JP3548005B2 - フロー制御方法及びフロー制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット通信システムやATM通信システムの通信端末が、セルやパケットの送出速度を決める際に必要となるフロー制御方法及びフロー制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パケット廃棄が観測されたときには、一度に送出できるパケット数または情報量(これをウィンドウサイズと呼ぶ)を減らし、正常に受信端末にパケットが届いたことがACKにより確認されたときには、ウィンドウサイズを増加させるTCPの方式には、TahoeとReno(W.R.Stevens,TCP/IP Illustrated,Vol.1:The Protocols,Addison−Wesley,1994)がある。
【0003】
また、最小のRTT(BaseRTT)とACKの到着ごとに観測される現在のRTT(ActRTT)、ウィンドウサイズ(WindowSize)、ActRTTの間に送信さたパケット数または情報量(SendPacket)から、式(1)によりDiffを計算し、
Expected=WindowSize/BaseRTT
Actual=SendPacket/ActRTT
Diff=Expected−Actual …(1)
適当なしきい値α,β(α<β)を用いて、以下のようにWindowSizeを決定するVegas(L.S.Brankmo,L.L.Peterson,“TCP Vegas:End to End Congestion Avoidance on a Global Internet”,IEEE J.on Selected Areas in Comm.,Vol.13,No.8,pp.1465−1480.Oct.1995)が提案された。
1)Diff<αの場合、次のRTTの間に、WindowSizeを線形に増加させる。
2)Diff>βの場合、次のRTTの間に、WindowSizeを線形に減少させる。
3)α<Diff<βの場合、WindowSizeを変えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来方式のTahoe,Renoではウィンドウサイズの増加および減少速度を、Vegasではしきい値αおよびβを決める必要があるが、これらのパラメータと最適なウィンドウサイズ制御の関係が明らかでないため、最適なパラメータを決めることが困難であった。また、パラメータ決定の際に用いた網構成(例えば、RTTの最小値(伝搬遅延)やパケット交換機のバッファ量)が変化すると、スループットは大幅に低下するという欠点があった。
【0005】
また、Tahoe,Reno,Vegasで用いられている通信プロトコルを用いて、複数の端末が独立にスループットを最大にするような制御を行うと、(1)公平な制御ができない、(2)最適な値が得られないという問題がある。さらに、ネットワークにパケット廃棄が起こるバッファが複数ある場合には、通過するバッファ数の違いにより、スループットが不公平になるという欠点があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、通信端末における最適なパケット送出速度を決定することが可能なフロー制御方法及びフロー制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)は、受信端末または通信網からの情報により通信網の輻輳を検出し、該輻輳の状況に応じて送信端末がパケットの送出速度を調整するパケット通信網におけるフロー制御方法であって、受信端末または通信網からの情報に基づいてパケット通信網の状態を表す特徴量を求め、求められたパケット通信網の状態を表す特徴量がパケット送出速度の増加に従って大きくなるような修正を施された所定の評価関数を最大にするように、パケット送出速度を決定することをことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、受信端末または通信網からの情報により(例えば、送信端末に到着したACKにより)、RTT(Round Trip Time;ACK到着時刻とパケット送信時刻の差)およびパケット廃棄の有無を求め、求められたRTTおよびパケット廃棄の有無に基づいてパケット通信網の状態を表す特徴量を求めるようにしてもよい。
【0009】
好ましくは、パケット通信網の状態を表す特徴量として、パケット廃棄率を用いるようにしてもよい。
【0010】
好ましくは、前記所定の評価関数として、保証すべきQOS(QualityOf Service)が高品質になるに従って前記求められたパケット通信網の状態を表す特徴量が大きくなるような修正をさらに施されたものを用いるようにしてもよい。
【0011】
好ましくは、パケット通信網の状態を表す特徴量または受信端末もしくは通信網からの情報に基づいてパケット通信網の構成を表すパラメータをさらに求め、前記所定の評価関数として、前記パケット通信網の構成を表すパラメータの増加に従って前記求められたパケット通信網の状態を表す特徴量の観測量が小さくなるような修正をさらに施されたものを用いるようにしてもよい。
【0012】
好ましくは、パケット通信網の構成を表すパラメータとして、パケットが通過するバッファ数に関するパラメータを用いるようにしてもよい。
【0013】
好ましくは、パケット通信網の構成を表すパラメータとして、送信したパケットが通過したバッファのうちパケット廃棄を起こした経験のあるバッファの総数を用いるようにしてもよい。
【0014】
好ましくは、前記パケット通信網の状態を表す特徴量を求めるに際して、スライディングウィンドウまたはジャンピングウィンドウにより前記パケット通信網の状態を観測する場合には、ウィンドウ長をパケット到着速度またはパケット送出速度に応じて変化させるようにしてもよい。
【0015】
好ましくは、前記パケット通信網の状態を表す特徴量を求めるに際して、xを受信端末または通信網から受け取った情報または送信端末の状態から求められる特徴量、S,tを適当な定数、W[x]をパケット通信網の状態を表す特徴量、W_old[x]を過去に導出したパケット通信網の状態を表す特徴量、φを過去に送出したパケットの送出速度から求まる値としたとき、W[x]を、W[x]=ωW_old[x]+ωx、ω=(1−S)1/(Tφ)、ω=1−ωにより計算し、その後にW_old[x]をW[x]に更新するようにしてもよい。
【0016】
本発明(請求項6)は、受信端末または通信網からの情報により通信網の輻輳を検出し、該輻輳の状況に応じて送信端末がパケットの送出速度を調整するパケット通信網におけるフロー制御装置であって、受信端末または通信網からの情報に基づいてパケット通信網の状態を表す特徴量を求める手段と、求められたパケット通信網の状態を表す特徴量がパケット送出速度の増加に従って大きくなるような修正を施された所定の評価関数を最大にするように、パケット送出速度を決定する手段とを備えたことをことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記パケット通信網の状態を表す特徴量を求める手段は、前記パケット通信網の状態を表す特徴量を求めるためにスライディングウィンドウまたはジャンピングウィンドウにより網状態を観測する際に、ウィンドウ長をパケット到着速度またはパケット送出速度に応じて制御するウィンドウ長制御手段と、ウィンドウ内のデータの統計を取る統計手段を有するようにしてもよい。
【0018】
好ましくは、前記パケット通信網の状態を表す特徴量を求める手段は、xを受信端末または通信網から受け取った情報または送信端末の状態から求められる特徴量、S,tを適当な定数、W[x]をパケット通信網の状態を表す特徴量、W_old[x]を過去に導出したパケット通信網の状態を表す特徴量、φを過去に送出したパケットの送出速度から求まる値としたとき、SとTを保持する定数記憶手段と、W_old[x]およびφを記憶する状態記憶手段と、該定数記憶手段に記憶されているSとTと該状態記憶手段に記憶されているφよりω=(1−S)1/(Tφ)とω=1−ωを計算する重み計算手段と、該状態記憶手段に記憶されているW_old[x]と該重み計算手段により計算されたωとωからW[x]=ωW_old[x]+ωxを計算する加重平均計算手段と、該加重平均計算手段によりW[x]が計算された後にW_old[x]をW[x]に更新する更新手段とを有するようにしてもよい。
【0019】
なお、装置に係る本発明は方法に係る発明としても成立し、方法に係る本発明は装置に係る発明としても成立する。
【0020】
また、装置または方法に係る本発明は、コンピュータに当該発明に相当する手順を実行させるための(あるいはコンピュータを当該発明に相当する手段として機能させるための、あるいはコンピュータに当該発明に相当する機能を実現させるための)プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体としても成立する。
【0021】
本発明によれば、通信端末における最適なパケット送出速度を決定することができる。
【0022】
また、複数の端末が独立に制御を行っても、公平な制御を実現することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態に係るフロー制御装置の構成を示す。また、図2に、本フロー制御装置によるフロー制御の処理手順を示す。
【0025】
本フロー制御装置は、ソフトウェアとして実現可能である。また、本フロー制御装置もしくはこれを実現するソフトウェアは典型的には制御対象となる通信端末に搭載されるが、これに限定されるものではない。
【0026】
図1に示されるように、本実施形態に係るフロー制御装置は、観測部1、網状態推定部2、網構成推定部3、パケット送出速度計算部4を備えている。
【0027】
観測部1は、送信端末へACKが到着すると(ステップS1)、RTT(Round Trip Time;ACK到着時刻とパケット送信時刻の差)を求めるとともに、パケット廃棄の有無を検出する(ステップS2,3)。
【0028】
網状態推定部2は、観測部1により求められたRTTとパケット廃棄の有無に基づいてパケット網の状態を示す特徴量(網構成推定部3のためのものとパケット送出速度計算部4のためのもの)を求める(ステップS4)。
【0029】
網構成推定部3は、網状態推定部2により求められたパケット網の状態を示す特徴量または受信端末もしくは通信網からの情報に基づいて、網構成を表すパラメータを推定する(ステップS5)。
【0030】
なお、網状態推定部2により求められたパケット網の状態を示す特徴量の代わりに、受信端末もしくは通信網からの情報に基づいて網構成を表すパラメータを推定することも可能である。この場合、網状態推定部2は、パケット送出速度計算部4のための、パケット網の状態を示す特徴量を求める。
【0031】
パケット送出速度計算部4は、網状態推定部2により求められたパケット網の状態を示す特徴量と網構成推定部3により求められた網構成を表すパラメータに基づいて、当該送信端末における最適なパケット送出速度を決定する(ステップS6)。
【0032】
なお、網構成を表すパラメータを用いないことも可能であり、網構成を表すパラメータを用いない場合には網構成推定部3(ステップS5)は不要である。また、この場合、パケット送出速度計算部4は、網状態推定部2により求められたパケット網の状態を示す特徴量に基づいて、当該送信端末における最適なパケット送出速度を決定する。
【0033】
また、本実施形態では、送信端末へACKが到着すると、RTTとパケット廃棄の有無を検出し、これらに基づいてパケット網の状態を示す特徴量を求めているが、他の方法によってパケット網の状態を示す特徴量を求めるようにしてもよい。
【0034】
以下、本実施形態に係る最適パケット送出速度の算出アルゴリズムの一例についてさらに詳しく説明する。
【0035】
最初に以下で用いる語句や変数について説明する。
【0036】
図3に例示するように、パケットは、送信情報を適当な長さに分割した情報セグメントと、宛先情報などが書かれたヘッダからなる。nはパケット内の情報セグメントに対するシーケンス番号を示す。ν[byte]は情報セグメント長(パケット長)を示す。
【0037】
λ(n)[byte/sec]は、当該送信端末におけるパケットnの送出速度を示す。
【0038】
y(n)は、パケットnの廃棄率である。
【0039】
z(n)[byte/sec]は、パケットnを送信することにより受信端末がエラーなしに受け取ることができる情報の情報速度(これをスループットと呼ぶ)を示す。
【0040】
次に、最適なパケット送出速度を決定するために用いる評価関数の一例およびパケット網の状態を示す特徴量の一例に関して説明する。
【0041】
ここでは、パケット網の状態を示す特徴量として、パケット廃棄率y(n)を用いる。
【0042】
そして、E[y(n)]をパケット廃棄率y(n)の期待値とすると、パケットnを送信するときの評価関数Jを、式(2)で定義する。
【0043】
J(n)=λ(n){1−ζλ(n)E[y(n)]} …(2)
なお、詳しくは後述するが、a,bは予め定めた定数であり、ζは予め定めた定数または特定の要因に依存して決定される定数である。
【0044】
y(n)は定常状態においてλ(n)の関数で表されるため、
E[y(n)]=E[α]λ(n) …(3)
で近似する。
【0045】
なお、パラメータkは、k≧1を満たすもので適宜設定すると好ましい。
【0046】
このE[α]は理論的に最適に同定される。例えば、最小自乗法(近藤次郎,“数学モデル−現象の数式化”,丸善)を用いると、E[α]は式(4)で定義される平均自乗誤差が最小となるように同定される。
【0047】
【数1】
Figure 0003548005
【0048】
ここで、ε(n)は、E[y(n)]とy(n)の誤差であり、式(5)で定義される。
ε(n)=E[y(n)]−y(n) …(5)
このとき、E[α]は、式(6)の解となる。
【0049】
【数2】
Figure 0003548005
【0050】
ここで、mは送信端末に到着したACKの総数である。また、Mはスライディングウィンドウの長さである。
【0051】
y(i)は、i個目のACKが到着したことにより観測されるパケット廃棄率であり、i個目のACKとi−1個目のACKの間にパケット廃棄がある場合は1、そうでない場合は0である。
【0052】
式(6)の解を計算するには、式(6)のΣを長さMのスライディングウィンドウを用いて計算する必要があるため、計算量またはハードウェアが大規模になる。そこで、例えば次のようにすることにより、より少ない計算量やハードウェア規模でE[α]を求めることができる。
【0053】
すなわち、まず、式(4)のΣを式(7)のような加重平均W[・]に置き換える。
【0054】
【数3】
Figure 0003548005
【0055】
すると、この置き換えによって、最適なE[α]は、最小自乗法より、式(8)の解となり、式(9)で表される。
【0056】
【数4】
Figure 0003548005
【0057】
ここで、λ(m)は、m個目のACKにより送達確認されたパケットが送信されたときのパケット送信速度である。
【0058】
このようにすれば、式(6)に用いられているような算術平均を用いてE[α]を計算する場合と比べて、大幅に計算量が削減される。
【0059】
ところで、式(7)において、ωを固定値としてもよいが、式(10)を計算することにより、端末間でのパケットの送出速度が公平になり、また、最適値への収束速度も向上するという効果が得られる。
【0060】
【数5】
Figure 0003548005
【0061】
ここで、λはQOS(Quality Of Service)を保証すべきパケット送信速度の最小値である。また、Tは適当な定数でありRTTより十分長くとることが望ましい。
【0062】
式(10)によるωのダイナミックな制御は、任意の変数x(n)の算術平均A[x(n)]をジャンピングウィンドウやスライディングウィンドウを用いて
A[x(n)]=Σx(i)/M (ただし、加算対象とするiの範囲はi=n−M+1〜n)
のように計算する際、ウィンドウ長Mを
M=Tλ(n−1)
とすることと等価になる。また、λ(n−1)の代わりに、W[λ(n−1)]やA[λ(n−1)]を用いてもよい。
【0063】
なお、ここでの計算は、網状態推定部2により行われる。
【0064】
次に、制御に網構成を表すパラメータを用いる場合には、ここで、網構成推定部3により網構成を表すパラメータを求めるが、この点に関しては後述する。
【0065】
次に、最適なパケット送出速度の決定について説明する。
【0066】
上記のようにして最適なE[α]が同定されて、パケット網の状態を示す特徴量が求まれば(網構成を表すパラメータを用いる場合にはこれも求まった後に)、同様に、パケット送出速度λも、最適化理論を用いて理論的に最適に決めることができる。
【0067】
例えば、極値法による最適化(近藤次郎,“数学モデル−現象の数式化”,丸善)によると、最適なパケット送出速度は、評価関数Jを表す式(2)をパケット送出速度λ(n)で微分して0とした式(11)の解である。
【0068】
【数6】
Figure 0003548005
【0069】
したがって、式(9)を式(11)に代入すると、パケット送出速度の最適解は式(12)で得られる。式(12)は、パケット通信網の状態を表す特徴量としてパケット廃棄率の加重平均を用いた例である。
【0070】
【数7】
Figure 0003548005
【0071】
なお、式(12)において、W[y(m)λ(m)]/W[λ(m)2k]を近似的に式(13)で計算することもできる。
W[y(m)λ(m)]/W[λ(m)2k
=W[y(m)]/W[λ(m)] …(13)
以上のようにして、送信端末におけるパケット送出速度を決める際に必要となる最適パケット送出速度を求めることができる。
【0072】
なお、ここでの計算は、パケット送出速度計算部4により行われる。
【0073】
上記において、パケット送出速度の代わりに、ウィンドウサイズを用いる場合には、ウィンドウサイズはλ(n)とRTTの積で計算することができる。
【0074】
以下では、式(2)に例示した評価関数およびこの評価関数におけるパラメータa,b,ζ(特に評価関数における通信網の状態を表す特徴量の修正)に関して説明する。以下で示す制御に必要な処理は基本的にパケット送出速度計算部4において行われるが、本制御に網構成を表すパラメータを用いる場合においてはこの網構成を表すパラメータは網構成推定部3により求められパケット送出速度計算部4に与えられる。
【0075】
ここで、式(2)におけるパラメータをa=1,b=0,ζ=1とした場合について検討する。この場合に、式(2)は式(14)のようになり、これはスループットの期待値E[z(n)]を表すものになることが分かる。
J(n)|a=1,b=0,ζ=1
=λ(n){1−E[y(n)]}=E[z(n)] …(14)
従って、a=1,b=0,ζ=1を式(12)に代入して得られる制御を表す式(15)は、スループットの期待値を最大にすることが分かる。
【0076】
【数8】
Figure 0003548005
【0077】
しかし、式(15)の制御は、端末が複数ある場合にはスループットが最適値に収束しないという欠点がある。
【0078】
そこで、b>0(好ましくはb≧1;さらに好ましくはb=1)とすることにより、端末が複数ある場合にも、スループットが最適値に収束し、各端末に公平なスループットが得られる制御を行うことができる。この場合、スループットの期待値を表す式(14)を最大にする制御において、式(14)のy(n)をλ(n)y(n)に置き換えており(b=1の場合)、パケット送出速度の増加に従ってパケット廃棄率の観測値が大きくなるような修正を行っていることになる。例えば、ネットワーク全体のパケット廃棄率をf(n)、i番目の端末のパケット廃棄率をy(n)、θを各端末のパケット廃棄率の偏りや確率変動を表す係数として、y(n)=θf(n)が成り立つと仮定すると、式(10)と式(12)の制御により、i番目の端末のパケット送出速度λ(n)は、式(16)で表される。
【0079】
【数9】
Figure 0003548005
【0080】
そのため、bが小さいとパケット廃棄率のわずかな偏りがパケット送出速度に大きく影響するが、b≧1の場合は影響が小さく公平性が保たれる。
【0081】
なお、他のパラメータについては、a≧1とすると好ましい(より好ましくはa=1)。また、ζ≧1とすると好ましい(例えば、ζ=200あるはζ=300といった程度の値を用いてもよい)。
【0082】
さて、上記では、評価関数に対してパケット通信網の状態を表す特徴量がパケット送出速度の増加に従って大きくなるような修正(第1の修正)を施する点について説明したが、上記修正と併せて、保証すべきQOSが高品質になるに従ってパケット通信網の状態を表す特徴量の観測値が大きくなるような修正(第2の修正)を施してもよい。
【0083】
このようにQOSが高品質になるに従ってζを大きく修正することにより、QOSの保証を行うことができる。この場合、スループットの期待値を表す式(14)を最大にする制御において、式(14)のy(n)をζy(n)に置き換えており、QOSが高品質になるに従ってパケット廃棄率の観測値が大きくなるような修正を施すことに等しい。
【0084】
式(12)による制御の定常状態では、パケット廃棄率は式(17)で近似できる。ここで、yは定常状態におけるパケット廃棄率であり、λは定常状態におけるパケット送出速度である。
【0085】
【数10】
Figure 0003548005
【0086】
式(17)より、yはλが小さいほど大きくなることが分かる。QOSを保証すべきパケット送信速度の最小値をλとすると、式(17)より式(18)が得られる。
【0087】
【数11】
Figure 0003548005
【0088】
従って、パケットが通過するバッファ数の増加に従って該パケット通信網の状態を表す特徴量が小さくなるような修正を施さない場合、与えられたQOSとλに対してζを式(19)により設定することにより、λ≧λの場合にはQOSを保証することができる。
【0089】
【数12】
Figure 0003548005
【0090】
また、上記した第1の修正と併せて、または第1の修正および第2の修正と併せて、パケット通信網の構成を表すパラメータの増加に従ってパケット通信網の状態を表す特徴量の観測量が小さくなるような修正(第3の修正)を施すようにしてもよい。パケット通信網の構成を表すパラメータは、例えば、パケットが通過したバッファ数に関係する値である。
【0091】
送信したパケットが通過したバッファ数の増加に従って該パケット通信網の状態を表す特徴量が小さくなるような修正を施すことにより、各端末のパケットが通過するバッファ数が異なっている場合でも、公平なスループットが得られるような制御が可能になる。
【0092】
ここで、パケット通信網の構成を表すパラメータとして、送信したパケットが通過したバッファのうち、パケット廃棄を起こした経験のあるバッファの総数の推定値E[N]を用いるとする。このとき、ζはE[N]の増加に従って小さく設定する。この制御は、スループットの期待値を表す式(14)を最大にする制御において、式(14)のy(n)をζy(n)で置き換えており、パケットが通過するバッファ数の増加に従ってパケット廃棄率の観測値が小さくなるような修正を施すことに等しい(なお、第2の修正も併せて行う場合には、ζは両方の要因を加味して決定される)。
【0093】
式(20)は、E[N]を計算するための一例である。
【0094】
【数13】
Figure 0003548005
【0095】
ここで、RTTaLはパケット廃棄の直後に到着したACKにより観測されたRTT、max[RTT],min[RTT]は各々観測された最大遅延と最小遅延である。パケット廃棄率が十分小さく、各バッファが輻輳する確立がほぼ等しいとき、E[N]は近似的にパケットが通過するバッファ数になる。
【0096】
また、ACKパケットに、パケットが通過する経路上のパケット廃棄が起こる可能性のあるバッファ数、各々のバッファにおける収容端末数、各々のバッファのバッファ長またはサービス速度に関する情報のすべてまたは一部が記録されている場合、E[N]をそれらの情報から導出することも可能である。
【0097】
パケットが通過するバッファ数の最大値Nを想定し、E[N]=Nのときにパケットの廃棄率の平均値がQOS以下になるようにζを決めることにより、E[N]≦N、λ≧λでQOSを保証することができる。式(21)は、このようなζの決め方の一例である。
【0098】
【数14】
Figure 0003548005
【0099】
さて、このような制御を実行する場合には、例えば、次のような処理が行われる。
まず、観測部1は、ACKが到着すると、RTTを計算し、パケット廃棄の有無を検出する。
次に、網状態推定部2は、パケット網の状態を示す特徴量として、パケット廃棄率の加重平均W[y(m)]、RTTの加重平均W[RTT]、パケット廃棄の直後に到着したACKにより観測されたRTTの加重平均W[RTTaL]、観測された遅延の最大値max[RTT]、および観測された遅延の最小値min[RTT]を計算する。
次に、網構成推定部3は、網構成を表すパラメータとして、E[N]を式(20)により計算する。
次に、パケット送出速度計算部4は、例えばa≧1かつb≧1として(特にa=1かつb=1が好ましい)、E[N]またはE[N]およびQOSによって定まるζを用いた式(12)により、当該送信端末における最適なパケット送出速度を決定する。
【0100】
また、網構成を表すパラメータを加味せずQOSを加味する場合には、例えば、まず、観測部1は、ACKが到着すると、RTTを計算し、パケット廃棄の有無を検出する。
次に、網状態推定部2は、パケット網の状態を示す特徴量として、パケット廃棄率の加重平均W[y(m)]を計算する。
次に、パケット送出速度計算部4は、例えばa≧1かつb≧0として(特にa=1かつb=1が好ましい)、QOSによって定まるζを用いた式(12)により、当該送信端末における最適なパケット送出速度を決定する。
なお、網構成を表すパラメータもQOSも加味しない場合には、例えば、まず、観測部1は、ACKが到着すると、RTTを計算し、パケット廃棄の有無を検出する。
次に、網状態推定部2は、パケット網の状態を示す特徴量として、パケット廃棄率の加重平均W[y(m)]を計算する。
次に、パケット送出速度計算部4は、予め定められたζを用いた式(12)により、当該送信端末における最適なパケット送出速度を決定する。
【0101】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0102】
本実施形態では、パケット廃棄の有無とRTTを、パケット網の平均的な特性を表すパケット廃棄率とパケット廃棄率の平均値に変換して利用しているため、ネットワークの確率的な変動を受けにくい。また、パケット送出速度を、最適な制御結果が得られるように理論的に導いているため、最適な制御結果が得られるパケット送出速度を決定できる。また、パケット送出速度とパケット廃棄率の関係式のパラメータを過去のデータから推定しているため、網の状態の構造に依存しないという特徴を持つ。
【0103】
さらに、パケットが通過するバッファ数の増加に従ってパケット通信網の状態を表す特徴量の観測値が小さくなるような修正を施した評価関数、またはこの修正に併せてパケット送出速度の増加に従ってパケット通信網の状態を表す特徴量の観測値が大きくなるとうな修正または保証すべきQOSが高品質になるに従ってパケット通信網の状態を表す特徴量の観測値が大きくなるような修正の少なくとも1つの修正を施した評価関数を用いることにより、各端末のパケットが通過するバッファが異なる場合でも、QOSを保証し、各端末のスループットが公平であり、端末やパケット通信網の初期状態にかかわらず最適なパケット送出速度に収束し、最大のスループットを得ることができる。
【0104】
ところで、上記実施形態は、評価関数J(n)を最大にするようにパケット送出速度を決定するフロー制御に関して説明しているが、本発明は、スループットをできるだけ大きくするような従来の方式にも適用可能である。
【0105】
例えば、次の式(22)のような従来方式について考える。
Figure 0003548005
式(22)では、パケット通信網の状態を表す特徴量としてRTTが用いられており、ある条件を満たす範囲でスループットができるだけ大きくなるようにしきい値が決められる。そのため、スループットを評価関数J(n)と考えれば、式(22)のフロー制御方式を、評価関数J(n)を最大にするようにパケット送出速度を決定するようなフロー制御とみなすことができる。
【0106】
従って、本発明を式(22)のような従来手法に適用するには、式(22)を次の式(23)のように修正すればよい。
Figure 0003548005
また、次の式(24)のような従来手法について考える。
Figure 0003548005
式(24)では、パケット通信網の状態を表す特徴量としてパケットの廃棄の有無が用いられており、パケット送出速度の減少方法や増加方法は、ある条件を満たす範囲でスループットができるだけ大きくなるように決められる。そのため、スループットを評価関数J(n)と考えれば、式(24)のフロー制御を、評価関数J(n)を最大にするようにパケット送出速度を決定するようなフロー制御とみなすことができる。
【0107】
従って、本発明を式(24)のような従来手法に適用するには、パケット廃棄の有無をパケット廃棄率に変換して、式(24)を次の式(25)のように修正すればよい。
Figure 0003548005
また、ある評価関数が小さくなるようにパケット送出速度を決めるフロー制御の場合、例えば、その評価関数の逆数をJ(n)とするような評価関数の変換を行うことにより、本発明を適用することができる。
【0108】
なお、以上の各機能は、ソフトウェアとしても実現可能である。
【0109】
また、本実施形態は、コンピュータに所定の手順を実行させるための(あるいはコンピュータを所定の手段として機能させるための、あるいはコンピュータに所定の機能を実現させるための)プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体として実施することもできる。
【0110】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において種々変形して実施することができる。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、通信端末における最適なパケット送出速度を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るフロー制御装置の構成を示す図
【図2】同実施例におけるフロー制御の処理手順の一例を示すフローチャート
【図3】パケットと情報セグメントの関係を説明するための図
【符号の説明】
1…観測部
2…網状態推定部
3…網構成推定部
4…パケット送出速度計算部

Claims (5)

  1. 受信端末または通信網からの情報により通信網の輻輳を検出し、該輻輳の状況に応じて送信端末がパケットの送出速度を調整するパケット通信網におけるフロー制御方法であって、
    前記パケット通信網内で送出されるパケットの廃棄率の期待値と前記パケットの送出速度とから算出される前記パケットを受信する受信端末でのスループットの期待値が前記送出速度が増加するに従って小さくなるような評価関数を用いて、当該評価関数を最大にするように前記送出速度を決定することを特徴とするフロー制御方法。
  2. 前記評価関数はさらに、保証すべきQOSが高品質になるに従って前記スループットの期待値が小さくなるような評価関数であることを特徴とする請求項1に記載のフロー制御方法。
  3. 前記評価関数はさらに、前記パケットが通過するバッファの数が増加するに従って前記スループットの期待値が大きくなるような評価関数であることを特徴とする請求項1または2記載のフロー制御方法。
  4. スライディングウィンドウまたはジャンピングウィンドウにより前記廃棄率の期待値を求める場合には、ウィンドウ長を前記パケット送出速度に応じて変化させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のフロー制御方法。
  5. 受信端末または通信網からの情報により通信網の輻輳を検出し、該輻輳の状況に応じて送信端末がパケットの送出速度を調整するパケット通信網におけるフロー制御装置であって、
    前記パケット通信網内で送出されるパケットのパケット廃棄率の期待値と前記パケットの送出速度とから算出される前記パケットを受信する受信端末でのスループットの期待値が前記送出速度が増加するに従って小さくなるような評価関数を用いて、当該評価関数を最大にするように前記送出速度を決定する手段を備えたことを特徴とするフロー制御装置。
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