JP3551437B2 - 固体撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、ビデオカメラ等に用いられる固体撮像装置(CCD)に関し、更に詳しく、シェーディングが補正された固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近、固体撮像装置を用いたビデオカメラ等においては、カメラ機体側の対物レンズは、オート・フォーカスの高速化を追及した結果、インナー・フォーカスという方式のものが主流となり、射出瞳距離が著しく短くなってきている。そのため、射出瞳距離は、従来100mm程度あったものが、30mm弱、さらに将来の機器では十数mmまで短くなる予定である。
【0003】
従来の固体撮像装置は、図3及び図4に示すように、半導体基板1に受光部1aを形成し、基板1に設けた遮光膜2を各受光部1a上で開口させて受光部1aを露呈させ、さらに、各受光部1a上に位置するオンチップレンズ3を一体的に設けた構成である。このような固体撮像装置を従来の射出瞳距離が長い(L1)場合に用いた例では、図3に示すように、イメージャ部の中心から外れた周辺の受光部1aにおいても、オンチップレンズで集光された入射光が受光部1aの露出面内に収まっていた。しかし、上記したように、射出瞳距離が縮むと、従来の固体撮像装置の構造では、イメージャ部周辺の受光部1aへの入射率が低下して感度シェーディングとなる問題があった。これは、図4に示すように、周辺にある受光部1a上のオンチップレンズ3は、斜めからの入射光を直下の受光部1aに集光させきれず、図中斜線で示す部分の入射光が受光部1aから外れて遮光膜2上に入射してしまう、所謂ケラレが発生するためである。このように、射出瞳距離が縮まれば、よりシェーディングが悪化する問題があった。この場合の1水平走査期間(1H)におけるビデオ出力信号の波形図を示したものが、図5であり、受光部の周辺部でシェーディングが生じて感度が中央部より低下し、感度ムラが発生していることがわかる。同図中、aは信号量、bはシェーディング量を示しており、シェーディングは(b/a)×100[%]で求められる。
【0004】
図6は、従来構造のある固体撮像装置での、シェーディングの射出瞳距離依存性を示したグラフである。このグラフから、射出瞳距離が30mm以下になると、急激にシェーディングが悪化していることがわかる。また、こうした領域では、合わせズレに対しても、敏感になってしまう問題が生じる。
【0005】
このような、問題点の対応策として、特開平1−213079号公報記載の発明が知られている。
【0006】
この技術は、オンチップレンズ,平板マイクロレンズアレイなどのマイクロレンズアレイに、有効画素中心を中心として、微小スケーリング(例えば、0.9999倍)をかけることで、各受光部とそれに対応する集光部(マイクロレンズ)との水平方向のズレ量を中心から遠ざかるに従って大きくし、即ち、中心から周辺方向へ遠ざかるに従って、集光部を対応する受光部より中心方向へ漸次大きくずらすようにしたものである。このようなシェーディング補正を行ったことにより、図7に示すように、周辺の受光部1a中心とオンチップレンズ3中心が光軸に合うようになり、射出瞳によるセンタリングエラーが補正される。
【0007】
なお、上記したシェーディングの補正は、図9(A)に示すように、絞りaを通過した入射光が光学系bを経て固体撮像装置cに入射する、通常の場合に適用したものである。図9(B)は、このように固体撮像装置cに入射した光の射出瞳を示している。
【0008】
ところで、用途によっては、図10(A)に示すように、固体撮像装置cのイメージャ部周辺の受光部に入る光の角度は、上記した通常の場合と逆になることが知られている。この場合、図10(B)に示すように、射出瞳が固体撮像装置cの後にあり、固体撮像装置の後に絞りがあるような振舞となる。このため、上記した通常の場合でオンチップレンズの瞳補正をおこなったものは、このような用途で用いた場合、逆の補正となり、シェーディングは却って悪化する。
【0009】
さらに、上記したような集光部のみの補正を行った場合、射出瞳によるセンタリングエラーが防止できるが、受光部上方の色フィルタへの光入射にズレが発生し、このため、図8に示すように、色フィルタ4の側面から入射する光の成分が発生し、画面端で色信号がおかしくなり、色ムラやフリッカ等の不具合が発生する。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に着目して創案されたものであって、本発明の目的は、シェーディングを補正し感度ムラを低減すると共に、色ムラ等の発生を防止する固体撮像装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本出願の請求項1記載の固体撮像装置は、基板上に入射光を受光する複数の受光部と、上記受光部上に設けられ、上記複数の受光部に対応する複数の色フィルタと、上記色フィルタ上に設けられ、上記複数の受光部及び上記複数の色フィルタに対応する複数の集光部とを有し、上記基板の周辺部においてそれぞれ対応する上記色フィルタ及び上記集光部の中心は上記受光部の中心に対し上記基板の中心方向にずらして配置され、上記色フィルタ及び上記受光部の中心間距離は上記集光部及び上記受光部の中心間距離より小さくされているものである。
【0012】
請求項2記載の固体撮像装置は、基板上に入射光を受光する複数の受光部と、上記各受光部間上に設けられ、上記複数の受光部に対応する複数の黒染色層と、上記受光部及び上記黒染色層上に設けられ、上記複数の受光部に対応する複数の色フィルタと、上記色フィルタ上に設けられ、上記複数の受光部及び上記複数の色フィルタに対応する複数の集光部とを有し、上記基板の周辺部においてそれぞれ対応する上記色フィルタ及び上記集光部の中心は上記受光部の中心に対し上記基板の中心方向にずらして配置されるとともに、黒染色層も入射光の妨げとならないように上記色フィルタ及び上記集光部のずらしに対応してずらして配置され、上記色フィルタ及び上記受光部の中心間距離は上記集光部及び上記受光部の中心間距離より小さくされているものである。
【0013】
【作用】
本出願の請求項1記載の発明においては、受光部に対応する集光部が、イメージャ部周辺領域へいくほど、水平方向のずれ量が大きく、受光部と集光部の間の色フィルタは上記のずれ量より少ないずれ量で設けられる。なお、色フィルタと受光部とのズレ量は、集光部と同様、イメージャ部周辺領域へいくほど大きくなる。又、集光部を通過した入射光が色フィルタ層の側面を通ることが防止され、画面端での色ムラやフリッカ等の発生が防止される。
【0014】
又、集光部及び色フィルタをイメージャ部中心に向けてずらすことにより、射出瞳がイメージャ部より前にある場合のシェーディング補正を可能にする。又、集光部及び中間層をイメージャ部周辺方向に向けてずらすことにより、射出瞳がイメージャ部より後にある場合のシェーディング補正を可能にする。又、黒染色層も上記色フィルタ及び上記集光部のずらしに対応してずらして配置され、入射光の妨げにならないようにしている。
【0015】
【実施例】
以下、本発明に係る固体撮像装置の詳細を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0016】
本実施例の固体撮像装置は、図1に示すように、シリコンで成る半導体基板11上に絶縁膜(図示省略する)を介して垂直転送電極12が形成され、この垂直転送電極12の上方を、Alで成る遮光膜13で覆っている。そして、遮光膜13上には、黒染色層14がパターニングされている。相隣接する垂直転送電極12を覆う遮光膜13の開口により露出する位置の半導体基板11には、夫々受光部11aが形成されている。そして、受光部11aの上方には、色フィルタ層15が配設されており、さらに、色フィルタ層15上には、オンチップレンズ16が一体的に形成されている。
【0017】
このような構成において、イメージャ部中心から周辺の領域へいくほど、受光部に対応するオンチップレンズ16をイメージャ部中心方向へずらすズレ量(d1)を大きくしている。即ち、射出瞳からの入射光がオンチップレンズ16により集光されて、受光部11aに確実に収まるように、以下に説明する2つの方法を用いて補正することができる。
【0018】
第1の方法は、オンチップレンズアレイ全体を、ある倍率(<1)でかけて縮小させたフォトマスク(レチクル)を用いて形成することで、図2に示すように、受光部11aのピッチC1より小さいピッチC2のオンチップレンズ16が形成できる。また、第2の方法は、ウェハプロセスで用いる縮小露光装置(ステッパ)の縮小倍率を、通常の倍率(例えば1/5倍)より、さらに小さい倍率(例えば1/5.001)に設定することで実現できる。
【0019】
また、シェーディング補正倍率を計算する場合は、図2に示すX,L,H,ΔXを用いて行うことができる。なお、各変数は、次のように定義される。
【0020】
X:有効中心画素から有効総画素端までの距離(光学サイズで決まる)
L:射出瞳距離
H:受光部からマイクロレンズまでの高さ
ΔX:有効総画素端での補正量
このとき、マイクロレンズアレイ(オンチップレンズアレイ)にかける補正倍率、並びに、有効総画素端での補正量
補正倍率:(L−H)/L
有効総画素端補正量:ΔX=X×H/L
例えば、
X=2.4mm(at 1/3-inch Optical Format)
L=30mm(近年、多く使われている対物レンズの射出瞳距離)
とすると、
補正倍率=0.9997倍
有効総画素端補正量=0.8μm
となる。
【0021】
このとき、有効総画素端補正量が大きくなると、色フィルタの側面から入射する光の成分が発生し、画面端で色信号がおかしくなり、色むら・フリッカ等の不具合を発生する。この場合には、色フィルタのパターンにも、マイクロレンズと同様に、補正をかける必要が有る。その時の補正倍率は、受光面から色フィルタ層までの高さが基準となって、計算される。色フィルタ層に補正をかけるか、かけないかは、構造によってかわる。
【0022】
本実施例においては、図1に示すように、中間層としての色フィルタ層15にも、上記したシェーディング補正をかけて、イメージャ部中心方向へズレ量(d2)でずらしている。このズレ量(d2)は、オンチップレンズ16のズレ量(d1)より小さい。なお、このような補正をかけた後も、オンチップレンズのピッチC2や色フィルタ層15のピッチは一定であることは言うまでもない。また、本実施例においては、他の中間層である黒染色層14についても、上記と同様の補正を行って、図1に示すように、入射光の妨げになるのを未然に回避している。
【0023】
なお、マイクロレンズアレイの縮小方法について2つの方法を例にあげたが、マイクロレンズのレティクルのみ、1チップ埋め込みとすると、単純に全体を縮小すればよいが、1レティクル内に多チップを埋め込む場合それぞれに工夫が必要である。
【0024】
まず、第2の方法に対しては、レティクル全体が縮小されるため、従来レティクルでは、各チップの中心がずれてしまう。そこで、マイクロレンズアレイの大きさは、そのままで、チップサイズを(1/補正倍率)倍に拡大したレティクルを作成しておく。そして、縮小露光装置にて、補正倍率だけ縮小すれば、各チップで有効中心が一致しながら、マイクロレンズアレイを縮小する事ができる。これによって、多チップ埋め込みを実現でき、生産性が向上する。しかし、装置のハードウェアの改造が必要な場合などは、通常倍率の装置と、補正倍率の装置とが分離し、混用ができなくなる。従って、生産性が落ちる一因となる。
【0025】
次に、第1の方法に対しては、レティクル上でのパターンが既に、マイクロレンズアレイの部分のみ、有効総画素中心とした縮小を成した形にしておく。これにより、ウェハプロセス中で用いる縮小露光装置になんら変更を加えない為、生産性が従来並に維持できる。
【0026】
一方、1チップ埋め込みで対処する場合でも、マイクロレンズアレイ以外のパターン(例えば、合わせマーク・線幅管理マークやアライメントマークなどの、ウェハプロセス管理マーク類)を縮小しては困る場合も、上記同様、マイクロレンズアレイのみ、縮小し、それ以外は、通常倍率になるような処理が必要である。
【0027】
以上、実施例について説明したが、本実施例においては、オンチップレンズ16の補正により、イメージャ部周辺の受光部11aで「ケラレ」が発生するのを防止し、感度シェーディングの発生を防止できる。
【0028】
また、本実施例では、色フィルタ層15にも、上記補正を加えたため、入射光が色フィルタ層15の側面に入射するのを防止できる。これにより、画面端で色信号がおかしくなり、色ムラ・フリッカ等の不具合が発生するのを防止した。
【0029】
さらに、黒染色層14にも補正を加えたため、入射光の入射を妨げることを防止できた。
【0030】
ところで、上記した実施例においては、集光部(オンチップレンズ)と中間層(色フィルタ層,黒染色層)をイメージャ部の中心の方向へずらしたが、図10(B)に示すように、射出瞳がイメージャ部より後になるような用途に用いる場合は、これらを逆方向(周辺方向)へずらす補正を行えばよい。
【0031】
以上、実施例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、構成の要旨に付随する各種の設計変更が可能である。
【0032】
【発明の効果】
本出願の請求項1記載の発明によれば、感度シェーディングの発生を防止すると共に、色ムラ・フリッカ等発生を防止する効果がある。又、請求項2によれば、黒染色層も色フィルタ及び集光部の位置ずれに応じて位置をずらせており、入射光の妨げとならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の要部断面図。
【図2】本発明の実施例の断面説明図。
【図3】射出瞳距離が長い従来例の断面説明図。
【図4】射出瞳距離が短い従来例の断面説明図。
【図5】シェーディングの発生を示すビデオ出力信号の波形図。
【図6】シェーディングの射出瞳距離依存性を示したグラフ。
【図7】従来例の断面説明図。
【図8】従来例の断面説明図。
【図9】(A)及び(B)は固体撮像装置の前に射出瞳がある場合のメカニズムを示す説明図。
【図10】(A)及び(B)は固体撮像装置の後に射出瞳がある場合のメカニズムを示す説明図。
【符号の説明】
11a…受光部
12…垂直転送電極
13…遮光膜
14…黒染色層
15…色フィルタ層
16…オンチップレンズ

Claims (2)

  1. 基板上に入射光を受光する複数の受光部と、
    上記受光部上に設けられ、上記複数の受光部に対応する複数の色フィルタと、
    上記色フィルタ上に設けられ、上記複数の受光部及び上記複数の色フィルタに対応する複数の集光部とを有し、
    上記基板の周辺部においてそれぞれ対応する上記色フィルタ及び上記集光部の中心は上記受光部の中心に対し上記基板の中心方向にずらして配置され、上記色フィルタ及び上記受光部の中心間距離は上記集光部及び上記受光部の中心間距離より小さくされていることを特徴とする固体撮像装置。
  2. 基板上に入射光を受光する複数の受光部と、
    上記各受光部間上に設けられ、上記複数の受光部に対応する複数の黒染色層と、上記受光部及び黒染色層上に設けられ、上記複数の受光部に対応する複数の色フィルタと、
    上記色フィルタ上に設けられ、上記複数の受光部及び上記複数の色フィルタに対応する複数の集光部とを有し、
    上記基板の周辺部においてそれぞれ対応する上記色フィルタ及び上記集光部の中心は上記受光部の中心に対し上記基板の中心方向にずらして配置されるとともに、黒染色層も入射光の妨げとならないように上記色フィルタ及び上記集光部のずらしに対応してずらして配置され、上記色フィルタ及び上記受光部の中心間距離は上記集光部及び上記受光部の中心間距離より小さくされていることを特徴とする固体撮像装置。
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