JP3540444B2 - バックライトおよびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

バックライトおよびそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノートパソコン、携帯用液晶TV等に使用される液晶表示装置に関するものであり、さらに詳しくは、出射光線の分布角度が狭く、ピーク光の出射面の法線方向に出射する優れた指向性を有し、構造の簡略化およびコンパクト化を図ることのきるバックライト、および、指向性に優れ、視野角が広く、コントラストが良好で、中間色の輝度反転のない液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー液晶表示装置は、携帯用ノートパソコンや、カラー液晶パネルを使った携帯用液晶TVあるいはビデオ一体型液晶TV等として種々の分野で広く使用されてきている。また、情報処理量の増大化、ニーズの多様化、マルチメディア対応等に伴って、液晶表示装置の大画面化、高精細化が盛んに進められている。
液晶表示装置は、基本的にバックライト部と液晶表示素子部とから構成されている。バックライト部としては、液晶表示素子の直下に光源を設けた直下方式や導光体の側面に光源を設けたエッジライト方式があり、液晶表示装置のコンパクト化からエッジライト方式が多用されてきている。このエッジライト方式は、板状の導光体の側面部に光源を配置して、導光体の表面全体を発光させる方式のバックライトである。
【0003】
液晶表示素子部としては、その駆動方式によって薄膜トランジスタ駆動のティン・フィルム・トランジスタ型(TFT)とスパー・ツイスティッド・ネマティック型(STN)に大別される。TFT型液晶表示素子は、薄膜トランジスタが形成され電気的なスイッチの役割をするTFT基板と、カラーフィルターが設けられ発色の役目をするカラーフィルター基板との間に、液晶が90゜捻られて封入された構造を有している。さらに、基板の前後には偏光板が載置されており、偏光板で偏光された光が液晶層に入射すると液晶分子に沿って90゜回転し、出射側の偏光板の軸が90゜回転されていることによって光が透過して出射してくるようになっている。一方、TFT基板のスイッチがオンになると液晶分子が立ち上がり、液晶層に入射した光は回転することができず、出射側の偏光板を透過することができなくなる。このように、TFT基板のスイッチの状態に対応した画像情報が表示されるようになっている。このようなTFT型液晶表示素子は、高速のスイッチングが可能であり、フルカラーに対応する中間調の色の表示に適しているとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような液晶表示装置においては、見る角度によって画質が大きく変化し、例えば、画面を見る角度によって、コントラスト、明るさが変化したり、中間調の色の光度が反転して色調が変化したりして正常な画像が得られない等の問題を有している。これは、TFT型液晶表示素子においては、中間調の色の表示は液晶分子が完全に立ち上がらない状態にあり、液晶分子が傾いた方向で見た光は液晶分子中を垂直に近い角度で通過した光となり、光が回転する確率が高くなり偏光板を透過する光が多くなって白っぽい表示となるためである。また、液晶分子が傾いてない方向から見た場合には、液晶層を通過する光は液晶分子の影響が低くなり光が回転せずに暗い表示となるためである。このような問題は、液晶表示装置の画面サイズの大型化、用途の拡大による複数人での観察等の要求によって、より大きな問題となってきている。
【0005】
さらに、このようなカラー液晶表示装置は、バッテリーによって駆動製品されるため、液晶表示装置の消費電力がバッテリー駆動時間を伸ばすための障害になっている。中でも、液晶表示装置に使われているバックライトの消費電力の割合は大きく、この消費電力をできる限り低く抑えることがバッテリー駆動時間を伸ばし、上記製品の実用価値を高める上で重要な課題とされている。しかし、バックライトの消費電力を抑えることによって、バックライトの光度を低下させたのでは液晶表示が見難くなり好ましくない。
【0006】
バックライトの光度を犠牲にすることなく消費電力を抑えるために、バックライトの光学的な効率を改善することが望まれている。これを実現する手段として、片面にプリズム列やレンチキュラー列等のプリズム列を多数形成したプリズムシートを、導光体の出射面側に載置したバックライトが提案されている。このようなバックライトでは、プリズムシートによってバックライトの光度を向上させるものであるが、プリズムシートの使用によりバックライトユニットの構造が複雑になるとともに、厚さの点でコンパクト化の障害ともなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、プリズムシート等の部品を使用することなく、出射光線の分布角度が狭く、ピーク光(出射光線の光度分布において、最も光度の高い光線をいう。)の出射面の法線方向に出射する優れた指向性を有し、正面での光度を最も高くできる優れた指向性を有するとともに、構造の簡略化およびコンパクト化を図ることのきるバックライトを提供するとともに、視野角が広く、コントラストが良好で、中間色での輝度反転が少なく、画面サイズの大型化、複数人での観察等の種々の用途に適応できる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、導光体として特定の構造を有するものを使用することによって、バックライトの出射光線の分布角度が狭く、ピーク光の出射面の法線方向に出射する優れた指向性を有し、正面での光度を最も高くできる優れた指向性を有することを見出すとともに、従来の液晶表示装置における見る方向による画面のコントラストや色調の変化が、バックライト部からの出射光の角度分布が広く、液晶表示素子に種々の方向から入射することによる液晶分子の傾き方向の影響に起因することに注目し、液晶表示素子に入射する光を角度分布の狭い疑似平行光とし、液晶表示素子を透過した後で光を拡散させることによって、見る角度によるコントラストや中間色での輝度反転による色調の変化が少なく、広視野角の液晶表示装置が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明のバックライトは、光源と、該光源に対向する少なくとも一つの入射面および出射面を有する導光体から構成され、前記導光体の出射面が光源と平行に形成された凸状部と平坦部とが交互に配置された凹凸面からなり、該凸状部が対向する二つの立ち上がり面からなり、少なくとも光源から離れた側に位置する立ち上がり面が平坦部に対して50〜70゜の傾斜角を有し、光源から離れた側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角αと光源側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角βとの差(α−β)が1〜5°であり、光源側に位置する立ち上がり面が平坦部から立ち上がる平面部と該平面部に連続して形成される凸の曲面部とからなることを特徴とするものである。また、本発明の液晶表示装置は、光源と、該光源に対向する少なくとも一つの入射面および出射面を有する導光体と、該導光体上に配置された液晶表示素子から構成され、前記導光体の出射面が光源と平行に形成された凸状部と平坦部とが交互に配置された凹凸面からなり、該凸状部が対向する二つの立ち上がり面からなり、少なくとも光源から離れたに位置する立ち上がり面が平坦部に対して50〜70゜の傾斜角を有し、光源から離れた側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角αと光源側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角βとの差(α−β)が1〜5°であり、光源側に位置する立ち上がり面が平坦部から立ち上がる平面部と該平面部に連続して形成される凸の曲面部とからなることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のバックライトは、図1に示したように、光源3と導光体2から構成されており、導光体2は少なくとも一つの側面を入射面とし、これと略直交する一つの面を出射面4とし、出射面4が光源と平行に形成された凸状部8と平坦部11とが交互に形成された凹凸面から構成されている。また、この凸状部8は、図2に示したように、対向する二つの立ち上がり面9、10からなり、少なくとも光源から離れた側に位置する立ち上がり面9が平坦部11に対して50〜70゜の傾斜角(α)を有する。これら立ち上がり面9、10は、平面であっても所定の曲率の曲面であってもよく、曲面とした場合には出射光線の角度分布を幾分大きくすることができる。本発明の導光体2では、導光体2中を伝搬する光線が凸状部8に入射すると、立ち上がり面9、10で反射され指向性が出射面に対して法線方向となる出射光線となって出射する。本発明においては、このような特定の凹凸面からなる出射面4から構成された導光体2を用いることによって、バックライトからの出射光線を分布角度の狭い疑似平行光とすることができるとともに、ピーク光の指向性が出射面に対して法線方向となる出射光線とすることができる。好ましくは、凸状部8を構成する光源から離れた側に位置する立ち上がり面9の傾斜角(α)が平坦部11に対して55〜65゜の範囲である。
【0011】
導光体2の出射面に形成した凸状部8は、平坦部11から立ち上がる平面部12と、平面部12に連続して形成される外側に凸の曲面部13から構成されることが、バックライトからの出射光線のピーク光の分布角度をより狭くでき、出射光線の指向性をより出射面に対して法線方向とさせることができる点で好ましい。この場合、平坦部11に対する平面部12の傾斜角(β)はβ≦αの範囲であり、凸状部8の成形時の型抜き性等の生産性を考慮するとα−β≦1〜5゜程度とすることが好ましい。また、平面部12に連続して形成される曲面部13は曲率半径(R)を0.1〜2mmの範囲とすることが、バックライトからの出射光線の分布角度をより狭くする点で好ましい。さらに、凸状部8の底辺部(a)の長さを1としたときに、光源側の立ち上がり面10を構成する平面部12の高さ(b)は、1〜2の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは1.2〜1.5の範囲である。凸状部8の幅(c)および高さ(d)、平坦部11の幅(a)は、特に限定されるものではないが、好ましくは幅(c)が0.05〜1.5mm、高さが(d)0.07〜2mm、平坦部11の幅(a)が0.05〜1.5mmの範囲である。
【0012】
本発明においては、導光体2から出射する出射光線の角度分布(光源3と垂直方向)は、半値幅が40゜以下であることが好ましく、さらに好ましくは20゜以下である。この半値幅が40゜を超えると、液晶表示装置におけるコントラストが低下したり、階調反転が起こりやすくなる傾向にある。また、導光体2から出射する出射光線のピーク光が、出射面の法線方向に対して15゜以内の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは10゜以内の範囲である。
【0013】
導光体2の出射面4に形成される凹凸面は、導光体2の裏面を熱プレス法等によって加工して形成してもよいし、押出成形や射出成形等によって導光体2を製造する際に同時に加工して形成してもよい。また、熱あるいは光硬化性樹脂等を用いて一体に形成してもよい。熱あるいは光硬化性樹脂等を用いて導光体2の出射面に凸状部8を一体に形成する方法では、導光体2と凸状部8の屈折率が異なるものを製造することもできる。さらに、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリルイミド系樹脂等からなる透明フィルムあるいはシート等の透明基材上に、活性エネルギー線硬化型樹脂によって凸状部8を形成した凹凸シートを、導光体2に接着、融着等の方法によって一体化させてもよい。
【0014】
活性エネルギー線硬化型樹脂を用いて凸状部8を形成する場合には、所定の凹凸パターンを形成した型に活性エネルギー線硬化型樹脂液を注入し、導光体2あるいは透明フィルムを重ね合わせる。次いで、導光体2を通して紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化型樹脂液を重合硬化して、型から剥離することによって製造することができる。凸状部8を構成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、多官能(メタ)アクリル化合物、ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸の金属塩等を使用することができる。
【0015】
導光体2としては、板状、くさび状、船型状等の種々の形状のものが使用でき、光線透過率の高い合成樹脂から構成される。光源3から導光体2へ有効に光を導入するために、光源3および導光体2の光入射面を内側に反射剤を塗布したケースやフィルムで覆うように構成することが好ましい。導光体2の裏面は、反射面を構成するために金属蒸着等によって反射層7が形成される。
【0016】
導光体2を構成する合成樹脂としては、メタクリル樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の高透明性の種々の合成樹脂を使用して、押出成形、射出成形等の通常の成形方法で製造することができる。特に、メタクリル樹脂が、その光線透過率の高さ、耐熱性、力学的特性、成形加工性にも優れており、導光体用材料として最適である。このようなメタクリル樹脂とは、メタクリル酸メチルを主成分とする樹脂であり、メタクリル酸メチルが80重量%以上であることが好ましい。
【0017】
本発明の液晶表示装置1は、図1に示したように、光源3と上記のような構成からなる導光体2から構成されるバックライト部と液晶表示素子5からなる。上記のような特定の凹凸面を有する出射面4から構成される導光体2を用いることによって、導光体2からの出射光線は液晶表示素子5を通過する際には角度分布の小さい疑似平行光となり、液晶分子の傾き方向の影響を最小限とできるため、見る角度によるコントランスや中間色の輝度反転による色調の変化が少ない液晶表示装置を得ることができる。液晶表示素子5としては、特に限定されるものではなく、アクティブマトリックス駆動のTFT型液晶表示素子、単純マトリックス駆動のSTN型液晶表示素子のいずれでも使用することができる。また、TFT型液晶表示素子では、その素子そしてポリシリコン、アモルファスシリコン、メタル・インシュレータ・メタル等の種々のアクティブ素子を用いることができる。
【0018】
また、図3に示したように、液晶表示素子5の上に少なくとも一方の面に多数のレンチキュラーレンズが平行に形成されたレンチキュラーレンズシート6を載置してもよい。このようにレンチキュラーレンズシート6を液晶表示素子5上に載置することによって、液晶表示素子5を透過した疑似平行光がレンチキュラーレンズシート6に入射し、入射光はレンチキュラーレンズの焦点に一旦集束した後に拡散されるため、液晶表示装置の視野角を広くことができる。すなわち、特定の凹凸面を有する出射面から構成される導光体2によって、液晶表示素子5を通過する際には角度分布の小さい疑似平行光で液晶分子の傾き方向の影響を最小限とでき、液晶表示素子5を透過した後にレンチキュラーレンズシート6によって光の拡散を行うため、見る角度によるコントランスや中間色の輝度反転による色調の変化が少なく、かつ広い視野角の液晶表示装置を提供できる。
【0019】
液晶表示素子5の上に載置されるレンチキュラーレンズシート6は、液晶表示素子5を透過した光を拡散させることによって視野角を広げる機能を有する部材である。レンチキュラーレンズシート6は、少なくとも一方の面に、半円柱状、半楕円柱状あるいはこれらと類似の形状を有するレンチキュラーレンズを平行に多数形成してなるものであり、厚さ0.1〜10mm程度、レンズピッチが10〜800μm程度であることが好ましい。また、レンチキュラーレンズシート6は、可視光透過率が高い材料を用いて製造することが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂等が挙げられる。本発明においては、レンチキュラーレンズシート6に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、拡散剤等の添加剤を添加することもできる。レンチキュラーレンズシート6の製造は、押し出し成形、射出成形、活性エンルギー線硬化型樹脂を使用する方法等の通常の成形方法が使用できる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
光度の測定
導光体の冷陰極管にインバーター(TDK社製CXA−M10L)を介して直流電源に接続し、DC12Vを印加して点灯させた。液晶表示装置を測定台に載置し、その中央で冷陰極管軸と平行な回転軸で回転するように調節した。次いで、3mmφのピンホールを有する黒色の紙を、ピンホールが導光体の中央に位置するように導光体上に固定し、輝度計(ミノルタ社製nt−1゜)を用いて測定円が8〜9mmとなるように距離を調整した。冷陰極管のエイジング時間が30分以上経過後に、回転軸を80゜〜−80゜まで5゜間隔で回転させながら、出射光の光度の角度分布を測定した。
【0021】
実施例1
アクリル系樹脂の射出成形によって、図2に示したように、一方の表面に傾斜角(α)が60゜の立ち上がり面9と、傾斜角(β)が58゜、高さ1.33mmの平面部12と曲率半径1.33mmの曲面部13から構成された立ち上がり面10の二つの立ち上がり面から構成される幅1mmの凸状部8と幅1mmの平坦部11とを、光源に対して平行にして交互に配置した凹凸面を形成した導光体を作製した。得られた導光体の90mmの二つの端面に銀蒸着したPETフィルムを粘着加工して貼り付け、凹凸面あるいはマット加工面の反対側の表面に銀蒸着したPETフィルムをテープ止めして反射面を形成した。アクリル板の100mmの二つの端面に、銀蒸着したPETフィルムで冷陰極管(松下電器社製KC130T4E72、4mmφ×130mm)を巻き付けて、光源ランプとして設置しバックライトとした。なお、傾斜角58゜の立ち上がり面が光源側となるように、光源ランプを導光体端面に設置した。
【0022】
得られた導光体の出射面上にTFT型液晶表示素子を載置して、液晶表示装置組み立てた。得られた液晶表示装置を用いて、出射光の光度の角度分布を測定した。その結果を、最大ピークの光度を1とした場合の光度比率で図4に示した。また、出射光線のピーク光は出射面の法線方向に対して10゜の方向にあり、出射光線の半値幅は±15゜であった。さらに、約30゜斜め方向から観察した場合でも、コントラスト、色調、明るさ等の変化は殆ど認められなかった。
【0023】
実施例2
実施例1で使用した液晶表示装置のTFT型液晶表示素子上に、厚さ2mmのアクリル系樹脂板にピッチ0.22mmのレンチキュラーレンズを形成したレンチキュラーレンズシートを載置した。得られた液晶表示装置を用いて、出射光の光度の角度分布を測定した。その結果を、最大ピークの光度を1とした場合の光度比率で図5に示した。また、出射光線のピーク光は光出射面の法線方向に対して10゜の方向にあり、出射光線の半値幅は60゜以上であった。さらに、約30゜斜め方向から観察した場合でも、コントラスト、色調、明るさ等の変化は殆ど認められなかった。
【0024】
比較例1
100mm×90mm×4mmの透明アクリル樹脂板(三菱レイヨン社製アクリライト001)を準備し、その一方の表面にスクリーン印刷によってマット形状を印刷し導光体を作製した。得られた導光体の90mmの二つの端面に銀蒸着したPETフィルムを粘着加工して貼り付け、マット加工面の反対側の表面に銀蒸着したPETフィルムをテープ止めして反射面を形成した。アクリル板の100mmの二つの端面に、銀蒸着したPETフィルムで冷陰極管(松下電器社製KC130T4E72、4mmφ×130mm)を巻き付けて、光源ランプとして設置しバックライトとした。
一方、プリズム頂角90゜、ピッチ50μmのプリズムパターンを形成した金型に、アクリル系紫外線硬化型樹脂液を注入し、厚さ150μmのPETフィルムをロールを用いて重ね合わせた。次いで、PETフィルムを通して570mJの紫外線を照射して、アクリル系紫外線硬化型樹脂を重合硬化させ、金型から剥離して屈折率1.59、頂角90゜のプリズムシートを得た。
【0025】
得られた導光体の光出射面上に、頂角90゜のプリズムシートをプリズム列が導光体側となるように載置して液晶表示装置を得た。得られた導光体の光出射面上に、頂角90゜のプリズムシートをプリズム列が導光体側となるように載置し、さらにTFT型液晶表示素子を載置して液晶表示装置を組み立てた。得られた液晶表示装置を用いて、出射光の光度の角度分布を測定した。その結果を、最大ピークの光度を1とした場合の光度比率で図6に示した。また、出射光線のピーク光は光出射面の法線方向に対して10゜の方向にあり、出射光線の半値幅35゜であった。さらに、約30゜斜め方向から観察した場合でも、コントラスト、色調、明るさ等の変化は殆ど認められなかった。
【0026】
比較例2
比較例1で使用した液晶表示装置のTFT型液晶表示素子上に、厚さ2mmのアクリル系樹脂板にピッチ0.22mmのレンチキュラーレンズを形成したレンチキュラーレンズシートを載置した。得られた液晶表示装置を用いて、出射光の光度の角度分布を測定した。その結果を、最大ピークの光度を1とした場合の光度比率で図7に示した。また、出射光線のピーク光は光出射面の法線方向に対して10゜の方向にあり、出射光線の半値幅は60゜以上であった。さらに、約30゜斜め方向から観察した場合に、コントラスト、色調、明るさ等の変化が認められた。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、導光体の出射面に特定形状の凸状部を多数形成することにより、プリズムシート等の部品を使用することなく、出射光線の角度分布が狭く、ピーク光が出射面の法線方向に出射する優れた指向性を有し、構造の簡略化およびコンパクト化を図ることのきるバックライトを提供することができる。また、このようなバックライトを用いて、さらに液晶表示素子の上にレンチキュラーレンズシートを載置することによって、視野角が広く、見る角度によるコントラストの変化や中間色での輝度反転による色調変化がなく、画面サイズの大型化、複数人での観察等の種々の用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の導光体を示す部分断面図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の他の構成例を示す斜視図である。
【図4】実施例1の液晶表示装置の出射光分布を示すグラフである。
【図5】実施例2の液晶表示装置の出射光分布を示すグラフである。
【図6】比較例1の液晶表示装置の出射光分布を示すグラフである。
【図7】比較例2の液晶表示装置の出射光分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ・・・ 液晶表示装置
2 ・・・ 導光体
3 ・・・ 光源
4 ・・・ 出射面(凹凸面)
5 ・・・ 液晶表示素子
6 ・・・ レンチキュラーレンズシート
7 ・・・ 反射層
8 ・・・ 凸状部
9,10 ・・・ 立ち上がり面
11 ・・・ 平坦部
12 ・・・ 平面部
13 ・・・ 曲面部

Claims (5)

  1. 光源と、該光源に対向する少なくとも一つの入射面および出射面を有する導光体から構成され、前記導光体の出射面が光源と平行に形成された凸状部と平坦部とが交互に配置された凹凸面からなり、該凸状部が対向する二つの立ち上がり面からなり、少なくとも光源から離れた側に位置する立ち上がり面が平坦部に対して50〜70゜の傾斜角を有し、光源から離れた側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角αと光源側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角βとの差(α−β)が1〜5°であり、光源側に位置する立ち上がり面が平坦部から立ち上がる平面部と該平面部に連続して形成される凸の曲面部とからなることを特徴とするバックライト。
  2. 前記凸の曲面部の曲率半径が0.1〜2mmであるこを特徴とする請求項1に記載のバックライト。
  3. 光源と、該光源に対向する少なくとも一つの入射面および出射面を有する導光体と、該導光体上に配置された液晶表示素子から構成され、前記導光体の出射面が光源と平行に形成された凸状部と平坦部とが交互に配置された凹凸面からなり、該凸状部が対向する二つの立ち上がり面からなり、少なくとも光源から離れたに位置する立ち上がり面が平坦部に対して50〜70゜の傾斜角を有し、光源から離れた側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角αと光源側に位置する立ち上がり面の平坦部に対する傾斜角βとの差(α−β)が1〜5°であり、光源側に位置する立ち上がり面が平坦部から立ち上がる平面部と該平面部に連続して形成される凸の曲面部とからなることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 前記凸の曲面部の曲率半径が0.1〜2mmであるこを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
  5. 液晶表示素子上に少なくとも一方の面に多数のレンチキュラーレンズが平行に形成されたレンチキュラーレンズシートを載置することを特徴とする請求項3または4に記載の液晶表示装置。
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