JP3559343B2 - 分布計測データによる機器状態の監視方法および機器監視装置 - Google Patents
分布計測データによる機器状態の監視方法および機器監視装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、遠隔非接触の計測機器により得られる2次元分布計測データを用いてプラント機器の状態監視を実施する方法、およびその方法を用いてプラント機器を監視する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラント機器の状態監視において、赤外線カメラによる機器表面温度分布の計測、レーザ振動計による機器表面振動強度分布の計測、複数マイクロフォンによる機器表面から発生する音響強度などの分布の計測データを用いることがある。これら遠隔非接触の計測においては、機器表面の温度、振動、または音響といった状態量の分布を計測点から見た平面上に投影した画像として得ることができる。これらの画像は、温度、振動、または、音響を対応する平面上の格子点の画素の値として作成される。
【0003】
この種の画像は可視光の機器表面からの反射を表す一般の写真やテレビカメラによる可視画像とは異なり、人間の目で見て容易にどの測定結果がどの機器のどの部分に対応しているか理解し難い。これを対応づけるために、分布計測画像を計算機に入力し、計算機中に予め用意したプラント機器の空間形状モデルデータに対応させ、計測結果を機器の部位に対応させることが行なわれる。計測機器の設置位置と計測の方向が既知であれば、容易にこの対応処理が計算機で実施できる。
【0004】
このような分布計測データによる機器状態の監視方法としては、特願平6−206945号に、分布計測データと3次元形状モデルによる表示結果を位置合わせし、かつ、対応づけて重ね合わせ表示し、点検すべき機器部分を指定し、指定に対応する計測データをマッピングし、異常の有無を判定する技術が示されている。
【0005】
ところで、計測機器の設置位置と計測の方向が未知の場合は、分布計測画像と3次元形状モデルの2次元投影図とを位置合わせするために、計測機器の設置位置と計測の方向を求めるための処理が必要となる。分布計測画像が機器表面から反射した可視光の投影画像であれば、機器の面の境界の特徴からプラント機器の空間形状モデルデータの対応する点を複数特定することで、または、可視光による投影画像とプラント機器の空間形状モデルデータから計算される反射光量との相関を最大にすることで、視点位置、方向を求めることができるが、機器表面からの可視光の反射画像ではない分布計測画像の場合、このような方法を用いて計測機器の設置位置と計測の方向を求めることは難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、設置位置と計測方向が未知の遠隔非接触の計測機器によって得られた温度、振動、または音響の分布計測画像データを用いて機器状態の監視を行う場合、この分布計測画像データにプラント機器の空間形状モデルデータを対応させるために、計測機器の設置位置と計測の方向を求める処理が必要であるが、この処理に従来の可視光の投影映像の視点と方向を求める方法をそのままでは利用できないという問題点がある。
【0007】
本発明は、プラント機器の振動、温度または音響データを、ある点に設置した遠隔非接触の計測機器を用いてその点から観測される2次元分布計測画像データとして得た場合に、その視点位置および計測方向、すなわち、計測時の計測機器の空間座標および計測機器の向いている水平方向の角度と垂直方向の角度を求める方法、とくに、視点位置および計測方向を求めるために分布計測画像とプラント機器の空間形状モデルデータの投影図との一致の基準となる量を算出する方法を確立して、これにより分布計測画像とプラント機器の空間形状モデルデータとの位置合わせを容易にして、機器状態の把握・監視を行う方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量が計測値であり、プラント機器の空間形状モデルの投影画像の特徴量が機器または部品の投影領域であり、分布計測画像データにプラント機器の空間形状モデルの投影画像を対応させてこの投影画像の機器または部品の投影領域によって当該分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散を計算して、全分散に対する級間分散の比を類似度として用い、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データとの類似度が最大になるプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して水平方向1次元分布間の類似度および垂直方向1次元分布間の類似度がともに最大になるプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0013】
例えば、この監視方法において、分布計測画像データの特徴量としてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の特徴量として機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いて、それぞれの特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布としてそれぞれ水平方向の特徴量値の和および垂直方向の特徴量値の和を用いる。
【0014】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の特徴量とに基づいて、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して個々に類似度が最大になる分布計測画像データ中の部分領域を求めて各々の投影画像に対応する各々の部分領域とし、機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0015】
例えばこの監視方法において、分布計測画像データの特徴量としてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、前記投影画像の特徴量として選択された機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いる。
【0016】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの計測値と、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、分布計測画像データに選択された機器または部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含される領域とそれ以外とに分布計測画像データの計測値をグループ分けして計算される級間分散の全分散に対する比を類似度として、この類似度が最大になるグループ分けから当該投影画像に対応する分布計測画像データ中の部分領域を決定することにより、選択された機器または部品の各々の投影画像に対応する分布計測画像データ中の各々の部分領域を求め、選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像について周囲と面積の比を求め、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される分布計測画像データ中の各々の閉領域について周囲と面積の比を求め、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して周囲と面積の比が最も近い分布計測画像データ中の各々の閉領域を決定し、選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の閉領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データにプラント機器の空間形状モデルの投影画像を対応させてこの投影画像の機器または部品の投影領域によって当該分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散の全分散に対する比を計算し、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して級間分散の全分散に対する比が最大になるプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、
この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データの特徴量と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記水平方向1次元分布間の類似度および垂直方向1次元分布間の類似度がともに最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された前期分布計測装置の位置および向きに基づいて、前記プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に前記分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記水平方向1次元分布間の類似度がともに最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして前記分布計測データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0024】
例えば、この機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段において、分布計測画像データの特徴量としてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の特徴量として機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いて、それぞれの特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布としてそれぞれ水平方向の特徴量値の和および垂直方向の特徴量値の和を用いる。
【0025】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の特徴量とに基づいて、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して個々に類似度が最大になる分布計測画像データ中の部分領域を求めて各々の投影画像に対する各々の部分領域とし、機器または部品の各々の投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
例えば、この機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段において、分布計測画像データのとしてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、投影画像の特徴量として選択された機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いる。
【0027】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データの計測値と、プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、分布計測画像データに前記選択された機器または部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含される領域とそれ以外とに分布計測画像データの計測値をグループ分けして計算される級間分散の全分散に対する比を類似度として、この類似度が最大になる最大になるグループ分けから当該投影画像に対応する分布計測画像データ中の部分領域を決定することにより、選択された機器または部品の各々の投影画像に対応する分布計測画像データ中の各々の部分領域を求め、選択された機器または部品のおのおのの投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、プラント機器の空間形状モデル平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像について周囲と面積の比を求め、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される分布計測画像データ中の各々の閉領域について周囲と面積の比を求め、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して周囲と面積の比が最も近い分布計測画像データ中の各々の閉領域を決定し、選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の閉領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
【作用】
本発明の機器状態の監視方法においては、計測により得られた分布計測画像データから特徴量を求める。他方、プラント機器空間形状モデルから、近似的な視点および見る角度により、平面に投影される画像を計算しその画像から特徴量を求める。両画像の求められた特徴量の類似度を求めて、この類似度を増加させるようにプラント機器形状モデル投影画像の近似的な視点および角度を調整することを繰り返し、類似度最大となる投影画像を求める。これにより、この投影画像の視点および角度を計測機位置および方向として、計測機により得られた分布計測画像データをプラント機器形状モデルに位置合わせすることができる。
【0032】
上記分布計測画像データの特徴量として分布計測画像データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、プラント機器空間形状モデルの特徴量としてこの形状モデルの機器または部品表面の境界線、すなわちワイアフレームを平面に投影表示した画像データを用いる場合上記分布計測画像データの特徴量として、例えば分布計測画像データを Sobelオペレータでエッジ抽出した画像データを生成し、一方分布計測画像データにプラント機器空間形状モデル投影画像を重ねたときワイアフレームを包含する分布計測画像データの画素を1、それ以外の画素を0とした画像データを生成して、両画像データの積率相関を求めることにより、この積率相関を類似度として計測機位置および方向と一致する視点および角度の投影画像を求めることができる。
【0033】
また、上記分布計測画像データの特徴量として計測値を用い、プラント機器空間形状モデルの特徴量としてこの形状モデルの機器または部品の投影領域を用いて、プラント機器空間形状モデルの投影画像上に分布計測画像データの計測値を対応させて機器または部品の投影領域によって分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散を計算することにより、全分散に対する級間分散の比を類似度として、分布計測画像データとプラント機器空間形状モデル投影画像との一致する度合いを判断することができる。
【0034】
なお、全分散Va と級間分散Vc は、分布計測画像データの画素i、その計測値Xi とし、プラント機器空間形状モデルデータの投影図の機器gに含まれる画素位置に対応するすべてのiの集合をgで表し、集合gの要素数をNg 、集合g内のiをjとし、分布計測画像データの全画素数をNとしたとき、全計測値の平均値XAV
【数1】
XAV=(1/N)ΣXi
により、全分散Va が
【数2】
Va =Σ(Xi−XAV)2
により求められる。また、全計測値の平均値XAVと集合gの計測値の平均(Xg)AV
【数3】
(Xg)AV=(1/Ng)ΣXj
から、級間分散Vc が
【数4】
Vc =ΣNg((Xg)AV−XAV)2
により求められる。
【0035】
さらに本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データから特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布を取りだし、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像からも特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布を取りだして、両画像からの特徴量の水平方向1次元分布に基づいて両画像の類似度を求め、さらに両画像からの特徴量の垂直方向1次元分布に基づいても両画像の類似度を求めて、両者の類似度がともに最大になる投影画像を求めることによって、分布計測画像データと視点および方向が一致する投影画像を決定することができる。
【0036】
例えば、分布計測画像データの特徴量としてエッジ抽出した結果を用いて、この水平方向の和を水平方向1次元分布、垂直方向の和を垂直方向1次元分布とする。一方、プラント機器空間形状モデル投影画像の特徴量として機器または部品表面の境界線であるワイアフレームの投影画像を用い、この投影画像の特徴量の水平方向の和を水平方向1次元分布、垂直方向の和を垂直方向1次元分布とする。
【0037】
また本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データの特徴量に対し、プラント機器の空間形状モデルデータから機器または部品を複数選択して各々の投影画像の特徴量との類似度が最大となる分布計測画像データの領域を対応する部分領域として求め、各機器/部品投影画像の重心と、分布計測画像データの対応する部分領域の重心とを対応点として、分布計測画像データと対応させたときこれらの対応点どうしがほぼ一致するような、例えば複数組の対応点間の距離の2乗和を最小にする投影画像を求めことにより、計測機位置および方向と一致する視点および角度の投影画像を求めることができる。
【0038】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、前述の選択された機器/部品の各々の投影画像に対応する分布計測画像データでの領域を決定するための類似度の算出を、分布計測画像データをエッジ抽出した画像データ、および機器/部品の各々の表面の境界を示すワイアフレーム投影画像を用いて行うことができる。
【0039】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データの計測値と、選択された機器/部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、分布計測画像データに選択された機器/部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含される領域とそれ以外とに分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けにより算出される級間分散の全分散に対する比を、選択された機器/部品の投影画像に対応する分布計測画像データでの領域を決定するための類似度として用いることができる。
【0040】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される分布計測画像データ中の閉領域の各々の重心と、プラント機器空間形状モデルの投影画像中の複数選択された機器/部品の投影画像の各々の重心とから、両画像を重ねたとき互いに最も近い重心どうしを対応点として求めることにより、これらの対応点から分布計測画像データの計測機位置および方向が一致する視点および角度のプラント機器空間形状モデル投影画像を求めることができる。
【0041】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される前記分布計測画像データ中の各々の閉領域の周囲と面積の比と、プラント機器空間形状モデルから複数選択された機器/部品の各々の投影画像の周囲と面積の比とを比較し、互いに周囲と面積の比が最も近いものをそれぞれ対応する領域とすることにより、これらの対応する領域の重心を対応点として分布計測画像データの計測機位置および方向が一致する視点および角度のプラント機器空間形状モデル投影画像を求めることができる。
【0042】
また、本発明の機器監視装置において、分布計測画像データ位置合わせ手段は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、プラント機器空間形状モデルデータに基づいて上記したいずれかの方法を用いて分布計測装置の位置および向きを決定する。テクスチャマッピング手段は、この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングする。投影手段は、このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する。これにより、計測機位置および方向が未知の分布計測画像データでもプラント機器空間形状モデルに容易に位置合わせすることができ、かつ機器または部品表面にテクスチャマッピングして表示するため、機器状態を視覚的に容易に把握することができる。
【0043】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0044】
図1は、本発明にかかる機器監視装置の一実施例を示すもので、監視対象のプラント機器表面の温度、振動、または音響といった状態量の分布を計測する分布計測装置1と、分布計測装置1からの分布計測画像データと対応するプラント機器空間形状モデルによる投影図との位置合わせを行い、分布計測装置1の位置および向きを決定する分布計測画像データ位置合わせ手段2と、分布計測画像データ位置合わせ手段2によって決定された計測機位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの表面に分布計測装置1によって得られた分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段3と、テクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画する投影手段4と、投影手段4からの投影図を表示する画像表示装置5とで構成される。
【0045】
上記構成において、分布計測装置1としては、例えば赤外線カメラ、レーザ振動計、複数のマイクロフォン等の計測機器が用いられる。
【0046】
分布計測画像データ位置合わせ手段2は、分布計測装置1によって得られた分布画像データとあらかじめ作成されたプラント機器空間形状モデルに基づいて分布計測装置1の位置および向きを求めるもので、代表的な作用例を図2に示す。
【0047】
図2において、分布計測画像データ位置合わせ手段2は、計測により得られた分布計測画像データから特徴量を求めるとともに、プラント機器空間形状モデルから、計測機位置および向きに対応する近似的な視点位置および向きにより平面に投影される画像を計算し、その投影画像から特徴量を求める。求められた両画像の特徴量からその類似度を計算し、この類似度を増加させるようにプラント機器空間形状モデルの投影画像の近似的な視点および向き(見る角度)を調整することを繰り返し、類似度最大となる視点および向きを求めてこれを計測機位置および方向として決定する。
【0048】
図2に示す位置合わせ手段2の作用において、特徴量の類似度を求める処理方法をさらに説明する。
【0049】
図3は、図2に示す作用の第1の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として計測値を用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の画素に計測値を対応させ、この空間形状モデルの投影画像上の画素が含まれる機器ごとにこれらの計測値をグループ化し、このグループによる計測値級間分散の計測値全分散に対する比を類似度として用いる方法を示している。
【0050】
ここで、分布計測画像データの画素をi、その計測値をXi とし、分布計測画像データの全画素数をNとしたとき、全計測値の平均値XAV
【数5】
XAV=(1/N)ΣXi
により、全分散Va は
【数6】
Va =Σ(Xi−XAV)2
となる。
【0051】
そして、プラント機器の空間形状モデルの投影画像内の機器gに含まれる画素位置に対応するすべてのiの集合をgで表し、集合gの要素数をNg 、集合g内のiをjとしたとき、集合gの計測値の平均(Xg)AV
【数7】
(Xg)AV=(1/Ng)ΣXj
により、級間分散Vc は
【数8】
Vc =ΣNg((Xg)AV−XAV)2
となる。
【0052】
さらにこの第1の処理例について、図4に示すような3つの立体をレーザ振動計で振動強度を分布計測する場合を想定して具体的に説明する。なお、これらの立体を一つずつプラント機器または部品とみなすものとする。
【0053】
図4において、x、y、z軸で示した座標系のプラント機器空間形状モデルのデータによりこれらのプラント機器と部品の形状モデルが作られているものとし、視点(xv 、yv 、zv )から、xy平面上のx軸に対する角度θv およびxy平面に対する角度ψv の向きでスキャン式のレーザ振動計によって3つの立体で表される機器または部品の表面の振動の分布計測を行ったものとする。
【0054】
説明を簡単にするために、正面やや右から図5のような、6×6の振動強度の分布計測画像データが得られ、画像化して表示した場合に図6のように見えると仮定する。なお、図5においてマス目内の数値は振動強度であり、機器表面の振動速度の絶対値の最大とする。また図6は、図5のマス目の値をハッチの濃さで表示したものである。
【0055】
図5および図6の振動分布画像データに対して、プラント機器空間形状モデルの投影図を重ね合わせて機器または部品の投影される領域によりグループ分類し、その分類による計測値、この場合振動強度の級間分散と全分散との比を類似度として、振動分布画像との類似度を最大にするプラント機器空間形状モデルの投影図の視点、向きを振動分布データ計測時の計測機位置、向きの推定値として採用する。
【0056】
ここで、図5に示す分布計測画像に図7(a)に示すプラント機器空間形状モデルの投影画像を図7(b)および図7(c)に示すように重ねた場合を考える。
【0057】
分布計測画像の特徴量として計測値を用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の各部品の投影領域でグループ分けする。各分布画像の格子間の中央に重なるプラント機器空間形状モデルの投影画像の部品でグループ分けすることにする。四角錐の領域をA、直方体の領域をB、円柱の領域をC、背景領域をDとして、図7(b)に示すように分布画像データに空間形状モデルの投影画像を重ねた場合のグループ分類を図8に、また図7(c)に示すように重ねた場合のグループ分類を図9に示す。
【0058】
図5、図7(b)および図7(c)に示す分布画像データの全分散は、すべてのマス目の計測値の偏差平方和で定義される。36個のマス目のi番目の計測値をXi とすると、平均値XAVは、式[数5]より
【数9】
XAV=(1/36)ΣXi =2
となり、全分散Va は、式[数6]、式[数9]より
【数10】
Va =Σ(Xi−2)2 =56
となる。
【0059】
図7(b)の場合、図8に示すようにグループ分類されるため、Aグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループのそれぞれの計測値の個数をNA 、NB 、NC 、ND とし、平均値を(XA)AV、(XB)AV、(Xc)AV、(XD)AVとすると、[数3]より(XA)AV=8/3 、(XB)AV=17/6、(Xc)AV=25/6、(XD)AV=22/21 となり、級間分散Vc は、[数8]より
【数11】
となる。したがって、図7(b)の場合の級間分散の全分散との比は約0.941 となる。
【0060】
また、同様にして図7(c)の場合は、図9に示すようにグループ分類され、その級間分散は約9.86となり、級間分散の全分散との比は約0.176 となる。
【0061】
グループ内のすべての計測値がグループの平均値に等しい場合、すなわち計測値がグループ分類に完全に依存する場合には級間分散と全分散は等しくなり、その比は1となる。一方、グループ分類に計測値が全く依存しない場合は、すべてのグループの平均値は等しくなり、級間分散は0となるため、級間分散の全分散との比は0となる。すなわち、級間分散の全分散との比はグループ分類が計測値をどの程度規定するかを表す指標となり、2画像間の類似度として用いた場合の視点の位置および向きの判断指標となる。上記の例では、図7(b)の場合の方が投影画像の視点および向きが実際の計測機位置および向きに近いものと判断される。
【0062】
このようにして、プラント機器空間形状モデルの視点(xv 、yv 、zv )、測定方向のx軸からのxy平面向での角度θv 、xy平面からの角度ψv による計測機器の視野角に対応するプラント機器空間形状モデルの投影図が定まれば、前記方法による級間分散と全分散との比で定義された類似度が一意的に求められる。
【0063】
類似度は視点と向き、xv 、yv 、zv 、θv 、ψv の関数となるが、明示的な関数式では表せない。関数の値を最大にする方法は様々なアルゴリズムが知られているが、例えば、関数が解析的に記述されていない場合でも最大値を求めることができるシンプレックス法によって、xv 、yv 、zv 、θv 、ψv を関数の変数として、類似度の値を最大とするxv 、yv 、zv 、θv 、ψv を求め、その値を観測された分布計測画像データの視点、向きとする。
【0064】
求まった分布計測画像データの視点、向きにより、プラント機器空間形状モデルの機器または部品と、分布計測画像データ中の領域との対応が定まり、すなわち、それらは各機器または部品の計測値、この場合は、振動強度である。
【0065】
図7に示す例では、分布計測画像データの解像度が6×6と低いため、正確な計測機器の視点、向きは計算できないが、計算結果を求めることは可能であり、分布計測画像の6×6のマス目の大きさに投影される対象のプラント機器の位置での距離を最大の誤差として、この解像度の範囲の誤差を許容されれば妥当な結果となる。
【0066】
図10は、図2に示す作用の第2の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として、画像のエッジ抽出を行なった結果を用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の特徴量として、空間形状モデルデータの機器または部品表面の境界線すなわちワイアフレームを平面に投影表示した画像を計算して用いている。
【0067】
この第2の処理例における画像のエッジ抽出は例えば Sobelオペレータを用いて行うことができる。
【0068】
図11は、図5に示す分布計測画像データを Sobelオペレータでエッジ抽出を行なった結果を示したものである。 Sobelオペレータは、画像のエッジを方向に関係なく抽出する演算子であり、各画素の周囲の3×3の領域の画素に対して、SobelオペレータのXカーネルにより、直前の列の画素値に(−1,−2,−1)を、直後の列に(1,2,1)をそれぞれ乗じた値の総和の絶対値を結果とし、Yカーネルにより、直前の行の画素値に(−1,−2,−1)を、直後の行に(1,2,1)をそれぞれ乗じた値の総和の絶対値を結果とし、2つの結果を加えた値を画素値に置き換えることで、画像のエッジを強調する。
【0069】
図12は、プラント機器空間形状モデルデータを投影して機器または部品の輪郭が入るマス目を1、そうでないマス目を0とした場合を示すもので、図11と図12の積率相関を計算すると、約−0.076となる。この値を最大とするようなプラント機器空間形状モデルの視点、向きを、前述した級間分散と全分散との比で定義された類似度の場合と同様に求めることができる。この例では、分布計測画像データを簡単のために単純化し、解像度が非常に低いため、特徴量としてエッジ抽出した結果を用いても、視点、向きはうまく求まらないが、解像度を高くすることにより、良好な結果が得られる。
【0070】
図13は、図2に示す位置合わせ手段2の作用の変形例を示すもので、図2と異なる点は、分布計測画像データの特徴量とプラント機器の空間形状モデルデータから計算される特徴量とを、画素の水平方向および垂直方向に投影して1次元分布とした後に、両画像の水平方向および垂直方向の1次元分布の各類似度を計算し、この水平方向および垂直方向の類似度の両者を最大にするような視点および方向を求めることである。
【0071】
図14は、図13に示す位置合わせ手段2の作用の一処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として、画像のエッジ抽出結果を、プラント機器の空間形状モデルを平面に投影した得られる画像から計算される特徴量として、空間形状モデルデータの機器または部品表面の境界線すなわちワイアフレームを平面に投影表示した画像を用い、それぞれ画素の特徴量値の和によって水平方向および垂直方向に投影した特徴量間の類似度を計算し、この水平方向および垂直方向の類似度の両者を最大にするような視点および方向を求める。
【0072】
このような方法では、2次元の分布計測画像の水平方向と垂直方向とで独立に位置合わせを実施することで、類似度計算の回数を減少させ、計算時間を短縮する効果がある。
【0073】
図15は、位置合わせ手段2の他の作用例を示すもので、分布計測画像データの特徴量に対し、機器または部品を複数選択してプラント機器の空間形状モデルデータから機器または部品の投影図の特徴量との類似度が最大となる分布計測画像データの領域を求め、各機器または部品の重心と、類似度が最大となる分布計測画像データの領域の重心とを対応点として、プラント機器の空間形状モデルデータの投影図と分布計測画像データ上での対応点間の距離の2乗和を最小にするプラント機器空間形状モデルの投影図の視点、向きを計測機位置および方向として求める。
【0074】
この方法では、選択された機器または部品に対応する分布計測画像データ中の領域をそれぞれの特徴量に基づく類似度により決定することができる。また、対応する領域の重心どうしを対応点として、これらのを対応点間の距離の2乗和を最小にする投影画像を求めることで、計算量を削減し、計算時間の短縮の効果がある。
【0075】
図16は、図15に示す作用の第1の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として、画像のエッジ抽出を行なった結果と、プラント機器の空間形状モデルデータの機器または部品の表面の境界の投影図を特徴量として用い、各々のプラント機器または部品に対して類似度が最大になる分布画像中の部分領域を求め、それぞれの重心を対応点としてプラント機器空間形状モデルの投影図と分布計測画像データ上での対応点間の距離の2乗和を最小にするプラント機器空間形状モデルの投影図の視点、向きを計測機位置および方向として求める。
【0076】
図17は、図15に示す作用の第2の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として計測値を用い、プラント機器の空間形状モデルから選択された機器または部品を平面に投影した画像の近傍の領域を分布計測画像に重ね合わせて、分布計測画像データの計測値を機器または部品の領域に含まれるものとそうでないものとで2グループに分類し、このグループ化による級間分散と全分散の比を類似度としてこの類似度が最大となる分布計測画像データの領域を選択された機器または部品に対応する部分として求め、それぞれの重心を対応点としてこれらの対応点間の距離の2乗和を最小にするような投影画像の視点、向きを計測機位置および方向として決定する。
【0077】
この処理方法について、前述したプラント機器の振動強度の分布計測データと同じデータを用いて説明する。
【0078】
図18に示すプラント機器に対して得られた図19に示す6×6の振動強度の分布計測画像データにおいて、左から右へX、上から下へYを格子間のマス目で1つずつ増加させる座標(X、Y)を定義する。
【0079】
ここで、図18に示すプラント機器のうち直方体の部品とその近傍の投影図を分布計測画像の領域と対応させる場合を考える。図20に示す4×4の直方体の部品とその近傍の投影図の左上端と図19に示す分布計測画像の座標(X、Y)の位置を重ね、図20により分布計測値の部品領域内とそれ以外の領域でグループ分けし、それら2グループでの分布計測画像データの計測値の級間分散と全分散の比を求める。重ねる部分は図20に示す4×4の16マスであり、これら16マスのうちの×印の6マスと○印の10マスで重ねられた分布計測値を2グループに分類し、前述した方法と同様にして全分散と級間分散を計算することができる。図20に示す4×4の投影図の左上端を重ねる図19に示す分布計測画像上の座標(X、Y)に対して級間分散の全分散との比は以下のようになる。
【0080】
(X、Y);級間分散/全分散
(0、0); 0.00513
(0、1); 0.00000
(0、2); 0.93798
(1、0); 0.04103
(1、1); 0.14594
(1、2); 0.00360
(2、0); 0.01531
(2、1); 0.00110
(2、2); 0.04186
ただし、上記座標(X、Y)は、図19において左上端の座標を(0、0)、右下端の座標を(6、6)としたものである。
【0081】
上記したように、分布計測画像の座標(0、2)に図20の投影図の左上端を重ねたときが最も類似度としての全分散に対する級間分散の比が大きい。すなわち、図20の投影図の重心と、分布計測画像の対応する領域の重心とが対応点となる。
【0082】
図20の重心の機器表面でのプラント機器空間形状モデルデータにおける座標を(xs 、ys 、zs )とし、その投影図上の2次元座標を(Xp 、Yp )とする。分布計測画像に対応する領域の重心(Xq 、Yq )が前記で求まる。この例の場合は(2、4)である。図19に(Xq 、Yq )を、図20に(xs 、ys 、zs )を示す。
【0083】
このようにして、直方体部品だけでなく、四角錐部品と円柱部品についても、投影図重心と分布計測画像中の対応領域の重心が求められ、それぞれ対応点とし、3つの(Xp 、Yp )と(Xq 、Yq )との距離を最小化するような視点の位置を示す空間座標(xv 、yv 、zv )と向きを規定する水平方向の角度θv および垂直方向の角度ψv の5つパラメータのうち2つを固定すれば3つを求めることができる。
【0084】
この例では部品は3つしか現れないが、部品が5つ以上選択できれば、5つのパラメータとも求めることができる。
【0085】
このようにして、視点の位置および向きのパラメータ(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )に対して、i(i=1、2、…、n)番目の部品の対応点(xsi、ysi、zsi)の平面への投影で得られる投影図上の点(Xpi、Ypi)と分布計測画像上の対応点(Xqi、Yqi)の組がn組定まることになる。それぞれ(Xpi、Ypi)と(Xqi、Yqi)との距離のiに関する二乗和R
【数12】
R=Σ{(Xpi−Xqi)2 +(Ypi−Yqi)2 }
を最小にするように、(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )を求める。(Xpi、Ypi)は(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )の投影による関数として表すことができ、(Xqi、Yqi)が固定されれば、Rは(xv ,yv ,zv ,θv ,φv )の関数式で表すことができる。したがって、シンプレクス法、最急勾配法、ニュートン法などの方法で、距離の二乗和Rを最小とする(xv ,yv ,zv ,θv ,ψv )を求めることができる。
【0086】
対応点(xsi、ysi、zsi)を定めるための、プラント機器または部品の投影図と分布計測画像データ領域との類似度最大による対応関係は、視点と向き(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )によってわずかに異なる。このため、距離の二乗和Rを最小とする視点のパラメータ(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )が一旦求まっても、求まった視点によるプラント機器または部品の投影図と分布計測画像データ領域の類似度最大となる対応を求め直して、また、同様の手続きを繰り返す必要がある。距離の二乗和Rまたは視点のパラメータ(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )がこの繰り返しによって収束すれば、その視点、向きを分布計測画像データの計測機器の位置および向きとして定める。
【0087】
図21は、図17に示す第2の処理例の変形例を示すもので、第2の処理例と異なる点は、分布計測画像データの特徴量として、計測値がある値の範囲の画素とそうでない画素とに2値化した結果を用い、2値化された画像の閉領域の重心の座標とプラント機器の空間形状モデルデータの選択されたプラント機器または部品を平面に投影した画像の各々の重心の座標とから、両画像を重ね合わせた場合に互いに最も近い重心座標間の距離の和または二乗和が最小になるものを対応点とすることである。
【0088】
この場合の計算例を前述と同じプラント機器の分布計測画像データを用いて説明する。
【0089】
図5に示す分布計測画像データの計測値を 1.5未満と 1.5以上の値で分け、2値化して得られた図形の閉領域の重心を求める。図22は、2値化して 1.5未満を0、 1.5以上を1とし、閉領域の重心を求めた結果を示す。図23は、プラント機器空間形状モデルの投影図例とこの投影図中の各機器または部品の重心を示す。図22の2値化した分布計測画像に図23の投影図を重ねた状態を図24に示す。図24で、最も近い両図の重心点同士を選ぶと、Q1 とP1 、Q2 とP2 、Q3 とP3 となり、これらをそれぞれ対応点として、図17に示す第2の処理例で説明した手順と同様に分布計測画像データの計測機位置および向きを求める。
【0090】
図25は、図17に示す第2の処理例のさらに他の変形例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として計測値がある値の範囲の画素とそうでない画素とに2値化しその画像の閉領域の周囲/面積の比を特徴量とし、プラント機器の空間形状モデルの選択されたプラント機器または部品の投影図の周囲/面積の比を求め、分布計測画像データの閉領域とプラント機器の空間形状モデルの選択されたプラント機器または部品の投影図とで、周囲/面積の比が最も近いものを対応させ、それぞれの重心を対応点として以下同様にして分布計測画像データの計測機位置および向きを求めるものである。
【0091】
図26は、図1に示す機器監視装置の作用を示すもので、この図に示すように、分布計測装置1により監視対象のプラント機器表面の温度、振動、または音響といった状態量の分布計測が行われ、分布計測画像データが作成されると、分布計測画像データ位置合わせ手段2により、前述した手順に従って測定対象のプラント機器空間形状モデルを投影する視点位置および向きを算出する。ついで、テクスチャマッピング手段3により、分布計測画像データ位置合わせ手段2で求められた視点位置および向きを用いて分布計測装置1からの分布計測画像データをプラント機器空間形状モデルの機器表面にテクスチャマッピングし、投影手段4により、テクスチヤマッピングされたプラント機器空間形状モデルデータを2次元平面に投影した後、得られた投影図を画像表示装置5に表示する。
【0092】
図27は、図1に示す機器監視装置の具体的な機器構成例を示すもので、ここでは分布計測装置1としてスキャン式レーザ振動計11が用いられ、画像表示装置5としてCRT表示装置12が用いられている。そして、分布計測画像データ位置合わせ手段2、テクスチャマッピング手段3および投影手段4は計算機13によって実現され、それぞれ分布計測画像データ位置合わせプログラム14、テクスチャマッピングプログラム15および3次元CAD(3D−CAD)表示プログラム16が対応して設定されている。
【0093】
この例では、プラント機器空間形状モデルとして、プラント設計時に機器の空間配置を設計するために作成されるプラント3次元CADデータが利用されている。プラント3次元CADはプラント設計時にプラントの3次元配置を確認する手段として用いられ、作成したデータは各プラント機器の形状モデルとして利用することができる。
【0094】
分布計測画像データ位置合わせプログラム14は、計測した振動強度の分布計測画像に対し、計測位置、向きを計算し、テクスチャマッピングプログラム15は分布計測画像を位置合わせによる対応機器表面に投影し、機器表面のテクスチャとして記憶する。3次元CAD表示プログラム16は、計測機器の位置、向きに関係なく、ユーザの指定した視点でのプラント機器空間形状を平面に投影した図を描画する。この描画の際に、3次元CADデータに本来記憶されていた機器表面のテクスチャでなく、記憶した分布計測画像をテクスチャとして用い、プラント機器の表面をした描画する。図28に3次元CADデータに本来記憶されていた機器表面のテクスチャで光源を仮定して描画を行った例を示し、図29に分布計測画像をテクスチャマッピングして、そのテクスチャで投影図を表示した場合の例を示す。図29は、網掛け模様を3レベルとし、網掛けの密度が高いほど強い振動が計測されたものとした。背景はテクスチャマッピングを行わず、何も表示しない。
【0095】
このように構成された機器監視装置においては、スキャン式のレーザ振動計11からの振動強度の分布計測画像データが計算機13に入力されると、計算機13は、分布計測画像データ位置合わせプログラム14、テクスチャマッピングプログラム15、および、3次元CAD表示プログラム16により、図29に示すような振動強度の分布計測画像データをテクスチャマッピングしたプラント機器空間形状の投影図をCRT表示装置12に表示する。
【0096】
以上の説明からも明らかなように、上記実施例によれば、計測機器の位置および向きが未知の場合でも、分布計測画像データをプラント機器空間形状モデルの機器表面にテクスチャマッピングして表示装置に表示することができ、運転員は分布計測画像データを機器または部品に対応づけて容易に監視することができ、機器の早期異常検出等に効果がある。
【0097】
また、異なる分布計測装置による同じ部分の計測結果を対応づけて監視することも容易となり、機器の早期異常検出等のいっそうの効果を期待することができる。
【0098】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、計測機器の位置および向きが未知の分布計測画像データを測定対象のプラント機器空間形状モデルの投影画像に自動的に位置合わせすることができ、分布計測画像データを機器表面にテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルを表示装置に表示することにより、分布計測画像データによる機器状態の監視を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の機器監視装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図3】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図4】測定対象のプラント機器および部品を模擬した立体の配置、および、視点と向きを示す図である。
【図5】計測値からなる分布計測画像データの一例を示す図である。
【図6】図5に示す分布計測画像データを画像化した場合の表示例を示す図である。
【図7】プラント機器および部品の投影図、およびこのプラント機器および部品の投影図を分布計測画像データに重ねた例を示す図である。
【図8】プラント機器および部品投影図による分布計測画像データの計測値のグループ分けの例を示す図である。
【図9】プラント機器および部品投影図による分布計測画像データの計測値のグループ分けの例を示す図である。
【図10】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図11】分布計測画像データのエッジ抽出結果の例を示す図である。
【図12】プラント機器または部品の投影領域の境界の例を示す図である。
【図13】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図14】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図15】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図16】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図17】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図18】投影図の重心が対応するプラント機器または部品表面上の空間位置を示す図である。
【図19】分布計測画像で類似度最大となる領域の重心を示す図である。
【図20】1つのプラント機器または部品投影図による領域のグループ分けを示す図である。
【図21】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図22】2値化された分布計測画像データと2値化により得られた各領域と各領域の重心位置を示す図である。
【図23】プラント機器空間形状モデルの投影図と各機器または部品投影画像の重心を示す図である。
【図24】図22と図23を重ね合わせた図である。
【図25】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図26】図1に示す機器監視装置の作用を示すフロー図である。
【図27】図1に示す機器監視装置の機器構成例を示すブロック図である。
【図28】3次元CADデータの本来の機器表面のテクスチャでの投影図表示例を示す図である。
【図29】3次元CADデータに分布計測画像データをテクスチャマッピングした状態での投影図表示例を示す図である。
【符号の説明】
1………分布計測装置
2………分布計測画像データ位置合わせ手段
3………テクスチャマッピング手段
4………投影手段
5………画像表示装置
【産業上の利用分野】
本発明は、遠隔非接触の計測機器により得られる2次元分布計測データを用いてプラント機器の状態監視を実施する方法、およびその方法を用いてプラント機器を監視する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラント機器の状態監視において、赤外線カメラによる機器表面温度分布の計測、レーザ振動計による機器表面振動強度分布の計測、複数マイクロフォンによる機器表面から発生する音響強度などの分布の計測データを用いることがある。これら遠隔非接触の計測においては、機器表面の温度、振動、または音響といった状態量の分布を計測点から見た平面上に投影した画像として得ることができる。これらの画像は、温度、振動、または、音響を対応する平面上の格子点の画素の値として作成される。
【0003】
この種の画像は可視光の機器表面からの反射を表す一般の写真やテレビカメラによる可視画像とは異なり、人間の目で見て容易にどの測定結果がどの機器のどの部分に対応しているか理解し難い。これを対応づけるために、分布計測画像を計算機に入力し、計算機中に予め用意したプラント機器の空間形状モデルデータに対応させ、計測結果を機器の部位に対応させることが行なわれる。計測機器の設置位置と計測の方向が既知であれば、容易にこの対応処理が計算機で実施できる。
【0004】
このような分布計測データによる機器状態の監視方法としては、特願平6−206945号に、分布計測データと3次元形状モデルによる表示結果を位置合わせし、かつ、対応づけて重ね合わせ表示し、点検すべき機器部分を指定し、指定に対応する計測データをマッピングし、異常の有無を判定する技術が示されている。
【0005】
ところで、計測機器の設置位置と計測の方向が未知の場合は、分布計測画像と3次元形状モデルの2次元投影図とを位置合わせするために、計測機器の設置位置と計測の方向を求めるための処理が必要となる。分布計測画像が機器表面から反射した可視光の投影画像であれば、機器の面の境界の特徴からプラント機器の空間形状モデルデータの対応する点を複数特定することで、または、可視光による投影画像とプラント機器の空間形状モデルデータから計算される反射光量との相関を最大にすることで、視点位置、方向を求めることができるが、機器表面からの可視光の反射画像ではない分布計測画像の場合、このような方法を用いて計測機器の設置位置と計測の方向を求めることは難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、設置位置と計測方向が未知の遠隔非接触の計測機器によって得られた温度、振動、または音響の分布計測画像データを用いて機器状態の監視を行う場合、この分布計測画像データにプラント機器の空間形状モデルデータを対応させるために、計測機器の設置位置と計測の方向を求める処理が必要であるが、この処理に従来の可視光の投影映像の視点と方向を求める方法をそのままでは利用できないという問題点がある。
【0007】
本発明は、プラント機器の振動、温度または音響データを、ある点に設置した遠隔非接触の計測機器を用いてその点から観測される2次元分布計測画像データとして得た場合に、その視点位置および計測方向、すなわち、計測時の計測機器の空間座標および計測機器の向いている水平方向の角度と垂直方向の角度を求める方法、とくに、視点位置および計測方向を求めるために分布計測画像とプラント機器の空間形状モデルデータの投影図との一致の基準となる量を算出する方法を確立して、これにより分布計測画像とプラント機器の空間形状モデルデータとの位置合わせを容易にして、機器状態の把握・監視を行う方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量が計測値であり、プラント機器の空間形状モデルの投影画像の特徴量が機器または部品の投影領域であり、分布計測画像データにプラント機器の空間形状モデルの投影画像を対応させてこの投影画像の機器または部品の投影領域によって当該分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散を計算して、全分散に対する級間分散の比を類似度として用い、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データとの類似度が最大になるプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して水平方向1次元分布間の類似度および垂直方向1次元分布間の類似度がともに最大になるプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0013】
例えば、この監視方法において、分布計測画像データの特徴量としてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の特徴量として機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いて、それぞれの特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布としてそれぞれ水平方向の特徴量値の和および垂直方向の特徴量値の和を用いる。
【0014】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の特徴量とに基づいて、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して個々に類似度が最大になる分布計測画像データ中の部分領域を求めて各々の投影画像に対応する各々の部分領域とし、機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0015】
例えばこの監視方法において、分布計測画像データの特徴量としてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、前記投影画像の特徴量として選択された機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いる。
【0016】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの計測値と、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、分布計測画像データに選択された機器または部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含される領域とそれ以外とに分布計測画像データの計測値をグループ分けして計算される級間分散の全分散に対する比を類似度として、この類似度が最大になるグループ分けから当該投影画像に対応する分布計測画像データ中の部分領域を決定することにより、選択された機器または部品の各々の投影画像に対応する分布計測画像データ中の各々の部分領域を求め、選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像について周囲と面積の比を求め、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される分布計測画像データ中の各々の閉領域について周囲と面積の比を求め、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して周囲と面積の比が最も近い分布計測画像データ中の各々の閉領域を決定し、選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の閉領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして分布計測データをプラント機器空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データにプラント機器の空間形状モデルの投影画像を対応させてこの投影画像の機器または部品の投影領域によって当該分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散の全分散に対する比を計算し、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して級間分散の全分散に対する比が最大になるプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、
この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データの特徴量と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記水平方向1次元分布間の類似度および垂直方向1次元分布間の類似度がともに最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された前期分布計測装置の位置および向きに基づいて、前記プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に前記分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記水平方向1次元分布間の類似度がともに最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を計測機器の位置および向きとして前記分布計測データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする。
【0024】
例えば、この機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段において、分布計測画像データの特徴量としてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の特徴量として機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いて、それぞれの特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布としてそれぞれ水平方向の特徴量値の和および垂直方向の特徴量値の和を用いる。
【0025】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データの特徴量と、プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の特徴量とに基づいて、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して個々に類似度が最大になる分布計測画像データ中の部分領域を求めて各々の投影画像に対する各々の部分領域とし、機器または部品の各々の投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
例えば、この機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段において、分布計測画像データのとしてこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、投影画像の特徴量として選択された機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像を用いる。
【0027】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、分布計測画像データの計測値と、プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、分布計測画像データに前記選択された機器または部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含される領域とそれ以外とに分布計測画像データの計測値をグループ分けして計算される級間分散の全分散に対する比を類似度として、この類似度が最大になる最大になるグループ分けから当該投影画像に対応する分布計測画像データ中の部分領域を決定することにより、選択された機器または部品の各々の投影画像に対応する分布計測画像データ中の各々の部分領域を求め、選択された機器または部品のおのおのの投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
また本発明の機器監視装置は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、プラント機器の空間形状モデル平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像について周囲と面積の比を求め、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される分布計測画像データ中の各々の閉領域について周囲と面積の比を求め、選択された機器または部品の各々の投影画像に対して周囲と面積の比が最も近い分布計測画像データ中の各々の閉領域を決定し、選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、分布計測画像データ中の対応する各々の閉領域の重心とを各々の対応点とし、投影するプラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するようなプラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
【作用】
本発明の機器状態の監視方法においては、計測により得られた分布計測画像データから特徴量を求める。他方、プラント機器空間形状モデルから、近似的な視点および見る角度により、平面に投影される画像を計算しその画像から特徴量を求める。両画像の求められた特徴量の類似度を求めて、この類似度を増加させるようにプラント機器形状モデル投影画像の近似的な視点および角度を調整することを繰り返し、類似度最大となる投影画像を求める。これにより、この投影画像の視点および角度を計測機位置および方向として、計測機により得られた分布計測画像データをプラント機器形状モデルに位置合わせすることができる。
【0032】
上記分布計測画像データの特徴量として分布計測画像データをエッジ抽出して得られる画像データを用い、プラント機器空間形状モデルの特徴量としてこの形状モデルの機器または部品表面の境界線、すなわちワイアフレームを平面に投影表示した画像データを用いる場合上記分布計測画像データの特徴量として、例えば分布計測画像データを Sobelオペレータでエッジ抽出した画像データを生成し、一方分布計測画像データにプラント機器空間形状モデル投影画像を重ねたときワイアフレームを包含する分布計測画像データの画素を1、それ以外の画素を0とした画像データを生成して、両画像データの積率相関を求めることにより、この積率相関を類似度として計測機位置および方向と一致する視点および角度の投影画像を求めることができる。
【0033】
また、上記分布計測画像データの特徴量として計測値を用い、プラント機器空間形状モデルの特徴量としてこの形状モデルの機器または部品の投影領域を用いて、プラント機器空間形状モデルの投影画像上に分布計測画像データの計測値を対応させて機器または部品の投影領域によって分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散を計算することにより、全分散に対する級間分散の比を類似度として、分布計測画像データとプラント機器空間形状モデル投影画像との一致する度合いを判断することができる。
【0034】
なお、全分散Va と級間分散Vc は、分布計測画像データの画素i、その計測値Xi とし、プラント機器空間形状モデルデータの投影図の機器gに含まれる画素位置に対応するすべてのiの集合をgで表し、集合gの要素数をNg 、集合g内のiをjとし、分布計測画像データの全画素数をNとしたとき、全計測値の平均値XAV
【数1】
XAV=(1/N)ΣXi
により、全分散Va が
【数2】
Va =Σ(Xi−XAV)2
により求められる。また、全計測値の平均値XAVと集合gの計測値の平均(Xg)AV
【数3】
(Xg)AV=(1/Ng)ΣXj
から、級間分散Vc が
【数4】
Vc =ΣNg((Xg)AV−XAV)2
により求められる。
【0035】
さらに本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データから特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布を取りだし、プラント機器空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像からも特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布を取りだして、両画像からの特徴量の水平方向1次元分布に基づいて両画像の類似度を求め、さらに両画像からの特徴量の垂直方向1次元分布に基づいても両画像の類似度を求めて、両者の類似度がともに最大になる投影画像を求めることによって、分布計測画像データと視点および方向が一致する投影画像を決定することができる。
【0036】
例えば、分布計測画像データの特徴量としてエッジ抽出した結果を用いて、この水平方向の和を水平方向1次元分布、垂直方向の和を垂直方向1次元分布とする。一方、プラント機器空間形状モデル投影画像の特徴量として機器または部品表面の境界線であるワイアフレームの投影画像を用い、この投影画像の特徴量の水平方向の和を水平方向1次元分布、垂直方向の和を垂直方向1次元分布とする。
【0037】
また本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データの特徴量に対し、プラント機器の空間形状モデルデータから機器または部品を複数選択して各々の投影画像の特徴量との類似度が最大となる分布計測画像データの領域を対応する部分領域として求め、各機器/部品投影画像の重心と、分布計測画像データの対応する部分領域の重心とを対応点として、分布計測画像データと対応させたときこれらの対応点どうしがほぼ一致するような、例えば複数組の対応点間の距離の2乗和を最小にする投影画像を求めことにより、計測機位置および方向と一致する視点および角度の投影画像を求めることができる。
【0038】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、前述の選択された機器/部品の各々の投影画像に対応する分布計測画像データでの領域を決定するための類似度の算出を、分布計測画像データをエッジ抽出した画像データ、および機器/部品の各々の表面の境界を示すワイアフレーム投影画像を用いて行うことができる。
【0039】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データの計測値と、選択された機器/部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、分布計測画像データに選択された機器/部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含される領域とそれ以外とに分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けにより算出される級間分散の全分散に対する比を、選択された機器/部品の投影画像に対応する分布計測画像データでの領域を決定するための類似度として用いることができる。
【0040】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される分布計測画像データ中の閉領域の各々の重心と、プラント機器空間形状モデルの投影画像中の複数選択された機器/部品の投影画像の各々の重心とから、両画像を重ねたとき互いに最も近い重心どうしを対応点として求めることにより、これらの対応点から分布計測画像データの計測機位置および方向が一致する視点および角度のプラント機器空間形状モデル投影画像を求めることができる。
【0041】
また、本発明の機器状態の監視方法においては、分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される前記分布計測画像データ中の各々の閉領域の周囲と面積の比と、プラント機器空間形状モデルから複数選択された機器/部品の各々の投影画像の周囲と面積の比とを比較し、互いに周囲と面積の比が最も近いものをそれぞれ対応する領域とすることにより、これらの対応する領域の重心を対応点として分布計測画像データの計測機位置および方向が一致する視点および角度のプラント機器空間形状モデル投影画像を求めることができる。
【0042】
また、本発明の機器監視装置において、分布計測画像データ位置合わせ手段は、プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、プラント機器空間形状モデルデータに基づいて上記したいずれかの方法を用いて分布計測装置の位置および向きを決定する。テクスチャマッピング手段は、この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された分布計測装置の位置および向きに基づいて、プラント機器空間形状モデルの機器または部品表面に分布計測画像データをテクスチャマッピングする。投影手段は、このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する。これにより、計測機位置および方向が未知の分布計測画像データでもプラント機器空間形状モデルに容易に位置合わせすることができ、かつ機器または部品表面にテクスチャマッピングして表示するため、機器状態を視覚的に容易に把握することができる。
【0043】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0044】
図1は、本発明にかかる機器監視装置の一実施例を示すもので、監視対象のプラント機器表面の温度、振動、または音響といった状態量の分布を計測する分布計測装置1と、分布計測装置1からの分布計測画像データと対応するプラント機器空間形状モデルによる投影図との位置合わせを行い、分布計測装置1の位置および向きを決定する分布計測画像データ位置合わせ手段2と、分布計測画像データ位置合わせ手段2によって決定された計測機位置および向きに基づいて、プラント機器の空間形状モデルの表面に分布計測装置1によって得られた分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段3と、テクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画する投影手段4と、投影手段4からの投影図を表示する画像表示装置5とで構成される。
【0045】
上記構成において、分布計測装置1としては、例えば赤外線カメラ、レーザ振動計、複数のマイクロフォン等の計測機器が用いられる。
【0046】
分布計測画像データ位置合わせ手段2は、分布計測装置1によって得られた分布画像データとあらかじめ作成されたプラント機器空間形状モデルに基づいて分布計測装置1の位置および向きを求めるもので、代表的な作用例を図2に示す。
【0047】
図2において、分布計測画像データ位置合わせ手段2は、計測により得られた分布計測画像データから特徴量を求めるとともに、プラント機器空間形状モデルから、計測機位置および向きに対応する近似的な視点位置および向きにより平面に投影される画像を計算し、その投影画像から特徴量を求める。求められた両画像の特徴量からその類似度を計算し、この類似度を増加させるようにプラント機器空間形状モデルの投影画像の近似的な視点および向き(見る角度)を調整することを繰り返し、類似度最大となる視点および向きを求めてこれを計測機位置および方向として決定する。
【0048】
図2に示す位置合わせ手段2の作用において、特徴量の類似度を求める処理方法をさらに説明する。
【0049】
図3は、図2に示す作用の第1の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として計測値を用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の画素に計測値を対応させ、この空間形状モデルの投影画像上の画素が含まれる機器ごとにこれらの計測値をグループ化し、このグループによる計測値級間分散の計測値全分散に対する比を類似度として用いる方法を示している。
【0050】
ここで、分布計測画像データの画素をi、その計測値をXi とし、分布計測画像データの全画素数をNとしたとき、全計測値の平均値XAV
【数5】
XAV=(1/N)ΣXi
により、全分散Va は
【数6】
Va =Σ(Xi−XAV)2
となる。
【0051】
そして、プラント機器の空間形状モデルの投影画像内の機器gに含まれる画素位置に対応するすべてのiの集合をgで表し、集合gの要素数をNg 、集合g内のiをjとしたとき、集合gの計測値の平均(Xg)AV
【数7】
(Xg)AV=(1/Ng)ΣXj
により、級間分散Vc は
【数8】
Vc =ΣNg((Xg)AV−XAV)2
となる。
【0052】
さらにこの第1の処理例について、図4に示すような3つの立体をレーザ振動計で振動強度を分布計測する場合を想定して具体的に説明する。なお、これらの立体を一つずつプラント機器または部品とみなすものとする。
【0053】
図4において、x、y、z軸で示した座標系のプラント機器空間形状モデルのデータによりこれらのプラント機器と部品の形状モデルが作られているものとし、視点(xv 、yv 、zv )から、xy平面上のx軸に対する角度θv およびxy平面に対する角度ψv の向きでスキャン式のレーザ振動計によって3つの立体で表される機器または部品の表面の振動の分布計測を行ったものとする。
【0054】
説明を簡単にするために、正面やや右から図5のような、6×6の振動強度の分布計測画像データが得られ、画像化して表示した場合に図6のように見えると仮定する。なお、図5においてマス目内の数値は振動強度であり、機器表面の振動速度の絶対値の最大とする。また図6は、図5のマス目の値をハッチの濃さで表示したものである。
【0055】
図5および図6の振動分布画像データに対して、プラント機器空間形状モデルの投影図を重ね合わせて機器または部品の投影される領域によりグループ分類し、その分類による計測値、この場合振動強度の級間分散と全分散との比を類似度として、振動分布画像との類似度を最大にするプラント機器空間形状モデルの投影図の視点、向きを振動分布データ計測時の計測機位置、向きの推定値として採用する。
【0056】
ここで、図5に示す分布計測画像に図7(a)に示すプラント機器空間形状モデルの投影画像を図7(b)および図7(c)に示すように重ねた場合を考える。
【0057】
分布計測画像の特徴量として計測値を用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の各部品の投影領域でグループ分けする。各分布画像の格子間の中央に重なるプラント機器空間形状モデルの投影画像の部品でグループ分けすることにする。四角錐の領域をA、直方体の領域をB、円柱の領域をC、背景領域をDとして、図7(b)に示すように分布画像データに空間形状モデルの投影画像を重ねた場合のグループ分類を図8に、また図7(c)に示すように重ねた場合のグループ分類を図9に示す。
【0058】
図5、図7(b)および図7(c)に示す分布画像データの全分散は、すべてのマス目の計測値の偏差平方和で定義される。36個のマス目のi番目の計測値をXi とすると、平均値XAVは、式[数5]より
【数9】
XAV=(1/36)ΣXi =2
となり、全分散Va は、式[数6]、式[数9]より
【数10】
Va =Σ(Xi−2)2 =56
となる。
【0059】
図7(b)の場合、図8に示すようにグループ分類されるため、Aグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループのそれぞれの計測値の個数をNA 、NB 、NC 、ND とし、平均値を(XA)AV、(XB)AV、(Xc)AV、(XD)AVとすると、[数3]より(XA)AV=8/3 、(XB)AV=17/6、(Xc)AV=25/6、(XD)AV=22/21 となり、級間分散Vc は、[数8]より
【数11】
となる。したがって、図7(b)の場合の級間分散の全分散との比は約0.941 となる。
【0060】
また、同様にして図7(c)の場合は、図9に示すようにグループ分類され、その級間分散は約9.86となり、級間分散の全分散との比は約0.176 となる。
【0061】
グループ内のすべての計測値がグループの平均値に等しい場合、すなわち計測値がグループ分類に完全に依存する場合には級間分散と全分散は等しくなり、その比は1となる。一方、グループ分類に計測値が全く依存しない場合は、すべてのグループの平均値は等しくなり、級間分散は0となるため、級間分散の全分散との比は0となる。すなわち、級間分散の全分散との比はグループ分類が計測値をどの程度規定するかを表す指標となり、2画像間の類似度として用いた場合の視点の位置および向きの判断指標となる。上記の例では、図7(b)の場合の方が投影画像の視点および向きが実際の計測機位置および向きに近いものと判断される。
【0062】
このようにして、プラント機器空間形状モデルの視点(xv 、yv 、zv )、測定方向のx軸からのxy平面向での角度θv 、xy平面からの角度ψv による計測機器の視野角に対応するプラント機器空間形状モデルの投影図が定まれば、前記方法による級間分散と全分散との比で定義された類似度が一意的に求められる。
【0063】
類似度は視点と向き、xv 、yv 、zv 、θv 、ψv の関数となるが、明示的な関数式では表せない。関数の値を最大にする方法は様々なアルゴリズムが知られているが、例えば、関数が解析的に記述されていない場合でも最大値を求めることができるシンプレックス法によって、xv 、yv 、zv 、θv 、ψv を関数の変数として、類似度の値を最大とするxv 、yv 、zv 、θv 、ψv を求め、その値を観測された分布計測画像データの視点、向きとする。
【0064】
求まった分布計測画像データの視点、向きにより、プラント機器空間形状モデルの機器または部品と、分布計測画像データ中の領域との対応が定まり、すなわち、それらは各機器または部品の計測値、この場合は、振動強度である。
【0065】
図7に示す例では、分布計測画像データの解像度が6×6と低いため、正確な計測機器の視点、向きは計算できないが、計算結果を求めることは可能であり、分布計測画像の6×6のマス目の大きさに投影される対象のプラント機器の位置での距離を最大の誤差として、この解像度の範囲の誤差を許容されれば妥当な結果となる。
【0066】
図10は、図2に示す作用の第2の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として、画像のエッジ抽出を行なった結果を用い、プラント機器空間形状モデルの投影画像の特徴量として、空間形状モデルデータの機器または部品表面の境界線すなわちワイアフレームを平面に投影表示した画像を計算して用いている。
【0067】
この第2の処理例における画像のエッジ抽出は例えば Sobelオペレータを用いて行うことができる。
【0068】
図11は、図5に示す分布計測画像データを Sobelオペレータでエッジ抽出を行なった結果を示したものである。 Sobelオペレータは、画像のエッジを方向に関係なく抽出する演算子であり、各画素の周囲の3×3の領域の画素に対して、SobelオペレータのXカーネルにより、直前の列の画素値に(−1,−2,−1)を、直後の列に(1,2,1)をそれぞれ乗じた値の総和の絶対値を結果とし、Yカーネルにより、直前の行の画素値に(−1,−2,−1)を、直後の行に(1,2,1)をそれぞれ乗じた値の総和の絶対値を結果とし、2つの結果を加えた値を画素値に置き換えることで、画像のエッジを強調する。
【0069】
図12は、プラント機器空間形状モデルデータを投影して機器または部品の輪郭が入るマス目を1、そうでないマス目を0とした場合を示すもので、図11と図12の積率相関を計算すると、約−0.076となる。この値を最大とするようなプラント機器空間形状モデルの視点、向きを、前述した級間分散と全分散との比で定義された類似度の場合と同様に求めることができる。この例では、分布計測画像データを簡単のために単純化し、解像度が非常に低いため、特徴量としてエッジ抽出した結果を用いても、視点、向きはうまく求まらないが、解像度を高くすることにより、良好な結果が得られる。
【0070】
図13は、図2に示す位置合わせ手段2の作用の変形例を示すもので、図2と異なる点は、分布計測画像データの特徴量とプラント機器の空間形状モデルデータから計算される特徴量とを、画素の水平方向および垂直方向に投影して1次元分布とした後に、両画像の水平方向および垂直方向の1次元分布の各類似度を計算し、この水平方向および垂直方向の類似度の両者を最大にするような視点および方向を求めることである。
【0071】
図14は、図13に示す位置合わせ手段2の作用の一処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として、画像のエッジ抽出結果を、プラント機器の空間形状モデルを平面に投影した得られる画像から計算される特徴量として、空間形状モデルデータの機器または部品表面の境界線すなわちワイアフレームを平面に投影表示した画像を用い、それぞれ画素の特徴量値の和によって水平方向および垂直方向に投影した特徴量間の類似度を計算し、この水平方向および垂直方向の類似度の両者を最大にするような視点および方向を求める。
【0072】
このような方法では、2次元の分布計測画像の水平方向と垂直方向とで独立に位置合わせを実施することで、類似度計算の回数を減少させ、計算時間を短縮する効果がある。
【0073】
図15は、位置合わせ手段2の他の作用例を示すもので、分布計測画像データの特徴量に対し、機器または部品を複数選択してプラント機器の空間形状モデルデータから機器または部品の投影図の特徴量との類似度が最大となる分布計測画像データの領域を求め、各機器または部品の重心と、類似度が最大となる分布計測画像データの領域の重心とを対応点として、プラント機器の空間形状モデルデータの投影図と分布計測画像データ上での対応点間の距離の2乗和を最小にするプラント機器空間形状モデルの投影図の視点、向きを計測機位置および方向として求める。
【0074】
この方法では、選択された機器または部品に対応する分布計測画像データ中の領域をそれぞれの特徴量に基づく類似度により決定することができる。また、対応する領域の重心どうしを対応点として、これらのを対応点間の距離の2乗和を最小にする投影画像を求めることで、計算量を削減し、計算時間の短縮の効果がある。
【0075】
図16は、図15に示す作用の第1の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として、画像のエッジ抽出を行なった結果と、プラント機器の空間形状モデルデータの機器または部品の表面の境界の投影図を特徴量として用い、各々のプラント機器または部品に対して類似度が最大になる分布画像中の部分領域を求め、それぞれの重心を対応点としてプラント機器空間形状モデルの投影図と分布計測画像データ上での対応点間の距離の2乗和を最小にするプラント機器空間形状モデルの投影図の視点、向きを計測機位置および方向として求める。
【0076】
図17は、図15に示す作用の第2の処理例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として計測値を用い、プラント機器の空間形状モデルから選択された機器または部品を平面に投影した画像の近傍の領域を分布計測画像に重ね合わせて、分布計測画像データの計測値を機器または部品の領域に含まれるものとそうでないものとで2グループに分類し、このグループ化による級間分散と全分散の比を類似度としてこの類似度が最大となる分布計測画像データの領域を選択された機器または部品に対応する部分として求め、それぞれの重心を対応点としてこれらの対応点間の距離の2乗和を最小にするような投影画像の視点、向きを計測機位置および方向として決定する。
【0077】
この処理方法について、前述したプラント機器の振動強度の分布計測データと同じデータを用いて説明する。
【0078】
図18に示すプラント機器に対して得られた図19に示す6×6の振動強度の分布計測画像データにおいて、左から右へX、上から下へYを格子間のマス目で1つずつ増加させる座標(X、Y)を定義する。
【0079】
ここで、図18に示すプラント機器のうち直方体の部品とその近傍の投影図を分布計測画像の領域と対応させる場合を考える。図20に示す4×4の直方体の部品とその近傍の投影図の左上端と図19に示す分布計測画像の座標(X、Y)の位置を重ね、図20により分布計測値の部品領域内とそれ以外の領域でグループ分けし、それら2グループでの分布計測画像データの計測値の級間分散と全分散の比を求める。重ねる部分は図20に示す4×4の16マスであり、これら16マスのうちの×印の6マスと○印の10マスで重ねられた分布計測値を2グループに分類し、前述した方法と同様にして全分散と級間分散を計算することができる。図20に示す4×4の投影図の左上端を重ねる図19に示す分布計測画像上の座標(X、Y)に対して級間分散の全分散との比は以下のようになる。
【0080】
(X、Y);級間分散/全分散
(0、0); 0.00513
(0、1); 0.00000
(0、2); 0.93798
(1、0); 0.04103
(1、1); 0.14594
(1、2); 0.00360
(2、0); 0.01531
(2、1); 0.00110
(2、2); 0.04186
ただし、上記座標(X、Y)は、図19において左上端の座標を(0、0)、右下端の座標を(6、6)としたものである。
【0081】
上記したように、分布計測画像の座標(0、2)に図20の投影図の左上端を重ねたときが最も類似度としての全分散に対する級間分散の比が大きい。すなわち、図20の投影図の重心と、分布計測画像の対応する領域の重心とが対応点となる。
【0082】
図20の重心の機器表面でのプラント機器空間形状モデルデータにおける座標を(xs 、ys 、zs )とし、その投影図上の2次元座標を(Xp 、Yp )とする。分布計測画像に対応する領域の重心(Xq 、Yq )が前記で求まる。この例の場合は(2、4)である。図19に(Xq 、Yq )を、図20に(xs 、ys 、zs )を示す。
【0083】
このようにして、直方体部品だけでなく、四角錐部品と円柱部品についても、投影図重心と分布計測画像中の対応領域の重心が求められ、それぞれ対応点とし、3つの(Xp 、Yp )と(Xq 、Yq )との距離を最小化するような視点の位置を示す空間座標(xv 、yv 、zv )と向きを規定する水平方向の角度θv および垂直方向の角度ψv の5つパラメータのうち2つを固定すれば3つを求めることができる。
【0084】
この例では部品は3つしか現れないが、部品が5つ以上選択できれば、5つのパラメータとも求めることができる。
【0085】
このようにして、視点の位置および向きのパラメータ(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )に対して、i(i=1、2、…、n)番目の部品の対応点(xsi、ysi、zsi)の平面への投影で得られる投影図上の点(Xpi、Ypi)と分布計測画像上の対応点(Xqi、Yqi)の組がn組定まることになる。それぞれ(Xpi、Ypi)と(Xqi、Yqi)との距離のiに関する二乗和R
【数12】
R=Σ{(Xpi−Xqi)2 +(Ypi−Yqi)2 }
を最小にするように、(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )を求める。(Xpi、Ypi)は(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )の投影による関数として表すことができ、(Xqi、Yqi)が固定されれば、Rは(xv ,yv ,zv ,θv ,φv )の関数式で表すことができる。したがって、シンプレクス法、最急勾配法、ニュートン法などの方法で、距離の二乗和Rを最小とする(xv ,yv ,zv ,θv ,ψv )を求めることができる。
【0086】
対応点(xsi、ysi、zsi)を定めるための、プラント機器または部品の投影図と分布計測画像データ領域との類似度最大による対応関係は、視点と向き(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )によってわずかに異なる。このため、距離の二乗和Rを最小とする視点のパラメータ(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )が一旦求まっても、求まった視点によるプラント機器または部品の投影図と分布計測画像データ領域の類似度最大となる対応を求め直して、また、同様の手続きを繰り返す必要がある。距離の二乗和Rまたは視点のパラメータ(xv 、yv 、zv 、θv 、ψv )がこの繰り返しによって収束すれば、その視点、向きを分布計測画像データの計測機器の位置および向きとして定める。
【0087】
図21は、図17に示す第2の処理例の変形例を示すもので、第2の処理例と異なる点は、分布計測画像データの特徴量として、計測値がある値の範囲の画素とそうでない画素とに2値化した結果を用い、2値化された画像の閉領域の重心の座標とプラント機器の空間形状モデルデータの選択されたプラント機器または部品を平面に投影した画像の各々の重心の座標とから、両画像を重ね合わせた場合に互いに最も近い重心座標間の距離の和または二乗和が最小になるものを対応点とすることである。
【0088】
この場合の計算例を前述と同じプラント機器の分布計測画像データを用いて説明する。
【0089】
図5に示す分布計測画像データの計測値を 1.5未満と 1.5以上の値で分け、2値化して得られた図形の閉領域の重心を求める。図22は、2値化して 1.5未満を0、 1.5以上を1とし、閉領域の重心を求めた結果を示す。図23は、プラント機器空間形状モデルの投影図例とこの投影図中の各機器または部品の重心を示す。図22の2値化した分布計測画像に図23の投影図を重ねた状態を図24に示す。図24で、最も近い両図の重心点同士を選ぶと、Q1 とP1 、Q2 とP2 、Q3 とP3 となり、これらをそれぞれ対応点として、図17に示す第2の処理例で説明した手順と同様に分布計測画像データの計測機位置および向きを求める。
【0090】
図25は、図17に示す第2の処理例のさらに他の変形例を示すもので、分布計測画像データの特徴量として計測値がある値の範囲の画素とそうでない画素とに2値化しその画像の閉領域の周囲/面積の比を特徴量とし、プラント機器の空間形状モデルの選択されたプラント機器または部品の投影図の周囲/面積の比を求め、分布計測画像データの閉領域とプラント機器の空間形状モデルの選択されたプラント機器または部品の投影図とで、周囲/面積の比が最も近いものを対応させ、それぞれの重心を対応点として以下同様にして分布計測画像データの計測機位置および向きを求めるものである。
【0091】
図26は、図1に示す機器監視装置の作用を示すもので、この図に示すように、分布計測装置1により監視対象のプラント機器表面の温度、振動、または音響といった状態量の分布計測が行われ、分布計測画像データが作成されると、分布計測画像データ位置合わせ手段2により、前述した手順に従って測定対象のプラント機器空間形状モデルを投影する視点位置および向きを算出する。ついで、テクスチャマッピング手段3により、分布計測画像データ位置合わせ手段2で求められた視点位置および向きを用いて分布計測装置1からの分布計測画像データをプラント機器空間形状モデルの機器表面にテクスチャマッピングし、投影手段4により、テクスチヤマッピングされたプラント機器空間形状モデルデータを2次元平面に投影した後、得られた投影図を画像表示装置5に表示する。
【0092】
図27は、図1に示す機器監視装置の具体的な機器構成例を示すもので、ここでは分布計測装置1としてスキャン式レーザ振動計11が用いられ、画像表示装置5としてCRT表示装置12が用いられている。そして、分布計測画像データ位置合わせ手段2、テクスチャマッピング手段3および投影手段4は計算機13によって実現され、それぞれ分布計測画像データ位置合わせプログラム14、テクスチャマッピングプログラム15および3次元CAD(3D−CAD)表示プログラム16が対応して設定されている。
【0093】
この例では、プラント機器空間形状モデルとして、プラント設計時に機器の空間配置を設計するために作成されるプラント3次元CADデータが利用されている。プラント3次元CADはプラント設計時にプラントの3次元配置を確認する手段として用いられ、作成したデータは各プラント機器の形状モデルとして利用することができる。
【0094】
分布計測画像データ位置合わせプログラム14は、計測した振動強度の分布計測画像に対し、計測位置、向きを計算し、テクスチャマッピングプログラム15は分布計測画像を位置合わせによる対応機器表面に投影し、機器表面のテクスチャとして記憶する。3次元CAD表示プログラム16は、計測機器の位置、向きに関係なく、ユーザの指定した視点でのプラント機器空間形状を平面に投影した図を描画する。この描画の際に、3次元CADデータに本来記憶されていた機器表面のテクスチャでなく、記憶した分布計測画像をテクスチャとして用い、プラント機器の表面をした描画する。図28に3次元CADデータに本来記憶されていた機器表面のテクスチャで光源を仮定して描画を行った例を示し、図29に分布計測画像をテクスチャマッピングして、そのテクスチャで投影図を表示した場合の例を示す。図29は、網掛け模様を3レベルとし、網掛けの密度が高いほど強い振動が計測されたものとした。背景はテクスチャマッピングを行わず、何も表示しない。
【0095】
このように構成された機器監視装置においては、スキャン式のレーザ振動計11からの振動強度の分布計測画像データが計算機13に入力されると、計算機13は、分布計測画像データ位置合わせプログラム14、テクスチャマッピングプログラム15、および、3次元CAD表示プログラム16により、図29に示すような振動強度の分布計測画像データをテクスチャマッピングしたプラント機器空間形状の投影図をCRT表示装置12に表示する。
【0096】
以上の説明からも明らかなように、上記実施例によれば、計測機器の位置および向きが未知の場合でも、分布計測画像データをプラント機器空間形状モデルの機器表面にテクスチャマッピングして表示装置に表示することができ、運転員は分布計測画像データを機器または部品に対応づけて容易に監視することができ、機器の早期異常検出等に効果がある。
【0097】
また、異なる分布計測装置による同じ部分の計測結果を対応づけて監視することも容易となり、機器の早期異常検出等のいっそうの効果を期待することができる。
【0098】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、計測機器の位置および向きが未知の分布計測画像データを測定対象のプラント機器空間形状モデルの投影画像に自動的に位置合わせすることができ、分布計測画像データを機器表面にテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルを表示装置に表示することにより、分布計測画像データによる機器状態の監視を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の機器監視装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図3】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図4】測定対象のプラント機器および部品を模擬した立体の配置、および、視点と向きを示す図である。
【図5】計測値からなる分布計測画像データの一例を示す図である。
【図6】図5に示す分布計測画像データを画像化した場合の表示例を示す図である。
【図7】プラント機器および部品の投影図、およびこのプラント機器および部品の投影図を分布計測画像データに重ねた例を示す図である。
【図8】プラント機器および部品投影図による分布計測画像データの計測値のグループ分けの例を示す図である。
【図9】プラント機器および部品投影図による分布計測画像データの計測値のグループ分けの例を示す図である。
【図10】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図11】分布計測画像データのエッジ抽出結果の例を示す図である。
【図12】プラント機器または部品の投影領域の境界の例を示す図である。
【図13】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図14】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図15】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図16】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図17】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図18】投影図の重心が対応するプラント機器または部品表面上の空間位置を示す図である。
【図19】分布計測画像で類似度最大となる領域の重心を示す図である。
【図20】1つのプラント機器または部品投影図による領域のグループ分けを示す図である。
【図21】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図22】2値化された分布計測画像データと2値化により得られた各領域と各領域の重心位置を示す図である。
【図23】プラント機器空間形状モデルの投影図と各機器または部品投影画像の重心を示す図である。
【図24】図22と図23を重ね合わせた図である。
【図25】図1に示す機器監視装置の分布計測画像データ位置合わせ手段2の作用を示すフロー図である。
【図26】図1に示す機器監視装置の作用を示すフロー図である。
【図27】図1に示す機器監視装置の機器構成例を示すブロック図である。
【図28】3次元CADデータの本来の機器表面のテクスチャでの投影図表示例を示す図である。
【図29】3次元CADデータに分布計測画像データをテクスチャマッピングした状態での投影図表示例を示す図である。
【符号の説明】
1………分布計測装置
2………分布計測画像データ位置合わせ手段
3………テクスチャマッピング手段
4………投影手段
5………画像表示装置
Claims (14)
- プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、
前記分布計測画像データの特徴量が計測値であり、前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像の特徴量が機器または部品の投影領域であり、前記分布計測画像データに前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を対応させてこの投影画像の機器または部品の投影領域によって当該分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散を計算して、全分散に対する級間分散の比を類似度として用い、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記分布計測画像データとの前記類似度が最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、
この投影画像の視点および角度を前記計測機器の位置および向きとして前記分布計測画像データを前記プラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする分布計測データによる機器状態の監視方法。 - プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、
前記分布計測画像データの特徴量と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、
投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記水平方向1次元分布間の類似度がともに最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、
この投影画像の視点および角度を前記計測機器の位置および向きとして前記分布計測データを前記プラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする分布計測データによる機器状態の監視方法。 - 請求項2に記載の監視方法において、前記分布計測画像データの特徴量がこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データであり、前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像の特徴量が機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像であり、それぞれの特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布がそれぞれ水平方向の特徴量の和および垂直方向の特徴量の和によって得られることを特徴とする分布計測データによる機器状態の監視方法。
- プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、
前記分布計測画像データの特徴量と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の特徴量とに基づいて、前記選択された機器または部品の各々の投影画像に対して個々に類似度が最大になる前記分布計測画像データ中の部分領域を求めて各々の投影画像に対応する各々の部分領域とし、
前記機器または部品の各々の投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、
投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するような前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を前記計測機器の位置および向きとして前記分布計測データを前記プラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする分布計測データによる機器状態の監視方法。 - 請求項4に記載の監視方法において、前記分布計測画像データの特徴量がこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データであり、前記投影画像の特徴量が選択された機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像であることを特徴とする分布計測データによる機器状態の監視方法。
- プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の測定機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、
前記分布計測画像データの計測値と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、前記分布計測画像データに前記選択された機器または部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含された領域とそれ以外とに前記分布計測画像データの計測値をグループ分けして計算される級間分散の全分散に対する比を類似度として、この類似度が最大になるグループ分けから当該投影画像に対応する前記分布計測画像データ中の部分領域を決定することにより、前記選択された機器または部品の各々の投影画像に対応する前記分布計測画像データ中の各々の部分領域を求め、
前記選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、
投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するような前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、
この投影画像の視点および角度を前記計測器の位置および向きとして前記分布計測データを前記プラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする分布計測データによる機器状態の監視方法。 - プラントに設置されている機器の状態量をある点から遠隔非接触の計測機器を用いて計測して得られる2次元分布計測画像データをプラント機器の空間形状モデルに位置合わせし、重ね合わせて表示する分布計測データによる機器状態の監視方法において、
前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像について周囲と面積の比を求め、
前記分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される前記分布計測画像データ中の各々の閉領域について周囲と面積の比を求め、
前記選択された機器または部品の各々の投影画像に対して前記周囲と面積の比が最も近い前記分布計測画像データ中の各々の閉領域を決定し、
前記選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の閉領域の重心とを各々の対応点とし、
投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するような前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、
この投影画像の視点および角度を前記計測機器の位置および向きとして前記分布計測データを前記プラント機器の空間形状モデルに位置合わせすることを特徴とする分布計測データによる機器状態の監視方法。 - プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、前記分布計測画像データに前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を対応させてこの投影画像の機器または部品の投影領域によって当該分布計測画像データの計測値をグループ分けし、このグループ分けによる計測値の級間分散の全分散に対する比を計算し、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記級間分散の全分散に対する比が最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、
この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された前期分布計測装置の位置および向きに基づいて、前記プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に前記分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする機器監視装置。 - プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、前記分布計測画像データの特徴量と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像の特徴量とを、それぞれ画像の水平方向および垂直方向に投影して得られる水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布に基づいて、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記水平方向1次元分布間の類似度および垂直方向1次元分布間の類似度がともに最大になる前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された前期分布計測装置の位置および向きに基づいて、前記プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に前記分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする機器監視装置。 - 請求項9に記載の装置において、前記分布計測画像データの特徴量がこの分布計測画像データをエッジ抽出して得られる画像データであり、前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像の特徴量が機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像であり、それぞれの特徴量の水平方向1次元分布および垂直方向1次元分布がそれぞれ水平方向の特徴量の和および垂直方向の特徴量の和によって得られることを特徴とする機器監視装置。
- プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、前記分布計測画像データの特徴量と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の特徴量とに基づいて、前記選択された機器または部品の各々の投影画像に対して個々に類似度が最大になる前記分布計測画像データ中の部分領域を求めて各々の投影画像に対する各々の部分領域とし、前記機器または部品の各々の投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するような前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された前期分布計測装置の位置および向きに基づいて、前記プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に前記分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする機器監視装置。 - 請求項11に記載の装置において,前記分布計測画像データの特徴量がこの分布計測データをエッジ抽出して得られる画像データであり,前記投影画像の特徴量が選択された機器または部品表面の境界線である輪郭を示す投影画像であることを特徴とする機器監視装置。
- プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、前記分布計測画像データの計測値と、前記プラント機器の空間形状モデルを平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像の投影領域とに基づいて、前記分布計測画像データに前記選択された機器または部品の投影画像の1つを任意に対応させこの投影画像の投影領域に包含される領域とそれ以外とに前記分布計測画像データの計測値をグループ分けして計算される級間分散の全分散に対する比を類似度として、この類似度が最大になる最大になるグループ分けから当該投影画像に対応する前記分布計測画像データ中の部分領域を決定することにより、前記選択された機器または部品の各々の投影画像に対応する前記分布計測画像データ中の各々の部分領域を求め、前記選択された機器または部品のおのおのの投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の部分領域の重心とを各々の対応点とし、投影する前記プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するような前記プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された前期分布計測装置の位置および向きに基づいて、前記プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に前記分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする機器監視装置。 - プラント機器の状態量の分布を計測する分布計測装置から2次元分布計測画像データを入力し、前記プラント機器の空間形状モデル平面上に投影して得られる投影画像中の複数選択された機器または部品の各々の投影画像について周囲と面積の比を求め、前記分布計測画像データを計測値が所定値範囲か否かで2値化し、この2値化により形成される前期分布計測画像データ中の各々の閉領域について周囲と面積の比を求め、前期選択された機器または部品の各々の投影画像に対して前期周囲と面積の比が最も近い前期分布計測画像データ中の各々の閉領域を決定し、前期選択された機器または部品の各々の投影画像の重心と、前記分布計測画像データ中の対応する各々の閉領域の重心とを各々の対応点とし、投影する前期プラント機器の空間形状モデルに対する視点および角度を調整して前記分布計測画像データと各々の対応点について位置がほぼ一致するような前期プラント機器の空間形状モデルの投影画像を求め、この投影画像の視点および角度を前記分布計測装置の位置および向きとして決定する分布計測画像データ位置合わせ手段と、
この分布計測画像データ位置合わせ手段によって決定された前期分布計測装置の位置および向きに基づいて、前記プラント機器の空間形状モデルの機器または部品表面に前記分布計測画像データをテクスチャマッピングするテクスチャマッピング手段と、
このテクスチャマッピング手段によってテクスチャマッピングされたプラント機器空間形状モデルの投影図を描画し、表示装置に表示する投影手段とを備えたことを特徴とする機器監視装置。
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