JP3557502B2 - コイラー - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電線の製造工程等において、荒引きした線材を一時的にストックしておくために、これを巻き取るのに好適なコイラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電線の製造では、荒引き工程で引き伸ばされた荒引き線材は、引き続く伸線工程に移すために、一時的にストックされる。このストックのために、線材は、コイラーにより巻き取られる。
図2は、従来のコイラーを概略的に示す斜視図である。
従来のコイラー1では、縦方向に配置されかつ駆動回転される中空の回転軸2の下部が軸受3を介して筒状の釜4に受け入れられている。釜4の外周面には、下方へ向けて外径を漸減する傾斜面5に連続して定径面6が形成されている。
【0003】
回転軸2内を経る線材7は、回転軸2に支持された内シーブ8によって回転軸2の径方向外方に案内される。さらに、線材7は、回転軸2から伸びるアーム9に支持軸10を支承されかつ水平面に対して傾斜配置された外シーブ11により、釜4の傾斜面5近傍の定径面6に案内され、線材7の先端部が釜4に一時的に仮止めされる。
【0004】
この状態で、回転軸2が回転されると、この回転軸2と一体に回転するアーム9の先端部で支承された外シーブ11が釜4の外周を巡り、この外シーブ11の循環に伴い順次線材7が引き出され、引き出された線材7は、釜4の外周面の定径面6を巻付け部として順次巻き付けられる。
【0005】
仮止めを外した状態で線材7の釜4への巻付けが進行すると、それに伴い既に巻き付けられた線部分が、釜4の線材巻付け部となる定径面6の外径にほぼ等しい巻き径で下方へ落下する。この落下する線材7を受けるために、一般的には、釜4の下方にキャリー12が配置され、巻き取られた線材7は、このキャリー12に巻き取った状態で保持される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような線材の巻取り時の巻き径は、線材の太さに応じて代える必要がある。
しかしながら、従来のコイラー1では、線材7の巻き径を決める釜4の定径面6が一種類であり、線材の太さが代わる度に、それに適した外径の定径面を有するコイラーに取り替える必要があり、甚だ不経済であった。
従って、本発明の目的は、複数の巻き径に適用可能のコイラーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するために、駆動回転される回転軸と、この回転軸に同軸的に配置され、外周に線材巻付け部が設けられたコイラー釜と、回転軸に沿って案内される線材をコイラー釜の径方向外方へ案内する内シーブと、回転軸の回転と一体的にコイラー釜の外周を回転され、内シーブを経た線材をコイラー釜の線材巻付け部に案内する外シーブとを備えるコイラーにおいて、コイラー釜の線材巻付け部を、外径を異にする複数の定径部分とし、これらの定径部分を、順次外径の大きいものから順にコイラー釜の先端へ向けて配列する。
この、各定径部分に対応してそれぞれに外シーブを設け、あるいは単一の外シーブを各定径部分の対応する位置に選択的に位置決め可能とする。
【0008】
【作用】
本発明のコイラーでは、コイラー釜の線材巻付け部は、外径をそれぞれ異にする複数の定径部分からなり、互いに外径の異なる定径部分が少なくとも2種類形成される。
また、線材巻付け面に線材を案内する外シーブは、線材巻付け面である各定径面部分にそれぞれ対応して設けられており、あるいは、単一の外シーブが対応する定径部分に選択的に位置決めされる。
選択された各外シーブは、それぞれに対応する定径部分に内シーブからの線材を確実に案内する。
従って、内シーブからの線材は、複数の外シーブの内の選択された例えば上方の外シーブ、あるいは取付け位置を上方に選択された外シーブを経て、この外シーブに対応する大径の定径部分に巻付けられかつ自動的にキャリーへ向けて押し出される。また、内シーブからの線材は、例えば下方のあるいは取付け位置を下方に選択された外シーブを経て、この外シーブに対応する小径の定径部分に巻付けられかつ自動的にキャリーへ向けて押し出される。
【0009】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例に沿って詳細に説明する。
図1および図3は、それぞれ本発明に係るコイラーを概略的に示す正面図および側面図である。
本発明に係るコイラー20は、長手方向軸線が縦方向に沿って回転可能に配置された中空の駆動回転される回転軸22と、該回転軸の下方でこれに同軸的に配置された上端開放のコイラー釜24とを含む。
【0010】
回転軸22は、その下部で、軸受け26を介してコイラー釜24の底部28に支持されている。回転軸22は、図示しない駆動源の作動により一方向へ駆動回転され、また、コイラー釜24は、図示しないが、従来におけると同様な歯車機構により回転軸22に連結されており、これにより回転軸22の回転方向と同一方向へ、回転軸22の回転速度より極めて小さい速度で、回転する。
【0011】
コイラー釜24の開放上端には、径方向外方へ張り出すフランジ部30が設けられており、このフランジ部30の背面には、下方へ向けて外径を漸減させる第1の傾斜面32が形成されている。またフランジ部30に連続して下方に一定外径の定径部34が設けられており、この定径部34により、コイラー釜24の外周面には、第1の傾斜面32に連続する定径部分36が形成されている。
【0012】
さらに、定径部34の下端には、下方すなわち図示の例ではコイラー釜24の先端側へ向けて、外径を漸減させる第2の傾斜面38が形成されている。第2の傾斜面38の下方には、この傾斜面38に連続する第2の定径部分40が形成されている。
第1の傾斜面32および第1の定径部分36は第1の段部を構成し、第2の傾斜面38および第2の定径部分40は第2の段部を構成する。また、コイラー釜24における第1の定径部分36の外径は、コイラー釜24の先端部側に位置する第2の定径部分40のそれより大きい。
【0013】
図示の例では、コイラー釜24の第1の段部および第2の段部を規定する部分がそれぞれ上部分42Aおよび下部分42Bに2分割され、これら分割部分42A、42Bが底部28と共に、ねじ部材44により取り外し可能に結合されている。
この分割例に代えて、上部分42Aおよび下部分42Bを分割することなく一体に形成することができる。しかしながら、図示のとおり、両部分42A、42Bを分割可能とし、下部分42Bとして、さらに小径の定径部分40を有する部材を組み付けることが可能となる。
【0014】
回転軸22内には、線材46が案内される。この線材46が案内される回転軸22には、これを回転軸22の径方向外方へ案内するための内シーブ48を受け入れる半円形凹所50がコイラー釜24の上方で形成されている。内シーブ48は、凹所50内で、その軸52をほぼ水平に配置させてブラケット54により支持されている。
【0015】
内シーブ48の上方には、回転軸から一体的にその径方向外方に伸びるアーム部56が形成されており、アーム部56の先端には、第1および第2の外シーブ58および60をそれぞれ支持するためのコの字状のブラケット62が固定されている。両外シーブ58および60は、図3に明確に示されているように、それぞれコの字状のブラケット62内で互いに平行に配置された軸部材64を介して回転可能に支承されている。また、両外シーブ58および60は、水平面に対して角度的な同一傾斜面上に傾斜方向へ整列して配置されている。
【0016】
上方に位置する第1の外シーブ58の下縁から水平方向へコイラー釜24に向けて延長する線Aは、第1の傾斜面32と第1の定径部分36との境にほぼ一致し、また第2の外シーブ60の下縁から水平方向へコイラー釜24に向けて延長する線Bは、第2の傾斜面38と第2の定径部分40との境にほぼ一致する。
【0017】
線材46の径が比較的大きい場合、大きい巻き径で巻くために、内シーブ48を経た線材46は、上方の第1の外シーブ58を巡り、線Aに沿って、第1の傾斜面32と第1の定径部分36との境近傍で先端が仮止めされる。
【0018】
この状態で、回転軸22が一方向に駆動回転されると、回転軸22と一体的に回転するアーム部56の先端部で支承された外シーブ58がコイラー釜24の外周を巡る。
この外シーブ58の循環に伴い順次線材46が引き出され、引き出された線材46は、傾斜面32と定径部分36との境の近傍で釜24の外周面に順次押し付けられ、第1の定径部分36に巻き付けられる。
【0019】
その結果、仮止めを外した状態で線材46のコイラー釜24の定径部分36への巻付けが進行すると、それに伴い既に巻き付けられた線部分が、釜24の大径の定径部分36の外径にほぼ等しい巻き径で下方へ押し出され、この押し出された線材がコイラー釜24の先端側である下方に配置された従来と同様なキャリーに保持される。
【0020】
これに対し、小径の線材46では、小さい径で巻くことができることから、内シーブ48を経た線材46は、上方の第1の外シーブ58から直接コイラー釜24に向かうことはなく、第1の外シーブ58から下方の第2の外シーブ60を巡り、線Bに沿って、第2の傾斜面38と第2の定径部分40との境近傍で先端が仮止めされる。
【0021】
従って、小径の線材46では、先に述べた例におけると同様に、回転軸22が一方向に駆動回転されると、小径の定径部分40の外径にほぼ等しい巻き径で線材が巻かれ、この巻かれた線材が下方のキャリーに放出される。
【0022】
このように、本発明のコイラー20では、単一の装置でしかも部品の取り替えを行うことなく、線材の太さに応じた複数の巻き径で線材を巻くことができる。
【0023】
第1の外シーブ58および第2の外シーブ60を共通のブラケット62により支持することなく、個々のブラケットにより個別に支持することができる。また、両外シーブ58および60を同一傾斜面上に配置することなく個々に配置することができる。
【0024】
しかしながら、図3に示されているように、両外シーブ58、60を共通のブラケット62で支持し、両外シーブ58、60を同一面上に整列させることにより、コンパクト化が可能となる。しかも、これにより、線材を下方外シーブ60からコイラー釜24に案内するときに上方外シーブ58が障害になることなく、円滑なコイル巻き作業工程が可能となる。
【0025】
図1および図3に示したところでは、大径の定径部分および小径の定径部分の二段のコイラー釜と、これらに対応した二個の外シーブが設けられた例について説明したが、さらにコイラー釜を3段以上の多段構成とし、その段部の数に応じた外シーブを設けることができる。
また、ブラケット62に二ヶの外シーブ58、60を設けることに代えて、単一の外シーブを各シーブ58、60の取付け位置へ選択的に位置決め可能となるように取り外し可能とし、この単一の外シーブの取付け位置を変えることによって、線材の巻き径を変えることができる。
さらに、単一の外シーブを支持するブラケットの保持位置をコイラー釜の各定径部分に対応する位置で、選択的に位置決め可能とすることもできる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコイラーでは、内シーブからの線材をコイラー釜に案内する複数の外シーブの内から一つを選択することにより、あるいは外シーブの位置を選択することにより、この選択された外シーブに対応した巻き径で線材を巻き取ることができる。
従って、巻き径の異なる複数台のコイラーを用意することなく、また、一台のコイラーの部品の取り替えを行うことなく、線材をその太さに応じた異なる巻き径で、それぞれ巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコイラーの一部を破断して概略的に示す正面図である。
【図2】従来のコイラーを概略的に示す斜視図である。
【図3】本発明に係るコイラーを概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
20 コイラー
22 回転軸
24 コイラー釜
36、40 定径部分
46 線材
48 内シーブ
58、60 外シーブ

Claims (2)

  1. 駆動回転される回転軸と、該回転軸に同軸的に配置され、外周に線材巻付け部が設けられたコイラー釜と、前記回転軸に沿って案内される線材をコイラー釜の径方向外方へ案内する内シーブと、前記回転軸の回転と一体的に前記コイラー釜の外周を回転され、前記内シーブを経た前記線材を前記コイラー釜の前記線材巻付け部に案内する外シーブとを備え、前記回転軸の駆動によって、前記外シーブを経て前記線材巻付け部に巻き付けられた前記線材が前記コイラー釜の先端から順次押し出されるコイラーであって、
    前記線材巻付け部は、外径をそれぞれ異にする複数の定径部分であって前記コイラー釜の前記先端へ向けて配列順にその外径を減少させて配置された複数の定径部分を備え、前記各定径部分に対応してそれぞれ前記外シーブが設けられていることを特徴とするコイラー。
  2. 駆動回転される回転軸と、該回転軸に同軸的に配置され、外周に線材巻付け部が設けられたコイラー釜と、前記回転軸に沿って案内される線材をコイラー釜の径方向外方へ案内する内シーブと、前記回転軸の回転と一体的に前記コイラー釜の外周を回転され、前記内シーブを経た前記線材を前記コイラー釜の前記線材巻付け部に案内する外シーブとを備え、前記回転軸の駆動によって、前記外シーブを経て前記線材巻付け部に巻き付けられた前記線材が前記コイラー釜の先端から順次押し出されるコイラーであって、
    前記線材巻付け部は、外径をそれぞれ異にする複数の定径部分であって前記コイラー釜の前記先端へ向けて配列順にその外径を減少させて配置された複数の定径部分を備え、前記外シーブは、前記各定径部分に対応する位置で位置決め可能であることを特徴とするコイラー。
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