JP3542855B2 - 自動灌水鉢 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、安定的な設置を意図する自動灌水鉢に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動灌水鉢は、化粧鉢(外カバー、外鉢)の下方に水タンクを配置し、同上方に一個又は数個の植木鉢を配置する構成が一般的な形態となっている。したがって、自動灌水鉢(以下、原則として灌水鉢とする。)の立上り寸法(以下、丈とする。)が大きく、かつ重心が高くなることから、安定性に欠けること、又は植木の丈が限定されること、更には美観を損ねること、等の問題がある。
【0003】
尚、前記問題解決の一環又は前記構成と異なる先行技術文献を挙げると、次のような考案がある。但し、灌水鉢でなく通常の植木鉢もある。(1)実開平5−93325号の植物容器の考案がある。この考案は、略凹文字形状の水タンクを有する容器と、この容器の内側凹部に設けられた植木栽培地及び生花活け部と、でなる構成である。したがって、前記略凹文字形状の側面部位にも水タンク部を備えており、水タンクの底面部位の容積(寸法)を小さくできることから、当該容器の丈が幾分小さくなる形態である。(2)実公平6−939号の植木鉢の考案がある。この考案には、植木鉢の側壁の上方外周位置に貯水容器を付設する構成が開示されている。この考案は、水タンク(貯水容器)を前記位置に設けたことから、植木鉢の丈が小さくなる特徴を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記各先行技術文献の考案(文献考案とする。)は、丈を幾分小さくできる特徴を持つ。しかし、文献考案(1)は、底面部位に水タンク部を備えており、その分、丈が高くなる課題がある。また文献考案(2)は、水タンクの全体寸法、又は設けられる位置等からして、本発明が目的とする灌水鉢には適さない。先ず、水タンクの寸法が小さいので、灌水鉢として必要とする水量確保ができないこと、又水タンクを上方外周位置に設けているので、重心が高くなり、より一層転倒の危険性がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記に鑑み、本発明は、上方密閉形の水タンク構成材に充填されるエアの給排を利用して、植木鉢の培地への水及びエアの給排を図ること、灌水鉢の丈を低く抑えかつ重心を下げ、もって灌水鉢の安定的な設置を図ること、又は植木の根部等に対して十分なエアを供給すること、等を目的として次のような構造とする。
【0006】
即ち、本発明の自動灌水鉢は、化粧鉢と、この化粧鉢内に挿設された開口を有する上方密閉形の水タンク構成材とこの上方密閉形の水タンク構成材に挿設される一個又は数個の植木鉢と、前記上方密閉形の水タンク構成材のエア給排気用の部材に設けられる給気手段及び排気手段と、で構成される自動灌水鉢であって、この自動灌水鉢の上方密閉形の水タンク構成材に給排されるエアを利用して、前記上方密閉形の水タンク構成材内の水を前記植木鉢に供給又は前記植木鉢よりリターンする水を前記上方密閉形の水タンク構成材内にプールする構造である。
【0007】
【作用】
化粧鉢にエア管付き水タンク構成材(一例である。)を挿設させ、この水タンク構成材に一個又は数個の植木鉢(以下、植木鉢とするが、植木鉢の数は限定されない。)をそれぞれ配置する。これにより、上方密閉形の水タンクの据付け及び植木鉢の設置が完了するので、続いて、上方密閉形の水タンク内に水(又は養液)を充填する。そして、この際に、上方密閉形の水タンク内の上方センサーS1の検出により、上方密閉形の水タンク内への過剰の供給を停止し、かつ所要水量を確保する。また前記給水後においては、上方密閉形の水タンク内の下方センサーS2の検出により、上方密閉形の水タンク内の渇水を回避し、かつ上方密閉形の水タンク内の水量を確認する。
【0008】
その後、例えば、排気手段(排気部、バルブ、排気用エアポンプ、その他排気手段、)を閉塞し、給気手段(エアポンプ、給気用エアポンプ、その他給気手段、)を作動させ、エア管(エア給排気用の部材の一例であり、以下、エア管で説明する。)を利用してエアを上方密閉形の水タンクに送り込むと、当該上方密閉形の水タンクの水が順次下がる。この下がった水は水タンク構成材の開口(一例である。)を通り植木鉢の孔等の水みちを通過し、順次植木鉢の培地に達する(図7参照)。この操作で上方密閉形の水タンクの水位が下がり、植木鉢の水位が順次上昇して水位が所定の位置に達すると、水位センサーS3が作動し、前記エアポンプを停止して上方密閉形の水タンク内へのエアの供給を停止する。これにより、植木鉢の水位が確保され、いわゆる給水状況を呈する(図8参照)。また水位センサーS3が作動して、水がオーバーフローしないように構成されている。尚、タイマーによりエアポンプを停止する構造、或いはタイマーとセンサー類とを併設しエアポンプを停止する構造もあり得る。
【0009】
その後は、直ちに植木鉢の水をリターンさせるか又は次の指令を待つ。例えば、指令の場合には、通常はタイマー等で次の動作が始まる。即ち、エアポンプを作動して上方密閉形の水タンクの空気を排気(排出)すると、植木鉢の水が下がり、当該水は植木鉢の孔及び水タンク構成材の開口を経由して上方密閉形の水タンクにリターンし、当該上方密閉形の水タンクの水位を上げる(図9)。
【0010】
上方密閉形の水タンクの水位が上がり上方センサーが作動すると、前記エアポンプを停止し、上方密閉形の水タンクからのエアの排気を停止する。尚、このエアの排気の方法は種々の構成があるが、例えば、エアポンプの停止をタイマーで制御してエアの排気を停止する構成、又はエアポンプの停止を上方センサーとタイマーとを併設する構成、等がある。これにより、水のほぼ全部が(一例である。)上方密閉形の水タンク内に収容される(図10参照)。この操作により、植木鉢の培地からの水を上方密閉形の水タンクへリターンし、当該開放された培地へのエアの導入を積極的に図り、いわゆる植木の根部等へのエアの供給を図り、根腐れ防止に役立てる。尚、上方センサーが作動し、上方密閉形の水タンクへの過剰水のリターンを防止して、エア管に水が入らないようにする(いわゆる上方密閉形の水タンク内にエアを残すことがよい。限定されない。)。
【0011】
以後は、タイマー、その他センサー等を利用して前記動作が繰り返される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を説明する。1は化粧鉢で、市販製品又は注文製品のいずれでもよい。この化粧鉢1には一体形又は分割形でかつ断面でほぼU字形の空洞を備えた(一例である。)水タンク構成材2が挿設される。前記、水タンク構成材2は内外側壁211、212と、場合により鉢受け片213と、天井214とで構成されている。この水タンク構成材2を化粧鉢1に挿設することにより、この水タンク構成材2と、前記化粧鉢1の底板内面112、又は化粧鉢1の内面112a、或いは専用底板、その他容器等との間で上方密閉形の水タンクRが形成される。尚、水タンク構成材2のみで上方密閉形の水タンクRを構成する場合もあり得る。図中R1は上方密閉形の水タンクRの天井部を示す。尚、水タンク構成材2の浮上防止手段(浮上防止装置)、例えば、図1の鉢受け片213、図2の突起213a等が設けられる。
【0013】
尚、図中215は水タンク構成材2に設けた貫通孔で、この貫通孔215は後述するエア管が挿設される。勿論、この貫通孔215の設けられる部位は、何等限定されず、例えば、天井214又はその近傍でもよい。図中216は上方密閉形の水タンクの内側壁211に設けた孔、開放口、切欠き等の水通路となる開口を示す。この開口216の寸法、形状、個数等は自由である。
【0014】
図中4はエア給排気用の部材の一例を示すエア管で、当該エア管4は化粧鉢1と水タンク構成材2とで形成される隙間又は水タンク構成材2の隙間等から外側壁212等の貫通孔215(一例である。)を経由して、上方密閉形の水タンクRの天井部R1(換言すれば、水タンク構成材2の天井214)の下部に達する。またエア管4には、給排気用エアポンプ、給気用エアポンプ、又は排気用エアポンプ、等のエアポンプ5(単にエアポンプ5として図示する。)が設けられている。このエア管4に替えて、例えば、上方密閉形の水タンクRのエア道、化粧鉢1と上方密閉形の水タンクRとで構成されるエア道、その他エア道等が可能である。更に又上方密閉形の水タンクRへのエア供給又は上方密閉形の水タンクRからのエア排気(以下、エア給排気とする。)は、給排気用エアポンプによる給排気の構造、又は前記給気用エアポンプと排気用バルブとの組合せ、前記排気用エアポンプと給気用バルブとの組合せ、その他エアポンプ5と電磁弁との組合せ、等の構造による給排気装置を利用してなすことも可能である。この給排気装置を利用して上方密閉形の水タンクRへのエア給排気を図ることにより、当該上方密閉形の水タンクRの水を制御する。前記図中6は上方密閉形の水タンクRの水位、6aは植木鉢7の水位をそれぞれ示す。また7aは植木鉢7の水みち、水通路用の孔を示す(位置は限定されない。)。
【0015】
尚、図4の如く、水タンク構成材2を分割式とする構造、また前述の如く、上方密閉形の水タンクRを構成する構造等に対しては各例がある。またS1は上方密閉形の水タンクRの天井部R1に設けた上方センサー、S2は上方密閉形の水タンクRの下方に設けた下方センサー、S3は植木鉢7又水タンク構成材2に設けた水位センサーを示す。そして、この各センサー類は検出手段の一例である。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、前述の如く、化粧鉢に設けた上方密閉形の水タンク構成材のエア給排気により、当該上方密閉形の水タンク構成材内の水を植木鉢の培地に給水、又は上方密閉形の水タンク構成材内にプールする構成である。したがって、灌水鉢に必要とする水量を上方密閉形の水タンク構成材内で確保できる特徴を備えている。また灌水鉢の丈を低く抑えること、並びに重心を低くすること、等により灌水鉢の安定的な設置が達成される効果を有する。更に美観を損なわない特徴がある。また各種のメンテナンスが簡便であること、及び持ち運びが簡便であること、等の実用的な特徴を有する。また水タンク構成材に開口を設ければ、清掃の容易化、材料の節約化等が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の断面図である。
【図2】灌水鉢の拡大断面図である。
【図3】全体の各部品を分解して示す斜視図である。
【図4】灌水鉢の他の例を示す斜視図である。
【図5】エア給排気用の部材の一例であるエア管の他の一例を示す拡大断面図である。
【図6】上方密閉形の水タンク内に水が充填されている状態において、エアを導入する状況を説明する模式図である。
【図7】上方密閉形の水タンクから水が植木鉢に供給される過程を説明する模式図である。
【図8】植木鉢内に水が供給され、かつこの植木鉢内に水が保持されている状況を説明する模式図である。
【図9】植木鉢から上方密閉形の水タンクに水がリターンされる過程を説明する模式図である。
【図10】上方密閉形の水タンク内に水が充填され、かつこの上方密閉形の水タンク内に水が保持されている状況を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 化粧鉢
111 内側壁面
112 底板内面
112a 内面
2 水タンク構成材
211 内側壁
212 外側壁
213 鉢受け片
213a 突起
214 天井
215 貫通孔
216 開口
4 エア管
5 エアポンプ
6 上方密閉形の水タンクの水位
6a 植木鉢の水位
7 植木鉢
7a 孔
R 上方密閉形の水タンク
R1 天井部
S1 上方センサー
S2 下方センサー
S3 水位センサー

Claims (4)

  1. 化粧鉢と、この化粧鉢内に挿設された開口を有する上方密閉形の水タンク構成材とこの上方密閉形の水タンク構成材に挿設される一個又は数個の植木鉢と、前記上方密閉形の水タンク構成材のエア給排気用の部材に設けられる給気手段及び排気手段と、で構成される自動灌水鉢であって、この自動灌水鉢の上方密閉形の水タンク構成材に給排されるエアを利用して、前記上方密閉形の水タンク構成材内の水を前記植木鉢に供給又は前記植木鉢よりリターンする水を前記上方密閉形の水タンク構成材内にプールすることを特徴とする自動灌水鉢。
  2. 上記化粧鉢又は上方密閉形の水タンク構成材に、当該上方密閉形の水タンク構成材浮上防止手段を設ける構成とした請求項1記載の自動灌水鉢。
  3. 上記エアの排気手段が排気用エアポンプで、エアの給気手段が給気用バルブである請求項1又は請求項2記載の自動灌水鉢。
  4. 上記エアの給気手段が給気用エアポンプで、エアの排気手段が排気用バルブである請求項1又は請求項2記載の自動灌水鉢。
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