JP3555728B2 - 建物の振動特性の予測方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、予め建物の種類毎に固有の振動特性を求めておき、建築現場において地盤の振動特性を測定してパーソナルコンピュータにより分析し、この地盤の振動特性と上記建物の種類毎に固有の振動特性とに基づいて、上記建築現場の地盤上に所定の種類の建物を建築した場合における建築後の当該建物の振動特性を上記パーソナルコンピュータにより予測するようにした建物の振動特性の予測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅等の建物の建築に際しては、予め建築現場の地盤の振動特性、つまり、振動周波数と振動加速度レベルとの関係や振動レベルを測定し、当該建築現場に住宅等を建築した場合に振動クレームが発生しやすいか否かを評価するようにしている。その場合、建築現場に振動計を持ち込むのみでは、単に振動レベルという物理量を測定できるのみであるから、振動クレームの発生の有無を的確に評価することは難しいものであった。
【0003】
また、振動計の他に、市販の1/3オクターブ分析器等の周波数分析器を建築現場に持ち込むことにより、振動加速度レベル等の周波数分析を建築現場で行うことは可能であるが、統計処理、つまり、測定期間中における振動加速度レベル等の平均値等を求める統計処理を建築現場で行うことは不可能であった。そこで、従来、周波数分析や統計処理を行う場合、建築現場でデータ録音機(データ記録機)を用いて振動レベルまたは振動加速度レベルを所定時間に渡って記録し、データを事務所等へ持ち帰って分析するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、その場合、測定機器の取り扱いやデータの処理に専門知識が要求されるとともに、統計処理の結果を得るまでに多くの時間と手間とが必要となり、現場での迅速な分析、評価が行えない問題を有していた。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するため、測定データの処理にパーソナルコンピュータを用いるとともに、建物固有の振動特性が建物の種類毎にほぼ一定であることに着目し、建築現場で地盤の振動特性を測定することにより、当該建築現場に所定の種類の建物を建築した場合の建築後の振動特性を迅速に予測できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1の建物の振動特性の予測方法は、建物の種類毎に固有の水平方向及び鉛直方向の振動特性を予め求めてパーソナルコンピュータに記憶させておき、建築現場で地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性を測定して上記パーソナルコンピュータにより分析し、この地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性と上記建物の種類毎に固有の水平方向及び鉛直方向の振動特性とに基づいて上記建築現場の地盤上に所定の種類の建物を建築した場合の建築後の当該建物の水平方向及び鉛直方向の振動特性の予測値をパーソナルコンピュータにより求めるようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
ここで、各種の建物に固有の水平方向及び鉛直方向の振動特性(振動周波数と振動加速度レベルとの関係或いはオールパス値の振動レベル等)を求めるためには、例えば、既存の建物において、当該建物の水平方向及び鉛直方向の振動特性を求める一方、当該建物が建築されている地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性を求め、上記建物の水平方向及び鉛直方向の振動特性から地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性を各方向毎に減算すればよいこのようにして求めた各種建物の水平方向及び鉛直方向の振動特性は、建物の種類毎にほぼ一定であるから、新規に建築する建物の水平方向及び鉛直方向の振動特性を予測する場合に、上記建物の種類毎に固有の水平方向及び鉛直方向の振動特性を利用することができる。
【0007】
請求項2の建物の振動特性の予測方法は、請求項1の予測方法において、上記建物の種類が、少なくとも鉄骨系2階建の建物、鉄骨系3階建の建物、木造系2階建の建物及び木造系3階建の建物を含むことを特徴とするものである。すなわち、鉄骨系2階建の建物、鉄骨系3階建の建物等の各種建物毎に固有の振動特性を予め求めておくことにより、新規にこれらの建物を建築する場合の建築後の振動特性を、建築予定地の地盤の振動特性に基づいて予測することができる。
【0008】
請求項3の記録媒体は、上記パーソナルコンピュータに請求項1または2の建物の振動特性の予測方法を実行させるためのプログラムを記録した上記パーソナルコンピュータが読取可能な記録媒体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本発明の実施の形態で使用する振動レベル測定分析装置1は、振動計2と、コネクタ3と、パーソナルコンピュータ4と、図示しないアナログ/ディジタル変換器と、プリンタ5とを備え、これらの各構成要素は、専用の収納箱6内に取出し可能に収納されている。収納箱6は、収納箱本体7と、ヒンジ機構により収納箱本体7に開閉自在に接続された蓋体8からなり、これら収納箱本体7及び蓋体8はジュラルミン等の軽量の金属材料により形成されている。
【0010】
収納箱本体7内には、ウレタン系等の樹脂材料からなる保護材11が配置、固定されている。この保護材11には、振動計2、コネクタ3及びパーソナルコンピュータ4等の各構成要素を収納するためにそれぞれ各構成要素の外形寸法に対応した大きさに形成された複数の収納凹部11aが設けられている。また、蓋体8内には、該蓋体8を閉じた状態で、収納箱本体7の保護材11との間で各構成要素を挟み込んで保護するためのウレタン系等の樹脂材料からなる保護材12が配置、固定されている。
【0011】
上記振動計2は、水平2方向(X方向及びY方向)と鉛直方向(Z方向)の合計3方向の振動加速度に追従する圧電式等のピックアップ13と、接続コード14を介してピックアップ13に接続され、ピックアップ13から入力される信号に基づいて上記3方向の振動レベルまたは振動加速度レベルを検出、表示可能な振動計本体15とからなる。振動計本体15には、図示しない乾電池等の電源が内蔵されるとともに、液晶式等の表示部15aが設けられ、振動レベルまたは振動加速度レベルの瞬時値が数値またはバーグラフ形式等で表示部15aに表示されるようになっている。
【0012】
振動計本体15には、3つの端子15b(図4参照)が設けられ、これら端子15bには各々接続コード16の一端が接続されるとともに、これら3本の接続コード16の各他端は上記コネクタ3の3つの振動計用端子(図示せず)に各々接続されている。これにより、振動計本体15で検出された上記3方向(X、Y、Z方向)の振動レベルまたは振動加速度レベルが、各方向毎に独立にコネクタ3へ送られ、これらのデータが、更にコネクタ3から、図示しないカード形式等のアナログ/ディジタル変換器でディジタル信号に変換された後、パーソナルコンピュータ4へ送られるようになっている。
【0013】
パーソナルコンピュータ4の本体23には、図示しないカード形式等のアナログ/ディジタル変換器が挿入状態で接続され、コネクタ3のコンピュータ用端子(図示せず)は、コネクタ17を介して、上記アナログ/ディジタル変換器に接続されている。これにより、コネクタ3からのアナログ信号が上記アナログ/ディジタル変換器でディジタル信号に変換された後、パーソナルコンピュータ4に入力されるようになっている。また、パーソナルコンピュータ4の本体23の図示しないプリンタ用端子はコネクタ18を介してプリンタ5に接続されている。
【0014】
図2に示すように、パーソナルコンピュータ4は、キーボード21及びタッチパット22等からなる入力部が設けられた本体23と、液晶ディスプレー等からなる表示部24が設けられ本体23に対し開閉可能な蓋体25とを備えるとともに、本体23内に、演算部、記憶部、充電式の電源等が内蔵された通常のノート型のパーソナルコンピュータである。なお、このパーソナルコンピュータ4の上記記憶部には、図示しないCD−ROM或いはフロッピーディスク等の記録媒体から、以下で述べる周波数分析処理や統計処理並びに表示部24への表示処理等を実行するために必要な振動測定補助用のプログラムが予めインストールされている。
【0015】
上記の構成において、通常は、振動レベル測定分析装置1の各構成要素をケース7内に収納し、図3に示すように、ケース7の蓋体8を閉じた状態で振動レベル測定分析装置1を持ち運ぶことができる。建築現場(建築予定地)において、地盤の振動レベルまたは振動加速度レベルを測定する際には、図1に示すように、ケース7の蓋体8を開き、続いて、振動レベル測定分析装置1の各構成要素同士が接続されていない場合、上記コード14により構成要素同士の接続を行う。通常、各構成要素同士は相互に接続された状態でケース7内に収納されており、建築現場において、接続を行う必要はない。
【0016】
測定に際して、振動計2の電源を投入し、ピックアップ13を地盤上に配置すると、振動計2は計測を開始し、振動計2で検出された地盤の振動レベルまたは振動加速度レベルがコネクタ3を介して前記アナログ/ディジタル変換器まで送信され、パーソナルコンピュータ4が振動計2のデータを取り込むことが可能な状態となる。
【0017】
また、パーソナルコンピュータ4の電源を投入し、上記の振動測定用のプログラムを実行すると、表示部24に、図5に示すような入力・表示画面Aが呼び出される。この入力・表示画面Aは、測定条件等の入力を行うための入力領域Bと、周波数分析処理及び統計処理済のデータをグラフ形式等で表示するための表示領域Cとからなる。
【0018】
測定を開始する前に、まず、校正信号の入力を行う場合、振動計本体15からコネクタ3を介してパーソナルコンピュータ4に校正信号が出力され、この校正信号出力値(例えば、X、Y、Zの各方向で各々70dB)を上記入力領域Bの校正部B1に入力して校正ボタンB11を上記のタッチパッド21でクリックすると、校正が終了する。通常、校正を事前に行っておけば、建築現場において校正を行う必要はない。
【0019】
続いて、表示設定部B2で表示モード等の設定を行う。振動特性、つまり、振動周波数と振動レベルまたは振動加速度レベルとの関係を表示するための表示モードは、(1)瞬時値、(2)測定期間中の平均値、(3)測定期間中の最大値、(4)10%値の4種類から選択でき、通常は(1)の瞬時値で表示するが、本発明では(2)〜(4)の統計処理済のデータを表示することも可能である。ここでは、平均値として、測定期間中における振動加速度レベル等のエネルギー平均を用いる。また、表示タイプは、数値で表示するリストタイプと、グラフ表示を行うグラフタイプから選択でき、通常は、グラフタイプを用いる。更に、振動レベルまたは振動加速度レベルを表示する場合、表示設定部B2のスケールにおいて、その上限と下限をdB(デシベル)値で設定できる。通常、建築現場で使用する場合は、初期設定のままでよい。
【0020】
次に、実験設定ボタンB3をクリックして実験条件(測定条件)の設定を行う。実験設定ボタンB3をクリックすると、図6に示すように、ポップアップメニューで実験設定用ウィンドーWが表示され、所望により、測定場所等の入力が行える。Δtの欄には、測定を行う時間間隔を入力する。例えば、1秒間隔で所定時間測定を繰り返す場合、Δtの欄に「1」(単位は秒)を入力する。測定回数の欄には、繰り返し測定回数を入力する。例えば、1秒間隔で1分間測定を行う場合、測定回数は60回であり、この場合、測定回数の欄に「60」(回)を入力する。なお、ここで、1秒間隔で60回測定を行うとは、振動計2からアナログ/ディジタル変換器に常時送信されているデータ(振動レベルまたは振動加速度レベル)をパーソナルコンピュータ4が1秒間隔で60回取り込むことをいう。測定条件の設定の終了後、実験設定終了ボタンW1をクリックすると、図5の入力・表示画面Aに復帰する。上記の測定条件は、通常、初期設定のままで使用できる。
【0021】
上記の各種設定の終了後、パーソナルコンピュータ4が測定、つまり、アナログ/ディジタル変換器からのデータの読み込みを開始する場合、表示領域Cの下方における測定開始ボタンD1をクリックすると、前記アナログ/ディジタル変換器からパーソナルコンピュータ4にデータが入力される。すなわち、図7に示すように、振動計2はX、Y、Zの3方向の振動レベルまたは振動加速度レベルを検出し、これらのデータ(S1)がコネクタ3を介して前記アナログ/ディジタル変換器に送信され、ここで、アナログ/ディジタル変換(S2)が行われて、ディジタル信号に変換済の上記振動レベルデータまたは振動加速度レベルデータがパーソナルコンピュータ4に入力される。
【0022】
ここでは、一例として、振動加速度レベルの平均値(エネルギー平均値)をパーソナルコンピュータ4の表示領域Cに表示する場合を説明すると、パーソナルコンピュータ4において、上記の振動計測用のプログラムにより、上記振動加速度レベルデータに対して、周波数分析処理の一種である1/3オクターブ分析処理が行われる(図7中S3)。ここで、1/3オクターブ分析とは、周知のように、振動加速度レベル等の周波数分析を行うに当たり、振動周波数の1オクターブを3分割した各点で各々振動加速度レベル等を測定するものである。
【0023】
例えば、1Hz乃至4Hzの間の2オクターブを例に挙げれば、1Hz、1.25Hz、 1.6Hz、2Hz、 2.5Hz、3.15Hz、4Hzの各点で振動加速度レベル等を測定する。続いて、統計処理(ここでは平均値を求める演算処理)が行われる(S4)。そして、上記の1/3オクターブ分析処理と統計処理の結果得られたデータがグラフ化され(S5)、図8に示すように、入力・表示画面Aの表示領域Cにグラフ形式で表示される(図7中S6)。
【0024】
図8において、第1表示領域C1には、横軸にX方向の振動周波数(単位はHz)を取り、縦軸にX方向の振動加速度レベルの平均値(単位はdB)を取った場合のX方向の振動周波数とX方向の振動加速度レベルの平均値との関係が1/3オクターブバンド毎のグラフで表示される。第2及び第3表示領域C2及びC3には、Y方向及びZ方向について同様の表示が行われる。
【0025】
また、第4表示領域C4には、横軸に測定回数(すなわち、測定期間中の時間経過)を取り、縦軸にX方向の振動レベルの瞬時値(オールパス値)を取った場合の測定回数とX方向の振動レベルの瞬時値との関係がグラフ形式で表示される。第5及び第6表示領域C5及びC6には、Y方向及びZ方向について、第4表示領域C4と同様の表示が行われる。なお、第1乃至第6領域C1乃至C6へのグラフ表示は、カラー表示で行うことが可能である。
【0026】
所定の測定回数(例えば、60回)の測定が終了すると、パーソナルコンピュータ4は測定、つまり、アナログ/ディジタル変換器からのデータの取り込みを終了する。なお、測定の途中で測定を停止したい場合、表示領域Cの下方に位置する測定停止ボタンD2をクリックすれば、測定を停止する。1回の測定終了後、測定データを保存する場合、入力領域Bの保存部B4において、ファイル名を入力するとともに、複数回計測を行う場合、何回目の計測であるかを示す計測No.を入力し、ファイル保存ボタンB41をクリックすると、その回の測定データがパーソナルコンピュータ4の前記記憶部に記憶され、後に、所望により、当該測定データを呼び出して参照することが可能となる(図7中S7参照)。通常、ファイル名と計測No.は初期設定がされており、特に入力する必要はない。
【0027】
複数回の測定を行う場合(例えば、1秒間隔で1分間の測定を3回繰り返して行う場合)、第2回目以降は、測定開始ボタンD1をクリックすれば、第1乃至第6表示領域C1乃至C6に表示されているデータが自動的に消去され、図5の未表示状態に復帰した後、パーソナルコンピュータ4がアナログ/ディジタル変換器からの振動計2のデータの取り込みを開始する。なお、2回目以降の測定で、測定条件の変更を行いたい場合、実験設定ボタンB3をクリックして測定条件を変更後、測定開始ボタンD1をクリックすればよい。
【0028】
以上のように、本実施の形態では、建築現場において、例えば、X、Y、Z方向の各振動加速度レベルの周波数分析処理及び統計処理(平均値等を求める処理)をパーソナルコンピュータ4を用いて瞬時に行えるとともに、その結果を直ちに表示部24に表示させることができる。
【0029】
その場合、建物の種類(例えば、鉄骨系2階建の建物、鉄骨系3階建の建物、木造系2階建の建物、木造系3階建等の建物)毎に振動特性が略一定であるため、予め上記建物の種類毎の既存の建物の振動特性を求めてパーソナルコンピュータ4に記憶させておき(図7中S8)、建築現場で地盤の振動特性を測定した後、この地盤の振動特性と当該建築現場に建築しようとする建物に固有の振動特性とをパーソナルコンピュータ4で演算させることにより、当該建築現場に所定の種類の建物を建築した場合の建築後の振動特性(振動周波数と振動加速度レベルの関係等)の予測値を算出し(S9)、これが許容範囲内であるか否かを判定(S10)して、判定結果を表示部24に表示することができる。
【0030】
以下、予め、建物の種類毎に固有の振動特性を求める手順を簡単に説明する。図9に示すように、例えば、本実施の形態の振動レベル測定分析装置1を用いて、例えば、既存の鉄骨系3階建の建物Tの3階の床のP点における振動特性(例えば、振動周波数と振動加速度レベルとの関係)を測定するとともに、建物Tが建築されている地盤のQ点における振動特性を測定する。そして、そして、P点における振動特性からQ点における振動特性を減算することにより、建物Tに固有の振動特性を得ることができる。鉄骨系2階建の建物、木造系3階建の建物、木造系2階建の建物等の他の種類の建物についても、同様にして、建物の種類毎に固有の振動特性を求めておけばよい。これらの建物の種類毎に固有の振動特性は、予め、パーソナルコンピュータ4の記憶部に記憶させておく。
【0031】
次に、地盤の振動特性を測定した建築現場に、所望の種類の建物、例えば、鉄骨系3階建の建物を建築した場合の振動レベルの予測値(オールパス値)を求める手順につき説明する。ある建築現場の地盤のX方向の振動特性、つまり、振動周波数と振動加速度レベルとの関係が図10に示す通りであり、当該建築現場に建築しようとする建物固有のX方向の振動特性が図11に示す通りであるものとする。この場合、上記建築現場に上記建物を建築した場合のX方向の振動レベルの予測値は、図10と図11の振動特性を加算し、更に、これらに図12に示す基準レスポンスを加算した後、加算後の値を1/3オクターブ刻みの振動周波数毎に足し合わせてエネルギー合成したものとなる。上記基準レスポンスは、図10及び図11の振動加速度レベルを振動レベルに変換するための重み付けに用いる。
【0032】
上記1/3オクターブ刻みの振動周波数毎に振動加速度レベルのエネルギー合成を行って、建築後の振動レベルの予測値を求めるに際して、2つの振動周波数の振動加速度レベルをエネルギー合成するには、下式(1)を用いる。すなわち、第1の振動周波数における振動加速度レベルをL1(dB)、第2の振動周波数における振動加速度レベルをL2(dB)、これらをエネルギー合成した値をL3(dB)とすると、L3は以下の式(1)で求められる。
L3=10log10(10L1/10 +10L2/10 ) (dB) ……(1)
【0033】
従って、パーソナルコンピュータ4に各振動加速度レベル毎に順次(1)式に基づく演算を行わせることにより、上記建築現場に所望の種類の建物を建築した場合の振動レベルの予測値を求めることができる。図10、図11及び図12に示すデータについてエネルギー合成を行った結果は、X方向の振動レベルの予測値は52dBであった。なお、Y及びZ方向についても、同様にして、建築後の振動レベルの予測値を求めることができる。
【0034】
次に、X、Y及びZ方向の各々について建築後の振動レベルの予測値(オールパス値)を求めた後、例えば、図13に示すような判定テーブルに基づいて当該建築現場に所定の種類の建物を建築した場合の振動クレームの発生の有無を予測することができる。すなわち、上記判定テーブルの横軸は水平方向、つまり、XまたはY方向の振動レベルの予測値、縦軸は鉛直方向、つまり、Z方向の振動レベルの予測値である。例えば、水平方向の振動レベルが40dB以下で、且つ鉛直方向の振動レベルの予測値が50dB以下であれば、判定結果はAであり、振動クレームは発生しにくいため、建築可能の判定となる。
【0035】
また、例えば、水平方向の振動レベルが50dB以下で、且つ鉛直方向の振動レベルの予測値が60dB以下であれば、判定結果はBであり、振動クレームが発生する可能性があるため、設計に配慮が必要との判定である。また、例えば、水平方向の振動レベルが50dBを超える場合、或いは鉛直方向の振動レベルの予測値が60dBを超える場合は、振動クレームが発生しやすいため、要検討の判定となる。実際には、パーソナルコンピュータ4に図13の判定テーブルを記憶させておき、パーソナルコンピュータ4に自動的に判定を行わせて、その結果を表示領域Cに表示させることができる。なお、図13の判定テーブル中におけるしきい値、つまり、振動クレームが発生しやすいか否かの判定の境目となる振動レベルの値は、建物の種類等に応じて、適宜変化するものであり、図13中の値に固定されるものではない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の建物の振動特性の予測方法は、建物の種類毎に固有の水平方向及び鉛直方向の振動特性を予め求めてパーソナルコンピュータに記憶させておき、建築現場で地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性を測定して上記パーソナルコンピュータにより分析し、この地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性と上記建物の種類毎に固有水平方向及び鉛直方向の振動特性とに基づいて上記建築現場の地盤上に所定の種類の建物を建築した場合の建築後の当該建物の水平方向及び鉛直方向の振動特性の予測値を上記パーソナルコンピュータにより求めるようにしたものであるから、建築現場において地盤の振動特性を測定するのみで、所定の種類の建物を建築した場合の当該建築地盤上での当該建物の振動特性を上記建築現場で直ちに予測することができ、これに基づいて、当該建築現場に所定の種類の建物を建築した場合に振動クレームが発生しやすいか否かを水平方向及び鉛直方向について建築現場において短時間で的確に判定することができる。
【0037】
請求項2の建物の振動特性の予測方法は、請求項1の予測方法において、上記建物の種類が、少なくとも鉄骨系2階建の建物、鉄骨系3階建の建物、木造系2階建の建物及び木造系3階建の建物を含むものであるから、これら各種類の建物に固有の振動特性をそれぞれ予め求めておくことにより、建築現場に鉄骨系2階建の建物等の各種の建物を建築した場合の振動特性を的確に予測できるようになる。
【0038】
請求項3の記録媒体は、上記パーソナルコンピュータに請求項1または2の建物の振動特性の予測方法を実行させるためのプログラムを記録した上記パーソナルコンピュータが読取可能な記録媒体であるから、係る記録媒体から上記パーソナルコンピュータに上記プログラムをインストールすることより、上記パーソナルコンピュータに上記した有益な予測方法を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る振動レベル測定装置のケースを開いた状態を示す概略斜視図。
【図2】上記振動レベル測定分析装置のノート型パーソナルコンピュータの蓋体を開いた状態を示す概略斜視図。
【図3】上記振動レベル測定分析装置のケースを閉じた状態を示す概略斜視図。
【図4】上記振動レベル測定分析装置の構成要素を示す説明図。
【図5】上記パーソナルコンピュータの表示部に表示される入力・表示画面を示す正面図。
【図6】上記入力・表示画面に実験設定用ウィンドーを表示させた状態を示す正面図。
【図7】上記振動レベル測定分析装置による測定、分析手順の概略を示すフローチャート。
【図8】上記入力・表示画面に測定結果を表示する様子を示す正面図。
【図9】既存の建物において建物固有の振動特性を求める様子を示す説明図。
【図10】建築現場の地盤の振動周波数と振動加速度レベルとの関係を示すグラフ。
【図11】所定の種類の建物の振動周波数と振動加速度レベルとの関係を示すグラフ。
【図12】上記振動周波数と振動加速度レベルに重み付けを行うための基準レスポンスを示すグラフ。
【図13】水平方向及び鉛直方向の振動レベルに基づいて振動クレームの発生の有無を判定する判定テーブルを示す説明図。
【符号の説明】
4 パーソナルコンピュータ

Claims (3)

  1. 建物の種類毎に固有の水平方向及び鉛直方向の振動特性を予め求めてパーソナルコンピュータに記憶させておき、建築現場で地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性を測定して上記パーソナルコンピュータにより分析し、この地盤の水平方向及び鉛直方向の振動特性と上記建物の種類毎に固有の水平方向及び鉛直方向の振動特性とに基づいて上記建築現場の地盤上に所定の種類の建物を建築した場合の建築後の当該建物の水平方向及び鉛直方向の振動特性の予測値を上記パーソナルコンピュータにより求めるようにしたことを特徴とする建物の振動特性の予測方法。
  2. 上記建物の種類は、少なくとも鉄骨系2階建の建物、鉄骨系3階建の建物、木造系2階建の建物及び木造系3階建の建物を含むことを特徴とする請求項1記載の建物の振動特性の予測方法。
  3. 上記パーソナルコンピュータに請求項1または2の建物の振動特性の予測方法を実行させるためのプログラムを記録した上記パーソナルコンピュータが読取可能な記録媒体。
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