JP3545049B2 - 電源エネルギ障害時の逆起電力整流電圧 - Google Patents

電源エネルギ障害時の逆起電力整流電圧 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、大略、コースト即ち惰走中のスピンドルモータによって発生される逆起電力を利用する技術に関するものであって、更に詳細にはドライバのヘッドをパーキング即ち整置させるために発生される逆起電力電圧を利用する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、特に、多相DCモータに適用可能な技術に関するものであるが、より一般的には、任意のブラシレス及びセンサーレスのモータに使用することが可能なものである。これらのモータは、例えば、ハードディスクドライブ、CDROMドライブ、フロッピィディスク及びその他のコンピュータ関連適用技術等のデータ媒体を回転するために使用される。
【0003】
これらのモータは、通常、「Y」形態に接続した3個のコイルからなるステータを有するものと考えられる。実際のシステムにおいては、複数個のモータポール(極)と共に多数のステータコイルが通常使用されている。動作について説明すると、これらのコイルが選択的に付勢されて、「Y」形態を形成するコイルのうちの2つのコイルを介して電流経路を確立し、3番目のコイルをフローティング状態とさせる。別の方法では、センタータップへの単一のコイルを介しての電流経路を確立することによって一度に1個のコイルを逐次的に付勢させる。いずれの場合においても、付勢されるコイルのシーケンスは、電流経路が変更、即ちコミュテーション(整流)されるように配列されており、電流経路を形成するために使用されるコイルのうちの少なくとも1つが次のシーケンスにおいてはフローティングコイルとなるように配列されている。
【0004】
三相DCモータの場合には、3個のステータコイルを制御する6個のトランジスタが存在している。コイルを電源へ接続する3個の上側CMOSトランジスタと、コイルを接地へ接続させる3個の下側CMOSトランジスタである。ステータ巻線内における磁界を変化させるためにCMOSトランジスタをターンオン及びターンオフさせる信号がシーケンサによって発生される。
【0005】
これらの多相DCモータはハードディスクドライブにおいて使用される。ディスクドライブのディスクは、モータの可動ロータ(スピンドル)によって与えられる速度で回転される。典型的なディスクは、片側(片面ディスク)又は両側(両面ディスク)のいずれかに設けられた適宜の磁気物質を有している。このディスクはモータのスピンドルによって回転される。トランスデューサヘッドとも呼ばれる読取・書込ヘッドはディスクの磁気表面と係合する。ディスクが両側に磁気物質を有している場合には、2個の読取・書込ヘッドが使用される。位置決めモータが、ディスクを横断して半径方向に読取・書込ヘッドを移動させる。読取・書込ヘッドは、ディスクに対してデータの書込又は読取を行なう。磁気物質の環状トラック内においてデータがディスク上に格納される。位置決めモータは、通常、磁界内に設けられたコイル(インダクタ)を有している。位置モータは、ディスク上の点からディスクの表面から離れた点へ半径方向に読取・書込ヘッドを移動させる。
【0006】
コンピュータからの制御信号に応答して、位置決めモータが環状トラックの上に読取・書込ヘッドを位置決めさせる。空気膜を形成するのに充分な速度でディスクが回転され、読取・書込ヘッドはその空気膜の上にのっかる。これによって、読取・書込ヘッドがディスク表面と接触することが防止され、従ってディスク又は読取・書込ヘッドが損傷されることが防止される。通常、50マイクロインチ以下の高さでディスク記録表面の上を実際に飛んでいるようにヘッドが設計される。
【0007】
停電等の電源障害が発生すると、ディスクの回転速度が低下し空気膜が次第に喪失する。この事態が発生した場合にトランスデューサヘッドがいまだにディスクの上方にある場合には、取返しのつかない損傷が発生する場合がある。従って、ディスクの速度が実質的に低下する前にディスクの近傍から読取・書込ヘッドを後退させねばならない。読取・書込ヘッドを「パーキング」即ち整置させるためには、電源障害が発生した場合においても位置決めモータが動作せねばならない。読取・書込ヘッドをディスクから離隔させるための主要な理由は電源の喪失であるが、ディスクの速度が公差内に維持されない場合、位置決めエラーが検知される場合、又は格納されているデータに影響を与えることがあるような書込回路の欠陥が検知される場合にも、通常、この手順が開始される。
【0008】
電源障害が検知されると、リレー又はそれと等価なスイッチング手段が、位置決めコイル端子を横断してのコンデンサをスイッチさせて、ディスクの表面を横断してヘッド支持構成体を移動させるのに必要な起電力を供給する。ディスクの外側端部近くにおいて、読取・書込ヘッドは、ランプ即ちタラップによって支持され、ヘッドをディスクから完全に取除くことが可能である。
【0009】
回転中の磁気DCモータは、回転中のスピンドルの質量中に格納されている運動エネルギを有している。このエネルギは、読取・書込ヘッドをパーキング即ち整置させるために必要なパワーを与えるために使用することが可能である。通常の動作中においては、回転中の磁気DCモータはスピンドルを駆動するために使用される。ヘッドパーキング手順においては、モータステータ巻線がリニアモータ位置決めコイルへ直接的にスイッチされ、且つDCモータは、ヘッド後退エネルギを供給するための発電機へ変換される。この方法は、コースト即ち惰走中のスピンドルモータによって発生される逆起電力を利用するものである。この逆起電力は整流され且つ読取・書込ヘッドを「パーキング」即ち整置させるためにボイスコイルモータ(VCM)へパワーを供給するコンデンサを充電する。次いで、スピンドルモータ制御回路のドライバは、ディスクの速度を「ブレーキ」即ち制動させるためにスピンドルモータの三相をショート即ち短絡させることが可能である。
【0010】
従来のディスクドライブにおいては、ステータ巻線中の運動エネルギは直接的にVCMを稼動させるのに充分に高いものであった。ハードディスクドライブが段階的に寸法が減少したためにスピンドルモータの質量が低下し、又ディスクドライブを駆動するのに必要な電源電圧も低下している。従って、巻線によって発生される逆起電力信号は、このような新しいディスクドライブにおいては、コンデンサを充電させるのに充分なものではない。例えば、逆起電力信号振幅の3.3Vシステムは、通常、フルスピード(高RPM)においても3Vよりも低いものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであって、上述した如き従来技術の欠点を解消し、どのような条件においても且つどのような低い電圧のスピンドルモータであっても「パーキング」及び「ブレーキング」動作を可能とするために逆起電力信号から高電圧を発生させる技術を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
スピンドルドライバを同期的にターンオンさせることによって、各フェーズ即ち相における逆起電力信号を最大とさせることが可能であり、その際に電圧降下及び散逸を減少させることが可能である。このことは、回路を活性状態に維持するのに必要な最小電圧振幅のために同期的整流が必要とされる場合に特に重要なことである。このことは、比較器へ結合したスイッチをイネーブル又はディスエーブルさせることによって逆起電力電圧を一層高い電圧へステップアップさせることによって達成される。スイッチがターンオンされると(コイル内のある電流を強制的に流すことによって)、スイッチは整流された電圧を接地へショート即ち短絡状態とさせる。電圧は、巻線のインダクタンスによって及びスイッチがターンオフされた場合に尚且つ存在する逆起電力信号によって「キックアップ」即ち増大される。電流が、ボイスコイルモータ即ちVCMへエネルギを供給するフィルタとして作用するコンデンサを充電する。
【0013】
本発明は、電圧変換効率を改善するために2つの制御フィードバックループを使用している。スイッチ内(及びコイル内)の電流は、スイッチのターンオン時間を決定することによって制御することが可能である。整流された電圧の振幅も、スイッチのターンオフ時間を決定することによって制御することが可能である。電流比較器は、基準電圧によって供給されるプリセット即ち予め設定された電圧スレッシュホールドを、スイッチと直列した検知抵抗からの電圧と比較する。スイッチ内の電流はスイッチがオンである場合のコイル内の電流と同一であるので、このことは最大電流スレッシュホールドを決定する。電流が最大電流スレッシュホールドを超えて上昇すると、スイッチはターンオフされる。巻線のインダクタンス値と共に電流のレベルが電圧「キック」を決定する。
【0014】
電圧比較器が、基準電圧によって供給されるプリセット電圧と、コンデンサを横断してのフィルタした電圧とを比較する。その電圧が高過ぎる場合(即ち、固定スレッシュホールドより高い場合)、比較器は、負荷が比較器スレッシュホールドより低いレベルへコンデンサを放電させるまで、スイッチをオフ位置に維持する。これら2つの比較器からの信号はスイッチを駆動するプリセットドライバへ出力される。
【0015】
【実施例】
図1は、ディスクドライブシステムを示している。スピンドル制御回路30が電源及び接地へ接続している。スピンドル制御回路30の一部であるシーケンサ(不図示)が、多相DCモータ10のステータコイルを制御する信号を発生する。各ステータコイル12,14,16は、磁界を発生し、そのベクトルは逐次的な態様で(時計方向又は反時計方向)方向を変化させる。この磁界が、スピンドル20に取付けてある磁気的ロータ(不図示)を所定の方向に回転させる。スピンドル20の角速度は、ステータ巻線12,14,16内の磁界が変化する速度によって制御される。センタータップ18は、電流経路の一部として接続されるか、又は、単に、各ステータコイルを横断しての電圧を検知するための電圧センサとして使用することが可能である。
【0016】
ディスクドライブのディスク40はスピンドル20に取付けられている。ディスク40が回転すると、読取・書込ヘッド22がディスクの表面を横断して半径方向に移動する。スピンドル及びディスクの回転によって、ディスクとヘッドとの間に空気クッションが形成され、即ち、ヘッドはディスクの上にフローティング状態となる。読取・書込ヘッド22はヘッド支持体24によって支持されている。読取・書込ヘッド位置制御器28が、インダクタコイル26を付勢させて、ディスク40と相対的にヘッドの半径方向位置を制御する。
【0017】
図2は、電源シャットダウン期間中における読取・書込ヘッドのパーキング即ち整置動作を行なうための制御回路を示した概略図である。図2は3コイル巻線実施例を示しているが、当業者にとって明らかな如く、制御回路は多相DCモータ用に拡張することが可能である。
【0018】
シーケンサ100がステータ巻線12,14,16を制御するための6つの信号を発生する。信号は上側の3つのスイッチ102,104,106の各々及び下側の3つのスイッチ108,110,112の各々へ送給される。好適実施例においては、これらのスイッチ102−112の各々はCMOSトランジスタから構成される。
【0019】
上側の3つのスイッチ102,104,106は、対応するステータコイル12,14,16を電源へ接続させる。例えば、スイッチ102が閉成されると、ステータコイル12が電源へ接続される。同様の態様で、スイッチ104がステータコイル14を電源へ接続させ、且つスイッチ106がステータコイル16を電源へ接続させる。下側のスイッチ108,110,112の各々は、対応するステータコイル12,14,16を接地(即ち、低電位)へ接続させる。例えば、スイッチ108が閉成されると、ステータコイル12が接地へ接続される。同様な態様で、スイッチ110がステータコイル14を接地へ接続させ、且つスイッチ112がコイル16を接地へ接続させる。ダイオード122が電源と上側スイッチ102,104,106との間に接続されており、電源からステータコイルへ流れる電流を制限する。
【0020】
通常の動作期間中においては、1つの上側スイッチ102,104又は106と1つの下側スイッチ108,110又は112が選択されてVCCと接地との間に電流経路を形成する。選択されたコイルを介して電流が流れると、磁界が発生される。例えば、シーケンサは、CMOSトランジスタ102及び110をターンオンさせるために、これらのCMOSトランジスタのゲートへ論理高信号を供給することによってスイッチ102及び110を閉成させることが可能である。次いで、ダイオード122、スイッチ102、ステータコイル12、ステータコイル14、スイッチ110を介して電源から接地へ電流が流れる。ステータコイル12及び14において磁界が形成される。次いで、シーケンサ100が次のシーケンスのコイルへのコミュテーションを行なってスイッチ102及び112をターンオンさせる。従って、電流は、VCCからステータコイル12及び16を介して流れることとなる。ステータコイル12及び16内に形成される磁界は、電流がコイル12及び14を介して流れる場合に形成される磁界と異なる配向状態を有している。従って、付勢されたコイル内の磁界とロータ内の永久磁石の磁界との間にモーメントが発生し、ロータが回転される。磁束が時計方向に移動されるので、ロータと取付けられたスピンドルがその磁束にしたがって時計方向に移動する。
【0021】
別の方法では、センタータップを介して電源と接地との間に接続した単一のステータコイルを使用する。一度に1つの巻線内において磁界が発生される。各巻線を介してシーケンス動作することによって、変化する磁界が前述した方法と同様の態様で形成される。
【0022】
図2は、更に、電源障害が発生した場合に活性化される制御回路を示している。スイッチ128が電源と接地との間において(ダイオード122を介して)、検知抵抗130と直列に接続されている。この回路は、第二ダイオード124と並列に接続されており、該ダイオードはコンデンサ126と直列して接地へ接続されている。ダイオード124は、コンデンサ126がスイッチ128を介して放電することを防止している。
【0023】
負荷132がコンデンサ126と並列に接続されている。好適には、負荷132はボイスコイルモータ(VCM)であり、負荷132はヘッドをリトラクト即ち後退させることの可能な任意の装置とすることが可能である。コンデンサ126を横断しての電圧が、読取・書込ヘッドのパーキング期間中に負荷132を駆動する。負荷132は、ディスクが著しく低速化する前にディスクからヘッドを後退させることを確保する。
【0024】
スイッチ128はプレドライバ138によって制御される。プレドライバ138は、例えばNANDゲート及びNORゲート等の論理回路から形成されている。この好適実施例におけるスイッチ128はCMOSトランジスタである。電圧比較器134は、負荷の入力へ接続した反転入力と、基準電圧140へ接続した非反転入力とを有している。この基準電圧は、好適には、チップ上で与えられるバンドギャップ信号であって、且つ電源障害期間中にコンデンサ126によって駆動される。電流比較器136は、検知抵抗130の上側に接続した反転入力と、基準電圧140へ接続した非反転入力とを有している。電圧比較器134及び電流比較器136の出力はプレドライバ138への入力である。プレドライバ138の出力はスイッチ128を制御する。この好適実施例においては、プレドライバ138の出力はCMOSトランジスタ128のゲートへ接続している。
【0025】
通常の動作においては、電源がコンデンサ126を、VCC−ダイオード122及び124を横断しての電圧降下の電圧へ充電する。スイッチ128はプレドライバ138によって開放状態に保持され、即ちそのCMOSトランジスタはオフである。電源が急激に取除かれると、シーケンサ100が信号を発生することを中止し、従って、3個の上側のスイッチ102,104,106及び3個の下側のスイッチ108,110,112が開成する(即ち、これらのスイッチはオフ状態にスイッチするか又はオフ状態に留まる)。スピンドル及びロータは、ディスクの運動量に起因して回転状態を継続する。ロータ磁石の永久磁界がステータコイル12,14,16内に逆起電力を誘起する。各コイルを横断して誘起される電圧は、上側のスイッチ102,104,106の各々の内在的ダイオード152,154,156を横断しての電圧降下に打勝つのに充分に大きなものである。ダイオード122は、電源の接地電位を介して電流が散逸されることを禁止する。従って、残存する唯一の電流経路はスイッチ128及びコンデンサ126を介してのもののみである。
【0026】
プレドライバ138がスイッチ128をターンオンさせ、ステータコイルにおいて逆起電力によって発生される逆起電力電流が内在的ダイオード152,154,156を介して流れることを許容する。この逆起電力電流は、スイッチ128及び検知抵抗130を介して接地へ流れる。換言すると、該スイッチは、該コイル内に電流を発生させるために、ターンオンされると、整流された電圧を接地へショートさせる。従って、プレドライバ138はスイッチ128を開放状態へ変化させる。ステータコイル内の電流は瞬時に変化することはできず、従って、逆起電力電流はダイオード124及びコンデンサ126を介して接地へ流れる。この逆起電力電流は、コンデンサ126を横断しての電圧を増加させ、且つ、基本的に、該コンデンサの電圧はステータコイルのインダクタンスによって及びスイッチ128がターンオフされた場合に尚且つ存在する逆起電力によって「キックアップ」即ち増大される。この逆起電力電流は負荷へのエネルギを供給するためのフィルタとして作用するコンデンサ126を充電する。
【0027】
スイッチ128をより正確に制御するために、2つのフィードバックループが使用されている。スイッチにおける(且つステータコイルにおける)逆起電力電流は、ターンオン時間を決定することによって制御することが可能である。整流した電圧の振幅も、スイッチ128のターンオフ時間を決定することによって制御することが可能である。電流比較器136が、基準電圧140からの電圧スレッシュホールドを、検知抵抗130を横断しての電圧と比較する。スイッチ128における逆起電力電流はスイッチ128がオンである場合にステータコイルにおける逆起電力電流と同一であるので、検知抵抗130は、該スイッチがターンオフすべき電流スレッシュホールドを決定する。巻線のインダクタンス値と共に、逆起電力電流のレベルは電圧「キック」を決定する。
【0028】
電圧比較器134は、基準電圧140によって供給されるプリセット電圧を、負荷132へ供給するために使用されるフィルタされた電圧と比較する。その電圧が高過ぎる場合、即ち固定スレッシュホールドより高い場合には、電圧比較器134は、負荷132がコンデンサ126を電圧比較器134の固定スレッシュホールドより低い電圧レベルへ放電させるまで、スイッチ128をオフ状態に維持する。電圧比較器134の出力は、プレドライバ138によって発生される信号を発生するために使用される。
【0029】
CMOS技術又はDMOS技術のいずれかであるスイッチ102,104,106の内在的ダイオードの整流作用は、逆起電力信号振幅が2つの電圧ダイオード降下(1.2乃至1.4V)よりも高いものである限り、保証される。この制限は、スイッチ102,104,106へのシーケンサ信号が継続されるように、シーケンサへフィルタされた電圧の幾らかを供給することによって解消することが可能である。スイッチがターンオフされる場合に逆起電力信号を緩慢とさせることを回避するために、同期的整流シーケンスが使用される。
【0030】
主たる優先度が「パーキング」即ち整置動作であるのに逆起電力セットアッププロセス期間中に「ブレーキフェーズ」即ち制動フェーズが開始すると、問題が存在する場合がある。そのセットアップ電圧変換がスピンドルからの運動エネルギを余りにも迅速に取除くと、読取・書込ヘッドがパーキング位置へ「飛翔」することができない場合がある。従って、スピンドルモータの速度が所定のスレッシュホールド以下に降下する場合にはそのセットアップ動作はディスエーブル即ち動作不能状態とされる。
【0031】
逆起電力電圧のステップアップ即ち増大は、スピンドルから負荷へエネルギを転送させることによってスピンドルの回転速度を多少減速する副作用を有している。従って、ヘッドをパーキングさせるのに必要なエネルギが多ければ多い程、スピンドルモータをブレーキ即ち制動する効果はより強い。このことは、ブレーキフェーズ即ち制動フェーズが長い時間継続しないようにさせる利点を有している(短い惰走動作)。
【0032】
図3乃至5は本回路の3つの部分における電圧変化を示している。図3においては、プレドライバ138からの信号が示されている。電圧が高い場合には、スイッチ128がターンオンされる(ゲートへ高電圧が印加されるとCMOSトランジスタはオンとなる)。図4においては、ステータ巻線12,14,16内に誘起される逆起電力電圧が示されている。スイッチがオンであると、電流がステータ巻線を介して流れ、巻線内に電圧を誘起させる。図5においては、コンデンサ16を横断しての電圧が示されている。スイッチ128がターンオン及びターンオフされるために電圧がステップアップされる。
【0033】
以上、本発明の具体的実施の態様について詳細に説明したが、本発明は、これら具体例にのみ限定されるべきものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱することなしに種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピンドルモータと制御器とを示した磁気記憶システムを示した概略図。
【図2】本発明の一実施例を示した概略図。
【図3】本発明の好適実施例におけるスイッチへ印加される電圧を示したグラフ図。
【図4】ステータ巻線における電圧を示したグラフ図。
【図5】コンデンサを横断しての電圧を示したグラフ図。
【符号の説明】
10 多相DCモータ
12,14,16 ステータコイル
18 センタータップ
20 スピンドル
22 読取・書込ヘッド
24 ヘッド支持体
26 インダクタコイル
28 読取・書込ヘッド位置制御器
30 スピンドル制御回路
40 ディスク
100 シーケンサ
102,104,106 上側スイッチ
108,110,112 下側スイッチ
130 検知抵抗
132 負荷
138 プレドライバ
140 基準電圧

Claims (12)

  1. 電源障害が発生した場合に使用される負荷駆動電圧制御回路において、
    ロータの回転により逆起電力が誘起される少なくも1個のコイル、
    前記コイルからの逆起電力に基づく電流が供給されて電荷を格納し且つ負荷へ駆動電圧を供給する電荷格納手段、
    前記電荷格納手段と並列接続されているスイッチ、
    前記駆動電圧が基準電圧よりも低くなった場合に前記スイッチを閉じ且つ前記スイッチが閉じた状態において前記スイッチを介して流れる電流が所定のレベルを超えた場合に前記スイッチを開かせるスイッチ制御手段、
    を有していることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  2. 請求項1において、前記コイルが多相モータのステータコイルであることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  3. 請求項1において、前記コイルは、電源障害が発生していない場合に、シーケンサにより所定のコミュテーションに従って開閉制御される少なくとも1個のコミュテーションスイッチと電源から接地への電流経路において直列接続されていることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  4. 請求項3において、前記コミュテーションスイッチがMOSFETであり、前記MOSFETのゲートが前記シーケンサへ接続されており、電源障害が発生した場合に、前記MOSFETはオフ状態とされ且つ前記MOSFETのソース又はドレインを介して前記コイルからの逆起電力に基づく電流が流れることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  5. 請求項1において、前記電荷格納手段が、前記コイルからの逆起電力に基づく電流を通過させるダイオードと、前記ダイオードを通過した電流を受取るべく前記ダイオードと直列接続したコンデンサとを具備していることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  6. 請求項5において、前記ダイオードは、電源障害が発生していない場合に、電源からの供給される電流も通過させるべく接続されていることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  7. 請求項1において、前記スイッチ制御手段が、前記駆動電圧と前記基準電圧とを比較する第1比較器と、前記スイッチを介して流れる電流と前記所定のレベルとを比較する第2比較器と、前記第1及び第2比較器からの比較出力に基づいて前記スイッチを開閉制御するプレドライバとを有していることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  8. 請求項7において、前記第1比較器は、前記駆動電圧を受取る第1入力端と、基準電圧源からの前記基準電圧とを受取る第2入力端と、前記プレドライバーへ第1比較出力を供給する出力端とを具備していることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  9. 請求項8において、前記スイッチ制御手段は、前記スイッチと接地との間に接続されている検知抵抗を有しており、前記第2比較器は、前記スイッチと前記検知抵抗との間の接続点に接続した第1入力端と、前記基準電圧源へ接続した第2入力端と、前記プレドライバーへ第2比較出力を供給する出力端とを具備していることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  10. 請求項9において、前記プレドライバーは、前記第1比較出力が前記駆動電圧が前記基準電圧よりも低くなったことを表す場合には、前記スイッチを閉じさせ、一方、前記第2比較出力が前記スイッチを介して流れる電流が所定のレベルを超えたことを表す場合には、前記スイッチを開かせることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  11. 請求項1乃至10の内のいずれか1項において、前記負荷が、ヘッドをパーキング位置へ後退させることが可能な装置であることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
  12. 請求項11において、前記装置がボイルコイルモータを有していることを特徴とする負荷駆動電圧制御回路。
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