JP3557363B2 - 指紋入力装置及び同装置を用いた個人識別システム - Google Patents

指紋入力装置及び同装置を用いた個人識別システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、個人の指紋を入力するための指紋入力装置、及び同装置を用いた個人識別システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の指紋入力装置としては、例えば米国特許5,796,858号に示されているように、透明体によって形成されてなり検出面と同検出面に対し所定角度だけ傾けて配設され同検出面からの反射光を通過させる傾斜面とを有するプリズムと、プリズム内に検出面にて反射する参照光を照射する照射手段と、プリズムの傾斜面を通過した検出面からの反射光が形成する像を読み取る受像手段とを備え、検出面に指先を密着させた状態で照射手段によりプリズム内に参照光を照射して、同検出面からの反射光に現れる指先の指紋の像を受像手段により読み取るようにしたものがあった。
【0003】
上記指紋入力装置は、例えば個人識別システムなどに用いられていた。この場合、前記受像手段により読み取られた像を表すデータをサーバに対し出力する出力手段を指紋入力装置に設けるとともに、サーバに登録者の指紋を表すデータを記憶した記憶手段を設けておき、同サーバにて同記憶手段に記憶されているデータと上記出力手段により出力されたデータとを照合するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の指紋入力装置においては、受像手段により読み取られる像が常に検出面に密着された指先の指紋を表すのみであった。したがって、同像を表すデータが複製されると次回以降に同複製されたデータを受像手段が読み取った像として用いることが可能になるという問題があり、セキュリティ性が低かった。特に、上記個人識別システムに対して同装置を適用した場合には、指紋入力装置の出力手段からサーバへの伝送路にてデータが盗聴されて複製されやすくなるため、上記問題が特に顕著に現れていた。
【0005】
【発明の概要】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、セキュリティ性の高い指紋入力装置及び同装置を用いた個人識別システムを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、透明体によって形成されてなり検出面と同検出面に対し所定角度だけ傾けて配設され検出面からの反射光を通過させる傾斜面とを有するプリズムと、プリズム内に検出面にて反射する参照光を照射する照射手段と、プリズムの傾斜面を通過した検出面からの反射光が形成する像を読み取る受像手段とを備えた指紋入力装置において、照射手段から受像手段までの光路に介装されて受像手段が読み取る像に可変制御されるパターンを投影する投影手段と、所定の演算則に従い指紋の入力毎に異なるパターンを算出して生成するパターン生成手段と、パターン生成手段により生成されたパターンに応じて投影手段を制御して受像手段が読み取る像に同パターン生成手段により生成されたパターンを投影させる投影制御手段とを設けたことにある。
【0007】
これによれば、受像手段が読み取る像に、検出面に密着された指先の指紋と、投影手段により投影された可変制御されるパターンとが共に現れるようになる。この場合、パターン生成手段は所定の演算則に従い指紋の入力毎に異なるパターンを算出して生成し、投影制御手段が前記生成されたパターンに応じて投影手段を制御して受像手段が読み取る像に同パターンを投影させる。したがって、同パターンによって受像手段が読み取る像を指紋の入力毎に変化させることが可能になり、複製したデータを次回以降に受像手段が読み取った像として用いることを不能にできるため、この指紋入力装置のセキュリティ性が向上する。
【0008】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記投影手段が、受像手段が読み取る像に液晶パターンを投影することにある。これによれば、簡単な構成で、受像手段が読み取る像に可変制御されるパターンを投影できるようになる。
【0009】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記投影手段が、プリズムの傾斜面と受像手段との間に介装されてプリズムの傾斜面を通過した検出面からの反射光の一部を可変制御されるパターンで遮断することにある。これによれば、プリズムの検出面からの反射光がその一部を可変制御されるパターンで遮断された上で受像手段に到達するようになるため、簡単な構成で、受像手段が読み取る像に可変制御されるパターンを投影できるようになる。
【0010】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記投影手段が、プリズムの検出面上に密着されて検出面にて反射する参照光の一部を可変制御されるパターンで吸収することにある。これによれば、検出面にて参照光がその一部を可変制御されるパターンで吸収された上で反射し、同検出面からの反射光が受像手段に到達するようになるため、簡単な構成で、受像手段が読み取る像に可変制御されるパターンを投影できるようになる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、透明体によって形成されてなり検出面と同検出面に対し所定角度だけ傾けて配設され同検出面からの反射光を通過させる傾斜面とを有するプリズム、プリズム内に検出面にて反射する参照光を照射する照射手段、プリズムの傾斜面を通過した検出面からの反射光が形成する像を読み取る受像手段、および照射手段から受像手段までの光路に介装されて受像手段が読み取る像に可変制御されるパターンを投影する投影手段を備えた指紋入力装置と、同装置により読み取られた像を表すデータを入力して同入力したデータと登録者の指紋を表すデータとを照合するサーバとを備えた個人識別システムであって、指紋入力装置に、受像手段により読み取られた像を表すデータをサーバに対し出力する出力手段と、所定の演算則に従い出力手段によるデータの出力毎に異なるパターンを算出して生成する第1パターン生成手段と、出力手段がデータを出力するとき投影手段を制御して受像手段が読み取る像に第1パターン生成手段により生成されたパターンを投影させる投影制御手段とを設け、サーバに、登録者の指紋を表すデータを記憶した記憶手段と、指紋入力装置の出力手段がデータを出力するとき第1パターン生成手段により生成されるパターンと同様のパターンを算出して生成する第2パターン生成手段と、記憶手段に記憶されているデータ及び第2パターン生成手段により生成されたパターンと指紋入力装置の出力手段により出力されたデータとを照合する照合手段とを設けたことにある。
【0014】
上記特徴を有する個人識別システムにおいては、指紋入力装置側にて、投影制御手段が、投影手段を制御して受像手段が読み取る像に第1パターン生成手段により生成されたパターンを投影させる。これにより、受像手段により読み取られる像に、検出面に密着された指先の指紋と前記パターンとが共に現れるようになり、同像を表すデータが出力手段によってサーバに対し出力される。一方、このときサーバ側では、第2パターン生成手段が、第1パターン生成手段と独立に、同第1パターン生成手段により生成されたパターンと同じパターンを算出して生成する。そして、照合手段が、同第2パターン生成手段により生成されたパターン及び記憶手段に記憶されているデータと、前記指紋入力装置の出力手段により出力されたデータとを照合する。この場合、両パターン生成手段が生成するパターンは、前記出力手段による出力毎に異なるため、上記一連の処理毎に異なることになる。したがって、仮に、上記指紋入力装置の出力手段からのデータの出力の際に同出力手段からサーバへのデータの伝送路にてデータが盗聴され、同盗聴されたデータが複製されて受像手段により読み取られた像として再びサーバに入力されたとしても、同データにより表される像に含まれるパターンが第2パターン生成手段により新たに生成されるパターンと一致することはない。これにより、この個人識別システムのセキュリティ性が保たれる。
【0016】
【発明の実施の形態】
a.第1の実施形態
以下、本発明の第1の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る指紋入力装置を概略的に示したものである。この指紋入力装置は、個人に携帯される板状(厚さ50μm〜2mm程度)の指紋入力カード10と、同カード10が装着される指紋検出器20とにより構成されている。
【0017】
指紋入力カード10は、透明体によって板状に形成された多段プリズム11と、投影手段として同プリズム11の下方に配設されたシャドウマスク12とを備えている。多段プリズム11は、上側にて指先Fが密着される検出面11aを形成しているとともに、下側にて複数の傾斜面11bを形成している。各傾斜面11bは、検出面11aに対しそれぞれ同一方向に所定角度だけ傾けて並設されており、検出面11aからの反射光を通過させるようになっている。シャドウマスク12は、一対の透明板の間に封入した液晶によって可変制御可能なパターンを形成するものであり、上記検出面11aからの反射光を上記パターン形成部分にて遮断するとともに残りの部分にて下側に通過させる。
【0018】
指紋入力カード10は、スイッチ13も備えている。スイッチ13は、多段プリズム11の検出面11aに対する指先Fの接触を静電容量の変化によって検出する。なお、このスイッチ13は、上記指先Fの接触を光電的に検出するスイッチや、指先Fが検出面11aに密着される際に同指先Fによって押されるようにした押し釦式のスイッチや、例えばフォトカプラなどの光量により上記接触を検出するスイッチなどにより代用してもよい。
【0019】
また、指紋入力カード10は、図2にも示すように、製造番号記憶部14も有している。なお、図2は、この指紋入力装置を用いた個人識別システムを機能的に示すブロック図である。製造番号記憶部14はメモリによって構成され、同指紋入力カード10について予め決められた製造番号を記憶したものである。
【0020】
指紋検出器20は、照射手段としての照明装置21、レンズ22、及び受像手段としての受像装置23を備えている。照明装置21は、例えば発光ダイオードなどにより構成されて、指紋入力カード10が指紋検出器20に装着された状態で、スイッチ13による指先Fの接触の検出に応じ多段プリズム11内に参照光を照射する。レンズ22は、多段プリズム11の傾斜面11b及びシャドウマスク12を通過した検出面11aからの反射光を受像装置23に結像するものである。受像装置23は、例えば電荷結合素子や相補型MOSなどの2次元の明暗情報を採取可能なデバイスにより構成されて、上記レンズ22により結像された像を読み取るものである。
【0021】
指紋検出器20は、マイクロコンピュータ24及び出力部25も備えている。マイクロコンピュータ24は、プログラム処理により各種機能を果たすものであるが、これらの各種機能を、図2にて、パスフレーズ生成手段24a、計数手段24b、ワンタイムパスワード生成手段24c、液晶制御手段24d、及び画像前処理手段24eとして機能ブロック図により示している。パスフレーズ生成手段24aは、上記受像装置23により読み取られた像を参照し、同像に含まれる指紋の特徴点(例えば、端点、分岐点など)間の相関関係を表す数値化されたデータをパスフレーズとして生成するものである。計数手段24bは、出力部25におけるデータの出力回数を計測することにより、指紋入力カード10が指紋検出器20に装着されて使用された回数を計測し記憶するものである。
【0022】
ワンタイムパスワード生成手段24cは第1パターン生成手段であり、装着されている指紋入力カード10の製造番号記憶部14に記憶されている製造番号、パスフレーズ生成手段24aにより生成されたパスフレーズ、及び計数手段24bにより計数されている同指紋入力カード10の使用回数に基づいて、ワンタイムパスワードを生成するものである。ワンタイムパスワードは、指紋入力カード10の使用毎に異なる値に設定されるパスワードであり、具体的には、下記数1に示すように、上記製造番号及びパスフレーズの和に対して、例えばMD4、MD5,SHSなどの一方向性ハッシュ関数fを指紋入力カード10の使用回数(数1においては、“3”)だけ繰り返し演算することにより算出される。
【0023】
【数1】
ワンタイムパスワード=f(f(f(製造番号+パスフレーズ)))
液晶制御手段24dは投影制御手段であり、シャドウマスク12を制御して、同シャドウマスク12の液晶にワンタイムパスワード生成手段24cにより生成されたワンタイムパスワードを表すパターンを形成させるものである。画像前処理手段24eは、上記受像装置23により読み取られた像をデータに変換するものである。この場合、同変換されるデータは、像自体を表す画像データであってもよいし、前記像に含まれる指紋の特徴点間の相関関係のみを表すものであってもよい。また、画像前処理手段24eは、上記像から、多段プリズム11の検出面11a上における指先Fの位置を表す情報を取得する。この場合、同取得する位置情報は、例えば像に含まれている指先Fの第1関節部分や外縁部分などの位置及び角度としておくとよい。出力部25は、この指紋入力装置と共に個人識別システムを構成するサーバコンピュータ30に接続されており、上記像及び位置情報を表す各データをそれぞれ同コンピュータ30に対して出力するものである。
【0024】
サーバコンピュータ30も、プログラム処理により各種機能を果たすものであるが、これらの各種機能を、図2にて、受信画像記憶手段30a、相対位置算出手段30b、ワンタイムパスワード抽出手段30c、参照用データ記憶手段30d、パスフレーズ生成手段30e、初期ワンタイムパスワード生成手段30f、新ワンタイムパスワード生成手段30g、画像生成手段30h、照合手段30i、及び判定手段30jとして機能ブロック図により示している。受信画像記憶手段30aは、上記指紋検出器20の出力部25から出力された像を表すデータを一時的に記憶するものである。相対位置算出手段30bは、指紋検出器20の出力部25から出力された位置情報に基づいて、上記受信画像記憶手段30aに記憶された像における指先Fの指紋を表す部分とシャドウマスク12により遮断された部分との相対位置関係を算出するものである。
【0025】
ワンタイムパスワード抽出手段30cは、上記受信画像記憶手段30aに記憶された像から、シャドウマスク12により遮断された部分のパターンを認識することにより、指紋入力装置のワンタイムパスワード生成手段24cが指紋入力カード10の今回の使用に対し生成したワンタイムパスワードを抽出するものである。参照用データ記憶手段30dは、登録者個人の指紋を表す指紋データ及び同個人の携帯した指紋入力カード10の製造番号をそれぞれ予め記憶しているとともに、指紋入力装置のワンタイムパスワード生成手段24cにより生成されてワンタイムパスワード抽出手段30cにより抽出されたワンタイムパスワードを、後述の判定手段30jによる個人の認証判定に応じて指紋入力カード10の使用毎に更新しながら記憶していくものである。
【0026】
パスフレーズ生成手段30eは、参照用データ記憶手段30dに記憶されている指紋データの表す指紋について、前記パスフレーズ生成手段24aと同様の手法によりパスフレーズを生成するものである。初期ワンタイムパスワード生成手段30fは、新ワンタイムパスワード生成手段30gと共に第2パターン生成手段を構成するものであり、パスフレーズ生成手段30eにより生成されたパスフレーズ、及び参照用データ記憶手段30dに記憶されている製造番号に基づいて、下記数2の実行により初期ワンタイムパスワードを生成するものである。
【0027】
【数2】
初期ワンタイムパスワード=f(製造番号+パスフレーズ)
ここで、fは、前記指紋入力カード10のワンタイムパスワード生成手段24cにて採用した一方向性ハッシュ関数である。したがって、初期ワンタイムパスワードは、指紋入力カード10が初めて使用されたときに上記ワンタイムパスワード生成手段24cが生成するワンタイムパスワードと一致する。
【0028】
新ワンタイムパスワード生成手段30gは、参照用データ記憶手段30dに記憶されているワンタイムパスワードに基づいて、下記数3の実行により新ワンタイムパスワードを生成するものである。
【0029】
【数3】
新ワンタイムパスワード=f(記憶されているワンタイムパスワード)
上記数3中におけるfも、指紋入力カード10のワンタイムパスワード生成手段24cにて採用した一方向性ハッシュ関数である。また、参照用データ記憶手段30dに記憶されているワンタイムパスワードは、前回指紋入力カード10が使用されて判定手段30jが個人を認証すると判定したときに上記ワンタイムパスワード生成手段24cが生成したワンタイムパスワードである。したがって、新ワンタイムパスワードは、指紋入力装置10の2回目以降の使用時において、上記ワンタイムパスワード生成手段24cが生成するワンタイムパスワードと常に一致する。
【0030】
画像生成手段30hは、上記参照用データ記憶手段30dに記憶されている指紋データから上記受信画像記憶手段30aに記憶された像と照合するための像を生成するものである。具体的には、上記指紋データの表す指紋の像に、初期ワンタイムパスワード生成手段30fにより生成された初期ワンタイムパスワード又は新ワンタイムパスワード生成手段30gにより生成された新ワンタイムパスワードを表すパターンの平行線を重ねて上記照合用の像とする。この場合、指紋入力カード10が初めて使用されたときであって参照用データ記憶手段30dがまだワンタイムパスワードを記憶していないときは、初期ワンタイムパスワードのパターンを重ねる。一方、指紋入力カード10の2回目以降の使用時であって参照用データ記憶手段30dが前回の認証判定時のワンタイムパスワードを記憶しているときは、新ワンタイムパスワードのパターンを重ねる。また、指紋の像と平行線とを重ねる際には、相対位置算出手段30bにより算出された相対位置で重ねるようにしている。
【0031】
照合手段30iは、上記受信画像記憶手段30aに記憶された像と、画像生成手段30hにより生成された像とを照合するものである。判定手段30jは、上記照合手段30iによる照合結果に基づいて上記照合した両像の一致及び不一致を判定することにより、指紋入力カード10を用いた個人を認証するか否かを判定するものである。
【0032】
次に、上記のように構成した個人識別システムの動作を説明する。この個人識別システムを使用するに当たっては、予め、登録者個人に指紋入力カード10を携帯させておくとともに、同個人の指紋及び同各個人が携帯した指紋入力カード10の製造番号をサーバコンピュータ30の参照用データ記憶手段30dに記憶させておく。
【0033】
この個人識別システムが使用される場合、まず、上記個人に携帯させた指紋入力カード10が指紋検出器20に装着される。この状態で多段プリズム11の検出面11a上に指先Fが密着されると、スイッチ13がこれを検出し、同検出に応答して照明装置21が多段プリズム11内に参照光を照射する。参照光は、多段プリズム11内にて乱反射し、全ての方向の成分を持つ光となる。このとき、ある方向の光は、検出面11aの指先Fと接触している位置、すなわち指先Fの指紋の隆線位置にて指先F側に吸収され、指先Fと離間している位置、すなわち指先Fの指紋の溝線位置にて全反射する。したがって、この検出面11aからの反射光によって指先Fの指紋を表す像が形成される。
【0034】
上記検出面11aからの反射光は、多段プリズム11の各傾斜面11b及びシャドウマスク12を通過して、レンズ22により受像装置23に結像される。これにより、最初、シャドウマスク12がパターンを形成していない状態にあるとき、受像装置23は指先Fの指紋のみを表す像を読み取る。このとき、パスフレーズ生成手段24aが同受像装置23により読み取られた像を参照してパスフレーズを生成し、ワンタイムパスワード生成手段24cが、同生成されたパスフレーズ、製造番号記憶部14に記憶されている指紋入力カード10の製造番号、及び計数手段24bにより計数されている同指紋入力カード10の使用回数に基づいてワンタイムパスワードを生成する。
【0035】
上記ワンタイムパスワードの生成後、液晶制御手段24dが、シャドウマスク12の液晶に同生成されたワンタイムパスワードを表すパターンを形成させる。これにより、上記検出面11aからの反射光の一部がシャドウマスク12に形成されたパターンで遮断されるようになるため、上記受像装置23が読み取る像に同パターンが投影されることになり、受像装置23は、図3に示すように、指先Fの指紋の像に上記ワンタイムパスワードを表すパターンの平行線を重ねた像を読み取るようになる。そして、この受像装置23により読み取られた指紋及び平行線を含む像が、画像前処理手段24eによってデータに変換され、出力部25によってサーバコンピュータ30に対し出力される。また、このとき、多段プリズム11の検出面11a上における指先Fの位置を表す情報が画像前処理手段24eにより上記像から取得され、同位置情報を表すデータも出力部25によってサーバコンピュータ30に対し出力される。
【0036】
サーバコンピュータ30は、上記出力部25による各データの出力時、まず、同出力された像を表すデータを受信画像記憶手段30aに記憶する。このとき、相対位置算出手段30bが、上記出力部25から出力された位置情報に基づいて、上記受信画像記憶手段30aに記憶された像における指先Fの指紋を表す部分とシャドウマスク12により遮断された部分との相対位置関係を算出する。また、ワンタイムパスワード抽出手段30cが、上記受信画像記憶手段30aに記憶された像から指紋入力装置のワンタイムパスワード生成手段24cが生成したワンタイムパスワードを抽出する。
【0037】
一方、上記出力部25による各データの出力時、画像生成手段30hは、参照用データ記憶手段30dに記憶されている指紋データから上記受信画像記憶手段30aに記憶された像と照合するための像を生成する。最初、この個人識別システムが初めて使用された場合であって、参照用データ記憶手段30dにまだワンタイムパスワードが記憶されていないとき、この参照用の像の生成は具体的に以下のように実行される。
【0038】
まず、パスフレーズ生成手段30eが、参照用記憶手段30dに記憶されている指紋データの表す指紋についてパスフレーズを生成する。次に、初期ワンタイムパスワード生成手段30fが、同生成されたパスフレーズ及び参照用データ記憶手段30dに記憶されている指紋入力カード10の製造番号に基づいて、初期ワンタイムパスワードを生成する。そして、画像生成手段30hが、参照用記憶手段30dに記憶されている指紋データの表す指紋の像に、上記生成された初期ワンタイムパスワードを表すパターンの平行線を、相対位置算出手段30bにより算出された相対位置で重ねる。これにより、上記照合用の像が生成される。
【0039】
上記照合用の像の生成後、照合手段30iが、上記受信画像記憶手段30aに記憶された像と同生成された像とを照合する。そして、判定手段30jが、同照合手段30iによる照合結果に基づいて、上記照合した両像の一致及び不一致を判定し、指紋入力カード10を用いた個人を認証するか否かを判定する。この判定結果は図示しないシステムに対して出力されて、例えば扉の開閉や端末の使用などの許可及び禁止制御などに用いられる。
【0040】
また、判定手段30jが個人を認証すると判定したとき、参照用データ記憶手段30dは、上記ワンタイムパスワード抽出手段30cにより抽出されたワンタイムパスワードを記憶する。そして、参照用データ記憶手段30dは、以後同様に、指紋入力装置のワンタイムパスワード生成手段24cにより生成されてワンタイムパスワード抽出手段30cにより抽出されたワンタイムパスワードを、判定手段30jによる認証判定毎に更新しながら記憶していく。このようにして参照用データ記憶手段30dにワンタイムパスワードが記憶されている場合、すなわち指紋入力カード10の使用が2回目以降である場合、画像生成手段30hは、上記初期ワンタイムパスワードに代えて新ワンタイムパスワードを用いて上記照合用の像を生成する。この場合、新ワンタイムパスワードは、上記記憶されているワンタイムパスワードに基づいて新ワンタイムパスワード生成手段30gにより生成される。
【0041】
上述のように、上記実施形態における指紋入力装置においては、シャドウマスク12によって受像装置23が読み取る像に可変制御されるパターンが投影されるようになっており、同パターンによって同受像装置23が読み取る像を変化させている。これにより、複製したデータを次回以降に受像装置23が読み取った像として用いることが不能になっており、この指紋入力装置のセキュリティ性が高く保たれている。また、板状の多段プリズム11が採用されているため、構成を小型化することが可能である。
【0042】
また、上記場合において、シャドウマスク12は、多段プリズム11の傾斜面11bと受像装置23との間に介装されて、同傾斜面11bを通過した検出面11aからの反射光の一部を液晶により形成したパターンで遮断することにより、受像装置23が読み取る像にパターンを投影するようにしている。これにより、簡単な構成で、受像装置23が読み取る像に可変制御されるパターンを投影できるようになっている。
【0043】
また、多段プリズム11及びシャドウマスク12が一体的に指紋入力カード10としてカード状に形成されているため、多段プリズム11及びシャドウマスク12を個人毎に携帯できるようになっており、指紋入力装置の使い勝手が良好となっている。
【0044】
また、上記指紋入力装置を用いた個人識別システムにおいては、指紋入力装置側にて、マイクロコンピュータ24のワンタイムパスワード生成手段24cが指紋入力カード10の使用毎に異なるワンタイムパスワードを生成する。そして、このカード10の使用毎に異なるワンタイムパスワードが、出力部25によってデータとしてサーバコンピュータ30側に出力され、照合手段30iにより、初期ワンタイムパスワード生成手段30fにより生成された初期ワンタイムパスワード又は新ワンタイムパスワード生成手段30gにより生成された新ワンタイムパスワードと照合される。したがって、仮に、上記出力部25からのデータの出力の際に同出力部25からサーバコンピュータ30へのデータの伝送路にてデータが盗聴され、同盗聴されたデータが複製されて再びサーバコンピュータ30に入力されたとしても、同データの表すワンタイムパスワードがサーバコンピュータ側にて新たに生成される新ワンタイムパスワードと一致することはない。これにより、この個人識別システムのセキュリティ性が高く保たれている。
【0045】
なお、上記説明では特にふれなかったが、上記参照用データ記憶手段30dには、実際には、指紋データ、指紋入力カード10の製造番号及びワンタイムパスワードが複数組だけ記憶されるようになっている。この場合、同複数組の指紋データ、製造番号及びワンタイムパスワードに対しそれぞれ上述した各処理を実行して照合用の像を複数個だけ生成し、同生成された複数の像を照合手段30iにより受信画像記憶手段30aに記憶された像と順次照合して、判定手段30jにより、上記複数の像のうちのいずれか一つが上記受信画像記憶手段30aに記憶された像と一致した場合に個人を認証すると判定するようにしている。
【0046】
b.第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態を図面を用いて説明する。同実施形態は、図4に示すように、前記第1の実施形態における指紋入力装置の指紋入力カード10及び指紋検出器20に相当部分を、共にケーシング40内に収容して一体的に携帯されるように構成したものである。ケーシング40は、直方体状(厚さ1mm〜2cm程度)に形成されている。これによれり、多段プリズム11、シャドウマスク12、照明装置21、及び受像装置23を個人毎に携帯できるため、指紋入力装置の使い勝手が良好となっている。
【0047】
なお、上記各実施形態においては、シャドウマスク12を多段プリズム11の傾斜面11bと受像装置23との間に介装して、同シャドウマスク12により同傾斜面11bを通過した検出面11aからの反射光の一部を遮断することによって受像装置23が読み取る像に可変制御されるパターンを投影するようにしたが、シャドウマスク12を多段プリズム12の検出面11a上に密着させて配設し、同シャドウマスク12により検出面11aにて反射する参照光の一部を吸収することによって受像装置23が読み取る像に可変制御されるパターンを投影するようにしてもよい。この場合、指先Fは、シャドウマスク12上に密着させるようにするとよい。これによっても、簡単な構成で、受像装置23が読み取る像に可変制御されるパターンを投影できるようになる。
【0048】
また、上記各実施形態は、それぞれ指紋入力装置の多段プリズム11及びシャドウマスク12を指紋入力カード10として一体的に携帯可能にしたもの、及び指紋入力装置全体をケーシング40内に収容して一体的に携帯可能にしたものであったが、製造番号記憶部14に相当する部分のみを、指紋入力装置に選択的に装着されるカード状に形成して個人に携帯させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記各実施形態においては、マイクロコンピュータ24の画像前処理手段24e及びサーバコンピュータ30の相対位置算出手段30bが、受像装置23により読み取られた像における指紋を表す部分とシャドウマスク12により遮断された部分との相対位置関係を算出し、画像生成手段30hが照合用の像を生成するとき同算出された相対位置関係を加味するようにして、指紋の像の上記シャドウマスク12により遮断された部分が照合手段30iによる照合に影響することを回避するようにした。しかし、シャドウマスク12の形成するパターンとしての平行線間の間隔を一般的に指紋の隆線と溝線とを隠さない程度の間隔(例えば、50μm)に設定しておき、指紋の像の同シャドウマスク12により遮断される部分が照合に影響しないようにしておいた上で、上記画像前処理手段24e及び相対位置算出手段30bによる相対位置の算出を省略するようにしてもよい。
【0050】
また、上記各実施形態においては、受像装置23により読み取られた像からの指先Fの位置情報の取得を指紋入力装置のマイクロコンピュータ24により実行するようにしたが、同位置情報の取得はサーバコンピュータ30にて実行するようにしてもよい。この場合、マイクロコンピュータ24の画像前処理手段24eは、単に上記像をデータに変換する処理を実行するだけでよい。また、このデータの変換についても、マイクロコンピュータ24においては単に像自体を表す画像データに変換するだけにしておいて、同画像データを、サーバコンピュータ30にて指紋の特徴点を表すデータにさらに変換するようにしてもよい。
【0051】
また、逆に、上記実施形態においては、受像装置23により読み取られた像における指紋を表す部分とシャドウマスク12により遮断された部分との相対位置関係の算出、及び上記像からのワンタイムパスワードの抽出をそれぞれサーバコンピュータ30にて実行するようにしたが、同各処理も指紋入力装置のマイクロコンピュータ24にて実行するようにしてもよい。
【0052】
また、上記各実施形態においては、プリズムとして多段プリズム11を採用したが、図5〜8に示すように、同プリズムとして多段プリズム11に代えて三角プリズム51を採用しても本発明による効果を相応に期待することができる。図5〜8は、上記三角プリズム51を採用した指紋入力装置におけるシャドウマスク12の配置例をそれぞれ示したものである。
【0053】
図5〜7に示した指紋入力装置は、シャドウマスク12を三角プリズム51の傾斜面51bと受像装置23との間に介装して、同シャドウマスク12により同傾斜面51bを通過した検出面51aからの反射光の一部を遮断することによって受像装置23が読み取る像に可変制御されるパターンを投影するようにしたものである。図5,6に示した指紋入力装置においては、シャドウマスク12を、特に、三角プリズム51の傾斜面51bとレンズ22との間に介装するようにしている。さらに、図6に示した指紋入力装置においては、検出面51aからの反射光を、一旦三角プリズム51内にて反射させて、間接的に傾斜面51bを通過するようにしている。図7に示した指紋入力装置においては、シャドウマスク12を、特に、レンズ22と受像装置23との間に介装するようにしている。
【0054】
図8に示した指紋入力装置は、シャドウマスク12を三角プリズム51の検出面51a上に密着させて配設し、同シャドウマスク12により検出面51aにて反射する参照光の一部を吸収することによって受像装置23が読み取る像に可変制御されるパターンを投影するようにしたものである。なお、上記各場合において、照明装置21と三角プリズム51との間にはレンズ52を介装するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る指紋入力装置の概略図である。
【図2】前記指紋入力装置を用いた個人識別システムの機能ブロック図である。
【図3】図1,2の受像装置により読み取られる像の例を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る指紋入力装置の概略図である。
【図5】本発明の変形例に係る指紋入力装置におけるシャドウマスクの一配置例を示す概略図である。
【図6】本発明の変形例に係る指紋入力装置におけるシャドウマスクの一配置例を示す概略図である。
【図7】本発明の変形例に係る指紋入力装置におけるシャドウマスクの一配置例を示す概略図である。
【図8】本発明の変形例に係る指紋入力装置におけるシャドウマスクの一配置例を示す概略図である。
【符号の説明】
10…指紋入力カード、11…多段プリズム、11a…検出面、11b…傾斜面、12…シャドウマスク、20…指紋検出器、21…照明装置、23…受像装置、24…マイクロコンピュータ、24b…ワンタイムパスワード生成手段、24d…液晶制御手段、25…出力部、30…サーバコンピュータ、30c…参照用データ記憶手段、30f…初期ワンタイムパスワード生成手段、30g…新ワンタイムパスワード生成手段、30i…照合手段、F…指先。

Claims (5)

  1. 透明体によって形成されてなり検出面と同検出面に対し所定角度だけ傾けて配設され同検出面からの反射光を通過させる傾斜面とを有するプリズムと、
    前記プリズム内に前記検出面にて反射する参照光を照射する照射手段と、
    前記プリズムの傾斜面を通過した前記検出面からの反射光が形成する像を読み取る受像手段とを備えた指紋入力装置において、
    前記照射手段から受像手段までの光路に介装されて前記受像手段が読み取る像に可変制御されるパターンを投影する投影手段と、
    所定の演算則に従い指紋の入力毎に異なるパターンを算出して生成するパターン生成手段と、
    前記パターン生成手段により生成されたパターンに応じて前記投影手段を制御して前記受像手段が読み取る像に同パターン生成手段により生成されたパターンを投影させる投影制御手段とを設けたことを特徴とする指紋入力装置。
  2. 前記請求項1に記載の指紋入力装置において、
    前記投影手段は、前記受像手段が読み取る像に液晶パターンを投影することを特徴とする指紋入力装置。
  3. 前記請求項1又は請求項2に記載の指紋入力装置において、
    前記投影手段は、前記プリズムの傾斜面と受像手段との間に介装されて前記プリズムの傾斜面を通過した前記検出面からの反射光の一部を可変制御されるパターンで遮断することを特徴とする指紋入力装置。
  4. 前記請求項1又は請求項2に記載の指紋入力装置において、
    前記投影手段は、前記プリズムの検出面上に密着されて同検出面にて反射する参照光の一部を可変制御されるパターンで吸収することを特徴とする指紋入力装置。
  5. 透明体によって形成されてなり検出面と同検出面に対し所定角度だけ傾けて配設され同検出面からの反射光を通過させる傾斜面とを有するプリズム、前記プリズム内に前記検出面にて反射する参照光を照射する照射手段、前記プリズムの傾斜面を通過した前記検出面からの反射光が形成する像を読み取る受像手段、および前記照射手段から受像手段までの光路に介装されて前記受像手段が読み取る像に可変制御されるパターンを投影する投影手段を備えた指紋入力装置と、
    同指紋入力装置により読み取られた像を表すデータを入力して同入力したデータと登録者の指紋を表すデータとを照合するサーバとを備えた個人識別システムであって、
    前記指紋入力装置に、前記受像手段により読み取られた像を表すデータをサーバに対し出力する出力手段と、所定の演算則に従い前記出力手段によるデータの出力毎に異なるパターンを算出して生成する第1パターン生成手段と、前記出力手段がデータを出力するとき前記投影手段を制御して前記受像手段が読み取る像に前記第1パターン生成手段により生成されたパターンを投影させる投影制御手段とを設け、
    前記サーバに、登録者の指紋を表すデータを記憶した記憶手段と、前記指紋入力装置の出力手段がデータを出力するとき前記第1パターン生成手段により生成されるパターンと同様のパターンを算出して生成する第2パターン生成手段と、前記記憶手段に記憶されているデータ及び前記第2パターン生成手段により生成されたパターンと前記指紋入力装置の出力手段により出力されたデータとを照合する照合手段とを設けたことを特徴とする個人識別システム。
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