JP3539052B2 - 気化器用フロート - Google Patents

気化器用フロート

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JP3539052B2 JP6817296A JP6817296A JP3539052B2 JP 3539052 B2 JP3539052 B2 JP 3539052B2 JP 6817296 A JP6817296 A JP 6817296A JP 6817296 A JP6817296 A JP 6817296A JP 3539052 B2 JP3539052 B2 JP 3539052B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等に用いられ
る合成樹脂製の気化器用フロートに関するものであり、
特に二つのフロート部を対向するようにして配置した所
謂ダブルフロートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、気化器の小型化に対する要求
に応じて、フロート室も必要最小限の大きさに作られる
ようになってきた。そのため、吸気胴との間の隔壁形状
やフロート室の中央部に配置された燃料の噴射口等を考
慮して、それらに影響なく配置することのできるダブル
フロートが多用されている。また、他方では、各種の部
品の合成樹脂化が進んでいるが、フロート室の特殊形状
に対応させるのに向いていることもあって、現在では、
気化器用のフロートも、合成樹脂で作られるのが普通に
なっている。そして、このような気化器用フロートは、
狭いフロート室内で好適に作動しなければならないため
高い形状精度が要求されており、単車用等の極めて小型
の気化器の場合などには、フロート室の壁との間に1m
m程度の間隔を保てるように製作しなければならないの
が現状である。
【0003】そこで、この種、合成樹脂製のダブルフロ
ートの一例を図6を用いて説明する。フロートの基部1
には、孔2が形成されている。この孔2は、フロート
を、フロート室内の軸に対して揺動可能に嵌合させるた
めのものである。また、この孔2と平行に、肉厚を一定
にし断面を長方形としたアーム部3が両側に延びてお
り、その中央部に舌部4が設けられている。この舌部4
は、燃料をフロート室に流入させる周知の針弁を制御す
るためのものであり、針弁の下端を取り付けるようにす
る必要性から、アーム部3と独立させて形成している。
しかし、その必要性がなく、単に針弁を制御するだけで
よい場合には、特に舌部4を構成せず、アーム部3の中
央部によって直接針弁を制御することになる。また、ア
ーム部3の両端部には夫々略90度の角度となるように
してフロート部5が設けられ、更にアーム部3の右方に
は、燃料が減少し過ぎたとき、フロート室内のストッパ
ーに当接する突起6が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然るに、図6に示した
ような構成のフロートを、成形加工によって製作するの
は、そう簡単なことではない。その場合に一番問題とな
るのは、アーム部3とフロート部5によって形成される
角度を所定の角度に製作するのが難しいことである。こ
の角度精度が得られないと、フロート部5の先端部(図
の下端)がフロート室の壁に接触してしまい、正常な作
動を行うことができない。そして、この角度精度の得に
くい原因は、冷却時における材料の収縮作用にある。
【0005】周知のように、合成樹脂の溶融材料は、冷
却時に結晶化し固化していくが、このとき、一般には溶
融材料が固化するまでの時間が長くかかればかかる程、
収縮度が大きくなる。そこで、図6のような形状の場合
には、材料を金型内に射出したあと冷却工程に入ると、
アーム部3と二つのフロート部5で囲まれた内側の領域
は、外側の領域に比べて温度の低下が遅くなり、アーム
部3での内側の収縮量が外側に比べて大きくなる。その
ため、アーム部3の形状が変形し、フロート部5が、図
6に矢印で示すように内側に倒れ込むような形になり、
所定の形状が得られなくなってしまう。従って、従来
は、このようなことにならないようにするために、材料
の厳しい選定をはじめ、高度の加工技術を必要としてい
た。
【0006】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであって、その目的とするところは、
成形加工においてアーム部の変形をなくし、全体形状が
高精度に得られるようにした気化器用フロートを提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の気化器用フロートは、合成樹脂製であっ
て、フロート室への取付部を有する基部と、アーム部
と、第1のフロート部と、第2のフロート部とを備え、
前記第1のフロート部は直接的に又は前記基部を介して
前記アーム部の一端に設けられており、また前記第2の
フロート部は前記アーム部の他端に設けられており、該
アーム部の肉厚を、該アーム部の長手方向を中心にして
該二つのフロート部の対向領域側が薄くなるように形成
する。また、好ましくは、本発明の気化器用フロート
は、前記アーム部を、全体として略直線状に形成するよ
うにする。また、好ましくは、本発明の気化器用フロー
トは、前記第1のフロート部が前記アーム部の一端に直
接的に設けられており、前記基部は、前記アーム部の一
端近傍位置又は長手方向の中間位置で前記アーム部に連
設されているようにする。また、好ましくは、本発明の
気化器用フロートは、前記アーム部に、所定の角度に折
り曲げられた部分を有するようにする。また、好ましく
は、本発明の気化器用フロートは、前記アーム部の断面
形状が略十字形であるように形成する。また、好ましく
は、本発明の気化器用フロートは、前記アーム部の断面
形状の中心付近に空間を形成するようにする。更に、好
ましくは、本発明の気化器用フロートは、前記アーム部
を、前記空間を境にして、前記二つのフロート部の対向
領域側の体積が、反対側の体積よりも小さくなるように
形成する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図示した
実施例で説明する。図1は本発明の一実施例の正面図で
あり、図2はその背面図である。図3は図1におけるA
−A線断面図である。図4(a)乃至(f)は図1乃至
図3に示した実施例以外のアーム部の各種実施態様を夫
々拡大して示した断面図である。図5は更に異なる実施
例の正面図である。
【0009】本実施例のダブルフロートは、上記した従
来例と同じように、基本的には基部11、アーム部1
3、そして形状の異なる二つのフロート部15で構成さ
れている。基部11は四角の枠体形状をしており、その
一辺がフロート室への取付部になっていて、そこに孔1
2が形成されている。また、この基部11には、非鉄金
属製の舌片14が溶着されている。この舌片14は、上
記した従来例の舌部4に相当するものであって、針弁の
下端を取り付け、該針弁を上下方向に制御するためのも
のである。そして、基部11の上記取付部には、燃料が
減少し過ぎたとき、フロート室内のストッパーに当接す
る突起16が形成されている。
【0010】アーム部13は、図3から分かるように断
面が十字形をしており、アーム部13の長手方向を中心
にしてフロート部15側(図3において下方)に延びて
いる放射板部13aの肉厚が、他の三方に延びている放
射板部13b,13c,13dの肉厚よりも薄く形成さ
れている。そして、二つのフロート部15は、このよう
なアーム部13の両端に連設されており、その連設形状
は、二つのフロート部15が相互に対向するように、略
直角の屈曲形状となっている。また、基部11はアーム
部13の中央位置ではなく、アーム部13の一方の端部
近傍位置で連設されている。
【0011】このように、本実施例のアーム部13は、
基部11が、図6に示した例のようにアーム部の中央部
で連設されず、一方の端部近傍位置で連設されているた
め、必然的にアーム部のみの部分の長さが長くなる。そ
のため、その部分が曲がるのを防止するために、アーム
部13の断面を十字形にし強度を高めるようにしてい
る。また、アーム部13と基部11との連設部、及びア
ーム部13とフロート部15との連設部においては、ア
ーム部13の断面形状を特に十字形にすることを意識し
ておらず、通常の成形加工品と同様にして肉抜き形状と
してある。
【0012】本実施例は、上記のような構成をしている
ため、図6に矢印で示したようにフロート部15が内側
方向へ倒れ込むような形に変形するのを防止できる。そ
れは、以下の理由による。既に述べたように、溶融した
合成樹脂は、一般に、固化する時間が長ければ長い程、
収縮量が大きくなる。言い換えると、板状の部品や部位
の場合には、単位面積当たりの体積、即ち肉厚が大きく
なればなる程、固化する時間が長くなって収縮量が大き
くなる。そのため、仮に、放射板部13aと放射板部1
3cの肉厚を同じにし、且つ固化時間を同じにした場合
には、両部の収縮量は同じになる。
【0013】しかしながら、ダブルフロートの場合に
は、放射板部13aと放射板部13cの肉厚を同じにす
ると、上記したように、アーム部13と二つのフロート
部15で囲まれた内側領域は、外側領域に比べて温度が
高くなるため、放射板部13cに比べて放射板部13a
の固化する時間が長くなり、放射板部13aの収縮量の
方が大きくなってしまう。そこで、このような場合に
は、両部の体積、即ち肉厚に差を付ければ、両部の収縮
量を同じにすることが可能になる。本実施例の場合に
は、このような考えから、放射板部13aの肉厚を放射
板部13cの肉厚よりも薄くして両部の収縮量が同じに
なるようにし、フロート部15が内側に倒れ込むような
形に変形するのを防止している。
【0014】尚、本実施例においては、放射板部13a
と放射板部13cの肉厚を、夫々均一に形成している
が、両部の収縮量が同じになるのであれば、必ずしも夫
々均一である必要はなく、途中で肉厚が変化したり断面
形状が変化するようにしても差し支えない。また、アー
ム部13の断面形状も、図3に示すように放射板部13
aの肉厚のみが他の放射板部13b,13c,13dよ
り薄く形成された十字形に限られるものではなく、例え
ば、図4(a)に示すような十字形の断面形状でもよ
く、或いは図4(b)乃至図4(f)に示すような断面
形状でもよい。要するに、アーム部13の内側部と外側
部とで体積に差を持たせ、成形加工時における該両部の
収縮量を同じにすることができれば、どのような断面形
状であっても構わない。
【0015】更に、図1乃至図3に示した実施例におい
ては、図1において左側のフロート部15を、アーム部
13の一端部に連設しているが、このフロート部15を
基部11に直接、連設させるようにし、このフロート部
15又は基部11からアーム部13を張り出させ、該ア
ーム部13の先端付近に右側のフロート部15を連設さ
せてもよい。また、その場合、アーム部13は、フロー
ト部15間において所定の角度に折り曲げられた部分を
有するようにしてもよい。更にまた、アーム部13を、
図6の従来例と同様に、基部11の両側から左右方向に
張り出すような形状にしてもよく、また、アーム部13
を基部11の両側から所定の角度で二方向へ向けて張り
出すように形成し、フロート部15との連設角度が鈍角
となるようにしても差し支えない。そして、それらの場
合にも、アーム部13の強度を高めるために、断面形状
を十字形としてもよい。
【0016】次に、本発明の更に異なる実施例を、図5
に示した正面図で説明する。本実施例は、図1乃至図3
に示した実施例において、放射板部13b,13dの対
応位置に空間17を設けるようにし、しかも、図5から
分かるように放射板部13a,13cの夫々の上下寸法
1 ,t2 を、それらの相対関係が、t1 <t2 となる
ようにしたものである。その他の構成は前記の実施例と
実質的に同じであるため、共通部位には共通の符号を付
し、説明を省略する。
【0017】一般に、アーム部13の断面形状が大きく
なって断面中心部から表面部までの距離が大きくなる
と、中心部付近と表面部付近とでは固化に要する時間に
大きな差を生じ、それが原因でアーム部13全体が歪ん
でしまうことがある。そこで、本実施例においては、放
射板部13aと13cとの間に空間部17を設け、中心
部付近と表面部付近とで固化時間に大きな差が生じない
ようにしている。即ち、放射板部13aの肉厚は、放射
板部13cの肉厚よりも薄いうえ、上記したように放射
板部13a,13cは、夫々の上下寸法がt1 <t2
関係にあるので、両者の体積には大きな差が生じ、前記
の実施例と実質的に同じ効果を得ることが可能となる。
【0018】尚、本実施例は、放射板部13a,13c
の上下寸法をt1 <t2 の関係にすることで説明した
が、本発明においては、要するに、内側の放射板部13
aの体積を外側の放射板部13cの体積よりも小さくす
ることによって、フロート全体が内側へ変形するのを防
止できればよいわけであるから、その条件さえ満たされ
れば、t1 =t2 としてもよいし、またt1 <t2 にし
ておいて、放射板部13aの肉厚を放射板部13cの肉
厚と同じにしても構わない。更に、放射板部13a,1
3cの肉厚は、夫々、長手方向に沿って均一に形成され
ていなければならないというものでもない。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、アーム
部を、その長手方向を中心にして、二つのフロート部の
対向領域側の体積が小さくなるように形成することによ
り、成形加工時の収縮作用で、フロート部が内側方向へ
倒れ込むような形に変形してしまうことが防止され、高
精度なダブルフロートを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図4(a)乃至図4(f)は本発明におけるア
ーム部の各種実施態様を拡大して示した断面図である。
【図5】本発明の更に異なる実施例の正面図である。
【図6】従来例の正面図である。
【符号の説明】
11 基部 12 孔 13 アーム部 13a,13b,13c,13d 放射板部 14 舌部 15 フロート部 16 突起 17 空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 5/16 B29C 45/26 F16K 33/00 B29L 31:30 WPI/L(QUESTEL)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂製であって、フロート室への取
    付部を有する基部と、アーム部と、第1のフロート部
    と、第2のフロート部とを備え、前記第1のフロート部
    は直接的に又は前記基部を介して前記アーム部の一端に
    設けられており、また前記第2のフロート部は前記アー
    ム部の他端に設けられており、該アーム部の肉厚を、該
    アーム部の長手方向を中心にして該二つのフロート部の
    対向領域側が薄くなるように形成したことを特徴とする
    気化器用フロート。
  2. 【請求項2】 前記アーム部を、全体として略直線状に
    形成していることを特徴とする請求項1に記載の気化器
    用フロート。
  3. 【請求項3】 前記第1のフロート部が前記アーム部の
    一端に直接的に設けられており、前記基部は、前記アー
    ム部の一端近傍位置又は長手方向の中間位置で前記アー
    ム部に連設されていることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の気化器用フロート。
  4. 【請求項4】 前記アーム部は、所定の角度に折り曲げ
    られた部分を有することを特徴とする請求項1又は3に
    記載の気化器用フロート。
  5. 【請求項5】 前記アーム部の断面形状が略十字形であ
    ることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の気
    化器用フロート。
  6. 【請求項6】 前記アーム部の断面形状の中心付近に空
    間を形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか
    に記載の気化器用フロート。
  7. 【請求項7】 前記アーム部を、前記空間を境にして、
    前記二つのフロート部の対向領域側の体積が、反対側の
    体積よりも小さくなるように形成したことを特徴とする
    請求項6に記載の気化器用フロート。
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DE1997111192 DE19711192C2 (de) 1996-03-19 1997-03-19 Schwimmer für Vergaser

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