JP3549420B2 - 燃料電池スタック - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は燃料電池スタックに関し、さらに詳しくは、内部マニホールド式の燃料電池スタックにおける正極(酸素極、酸化剤極または空気極とも称される。)セパレータ、負極(水素極または燃料極)セパレータ及び冷却水セパレータの流路溝パターンの改良ならびにそれによる出力密度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の実用化における重要課題の一つは、他種の実用電池と同様に単位容積あるいは重量当りの出力(すなわちkW/m3あるいはkW/kgで表わしうる出力密度)の向上である。
【0003】
内部マニホールド式の燃料電池スタックには、酸化剤としての酸素を含む気体、典型的には空気を通すためのマニホールド対(入口及び出口)、燃料としての水素または水素混合ガスを通すためのマニホールド対(入口及び出口)、及び温度制御用の冷却水を通すためのマニホールド対(入口及び出口)が設けられている。これらのマニホールドによって占められる面積のために、スタック内の電極の表面積が相対的に減少することになる。従ってそのような電極表面積の相対的減少は、出力に関しては負の要因となるから、それを補償しかつ克服する手段を採用して、スタックの単位体積(あるいは単位重量)当りの出力の維持ないし向上を計る必要がある。
【0004】
一般的には水素燃料電池の基本構造は、空気(酸素ガス)導入正極セパレータ;正極;片面に正極用触媒層(例:Pt)、他面に負極用触媒層(例:Pt−Rh)を設けた電解質層(例:フッ素樹脂系);負極;燃料(水素ガス)導入負極セパレータ;からなるセルを単位としており、数セル(例えば2〜6セル)おきに冷却水セパレータを配置組入れてスタックを構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、内部マニホールド式の場合の電極(正及び負極)の表面積の減少及びそれによる出力低域を補償し、あるいは出力を向上させ、そして電池反応を効率的に進行させるための技術を鋭意探究、研究、検討した。
【0006】
その結果として、酸素と正極との接触の緊密化、その接触面積の増大、及びガス流中の水分の凝縮によるガス流路の閉塞(あるいはガス流動抵抗の増大)防止を可能とする正極セパレータ酸素流路溝のパターンが重要であり、それにより正極の実効面積の向上が得られ、かつ正極反応2H++1/2O2+2e−→H2Oで消費される供給酸素の割合の増加により電池機能の総合効率改善の大きな要因になるとの所見を得た。
【0007】
また、同様に水素と負極との接触の緊密化、その接触面積の増大を可能とする負極セパレータ水素流路溝のパターンが重要であり、それにより負極の実効面積の向上が得られ、かつ負極反応H2→2H++2e−で消費される供給酸素の割合の増加により電池機能の総合効率改善の大きな要因になるとの所見を得た。なお、上記のように負極反応によっては水が生成しないので、水素と共に水蒸気が混合され供給される場合が多いとはいえ、酸素セパレータの場合のように水凝縮による流路閉塞の問題は一般には比較的生じ難いので、水素流路溝は左右水平方向の線分が長くても良いことが判明した。
【0008】
さらに電池の反応性の均一化を計ると同時に構成部材の保護のため、電池温度を最適値に安定に維持するための冷却水セパレータの水流路溝のパターンが重要であるとの所見を得た。殊に加熱された水中に生じる気泡を抜くために下から上へ移る流路を与えることが重要である。
【0009】
さらに加うるに、正極セパレータの酸素流路溝の内部表面や負極セパレータの水素流路溝の内側表面に撥水性のある材料(テフロン、シリコーン等)をコーティングを施すことにより、流路壁での水滴の滑りが促進され、流路壁への凝縮水の付着やそれによるガス流路の閉塞が有効に防止されることを見出した。正極セパレータが金属製である場合にはさらに酸化が防止され、それにより電導性が維持され、寿命が延長する。セパレータがカーボン製である場合にはセパレータ内へのガス拡散が良好に防止されることも判明した。本発明は上記のような燃料電池用セパレータ類、ならびにそれらを組込んだ燃料電池スタックの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題及び諸所見に基き、燃料電池の出力密度を向上させると共に電池機能及び作動の安定性の向上のため本発明を完成した。
【0011】
かくして、本発明は、その第1の態様によれば、
(i) 内部マニホールド式の空気流路溝を一方の面に有する正極セパレータ、
(ii) 上記正極セパレータの空気流路溝付き面に一方の面を向けた正極、
(iii) 上記正極の他方の面に正極用触媒層を介して対面し、反対側の面に負極用触媒層を有する電解質層、
(iv) 上記負極用触媒層に対面する負極、
(v) 上記負極の裏側面に対面する内部マニホールド式の燃料流路溝付き負極セパレータ、
から構成されるセルの複数組を、それらの部材面を垂直に配向して重ね、かつ適宜な数のセル群の間に温度調節の目的で内部マニホールド式の冷却水流路溝付き冷却水セパレータ(vi)を挿入組込んでなる燃料電池スタックにおいて:
正極セパレータ、正極、両触媒層、電解質層、負極、負極セパレータ及び冷却水セパレータのすべての構成部材の上縁の一方の角内部域に空気入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水出口マニホールドを、左右の縦縁に沿った中間位置の内部域にそれぞれ燃料入口マニホールド及び燃料出口マニホールドを、そして下縁の一方の角内部域に冷却水入口マニホールド及び他方の角内部域に空気出口マニホールドを、合計6個同一パターンで穿孔してあること、そして、
正極セパレータの空気流路溝は上記上縁の一方の角内部域空気入口マニホールドから対角位置にある下縁の角内部域の空気出口マニホールドへ空気を概ね下向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら下降する連続線パターンで該正極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
負極セパレータの燃料流路溝は片方の上記縦縁の中間位置内部域の燃料入口マニホールドから他方の縦縁の中間位置内部域の燃料出口マニホールドへ燃料を流動させる少なくとも1本の細溝からなり、負極セパレータ表面を上下垂直方向に直線状に往復蛇行する連続線パターンで該負極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
冷却水セパレータの冷却水流路溝は上記の下縁の一方の角内部域の冷却水入口マニホールドから対角位置にある上縁の角内部域の冷却水出口マニホールドへ冷却水を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、冷却水セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該冷却水セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、
を特徴とする上記燃料電池スタックを提供する。
【0012】
この明細書において、本発明のセパレータに関する記載をなす際に、「空気」とは、燃料電池の酸化剤として有用な酸素含有ガスを広く包含するものであり、単に空気のみでなく、酸素濃度を調節した空気(例えば酸素強化空気)その他の酸化剤として有用な酸素含有ガスを指称するものであり、このことは当業者の容易に了解するところである。また、本発明のセパレータに関する記載をなす際に、「燃料」とは、代表的には水素ガスまたは水素含有ガスであるが、最近の燃料電池に燃料として供給することが知られているメタノール、ガソリン、軽油等の水素ガス前駆物質を包含する意味で使用するものであり、この点も当業者の容易に了解するところである。
【0013】
添付図により本発明をさらに説明する。
【0014】
図1、2及び3は本発明の第1の態様による正極(酸素極)セパレータ、負極(水素極)セパレータ及び冷却水セパレータの正面概略図であり、流路パターンの基本的例をそれぞれ示している。各セパレータには左上角に空気入口2、右上角に冷却水出口3、左側中間部に燃料入口4、右側中間部に燃料出口5、左下角部に冷却水入口6そして右下角部に空気出口7の内部式マニホールドが同一のパターンで穿孔されている。正極及び負極についても上記の6個のマニホールドが同一のパターンで設けられている。
【0015】
図1は、正極(酸素極)セパレータ1における空気流路パターンの基本的な一例を表わしており、運転中に発生するおそれがある水滴による流路の目詰まり(あるいは水滴による気体流動抵抗の上昇)を予防するため、空気流を左上の入口マニホールド2から右下の出口マニホールド7に向けて順次流下させるようになっている。従ってたとえ水滴が溜ったとしても重力の作用により滞りなく排出される。正極セパレータの材質は、例えばカーボン、金属(ステンレス鋼等)であり、流路溝は例えばエンボス加工、プレス加工等によって形成される。空気流路溝の寸法は、巾が例えば約2〜3mm、深さが例えば約0.5〜1mmである。正極セパレータの空気流路溝は、上記の入口マニホールドから出口マニホールドへ導かれる際に正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に蛇行しながら下降する一筆描きの如き連続線パターンで該セパレータ表面ほぼ全体にわたり分布するように配置されている。空気流路溝は1本だけではなく複数本であってもよく、例えば図4に示されるように正極セパレータ1の左側の空気入口マニホールド2、燃料入口マニホールド4及び冷却水入口マニホールド6が設けられている縦方向帯域xを空気入口マニホールドから水平方向に直線状に往復蛇行しつつ降下し最後に空気出口マニホールド7へ到達する流路溝a;右側の冷却水出口マニホールド3、燃料出口マニホールド5及び空気出口マニホールド7が設けられている縦方向帯域yを同様に空気入口マニホールド2から空気出口マニホールド7へ到達する流路溝c;そして上記帯域x及びyの間に挟まれた中央の無穿孔縦方向帯域zを同様に空気入口マニホールド2から空気出口マニホールド7へ到達する流路溝b;を配置するパターンも可能である。このような複数の空気流路溝を配置することにより、空気供給が万遍なく行なわれ、たとえ1本の流路溝に閉塞等の支障が生じたとしても、他の残りの流路溝の機能のバックアップにより、当該セルの出力が甚大に低減しあるいは全滅するには至らない。図4は正極セパレータにおける空気流路パターンの一具体例を示し、この正極セパレータの空気流路溝は空気入口マニホールドから空気出口マニホールドへ向かう3本の別々の細溝からなり、その第1の細溝は主として空気入口マニホールド、燃料入口マニホールド及び冷却水入口マニホールドが設けられている側の縦方向帯域を、第2の細溝は主として冷却水出口マニホールド燃料出口マニホールド及び空気出口マニホールドが設けられている側の縦方向帯域を、そして第3の細溝は主として上記両縦方向帯域に挟まれた中央の無穿孔縦方向帯域を、水平方向に直線状に往復蛇行していることを特徴とする。
【0016】
図2は負極(水素極)セパレータ8における燃料(例えば水素を含む混合ガス)流路パターンの基本的な一例を表わしており、図1の空気流路溝と直交する上下垂直方向に直線状に往復蛇行する一筆描きの如き連続線パターンで、左側中間部の燃料入口マニホールド4から右側中間部の燃料出口マニホールド5へ、負極セパレータの表面をほぼ全体にわたり覆うように配置されているものである。負極セパレータ8の材質は正極セパレータ1と同様であってよく、燃料流路溝の寸法(巾、深さ)やその形成加工方法も正極セパレータの場合と同様である。
【0017】
負極セパレータ8の燃料流路溝も複数本であってよく、図5には4本の例が示されており、表面がほぼ完全に流路溝で覆れている。なお燃料流路溝の出口と入口の位置は逆であってもよい。
【0018】
図3は冷却水セパレータ9における冷却水流路パターンの基本的な一例を表わしている。冷却水の温度上昇に伴なう対流(上向き)運動及び発生気泡の上方向移動の観点から、冷却水が下方(図の場合は左下の冷却水入口マニホールド6)から上方(右上の冷却水出口マニホールド3)へ通るようになっており、流路溝は左右水平方向に往復蛇行する連続線パターンで冷却水セパレータの全面にわたり分布されている。冷却水流路溝は、電池の運転温度の制御を目的としており、正極セパレータの空気流路溝や負極セパレータの燃料流路溝のように電池反応の均一促進のための物質供給を目的とするものではなく、電池を効率的に冷却するには冷却水流路溝の寸法(巾、深さ)は空気流路溝や燃料流路溝の寸法よりも一般に大きくてよい。図6には3本の冷却水流路溝を有する冷却水セパレータ9の例を示す。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、
(i) 内部マニホールド式の空気流路溝を一方の面に有する正極セパレータ、
(ii) 上記正極セパレータの空気流路溝付き面に一方の面を向けた正極、
(iii) 上記正極の他方の面に正極用触媒層を介して対面し、反対側の面に負極用触媒層を有する電解質層、
(iv) 上記負極用触媒層に対面する負極、
(v) 上記負極の裏側面に対面する内部マニホールド式の燃料流路溝付き負極セパレータ、
から構成されるセルの複数組を、それらの部材面を垂直に配向して重ね、かつ適宜な数のセル群の間に温度調節の目的で内部マニホールド式の冷却水流路溝付き冷却水セパレータ(vi)を挿入組込んでなる燃料電池スタックにおいて:
正極セパレータ、正極、両触媒層、電解質層、負極、負極セパレータ及び冷却水セパレータのすべての構成部材の上縁の一方の角内部域に空気入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水出口マニホールドを、上下の縁に沿った中間位置の内部域にそれぞれ燃料出口マニホールド及び空気出口マニホールドを、そして下縁の一方の角内部域に燃料入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水入口マニホールドを、合計6個同一パターンで穿孔してあること、そして、
正極セパレータの空気流路溝は上記上縁の一方の角内部域空気入口マニホールドから下縁に沿った中間位置の内部域の空気出口マニホールドへ空気を概ね下向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら下降する連続線パターンで該正極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
負極セパレータの燃料流路溝は上記下縁の一方の角内部域の燃料入口マニホールドから上記上縁に沿った中間位置内部域の燃料出口マニホールドへ燃料を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、負極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該負極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
冷却水セパレータの冷却水流路溝は上記の下縁の他方の角内部域の冷却水入口マニホールドから上記上縁の他方の角内部域の冷却水出口マニホールドへ冷却水を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、冷却水セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該冷却水セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、
を特徴とする上記燃料電池スタックが提供される。この明細書において、セパレータの流路溝における流体の流動に関して「概ね上向き」あるいは「概ね下向き」とは、流路溝をなす細溝の連続線パターンのうちの僅少部分が「下向き」あるいは「上向き」となりうるものの全体として実質的には「上向き」あるいは「下向き」に流体を流動させることを意味する。
【0020】
図7〜9は、図1〜6の第1態様のものとは異なる本発明第2態様によるマニホールド配列方式を有する正極セパレータ、負極セパレータ及び冷却水セパレータにおける各流路溝のパターンの別の列を示す。図7の正極セパレータ1は左上方の空気入口マニホールド2から下端部中央付近の空気出口マニホールド7へ向かう4本の空気流路溝を有し、図8の負極セパレータ8は、左下方の燃料入口マニホールド4から上端部中央付近の燃料出口マニホールド5へ向かう3本の燃料流路溝を有し、そして図9の冷却水セパレータ9は右下方の冷却水入口マニホールド6から右上方の冷却水出口マニホールド3へ向かう3本の冷却水流路溝を有している。
【0021】
燃料電池の電極(正極及び負極)付近において水蒸気が凝縮して水滴となりセパレータ流路溝内壁に付着して空気(酸化剤)流路溝及び燃料流路溝の目詰りを生じ、電池反応の進行を阻害することがある。このような問題の発生を防止するために、それらの流路溝の内部表面に撥水性のある材料のコーティングを施すと有効である。撥水性材料としては、例えばテフロン、シリコーン等が良い。そのようなコーティングは、たとえ流路溝壁面に水滴が付着したとしても、水滴の滑りを促進し、水滴をスムーズに除去しうる。カーボン製セパレータの場合には、そのようなコーティングによってガスの浸透や拡散を防止する効果も得られる。金属製セパレータの場合にはそのようなコーティングによって腐食防止効果があり、必要な導電性が確保され、従って耐用寿命延長効果も得られる。そのようなコーティングは絶縁性を示すので電極とセパレータとが直接に接する面には施さないように注意すべきである。
【0022】
図10は、従来の外部マニホールド式のセパレータ(正極、負極または冷却水)の正面図であり、このセパレータにおける電極対応領域は中央のAの部分のみである。しかるに本発明による内部マニホールド式のセパレータでは電極対応領域は四辺縁付近にまで拡張され、その面積の増加分は、同じ外郭寸法の場合に内部マニホールドの合計開口面積を差引いても、上記従来の外部マニホールド式のものと比較して約40%のオーダであり、それに相当する出力容量の増加が達成されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による正極セパレータにおける空気流路溝の基本的パターンの一例を示す正面図。
【図2】本発明による負極セパレータにおける燃料流路溝の基本的パターンの一例を示す正面図。
【図3】本発明による冷却水セパレータにおける冷却水流路溝の基本的パターンの一例を示す正面図。
【図4】3本の空気流路溝を有する正極セパレータの正面図。
【図5】4本の燃料流路溝を有する負極セパレータの正面図。
【図6】3本の冷却水流路溝を有する冷却水セパレータの正面図。
【図7】4本の空気流路溝を有する正極セパレータの正面図。
【図8】3本の燃料流路溝を有する負極セパレータの正面図。
【図9】3本の冷却水流路溝を有する冷却水セパレータの正面図。
【図10】従来の外部マニホールド式のセパレータの正面図。
【符号の説明】
1 正極セパレータ
2 空気入口マニホールド
3 冷却水出口マニホールド
4 燃料入口マニホールド
5 燃料出口マニホールド
6 冷却水入口マニホールド
7 空気出口マニホールド
8 負極セパレータ
9 冷却水セパレータ
【産業上の利用分野】
本発明は燃料電池スタックに関し、さらに詳しくは、内部マニホールド式の燃料電池スタックにおける正極(酸素極、酸化剤極または空気極とも称される。)セパレータ、負極(水素極または燃料極)セパレータ及び冷却水セパレータの流路溝パターンの改良ならびにそれによる出力密度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の実用化における重要課題の一つは、他種の実用電池と同様に単位容積あるいは重量当りの出力(すなわちkW/m3あるいはkW/kgで表わしうる出力密度)の向上である。
【0003】
内部マニホールド式の燃料電池スタックには、酸化剤としての酸素を含む気体、典型的には空気を通すためのマニホールド対(入口及び出口)、燃料としての水素または水素混合ガスを通すためのマニホールド対(入口及び出口)、及び温度制御用の冷却水を通すためのマニホールド対(入口及び出口)が設けられている。これらのマニホールドによって占められる面積のために、スタック内の電極の表面積が相対的に減少することになる。従ってそのような電極表面積の相対的減少は、出力に関しては負の要因となるから、それを補償しかつ克服する手段を採用して、スタックの単位体積(あるいは単位重量)当りの出力の維持ないし向上を計る必要がある。
【0004】
一般的には水素燃料電池の基本構造は、空気(酸素ガス)導入正極セパレータ;正極;片面に正極用触媒層(例:Pt)、他面に負極用触媒層(例:Pt−Rh)を設けた電解質層(例:フッ素樹脂系);負極;燃料(水素ガス)導入負極セパレータ;からなるセルを単位としており、数セル(例えば2〜6セル)おきに冷却水セパレータを配置組入れてスタックを構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、内部マニホールド式の場合の電極(正及び負極)の表面積の減少及びそれによる出力低域を補償し、あるいは出力を向上させ、そして電池反応を効率的に進行させるための技術を鋭意探究、研究、検討した。
【0006】
その結果として、酸素と正極との接触の緊密化、その接触面積の増大、及びガス流中の水分の凝縮によるガス流路の閉塞(あるいはガス流動抵抗の増大)防止を可能とする正極セパレータ酸素流路溝のパターンが重要であり、それにより正極の実効面積の向上が得られ、かつ正極反応2H++1/2O2+2e−→H2Oで消費される供給酸素の割合の増加により電池機能の総合効率改善の大きな要因になるとの所見を得た。
【0007】
また、同様に水素と負極との接触の緊密化、その接触面積の増大を可能とする負極セパレータ水素流路溝のパターンが重要であり、それにより負極の実効面積の向上が得られ、かつ負極反応H2→2H++2e−で消費される供給酸素の割合の増加により電池機能の総合効率改善の大きな要因になるとの所見を得た。なお、上記のように負極反応によっては水が生成しないので、水素と共に水蒸気が混合され供給される場合が多いとはいえ、酸素セパレータの場合のように水凝縮による流路閉塞の問題は一般には比較的生じ難いので、水素流路溝は左右水平方向の線分が長くても良いことが判明した。
【0008】
さらに電池の反応性の均一化を計ると同時に構成部材の保護のため、電池温度を最適値に安定に維持するための冷却水セパレータの水流路溝のパターンが重要であるとの所見を得た。殊に加熱された水中に生じる気泡を抜くために下から上へ移る流路を与えることが重要である。
【0009】
さらに加うるに、正極セパレータの酸素流路溝の内部表面や負極セパレータの水素流路溝の内側表面に撥水性のある材料(テフロン、シリコーン等)をコーティングを施すことにより、流路壁での水滴の滑りが促進され、流路壁への凝縮水の付着やそれによるガス流路の閉塞が有効に防止されることを見出した。正極セパレータが金属製である場合にはさらに酸化が防止され、それにより電導性が維持され、寿命が延長する。セパレータがカーボン製である場合にはセパレータ内へのガス拡散が良好に防止されることも判明した。本発明は上記のような燃料電池用セパレータ類、ならびにそれらを組込んだ燃料電池スタックの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題及び諸所見に基き、燃料電池の出力密度を向上させると共に電池機能及び作動の安定性の向上のため本発明を完成した。
【0011】
かくして、本発明は、その第1の態様によれば、
(i) 内部マニホールド式の空気流路溝を一方の面に有する正極セパレータ、
(ii) 上記正極セパレータの空気流路溝付き面に一方の面を向けた正極、
(iii) 上記正極の他方の面に正極用触媒層を介して対面し、反対側の面に負極用触媒層を有する電解質層、
(iv) 上記負極用触媒層に対面する負極、
(v) 上記負極の裏側面に対面する内部マニホールド式の燃料流路溝付き負極セパレータ、
から構成されるセルの複数組を、それらの部材面を垂直に配向して重ね、かつ適宜な数のセル群の間に温度調節の目的で内部マニホールド式の冷却水流路溝付き冷却水セパレータ(vi)を挿入組込んでなる燃料電池スタックにおいて:
正極セパレータ、正極、両触媒層、電解質層、負極、負極セパレータ及び冷却水セパレータのすべての構成部材の上縁の一方の角内部域に空気入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水出口マニホールドを、左右の縦縁に沿った中間位置の内部域にそれぞれ燃料入口マニホールド及び燃料出口マニホールドを、そして下縁の一方の角内部域に冷却水入口マニホールド及び他方の角内部域に空気出口マニホールドを、合計6個同一パターンで穿孔してあること、そして、
正極セパレータの空気流路溝は上記上縁の一方の角内部域空気入口マニホールドから対角位置にある下縁の角内部域の空気出口マニホールドへ空気を概ね下向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら下降する連続線パターンで該正極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
負極セパレータの燃料流路溝は片方の上記縦縁の中間位置内部域の燃料入口マニホールドから他方の縦縁の中間位置内部域の燃料出口マニホールドへ燃料を流動させる少なくとも1本の細溝からなり、負極セパレータ表面を上下垂直方向に直線状に往復蛇行する連続線パターンで該負極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
冷却水セパレータの冷却水流路溝は上記の下縁の一方の角内部域の冷却水入口マニホールドから対角位置にある上縁の角内部域の冷却水出口マニホールドへ冷却水を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、冷却水セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該冷却水セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、
を特徴とする上記燃料電池スタックを提供する。
【0012】
この明細書において、本発明のセパレータに関する記載をなす際に、「空気」とは、燃料電池の酸化剤として有用な酸素含有ガスを広く包含するものであり、単に空気のみでなく、酸素濃度を調節した空気(例えば酸素強化空気)その他の酸化剤として有用な酸素含有ガスを指称するものであり、このことは当業者の容易に了解するところである。また、本発明のセパレータに関する記載をなす際に、「燃料」とは、代表的には水素ガスまたは水素含有ガスであるが、最近の燃料電池に燃料として供給することが知られているメタノール、ガソリン、軽油等の水素ガス前駆物質を包含する意味で使用するものであり、この点も当業者の容易に了解するところである。
【0013】
添付図により本発明をさらに説明する。
【0014】
図1、2及び3は本発明の第1の態様による正極(酸素極)セパレータ、負極(水素極)セパレータ及び冷却水セパレータの正面概略図であり、流路パターンの基本的例をそれぞれ示している。各セパレータには左上角に空気入口2、右上角に冷却水出口3、左側中間部に燃料入口4、右側中間部に燃料出口5、左下角部に冷却水入口6そして右下角部に空気出口7の内部式マニホールドが同一のパターンで穿孔されている。正極及び負極についても上記の6個のマニホールドが同一のパターンで設けられている。
【0015】
図1は、正極(酸素極)セパレータ1における空気流路パターンの基本的な一例を表わしており、運転中に発生するおそれがある水滴による流路の目詰まり(あるいは水滴による気体流動抵抗の上昇)を予防するため、空気流を左上の入口マニホールド2から右下の出口マニホールド7に向けて順次流下させるようになっている。従ってたとえ水滴が溜ったとしても重力の作用により滞りなく排出される。正極セパレータの材質は、例えばカーボン、金属(ステンレス鋼等)であり、流路溝は例えばエンボス加工、プレス加工等によって形成される。空気流路溝の寸法は、巾が例えば約2〜3mm、深さが例えば約0.5〜1mmである。正極セパレータの空気流路溝は、上記の入口マニホールドから出口マニホールドへ導かれる際に正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に蛇行しながら下降する一筆描きの如き連続線パターンで該セパレータ表面ほぼ全体にわたり分布するように配置されている。空気流路溝は1本だけではなく複数本であってもよく、例えば図4に示されるように正極セパレータ1の左側の空気入口マニホールド2、燃料入口マニホールド4及び冷却水入口マニホールド6が設けられている縦方向帯域xを空気入口マニホールドから水平方向に直線状に往復蛇行しつつ降下し最後に空気出口マニホールド7へ到達する流路溝a;右側の冷却水出口マニホールド3、燃料出口マニホールド5及び空気出口マニホールド7が設けられている縦方向帯域yを同様に空気入口マニホールド2から空気出口マニホールド7へ到達する流路溝c;そして上記帯域x及びyの間に挟まれた中央の無穿孔縦方向帯域zを同様に空気入口マニホールド2から空気出口マニホールド7へ到達する流路溝b;を配置するパターンも可能である。このような複数の空気流路溝を配置することにより、空気供給が万遍なく行なわれ、たとえ1本の流路溝に閉塞等の支障が生じたとしても、他の残りの流路溝の機能のバックアップにより、当該セルの出力が甚大に低減しあるいは全滅するには至らない。図4は正極セパレータにおける空気流路パターンの一具体例を示し、この正極セパレータの空気流路溝は空気入口マニホールドから空気出口マニホールドへ向かう3本の別々の細溝からなり、その第1の細溝は主として空気入口マニホールド、燃料入口マニホールド及び冷却水入口マニホールドが設けられている側の縦方向帯域を、第2の細溝は主として冷却水出口マニホールド燃料出口マニホールド及び空気出口マニホールドが設けられている側の縦方向帯域を、そして第3の細溝は主として上記両縦方向帯域に挟まれた中央の無穿孔縦方向帯域を、水平方向に直線状に往復蛇行していることを特徴とする。
【0016】
図2は負極(水素極)セパレータ8における燃料(例えば水素を含む混合ガス)流路パターンの基本的な一例を表わしており、図1の空気流路溝と直交する上下垂直方向に直線状に往復蛇行する一筆描きの如き連続線パターンで、左側中間部の燃料入口マニホールド4から右側中間部の燃料出口マニホールド5へ、負極セパレータの表面をほぼ全体にわたり覆うように配置されているものである。負極セパレータ8の材質は正極セパレータ1と同様であってよく、燃料流路溝の寸法(巾、深さ)やその形成加工方法も正極セパレータの場合と同様である。
【0017】
負極セパレータ8の燃料流路溝も複数本であってよく、図5には4本の例が示されており、表面がほぼ完全に流路溝で覆れている。なお燃料流路溝の出口と入口の位置は逆であってもよい。
【0018】
図3は冷却水セパレータ9における冷却水流路パターンの基本的な一例を表わしている。冷却水の温度上昇に伴なう対流(上向き)運動及び発生気泡の上方向移動の観点から、冷却水が下方(図の場合は左下の冷却水入口マニホールド6)から上方(右上の冷却水出口マニホールド3)へ通るようになっており、流路溝は左右水平方向に往復蛇行する連続線パターンで冷却水セパレータの全面にわたり分布されている。冷却水流路溝は、電池の運転温度の制御を目的としており、正極セパレータの空気流路溝や負極セパレータの燃料流路溝のように電池反応の均一促進のための物質供給を目的とするものではなく、電池を効率的に冷却するには冷却水流路溝の寸法(巾、深さ)は空気流路溝や燃料流路溝の寸法よりも一般に大きくてよい。図6には3本の冷却水流路溝を有する冷却水セパレータ9の例を示す。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、
(i) 内部マニホールド式の空気流路溝を一方の面に有する正極セパレータ、
(ii) 上記正極セパレータの空気流路溝付き面に一方の面を向けた正極、
(iii) 上記正極の他方の面に正極用触媒層を介して対面し、反対側の面に負極用触媒層を有する電解質層、
(iv) 上記負極用触媒層に対面する負極、
(v) 上記負極の裏側面に対面する内部マニホールド式の燃料流路溝付き負極セパレータ、
から構成されるセルの複数組を、それらの部材面を垂直に配向して重ね、かつ適宜な数のセル群の間に温度調節の目的で内部マニホールド式の冷却水流路溝付き冷却水セパレータ(vi)を挿入組込んでなる燃料電池スタックにおいて:
正極セパレータ、正極、両触媒層、電解質層、負極、負極セパレータ及び冷却水セパレータのすべての構成部材の上縁の一方の角内部域に空気入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水出口マニホールドを、上下の縁に沿った中間位置の内部域にそれぞれ燃料出口マニホールド及び空気出口マニホールドを、そして下縁の一方の角内部域に燃料入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水入口マニホールドを、合計6個同一パターンで穿孔してあること、そして、
正極セパレータの空気流路溝は上記上縁の一方の角内部域空気入口マニホールドから下縁に沿った中間位置の内部域の空気出口マニホールドへ空気を概ね下向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら下降する連続線パターンで該正極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
負極セパレータの燃料流路溝は上記下縁の一方の角内部域の燃料入口マニホールドから上記上縁に沿った中間位置内部域の燃料出口マニホールドへ燃料を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、負極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該負極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
冷却水セパレータの冷却水流路溝は上記の下縁の他方の角内部域の冷却水入口マニホールドから上記上縁の他方の角内部域の冷却水出口マニホールドへ冷却水を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、冷却水セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該冷却水セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、
を特徴とする上記燃料電池スタックが提供される。この明細書において、セパレータの流路溝における流体の流動に関して「概ね上向き」あるいは「概ね下向き」とは、流路溝をなす細溝の連続線パターンのうちの僅少部分が「下向き」あるいは「上向き」となりうるものの全体として実質的には「上向き」あるいは「下向き」に流体を流動させることを意味する。
【0020】
図7〜9は、図1〜6の第1態様のものとは異なる本発明第2態様によるマニホールド配列方式を有する正極セパレータ、負極セパレータ及び冷却水セパレータにおける各流路溝のパターンの別の列を示す。図7の正極セパレータ1は左上方の空気入口マニホールド2から下端部中央付近の空気出口マニホールド7へ向かう4本の空気流路溝を有し、図8の負極セパレータ8は、左下方の燃料入口マニホールド4から上端部中央付近の燃料出口マニホールド5へ向かう3本の燃料流路溝を有し、そして図9の冷却水セパレータ9は右下方の冷却水入口マニホールド6から右上方の冷却水出口マニホールド3へ向かう3本の冷却水流路溝を有している。
【0021】
燃料電池の電極(正極及び負極)付近において水蒸気が凝縮して水滴となりセパレータ流路溝内壁に付着して空気(酸化剤)流路溝及び燃料流路溝の目詰りを生じ、電池反応の進行を阻害することがある。このような問題の発生を防止するために、それらの流路溝の内部表面に撥水性のある材料のコーティングを施すと有効である。撥水性材料としては、例えばテフロン、シリコーン等が良い。そのようなコーティングは、たとえ流路溝壁面に水滴が付着したとしても、水滴の滑りを促進し、水滴をスムーズに除去しうる。カーボン製セパレータの場合には、そのようなコーティングによってガスの浸透や拡散を防止する効果も得られる。金属製セパレータの場合にはそのようなコーティングによって腐食防止効果があり、必要な導電性が確保され、従って耐用寿命延長効果も得られる。そのようなコーティングは絶縁性を示すので電極とセパレータとが直接に接する面には施さないように注意すべきである。
【0022】
図10は、従来の外部マニホールド式のセパレータ(正極、負極または冷却水)の正面図であり、このセパレータにおける電極対応領域は中央のAの部分のみである。しかるに本発明による内部マニホールド式のセパレータでは電極対応領域は四辺縁付近にまで拡張され、その面積の増加分は、同じ外郭寸法の場合に内部マニホールドの合計開口面積を差引いても、上記従来の外部マニホールド式のものと比較して約40%のオーダであり、それに相当する出力容量の増加が達成されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による正極セパレータにおける空気流路溝の基本的パターンの一例を示す正面図。
【図2】本発明による負極セパレータにおける燃料流路溝の基本的パターンの一例を示す正面図。
【図3】本発明による冷却水セパレータにおける冷却水流路溝の基本的パターンの一例を示す正面図。
【図4】3本の空気流路溝を有する正極セパレータの正面図。
【図5】4本の燃料流路溝を有する負極セパレータの正面図。
【図6】3本の冷却水流路溝を有する冷却水セパレータの正面図。
【図7】4本の空気流路溝を有する正極セパレータの正面図。
【図8】3本の燃料流路溝を有する負極セパレータの正面図。
【図9】3本の冷却水流路溝を有する冷却水セパレータの正面図。
【図10】従来の外部マニホールド式のセパレータの正面図。
【符号の説明】
1 正極セパレータ
2 空気入口マニホールド
3 冷却水出口マニホールド
4 燃料入口マニホールド
5 燃料出口マニホールド
6 冷却水入口マニホールド
7 空気出口マニホールド
8 負極セパレータ
9 冷却水セパレータ
Claims (7)
- (i) 内部マニホールド式の空気流路溝を一方の面に有する正極セパレータ、
(ii) 上記正極セパレータの空気流路溝付き面に一方の面を向けた正極、
(iii) 上記正極の他方の面に正極用触媒層を介して対面し、反対側の面に負極用触媒層を有する電解質層、
(iv) 上記負極用触媒層に対面する負極、
(v) 上記負極の裏側面に対面する内部マニホールド式の燃料流路溝付き負極セパレータ、
から構成されるセルの複数組を、それらの部材面を垂直に配向して重ね、かつ適宜な数のセル群の間に温度調節の目的で内部マニホールド式の冷却水流路溝付き冷却水セパレータ(vi)を挿入組込んでなる燃料電池スタックにおいて:
正極セパレータ、正極、両触媒層、電解質層、負極、負極セパレータ及び冷却水セパレータのすべての構成部材の上縁の一方の角内部域に空気入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水出口マニホールドを、左右の縦縁に沿った中間位置の内部域にそれぞれ燃料入口マニホールド及び燃料出口マニホールドを、そして下縁の一方の角内部域に冷却水入口マニホールド及び他方の角内部域に空気出口マニホールドを、合計6個同一パターンで穿孔してあること、そして、
正極セパレータの空気流路溝は上記上縁の一方の角内部域空気入口マニホールドから対角位置にある下縁の角内部域の空気出口マニホールドへ空気を概ね下向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら下降する連続線パターンで該正極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
負極セパレータの燃料流路溝は片方の上記縦縁の中間位置内部域の燃料入口マニホールドから他方の縦縁の中間位置内部域の燃料出口マニホールドへ燃料を流動させる少なくとも1本の細溝からなり、負極セパレータ表面を上下垂直方向に直線状に往復蛇行する連続線パターンで該負極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
冷却水セパレータの冷却水流路溝は上記の下縁の一方の角内部域の冷却水入口マニホールドから対角位置にある上縁の角内部域の冷却水出口マニホールドへ冷却水を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、冷却水セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該冷却水セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、
を特徴とする上記燃料電池スタック。 - (i) 内部マニホールド式の空気流路溝を一方の面に有する正極セパレータ、
(ii) 上記正極セパレータの空気流路溝付き面に一方の面を向けた正極、
(iii) 上記正極の他方の面に正極用触媒層を介して対面し、反対側の面に負極用触媒層を有する電解質層、
(iv) 上記負極用触媒層に対面する負極、
(v) 上記負極の裏側面に対面する内部マニホールド式の燃料流路溝付き負極セパレータ、
から構成されるセルの複数組を、それらの部材面を垂直に配向して重ね、かつ適宜な数のセル群の間に温度調節の目的で内部マニホールド式の冷却水流路溝付き冷却水セパレータ(vi)を挿入組込んでなる燃料電池スタックにおいて:
正極セパレータ、正極、両触媒層、電解質層、負極、負極セパレータ及び冷却水セパレータのすべての構成部材の上縁の一方の角内部域に空気入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水出口マニホールドを、上下の縁に沿った中間位置の内部域にそれぞれ燃料出口マニホールド及び空気出口マニホールドを、そして下縁の一方の角内部域に燃料入口マニホールド及び他方の角内部域に冷却水入口マニホールドを、合計6個同一パターンで穿孔してあること、そして、
正極セパレータの空気流路溝は上記上縁の一方の角内部域空気入口マニホールドから下縁に沿った中間位置の内部域の空気出口マニホールドへ空気を概ね下向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、正極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら下降する連続線パターンで該正極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
負極セパレータの燃料流路溝は上記下縁の一方の角内部域の燃料入口マニホールドから上記上縁に沿った中間位置内部域の燃料出口マニホールドへ燃料を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、負極セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該負極セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、及び/または
冷却水セパレータの冷却水流路溝は上記の下縁の他方の角内部域の冷却水入口マニホールドから上記上縁の他方の角内部域の冷却水出口マニホールドへ冷却水を概ね上向きに流動させる少なくとも1本の細溝からなり、冷却水セパレータ表面を左右水平方向に直線状に往復蛇行しながら上昇する連続線パターンで該冷却水セパレータの表面ほぼ全体にわたり分布していること、
を特徴とする上記燃料電池スタック。 - 請求項1または2に記載の空気流路溝パターンを有する正極セパレータ。
- 空気流路溝の内部表面に撥水材のコーティングを施してある請求項3の正極セパレータ。
- 請求項1または2に記載の燃料流路溝パターンを有する負極セパレータ。
- 燃料流路溝の内部表面に撥水材のコーティングを施してある請求項5の負極セパレータ。
- 請求項1または2に記載の冷却水流路溝パターンを有する冷却水セパレータ。
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