JP3545782B2 - 極秘文書の機密保持方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は極秘文書の機密保持方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機の普及により簡単に文書の複写が行なわれるようになったが、これに伴い、極秘文書の複写も安易に行なわれるようになり、極秘内容の外部への漏洩や不正使用の問題が生じている。
また、ファクシミリの普及により文書の送信も容易に行なわれるようになっており、ファクシミリによる極秘文書の外部への漏洩も問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現在普及している複写機やファクシミリにおいては、極秘文書等の複写や送信の防止対策は特になされておらず、容易に複写や送信されてしまう。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、極秘文書を暗号化あるいは符号化して保存することにより複写機やファクシミリによる極秘文書の複写や送信等を防止する極秘文書の機密保持方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の手段は、画像あるいはテキストのデジタル情報を見かけ上ランダムな信号に変化するシステムにおいてこのランダマイズされた信号を紙の上に白と黒のパターンの組み合わせとして印刷することを特徴とする暗号化方式により極秘文書の機密保持を行なうものである。
【0005】
第2の手段は、第1の手段の極秘文書の機密保持方法において、ランダマイズされる信号とは異なる領域に、対象とする情報の性質や分類を表わすコードを通常の文字(人間に読める文字)で表現することを特徴とする暗号化方式により極秘文書の機密保持を行なうものである。
【0006】
第3の手段は、第1の手段もしくは第2の手段の極秘文書の機密保持方法において、暗号化された情報を復号化するに当って、暗号化されたときと同じパスワードを入力し、情報を復元することを特徴とする暗号/復号化方式により極秘文書の機密保持を行なうものである。
【0007】
第4の手段は、画像を量子化した後、これをランレングス表現し、このランレングスを特定の数値に規格化/量子化することにより、所定のコードを合成する(埋め込む)信号の符号化方式により極秘文書の機密保持を行なうものである。
【0008】
第5の手段は、画像のランレングス表現において、各走査線ごとに、順次ランを第4の手段の符号化方式によって処理し、かつ同じ処理を複数の走査線にわたって繰り返すことを特徴とする符号化方式により極秘文書の機密保持を行なうものである(請求項)。
【0009】
第6の手段は、第4の手段または第5の手段の極秘文書の機密保持方法において、画像中にランの数が少ない場合は強制的に微小なランを発生させ、これにコードを埋め込むことを特徴とする符号化方式により極秘文書の機密保持を行なうものである(請求項)。
【0010】
第7の手段は、第4,第5または第6の手段の極秘文書の機密保持方法において、コードを埋め込まれた後のランレングスが、元の画像から大きくくずれると判断される場合は、等価な別のランレングスに変換することを特徴とする符号化方式により極秘文書の機密保持を行なうものである。
【0011】
【作用】
第1〜3の手段の極秘文書の機密保持方法では、極秘文書を暗号化して印刷することにより機密保持の安全性を高めることができる。
また、第4〜7の手段の極秘文書の機密保持方法では、極秘文書を符号化し所定のコードを合成することにより機密保持の安全性を高めることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
まず、第1〜3の手段の実施例について説明する。
従来、極秘文書の暗号化としては、バーコードを2次元化して記録する方法がNew York State University のPavlidisより提案されているが、これは従来に比べ記録密度が大幅に向上することが利点である。しかし、当然のことながら、このコードで書かれた内容は人間には判らない。Pavlidisのアイデアは通常の文書中にこのコードを混在させてコンピュータに読み取らせるというものである。すなわち、OCR(光学式文字認識装置)の代替案というわけである。そのような訳で彼の論文中には分類コードやキーワードによって検索を容易にするという概念は一切述べられていない。
上記のように、画像をスクランブルしたものは人間には内容が全く判らない。そのため、第1,第2の手段では、人にわかるように少なくとも最小の項目は文字や分類コードで表わす。このコードや分類は再生画像中には必ずしも必要ではない。目的は単に検索を容易にする、使い易さを追及するというものである。
【0013】
ここで、第1,第2の手段では、画像あるいはテキストのデジタル情報を見かけ上ランダムな信号に変化するシステムにおいてこのランダマイズされた信号を紙の上に白と黒のパターンの組み合わせとして印刷するが、上記ランダマイズされる信号とは異なる領域に、対象とする情報の性質や分類を表わすコードを通常の文字(人間に読める文字)で表現する。
以下、具体的な構成例について述べる。
図1は第1,第2の手段の実施例を示す図であって、暗号化文書の作成方法を示すフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理をデジタル複写機の制御用コンピュータ及び画像処理部で行なわせることにより暗号化文書を作成することができる。
【0014】
さて、暗号化文書の作成に際しては、まず複写機等の原稿読取部に設けられた画像入力装置(イメージスキャナー)により原稿を画素単位で読み取り、通常の場合、2値で量子化する(白黒画像)(図1−1)。
次に2値化された画像をランレングス(白または黒の連続する画素数:走査長)で表現した後(図1−2)、上記ランレングスを新たな表現形式にする(例えば、ランレングス表現をMR(Modified Read)コードにする)(図1−3)。
次に、分類コードとパスワードの入力を操作する人に要求し、入力されるまで待機状態となる(図1−4)。
分類コードとパスワードが入力されると、上記MRコード化された画像情報をある規則に従って暗号化する(図1−5)。
簡単な例としては、上記MRコードを5ビットずつに区切り、先頭から”i”番目の区切りのコードをM(i) と置く。そして以下の手続きによって暗号コードCODE(i)を求める。
No=N/3;
r(i+1)=mod(r(i)+i,No); r(i)=mod(N,No);
CODE(i)=r(i)※M(i);
ここで、mod(x,y)はxをyで割った余り、※は排他論理和を表わす。
【0015】
暗号コードCODE(i) が得られたら、次に、複写機の画像形成部で印刷を行なう。まず、分類コード、日付、及びページ数が用紙の上段に通常の文字で印刷される。続いて暗号化パターンの開始位置を示す記号(例えば水平な太線)が引かれる。続いて、上記手続きによって暗号化されたランレングスコード(CODE(i))が所定の大きさの白黒パターンに変換され印刷される。尚、この白黒パターンの適当な単位パターンサイズとしては0.2〜0.5mmの正方形で良い。また、1頁に収まらない場合は、次の頁に続くという意味の継続コード(例えば連続する100個の1または0)を最後に付加して、次の用紙に引き続き印刷する。
ここで、図3は上記方法によって作成された極秘文書の一例を示し、用紙の暗号化された領域より上段に通常の文字で分類やコードが印刷されている。また、図4は図3の暗号化領域に印刷される暗号化された画像信号の例であり、この状態では人には読むことができず、機密が保持される。
【0016】
ところで、暗号化した文書は通例、元の文書よりはサイズが大きくなる。しかし、余白が多い文書では必ずしも大きくならない。ここでは他の実施例として、意図的に1つの文書を複数枚に分散させ、機密保持の安全性をより高めるための処理方法を図2のフローチャートに示す。
図2において、先ず図1のステップ1〜5の処理を行ない、MRコード化された画像情報を暗号化する。
そして、もし暗号化されたコードの総数が1ページ分より少ないならば特定のコードを追加し、その総量が2ページ分になるまで加え続ける。
このとき、特定のコードを加える場所は、もとのコード総数cが、1ページ当りの印刷可能コード数pに対して、
n=[c/p] + 1
で与えられるnで当分した部分にである。ただし、nが1の時は、さらに1を加えるものとする。ここで[x]はxを越えない整数を表わす。
また、加える特定コードはどんなものでもよく、例えば、順次増加する整数をGray Codeで表わしたものでもよい。
【0017】
さて、以上のようにして暗号化された文書はそのままでは読むことができない。このため、必要に応じて画像を復元する。
画像の復号に際しては、第3の手段のように、暗号化されたときと同じパスワードを入力し、情報を復元する。すなわち、図1のフローチャートと逆の手続きを取る。先ず、パスワード配布者コードが入力され、受付可能の状態にする。
複写機はこのコードを復元画像の先頭に付加し、次に、図1のステップ4,3,2,1のプロセスを逆に辿りながら2値画像を再生する。
以下、暗号化された画像の復号方法の具体例について述べる。
【0018】
復号に際しては文書の分類を認識することから始まる。図3に示されるように各暗号化された文書には分類コードが付与される。図示の例では分類に日本語の分類名称が、コードに数値コードが割り当てられている。
この段階で極秘文書であるか否かをコードから判定し、もし極秘コードであればパスワードを要求する。この値をNとする。
画像入力装置(イメージスキャナー)で読み取られた原稿画像は最初コードの部分が文字認識装置によって読み取られる。このコードは通常活字文字であるから極めて高い精度で認識できる。もし文字認識の機能がなければ太い水平線(暗号化領域を示す)が現われるまで画像情報として画素のままメモリーに蓄えられる。
次に水平な線分を利用して、スキューが補正される。尚、水平な線分を利用して画像のスキューを補正する方法は既に良く知られているため説明を省略する。
【0019】
次に図1に示した暗号化の処理フローのステップ5に相当する復号化の例を示す。
暗号化領域を走査して読み取ったビット列を5つずつに区切り、先頭から”i”個目の区切りのビット列をB(i)と置き、次の手続きに従って復号化する。
No=N/3;
r(i+1)=mod(r(i)+i,No); r(1)=mod(N,No);
DECODE(i)=r(i)※B(i);
ここで、mod(x,y)はxをyで割った余り、※は排他論理和を表わす。
結果のビット列B(i)がMR符号化された画像信号であり、これを復号して画素単位で印刷すれば元の画像が復元される。尚、MRコードの復号には通常のファクシミリの復号器を使えばよい。
【0020】
次に、第4〜7の手段の実施例について説明する。
第4〜7の手段では、画像を量子化した後、これをランレングス表現し、このランレングスを特定の数値に規格化/量子化することにより、所定のコードを合成する(埋め込む)。
処理方法の一例としては、まず所定のコード(パスワード、操作する人、日付、部門など)を2進数に直す。次に原画像を2値化しさらにランレングスコード化する(例えばModified Read方式)。次にこのコードを2種類のランレングスに変形する(0の倍数/5の倍数等)。この時、所定のコードを合成する。そして、耐ノイズ性を持たせるため、冗長に上記処理を繰り返す。尚、原画像読み取り時のスキューの補正に関しては既に知られている技術が利用できる。
【0021】
ここで、図5は第4〜7の手段の実施例を示す図であって、画像を符号化するための処理方法を示すフローチャートである。
以下、図5の処理フローに沿って説明する。尚、図中のステップ0,1の画像の2値化とスキューの補正は従来より知られている方法を利用するので説明を省略する。
図5のステップ2において、ランレングス表現するのは画像データである。すなわち、2値化された画像をラスター走査しながら順次読み取っていき、白あるいは黒が連続する区間に固定のビット列を割り当てる。これは市販のファクシミリが採用している方式と同等である。
また同時に、機密文書特有の隠しコードを画像中に紛れ込ませることをここで実行する。今、利用者のパスワード(p)が12345、氏名(n)がSneaksであるとしよう。これを直列に並べて、
12345Sneaks
をビット列に変換する。ここでは例としてASCIIコードを採用すると、
00000001 00000010 00000011 00000100 00000101 01010011 10001110 10000101
10000001 10001011 10010011
となる。これをb[i]で表わす。ここでiはビット列の順番で例えばb[1]=0,b[2]=0,・・・b[8]=1,・・・である。
【0022】
次に処理フローのステップ3に移る。
詳細な手続きは図6に示す疑似コード化処理プログラム(ランレングス形式へのコードの埋め込み処理)に示されているが、これを言葉で言い替えると次のようになる。
画像をランレングス表現した後、各走査ライン毎に白または黒の連続区間を並べる。最初のランが例えば白ならば、そのランの数をr(1) で表わす。上で求めたようにb(1)=0だから、r(1) が6の整数倍ならr(1)+3 に変えて画像を記録する。もしr(1) が6の整数倍でなければr(1) を6で割り、余りを切り捨てるか切り上げたあと、これに3を加算する。したがって、このランは実際の画像より若干伸びていることになる。もしビット列に1が現われたら、ラン数を6の整数倍に変える。同様な処理を繰り返すと、この例ではビット列に0が多いから、全体的にランが伸びて画像が大きく変形する。これを防ぐために、常に元の走査線毎のラン数Rと比較し、
|R−r|
が0に近づくように、切り捨てか、切り上げの処理を選択する(上記r(1) が6の整数倍でない場合の処理)。尚、この部分は図6の疑似コード化処理プログラムには表現されていない。
【0023】
次に、図5のステップ4の処理として図7に実例が示されている。すなわち図7は図6に示す疑似コード化処理により得られた疑似コード(1次元)に基づいて原画AをBに変換したものである。尚、この図ではビット列として”11010”の簡単な例が示されている。
【0024】
実際の運用に当って、走査線が1本毎に異なるコードを埋め込まれてはビット列の再生は難しい。したがって、走査線の組(10〜300本)程度に同じ処理を繰り返すことが重要である。
また、画像はどんなものかあらかじめ知ることは不可能であるから、場合によってはランの数がほとんど0のところもあるであろう(例えば文字の行間)。このためにも繰り返しコード化をする必要がある。
【0025】
ところで、上記例では6の倍数を基準にしたが、一般的には任意の整数を基準に取ることができる。この整数は大きい程容易に解読されるが、画像の変形はより大きくなる。
【0026】
また前述したように、画像によってはランの数がほとんど0のところもあるであろう(例えば文字の行間)。このようなときは強制的に微小なパターンを入れてもよい。最も単純な例では、空白の多い部分において低い頻度(100分の1以下)の乱数を発生させ、これを画像パターンとみなす。そしてこれにコードを埋め込む。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、第1〜3の手段の極秘文書の機密保持方法では、極秘文書を暗号化して印刷することにより機密保持の安全性を高めることができる。したがって、複写機やファクシミリ等による極秘文書の複写や送信等を未然に防止することができる。
【0028】
第4〜7の手段(請求項1,2)の極秘文書の機密保持方法では、極秘文書を符号化し所定のコードを合成することにより機密保持の安全性を高めることができ、複写機やファクシミリ等による極秘文書の複写や送信等を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1,第2の手段の実施例を示す図であって、暗号化文書の作成方法を示すフローチャートである。
【図2】第1,第2の手段の別の実施例を示す図であって、暗号化文書の作成方法を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す方法によって作成された極秘文書の一例を示す図である。
【図4】図3の暗号化領域に印刷される暗号化された画像信号の例である。
【図5】第4〜7の手段の実施例を示す図であって、画像を符号化するための処理方法を示すフローチャートである。
【図6】疑似コード化処理プログラム(ランレングス形式へのコードの埋め込み処理)の一例を示す図である。
【図7】図6に示す疑似コード化処理により得られた疑似コード(1次元)に基づいて原画AをBに変換した例を示す図である。
【符号の説明】

Claims (2)

  1. 画像を量子化した後、これをランレングス表現し、このランレングスを特定の数値に規格化/量子化することにより、所定のコードを合成する(埋め込む)符号化方式を用い、画像のランレングス表現において、各走査線ごとに、順次ランを前記符号化方式によって処理し、かつ同じ処理を複数の走査線にわたって繰り返すことを特徴とする極秘文書の機密保持方法。
  2. 請求項1記載の極秘文書の機密保持方法において、画像中にランの数が少ない場合は強制的に微小なランを発生させ、これにコードを埋め込むことを特徴とする極秘文書の機密保持方法。
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