JP3535308B2 - パルス発生回路 - Google Patents

パルス発生回路

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JP3535308B2 JP09495996A JP9495996A JP3535308B2 JP 3535308 B2 JP3535308 B2 JP 3535308B2 JP 09495996 A JP09495996 A JP 09495996A JP 9495996 A JP9495996 A JP 9495996A JP 3535308 B2 JP3535308 B2 JP 3535308B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体スイッチング
素子のスイッチングにより、高電圧に充電された回路か
ら高速大電流のパルスを得るパルス発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パルスコロナ放電による排気ガス
中の亜硫酸ガス除去や、パルスレーザーによる物体の超
精密加工など、高電圧大電流パルスを利用する技術に対
する産業上の需要が高まっている。
【0003】これらの用途では、いずれも数10kV、数10
00アンペアでパルス幅が 100ナノ秒程度の高電圧、大電
流パルスが利用されるが、このようなパルスを単独のス
イッチで発生するのは非常に困難である。また、各種産
業に実用的に使用するためには、高速であるが寿命の短
い放電スイッチよりも、スイッチングスピードに多少の
難点はあっても長寿命の半導体スイッチング素子を利用
することが望まれる。
【0004】このため、高電圧大電流パルス発生回路と
しては、半導体スイッチング素子によって一次パルスを
発生し、さらに可飽和リアクトルの飽和作用を利用して
パルス幅の圧縮を行い、パルストランスによって昇圧を
行う回路がよく用いられる。例えば、特開平 6-61802号
公報に記載されているようなものである。
【0005】図12に従来の高電圧大電流パルス発生回路
の構成を示す。高電圧大電流パルス発生回路は、主スイ
ッチ10と、磁気アシスト可飽和リアクトル20と、主コン
デンサC0 30と、第1の入力コンデンサC1 40と、第1
の可飽和リアクトル50と、第2の入力コンデンサC2 60
と、第1の可飽和リアクトル70と、パルストランス80
と、第3の入力コンデンサC3 90と、第3の可飽和リア
クトル 100と、出力コンデンサCPK 110とからなり、次
のように動作する。
【0006】初期において主コンデンサC0 30は、充電
電源(図示せず)によって所定の電圧に充電されてい
る。主スイッチ10が投入させると、磁気アシスト可飽和
リアクトル20が励磁され、鉄心内の磁束密度が上昇を始
める。この磁束密度が飽和磁束密度に達すると、可飽和
リアクトル20のインダクタンスは激減し主コンデンサC
0 30の電荷は可飽和リアクトル20→主スイッチ10を通じ
て放電し、第1の入力コンデンサC1 40を充電する。
【0007】これにより第1の可飽和リアクトル50が励
磁され始めるが、第1の可飽和リアクトル50は第1の入
力コンデンサC1 40の電圧がピークに達するときに飽和
するように設計される。
【0008】第1の可飽和リアクトル50が飽和すると上
記と同様の作用により第2の入力コンデンサC2 60が充
電される。但し、このとき、第1の入力コンデンサC1
40、第2の入力コンデンサC2 60および第1の可飽和リ
アクトル50から成る閉回路における共振周波数は、主コ
ンデンサC0 30、第1の入力コンデンサC1 40および磁
気アシスト可飽和リアクトル20から成る閉回路における
共振周波数よりも高くなるように設計することによって
パルス幅の圧縮と電流の増倍効果が得られる。
【0009】さらに同様にして、第3の入力コンデンサ
3 90、出力コンデンサCPK 110がパルス幅を圧縮しな
がら充電される。但し、第2の入力コンデンサC2 60か
ら第3の入力コンデンサC3 90への電荷の移行に際して
は段間にパルストランス80が挿入されているため、電圧
の増倍効果を伴い、その分電流の増倍効果は犠牲にされ
る。
【0010】このようにして、出力コンデンサCPK 110
が高電圧に充電される結果、出力コンデンサCPK 110に
負荷としてレーザー等を接続することにより、所望の高
電圧、大電流パルスを得ることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような段間の接続方法では、接続距離が長くなるため、
接続部のインダクタンスが増加する。また、接続部付近
では、対称性が崩れるため可飽和リアクトル周囲に分散
配置した同軸状の導体の電流分布が一様でなくなり漏れ
インダクタンスが増加する。
【0012】このように、従来の方法では、回路の浮遊
インダクタンスが増加するので、可飽和リアクトルを含
む共振回路で可飽和リアクトルが飽和していないときの
ループインダクタンスと飽和したときのループインダク
タンスの比が小さくなり、結果的にスイッチとしての性
能が十分得られなくなってしまう。
【0013】このことは多段の磁気パルス圧縮回路を接
続した場合に特に回路のエネルギー移行効率に影響しパ
ルス発生回路の効率を低下させることになる。よって本
発明は回路の浮遊インダクタンスを低減し、高効率小型
の高電圧大電流パルス発生回路を得ることを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のパルス
発生回路では、半導体スイッチは同軸状に構成し、リア
クトル、トランスはトロイダル状にコイルを巻回するの
でそれぞれ固有のインダクタンスは小さくなり、相互の
接続点においては中心軸が交差するので配線距離が短く
かつほぼ対象な配置が可能になって接続インダクタンス
も低減できる。
【0015】請求項2に記載のパルス発生回路では中心
軸が同一直線上に存するので対称性がさらに完全になり
接続インダクタンスが低減する。請求項3に記載のパル
ス発生回路では主スイッチ回路、磁気パルス圧縮回路、
パルストランスの全てを絶縁媒体と共に封入し、接続点
が気中に露出しないので絶縁距離を縮小できインダクタ
ンスを低減できる。
【0016】請求項4に記載のパルス発生回路では接続
点において隔壁を設け、絶縁・冷却媒体が相互に流通し
ないので点検時の作業が簡単化し、また冷却に必要な循
環量が容易に最適化できる。
【0017】請求項5に記載のパルス発生回路では絶縁
冷却媒体として絶縁、冷却特性ともに優れた絶縁油若し
くはパーフロロカーボン液若しくは6弗化硫黄ガスを用
いるので低インダクタンスで小型にできる。
【0018】請求項6に記載のパルス発生回路では半導
体スイッチ素子に放熱フィンを取り付けることで冷却効
率が向上する。請求項7に記載のパルス発生回路では放
熱フィンは環状溝と平行直線溝を組み合わせるので冷媒
の流れが良くなり薄型で冷却効率が向上する。
【0019】請求項8に記載のパルス発生回路では放熱
フィンはフィン内部を冷媒の流れる穴が貫通するので薄
型で冷却効率が向上する。請求項9に記載のパルス発生
回路では放熱フィンは溝を設けた2枚の金属の張り合わ
せに構成するので安価に請求項8と同等の効果が実現で
きる。
【0020】請求項10に記載のパルス発生回路では放熱
フィンはフィン形状が正n角形(n>5)であるので周
囲に反対方向電流を流す導体を等間隔で配置する事がで
き電流分布を均一にし低インダクタンスを実現すること
ができる。
【0021】請求項11に記載のパルス発生回路では、可
飽和リアクトルは円環状鉄心の全ての面に隙間を設けて
放熱する事ができるので冷却特性を向上させることがで
きる。
【0022】請求項12に記載のパルス発生回路では、パ
ルストランスは、円環状鉄心の全ての面に隙間を設けて
放熱する事ができるので冷却特性を向上させることがで
きる。
【0023】請求項13に記載のパルス発生回路では、可
飽和リアクトルは、絶縁筒の内側とロッド導体との間に
くさび状の隙間をつくらないので絶縁性能が向上する。
請求項14に記載のパルス発生回路では、パルストランス
は絶縁筒の内側とロッド導体との間にくさび状の隙間を
つくらないので絶縁性能が向上する。
【0024】請求項15に記載のパルス発生回路では、ロ
ッド導体の表面に絶縁コーティングを施すので絶縁性能
が向上する。請求項16に記載のパルス発生回路では、中
心軸が水平であるので発熱体の分布と冷媒の流れ方向が
直交し、冷却特性が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施
の形態の構成図である。第1の実施の形態のパルス発生
回路は、主スイッチ10と、磁気アシスト可飽和リアクト
ル20と、主コンデンサ30と、入力コンデンサ40と可飽和
リアクトル50とからなる第1の磁気パルス圧縮回路と、
パルストランス80と、入力コンデンサ90と可飽和リアク
トル 100とからなる第2の磁気パルス圧縮回路と、出力
コンデンサ 110とからなる。
【0026】複数の平型半導体スイッチ素子を直列接続
した主スイッチ10はその周囲を複数の導体11によって同
軸状に囲われ、主スイッチ10と複数の導体11はその端部
において接続される。
【0027】また、磁気アシスト可飽和リアクトル20は
複数の円環状鉄心21の内外周にコイル22を配して構成さ
れる。主コンデンサ30は複数のコンデンサ素子を円周上
に配置し導体板31と32にはさまれることにより並列接続
されて構成される。
【0028】第1の磁気パルス圧縮回路の入力コンデン
サ40は複数のコンデンサ素子を円周上に配置し導体板32
と41に挟まれることにより並列接続されて構成される。
第1の磁気パルス圧縮回路の可飽和リアクトル50は複数
の円環状鉄心51の内外周にコイル52を配して構成され
る。
【0029】パルストランス80は複数の円環状鉄心81の
内外周に1次巻線コイル82と2次巻線コイル83を配して
構成される。第2の磁気パルス圧縮回路の入力コンデン
サ90は複数のコンデンサ素子を円周上に配置し導体板91
と92に挟まれることにより並列接続されて構成される。
【0030】第2の磁気パルス圧縮回路の可飽和リアク
トル 100は複数の円環状鉄心 101の内外周にコイル 102
を配して構成される。出力コカデンサ 110は複数のコン
デンサ素子を円周上に配置し導体板 111と 112に挟まれ
ることにより並列接続されて構成される。
【0031】そして、主スイッチ10と磁気アシスト可飽
和リアクトル20は中心軸が一致するように配向し、主ス
イッチの内側の端子と可飽和リアクトルのコイルの内周
口出しを、主スイッチの外周導体と可飽和リアクトルの
外周コイルを接続する。
【0032】同様に全ての回路要素の接続は中心軸が一
致若しくは中心軸が一点で交差するように配向し、同軸
構成された内周同士、外周同士を接続する事によって行
う。以上の様に構成することによって、パルス発生回路
の同軸構成された各回路要素が同軸性を失わずに最短距
離で接続されるため均等な電流分布と低インダクタンス
を実現することができる。従って浮遊インダクタンスを
低減し、高効率小型の高電圧大電流パルス発生回路を得
ることができる。なお、本実施例では説明を簡略化する
ために図12の従来例の回路より磁気パルス圧縮回路を1
段減らして説明したが、これは本質的なものではなく磁
気パルス圧縮回路の段数に係わりなく本発明が有効なの
は当然である。
【0033】次に第2の実施の形態について説明する。
図2は第2の実施の形態の構成図であり、パルス発生回
路の全ての回路要素は共通タンク 120に絶縁・冷却媒体
121と共に封入されている。
【0034】よって、本実施の形態においては、高電圧
大電流となる全ての回路要素が絶縁・冷却媒体と共にタ
ンクに封入されるので、電界上昇による絶縁破壊、発熱
体の近接による温度上昇が起きることがなくなり、導体
間距離を小さくした設計が可能になる。従って浮遊イン
ダクタンスを低減し、高効率小型の高電圧大電流パルス
発生回路を得ることができる。
【0035】次に本発明の第3の実施の形態について説
明する。図3は第3の実施の形態を示す構成図である。
本実施の形態においてはパルス発生回路の全ての回路要
素は共通のタンク 120に絶縁・冷却媒体 121と共に封入
されるという点においては第2の実施の形態と同様であ
るが、主スイッチ10を収納した部分とその他の回路要素
を収納した部分との間に隔壁 122を設け絶縁冷却媒体 1
21が相互に流通しないように構成する。また、それぞれ
の区分に対してポンプ 123と放熱フィン 124を配管によ
り接続する。
【0036】以上のように構成したことにより第3の実
施の形態においては能動部品から構成される主スイッチ
の保守、点検時においてその他の回路要素を収納した部
分については絶縁・冷却媒体の入れ替え作業をする必要
がなくなる。主スイッチを除いた部分については能動回
路部品がほとんどないから保守、点検の必要性がないと
いって良い。従って設備としての保守の手間が軽減され
ランニングコストの低減が可能になる。また、冷却流量
をそれぞれ独立に調整できることから最適の冷却特性を
得ることが可能になる。
【0037】このように本実施例においては浮遊インダ
クタンスを低減し、高効率小型でかつランニングコスト
を低減した高電圧大電流パルス発生回路を得ることがで
きる。
【0038】尚、第2、第3の実施の形態で用いる絶縁
・冷却媒体は絶縁・冷却できるものであれば何でも良い
が、特に、絶縁油、パーフロロカーボンもしくは6弗化
硫黄ガスが好適である。
【0039】図4は可飽和リアクトルの鉄心の構成図で
あり、矢印は可飽和リアクトルの鉄心の積層方向を水平
としたときの冷媒の流れを示している。可飽和リアクト
ルの鉄心は複数の円環状の強磁性体 130を冷却のための
空隙 131をあけて積層して構成される。
【0040】強磁性体 130からの放熱は主として空隙 1
31との界面においてなされるが積層方向が水平であるこ
とにより界面は鉛直となり冷媒の流れも鉛直方向となり
効率よく対流する。従って冷却特性が向上するので空隙
131を極小にすることができる。従って本実施によれば
高効率小型の高電圧大電流パルス発生回路を得ることが
できる。
【0041】なお本実施では可飽和リアクトルを例に取
って説明したが、パルストランスでも同様の効果が得ら
れるのはもちろんであり、複数の平型半導体スイッチを
直列接続した主スイッチにおいても同様の効果が得られ
る。
【0042】図5は平型半導体スイッチ素子用放熱フィ
ンの構造を示す図、図6はそのA−A矢視断面図であ
る。放熱フィン 140は概略正八角形の銅板の中央に半導
体素子と接触する平滑なポスト面 141と、その周囲に円
環状の溝 142と、そして平行な直線上の溝 143をそれぞ
れ形成して構成される。
【0043】このように構成したことにより溝があるこ
とによりただの平板放熱フィンよりも放熱面積が増加す
る。また、冷媒が溝を伝わってスムーズに流れる。ポス
ト面によって溝が分断される場合も円環状に溝を伝わっ
て冷媒が流れる。以上の作用により高い冷却効率が得ら
れる。
【0044】図7は平型半導体スイッチ素子用放熱フィ
ンの構造を示す図、図8はそのA−A矢視断面図であ
る。放熱フィン 150の概略角形の銅板の片面の中央に半
導体素子と接触する平滑なポスト面 151をその背面に平
行な溝 152を形成した銅板を2枚、溝のある面同志を張
り合わせて構成される。
【0045】このように構成したことにより溝があるこ
とによりただの平板放熱フィンよりも放熱面積が増加す
る。また、放熱フィンの内部を直線上に障害物なく溝が
形成されているために冷媒の流れがスムーズになり高い
冷却効率が得られる。
【0046】また、溝を形成した2枚の板を張り合わせ
ることにより構成するので1枚の板の内部に穴を穿つよ
りも安価に製造することができる。本実施の形態におい
ては放熱フィンの形状を正八角形とした。これは次のよ
うな理由による。即ち本放熱フィンを用いて同軸状の半
導体スイッチを構成するためには周囲に逆方向電流を流
す導体を配置する必要がある。その配置はできるだけ電
流分布を均一にし、低インダクタンスを達成するため円
周上に等間隔で配置することが望ましく、インダクタン
スを完全な同軸円筒構成に近づけるためには配置数とし
て6以上が望まれる。このためにはフィンの形状として
は正n角形でn>5とすることが好適である。
【0047】図9はリアクトルの構成断面を示す図であ
る。図9において絶縁筒 160は第1の絶縁板 161によっ
てその両端を固定されている。また、その表面には複数
の短冊状の第2の絶縁板 162をその長辺が絶縁筒 160の
対称軸と平行になるように間隔をおいて貼り付ける。ま
た、この上に複数の円環状鉄心 163が前記短冊状の第二
の絶縁板 162に固定されて分散配置された第3の絶縁板
164によって間隙を設けながら積層されている。前記複
数の円環状鉄心の内周にはロッド導体 165が、外周には
ロッド導体 166がそれぞれ円周上に概略等間隔で配置さ
れ内周の導体 165と外周の導体 166の間は第3の導体 1
67によって連結され鉄心を囲むループを形成している。
【0048】このように構成したことにより本実施例で
は次のような作用効果が得られる。すなわち円環状の鉄
心の放熱はその内周面、外周面、上下の端面の4カ所よ
りなされるが、本発明では外周面には放熱を妨げるもの
ではなく、内周面は短冊状の第二の絶縁板の相互の間隙
から放熱が可能であり、端面は第3の絶縁板の間から放
熱が可能であり、全ての面が放熱面として有効である。
従って鉄心の加熱を防止することができる。
【0049】図10は図9を絶縁筒 160の軸方向から見た
拡大図である。絶縁筒 160の表面には側端面にくぼみを
設けた短冊状の絶縁板 162が貼り付けられ、そのくぼみ
とかみ合うようにつめを設けた絶縁板 164がくぼみと爪
のかみ合いによりとりつけられている。
【0050】このように構成したので本発明によるリア
クトルおよびトランスではその製作時に円環状の鉄心の
間隙を作るスペーサーとなる絶縁板を容易に固定するこ
とができ、しかもその絶縁板は絶縁筒の軸方向に容易に
移動できるので組み立て作業性が向上する。
【0051】図9のリアクトルにおいて絶縁筒の内側ロ
ッド導体と絶縁等を接触させると図11に示すようにロッ
ド導体 165と絶縁筒 160との間にくさび状の部分ができ
る。高電圧工学の教えるところによればこのようなくさ
び状の部分は電界ストレスが集中し容易に絶縁破壊を引
き起こす。そこでロッド導体 165と絶縁筒 160の間に間
隙を設け楔状の部分をなくすことにより絶縁耐圧を向上
させる。
【0052】また、ロッド導体はその断面が小さい円で
あるため表面において電界が集中することがさけられな
い。しかし、その表面に絶縁コーティングを施すことに
より電界を緩和し、絶縁体力を高めることができる。
【0053】なお、本実施の形態では説明を簡略化する
ためにリアクトルコイルの巻き回数が1ターンである場
合を説明したがロッド導体の数を増やし、内外周を連結
する導体の数を増やすことにより巻き回数は任意に選ぶ
ことは可能である。また、コイルを2つに分けることに
よりトランスとして動作させることは本発明の主旨を損
なわず可能である。
【0054】
【発明の効果】請求項1に記載のパルス発生回路では、
半導体スイッチは同軸状に構成し、リアクトル、トラン
スはトロイダル状にコイルを巻回するのでそれぞれ固有
のインダクタンスは小さくなり、相互の接続点において
は中心軸が交差するので配線距離が短くかつほぼ対象な
配置が可能になって接続インダクタンスも低減できる。
【0055】請求項2に記載のパルス発生回路では中心
軸が同一直線上に存するので対称性がさらに完全になり
接続インダクタンスが低減する。請求項3に記載のパル
ス発生回路では主スイッチ回路、磁気パルス圧縮回路、
パルストランスの全てを絶縁媒体と共に封入し、接続点
が気中に露出しないので絶縁距離を縮小できインダクタ
ンスを低減できる。
【0056】請求項4に記載のパルス発生回路では接続
点において隔壁を設け、絶縁・冷却媒体が相互に流通し
ないので点検時の作業が簡単化し、また冷却に必要な循
環量が容易に最適化できる。
【0057】請求項5に記載のパルス発生回路では絶縁
冷却媒体として絶縁、冷却特性ともに優れた絶縁油若し
くはパーフロロカーボン液若しくは6弗化硫黄ガスを用
いるので低インダクタンスで小型にできる。
【0058】請求項6に記載のパルス発生回路では半導
体スイッチ素子に放熱フィンを取り付けることで冷却効
率が向上する。請求項7に記載のパルス発生回路では放
熱フィンは環状溝と平行直線溝を組み合わせるので冷媒
の流れが良くなり薄型で冷却効率が向上する。
【0059】請求項8に記載のパルス発生回路では放熱
フィンはフィン内部を冷媒の流れる穴が貫通するので薄
型で冷却効率が向上する。請求項9に記載のパルス発生
回路では放熱フィンは溝を設けた2枚の金属の張り合わ
せに構成するので安価に請求項8と同等の効果が実現で
きる。
【0060】請求項10に記載のパルス発生回路では放熱
フィンはフィン形状が正n角形(n>5)であるので周
囲に反対方向電流を流す導体を等間隔で配置する事がで
き電流分布を均一にし低インダクタンスを実現すること
ができる。
【0061】請求項11に記載のパルス発生回路では、可
飽和リアクトルは円環状鉄心の全ての面に隙間を設けて
放熱する事ができるので冷却特性を向上させることがで
きる。
【0062】請求項12に記載のパルス発生回路では、パ
ルストランスは、円環状鉄心の全ての面に隙間を設けて
放熱する事ができるので冷却特性を向上させることがで
きる。
【0063】請求項13に記載のパルス発生回路では、可
飽和リアクトルは、絶縁筒の内側とロッド導体との間に
くさび状の隙間をつくらないので絶縁性能が向上する。
請求項14に記載のパルス発生回路では、パルストランス
は絶縁筒の内側とロッド導体との間にくさび状の隙間を
つくらないので絶縁性能が向上する。
【0064】請求項15に記載のパルス発生回路では、ロ
ッド導体の表面に絶縁コーティングを施すので絶縁性能
が向上する。請求項16に記載のパルス発生回路では、中
心軸が水平であるので発熱体の分布と冷媒の流れ方向が
直交し、冷却特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の形態のパルス発生回路
の構成図。
【図2】本発明の第2の実施例の形態のパルス発生回路
の構成図。
【図3】本発明の第3の実施例の形態のパルス発生回路
の構成図。
【図4】鉄心の間を流れる冷媒の流れの説明図。
【図5】放熱フィンの平面図。
【図6】放熱フィンの断面図。
【図7】放熱フィンの平面図。
【図8】放熱フィンの断面図。
【図9】リアクトルの構成断面図。
【図10】第2の絶縁板と第3の絶縁板との接続構成
図。
【図11】くさび状ギャップの影響の説明図。
【図12】従来のパルス発生回路の構成図。
【符号の説明】
10…主スイッチ 20…磁気アシスト可飽和リアクトル 30…主コンデンサ 40、90…入力コンデンサ 50、100 …可飽和リアクトル 80…パルストランス 140 、150 …放熱フィン 160 …絶縁筒 161 、162 、164 …絶縁板 163 …円環状鉄心 165 、166 、167 …導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−174576(JP,A) 特開 昭63−181675(JP,A) 特開 平2−46016(JP,A) 特開 平4−105379(JP,A) 特開 平4−283908(JP,A) 特開 平5−74637(JP,A) 特開 平6−61802(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03K 3/57 H02M 9/04

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の半導体スイッチ素子を直列接続
    し、その周囲に導体を概略円周上に配置し、直列接続さ
    れた半導体スイッチ素子の一端に前記導体が接続された
    主スイッチと、 円環状に形成した強磁性体をスペーサを介して積層した
    鉄心の内外周にコイルを巻回した磁気アシスト可飽和リ
    アクトルと、 複数のコンデンサを中心軸を中心として概略円周上に配
    置し、該コンデンサを並列接続した主コンデンサと、 複数のコンデンサを中心軸を中心として概略円周上に配
    置し、該コンデンサを並列接続した入力コンデンサと円
    環状に形成した強磁性体をスペーサを介して積層した鉄
    心の内外周にコイルを巻回した可飽和リアクトルとから
    なる磁気パルス圧縮手段と、 円環状の鉄心の内外周にコイルを巻回したパルストラン
    スとを有し、 主スイッチと磁気アシスト可飽和リアクトルと磁気パル
    ス圧縮手段とパルストランスとの相互間の接続点におい
    て中心軸が交差するように配置したことを特徴とするパ
    ルス発生回路。
  2. 【請求項2】 複数の半導体スイッチ素子を直列接続
    し、その周囲に導体を概略円周上に配置し、直列接続さ
    れた半導体スイッチ素子の一端に前記導体が接続された
    主スイッチと、 円環状に形成した強磁性体をスペーサを介して積層した
    鉄心の内外周にコイルを巻回した磁気アシスト可飽和リ
    アクトルと、 複数のコンデンサを中心軸を中心として概略円周上に配
    置し、該コンデンサを並列接続した主コンデンサと、 複数のコンデンサを中心軸を中心として概略円周上に配
    置し、該コンデンサを並列接続した入力コンデンサと円
    環状に形成した強磁性体をスペーサを介して積層した鉄
    心の内外周にコイルを巻回した可飽和リアクトルとから
    なる磁気パルス圧縮手段と、 円環状の鉄心の内外周にコイルを巻回したパルストラン
    スとを有し、 主スイッチと磁気アシスト可飽和リアクトルと磁気パル
    ス圧縮手段とパルストランスとの相互間の接続点におい
    て中心軸が概略同一直線上に存在するように配置したこ
    とを特徴とするパルス発生回路。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のパルス発生
    回路において、主スイッチと磁気アシストリアクトルと
    磁気パルス圧縮手段とパルストランスとをタンクに絶縁
    ・冷却媒体と共に封入したことを特徴とするパルス発生
    回路。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のパルス発生回路におい
    て、主スイッチを独立して収納するようにタンク内に隔
    壁を設けたことを特徴とするパルス発生回路。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4記載のパルス発生
    回路において、絶縁・冷却媒体が絶縁油又はパーフロロ
    カーボン又は6弗化硫黄ガスであることを特徴とするパ
    ルス発生回路。
  6. 【請求項6】 請求項3乃至請求項5のいずれかに記載
    のパルス発生回路において、主スイッチを構成する半導
    体スイッチ素子に板状金属の放熱フィンを接触させたこ
    とを特徴とするパルス発生回路。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のパルス発生回路におい
    て、前記放熱フィンは、半導体スイッチ素子と接触する
    平坦な接触面と、前記接触面を囲む少なくとも一つの環
    状溝と、複数の平行直線溝とを有したことを特徴とする
    パルス発生回路。
  8. 【請求項8】 請求項6記載のパルス発生回路におい
    て、前記放熱フィンは、半導体スイッチ素子と接触する
    平坦な接触面と、内部に複数の貫通穴を有したことを特
    徴とするパルス発生回路。
  9. 【請求項9】 請求項6記載のパルス発生回路におい
    て、前記放熱フィンは、一方の面に半導体スイッチ素子
    と接触する平坦な接触面と、他方の面に平行直線溝を有
    する2枚の板状金属の平行直線溝を設けた面同士を張り
    合わせたことを特徴とするパルス発生回路。
  10. 【請求項10】 請求項6乃至請求項9のいずれかに記
    載のパルス発生回路において、前記放熱フィンの形状は
    概略正のn角形(n>5)であることを特徴とするパル
    ス発生回路。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項10のいずれかに記
    載のパルス発生回路において、可飽和リアクトルは、 円筒形の絶縁筒と、この絶縁筒の両端に設けられこの絶
    縁筒を支持する第1の絶縁板と、前記絶縁筒の表面に取
    り付けられた短冊状の第2の絶縁板と、この第2の絶縁
    板に取り付けられた第3の絶縁板と、この第3の絶縁板
    によって間隙を持って配置される複数の円環状鉄心と、 前記複数の円環状鉄心の内側に配置された第1の導電性
    ロッドと前記複数の円環状鉄心の外側に配置された第2
    の導電性ロッドと前記第1の導電性ロッドと前記第2の
    導電性ロッドとを接続する第3の導電性ロッドとからな
    るコイルとからなることを特徴とするパルス発生回路。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項11のいずれかに記
    載のパルス発生回路において、パルストランスは、 円筒形の絶縁筒と、この絶縁筒の両端に設けられこの絶
    縁筒を支持する第1の絶縁板と、前記絶縁筒の表面に取
    り付けられた短冊状の第2の絶縁板と、この第2の絶縁
    板に取り付けられた第3の絶縁板と、この第3の絶縁板
    によって間隙を持って配置される複数の円環状鉄心と、 前記複数の円環状鉄心の内側に配置された第1の導電性
    ロッドと前記複数の円環状鉄心の外側に配置された第2
    の導電性ロッドと前記第1の導電性ロッドと前記第2の
    導電性ロッドとを接続する第3の導電性ロッドとからな
    る1次コイルと、前記複数の円環状鉄心の内側に配置さ
    れた第4の導電性ロッドと前記複数の円環状鉄心の外側
    に配置された第5の導電性ロッドと前記第4の導電性ロ
    ッドと前記第5の導電性ロッドとを接続する第6の導電
    性ロッドとからなる2次コイルとからなることを特徴と
    するパルス発生回路。
  13. 【請求項13】 請求項11記載のパルス発生回路におい
    て、可飽和リアクトルは、円環状鉄心の内側に配置した
    導電性ロッドと絶縁筒との間に間隙を設けたことを特徴
    とするパルス発生回路。
  14. 【請求項14】 請求項12記載のパルス発生回路におい
    て、パルストランスは、円環状鉄心の内側に配置した導
    電性ロッドと絶縁筒との間に間隙を設けたことを特徴と
    するパルス発生回路。
  15. 【請求項15】 請求項11乃至請求項14のいずれかに記
    載のパルス発生回路において、導電性ロッドに絶縁コー
    ティングを施したことを特徴とするパルス発生回路。
  16. 【請求項16】 請求項3乃至請求項15のいずれかに記
    載のパルス発生回路において、少なくとも1つの中心軸
    は水平であることを特徴とするパルス発生回路。
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