JP3550113B2 - 硬さセンサー及びそれを用いた硬さ測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃により振動を発生する部材上に被検物体を落下させた際に発生する機械的振動の周波数を電気信号として検出して物体の硬さを測定するという、これまでの硬さセンサーとは全く異なる原理に基づく新規な硬さセンサー及びそれを用いた硬さ測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在使用されている硬さセンサーにおいては、例えば被検物体による接触圧力で発生する電気抵抗変化や電気容量変化、磁気変化、共振周波数の変化などを直接的にあるいは間接的に電気量として取り出し、検出する方法などが用いられている。しかしながら、これまでの硬さセンサーは、特定の物質の硬さの測定には有効であって、特定の用途に利用されてきたが、様々な物質の硬さを検出することができ、広範囲の用途に利用可能な硬さセンサーは開発されていないのが実状である。
したがって、触覚センサーの分野においては、作動原理が単純で、広範囲の用途に利用可能な硬さセンサーの開発が要望されていた。
【0003】
一方、近年、機械的エネルギーと電気的エネルギーの相互変換に用いることができる圧電体材料として、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、水晶、さらにはLiTaO3、LiNbO3、BaTiO3などのペロブスカイト構造の金属複合酸化物などが、また最近ではLa3Ga5SiO14(ランガサイト)やランガサイト構造をもつ金属複合酸化物が開発され、フィルタ、発振器、振動子など通信機器用の電子部品材料として利用されるようになった。そして、超音波振動する物体が対象物に触れたときの共振状態の変化を検出して対象物の硬さを求める装置の圧電振動子として上記の圧電材料を用いることは知られているが(特開平10―99330号公報)、これは共振周波数の変化を利用したものであるため、装置は非常に複雑な構造を有し、コストの点で実用化には適していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、作動原理が単純で、様々な物質の硬さを測定することができ、広範囲の用途に利用可能な硬さセンサー、及びそれを用いた硬さ測定方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、硬さセンサーについて種々研究を重ねた結果、機械的エネルギーと電気的エネルギーの相互変換に用いられる部材に着目し、硬さ測定素子として衝撃により振動を発生する部材を用い、この部材上に被検物体を落下させた際に発生する機械的振動の周波数を電気信号として検出すれば、物体の硬さを簡単に測定しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、絶縁体層を介して落下被検物体を受止し、その際の衝撃により機械的振動を発生させる部材及びこれに接触し、相互に絶縁した2個の電極からなる振動発生機構この振動発生機構において発生した機械的振動の周波数を電気量として検出するための電気量検出計及び前記振動発生機構と、その電極を介して前記電気量検出計との間に電気回路を形成させるための導線から構成されたことを特徴とする硬さセンサー、及び衝撃により振動を発生する部材上に絶縁体層を介して被検物体を落下させ、該部材に発生した機械的振動の周波数を電気信号として、衝撃により振動を発生する部材に接触し、かつ相互に絶縁された2個の電極の間で形成された回路中に配置した電気量検出計で検出し、物体の硬さを測定することを特徴とする硬さ測定方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の硬さセンサーは、硬さ測定素子として衝撃により機械的振動を発生する部材を用いたものであって、振動発生機構この振動発生機構において発生した機械的振動の周波数を電気量として検出する電気量検出計及び前記振動発生機構と前記電気量検出計との間に電気回路を形成させるための導線から構成されている。前記振動発生機構は、絶縁体層を介して落下被検物体を受止するための衝撃により振動を発生する部材及びこれに接続する2個の電極からなっており、一方、電気量検出計は、前記振動発生機構において発生した機械的振動の周波数を電気量として検出するためのものである。また電気回路は、前記振動発生機構電気量検出計との間に、該振動発生機構の電極を介して形成され、振動発生機構で得た情報を電気量検出計へ伝達する機能を果している。
【0008】
この硬さセンサーの振動発生機構に使用される衝撃により振動を発生する部材としては、従来公知の圧電特性を有する材料や、伸縮性材料の中から任意のものを適宜選択することができる。このような圧電特性を有する材料としては、例えば、水晶、酸化亜鉛、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸鉛、ジルコン酸鉛、タンタル酸リチウム、ジルコン酸チタン酸鉛、La3Ga5SiO14(ランガサイト)などの金属酸化物や、窒化アルミニウムのような窒化物、ポリフッ化ビニリデンなどの有機系圧電体材料を用いることができる。これらの中で、発生電圧の高い窒化アルミニウム及び酸化亜鉛が好適である。
この圧電特性を有する材料の厚さは、通常0.5〜500μm、好ましくは1〜100μmの範囲で選ばれる。
また、伸縮性材料としては、ゴム、鉛、金属のような弾性材料、歪み形成材料などがある。
【0009】
また、電気量検出計としては、従来、機械的振動の周波数を電気量として検出するのに慣用されている装置、例えば電流計や電圧計又は周波数検出用のオッシログラフを用いることができる。
【0010】
次に、本発明の硬さセンサーについて、添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の硬さセンサーの1例の概要図であって、この硬さセンサー10は、圧電体膜1の両面に電極2,2´が接続され、さらにその上にぞれぞれ絶縁体層3,3´が設けられた振動発生機構を有すると共に、この振動発生機構において発生した機械的振動の周波数を電気量として検出するために、前記振動発生機構の電極2,2´と電気量検出計4との間に電気回路5が形成されている。この電気量検出計としては、例えば電流計や電圧計などが用いられる
【0011】
被検物体の硬さを測定するには、圧電体膜1上に、絶縁体層3又は3´を介して被検物体を落下させ、該圧電体膜1に発生した機械的振動の周波数を電気信号として、圧電体膜1に接続させた2個の電極2,2´との間で形成される回路中に配置された電気量検出計より検出する。
【0012】
図2は、本発明の硬さセンサーの異なる例の概要図であって、この硬さセンサー20は、圧電体膜1の片面に電極2,2´が接続され、さらにその上及び2個の電極2,2´間に絶縁体層3が設けられた振動発生機構において発生した機械的振動の周波数を電気量として検出するために、前記振動発生機構の電極2,2´と電気量検出計4との間に電気回路5が形成されている。この電気量検出計4には、前記と同様に、例えば電流計や電圧計など用いられる。
被検物体の硬さの測定方法は、前記図1の場合と同様である。
【0013】
【発明の効果】
本発明の硬さセンサーは、衝撃により振動を発生する部材上に被検物体を落下させた際に発生する機械的振動の周波数を電気信号として検出して、物体の硬さを測定する機能を有し、様々な物質の硬さを測定することができ、広範囲の用途に利用可能であり、例えば産業用ロボットなどの開発で必要とされている、接触を伴う作業、検査、柔軟な対象物のハンドリング、照明が使いにくい場合、さらには人工現実感などに用いられる触覚センサーなどとして有用である。
【0014】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
実施例
厚さ1μmの窒化アルミニウム薄膜の両面に、それぞれ長さ20mm、幅10mmのアルミニウム蒸着膜を設け、2個の電極を形成したのち、さらにそれらの上に酸化アルミニウムからなる厚さ300μmの絶縁体層を設けた。次いで、各電極に導線をはんだ付けし、それぞれの端部を電圧計に接続することにより、硬さセンサーを作製した。
質量3gのゴムボール及び質量14gの鉄球を、それぞれ10cmの高さから落下させた場合の応答曲線を作成し、図3にグラフで示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硬さセンサーの1例の概要図。
【図2】本発明の硬さセンサーの異なる例の概要図。
【図3】実施例で作製した硬さセンサーに、ゴムボール及び鉄球を落下させた場合の応答曲線のグラフ。
【符号の説明】
1 圧電体膜
2,2´電極
3,3´絶縁体層
電気量検出計
5 回路
10,20 硬さセンサー

Claims (2)

  1. 絶縁体層を介して落下被検物体を受止し、その際の衝撃により機械的振動を発生させる部材及びこれに接触し、相互に絶縁した2個の電極からなる振動発生機構この振動発生機構において発生した機械的振動の周波数を電気量として検出するための電気量検出計及び前記振動発生機構と、その電極を介して前記電気量検出計との間に電気回路を形成させるための導線から構成されたことを特徴とする硬さセンサー。
  2. 衝撃により振動を発生する部材上に絶縁体層を介して被検物体を落下させ、該部材に発生した機械的振動の周波数を電気信号として、衝撃により振動を発生する部材に接触し、かつ相互に絶縁された2個の電極の間で形成された回路中に配置した電気量検出計で検出し、物体の硬さを測定することを特徴とする硬さ測定方法。
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