JP3552535B2 - カセットの挿入口構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カセットの挿入口構造に係り、より詳細には再生装置に形成された、記憶媒体を挿入するカセットの挿入口構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記憶媒体から電子情報を読み取り再生する再生装置では、装置内部に埃などの物質が入り込んで内部部品に付着することにより、この内部部品の動作に悪影響を与えてしまうことがあった。特に、MD、CDなどの光ディスクから電子情報を再生する再生装置は、内部にピックアップなどの光学部品が配置されており、高い精度を必要とする。従って、このような再生装置は、常に内部が密閉状態にあり、埃などの物質が入り込まないように防塵状態にあることが好ましい。
しかし、再生装置の所定面には、記憶媒体を挿入するための挿入口を設けなければならない。そこで、このような挿入口には、再生装置の内部に直接埃が入り込んで内部部品に悪影響を与えないように、閉塞するリッド(蓋体)が装着されている。このリッドは、再生装置の挿入口の上部に回動可能に支持されて、この上辺を軸にして下端部が再生装置の内側に回動することで挿入口を開閉するカセットの挿入口構造を備えている。
このように再生装置は、記憶媒体を出し入れする際に、容易に挿入口を開閉できるとともに、それ以外の場合には常に挿入口を閉塞して防塵状態を保持するカセットの挿入口構造が要求される。
【0003】
図3は、このような従来のカセットの挿入口構造を採用したMD再生装置を示す斜視図である。また、図4は、図3に示したF−F線の断面を示す断面図である。また、図5は、図4に示した矢印G方向から見た挿入口30aを示す正面図である。
図3に示すように、従来のカセットの挿入口構造を採用したMD再生装置は、MD1を内部に収納して電子情報を再生する本体20と、この本体20の所定面に装着するとともにMD1を挿入する挿入口30aを設けたフロントケース30と、このフロントケース30の挿入口30aに開閉可能に装着されたリッド32とを備えている。
【0004】
ここで、本体20は、内部にピックアップ等の内部部品(図示せず)が配設されており、フロントケース30の挿入口30aから挿入されたMD1を収納して電子情報を再生するように構成されている。
また、フロントケース30は、MD1が挿入される本体20の所定面に装着され、このMD1を挿入するために矩形状に開口した挿入口30aを設けてある。この挿入口30aには、挿入口30aを閉塞するようにリッド32が装着されている。
リッド32は、薄板状で矩形に形成されて本体20の挿入口30aの上部に回動可能に支持されており、この挿入口30aの上辺を軸にして下端部が回動することにより挿入口30aを開閉するように枢支されている。
【0005】
ここで、フロントケース30の挿入口30aには、図4に示すように、表面から本体20内に延在する上面30bおよび下面30cからなる周壁を設けてある。またリッド32は、フロントケース30の挿入口30a表面から図4に示した間隔Hの位置に支点32aを設けて支持されている。
この際、フロントケース30の上面30bは、表面からリッド32の支点32a近傍まで延在するように形成されている。これによりフロントケース30の上面30bは、挿入口30aから入り込んだ埃などの物質が内部に入り込まない防塵構造になっている。
また、フロントケース30の下面30cは、フロントケース30の表面からリッド32の下端部32bを介してさらに内部に延在している。この下面30cは、リッド32が支点32aを中心として回転する回転動作に悪影響を与えないように、リッド32の下端部32bから所定の隙間Iが設けられている。この隙間Iは、図5に示すようにフロントケース30の挿入口30aから埃などが入り込まないように最小にすることが好ましい。
【0006】
再び図4を参照して、下面30cは、フロントケース30の表面から先端部が本体20の内部に設けた内部部品(図示せず)まで延在しており、挿入されたMD1の案内の役割をしている。
また、下面30cは、フロントケース30の表面からリッド32の下端部32bまでの間隔Hにおいて、下部に傾斜させて挿入口30aの開口面積を広く設けてある。これにより挿入口30aは、MD1を挿入する際に容易に挿入できるように形成されている。
【0007】
このような構成からなる従来のカセットの挿入口構造を採用したMD再生装置にMDを収納する場合、まず、MD1を図4に示した矢印Gの方向に移動させてフロントケース30の挿入口30aに挿入する。この際、MD1は、フロントケース30の表面からリッド32までの間隔Hの間で下面30cおよび上面30bからなる周壁により案内され、先端がリッド32に当接する。
MD1の先端がリッド32に当接すると、リッド32が支点32aを中心として回動することで下端部32bが円弧状に動作して上部に上昇する。
またMD1は、挿入口30aからさらなる押圧によりリッド32を回動させて本体の内部に移動する。本体内に移動したMD1は、本体の内部に配設した内部部品と当接することにより、この内部部品がMD1を保持して本体の内部に収納させる。またMD1が本体内部に収納されると、リッド32はMD1から離れて再び下端部32bが支点32aを中心として円弧状に回動して図4に示した状態に戻る。
【0008】
このようにMD再生装置は、MD1を出し入れする以外には常にリッド32が図4に示した閉塞状態に位置するため、内部に埃などの物質が容易に入り込むことを防止できる。従って、従来のカセットの挿入口構造は、挿入口に回動可能にリッドを設けてMD1を出し入れを可能にし、それ以外では閉塞状態に維持することで、埃などの物質により本体内部の内部部品に悪影響を与えないように形成されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカセットの挿入口構造では、図4に示したようにリッド32を支点32aを中心として円滑に回動させるために、リッド32の下端部32bと下面30cとの間の隙間Iに1mm程度のクリアランスを必要とするため、図5に示したようにリッド32が横方向の幅があり、隙間Iから内部が露出してしまうとともに、埃などの物質が容易に入り込んでしまう不具合があった。
【0010】
また、従来のカセットの挿入口構造では、図4に示した挿入口30aの上面30bから下面30cまでの開口高さが低いと隙間Iが狭くなりリッド32の回転動作に影響を与えてしまい、開口高さが高いと挿入口30a(リッド付近)でMD1のガタが大きくなり本体内の内部部品にうまく挿入されなくなる。従って、挿入口30aは、構造が制限され、一定の精度を必要とする不具合があった。これと同様に、リッド32の支点32aから下端部32bまで長さは、挿入口30aの開口高さと隙間Iとを考慮して形成する必要があり、一定の精度が必要になるため、構造上、デザイン上制約され、製造コストも増加するという不具合があった。
【0011】
本発明はこのような課題を解決し、記憶媒体を挿入する挿入口から本体内部の露出を防止でき、防塵構造を備えた挿入口を容易に形成できるカセットの挿入口構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、記憶媒体を挿入する挿入口を有して記憶媒体を収納して電子情報を再生する本体と、この本体の挿入口を閉塞するように装着されて挿入口の上部に回動可能に支持されるとともに挿入口の上辺を軸にして下端部が回動することにより挿入口を開閉して記憶媒体を出し入れする以外は常に挿入口を閉塞するリッド部材とを備え、挿入口の内部で下面がリッド部材の回動する下端部と所定の隙間を有して上部方向に傾斜面を形成して突出する段差を設け、この段差は滑らかに屈曲した曲面状に傾斜面を形成して記憶媒体の挿入動作を案内するとともに挿入口とリッド部材との隙間から本体内部が露出して埃が入り込まないように所定の高さに突出させてリッド部材の下端部とオーバーラップさせる。
ここで、本体はMD音響装置であるとともに、記憶媒体はMDであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明によるカセットの挿入口構造の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明によるカセットの挿入口構造を採用したMD再生装置の実施の形態を示す断面図である。また、図2は、図1に示した矢印A方向から見た挿入口10aを示す正面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明によるカセットの挿入口構造を採用したMD再生装置は、図3に示した従来技術の装置と同様に、MD1を内部に収納して電子情報を再生する本体を設けてある。この本体の内部には、MD1を収納して電子情報を再生するピックアップ等の内部部品が複数配設されている。
また、本体の所定面には、MD1を挿入するために矩形状に開口した挿入口10aを備えたフロントケース10が装着されている。また、フロントケース10の挿入口10aには、リッド12が開閉可能に装着されている。
【0015】
ここで、リッド12は、薄板で矩形状に形成され,フロントケース10の挿入口10a内部に設けた支点12aに支持されており、この支点12aを軸にして下端部12bが回動するように枢支されている。またリッド12の支点12aは、フロントケース10の外側表面から図1に示した間隔Bの位置に設けてリッド12を支持している。
【0016】
また、フロントケース10は、挿入口10aの表面から本体内に延在する上面10bおよび下面10cからなる周壁を備えている。このフロントケース10の上面10bは、表面からリッド12の支点12a近傍まで延在している。このように挿入口10aは、上面10bから埃などの物質が内部に入り込まない防塵構造を備えている。
【0017】
また、フロントケース10の下面10cは、フロントケース10の表面からリッド12の下端部12bを介して、さらに内部に延在している。この下面10cは、リッド12が支点12aを中心として回転する回転動作に悪影響を与えないように、リッド12の下端部12bから図1に示した所定の隙間Cを設けている。また下面10cは、リッド12内部で下端部12bの近傍から上部方向に滑らかに屈曲する傾斜面10dを備えて上部に突出する段差を備えている。この傾斜面10dは、リッド12が支点12aを中心として円弧状に回動する下端部12bと常に所定の隙間Cを保持するように傾斜させている。また、傾斜面10dの表面は、挿入口から挿入されたMD1が傾斜面10dに沿って滑るように収納させる案内の役割をしており、滑らかに屈曲する曲面を形成している。
【0018】
また、傾斜面10dを備えて突出した段差の上部は、リッド12の下端部12bから上部に図1に示した所定の間隔Dの位置までオーバーラップしている。このオーバーラップした間隔Dは、図2に示すように、フロントケース10の下面10cとリッド12の下端部12bとの間に設けた隙間C(図1参照)から内部の露出を防止するとともに、容易に埃などの物質が本体内部に入り込まない防塵の役割をしている。
また、フロントケース10の下面10cは、図1に示したリッド12の支点12aから下端部12bまでの高さを長く設定した場合、傾斜面10dを備えて突出するオーバーラップの間隔Dを調節することで図1に示した挿入口10aの間隔Eを常に一定に保持できるため、挿入口10aでのMD1のガタを防止することができる。
【0019】
このように、フロントケース10の下面10cは、リッド12の内部で間隔Dの高さに傾斜面10dを備えてオーバーラップした突形状を形成することで、間隔Eを常に一定に保持してMD1を本体の内部に配設した内部部品(図示せず)まで容易に挿入できるように形成している。
【0020】
このような構成からなる本発明によるカセットの挿入口構造を採用したMD再生装置にMDを収納する場合、まず、MD1を図1に示した矢印Aの方向に移動させてフロントケース10の挿入口10aに挿入する。この際、MD1は、挿入口10aの下面10cおよび上面10bからなる周壁に沿って案内され、先端がリッド12に当接する。
【0021】
MD1の先端がリッド12に当接すると、リッド12が支点12aを中心として回動することで下端部12bが円弧状に回動して上部に上昇する。この際、下端部12bは、下面12bの傾斜部12bと所定の隙間Cを保持して回動する。そしてリッド12が支点12aを中心として回動すると、MD1の先端が本体の内部に移動して傾斜面10dに当接する。
また、MD1は、傾斜面10dに当接すると、この傾斜面10dに沿って滑るように本体の内部に挿入される。
【0022】
本体内に挿入されたMD1は、さらなる押圧により本体の内部に配設した内部部品まで移動する。これによりMD1は、内部部品により保持されて本体内部に収納される。
MD1が本体内部に収納されると、再びリッド12の下端部12bが支点12aを中心として円弧状に動作して図1に示した状態に戻る。
【0023】
このように挿入口10aでは、MD1を出し入れする以外はリッド12が常に挿入口10aを閉塞した状態にあり、この閉塞状態ではフロントケース10の傾斜面10dがリッド12の下端部12bとオーバラップする間隔Dを設けることで内部の露出および埃などが入り込むことを防止している。
【0024】
以上、本発明によってなされたカセットの挿入口構造の実施の形態を詳細に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、光ディスクを再生するMD音響装置に採用した実施の形態を説明したが、これに限定されるものではなく、磁気テープを利用したカセットまたはビデオ再生装置にも適用可能である。
【0025】
【発明の効果】
このように、本発明によるカセットの挿入口構造によれば、本体の挿入口と下面との間に所定の隙間を有してリッド部材を装着するとともに挿入口の内部で下面が傾斜面を備えて突出するオバーラップ部を設けているため、リッド部材の回動を妨げることなく、本体内部の露出および埃などの物質が入り込むことを防止できる。
また、リッド部材の高さを大きく設定しても、挿入口の下面から突出するオバーラップ量を調節することで記憶媒体のガタを防止できる挿入口構造を維持できるため、MD挿入口の構造上、またはデザイン上の制約が減少し、製造コストも削減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカセットの挿入口構造を採用したMD音響装置の実施の形態を示す断面図。
【図2】図1に示した矢印A方向から見た挿入口を示す正面図。
【図3】従来のカセットの挿入口構造を採用したMD音響装置を示す斜視図。
【図4】図3に示したF−F線の断面を示す断面図。
【図5】図4に示した矢印G方向から見た挿入口を示す正面図。
【符号の説明】
1 MD
10 フロントケース
10a 挿入口
10b 上面
10c 下面
10d 傾斜面
12 リッド
12a 支点
12b 下端部

Claims (2)

  1. 記憶媒体を挿入する挿入口を有し、前記記憶媒体を収納して電子情報を再生する本体と、
    前記本体の挿入口を閉塞するように装着され、前記挿入口の上部に回動可能に支持されるとともに前記挿入口の上辺を軸にして下端部が回動することにより前記挿入口を開閉して前記記憶媒体を出し入れする以外は常に前記挿入口を閉塞するリッド部材とを備え、
    前記挿入口の内部で下面が前記リッド部材の回動する下端部と所定の隙間を有して上部方向に傾斜面を形成して突出する段差を設け、この段差は滑らかに屈曲した曲面状に前記傾斜面を形成して前記記憶媒体の挿入動作を案内するとともに前記挿入口と前記リッド部材との隙間から前記本体内部が露出して埃が入り込まないように所定の高さに突出させて前記リッド部材の下端部とオーバーラップさせることを特徴とするカセットの挿入口構造。
  2. 請求項1に記載のカセットの挿入口構造において、
    前記本体はMD音響装置であるとともに、前記記憶媒体はMDであることを特徴とするカセットの挿入口構造。
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