JP3542981B2 - 長靴 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の目的】
この発明は、発汗や結露による湿気が内部に籠らないよう通気性を高めた長靴に関するものであって、特に、高い防水性を確保しながら靴底と外部との通気性能を向上させ、内部湿度を効率的に低下させると共に、断熱、保温性を高めて高温または低温、高湿度等の苛酷な使用環境においても快適な履心地を実現可能とした新規な構造からなる長靴を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
既存のゴム長靴やブーツ等は、価格の如何に拘らず、冬季の雪掻き作業をはじめ、酒蔵や漬け物工場、豆腐工場等といった大量の水を取り扱う作業や冷凍倉庫内での作業等、常に長靴を着用していなければならない作業に際し、足からの発汗現象や長靴内外の温度差によって比較的短時間の中に長靴内部に水滴が溜まり、極めて不快な環境を強いられることになるになるばかりか、その後に充分な乾燥を行わずに放置してしまい、そのまま未乾燥の状態にして繰り返し履き続けると、悪臭の発生や水虫等の細菌の温床となってしまう虞れがあることから、短靴等でも問題とされている以上に、特に湿潤状態になり易く、しかも一旦濡れてしまうと乾き難い長靴の場合、その内部に籠りがちな汗や結露を如何に速やかに乾燥させ、快適な履き心地のものにするかが長年に渡って大きな課題とされ、その一日も早い実現化が望まれてきていた。
【0003】
こうした蒸れの問題を解決しようとする技術として、例えば特開平11−276201号公報に開示された複数の独立した凹部を底部下層に形成し、これら複数の凹部上に吸湿性をもたず、湿気を通過させる底部上層をブリッジ状に形成してなるインナーブーツがあり、このインナーブーツを装着して長靴を着用するようにしたものでは、確かに足裏の発汗が底部上層を通じて各凹部に吸収され、底部上層上側の足は快適な状態に保たれるという利点が得られるものの、長靴に加えてインナーブーツを用意しなければならず、比較的高価になる上、着用にも手間が掛かってしまって日常的な使用に不向きなものになるという欠点を生じさせてしまう。また、実開平7−33102号公報に示された考案は、長靴の前部と後部とにエアーダクトを設け、爪先を含む甲の部分内側を弾力のある網状に形成し、外壁との間に数mmの隙間を形成して足との接触面積を減らし、結露や発汗の際の不快感を軽減しようとするものになっているが、網状目の内壁構造は、足表面に接すると個々に連続性のない分断された空間を形成してしまい、良好な通気性を確保できなくなるという欠点を有するものになってしまう。
【0004】
さらに、特開平8−84603号公報に掲載された発明では、足甲部前方立上がり部にかけて通気孔を設け、これを包み込むように把持させた換気筒で形成した「吸排気装置付き長靴」についての提案がなされているが、足甲部に吸排気装置を設けた構造は複雑であり、一般的な長靴に比較して高価につくものとなる上、外観上で違和感のあるものになってしまうという難点があり、また、実開平3−53102号公報「靴内通気性能を有する長靴」のように、靴底上面に設けた筒状突起が、履用者体重の負荷と解除との繰り返しにより、その外側面が膨出と復元とを繰り返し、長靴内空気の排出と外気の取り入れとを自動的に行うことを可能としたものも見受けられるが、靴底上面に設けた筒状突起は、体重負荷による外側面の膨出と復元とを繰り返す構造のため、足元を確り支えるのには不向きであり、積雪や凍結した場所や高所作業等のように足元の不安定な場所での使用には適さず、したがって汎用性に欠けるという恨みがあり、同様の理由から、実登3044249号公報考案「換気性能を有する長靴」の場合にも、靴底の踵部に空気ポンプ状の空気室を設け、歩行の際の体重負荷によって該空気室が圧縮、復元を繰り返して自動的に通気を行うようにした類いのものであって、凍結した雪道や高所での作業には不向きであるという難点を解消できないものとなっている。
【0005】
このように、これまで長靴の通気性を高める技術の開発が各方面で進められてきてはいるものの、何れも汎用性に欠けていたり、構造が複雑過ぎで安価に提供できなかったり、普段の手入れがし難くなるといった幾つかの問題は未解決のままとなっていたことから、この発明では、日常的に気軽に着用可能であって、しかも通気性に富む長靴の提供ができないものかという観点から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造からなる長靴を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0006】
【発明の構成】
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の長靴は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、上端から下方所定巾全周の縁帯部を除いた筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延び、相互が溝として連通しない構造の多数条の縦溝状通気路を形成すると共に、靴部の靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成した上、靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴内周壁網状通気路を形成して、当該靴底網状通気路の外周縁に靴内周壁網状通気路を連通させ、且つ該靴内周壁網状通気路の上端に前記縦溝状通気路の各下端が連通状となるようにする一方、前記縦溝状通気路の各上端は、筒状胴部本体の肉厚方向を貫通して夫々が独立して外部に開口する通気孔に連通状にすると共に、それら通気孔全ての開口部外方を、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下り状にした孔隠し突片で盲状に覆った見隠れ構造としてなるようにした構成を要旨とする長靴である。
【0007】
この基本的な構成を、より具体的なものとして示せば、上端から下方所定巾全周の縁帯部を除いた筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延び、溝内に通気性素材を充填して相互が溝として連通しない構造としてなる多数条の縦溝状通気路を形成すると共に、靴部の靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成した上、靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴内周壁網状通気路を形成して、当該靴底網状通気路の外周縁に靴内周壁網状通気路を連通させ、且つ該靴内周壁網状通気路の上端に前記縦溝状通気路の各下端が連通状となるようにする一方、前記縦溝状通気路の各上端は、筒状胴部本体の肉厚方向を貫通して夫々が独立して外部に開口する通気孔に連通状にすると共に、それら通気孔全ての開口部外方を、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下り状にした孔隠し突片で盲状に覆った見隠れ構造としてなる構成の長靴ということがてきる。
【0008】
筒状胴部本体は、長靴靴部の上方および上となる斜横方向からの雨水や雪等の浸入を阻止する機能を果たすものであって、胴部上下寸法に相当する程度の水圧を受けた場合であっても、長靴内部に水が侵入しない程度の防水性能を有するものに形成しなければならず、天然ゴム、塩化ビニル樹脂、EVA、ポリウレタン樹脂等の素材を靴部と一体成型することによって形成するのが好ましいとえるが、他の合成樹脂あるいは防水加工を施した繊維素材等を適宜成型、縫合する等して形成することも可能であり、さらに、通気孔よりも上端側の縁帯部に、筒状胴部本体内側に折畳み収納可能であって、その延伸端側開口部に、当該長靴を着用した足回りに縛り着け状に装着可能とする縛り紐もしくは輪ゴムを設けてなる筒状軟質防水フードを設けた構造とすることができる。
【0009】
縁帯部は、通気孔上側の筒状胴部本体縁部の強度を確保すると共に、孔隠し突片を垂れ下がり状に支持する機能を果たすものであって、筒状胴部本体上端縁部の輪形状を維持可能であり、長靴を履く場合の引き上げ操作に耐える充分な強度を確保したものとしなければならず、孔隠し突片を一体形成したものとするのが望ましい。
【0010】
縦溝状通気路は、筒状胴部本体内周壁面の上下方向に通気路を形成する機能を果たすものであり、筒状胴部本体内周壁面の略全周に渡って充分な通気性を確保できるよう多数条形成したものとし、下端が靴部内部空間に連通される構造としなければならず、しかも全てが上下方向に略直線状あるいは滑らかな曲線状に形成されたものとすべきであって、筒状胴部本体内周壁面に縦溝状に一体成型したものとするのが望ましく、筒状胴部本体内周壁面に装着された通気性筒状内張り材で施蓋状として、通気路溝形状と内張り材との間に管路状の通気路を形成したものとすることができる外、各溝内に通気性素材を充填したものとすることが可能であり、また、平滑状に成型された筒状胴部本体内周壁面にレール状の内張り材を多数条貼着して、各レール状内張り材間に上下方向の溝形状を形成したものとすることができる。
【0011】
通気孔は、各縦溝状通気路の上端を筒状胴部本体周壁面に貫通させ、筒状胴部本体上側周壁面を通じて長靴内の空気を外部に放出すると共に、外気を長靴内に導き入れ可能とする機能を果たすものであり、縦溝状通気路を通じて流動する空気と略同量の空気を吸排気可能な配置、形状したものとしなければならず、撥水機能を有する通気性シートで閉鎖状としたり、あるいは垂れ下がり状に設けた孔隠し突片で横方向、およびそれよりも上となる斜横方向からの雨水が浸入しないよう盲状に覆った構造とするのが望ましい。
【0012】
孔隠し突片は、各通気孔を盲状に覆った見隠れ構造を形成して、横方向およびそれよりも上となる斜横方向からの雨水が通気孔を通じて浸入しないよう包囲する機能を果たすものであり、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下がり状とした構造とすべきであって、不用意に通気孔を通気不能な状態に閉鎖してしまうことのないよう包囲する構造としなければならず、筒状胴部本体縁帯部に一体成型したものとするのが望ましい。
【0013】
靴部は、靴底および靴底から爪先、足甲部、そして踵等から足首部までに相当する筒状胴部本体下端から下方の前後左右壁面を、水が浸透しないよう包囲する機能を果たすものであって、靴部内部空間が、筒状胴部本体内周壁面に形成された多数条の縦溝条通気路に連通または実質的に連通状とした構造としなければならず、靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう、互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設し、各短柱状突起部間に靴底内側面の略全面に渡り、網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成し、該靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設し、前記靴底網状通気路の外周縁に連通する靴内周壁網状通気路を形成したものとすることにより、該靴内周壁網状通気路の上端に縦溝状通気路の各下端が連通状となるように構成してなるものとすることができる。
【0014】
その他、靴底内側上に対して、上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡り、略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設したものとし、少なくとも上面側には透湿性を有する布地を貼着してなる保温性に秀れたインソールを脱着自在に装着してなるものとすることが可能となる外、靴底内側上に対して、上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡りって略均等配置となるよう、互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設し、多数の短柱状突起部間の複数適所に上下に貫通する通気孔を穿孔した上、少なくとも上面側には透湿性を有する布地を貼着してなるインソールを脱着自在に装着して通気性と保温性とを両立させた構造のものとすることもできる。
【0015】
内張り材は、筒状胴部本体内周壁、靴部内周壁、靴底上面等に対する足表面の直接的な接触を阻止して緩衝すると共に、通気性と透湿性とを高める機能を果たすものであり、メリヤスやフェルト等の天然繊維を素材とした生地や、不織布、合成繊維等を用いたもの、または通気性を有するウレタンや合成ゴム等の発泡樹脂製シート素材、あるいはそれらを積層状に組み合わせたもの、もしくは、爪先や踵、足首等の各部の必要強度や必要通気性能に応じて素材を選択し、必要に応じて継ぎ目縁部を縫合または重ね代を接着する等して各筒状胴部本体内周壁や靴部内周壁に貼着状に一体化したものとすべきであり、筒状胴部本体の多数条の縦溝状通気路を含む内周壁に貼着状に一体化したものとすることができる外、多数条の縦溝状通気路の溝形状部分を除く筒状胴部本体内周壁に張着状に貼り着け、各縦溝状通気路を縦型管路状に施蓋した状態とし、夫々管路状とした縦溝状通気路を上下方向に通過する空気が、内張り材の肉厚方向に通過して長靴内外の通気を可能とするよう構成したものとすることも可能であり、予め長靴本体の射出成型工程において、長靴本体の樹脂成型素材と一体化させてしまうよう製造したものとするのが望ましい。 以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【0016】
【実施例】
図1の断面化した長靴の側面図、図2の図1中の鎖線円Aに囲まれた通気孔断面構造の斜視図、図3の断面化した靴部の斜視図、および図4のインソールの断面図に示される事例は、筒状胴部本体内周面の全周に渡って上下に延びる多数条の縦溝状通気路を形成し、各縦溝状通気路の上端に筒状胴部本体肉厚方向に貫通して外部に開口する通気孔を連通状に形成した基本的構成からなるこの発明に包含される長靴における代表的な一実施例を示すものである。
【0017】
当該長靴は、靴底11、爪先部12、甲部13、踵部14および足首部15に至る部位を形成する靴部1と、該足首部15から上方に前後に長い略楕円形円筒状を成すよう延伸された筒状胴部本体2とを有しており、全体が合成ゴムか塩化ビニル樹脂によって一体成型されたものとなっている。
【0018】
該靴部1は、靴底11内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう、互いに3〜5mm程度の所定間隔を隔てた直径3〜5mm程度、高さ4mm前後の多数の短円柱状突起部16,16,……を、靴部1と一体成型するか、あるいは発泡樹脂製であって接着剤によって後着けする等して、歩行の際の荷重によっても容易に圧縮されない程度の強度をもって突設し、各短円柱状突起部16,16,……間に靴底11内側面の略全面に渡り、網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路17を形成し、該靴底11外周縁部に連続して爪先部12および踵部14から足首部15に至る前後左右の靴部1内周側壁面にも、略同様の多数の短円柱状突起部16,16,……を突設し、前記靴底網状通気路17の外周縁に連通する靴内周壁網状通気路18を形成したものとしている。なお、前記短円柱状突起部16,16,……は、多角形短柱状の突起部に形成することが可能である外、側断面台形状の錐状に形成することもできる。
【0019】
そして、靴部1の靴底11内側上面には、図4に示すように、靴底11の形状と略同形状の硬質ゴムあるいはシリコン樹脂製のシート素材からなるインソール4が脱着自在に装着されており、該インソール4は、その上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡って略均等配置となるよう、互いに3〜5mm程度の所定間隔を隔てた直径3〜5mm程度、高さ4mm前後の多数の短円柱状突起部16,16,……を突設し、これら多数の短円柱状突起部16,16,……上面には、インンソール4と同形状のメリヤスやフェルト素材等を用いて保温性を高めた透湿性を有するインソール用布地42を貼着してなる冬季用のもの、あるいは、硬質ゴムあるいはシリコン樹脂製のシート素材からなるインソール上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡って略均等配置となるよう、互いに6〜10mm程度の所定間隔を隔てた直径3〜5mm程度、高さ4mm前後の多数の短円柱状突起部16,16,……を突設してなるものとし、さらに、多数の短円柱状突起部16,16,……間の複数適所に、上下に貫通する直径3〜5mm程度の通気口41,41,……を穿孔した上、多数の短円柱状突起部16,16,……上面には、インンソール4と同形状のメッシュ素材を用いて通気性を高めた透湿性を有するインソール用布地42を貼着してなる夏季用のものの何れか一方を選択して装着可能な構造となっている。
【0020】
筒状胴部本体2は、上端から下方所定幅全周に縁帯部23を形成し、足首部15から上方縁帯部23に至るよう延伸された略全内周壁面に、上下に渡って直線状をなし隣接するもの同士の間に、前記靴内周壁網状通気路18の上部に連通する凹欠条の縦溝状通気路21,21,……を形成する多数条の凸条部22,22,……を、足首部15に近い下側では、破線状に短く分断され、上方に向かうに従って直線状に連続するよう、筒状胴部本体2と一体成型するか、あるいは発泡樹脂製であって接着剤によって後着けする等して突設し、縁帯部23の下縁部に相当する各縦溝状通気路21,21,……の上端部には、筒状胴部本体2を肉厚方向に貫通して外部に通じるよう開口する通気孔31,31,……を穿孔し、さらに、該筒状胴部本体縁帯部23の外周壁に一体成型あるいは接着、結合されて同縁帯部23下端縁から垂れ下がり状となって全通気孔31,31,……を上方から外側周辺にかけて隠蔽するよう囲い込み、その下端縁部を通じて各通気孔31,31,……を外部に開放するものとした孔隠し突片32で盲状に覆い、見隠れ構造3を形成したものとなっている。
【0021】
【作用】
以上のとおりの構成からなるこの発明の長靴は、靴部1の靴底11に形成された靴底網状通気路17および爪先部12、甲部13、踵部14および足首部15付近にかけて形成された靴内周壁網状通気路18が互いに連通し、さらに、靴内周壁網状通気路18が筒状胴部本体2の縦溝状通気路21に通じる構造となっており、長靴を履いた足と、この足を覆う長靴内周壁面全体との間に、靴部1では網目状の、筒状胴部本体2では上下略直線状に流通自在な空気路を形成し、常時長靴内の空気を外部に放出し、且つ長靴内部に外気を取り入れ可能にするものとなり、足裏や爪先等の発汗や体温の発散によって高温、多湿化した長靴内空気の自然対流を促進させる。
【0022】
そして、筒状胴部本体2縦溝状通気路21の上端に形成された見隠れ構造3通気孔31,31,……が、長靴全体を巡って上昇してきた湿った空気を、筒状胴部本体2上端側の縁帯部23を通じることなく外部に放出し、また、見隠れ構造3通気孔31,31,……を通じて新鮮な外気を長靴内に取り込み、長靴内全体の湿度を速やかに低下させることとなり、さらに、見隠れ構造3の孔隠し突片32が通気孔31,31,……の外周側を隠蔽状に包囲していて、外観からは通気孔31,31,……の存在を認識させず、長靴のデザイン性を損ねることがない上、長靴の横方向あるいは斜め上方向から吹き付けるような雨や雪および冷たい風等が、通気孔31,31,……を通じて長靴内に浸入してしまうことを阻止するものとなる。
【0023】
また、冬季用のインソール4を装着したものでは、保温性を高めた透湿性のインソール用布地42が通気を適度に調節して爪先の冷え込みを抑え、同インソール4に形成された多数の短円柱状突起部16,16,……が通気性を向上させて蒸れを防止するものとなり、他方、夏季用のインソール4を装着したものでは、通気性を高めたインソール用布地42が、足裏や爪先で発生した大量の発汗を効率的に吸引、透過させ、短円柱状突起部16,16,……間および通気口41,41を通じて靴底網状通気路17や靴内周壁網状通気路18側へ速やかに放出すると共に、縦溝状通気路21,21,……を通じて外気を効率的に取り入れ、発汗箇所を迅速に乾燥状態へと導くことなる。
【0024】
さらにまた、筒状胴部本体2縁帯部23の見隠れ構造3孔隠し突片32よりも上側に、図示しない折畳み収納可能な筒状軟質防水フードを設けたものの場合には、積雪や横殴りの雨等の荒天の際に、該筒状軟質防水フードを引き延ばして、同防水フード開口縁に設けられた縛り紐または輪ゴム等で足回りに閉鎖状に縛り着けることにより、筒状胴部本体2上部開口部からの雪や雨水の浸入を確実に防止するものになる上、縁帯部23下側に設けられた見隠れ構造3通気孔31,31,……を通じて長靴内の換気を良好に行うことが可能となる。
【0025】
【効果】
以上のとおり、この発明の長靴によれば、何よりも先ず、筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延びるよう多数条形成した縦溝状通気路が、靴部内部空間に連通または実質的に連通状とした上、各縦溝状通気路の上端に筒状胴部本体を肉厚方向に貫通する通気孔を開口したものとなっていて、長靴内部全体の空気の循環を円滑且つ迅速に行うことができるようにして靴部内の通気性を確保したものとすることにより、細菌の増殖や悪臭の発生原因となる靴部内の蒸れや結露を防止することができるものとなる上、湿度や温度の上昇および温度低下による冷え等を防止して快適な状態に保つことができるという特徴を有したものとなっている上、従前までの長靴の場合であれば、通気性を確保するために足サイズよりも一回り大きめのものを選ばざるを得なかったが、この発明の長靴であれば、使用者の足にぴったりのサイズのものでも十分通気性の確保可能とし、安全で動き易く且つ爽快な使用感を得ることができ、しかも筒状胴部本体縁帯部の外周面下端縁またはそれよりもやや上位となる箇所全周から垂れ下がり状にした孔隠し突片で前記通気孔を覆って見隠れ構造に形成してあって、横殴りの風雨、雪が吹き付けるような悪天候の最中、あるいは作業の最中の水播きの際にも、通気孔を通じて冷気や雨滴、雪、あるいは散水等の長靴内への浸入を確実に阻止できるという利点も得られることから、全体として快適性に秀れた長靴を実現化できるという大きな特徴が得られるものとなっている。
【0026】
また、筒状胴部本体および靴部の内周壁全面を適宜内張り材で仕上げたものとしたり、あるいは、適宜内張り材で縦溝状通気路の凹欠溝状部を平滑に仕上げたものとするか、縦溝状通気路の凹欠溝状部内に管路状の通気路を残存させるように被着させたものとするかするようにして、縦溝状通気路による通気性を十分に確保した上、筒状胴部本体縦溝状通気路の凹凸状内周壁面に弾力性を与えて履用時の肌触りを改善することができるようにし、しかも内張り材の弾性変形によって歩行中の長靴内で足が適度に動き、長靴内の空気の移動を促すようにしたものとしてあることから、長靴内外の換気を強制的に促進させることができるという秀れた効果が発揮されることにもなる。
【0027】
特に、実施例に説明した長靴は、上記した特徴に加え、特に発汗の多い爪先部12や靴底11を含む靴部1の内周壁面の略全域に渡り、短円柱状突起部16,16,……を形成して各短円柱状突起部16,16,……の間に全体が網目状に連通する靴底網状通気路17および靴内周壁網状通気路18を形成して、該靴内周壁網状通気路18の足首部15付近となる上端部を筒状胴部本体2内周壁面に上下に略直線となる多数条の縦溝状通気路21,21,……に連通状とした構造とすることにより、略全方位方向にムラなく空気が流通し、網目状の流通空気層で足裏、爪先、足甲部、踵部までの足全体を包み込み状に包囲して湿気を速やかに除去するものとなる上、直線状に立ち上がった多数条の縦溝状通気路21,21,……が、足の発熱による自然体流による空気の上昇を促して速やかに上昇、排気させるものとなる結果、排気によって発生した負圧により、外気を自動的に長靴内に導くものとなるという確実な効果が得られ、さらに、筒状胴部本体2上部の縁帯部23に、図示しない折畳み収納可能な筒状軟質防水フードを設けたものでは、縁帯部23下部に設けられた通気孔31,31,……によって長靴内外の充分な換気性能を確保できる上、該筒状軟質防水フードを引き延ばして足回りに閉鎖状に縛り着けることにより、筒状胴部本体2上部開口部からの雪や雨水あるいは冷気の浸入を確実に防止して長靴内の環境を快適に保つことができるという効果が得られるものとなる。
【0028】
さらに、冬季用のインソール4を装着したものでは、保温性を有するインソール用布地42が良好な通気性を確保して蒸れを防止するものになると共に、断熱性を高めて爪先や足全体の冷え込みを防止可能とし、また、夏季用のインソール4を装着したときには、該インソール4の肉厚方向に貫通した通気口41,41,……を通じ、該インソール4の下側に熱気を逃がし、靴底網状通気路17、靴内周壁網状通気路18および縦溝状通気路21,21,……を通じて外部へ強制換気することとなり、長靴内外の通気性を格段に向上させるという極めて理想的な特徴を発揮し得るものとなる。
【0029】
叙述の如く、この発明の長靴は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの長靴と略同等の製造工程および略同様の製造単価で量産可能にすることから、比較的廉価にて市場に供給することができることになる上、使用環境によって高温多湿化したり、低温多湿な状態となったりしがちだった長靴内を、特別な構造のインナーブーツ等を使用することもなく、通気性を高め、爽快で保温性にも秀れたものとすることができるものとなって、日常的な長靴としての着用は固よりのこと、高温多湿な環境下で作業する酒造業者をはじめ、厳しい自然環境下での野外作業を避けられない稲作、園芸農家や土木作業者まで、幅広い業界から高い評価が得られ、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の長靴の技術的思想を具現化した代表的な実施例を示すものである。
【図1】長靴の断面構造を示す側面図である。
【図2】図1中の鎖線円Aに囲まれた要部構造を示す斜視図である。
【図3】長靴の底部構造を断面化して示す斜視図である。
【図4】インソールの断面構造を示す側面図である。
【符号の説明】
1 靴部
11 同 靴底11
12 同 爪先部
13 同 甲部
14 同 踵部
15 同 足首部
16 同 短円柱状突起部(短柱状突起部)
17 同 靴底網状通気路
18 同 靴内周壁網状通気路
2 筒状胴部本体
21 同 縦溝状通気路
22 同 凸条部
23 同 縁帯部
3 見隠れ構造
31 同 通気孔
32 同 孔隠し突片
4 インソール
41 同 通気口
42 胴 インソール用布地
【発明の目的】
この発明は、発汗や結露による湿気が内部に籠らないよう通気性を高めた長靴に関するものであって、特に、高い防水性を確保しながら靴底と外部との通気性能を向上させ、内部湿度を効率的に低下させると共に、断熱、保温性を高めて高温または低温、高湿度等の苛酷な使用環境においても快適な履心地を実現可能とした新規な構造からなる長靴を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
既存のゴム長靴やブーツ等は、価格の如何に拘らず、冬季の雪掻き作業をはじめ、酒蔵や漬け物工場、豆腐工場等といった大量の水を取り扱う作業や冷凍倉庫内での作業等、常に長靴を着用していなければならない作業に際し、足からの発汗現象や長靴内外の温度差によって比較的短時間の中に長靴内部に水滴が溜まり、極めて不快な環境を強いられることになるになるばかりか、その後に充分な乾燥を行わずに放置してしまい、そのまま未乾燥の状態にして繰り返し履き続けると、悪臭の発生や水虫等の細菌の温床となってしまう虞れがあることから、短靴等でも問題とされている以上に、特に湿潤状態になり易く、しかも一旦濡れてしまうと乾き難い長靴の場合、その内部に籠りがちな汗や結露を如何に速やかに乾燥させ、快適な履き心地のものにするかが長年に渡って大きな課題とされ、その一日も早い実現化が望まれてきていた。
【0003】
こうした蒸れの問題を解決しようとする技術として、例えば特開平11−276201号公報に開示された複数の独立した凹部を底部下層に形成し、これら複数の凹部上に吸湿性をもたず、湿気を通過させる底部上層をブリッジ状に形成してなるインナーブーツがあり、このインナーブーツを装着して長靴を着用するようにしたものでは、確かに足裏の発汗が底部上層を通じて各凹部に吸収され、底部上層上側の足は快適な状態に保たれるという利点が得られるものの、長靴に加えてインナーブーツを用意しなければならず、比較的高価になる上、着用にも手間が掛かってしまって日常的な使用に不向きなものになるという欠点を生じさせてしまう。また、実開平7−33102号公報に示された考案は、長靴の前部と後部とにエアーダクトを設け、爪先を含む甲の部分内側を弾力のある網状に形成し、外壁との間に数mmの隙間を形成して足との接触面積を減らし、結露や発汗の際の不快感を軽減しようとするものになっているが、網状目の内壁構造は、足表面に接すると個々に連続性のない分断された空間を形成してしまい、良好な通気性を確保できなくなるという欠点を有するものになってしまう。
【0004】
さらに、特開平8−84603号公報に掲載された発明では、足甲部前方立上がり部にかけて通気孔を設け、これを包み込むように把持させた換気筒で形成した「吸排気装置付き長靴」についての提案がなされているが、足甲部に吸排気装置を設けた構造は複雑であり、一般的な長靴に比較して高価につくものとなる上、外観上で違和感のあるものになってしまうという難点があり、また、実開平3−53102号公報「靴内通気性能を有する長靴」のように、靴底上面に設けた筒状突起が、履用者体重の負荷と解除との繰り返しにより、その外側面が膨出と復元とを繰り返し、長靴内空気の排出と外気の取り入れとを自動的に行うことを可能としたものも見受けられるが、靴底上面に設けた筒状突起は、体重負荷による外側面の膨出と復元とを繰り返す構造のため、足元を確り支えるのには不向きであり、積雪や凍結した場所や高所作業等のように足元の不安定な場所での使用には適さず、したがって汎用性に欠けるという恨みがあり、同様の理由から、実登3044249号公報考案「換気性能を有する長靴」の場合にも、靴底の踵部に空気ポンプ状の空気室を設け、歩行の際の体重負荷によって該空気室が圧縮、復元を繰り返して自動的に通気を行うようにした類いのものであって、凍結した雪道や高所での作業には不向きであるという難点を解消できないものとなっている。
【0005】
このように、これまで長靴の通気性を高める技術の開発が各方面で進められてきてはいるものの、何れも汎用性に欠けていたり、構造が複雑過ぎで安価に提供できなかったり、普段の手入れがし難くなるといった幾つかの問題は未解決のままとなっていたことから、この発明では、日常的に気軽に着用可能であって、しかも通気性に富む長靴の提供ができないものかという観点から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造からなる長靴を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0006】
【発明の構成】
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の長靴は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、上端から下方所定巾全周の縁帯部を除いた筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延び、相互が溝として連通しない構造の多数条の縦溝状通気路を形成すると共に、靴部の靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成した上、靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴内周壁網状通気路を形成して、当該靴底網状通気路の外周縁に靴内周壁網状通気路を連通させ、且つ該靴内周壁網状通気路の上端に前記縦溝状通気路の各下端が連通状となるようにする一方、前記縦溝状通気路の各上端は、筒状胴部本体の肉厚方向を貫通して夫々が独立して外部に開口する通気孔に連通状にすると共に、それら通気孔全ての開口部外方を、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下り状にした孔隠し突片で盲状に覆った見隠れ構造としてなるようにした構成を要旨とする長靴である。
【0007】
この基本的な構成を、より具体的なものとして示せば、上端から下方所定巾全周の縁帯部を除いた筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延び、溝内に通気性素材を充填して相互が溝として連通しない構造としてなる多数条の縦溝状通気路を形成すると共に、靴部の靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成した上、靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴内周壁網状通気路を形成して、当該靴底網状通気路の外周縁に靴内周壁網状通気路を連通させ、且つ該靴内周壁網状通気路の上端に前記縦溝状通気路の各下端が連通状となるようにする一方、前記縦溝状通気路の各上端は、筒状胴部本体の肉厚方向を貫通して夫々が独立して外部に開口する通気孔に連通状にすると共に、それら通気孔全ての開口部外方を、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下り状にした孔隠し突片で盲状に覆った見隠れ構造としてなる構成の長靴ということがてきる。
【0008】
筒状胴部本体は、長靴靴部の上方および上となる斜横方向からの雨水や雪等の浸入を阻止する機能を果たすものであって、胴部上下寸法に相当する程度の水圧を受けた場合であっても、長靴内部に水が侵入しない程度の防水性能を有するものに形成しなければならず、天然ゴム、塩化ビニル樹脂、EVA、ポリウレタン樹脂等の素材を靴部と一体成型することによって形成するのが好ましいとえるが、他の合成樹脂あるいは防水加工を施した繊維素材等を適宜成型、縫合する等して形成することも可能であり、さらに、通気孔よりも上端側の縁帯部に、筒状胴部本体内側に折畳み収納可能であって、その延伸端側開口部に、当該長靴を着用した足回りに縛り着け状に装着可能とする縛り紐もしくは輪ゴムを設けてなる筒状軟質防水フードを設けた構造とすることができる。
【0009】
縁帯部は、通気孔上側の筒状胴部本体縁部の強度を確保すると共に、孔隠し突片を垂れ下がり状に支持する機能を果たすものであって、筒状胴部本体上端縁部の輪形状を維持可能であり、長靴を履く場合の引き上げ操作に耐える充分な強度を確保したものとしなければならず、孔隠し突片を一体形成したものとするのが望ましい。
【0010】
縦溝状通気路は、筒状胴部本体内周壁面の上下方向に通気路を形成する機能を果たすものであり、筒状胴部本体内周壁面の略全周に渡って充分な通気性を確保できるよう多数条形成したものとし、下端が靴部内部空間に連通される構造としなければならず、しかも全てが上下方向に略直線状あるいは滑らかな曲線状に形成されたものとすべきであって、筒状胴部本体内周壁面に縦溝状に一体成型したものとするのが望ましく、筒状胴部本体内周壁面に装着された通気性筒状内張り材で施蓋状として、通気路溝形状と内張り材との間に管路状の通気路を形成したものとすることができる外、各溝内に通気性素材を充填したものとすることが可能であり、また、平滑状に成型された筒状胴部本体内周壁面にレール状の内張り材を多数条貼着して、各レール状内張り材間に上下方向の溝形状を形成したものとすることができる。
【0011】
通気孔は、各縦溝状通気路の上端を筒状胴部本体周壁面に貫通させ、筒状胴部本体上側周壁面を通じて長靴内の空気を外部に放出すると共に、外気を長靴内に導き入れ可能とする機能を果たすものであり、縦溝状通気路を通じて流動する空気と略同量の空気を吸排気可能な配置、形状したものとしなければならず、撥水機能を有する通気性シートで閉鎖状としたり、あるいは垂れ下がり状に設けた孔隠し突片で横方向、およびそれよりも上となる斜横方向からの雨水が浸入しないよう盲状に覆った構造とするのが望ましい。
【0012】
孔隠し突片は、各通気孔を盲状に覆った見隠れ構造を形成して、横方向およびそれよりも上となる斜横方向からの雨水が通気孔を通じて浸入しないよう包囲する機能を果たすものであり、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下がり状とした構造とすべきであって、不用意に通気孔を通気不能な状態に閉鎖してしまうことのないよう包囲する構造としなければならず、筒状胴部本体縁帯部に一体成型したものとするのが望ましい。
【0013】
靴部は、靴底および靴底から爪先、足甲部、そして踵等から足首部までに相当する筒状胴部本体下端から下方の前後左右壁面を、水が浸透しないよう包囲する機能を果たすものであって、靴部内部空間が、筒状胴部本体内周壁面に形成された多数条の縦溝条通気路に連通または実質的に連通状とした構造としなければならず、靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう、互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設し、各短柱状突起部間に靴底内側面の略全面に渡り、網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成し、該靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設し、前記靴底網状通気路の外周縁に連通する靴内周壁網状通気路を形成したものとすることにより、該靴内周壁網状通気路の上端に縦溝状通気路の各下端が連通状となるように構成してなるものとすることができる。
【0014】
その他、靴底内側上に対して、上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡り、略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設したものとし、少なくとも上面側には透湿性を有する布地を貼着してなる保温性に秀れたインソールを脱着自在に装着してなるものとすることが可能となる外、靴底内側上に対して、上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡りって略均等配置となるよう、互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設し、多数の短柱状突起部間の複数適所に上下に貫通する通気孔を穿孔した上、少なくとも上面側には透湿性を有する布地を貼着してなるインソールを脱着自在に装着して通気性と保温性とを両立させた構造のものとすることもできる。
【0015】
内張り材は、筒状胴部本体内周壁、靴部内周壁、靴底上面等に対する足表面の直接的な接触を阻止して緩衝すると共に、通気性と透湿性とを高める機能を果たすものであり、メリヤスやフェルト等の天然繊維を素材とした生地や、不織布、合成繊維等を用いたもの、または通気性を有するウレタンや合成ゴム等の発泡樹脂製シート素材、あるいはそれらを積層状に組み合わせたもの、もしくは、爪先や踵、足首等の各部の必要強度や必要通気性能に応じて素材を選択し、必要に応じて継ぎ目縁部を縫合または重ね代を接着する等して各筒状胴部本体内周壁や靴部内周壁に貼着状に一体化したものとすべきであり、筒状胴部本体の多数条の縦溝状通気路を含む内周壁に貼着状に一体化したものとすることができる外、多数条の縦溝状通気路の溝形状部分を除く筒状胴部本体内周壁に張着状に貼り着け、各縦溝状通気路を縦型管路状に施蓋した状態とし、夫々管路状とした縦溝状通気路を上下方向に通過する空気が、内張り材の肉厚方向に通過して長靴内外の通気を可能とするよう構成したものとすることも可能であり、予め長靴本体の射出成型工程において、長靴本体の樹脂成型素材と一体化させてしまうよう製造したものとするのが望ましい。 以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【0016】
【実施例】
図1の断面化した長靴の側面図、図2の図1中の鎖線円Aに囲まれた通気孔断面構造の斜視図、図3の断面化した靴部の斜視図、および図4のインソールの断面図に示される事例は、筒状胴部本体内周面の全周に渡って上下に延びる多数条の縦溝状通気路を形成し、各縦溝状通気路の上端に筒状胴部本体肉厚方向に貫通して外部に開口する通気孔を連通状に形成した基本的構成からなるこの発明に包含される長靴における代表的な一実施例を示すものである。
【0017】
当該長靴は、靴底11、爪先部12、甲部13、踵部14および足首部15に至る部位を形成する靴部1と、該足首部15から上方に前後に長い略楕円形円筒状を成すよう延伸された筒状胴部本体2とを有しており、全体が合成ゴムか塩化ビニル樹脂によって一体成型されたものとなっている。
【0018】
該靴部1は、靴底11内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう、互いに3〜5mm程度の所定間隔を隔てた直径3〜5mm程度、高さ4mm前後の多数の短円柱状突起部16,16,……を、靴部1と一体成型するか、あるいは発泡樹脂製であって接着剤によって後着けする等して、歩行の際の荷重によっても容易に圧縮されない程度の強度をもって突設し、各短円柱状突起部16,16,……間に靴底11内側面の略全面に渡り、網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路17を形成し、該靴底11外周縁部に連続して爪先部12および踵部14から足首部15に至る前後左右の靴部1内周側壁面にも、略同様の多数の短円柱状突起部16,16,……を突設し、前記靴底網状通気路17の外周縁に連通する靴内周壁網状通気路18を形成したものとしている。なお、前記短円柱状突起部16,16,……は、多角形短柱状の突起部に形成することが可能である外、側断面台形状の錐状に形成することもできる。
【0019】
そして、靴部1の靴底11内側上面には、図4に示すように、靴底11の形状と略同形状の硬質ゴムあるいはシリコン樹脂製のシート素材からなるインソール4が脱着自在に装着されており、該インソール4は、その上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡って略均等配置となるよう、互いに3〜5mm程度の所定間隔を隔てた直径3〜5mm程度、高さ4mm前後の多数の短円柱状突起部16,16,……を突設し、これら多数の短円柱状突起部16,16,……上面には、インンソール4と同形状のメリヤスやフェルト素材等を用いて保温性を高めた透湿性を有するインソール用布地42を貼着してなる冬季用のもの、あるいは、硬質ゴムあるいはシリコン樹脂製のシート素材からなるインソール上下面の双方、もしくは何れか一方の全面に渡って略均等配置となるよう、互いに6〜10mm程度の所定間隔を隔てた直径3〜5mm程度、高さ4mm前後の多数の短円柱状突起部16,16,……を突設してなるものとし、さらに、多数の短円柱状突起部16,16,……間の複数適所に、上下に貫通する直径3〜5mm程度の通気口41,41,……を穿孔した上、多数の短円柱状突起部16,16,……上面には、インンソール4と同形状のメッシュ素材を用いて通気性を高めた透湿性を有するインソール用布地42を貼着してなる夏季用のものの何れか一方を選択して装着可能な構造となっている。
【0020】
筒状胴部本体2は、上端から下方所定幅全周に縁帯部23を形成し、足首部15から上方縁帯部23に至るよう延伸された略全内周壁面に、上下に渡って直線状をなし隣接するもの同士の間に、前記靴内周壁網状通気路18の上部に連通する凹欠条の縦溝状通気路21,21,……を形成する多数条の凸条部22,22,……を、足首部15に近い下側では、破線状に短く分断され、上方に向かうに従って直線状に連続するよう、筒状胴部本体2と一体成型するか、あるいは発泡樹脂製であって接着剤によって後着けする等して突設し、縁帯部23の下縁部に相当する各縦溝状通気路21,21,……の上端部には、筒状胴部本体2を肉厚方向に貫通して外部に通じるよう開口する通気孔31,31,……を穿孔し、さらに、該筒状胴部本体縁帯部23の外周壁に一体成型あるいは接着、結合されて同縁帯部23下端縁から垂れ下がり状となって全通気孔31,31,……を上方から外側周辺にかけて隠蔽するよう囲い込み、その下端縁部を通じて各通気孔31,31,……を外部に開放するものとした孔隠し突片32で盲状に覆い、見隠れ構造3を形成したものとなっている。
【0021】
【作用】
以上のとおりの構成からなるこの発明の長靴は、靴部1の靴底11に形成された靴底網状通気路17および爪先部12、甲部13、踵部14および足首部15付近にかけて形成された靴内周壁網状通気路18が互いに連通し、さらに、靴内周壁網状通気路18が筒状胴部本体2の縦溝状通気路21に通じる構造となっており、長靴を履いた足と、この足を覆う長靴内周壁面全体との間に、靴部1では網目状の、筒状胴部本体2では上下略直線状に流通自在な空気路を形成し、常時長靴内の空気を外部に放出し、且つ長靴内部に外気を取り入れ可能にするものとなり、足裏や爪先等の発汗や体温の発散によって高温、多湿化した長靴内空気の自然対流を促進させる。
【0022】
そして、筒状胴部本体2縦溝状通気路21の上端に形成された見隠れ構造3通気孔31,31,……が、長靴全体を巡って上昇してきた湿った空気を、筒状胴部本体2上端側の縁帯部23を通じることなく外部に放出し、また、見隠れ構造3通気孔31,31,……を通じて新鮮な外気を長靴内に取り込み、長靴内全体の湿度を速やかに低下させることとなり、さらに、見隠れ構造3の孔隠し突片32が通気孔31,31,……の外周側を隠蔽状に包囲していて、外観からは通気孔31,31,……の存在を認識させず、長靴のデザイン性を損ねることがない上、長靴の横方向あるいは斜め上方向から吹き付けるような雨や雪および冷たい風等が、通気孔31,31,……を通じて長靴内に浸入してしまうことを阻止するものとなる。
【0023】
また、冬季用のインソール4を装着したものでは、保温性を高めた透湿性のインソール用布地42が通気を適度に調節して爪先の冷え込みを抑え、同インソール4に形成された多数の短円柱状突起部16,16,……が通気性を向上させて蒸れを防止するものとなり、他方、夏季用のインソール4を装着したものでは、通気性を高めたインソール用布地42が、足裏や爪先で発生した大量の発汗を効率的に吸引、透過させ、短円柱状突起部16,16,……間および通気口41,41を通じて靴底網状通気路17や靴内周壁網状通気路18側へ速やかに放出すると共に、縦溝状通気路21,21,……を通じて外気を効率的に取り入れ、発汗箇所を迅速に乾燥状態へと導くことなる。
【0024】
さらにまた、筒状胴部本体2縁帯部23の見隠れ構造3孔隠し突片32よりも上側に、図示しない折畳み収納可能な筒状軟質防水フードを設けたものの場合には、積雪や横殴りの雨等の荒天の際に、該筒状軟質防水フードを引き延ばして、同防水フード開口縁に設けられた縛り紐または輪ゴム等で足回りに閉鎖状に縛り着けることにより、筒状胴部本体2上部開口部からの雪や雨水の浸入を確実に防止するものになる上、縁帯部23下側に設けられた見隠れ構造3通気孔31,31,……を通じて長靴内の換気を良好に行うことが可能となる。
【0025】
【効果】
以上のとおり、この発明の長靴によれば、何よりも先ず、筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延びるよう多数条形成した縦溝状通気路が、靴部内部空間に連通または実質的に連通状とした上、各縦溝状通気路の上端に筒状胴部本体を肉厚方向に貫通する通気孔を開口したものとなっていて、長靴内部全体の空気の循環を円滑且つ迅速に行うことができるようにして靴部内の通気性を確保したものとすることにより、細菌の増殖や悪臭の発生原因となる靴部内の蒸れや結露を防止することができるものとなる上、湿度や温度の上昇および温度低下による冷え等を防止して快適な状態に保つことができるという特徴を有したものとなっている上、従前までの長靴の場合であれば、通気性を確保するために足サイズよりも一回り大きめのものを選ばざるを得なかったが、この発明の長靴であれば、使用者の足にぴったりのサイズのものでも十分通気性の確保可能とし、安全で動き易く且つ爽快な使用感を得ることができ、しかも筒状胴部本体縁帯部の外周面下端縁またはそれよりもやや上位となる箇所全周から垂れ下がり状にした孔隠し突片で前記通気孔を覆って見隠れ構造に形成してあって、横殴りの風雨、雪が吹き付けるような悪天候の最中、あるいは作業の最中の水播きの際にも、通気孔を通じて冷気や雨滴、雪、あるいは散水等の長靴内への浸入を確実に阻止できるという利点も得られることから、全体として快適性に秀れた長靴を実現化できるという大きな特徴が得られるものとなっている。
【0026】
また、筒状胴部本体および靴部の内周壁全面を適宜内張り材で仕上げたものとしたり、あるいは、適宜内張り材で縦溝状通気路の凹欠溝状部を平滑に仕上げたものとするか、縦溝状通気路の凹欠溝状部内に管路状の通気路を残存させるように被着させたものとするかするようにして、縦溝状通気路による通気性を十分に確保した上、筒状胴部本体縦溝状通気路の凹凸状内周壁面に弾力性を与えて履用時の肌触りを改善することができるようにし、しかも内張り材の弾性変形によって歩行中の長靴内で足が適度に動き、長靴内の空気の移動を促すようにしたものとしてあることから、長靴内外の換気を強制的に促進させることができるという秀れた効果が発揮されることにもなる。
【0027】
特に、実施例に説明した長靴は、上記した特徴に加え、特に発汗の多い爪先部12や靴底11を含む靴部1の内周壁面の略全域に渡り、短円柱状突起部16,16,……を形成して各短円柱状突起部16,16,……の間に全体が網目状に連通する靴底網状通気路17および靴内周壁網状通気路18を形成して、該靴内周壁網状通気路18の足首部15付近となる上端部を筒状胴部本体2内周壁面に上下に略直線となる多数条の縦溝状通気路21,21,……に連通状とした構造とすることにより、略全方位方向にムラなく空気が流通し、網目状の流通空気層で足裏、爪先、足甲部、踵部までの足全体を包み込み状に包囲して湿気を速やかに除去するものとなる上、直線状に立ち上がった多数条の縦溝状通気路21,21,……が、足の発熱による自然体流による空気の上昇を促して速やかに上昇、排気させるものとなる結果、排気によって発生した負圧により、外気を自動的に長靴内に導くものとなるという確実な効果が得られ、さらに、筒状胴部本体2上部の縁帯部23に、図示しない折畳み収納可能な筒状軟質防水フードを設けたものでは、縁帯部23下部に設けられた通気孔31,31,……によって長靴内外の充分な換気性能を確保できる上、該筒状軟質防水フードを引き延ばして足回りに閉鎖状に縛り着けることにより、筒状胴部本体2上部開口部からの雪や雨水あるいは冷気の浸入を確実に防止して長靴内の環境を快適に保つことができるという効果が得られるものとなる。
【0028】
さらに、冬季用のインソール4を装着したものでは、保温性を有するインソール用布地42が良好な通気性を確保して蒸れを防止するものになると共に、断熱性を高めて爪先や足全体の冷え込みを防止可能とし、また、夏季用のインソール4を装着したときには、該インソール4の肉厚方向に貫通した通気口41,41,……を通じ、該インソール4の下側に熱気を逃がし、靴底網状通気路17、靴内周壁網状通気路18および縦溝状通気路21,21,……を通じて外部へ強制換気することとなり、長靴内外の通気性を格段に向上させるという極めて理想的な特徴を発揮し得るものとなる。
【0029】
叙述の如く、この発明の長靴は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの長靴と略同等の製造工程および略同様の製造単価で量産可能にすることから、比較的廉価にて市場に供給することができることになる上、使用環境によって高温多湿化したり、低温多湿な状態となったりしがちだった長靴内を、特別な構造のインナーブーツ等を使用することもなく、通気性を高め、爽快で保温性にも秀れたものとすることができるものとなって、日常的な長靴としての着用は固よりのこと、高温多湿な環境下で作業する酒造業者をはじめ、厳しい自然環境下での野外作業を避けられない稲作、園芸農家や土木作業者まで、幅広い業界から高い評価が得られ、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の長靴の技術的思想を具現化した代表的な実施例を示すものである。
【図1】長靴の断面構造を示す側面図である。
【図2】図1中の鎖線円Aに囲まれた要部構造を示す斜視図である。
【図3】長靴の底部構造を断面化して示す斜視図である。
【図4】インソールの断面構造を示す側面図である。
【符号の説明】
1 靴部
11 同 靴底11
12 同 爪先部
13 同 甲部
14 同 踵部
15 同 足首部
16 同 短円柱状突起部(短柱状突起部)
17 同 靴底網状通気路
18 同 靴内周壁網状通気路
2 筒状胴部本体
21 同 縦溝状通気路
22 同 凸条部
23 同 縁帯部
3 見隠れ構造
31 同 通気孔
32 同 孔隠し突片
4 インソール
41 同 通気口
42 胴 インソール用布地
Claims (2)
- 上端から下方所定巾全周の縁帯部を除いた筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延び、相互が溝として連通しない構造の多数条の縦溝状通気路を形成すると共に、靴部の靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成した上、靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴内周壁網状通気路を形成して、当該靴底網状通気路の外周縁に靴内周壁網状通気路を連通させ、且つ該靴内周壁網状通気路の上端に前記縦溝状通気路の各下端が連通状となるようにする一方、前記縦溝状通気路の各上端は、筒状胴部本体の肉厚方向を貫通して夫々が独立して外部に開口する通気孔に連通状にすると共に、それら通気孔全ての開口部外方を、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下り状にした孔隠し突片で盲状に覆った見隠れ構造としてなるものとしたことを特徴とする長靴。
- 上端から下方所定巾全周の縁帯部を除いた筒状胴部本体の内周面全周に渡って上下方向に延び、溝内に通気性素材を充填して相互が溝として連通しない構造としてなる多数条の縦溝状通気路を形成すると共に、靴部の靴底内側上面の略全面に渡って略均等配置となるよう互いに所定間隔を隔てた多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴底網状通気路を形成した上、靴底部外周縁部に連続して爪先および踵から筒状胴部本体に至る前後左右の内周側壁面にも、これらと略同様の多数の短柱状突起部を突設して網目状に連通する凹欠状の靴内周壁網状通気路を形成して、当該靴底網状通気路の外周縁に靴内周壁網状通気路を連通させ、且つ該靴内周壁網状通気路の上端に前記縦溝状通気路の各下端が連通状となるようにする一方、前記縦溝状通気路の各上端は、筒状胴部本体の肉厚方向を貫通して夫々が独立して外部に開口する通気孔に連通状にすると共に、それら通気孔全ての開口部外方を、筒状胴部本体縁帯部外周面下端縁またはそれよりやや上位となる箇所全周から垂れ下り状にした孔隠し突片で盲状に覆った見隠れ構造としてなるものとしたことを特徴とする長靴。
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