JP3538849B2 - 金属製機器 - Google Patents

金属製機器

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JP3538849B2
JP3538849B2 JP05339893A JP5339893A JP3538849B2 JP 3538849 B2 JP3538849 B2 JP 3538849B2 JP 05339893 A JP05339893 A JP 05339893A JP 5339893 A JP5339893 A JP 5339893A JP 3538849 B2 JP3538849 B2 JP 3538849B2
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正明 米村
冨岡  敏一
冨田  勝己
弘章 岡
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療患者や実験動物、
臓器、体液等に直接接触する金属製の実験、医療用器
具、あるいは滅菌済み器具保管容器などの金属製機器に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属製の実験、医療用器具、装
置、滅菌済み器具保管容器などの金属製機器はステンレ
ス製がほとんどで、その他の金属材料を用いる場合には
クロムめっき等を施してあるのが一般的であった。ま
た、複数の人が接触する金属製機器などに対しても同様
の状態であった。
【0003】また、ステンレス製のトレー、バットなど
にフッ素樹脂コートを施して菌の付着や汚染を減らそう
とするものがある。しかし、これら器具、装置に対して
フッ素化合物を分散させた複合めっきを施したもの、あ
るいは抗菌性、抗ウイルス性を有する表面処理を付与し
たものは未だ見受けられない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属製の実験、医療用
機器は直接患者や実験動物、臓器、体液に触れるもので
あって、一般にオートクレーブ、ガスなどによって滅菌
処理されて使用されている。しかし、オートクレーブか
ら取り出した時点から空気中の菌、ウイルスが付着し、
汚染が始まるのが通例であり、そのため、滅菌済み器具
保管容器である滅菌缶などでも汚染は進行し、頻繁に滅
菌処理を必要としていた。また、患者や実験動物、臓
器、体液に一旦触れた場合にはその部分は汚染が残るの
で、接触を避けて感染を防ぐ注意が必要であった。
【0005】フッ素樹脂コートを施した器具、装置など
では菌を付着しにくくするのみで、積極的に菌の増殖を
抑制したり死滅させるものではなかった。さらにフッ素
樹脂コートは素地金属との結合が弱く、そのため、コー
ト層の剥離を容易に起こすものであった。
【0006】本発明はこのような課題を解決するもの
で、表面を衛生的に維持することができる金属製の実
験、医療用機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の金属製機器は、その表面にフッ素化合物およ
び無機系抗菌抗ウイルス剤を分散させた複合めっきを施
したものである。無機系抗菌抗ウイルス材料にはゼオラ
イト、シリカゲルなどの無機系担体に銀もしくは銀化合
物を含む抗菌抗ウイルス剤を担持させたものを用いる。
【0008】
【作用】この構成によれば金属製器具、装置はその表面
をフッ素化合物、および無機系の抗菌抗ウイルス材料を
分散させた複合めっき被膜で覆うことにより、フッ素化
合物の撥水、撥油性によって汚れ、および菌、ウイルス
が付着しにくく、さらに、無機系抗菌抗ウイルス材料に
よってその表面では菌、ウイルスの増殖が抑制され、常
に衛生的な表面を維持できる。
【0009】また、無機系抗菌抗ウイルス材料に加えて
フッ素化合物を分散させた複合めっき被膜は耐磨耗性、
素地金属への密着性に優れるため、フッ素樹脂コートに
おけるような被膜の傷、剥離を生じることなく、オート
クレーブ等で繰り返し行われる滅菌処理にも耐えられ、
長期に亘って抗菌抗ウイルス性能を維持することができ
る。すなわち、表面への接着力の極めて弱いフッ素化合
物の粒子が複合めっき被膜内に分散されているが、部分
的にめっき表面に露出した状態となっているので、その
アンカ−効果によってフッ素化合物の粒子は容易には剥
離、脱落しないので、長年に亘り安定した撥水性、撥油
性、低摩擦抵抗、耐磨耗性を維持できる。
【0010】無機系抗菌抗ウイルス材料についても同様
であり、剥離、脱落を生ずることなく均一な濃度に分散
でき、その銀、銀化合物の除放効果によって安定した性
能を長期に亘って発揮することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例として、ステンレス
製バットに適用したものを図1に示し説明する。
【0012】本実施例において、ステンレス製のバット
1にフッ素化合物、無機系抗菌抗ウイルス材料を界面活
性剤で分散懸濁させたスルファミン酸ニッケル浴を用い
た複合ニッケルめっきを施した。
【0013】フッ素化合物としてはフッ化グラファイト
粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子(PTFE粒
子)などが使用できるが、本実施例では平均粒径0.1
7μmの変性PTFE粒子をめっき液中に分散懸濁させ
て用いた。
【0014】無機系抗菌抗ウイルス材料は、銀、銀化合
物をゼオライト、シリカゲルに担持させたものを用いる
ことができる。本実施例では銀化合物のうちチオスルフ
ァト銀錯体を粒径3μmのシリカゲルに担持させたもの
を用いた。
【0015】めっき厚さは10μmで、めっき後180
℃で熱処理を行った。複合めっき被膜中には変性PTF
Eが13重量%、抗菌材料を担持させたシリカゲルが
0.2重量%含まれていた。
【0016】こうして得られるバット1はニッケル複合
めっき被膜表面付近に分散しているPTFE粒子によっ
て撥水性、撥油性を付与され、しかも摩擦係数も著しく
低いものとなっていた。また、耐磨耗性にも優れ、たわ
しやスポンジで洗っても、一般のPTFEコート材を使
用した場合のように剥離することなく、また、他の器具
による傷に対しても十分堪えうる強度があることが判っ
た。
【0017】一方、フッ素樹脂塗装などでバット1にコ
ーティングを行った場合、塗膜強度が弱くたわしの洗
浄、他の器具による傷に対して耐久性に欠け、さらに塗
膜と素地材料との密着強度が弱く、プライマー処理を施
しても熱湯煮沸の繰り返しで剥離を生じる場合があっ
た。
【0018】フッ素化合物を分散させた複合めっきによ
って、複合めっき表面の水の接触角はステンレス表面の
80°に対して117°が得られ、撥水作用が高く濡れ
にくい状態となっている。また、撥油性についても同様
に大きな値が得られ、したがって、汚れ、菌、ウイルス
の付着しにくい表面状態とすることができた。
【0019】本実施例では、バットに対する処理を述べ
たが、ハサミ、ピンセット、鉗子、滅菌缶等に対しても
同様に処理できる。
【0020】図2に複合めっき被膜の断面拡大図を模式
的に示す。11はバット1の素地材料のステンレス、1
2はその表面に施されたニッケル複合めっき被膜でその
複合めっき被膜12中に変性PTFE粒子13、抗菌抗
ウイルス材料粒子14が分散されている。これら変性P
TFE粒子13、抗菌抗ウイルス材料粒子14は複合め
っき被膜12中にアンカー効果によって強固に保持され
ている。
【0021】無機系抗菌性材料に銀を担持させたゼオラ
イト銀を用いてもよいが、この場合、複合めっき被膜中
の含有量も抗菌性を維持するためには0.6重量%を必
要とする。
【0022】本実施例ではフッ素化合物と抗菌抗ウイル
ス材料を共に分散複合したが、それぞれ単独で用いても
よい。表面に付着した菌、ウイルスに対して抗菌抗ウイ
ルス材料が作用してこれらの増殖を抑え、最終的には死
滅させることができるが、フッ素化合物を共に分散複合
することによりその撥水、撥油性による汚れ、菌、ウイ
ルスの付着抑制効果によって初期の菌、ウイルス数を抑
えることができるため、抗菌抗ウイルス特性をより効果
的に発揮できる。また、付着した菌、ウイルスも、表面
の撥水、撥油性によって容易に拭き去ることができるの
で衛生的な状態を容易に維持することができる。
【0023】次に本発明の他の実施例について説明す
る。図3,4は他の実施例を示しており、例えば病院内
のドア2に取りつけられたドアノブ3、引き出し4の把
手5等、大勢の人が接触する金属製品に抗菌抗ウイルス
複合めっきを施したものである。この実施例では、実施
例1と同様のフッ素化合物、無機系抗菌抗ウイルス材料
を用い、分散ニッケル無電解めっきを施して構成したも
ので、この結果、実施例1と同様の効果を奏するもので
ある。このように、無電解複合めっきも可能であるた
め、複雑な形状の器具、装置にも抗菌抗ウイルスの表面
処理を施すことが可能となり、衛生的な状態を維持する
上で極めて有用である。
【0024】
【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかなよう
に、本発明は、金属製の実験、医療用器具、装置、滅菌
済み器具保管容器などの機器に、フッ素化合物、銀もし
くは銀化合物を担持させた無機系抗菌抗ウイルス材料を
分散させた複合めっきを施すことによって、器具、装置
の表面に付着する菌、ウイルスの数を減らし、さらにそ
の増殖を抑制して死滅に至らしめ、また容易に拭き去る
ことができる優れた特性を具備させ得るものである。し
たがって、金属製の実験、医療用器具、装置、滅菌済み
器具保管容器などの機器の表面を容易に衛生的に保つこ
とが可能となり、各種の菌、ウイルスによる院内感染の
予防などにも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すバットの外観斜視図
【図2】同複合めっき被膜の模式図
【図3】同他の実施例のドアノブ外観図
【図4】同他の実施例を示す把手の外観斜視図
【符号の説明】
12 複合めっき被膜 13 変性PTFE粒子 14 抗菌抗ウイルス材料粒子
フロントページの続き (72)発明者 岡 弘章 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−285199(JP,A) 特開 平5−31161(JP,A) 特開 平4−134009(JP,A) 特開 平2−213498(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 19/00 A61L 2/16 A01N 59/00 C23C 18/00 C25D 15/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属で構成され、患者や臓器、体液など
    に触れる実験、医療用器具、装置あるいは滅菌済み器具
    保管容器などの表面をフッ素化合物、および無機系抗菌
    抗ウイルス材料を分散させた複合めっきで被覆したこと
    を特徴とする金属製機器。
  2. 【請求項2】 無機系抗菌抗ウイルス材料が銀もしくは
    銀錯体を無機担体に担持させたものである請求項1記載
    の金属製機器。
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