損していないチューブも破損するであろうと予期することができる。したがって、ダブルチューブフラム4の交換が実行される。
【0066】
一方、ポンプ機能が円滑に発揮されているところ、たとえば内側チューブ4bが破損したとする。すると、内側チューブ4bの破損部位から外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙にポンプ室8内の流体が浸入する。浸入した流体は、たとえばピストン3bによるの吐出工程時にチューブ破損検知手段5側へ排出され、吸込工程では逆止弁5bによりチューブ破損検知手段5側からの逆流が防がれているために、通常時の運転のようにチューブフラムを変形させる、あるいは外側チューブ4aと内側チューブ4bとの間隙における毛細管現象に従って、外側チューブ4aの折り返し部分と内側チューブ4bの折り返し部分とで形成される所定の空間に到達する。到達した流体は、更に流体案内管5aを通って液溜め部5eに到達する。これが吐出工程毎に行なわれる。液溜め部5eに到達した流体の圧力を液圧センサー5cが検知し、液圧センサー5cが検知信号を警報手段5dに出力する。警報手段5dにより警報が発令される。操作者はこの警報により、ダブルチューブフラム4の外側チューブ4aおよび内側チューブ4bのいずれかが破損したものと判断し、今後近い将来破損していないチューブも破損するであろうと予期することができる。したがって、ダブルチューブフラム4の交換が実行される。
【0067】
この実施例に係るダブルチューブフラムポンプ1によると、チューブフラムの破損により作動油と流体とが混交することがない。したがって、チューブフラムの破損事故により、流体が流通する経路が作動油で汚染され、汚染された流体の流通経路全体を洗浄するという煩雑な作業を皆無にすることができる。しかもこのダブルチューブフラムポンプ1は、外側チューブ4aの内側表面と内側チューブ4bの外側表面とが非癒着状態になる程度に外側チューブ4aと内側チューブ4bとを積層しているだけであるから、チューブフラムポンプの構造自体が非常に簡潔になる。つまり、この実施例に係るダブルチューブフラムポンプ1はその構造が非常に簡単である。
【0068】
この実施例においては、外側チューブ4aは耐油性のゴムで形成され、内側チューブ4bはフッ素樹脂で形成されるので、外側チューブ4aと内側チューブ4bとを一体成形しても両チューブが癒着することもない。したがって、このような素材で形成されたダブルチューブフラム4は製造が容易である。
【0069】
この実施例において使用されるダブルチューブフラムは、外側チューブと内側チューブとの一体成形により製造される。この場合、内側チューブの材質は柔軟性のある耐薬品性のフッ素樹脂であり、外側チューブの材質は耐油性エラストマーであるNBRである。
【0070】
すなわち、図2に示されるように、フッ素樹脂を用いて円筒状の内側チューブ4bを成形する。この内側チューブ4bには、その両端部に外側に鍔状に広がるフレア部4cが形成される。一端側に形成されたフレア部4cから内側チューブ4bの胴部の端部にかけて、この胴部を一巡するようにテーパ面4dが形成される。このテーパ部4dには、内側チューブ4bの中心線に沿うように形成された複数本の突出部4eが設けられている。なお、他端側に形成されたフレア部4cと内側チューブ4bの胴部の他端部との間には特にテーパ面が設けられていない。
【0071】
この内側チューブ4bを、ダブルチューブフラム製造用の金型内に配置する。このとき、内側チューブ4bの内側円筒状空間には同形の中子を挿入しておく。金型内に、内側チューブ4bの外周面と金型内壁面との間に、加熱により流動可能な溶融状態となったNBRを注入する。注入後所定時間をかけて冷却してから、金型を取り外すと、ダブルチューブフラムを得ることができる。この場合、NBRは180℃程度の温度で加圧注型されるのであるが、この温度でフッ素樹脂はダブルチューブフラムの機能上問題になるような変形を起こさないので、NBRの加圧成形が良好に行なわれる。しかも、フッ素樹脂は離型性が良好であるから、成形時にNBRと密着することがあったとしても、内側チューブ4bと外側チューブ4aとが癒着することもない。
【0072】
なお、この製造方法においては、上記の一体成形により形成される外側チューブ4aの長さ(軸線方向に沿う長さ)を内側チューブ4bの長さ(軸線方向に沿う長さ)よりも短くし、内側チューブ4bの端部におけるフレア部4cと外側チューブ4aの一端におけるフレア部4fとが重なるように、したがって内側チューブ4bのテーパ面4dの形成されていない端部におけるフレア部4cと外側チューブ4aの他端におけるフレア部4gとが離隔するように、内側チューブ4bと外側チューブ4aとが前記製造方法により一体に形成される。
【0073】
このように内側チューブ4bの一端部側の外周面にテーパ面4dが形成され、しかも内側チューブ4bと外側チューブ4aとの材質が前記のように相違しているので、一体成形後に、外側チューブ4aに密着している内側チューブ4bを、テーパ面4dを有する端部側から容易に引っ張り出すことができ、引っ張り出すことにより、図3に示されるように、内側チューブ4bにおけるテーパ面4dを有する端部のフレア部4cと外側チューブ4aのフレア部4fとが離隔して、後述するようなスペーサを収容可能な空間を形成することができる。また、前記線状の突出部4eにより、外側チューブ4aの端部内周面に線状の溝4hが形成される。この溝4hは、ダブルチューブフラムポンプの運転中に内側チューブ4bおよび外側チューブ4aのいずれかが破損したときに、内側チューブ4bおよび外側チューブ4aの間隙に浸入した作動油または移送液のいずれかを、チューブ破損検出手段に案内する作用を発揮することができて、好都合である。
【0074】
この一体成形による製造方法において、内側チューブ4bを外側チューブ4aから引っ張り出す際に、内側チューブ4bのフレア部4c(テーパ面の形成されていない端部におけるフレア部)に接着剤等を塗布しておくと、内側チューブ4bを引っ張り出すことにより、接着剤を塗布したフレア部4cと外側チューブ4aのフレア部4gとが接着し、内側チューブ4bの一端と外側チューブ4aの一端とを気密に封じてなるダブルチューブフラムが得られる。
【0075】
(実施例2)
この実施例2に係るダブルチューブフラムポンプが、実施例1に係るダブルチューブフラムポンプと相違する大きな点は、ダブルチューブフラムである。
【0076】
すなわち、この実施例2におけるダブルチューブフラム4は、図4に示されるように、フッ素樹脂製の内側チューブフラム4BとエラストマーたとえばNBR製の外側チューブ4Aとを有し、内側チューブフラム4Bは、その一端開口部にフレア部を有し、他端開口部にはフレア部を有さず、他端開口部から中央部に向かって所定長さまでが全周に亙って肉厚に形成されてなる。外側チューブ4Aは、両端開口部それぞれにフレア部が形成されている。このダブルチューブフラム4は、次のようにして製造されてなる。すなわち、外側のチューブ4Aと内側チューブ4Bとは別々に形成され、外側チューブ4Aの一端開口部から内側チューブ4Bのフレア部の内一端を挿入し、外側チューブ4Aのフレア部と内側チューブ4Bのフレア部とを重畳してなる。なお、外側チューブ4Aのフレア部と内側チューブ4Bのフレア部とは、単に重ねるだけでも良いが、接着剤等の接着手段あるいは融着手段等により、一体に接合しておくのが好ましい。
【0077】
このように実施例1におけるチューブフラムとは異なる形状を有するチューブフラム4は、次のようにしてダブルチューブフラムポンプ1に組み込まれている。
【0078】
すなわち、ポンプ本体6の下部に設けられた開口部からダブルチューブフラム4を挿入し、外側チューブ4Aおよび内側チューブ4Bそれぞれのフレア部を、ポンプ本体6の開口部端縁部と流体導入口を有する第1固定部材7aとで挟み、かつ固定する。この第1固定部材7aには流体導入管9が装着される。
【0079】
外側チューブ4Aの他方のフレア部は、ポンプ本体6の上部に設けられた開口部の端縁部と円形開口部を有する第2固定部材7bで挟み付け、かつ固定する。内側チューブ4Bの、フレア部の内一端開口部は前記第2固定部材7bの円形開口部を挿通される。この内側チューブ4Bの肉厚部内にアダプタ7cの筒状部を挿入し、前記肉厚部の外周に環状のシールリング7dおよび環状の押さえリング7eを介装し、内側チューブ4Bの端部をアダプタ7cと第3固定部材7fとで固定する。
【0080】
第3固定部材7fには、流体導出管10が装着される。
【0081】
以上の他の機械的構成は前記実施例1におけるのと同様である。
【0082】
この実施例2に係るダブルチューブフラムポンプ1は、実施例1に係るダルブチューブフラムポンプとはダブルチューブフラム4の構造ないし形状が相違するのであるが、その作用効果はほぼ同等である。また、チューブフラムポンプ1自体の作用効果も、前記実施例1に係るダブルチューブフラムポンプの作用効果とほぼ同様である。
【0083】
【発明の効果】
この発明によると、ダイヤフラムチューブポンプでは吸引吐出することの困難であった固液混相流を固体成分の沈降分離を生じさせることなく、吸引吐出することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0084】
この発明によると、チューブの破損を検知することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0085】
この発明によると、チューブの全面的な破損が発生する前にチューブの交換の必要性を検知することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0086】
この発明によると、油圧作動油とポンプの流体(移送液)とが混合してしまうような全面的なチューブ破損事故の発生を未然に防止することのできるダブルチューブフラムポンプを提供することができる。
【0087】
この発明によると、ダブルチューブフラムポンプに好適なダブルチューブフラムを提供することができる。
【0088】
この発明によると、内側チューブおよび外側チューブそれぞれの両端にフレア部が存在するとしても、内側チューブを外側チューブの内部に、外側チューブの内周面と内側チューブの外周面とが非癒着状態で接触可能に、収容されてなるダブルチューブフラムを提供することができる。
【0089】
この発明によると、前記ダブルチューブフラムを好適にかつ容易に製造することができる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のダブルチューブフラムポンプの一例を示す一部切欠断面概略図である。
【図2】図2は、この発明のダブルチューブフラムの一例であって、一体成形後の状態を示す断面説明図である。
【図3】図3は、この発明のダブルチューブフラムの一例であってダブルチューブフラムポンプに取り付ける直前の状態を示す断面説明図である。
【図4】図4はこの発明のダブルチューブフラムポンプの他の例を示す一部切欠断面概略図である。
【符号の説明】
1・・・ダブルチューブフラムポンプ、2・・・油圧室、3・・・吸引押圧手段、3a・・・シリンダー、3b・・・ピストン、4・・・ダブルチューブフラム、4a,4A・・・外側チューブ、4b,4B・・・内側チューブ、4c・・・フレア部、4d・・・テーパ部、4e・・・突出部、4f,4g・・・フレア部、4h・・・溝、5・・・チューブ破損検出手段、5a・・・流体案内管、5b・・・逆止弁、5c・・・液圧センサー、5d・・・警報手段、5e・・・液溜め部、5f・・・警報ブザー、5g・・・警報ランプ、6・・・ポンプ本体、7・・・固定部材、7a・・・第1固定部材、7b・・・第2固定部材、7c・・・アダプタ、7d・・・シールリング、7e・・・押さえリング、7f・・・第3固定部材、8・・・ポンプ室、9・・・流体導入管、10・・・流体導出管、11・・・逆止弁。
Claims (8)
- 作動油を収容する油圧室と、吸引押圧手段と、ポンプ室と、チューブ破損検出手段とを備え、前記吸引押圧手段は、シリンダーおよびピストンを備え、前記シリンダーの先端内部が前記油圧室の一部を形成し、前記ピストンが往復運動することによりシリンダーの先端内部の部分的な容積変化を生起させて前記油圧室内の作動油を吸引押圧するように形成され、前記ポンプ室は、前記油圧室内を貫通するように配置され、複数の柔軟性チューブを相互に非癒着状態で積層してなるダブルチューブフラムにより形成され、前記チューブ破損検出手段は、前記柔軟性チューブ間の状態変化を検出する検出器を備えてなり、
複数の柔軟性チューブの最内層の柔軟性チューブが、両端部に外側に鍔状に広がるフレア部と、一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面と、そのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部とを備え、
前記最内層の柔軟性チューブの軸方向長さが、他の柔軟性チューブの軸線方向より長いことを特徴とするダブルチューブフラムポンプ。 - 前記ダブルチューブフラムは、それを形成する複数の柔軟性チューブの相互間隙が減圧状態に維持されてなり、
前記検出器は圧力検出器である前記請求項1に記載のダブルチューブフラムポンプ。 - 前記ダブルチューブフラムは、それを形成する複数の柔軟性チューブの相互間隙に非圧縮性流体が装填されてなり、
前記チューブ破損検出手段は、前記柔軟性チューブと前記検出器とを連絡し、かつ途中に逆止弁を備えた流路を備えてなり、
前記検出器が圧力検出器である前記請求項1に記載のダブルチューブフラムポンプ。 - 前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブが耐油性エラストマーで形成され、最内層の柔軟性チューブが耐薬品性合成樹脂で形成されてなり、
ダブルチューブフラムを形成する各柔軟性チューブはその端部にフレア部を有し、
前記最内層の柔軟性チューブとなり得るチューブを配置した金型内に前記耐油性エラストマーを充填して一体成形することにより形成されてなる前記請求項1〜3のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプ。 - 前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブが耐油性エラストマーで形成され、最内層の柔軟性チューブが耐薬品性合成樹脂またはエラストマーで形成され、予め形成された最外層の柔軟性チューブ内に、この最外層の柔軟性チューブとは別個に形成された最内層の柔軟性チューブを、挿入することにより形成された柔軟性チューブ間に非圧縮性流体を装填してなる前記請求項1〜3のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプ。
- 前記ダブルチューブフラムは、最外層の柔軟性チューブと最内層の柔軟性チューブとの一端または両端が機密に接合されてなる前記請求項1〜5のいずれかに記載のダブルチューブフラムポンプ。
- 両端に外側に鍔状に広がるフレア部と、一端部における外周面にフレア部から周面にかけて、チューブの全周に亙って形成されるテーパ面と、そのテーパ面に、中心線に沿って形成される線状の突出部を有し、かつ耐薬品性合成樹脂で形成された内側柔軟性チューブと、
両端にフレア部を有し、かつこの内側柔軟性チューブの外周面と非癒着状態で接触する内周面を有するところの、耐油性エラストマーで形成された外側柔軟性チューブとを有することを特徴とするダブルチューブフラム。 - 耐薬品性合成樹脂で形成された内側柔軟性チューブを金型内に配置し、金型内の内側柔軟性チューブの外周面側に耐油性エラストマーを注入して外側柔軟性チューブを加熱成形することを特徴とする前記請求項7に記載のダブルチューブフラムを製造する方法。
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