JP3535722B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP3535722B2
JP3535722B2 JP35020097A JP35020097A JP3535722B2 JP 3535722 B2 JP3535722 B2 JP 3535722B2 JP 35020097 A JP35020097 A JP 35020097A JP 35020097 A JP35020097 A JP 35020097A JP 3535722 B2 JP3535722 B2 JP 3535722B2
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    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/14Introducing closed-loop corrections
    • F02D41/1438Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor
    • F02D41/1444Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases
    • F02D41/1454Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases the characteristics being an oxygen content or concentration or the air-fuel ratio
    • F02D41/1456Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases the characteristics being an oxygen content or concentration or the air-fuel ratio with sensor output signal being linear or quasi-linear with the concentration of oxygen

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、内燃機関の空燃
比制御装置に関し、特に排気ガス中の酸素濃度に略比例
する出力特性を有する酸素濃度センサを用いて内燃機関
に供給する混合気の空燃比をフィードバック制御する空
燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】限界電流式酸素濃度センサは、その活性
温度範囲内では、ある正の印加電圧に対して出力電流値
が酸素分圧に比例するという特性を有し、その特性を利
用して内燃機関の排気ガス中の酸素濃度をリニアに検出
するようにした酸素濃度検出装置が従来より知られてい
る(特開昭59−163556号公報)。酸素濃度セン
サは自身の温度によりその限界電流特性が変化するた
め、検出精度を維持するためには酸素濃度センサを所定
の活性温度範囲内に常に制御する必要がある。そこで上
記従来の酸素濃度検出装置では、酸素濃度センサの負の
電圧を印加するとその出力電流値が酸素分圧に依存せず
温度に比例した値になるという性質を利用して例えば所
定の負の電圧を印加したときの内部抵抗を検出し、その
値が一定となるように酸素濃度センサをヒータによって
加熱制御することにより活性状態を維持するようにして
いる。
【0003】また、この酸素濃度センサを用いた内燃機
関の空燃比制御方法としては、この種の酸素濃度センサ
の出力と目標空燃比とに基づいて設定される空燃比補正
係数を用いてエンジンに供給する燃料量を算出し、エン
ジンに供給する混合気の空燃比を目標空燃比にフィード
バック制御するものにおいて、前記目標空燃比に応じて
前記空燃比補正係数の上限値及び下限値を設定し、過度
の空燃比の補正を防止してフィードバック制御における
空燃比を適正に保つようにした空燃比制御方法が特開平
4−203233号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の排ガス規
制強化に伴い、機関始動後、できるだけ早期に空燃比の
フィードバック制御を開始する必要性が高まっており、
酸素濃度センサのより一層の早期活性化が望まれてい
る。この早期活性化のために、上記のヒータによる酸素
濃度センサの加熱が行われるが、即座に酸素濃度センサ
が所望の温度に加熱されるわけではない。このように、
機関始動直後では、酸素濃度センサは昇温過程にあって
十分に活性化していない状態にあり、且つ排気ガスはそ
の中に未燃HCや硫黄分が存在する不安定な状態にあ
る。
【0005】上記従来の空燃比制御方法を適用して機関
始動開始後早期にフィードバック制御を開始した場合、
酸素濃度センサの活性状態に関係なく前記空燃比補正係
数の上限値及び下限値を設定しているので、酸素濃度セ
ンサの出力がリッチ側にずれて酸素濃度(空燃比)が正
しく検出されず、その結果内燃機関の燃料噴射量が不適
切となり、内燃機関の作動のヘジテーションや排気ガス
特性の悪化を招くという問題がある。
【0006】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、酸素濃度センサが十分に活性化して
いないときにその出力が正規の値からずれて酸素濃度セ
ンサにより酸素濃度(空燃比)を正しく検出できない場
合においてもフィードバック制御における空燃比を適正
に保つことができる内燃機関の空燃比制御装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の内燃機関の空燃比制御装置は、内燃機関
の排気系に設けられ排気ガス中の酸素濃度に略比例する
出力特性を有する酸素濃度センサと、該酸素濃度センサ
の出力に基づいて前記内燃機関に供給される混合気の空
燃比を目標空燃比にフィードバック制御するフィードバ
ック制御手段とを有する内燃機関の空燃比制御装置にお
いて、前記酸素濃度センサの活性状態を検出する活性状
態検出手段と、前記酸素濃度センサの活性状態に応じて
前記フィードバック制御手段によるフィードバック制御
の空燃比補正を制限する補正制限手段とを備えること
を特徴とする。
【0008】この構成により、活性状態検出手段により
検出された酸素濃度センサの活性状態に応じてフィード
バック制御手段によるフィードバック制御の空燃比補正
を制限するので、酸素濃度センサの活性度合が低く酸
素濃度センサの出力が正規の値からずれて酸素濃度(空
燃比)を正しく検出できない場合においてもフィードバ
ック制御における空燃比の過度の補正を防止することが
でき、その結果空燃比を適正に保つことができる。
【0009】請求項2の内燃機関の空燃比制御装置は、
請求項1の内燃機関の空燃比制御装置において、前記活
性状態検出手段は前記酸素濃度センサの内部抵抗を検出
する内部抵抗検出手段からなり、前記内部抵抗が、前記
酸素濃度センサが所定の活性温度範囲にあるときの内部
抵抗値より高いときに前記補正制限手段は前記フィード
バック制御手段によるフィードバック制御の空燃比補正
量の下限値を大きくするか、又は前記空燃比補正量の上
限値を小さくすることを特徴とする。
【0010】この構成により、内部抵抗検出手段により
検出された内部抵抗が、酸素濃度センサが所定の活性温
度範囲にあるときの内部抵抗値より高いとき、即ち酸素
濃度センサの活性度合が低く酸素濃度センサの出力が正
規の値からずれて酸素濃度(空燃比)を正しく検出でき
ない場合に、フィードバック制御における空燃比補正量
の下限値を大きくするか、又は該空燃比補正量の上限値
を小さくするので、請求項1の内燃機関の空燃比制御装
置による効果を簡単な構成で確実に奏することができ
る。
【0011】上記目的を達成するために、内燃機関の空
燃比制御装置は、内燃機関の排気系に設けられ排気ガス
中の酸素濃度に略比例する出力特性を有する酸素濃度セ
ンサと、該酸素濃度センサの出力に基づいて前記内燃機
関に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィード
バック制御するフィードバック制御手段とを有する内燃
機関の空燃比制御装置において、前記酸素濃度センサの
活性状態を検出する活性状態検出手段と、前記酸素濃度
センサの活性状態に応じて前記フィードバック制御手段
によるフィードバック制御の空燃比補正量を制限する補
正制限手段とを備え、前記フィードバック制御手段は、
前記酸素濃度センサの出力から得られる検出空燃比と前
記目標空燃比との偏差に応じて空燃比補正量を算出し、
前記活性状態検出手段は前記酸素濃度センサの内部抵抗
を検出する内部抵抗検出手段からなり、前記補正制限手
段は、前記内部抵抗が、前記酸素濃度センサが所定の活
性温度範囲内にあるときの内部抵抗値より高いときに、
リッチ側の前記偏差を所定偏差以下に制限することを特
徴とする。
【0012】この構成により、活性状態検出手段により
検出された酸素濃度センサの活性状態に応じてフィード
バック制御手段によるフィードバック制御の空燃比補正
量を制限し、さらに、内部抵抗検出手段により検出され
た内部抵抗が、酸素濃度センサが所定の活性温度範囲に
あるときの内部抵抗値より高いとき、即ち酸素濃度セン
サの活性度合が低く酸素濃度センサの出力が正規の値か
らずれて酸素濃度(空燃比)を正しく検出できない場合
に、空燃比フィードバック制御のリッチ側の偏差が所定
偏差以下に制限されるので、酸素濃度センサの活性度合
が低く酸素濃度センサの出力が正規の値からずれて酸素
濃度(空燃比)を正しく検出できない場合においてもフ
ィードバック制御における空燃比の過度の補正を防止す
ることができ、その結果、簡単な構成で空燃比を確実に
適正に保つことができる。
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を添付図
面に基づいて詳述する。
【0016】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る内燃機関(以下「エンジン」とい
う)及び制御装置の全体の構成を示す図である。同図
中、1は各シリンダに吸気弁と排気弁(図示せず)とを
各1対に設けたDOHC直列4気筒エンジンである。こ
のエンジン1は、吸気弁及び排気弁の作動特性(具体的
には、弁の開弁時期及びリフト量(以下「バルブタイミ
ング」という))を、エンジン1の高速回転領域に適し
た高速バルブタイミングと、低速回転領域に適した低速
バルブタイミングとに切換可能に構成されている。
【0017】エンジン1の吸気管2の途中にはスロット
ルボディ3が設けられ、その内部にはスロットル弁3’
が配されている。スロットル弁3’にはスロットル弁開
度(θTH)センサ4が連結されており、当該スロット
ル弁3’の開度に応じた電気信号を出力して電子コント
ロールユニット(以下「ECU」という)5に供給す
る。
【0018】燃料噴射弁6はエンジン1とスロットル弁
3との間且つ吸気管2の図示しない吸気弁の少し上流側
に各気筒毎に設けられており、各噴射弁は図示しない燃
料ポンプに接続されていると共にECU5に電気的に接
続されて当該ECU5からの信号により燃料噴射弁6の
開弁時間が制御される。
【0019】また、ECU5の出力側には、前記バルブ
タイミングの切換制御を行なうための電磁弁17が接続
されており、該電磁弁17の開閉作動がECU5により
制御される。電磁弁17は、バルブタイミングの切換を
行う切換機構(図示せず)の油圧を高/低に切換えるも
のであり、該油圧の高/低に対応してバルブタイミング
が高速バルブタイミングと低速バルブタイミングに切換
えられる。前記切換機構の油圧は、油圧(POIL)セ
ンサ16によって検出され、その検出信号がECU5に
供給される。
【0020】一方、スロットル弁3の直ぐ下流には管7
を介して吸気管内絶対圧(PBA)センサ8が設けられ
ており、この絶対圧センサ8により電気信号に変換され
た絶対圧信号は前記ECU5に供給される。また、その
下流には吸気温(TA)センサ9が取付けられており、
吸気温TAを検出して対応する電気信号を出力しECU
5に供給する。
【0021】エンジン1の本体に装着されたエンジン水
温(TW)センサ10はサーミスタ等から成り、エンジ
ン水温(冷却水温)TWを検出して対応する温度信号を
出力してECU5に供給する。エンジン回転数(NE)
センサ11及び気筒判別(CYL)センサ12はエンジ
ン1の図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲に取付
けられている。エンジン回転数センサ11はエンジン1
のクランク軸の180度回転毎に所定のクランク角度位
置で信号パルス(以下「TDC信号パルス」という)を
出力し、気筒判別センサ12は特定の気筒の所定のクラ
ンク角度位置で信号パルス(以下「CYL信号パルス」
という)を出力するものであり、これらの各信号パルス
はECU5に供給される。
【0022】三元触媒14はエンジン1の排気管13に
配置されており、排気ガス中のHC,CO,NOx等の
成分の浄化を行う。限界電流式酸素濃度センサ(以下
「LAFセンサ」という)15が排気管13の三元触媒
14の上流側に装着されている。
【0023】後述するようにLAFセンサ15は、内部
抵抗検出手段としての酸素濃度検出活性化制御装置(以
下「制御装置」という)25と共に酸素濃度検出装置1
6を構成する。LAFセンサ15は制御装置25を介し
てECU5に接続されており、排気ガス中の酸素濃度
(空燃比)に略比例した電気信号を出力し、その電気信
号を制御装置25に出力する。制御装置25内に格納さ
れた酸素濃度検出値はECU5により読み出される。
【0024】ECU5は各種センサからの入力信号波形
を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ
信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入
力回路5a、中央演算処理回路(以下「CPU」とい
う)5b、CPU5bで実行される各種演算プログラム
及び演算結果等を記憶する記憶手段5c、前記燃料噴射
弁6、電磁弁21に駆動信号を供給する出力回路5d等
から構成される。
【0025】CPU5bは上述の各種エンジンパラメー
タ信号に基づいて、排気ガス中の酸素濃度に応じたフィ
ードバック制御運転領域やオープンループ制御運転領域
等の種々のエンジン運転状態を判別するとともに、エン
ジン運転状態に応じ、下記数式1に基づき、前記TDC
信号パルスに同期する燃料噴射弁6の燃料噴射時間To
utを演算する。
【0026】
【数1】 Tout=Ti×KCMDM×KLAF×K1+K2 ここに、Tiは基本燃料量、具体的にはエンジン回転数
NEと吸気管内絶対圧PBAとに応じて決定される基本
燃料噴射時間であり、このTi値を決定するためのTi
マップが記憶手段5cに記憶されている。
【0027】KCMDMは、修正目標空燃比係数であ
り、エンジン運転状態に応じて設定され、目標空燃比を
表わす目標空燃比係数KCMDに燃料冷却補正係数KE
TVを乗算することによって算出される。補正係数KE
TVは、燃料を実際に噴射することによる冷却効果によ
って供給空燃比が変化することを考慮して燃料噴射量を
予め補正するための係数であり、目標空燃比係数KCM
Dの値に応じて設定される。なお、前記数式1から明ら
かなように、目標空燃比係数KCMDが増加すれば燃料
噴射時間(燃料噴射量)Toutは増加するので、KC
MD値及びKCMDM値はいわゆる空燃比A/Fの逆数
に比例する値となる。目標空燃比係数KCMDは、空燃
比A/Fの逆数、すなわち燃空比F/Aに比例し、理論
空燃比のとき値1.0をとるので、目標当量比ともい
う。
【0028】KLAFは、後述する図3の処理により算
出される空燃比補正係数であり、空燃比フィードバック
制御中はLAFセンサ15によって検出された空燃比が
目標空燃比に一致するように設定され、オープンループ
制御中はエンジン運転状態に応じた所定値に設定され
る。
【0029】K1及びK2は夫々各種エンジンパラメー
タ信号に応じて演算される他の補正係数及び補正変数で
あり、エンジン運転状態に応じた燃費特性、エンジン加
速特性等の諸特性の最適化が図られるような値に設定さ
れる。
【0030】CPU5bは更にエンジン運転状態に応じ
てバルブタイミングの切換指示信号を出力して電磁弁1
7の開閉制御を行なう。
【0031】CPU5bは上述のようにして算出、決定
した結果に基づいて、燃料噴射弁6および電磁弁17を
駆動する信号を、出力回路5dを介して出力する。
【0032】図2は、図1における酸素濃度検出装置1
6の詳細な構成を示すブロック図であり、同図において
図1中と同一の構成要素には同一の符号が付してある。
【0033】酸素濃度検出装置16は、LAFセンサ1
5及び制御装置25により構成される。LAFセンサ1
5は上述のように排気管13に設けられており、LAF
センサ15の信号線は、コネクタ(図示せず)により制
御装置25に着脱自在に接続されている。LAFセンサ
15は、固体電解質素子等から構成され、その内側にヒ
ータ54を内蔵する。ヒータ54はLAFセンサ15を
活性状態にするのに十分な発熱容量を有している。ま
た、LAFセンサ15の周囲には小孔60を有するカバ
ー59が設けられており、カバー59は、小孔60を通
じて排気ガスを流入させることによりLAFセンサ15
が排気ガスに直接触れることを防ぎ、LAFセンサ15
の保護及び保温の役目を果たす。
【0034】制御装置25には、バイアス制御部63、
電流検出部67及び制御部69が設けられている。LA
Fセンサ15に接続されたリード線61の一方はバイア
ス制御部63に接続され、リード線61の他方は電流検
出部67に接続されている。また、ヒータ54に接続さ
れた2本のリード線62が制御部69の加熱制御部71
に接続されている。
【0035】バイアス制御部63は、正バイアス源6
4、負バイアス源65及び切り替え部66から構成され
ている。電流検出部67は、切り替え部66及び制御部
69に接続され、切り替え部66は制御部69にも接続
されている。切り替え部66は制御部69からの信号に
従ってLAFセンサ15に印加する電圧の極性を切り替
え、電流検出部67は検出電流を制御部69に出力す
る。
【0036】制御部69は、信号を増幅及び波形整形す
るアンプ72、アナログ信号値をデジタル信号値に変換
するA/D変換部68、記憶部70、及びヒータ54の
発熱状態を制御する加熱制御部71から構成される。記
憶部70は、制御部69で実行される各種演算プログラ
ムや後述するマップ及び演算結果等を記憶するROM及
びRAM、並びにLAFセンサ15の酸素濃度(空燃比
A/F)検出値を格納するリングバッファ等からなる。
【0037】制御部69は、CYL信号パルス、TDC
信号パルス、エンジン回転数NE信号及び吸気管内絶対
圧PBA信号をECU5から受容する一方、後述の処理
により選択したLAFセンサ15の酸素濃度検出値及び
内部抵抗値をECU5に供給する。
【0038】LAFセンサ15は、所定の正の電圧V1
を印加したときの限界電流値が酸素分圧に比例すること
から、排気ガス中の酸素濃度をリニアに検出することが
できるが、該LAFセンサ15は活性化するのに高温
(約700℃)を必要とし、しかもその活性温度範囲が
狭いために、エンジン1の排気ガス温のみではLAFセ
ンサ15の活性状態を適切に制御することができない。
そこで、内部抵抗の検出によるLAFセンサ15の活性
状態維持のための処理(以下「LAFセンサ活性化処
理」という)が必要となる。酸素濃度検出装置16は、
LAFセンサ活性化処理と酸素濃度検出処理とを一定の
切り替え周期Tで切り替えて行う。切り替え周期Tは、
LAFセンサ15の素子やヒータ54の熱容量、LAF
センサ15の冷却特性及びLAFセンサ15の活性温度
範囲等を考慮して設定する。
【0039】酸素濃度検出装置25において、切り替え
部66を正バイアス源64に接続することにより、LA
Fセンサ15に所定の正の電圧V1を印加する。このと
きにLAFセンサ15から出力される電流値I1を電流
検出部67により検出し、この電流値I1をアンプ72
により増幅及び波形整形した後、A/D変換部68によ
りデジタル値に変換し、このデジタル値に基づき排気ガ
ス中の酸素濃度(空燃比)を検出する。
【0040】一方、切り替え部66を負バイパス源65
に接続することにより、LAFセンサ15に所定の負の
電圧V2を印加して、このときのLAFセンサ15から
出力される電流値I2を電流検出部67により検出し、
この電流値I2をアンプ72により増幅及び波形整形し
た後、A/D変換部68によりデジタル値に変換し、こ
のデジタル値に基づいてLAFセンサ15の内部抵抗L
AFRIを検出する。
【0041】また、検出された内部抵抗LAFRIが所
定の基準値以上であるときは、加熱制御部71によりヒ
ータ54を加熱制御し、内部抵抗LAFRIが前記所定
の基準値を下回る場合は、加熱制御部71によるヒータ
54の加熱を停止する。これにより、検出される内部抵
抗LAFRIが常に一定になるようにヒータ54の発熱
状態が制御され、LAFセンサ15の温度が常に活性温
度範囲内に維持される。
【0042】図3は、空燃比補正係数KLAFを算出す
るプログラムを示す。本プログラムはECU5の記憶手
段に記憶され、TDC信号パルスの発生毎にこれと同期
してCPU5bで実行される。
【0043】ステップS1では、エンジン回転数NEが
上限回転数NLAFH(例えば6500rpm)より高
いか否かを判別し、その答が肯定(YES)、即ちNE
>NLAFHのときには、図4のプログラムにおいてフ
ィードバック制御時の空燃比補正係数KLAFの算出に
用いる積分項KLAFI及び空燃比補正係数KLAF
を、いずれも第1の高速バルブタイミング学習値KRE
FH0に設定する(ステップS20)とともに、フィー
ドバック制御中「1」に設定されるフラグFLAFFB
を「0」に設定して(ステップS22)、本プログラム
を終了する。上記KREFH0は高速バルブタイミング
選択中であって目標空燃比が理論空燃比近傍にあるとき
に算出される空燃比補正係数の学習値である。
【0044】前記ステップS1の答が否定(NO)、即
ちNE≦NLAFHのときには、始動後燃料増量実行中
か否かを判別する(ステップS2)。その答が否定(N
O)のときには、エンジン水温TWが所定水温TWLA
F(例えば−25℃)以下か否かを判別する(ステップ
S3)。ステップS2又はS3の答が肯定(YES)、
即ち始動後燃料増量中又はTW≦TWLAFが成立する
ときには、KLAFI値及びKLAF値を第1の低速バ
ルブタイミング学習値KREFL0に設定し(ステップ
S21)、前記ステップS22に進む。上記KREFL
0は、低速バルブタイミング選択中であって目標空燃比
が理論空燃比近傍にあるときに算出される空燃比補正係
数の学習値である。
【0045】前記ステップS3の答が否定(NO)、即
ちTW>TWLAFのときには、エンジンが所定高負荷
運転領域にあるとき「1」に設定されるフラグFWOT
が「1」であるか否かを判別する(ステップS4)。こ
の答が否定(NO)、即ちFWOT=0であって所定高
負荷運転状態でないときには、直ちにステップS9に進
む一方、この答が肯定(YES)、即ちFWOT=1の
ときには、エンジン回転数NEが所定回転数NLAFW
OT(例えば5000rpm)以上か否かを判別する
(ステップS5)。ステップS5の答が否定(NO)、
即ちNE<NLAFWOTのときには目標空燃比係数K
CMDが所定値KCMDWOT(例えばA/F=12.
5に相当する値)より大きいか否かを判別する(ステッ
プS6)。ステップS6の答が否定(NO)、即ちKC
MD≦KCMDWOTのときには、エンジン水温が高く
燃料増量を行うべき運転領域(高水温リッチ領域)にあ
るか否かを判別する(ステップS7)。
【0046】前記ステップS5〜S7のいずれかの答が
肯定(YES)のとき、即ちNE≧NLAFWOT若し
くはKCMD>KCMDWOTが成立するとき、又はエ
ンジンが高水温リッチ領域にあるときには、KLAFI
値及びKLAF値をともに値1.0に設定し(ステップ
S8)、前記ステップS22に進む。ステップS5〜S
7の答が全て否定(NO)のときには、エンジン回転数
NEが下限回転数NLAFL(例えば400rpm)以
下か否かを判別する(ステップS9)。この答が否定
(NO)、即ちNE>NLAFLのときには、燃料カッ
ト(燃料供給遮断)中であるか否かを判別する(ステッ
プS10)。
【0047】ステップS9又はS10の答が肯定(YE
S)のとき、即ちNE≦NLAFLが成立するとき又は
燃料カット中のときには、フィードバック制御実行中
に、所定時間tmDHLD(例えば1秒)に設定される
(ステップS11)KLAFホールドタイマtmDのカ
ウント値が値0であるか否かを判別する。この答が否定
(NO)、即ちtmD>0であってフィードバック制御
停止状態となってから所定時間tmDHLD経過してい
ないときには、空燃比補正係数の今回値KLAF(k)
を前回値KLAF(k−1)に設定し(ステップS1
5)、前記フラグFLAFFBを値0に設定して(ステ
ップS16)、本プログラムを終了する。ここで、
(k)、(k−1)は、それぞれ今回値及び前回値であ
ることを示すために付したものであり、他のパラメータ
にも付しているが、今回値を示す(k)は、通常は省略
している。
【0048】前記ステップS14の答が肯定(YE
S)、即ちtmD=0であって所定時間tmDHLD経
過後はKLAFI値及びKLAF値を、エンジンがアイ
ドル状態にあるときに算出されるアイドル用学習値KR
EFIDLに設定し(ステップS17,S18)、前記
フラグFLAFFBを「0」に設定して(ステップS1
9)、本プログラムを終了する。
【0049】前記ステップS9及びS10がともに否定
(NO)のときには、エンジン運転状態はフィードバッ
ク制御が実行可能な運転領域(以下「フィードバック制
御領域」という)にあると判別して、前記KLAFホー
ルドタイマtmDに所定時間tmDHLDを設定してこ
れをスタートさせ(ステップS11)、図4のプログラ
ムによりKLAF値を算出し(ステップS12)、前記
フラグFLAFFBを「1」に設定して(ステップS1
3)、本プログラムを終了する。
【0050】図4及び図5は、図3のステップS12に
おいて空燃比補正係数KLAFを算出するプログラムを
示す。
【0051】ステップS31では前記フラグKLAFF
BがTDC信号の前回発生時(図3のプログラムの前回
実行時)に「1」であったか否かを判別し、その答が否
定(NO)、即ちエンジン運転状態が前回フィードバッ
ク制御領域になく、今回フィードバック制御領域に移行
したときには、ステップS32に進み、エンジンがアイ
ドル状態か否かを判別する。ステップS32の答が肯定
(YES)のときには、KLAFI値及びKLAF値を
ともにアイドル用学習値KREFIDLに設定して(ス
テップS34)、ステップS35に進む一方、ステップ
S32の答が否定(NO)のときには、KLAFI値及
びKLAF値をともに前記第1の低速バルブタイミング
学習値KREFL0に設定して(ステップS33)、ス
テップS35に進む。
【0052】ステップS35では、目標空燃比係数KC
MDとLAFセンサ15によって検出された空燃比を示
す当量比(以下単に「検出空燃比」という)との偏差の
前回算出値DKAF(k−1)を値0とするとともに、
間引きTDC変数NITDCを値0とし、本プログラム
を終了する。ここで、間引きTDC変数NITDCは、
TDC信号がエンジン運転状態に応じて設定された間引
き数NIだけ発生する毎に空燃比補正係数KLAFの更
新を行うための変数であり、後述するステップS37の
答が肯定(YES)、即ちNITDC=0のときには、
ステップS40以下に進んでKLAF値の更新を行う。
【0053】前記ステップS31の答が肯定(YE
S)、即ちFLAFFB=1であってエンジン運転状態
が前回もフィードバック制御領域にあったときには、目
標空燃比係数の前回値KCMD(k−1)から検出空燃
比の今回値KACT(k)を減算することによって、検
出空燃比と目標空燃比との偏差DKAF(k)を算出し
(ステップS36)、間引きTDC変数NITDCが値
0であるか否かを判別する(ステップS37)。この答
が否定(NO)、即ちNITDC>0のときには、NI
TDC値を値1だけデクリメントし(ステップS3
8)、前記偏差の今回値DKAF(k)を前回値DKA
F(k−1)として(ステップS39)本プログラムを
終了する。
【0054】前記ステップS37の答が肯定(YES)
のときには、比例項(P項)係数KP、積分項(I項)
係数KI、微分項(D項)係数KD及び前記間引き数N
Iの検索を行う(ステップS40)。KP,KI,KD
及びNIは、エンジン回転数NE,吸気管内絶対圧PB
A等によって決定される複数のエンジン運転領域毎に所
定の値に設定されるものであり、検出したエンジン運転
状態に対応する値が読み出される。
【0055】ステップS41では、ステップS36で算
出した偏差DKAFの絶対値が所定値DKPID以下か
否かを判別し、その答が否定(NO)、即ち|DKAF
|>DKPIDのときには、前記ステップS35に進む
一方、その答が肯定(YES)、即ち|DKAF|≦D
KPIDのときには、ステップS42に進む。ステップ
S42では、数式2によってP項KLAFP,I項KL
AFI及びD項KLAFDを算出する。
【0056】
【数2】 KLAFP=DKAF(k)×KP KLAFI=KLAFI+DKAF(k)×KI KLAFD=(DKAF(k)−DKAF(k−1))
×KD ステップS43〜S46ではI項KLAFIのリミット
チェックを行う。即ち、KLAFI値と所定上下限値L
AFIH,LAFILとの大小関係を比較し(ステップ
S43,S44)、その結果KLAFI項が上限値LA
FIHを越えるときにはその上限値に設定し(ステップ
S45)、下限値LAFIより小さいときには、その下
限値に設定する(ステップS46)。
【0057】ステップS47では、PID項KLAF
P,KLAFI,KLAFDを加算することによって空
燃比補正係数KLAFを算出し、次いで偏差の今回算出
値DKAF(k)を前回値DKAF(k−1)とし(ス
テップS48)、さらに間引き変数NITDCを前記ス
テップS40で算出した間引き数NIに設定して(ステ
ップS49)、ステップS50,S51に進む。
【0058】ステップS50では、図5のプログラムに
よりKLAF値のリミットチェックを行い、ステップS
51では空燃比補正係数KLAFの学習値KREFの算
出を行い、本プログラムを終了する。
【0059】図6は、図5のステップS50においてK
LAF値のリミットチェックを行うプログラムを示す。
【0060】ステップS61ではエンジンがアイドル状
態か否かを判別し、その答が肯定(YES)のときに
は、KLAF値の上限値AFLMH及び下限値AFLM
Lをそれぞれアイドル用の所定上限値AFLM2H(例
えば1.4)及び所定下限値AFLM2L(例えば0.
3)に設定し(ステップS62)、ステップS70に進
む。
【0061】ステップS61の答が否定(NO)、即ち
アイドル状態でないときには、目標空燃比係数KCMD
と第1及び第2の所定値KCMDZL(例えばA/F=
20に相当する値)、KCMDZH(例えばA/F=1
3に相当する値)との大小関係に応じて上限値AFLM
H及び下限値AFLMLの設定を行う(ステップS63
〜S66)。即ち、ステップS63の答が肯定(YE
S)であって、KCMD≦KCMDZLが成立するとき
には、上下限値AFLMH,AFLMLをそれぞれリー
ンバーン用の所定上下限値AFLM5H(例えば1.
6)、AFLM5L(例えば0.4)に設定し(ステッ
プS64)、ステップS63の答が否定(NO)でステ
ップS65の答が肯定(YES)のとき、即ちKCMD
ZL<KCMD<KCMDZHが成立するときには、上
下限値AFLMH,AFLMLをそれぞれ中間空燃比用
の所定上下限値AFLM1H(例えば1.4)、AFL
M1L(例えば0.6)に設定する(ステップS6
6)。ステップS64,S66実行後は、ステップS7
0に進む。
【0062】前記ステップS65の答が否定(NO)、
即ちKCMD≧KCMDZHが成立するときには、前記
フラグFWOTが「1」であるか否かを判別する(ステ
ップS67)。この答が否定(NO)であってエンジン
が所定高負荷状態でないときには、エンジン冷却水温が
低いために目標空燃比をリッチ側に設定していると判定
し、上下限値AFLMH,AFLMLをそれぞれ低温用
の所定上下限値AFLM3H(例えば1.4)、AFL
M3L(例えば0.6)に設定し(ステップS69)、
ステップS70に進む。
【0063】ステップS67の答が肯定(YES)であ
ってエンジンが所定高負荷状態にあるときには、上下限
値AFLMH,AFLMLをそれぞれ高負荷用の所定上
下限値AFLM4H(例えば1.5)、AFLM4L
(例えば0.7)に設定し(ステップS68)、ステッ
プS70に進む。
【0064】以上のように、ステップS61〜S69の
処理によれば、目標空燃比係数KCMDの値に応じてK
LAF値の上下限値AFLMH,AFLMLが変更され
るので、目標空燃比に適した制御範囲が設定され、空燃
比の広い範囲に亘って適切なフィードバック制御を行う
ことができる。
【0065】特に、リーンバーン制御時(ステップS6
3の答が肯定(YES)のとき)には、理論空燃比近傍
への制御時(ステッS65の答が肯定(YES)のと
き)よりKLAF値のとり得る範囲を広げるようにした
(AFLM5H>AFLM1H,AFLM5L<AFL
M1L)ので、キャニスタ(図示せず)からのパージ燃
料の影響等があっても良好な追従性を確保することがで
きる。
【0066】また、目標空燃比を理論空燃比よりリッチ
側に設定するとき(ステップS65の答が否定(NO)
のとき)には、上記リーンバーン制御時よりKLAF値
のとり得る範囲を狭くすることにより、供給空燃比が目
標空燃比から一時的に大きくずれることを防止し、失火
の発生や加速性の悪化を回避することができる。
【0067】ステップS70以降の処理では、上述のよ
うにして設定された上下限値AFLMH,AFLMLと
KLAF値との大小関係を判別し(ステップS70,S
73)、KLAF値が上限値AFLMHを超えるとき
(ステップS70の答が肯定(YES)のとき)には、
KLAF値を上限値AFLMHに設定する(ステップS
71)一方、KLAF値が下限値AFLMLより小さい
とき(ステップS73の答が肯定(YES)のとき)に
は、KLAF値を下限値AFLMLに設定し(ステップ
S74)、本プログラムを終了する。
【0068】ステップS70,S73の判別の結果、K
LAF値がその上下限値AFLMH,AFLMLの範囲
内にあるとき(ステップS70,S73の答がともに否
定(NO))には、ステップS77に進み、制御装置2
5によりLAFセンサ15の内部抵抗LAFRIを検出
する。
【0069】次いで、LAFセンサ15の活性状態を検
出するために、ステップS77で検出された内部抵抗L
AFRIが所定抵抗値LFRIO2LMより大きいか否
かを判別し(ステップS78)、LAFRI>LFRI
O2LMであれば、KLAF値が所定値AFLMTLF
Lより小さいか否かを判別する(ステップS79)。こ
こで、所定抵抗値LFRIO2LMは、LAFセンサ1
5が活性温度範囲(約700±50℃)にある場合にお
けるLAFセンサ15の内部抵抗LAFRIの値であ
り、AFLMTLFL値は、前記下限値AFLMLより
大きな値(例えば0.9)である。本実施の形態におい
ては、図6のステップS77〜S78が特許請求の範囲
の活性状態検出手段に対応する。
【0070】ステップS78及びS79の判別の結果、
LAFRI≦LFRIO2LM、又はKLAF≧AFL
MTLFLであるときは、本プログラムを終了する一
方、LAFRI>LFRIO2LM、且つKLAF>A
FLMTLFLであるときは、KLAF値を下限値AF
LMTLFLに設定して(ステップS80)、本プログ
ラムを終了する。本実施の形態においては、図6のステ
ップS78〜S80が特許請求の範囲の補正制限手段に
対応し、また、特許請求の範囲のフィードバック制御手
段としての機能は図3〜図6のフローチャートに示すE
CU5がソフトウェアとして備えている。
【0071】以上のように、ステップS70〜S80の
処理によれば、KLAF値がその上下限値AFLMH,
AFLMLの範囲内にあるとき(ステップS70,S7
3の答がともに否定(NO))において、LAFセンサ
15の内部抵抗LAFRIが、LAFセンサ15が活性
温度範囲(約700±50℃)にある場合におけるLA
Fセンサ15の内部抵抗値(所定抵抗値)LFRIO2
LMを超えるときにKLAF値の下限値AFLMLを該
下限値AFLMLよりも大きいAFLMTLFL値に増
大させるので、LAFセンサ15の温度が低く酸素濃度
センサ15の出力がリッチ側にずれて酸素濃度(空燃
比)を正しく検出できなくてもフィードバック制御にお
ける空燃比の過度の補正を防止することができ、その結
果空燃比を適正に保つことができる。
【0072】本実施の形態においては、LAFセンサ1
5の内部抵抗LAFRIがLFRIO2LM値を超える
とき、KLAF値の下限値AFLMLをAFLMTLF
L値に持ち換えているが、変形例として、KLAF値の
上限値AFLMHを小さくしてもよく、また、数式2の
KP,KI,KDを小さく設定してフィードバック制御
のフィードバックゲインを小さくし、フィードバック制
御の応答性を低くしても同様の効果を得ることができ
る。これらの変形例は特許請求の範囲の補正制限手段に
含まれる。
【0073】(第2の実施の形態)次に図7から15を
参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0074】本実施の形態は、上述したいわゆるPID
制御により算出される空燃比補正係数KLAFと、適応
制御により算出される適応補正係数KSTRとを切り換
えて使用することにより空燃比を制御するようにしたも
のであり、以下に説明する点以外は第1の実施の形態と
同一である。なお、以下の説明では、適応補正係数KS
TRと区別するためにKLAFを「PID補正係数」と
いう。
【0075】本実施の形態では、数式1に代えて下記数
式3により燃料噴射時間Toutを算出する。
【0076】
【数3】 Tout=Ti×KCMDM×KAF×K1+K2 ここで、Ti、KCMDM、K1及びK2は、数式1と
同様のパラメータであり、KAFは、フィードバック制
御運転領域においては、図7及び8の処理によりPID
補正係数KLAFまたは適応補正係数KSTRに設定さ
れる空燃比補正係数である。空燃比補正係数KAFは、
オープンループ制御中はエンジン運転状態に応じた所定
値に設定される。
【0077】図7及び8は、空燃比補正係数KAFを算
出する処理のフローチャートであり、本処理はTDC信
号パルスの発生毎にECU5のCPU5bにおいて実行
される。
【0078】ステップS101では、後述する図12の
処理で設定され、空燃比補正係数KAF(PID補正係
数KLAFまたは適応補正係数KSTR)が、リミット
チェック処理によりリミット値(上限値または下限値)
に設定されていることを「1」で示すリミットはりつき
フラグFKO2LMTが「1」か否かを判別し、FKO
2LMT=1であって空燃比補正係数KAFがリミット
値に設定されているとき(以下「リミットはりつき状
態」という)は、LAFセンサの内部抵抗LAFRIが
第1の所定抵抗値LFRIO2LM(第1の実施の形態
における所定抵抗値LFRIO2LMと同一である)よ
り大きいか否かを判別する(ステップS102)。そし
て、ステップS101及びS102の答がともに肯定
(YES)、すなわち空燃比補正係数KAFがリミット
はりつき状態にあり、かつLAFセンサ15の活性度合
が低いときは、そのことを示すべくリミットはりつき不
活性フラグFACTPIDを「1」に設定し(ステップ
S103)、内部抵抗LAFRIが前記第1の所定抵抗
値LFRIO2LMより小さい第2の所定抵抗値LFR
IACTPより大きいか否かを判別する(ステップS1
05)。その結果LAFRI>LFRIACTPであっ
てLAFセンサ15の活性度合が低いときは(ステップ
S102の答が肯定(YES)のとき、この答は肯定
(YES)となる)、後述するステップS204で参照
され、PID制御から適応制御への移行時の遅延時間を
計時するダウンカウントタイマtmSTRONを通常の
所定時間TMSTRONに所定加算時間TMACTPI
Dを加算した時間に設定してスタートさせ、ステップS
211に進む。
【0079】ステップS105でLAFRI≦LFRI
ACTPであってLAFセンサ15の活性度合が高いと
きは、リミットはりつき不活性フラグFACTPIDを
「0」に戻してステップS201に進む。
【0080】一方ステップS101またはステップS1
02の答が否定(NO)のとき、すなわちFKO2LM
T=0であってリミットはりつき状態でないとき、また
はリミットはりつき状態であっても、LAFセンサ15
の活性度合が高いときは、リミットはりつき不活性フラ
グFACTPIDが既に「1」に設定されているか否か
を判別し(ステップS104)、FACTPID=1で
あるときは、前記ステップS105に進み、FACTP
ID=0であるときは、ステップS201に進む。
【0081】ステップS201では、所定の異常検知
(例えばLAFセンサ15やスロットル弁開度センサ4
の異常検知、あるいは失火検知など)がなされたことを
「1」で示す異常検知フラグFFSが「1」か否かを判
別し、FFS=0であるときは、エンジン水温TWが所
定水温TWSTRON(例えば75℃)より高いか否か
を判別し(ステップS202)、TW>TWSTRON
であるときは、エンジン回転数NEが所定回転数NES
TRLT(例えば5000rpm)より低いか否かを判
別する(ステップS203)。その結果、ステップS2
01の答が肯定(YES)、またはステップS202若
しくはS203の答が否定(NO)のときは、空燃比補
正係数KAFとしてPID補正係数KLAFを採用する
こととしてタイマtmSTRONを所定時間TMSTR
ONにセットしてスタートさせ、ステップS211に進
む一方、ステップS201の答が否定(NO)かつステ
ップS202及びS203の答が共に肯定(YES)で
あるときは、タイマtmSTRONの値が「0」か否か
を判別する(ステップS204)。そして、tmSTR
ON>0である間は、ステップS211に進み、tmS
TRON=0となると空燃比補正係数KAFとして適応
補正係数KSTRを採用することとしてステップS20
5に進む。
【0082】ステップS205では、適応補正係数KS
TRを空燃比補正係数KAFとすることを「1」で示す
適応制御フラグFSTRFBを「1」に、PID補正係
数KLAFを空燃比補正係数KAFとすることを「1」
で示すPID制御フラグFPIDFBを「0」に設定
し、次いでKSTR算出処理(図14)を実行する(ス
テップS206)。ステップS207では、空燃比補正
係数KAFを、適応補正係数KSTRを目標当量比KC
MDで除算した値に設定し、次いで空燃比補正係数KA
Fのリミットチェック処理(図12)を実行する(ステ
ップS208)。なお、ステップS207の処理は、適
応補正係数KSTRは、検出当量比KACTが目標当量
比KCMDに一致するように演算され、目標当量比KC
MDに対応する要素を含むので、基本燃料量Tiに対し
て、目標当量比KCMDに対応する要素が重複して乗算
されないようにするために行われる。
【0083】ステップS216では、下記式により学習
値KREFi(i=0,1)を算出する。ここで、i
は、エンジンがアイドル状態のとき「0」に設定され、
アイドル状態以外の状態のとき「1」に設定される運転
状態パラメータであり、学習値KREFiは、各運転状
態に対応して算出される。
【0084】KREFi=CREF×KAF+(1−C
REF)×KREFi ここで、右辺のKREFiは、前回算出値、CREFは
0から1の間の値に設定されるなまし係数である。
【0085】一方ステップS211では、適応制御フラ
グFSTRFBを「0」に、PID制御フラグFPID
FBを「1」に設定し、次いでKLAF算出処理(図9
〜11)を実行する(ステップS212)。続くステッ
プS213では、フィードバック補正係数KAFをステ
ップS212で算出したPID補正係数KLAFに設定
し、フィードバック補正係数KAFのリミットチェック
処理(図12)を実行する(ステップS214)。ステ
ップS215では、適応補正係数KSTRをPID補正
係数KLAFに目標当量比KCMDを乗算した値に設定
する。これは、適応制御開始時の適応補正係数KSTR
の初期値として使用される。ステップS215実行後
は、前記ステップS216に進み、学習値KREFの算
出を行う。
【0086】図7及び8の処理によれば、リミットはり
つきフラグFKO2LMT=1であって空燃比補正係数
KAFがリミットはりつき状態にあり(ステップS10
1)、かつLAFセンサの活性度合が低いとき(LAF
RI>LFRIO2LMであるとき(ステップS10
2)、またはFACTPID=1かつLAFRI>LF
RIACTPであるとき(ステップS103〜S10
5))は、適応補正係数KSTRによる適応制御が禁止
され、PID補正係数KLAFによるPID制御が実行
されるので、LAFセンサの活性度合が低くLAFセン
サの出力が正規の値からずれて酸素濃度(空燃比)を正
しく検出できない場合においてもフィードバック制御に
おける空燃比の過度の補正を防止することができ、その
結果空燃比を適正に保つことができる。すなわち、適応
制御はPID制御に比べてLAFセンサの出力ずれの影
響が大きくなり易いため、適応制御を禁止することによ
り、空燃比の過度の補正を防止することができる。
【0087】図9〜11は、図8のステップS212に
おけるKLAF算出処理のフローチャートである。
【0088】ステップS301では、前回PID制御フ
ラグFPIDFBが「1」であったか否かを判別し、F
PIDFB=1であったときは直ちに、またFPIDF
B=0であったときはPID制御のI項KLAFIを空
燃比補正係数の前回値KAF(k−1)に設定して(ス
テップS302)、ステップS303に進む。ステップ
S303では、検出当量比KACTと目標当量比KCM
Dとの偏差DKAF(=KCMD(k−1)−KACT
(k))を算出し、次いで比例項(P項)係数KP、積
分項(I項)係数KI及び微分項(D項)係数KDの検
索を行う(ステップS304)。各係数KP,KI,K
Dは、エンジン回転数NE,吸気管内絶対圧PBA等に
よって決定される複数のエンジン運転領域毎に所定の値
に設定されるものであり、検出したエンジン運転状態に
対応する値が読み出される。
【0089】続くステップS305では、リミットはり
つき不活性フラグFACTPIDが「1」か否かを判別
し、FACTPID=1であるときは、偏差DKAFが
負の所定下限偏差DKAFACT(例えば−0.01
5)より小さいか否かを判別する(ステップS30
6)。そして、DKAF<DKAFACTであるとき
は、偏差DKAFをその所定下限偏差DKAFACTに
設定して(ステップS307)、ステップS308に進
む。すなわちFACTPID=1であって空燃比補正係
数KAFがリミットはりつき状態にあり且つLAFセン
サ15の活性度合が低いときは、空燃比の制御偏差DK
AFを負の所定下限偏差DKAFACT以上となるよう
に制限する。これにより、LAFセンサ15の活性度合
が低いために検出当量比KACTの目標当量比KCMD
に対するリッチ側の偏差が、|DKAFACT|以下に
制限され、PID補正係数KLAFによるフィードバッ
ク制御における空燃比の過度の補正を防止することがで
き、その結果空燃比を適正に保つことができる。ここ
で、検出当量比KACTは空燃比が小さくなる(リッチ
になる)ほど大きくなる傾向を示す。
【0090】ステップS308では、図4のステップS
42と同様に数式2により、P項KLAFP,I項KL
AFI及びD項KLAFDを算出する。続くステップS
311〜S317では、I項KLAFIのリミットチェ
ックを行う。先ずステップS311では、I項KLAF
Iが所定下限値AFLML以下か否かを判別し、KLA
FI≦AFLMLであるときは、I項KLAFIをその
下限値AFLMLに設定して(ステップS316)、ス
テップS318に進む。また、KLAFI>AFLML
であるときは、LAFセンサ15の内部抵抗LAFRI
が第1の所定抵抗値LFRIO2LMより大きいか否か
を判別し(ステップS312)、LAFRI>LFRI
O2LMであるときは、I項KLAFIが所定値AFL
MTLFLより小さいか否かを判別する(ステップS3
13)。所定値AFLMTLFLは、図6のステップS
79について説明したように下限値AFLMLより大き
な値(例えば0.9)に設定される。
【0091】ステップS312及びS313の判別の結
果、LAFRI≦LFRIO2LM、又はKLAFI≧
AFLMTLFLであるときは、直ちにステップS31
5に進み、LAFRI>LFRIO2LM、且つKLA
FI<AFLMTLFLであるときは、KLAFI値を
下限値AFLMTLFLに設定して(ステップS31
4)、ステップS315に進む。
【0092】ステップS315では、I項KLAFIが
所定上限値AFLMHより大きいか否かを判別し、KL
AFI≦AFLMHであるときは直ちに、またKLAF
I>AFLMHであるときは、I項KLAFIをその上
限値AFLMHに設定して(ステップS317)、ステ
ップS318に進む。
【0093】ステップS318では、P項KLAFP,
I項KLAFI,D項KLAFDを加算することによっ
てPID補正係数KLAFを算出し、次いで偏差の今回
算出値DKAF(k)を前回値DKAF(k−1)とし
(ステップS319)、ステップS321に進む。
【0094】ステップS321では、PID補正係数K
LAFが所定下限値AFLMLより小さいか否かを判別
し、KLAF<AFLMLであるときは、I項KLAF
I(k)を前回値KLAFI(k−1)に設定して(ス
テップS325)、本処理を終了する。また、KLAF
≧AFLMLであるときは、LAFセンサ15の内部抵
抗LAFRIが第1の所定抵抗値LFRIO2LMより
大きいか否かを判別し(ステップS322)、LAFR
I>LFRIO2LMであるときは、PID補正係数K
LAFが前記所定値AFLMTLFLより小さいか否か
を判別する(ステップS323)。
【0095】ステップS322及びS323の判別の結
果、LAFRI≦LFRIO2LM、又はKLAF≧A
FLMTLFLであるときは、ステップS324に進
み、LAFRI>LFRIO2LM、且つKLAF<A
FLMTLFLであるときは、前記ステップS325に
進む。
【0096】ステップS324では、PID補正係数K
LAFが所定上限値AFLMHより大きいか否かを判別
し、KLAF≦AFLMHであるときは直ちに、またK
LAFI>AFLMHであるときは、前記ステップS3
25を実行して本処理を終了する。
【0097】図12は、図8のステップS208、S2
14で実行されるKAFリミットチェック処理のフロー
チャートであり、本処理は、図6のKLAFリミットチ
ェック処理とほぼ同様の構成を有する。すなわち、図6
のステップS70、S71、S73、S74、S79及
びS80の「KLAF」を「KAF」に変更して、それ
ぞれS70a、S71a、S73a、S74a、S79
a及びS80aとするとともに、ステップS81及びS
82を追加した構成を有する。したがって、算出された
空燃比補正係数KAF(すなわちPID補正係数KLA
Fまたは適応補正係数KSTR)に対して、図6の処理
と同様にリミットチェックが実行され、その結果リミッ
トはりつき状態であるとき(ステップS71a,S74
aまたはS80aが実行されたとき)は、リミットはり
つきフラグFKO2LMTを「1」に設定し(ステップ
S81)、それ以外のときはリミットはりつきフラグF
KO2LMTを「0」に設定して(ステップS82)、
本処理を終了する。
【0098】本処理によれば、KAF値がその上下限値
AFLMH,AFLMLの範囲内にあるとき(ステップ
S70a,S73aの答がともに否定(NO))におい
て、LAFセンサ15の内部抵抗LAFRIが、LAF
センサ15が活性温度範囲(約700±50℃)にある
場合におけるLAFセンサ15の内部抵抗値(所定抵抗
値)LFRIO2LMを超えるときにKAF値の下限値
AFLMLを該下限値AFLMLよりも大きいAFLM
TLFL値に増大させるので、LAFセンサ15の温度
が低く酸素濃度センサ15の出力がリッチ側にずれて酸
素濃度(空燃比)を正しく検出できなくてもフィードバ
ック制御における空燃比の過度の補正を防止することが
でき、その結果空燃比を適正に保つことができる。
【0099】次に図8のステップS206におけるKS
TR算出処理について、図13〜15を参照して説明す
る。
【0100】図13は、適応制御(STR(Self Tunin
g Regulator))による空燃比補正係数、すなわち適応
補正係数KSTRの演算処理を説明するためのブロック
図であり、STRコントローラにより、目標空燃比係数
(目標当量比)KCMD(k)と検出当量比KACT
(k)とが一致するように適応補正係数KSTRが算出
され、該STRコントローラで使用する適応パラメータ
が適応パラメータ調整機構によって設定される。
【0101】公知の適応制御の調整則の一つに、ランダ
ウらが提案したパラメータ調整則があり、本実施の形態
では、このランダウらの調整則を用いた。ランダウらの
調整則では、離散系の制御対象の伝達関数A(Z-1)/
B(Z-1)の分母分子の多項式を数式4のようにおいた
とき、適応パラメータベクトルθハット(k)及び適応
パラメータ調整機構への入力ζ(k)は、数式5、6の
ように定められる。数式5、6では、m=1、n=1、
d=3の場合、即ち1次系で3制御サイクル分の無駄時
間を持つプラントを例にとった。ここでkは時刻、より
具体的には制御サイクルを示す。また、数式6におい
て、u(k)及びy(k)は、本実施形態では、それぞ
れ適応補正係数KSTR(k)及び検出当量比KACT
(k)に対応する。
【0102】
【数4】
【0103】
【数5】
【0104】
【数6】 ここで、適応パラメータベクトルθハット(k)は、数
式7で表される。また、数式7中のΓ(k)及びeアス
タリスク(k)は、それぞれゲイン行列及び同定誤差信
号であり、数式8及び数式9のような漸化式で表され
る。
【0105】
【数7】
【0106】
【数8】
【0107】
【数9】 数式8中のλ1(k)、λ2(k)の選び方により、種
々の具体的なアルゴリズムが与えられる。λ1(k)=
1,λ2(k)=λ(0<λ<2)とすると漸減ゲイン
アルゴリズム(λ=1の場合、最小自乗法)、λ1
(k)=λ1(0<λ1<1)、λ2(k)=λ2(0
<λ2<2)とすると、可変ゲインアルゴリズム(λ2
=1の場合、重み付き最小自乗法)、λ1(k)/λ2
(k)=αとおき、λ3が数式10のように表されると
き、λ1(k)=λ3とおくと固定トレースアルゴリズ
ムとなる。また、λ1(k)=1,λ2(k)=0のと
き固定ゲインアルゴリズムとなる。この場合は数式7か
ら明らかなように、Γ(k)=Γ(k−1)となり、よ
ってΓ(k)=Γの固定値となる。
【0108】また数式9のD(Z-1)は、漸近安定な多
項式であって収束性を決定するために設計者が任意に設
定できるものである。なお本実施の形態においては、
1.0に設定している。
【0109】
【数10】 数式10において、trΓ(0)は、行列Γ(0)のト
レース関数であり、具体的には、行列Γ(0)の対角成
分の和(スカラ量)である。
【0110】ここで、図13にあっては、前記STRコ
ントローラと適応パラメータ調整機構とは燃料噴射量演
算系の外におかれ、検出当量比KACT(k+d)が目
標当量比KCMD(k)に適応的に一致するように動作
して適応補正係数KSTR(k)を演算する。
【0111】このように、適応補正係数KSTR(k)
及び検出当量比KACT(k)が適応パラメータ調整機
構に入力され、そこで適応パラメータベクトルθハット
(k)が算出されてSTRコントローラに入力される。
STRコントローラには入力として目標当量比KCMD
(k)が与えられ、検出当量比KACT(k+d)が目
標当量比KCMD(k)に一致するように漸化式を用い
て適応補正係数KSTR(k)が算出される。
【0112】適応補正係数KSTR(k)は、具体的に
は数式11に示すように求められる。
【0113】
【数11】 次に本実施形態における適応補正係数KSTRの実際の
算出式を説明する。上述した数式6〜11は、制御サイ
クルと制御周期(TDC信号パルスの発生周期)とを一
致させ、全気筒について共通の適応補正係数KSTRを
使用する場合のものであるが、本実施形態では、制御サ
イクルを気筒数と対応させて4TDCとすることによ
り、気筒毎に適応補正係数KSTRを決定するようにし
ている。具体的には、上記数式6〜11をそれぞれ数式
12〜17に置き換えて、適応補正係数KSTRを決定
することにより、気筒別の適応補正係数KSTRを算出
して適応制御を行っている。
【0114】
【数12】
【0115】
【数13】
【0116】
【数14】
【0117】
【数15】
【0118】
【数16】
【0119】
【数17】 なお、実際のむだ時間dactが例えば「4」であると
きは、数式14〜16のdを「4」とした数式を使用し
て適応パラメータb0,s0,r1〜r3を算出する。
【0120】図14は、図8のステップS206におけ
るKSTR算出処理のフローチャートである。
【0121】先ずステップS401では、前回適応制御
フラグFSTRFBが「0」であったか否かを判別し、
FSTRFB=0であって適応制御を実行していなかっ
たときは、適応パラメータb0,s0,r1〜r3を初
期値に設定する初期化処理を実行してステップS404
に進む。また、ステップS401でFSTRFB=1で
あって、前回も適応制御を実行していたときは、図15
に示す適応パラメータb0,s0,r1〜r3演算処理
を実行する。
【0122】本実施形態では、前記数式13によるθハ
ット(k)、すなわち適応パラメータb0,s0,r1
〜r3の算出は、4TDC期間(TDC信号パルスが4
回発生する期間=1燃焼サイクル)に1回行うようにし
ているので、図15のステップS431では、前回の数
式13による算出から4TDC期間が経過したか否かを
判別し、経過したときは、数式13による適応パラメー
タb0,s0,r1〜r3の算出を行う(ステップS4
32)。4TDC期間経過してないときは、適応パラメ
ータのb0(k),s0(k),r1(k)〜r3
(k)を、それぞれ前回値b0(k−1),s0(k−
1),r1(k−1)〜r3(k−1)に設定する。
【0123】ステップS432またはS433実行後
は、下記数式18により適応パラメータb0,s0,r
1〜r3のpTDC期間(例えばp=8とした8TDC
期間)の移動平均値b0AV,r0AV,r1AV,r
2AV,r3AVを算出し(ステップS434)、本処
理を終了する。なお、この移動平均化処理を行うため
に、適応パラメータb0,s0,r1〜r3のpTDC
期間の値を格納するリングバッファが設けられている。
【0124】
【数18】 図14に戻り、ステップS404では、前記数式17に
図15のステップS434で移動平均化された適応パラ
メータb0AV,s0AV,r1AV〜r3AVを適用
して、適応補正係数KSTRを算出する。このように、
適応パラメータb0,s0,r1〜r3の移動平均値を
用いることにより、適応パラメータb0,s0,r1〜
r3を4TDC期間に1回の頻度で更新すること及びL
AFセンサ17のローパス特性に起因する適応制御の不
安定化を防止することができる。
【0125】本実施の形態では、図9のステップS30
5〜S307及び図12のステップS78、S79a、
S80aが特許請求の範囲の補正制限手段に相当し、図
9〜11及び図14、15の処理が、特許請求の範囲の
フィードバック制御手段に相当する。また、図9〜11
の処理が特許請求の範囲のPID制御手段に相当し、図
14の処理が特許請求の範囲の適応制御手段に相当し、
図7のステップS101〜S106、図8のステップS
201〜S204及びステップS212が特許請求の範
囲の切替手段に相当し、図7のステップS101〜S1
05が特許請求の範囲の禁止手段に相当する。なお、図
9〜11の処理において、D項KLAFDによる微分制
御は行わなくてもよい。
【0126】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1の内燃機
関の空燃比制御装置によれば、活性状態検出手段により
検出された酸素濃度センサの活性状態に応じてフィード
バック制御手段によるフィードバック制御の空燃比補正
を制限するので、酸素濃度センサの活性度合が低く酸
素濃度センサの出力が正規の値からずれて酸素濃度(空
燃比)を正しく検出できない場合においてもフィードバ
ック制御における空燃比の過度の補正を防止することが
でき、その結果空燃比を適正に保つことができる。
【0127】請求項2の内燃機関の空燃比制御装置によ
れば、内部抵抗検出手段により検出された内部抵抗が、
酸素濃度センサが所定の活性温度範囲にあるときの内部
抵抗値より高いとき、即ち酸素濃度センサの活性度合が
低く酸素濃度センサの出力が正規の値からずれて酸素濃
度(空燃比)を正しく検出できない場合に、フィードバ
ック制御における空燃比補正量の下限値を大きくする
か、又は該空燃比補正量の上限値を小さくするので、請
求項1の内燃機関の空燃比制御装置による効果を簡単な
構成で確実に奏することができる。
【0128】以上詳述したように、請求項3の内燃機関
の空燃比制御装置によれば、活性状態検出手段により検
出された酸素濃度センサの活性状態に応じてフィードバ
ック制御手段によるフィードバック制御の空燃比補正量
を制限し、さらに、内部抵抗検出手段により検出された
内部抵抗が、酸素濃度センサが所定の活性温度範囲にあ
るときの内部抵抗値より高いとき、即ち酸素濃度センサ
の活性度合が低く酸素濃度センサの出力が正規の値から
ずれて酸素濃度(空燃比)を正しく検出できない場合
に、空燃比フィードバック制御のリッチ側の偏差が所定
偏差以下に制限されるので、酸素濃度センサの活性度合
が低く酸素濃度センサの出力が正規の値からずれて酸素
濃度(空燃比)を正しく検出できない場合においてもフ
ィードバック制御における空燃比の過度の補正を防止す
ることができ、その結果、簡単な構成で空燃比を確実に
適正に保つことができる。
【0129】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る内燃機関及び制御装
置の全体の構成図である。
【図2】図1における酸素濃度検出装置16の詳細な構
成を示すブロック図である。
【図3】空燃比補正係数KLAFを算出するプログラム
のフローチャートである。
【図4】図3のステップS12において空燃比補正係数
KLAFを算出するプログラムのフローチャートであ
る。
【図5】図3のステップS12において空燃比補正係数
KLAFを算出するプログラムのフローチャートであ
る。
【図6】図5のステップS50において空燃比補正係数
KLAFのリミットチェックを行うプログラムのフロー
チャートである。
【図7】空燃比補正係数KAFを算出するプログラムの
フローチャートである。
【図8】空燃比補正係数KAFを算出するプログラムの
フローチャートである。
【図9】図8のステップS212においてPID補正係
数KLAFを算出するプログラムのフローチャートであ
る。
【図10】図8のステップS212においてPID補正
係数KLAFを算出するプログラムのフローチャートで
ある。
【図11】図8のステップS212においてPID補正
係数KLAFを算出するプログラムのフローチャートで
ある。
【図12】図8のステップS208またはS214にお
いて空燃比補正係数KAFのリミットチェックを行うプ
ログラムのフローチャートである。
【図13】適応補正係数KSTRの演算処理を説明する
ためのブロック図である。
【図14】図8のステップS206において適応補正係
数KSTRを算出するプログラムのフローチャートであ
る。
【図15】図14のステップS403において適応パラ
メータを演算するプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃エンジン 5 電子コントロールユニット(フィードバック制御手
段、補正制限手段、PID制御手段、適応制御手段、切
替手段、禁止手段) 6 燃料噴射弁 15 LAFセンサ(酸素濃度センサ) 16 酸素濃度検出装置 25 酸素濃度検出活性化制御装置(活性状態検出手
段、内部抵抗検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−52140(JP,A) 特開 平8−232721(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/14 310

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気系に設けられ排気ガス中
    の酸素濃度に略比例する出力特性を有する酸素濃度セン
    サと、該酸素濃度センサの出力に基づいて前記内燃機関
    に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバ
    ック制御するフィードバック制御手段とを有する内燃機
    関の空燃比制御装置において、前記酸素濃度センサの活
    性状態を検出する活性状態検出手段と、前記酸素濃度セ
    ンサの活性状態に応じて前記フィードバック制御手段に
    よるフィードバック制御の空燃比補正量を制限する補正
    制限手段とを備えることを特徴とする内燃機関の空燃比
    制御装置。
  2. 【請求項2】 前記活性状態検出手段は前記酸素濃度セ
    ンサの内部抵抗を検出する内部抵抗検出手段からなり、
    前記内部抵抗が、前記酸素濃度センサが所定の活性温度
    範囲内にあるときの内部抵抗値より高いときに前記補正
    制限手段は前記フィードバック制御手段によるフィード
    バック制御の空燃比補正量の下限値を大きくするか、又
    は前記空燃比補正量の上限値を小さくすることを特徴と
    する請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の排気系に設けられ排気ガス中
    の酸素濃度に略比例する出力特性を有する酸素濃度セン
    サと、該酸素濃度センサの出力に基づいて前記内燃機関
    に供給される混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバ
    ック制御するフィードバック制御手段とを有する内燃機
    関の空燃比制御装置において、前記酸素濃度センサの活
    性状態を検出する活性状態検出手段と、前記酸素濃度セ
    ンサの活性状態に応じて前記フィードバック制御手段に
    よるフィードバック制御の空燃比補正量を制限する補正
    制限手段とを備え、 前記フィードバック制御手段は、前記酸素濃度センサの
    出力から得られる検出空燃比と前記目標空燃比との偏差
    に応じて空燃比補正量を算出し、前記活性状態検出手段
    は前記酸素濃度センサの内部抵抗を検出する内部抵抗検
    出手段からなり、前記補正制限手段は、前記内部抵抗
    が、前記酸素濃度センサが所定の活性温度範囲内にある
    ときの内部抵抗値より高いときに、リッチ側の前記偏差
    を所定偏差以下に制限することを特徴とする内燃機関の
    空燃比制御装置。
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