JP3534780B2 - 血管塞栓剤 - Google Patents
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Description
使用して動脈瘤や動静脈奇形(AVM)等の血管障害を
治療する際に使用する血管塞栓剤に関するものである。
ルを応用して血管障害治療を行う血管内外科治療が行わ
れている。
なカテーテルを超選択的に脳動脈患部に留置させ、該カ
テーテルにより導入される塞栓物質により異常血流を遮
断して血管の修復を行うもので、脳動脈瘤、動静脈奇形
などの治療を目的としている。脳動脈瘤は、成人100
人に1人が動脈血管内に有する瘤であり、直径約1mm
から約20mmのものまで広い形状分布を持ち、発生部
位も脳動脈の多枝に渡っている。このうち約30%は破
裂せずに経過するが、約70%は破裂をきたし、クモ膜
下出血を起こすといわれている。
た脳血管奇形であり、蛇行、拡張した流入および流出血
管との間の動静脈吻合を有する血管の集積からなってい
る。
質で閉塞し、病変部の血流を止めて患部を固化し、治療
するもので、必要な場合はさらに固化した患部の摘出を
行う。
き、血管壁が薄いため、血流の側圧に対して抵抗が弱
く、また、頭蓋内で血管は複雑に走行し、分岐部にかか
る応力によって障害が生じやすい。このため、種々の塞
栓材が研究されている。
クリレート系の材料が多く用いられてきた(ジャーナル
・オブ・バイオマテリアル・リサーチ(J.Biome
d,Matar.Res.),17,167−177
(1983),エム・シ・ハーパー(M.C.Harp
ers他))。
ル共重合体のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を
閉塞用の材料として用い、血液中でDMSOを拡散さ
せ、エチレン−ビニルアルコール共重合体を析出させて
血管を閉塞することが提案されている(メディカルトリ
ビューン,1989年10月26日,46〜47頁)。
切り離し可能なバルーンをふくらませて動脈瘤を塞ぎ、
バルーンを動脈瘤内に留置する方法もとられている(ジ
ャーナル・オブ・ニューロサージェリー(Journa
l of Neurosurgery),41,125
−145(1974),エフ・エイ・セルビネンコ
(F.A.Serbinenko))。
て、ポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、金属コ
イル、アルコールおよび縫合糸などが治療目的に応じて
利用されてきた。
の従来の塞栓剤では、血管中で急速に固化重合するた
め、塞栓物質の注入が難しく、注入終了と同時にカテー
テルをシースの外まで一気に抜去しなければならず、取
り扱いが困難であり、閉塞状況が不十分でも再注入でき
ない。また、生体への刺激も大きいという問題がある。
ため、臨床応用が限定される場合もあり(第11回日本
バイオマテリアル学会大会予稿集(1989)68,II
−22 岩田博夫ほか)、さらに樹脂製の機器に障害を
与えるなど、望ましい溶媒ではない。
ンと瘤内部との反応が弱いので、瘤内部空腔が充分埋ま
らないで、わずかでも内腔が残った場合再発の危険性が
高い。できるだけバルーンを多く埋めようとすると動脈
瘤の形を変えることになり、動脈瘤破裂の危険がある。
また、バルーンをカテーテルから切り離すときに引っぱ
る力をかけなければならないという問題がある。
も、カテーテルを用いて血管内に注入するさいに抵抗が
生じたりするなど、治療上問題が多い。
を解決し、カテーテル先端において、固まりがある程度
の硬さと弾力性をもち、片端からちぎれて飛び散った
り、血流に振り回されて不必要な個所に移動せず、動脈
瘤壁に付着して、瘤の形をかえずに内腔を埋め、しかも
カテーテルの抜去が容易である血管塞栓剤を提供するこ
とにある。
における塞栓物質に限らず、動静脈奇形などの血管奇
形、動静脈瘤、止血、腫瘍の治療などにおいても好適な
塞栓剤を提供するものである。
シウム塩溶液、アルギン酸塩溶液、トロンビン溶液およ
びフィブリノーゲン溶液からなる血管塞栓剤により解決
される。
塩溶液、アルギン酸塩溶液、トロンビン溶液およびフィ
ブリノーゲン溶液の各溶液を別々に用いても良いが、好
ましくは、水溶性カルシウム塩またはアルギン酸塩のど
ちらか一方を加えたトロンビン溶液(A液)と、該トロ
ンビン溶液(A液)に加えてない水溶性カルシウム塩ま
たはアルギン酸塩のどちらか一方を加えたフィブリノー
ゲン溶液(B液)との2種類の溶液として用いる。
塩溶液、アルギン酸塩溶液、トロンビン溶液およびフィ
ブリノーゲン溶液を4本のカテーテルを用いる等の別々
のルートを通して同時或いは交互に患部に注入すること
によって使用する。
無菌水又は生食に溶かした溶液(A液)と水溶性カルシ
ウム塩とフィブリノーゲンを無菌水又は生食に溶した溶
液(B液)を、2本のカテーテル又はマルチルーメンの
カテーテルを用いる等の別々のルートを通じ、患部に同
時又は交互に注入することによって使用する。
を溶解してA液、アルギン酸塩とフィブリノーゲンを溶
解してB液としても良い。つまり、お互いに混ぜ合わせ
てもゲル化が起きないもの同士を予め混ぜ合わせて用い
ても良く、その方が各溶液を患部に導くためのカテーテ
ルの本数が少なくてでき、作業が容易に行えるからであ
る。
ウム塩としては塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸
カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウ
ムなどの水溶性カルシウム塩を用いるが、この中でも酢
酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウムが
毒性等の点で好ましい。
が好ましく、5mM〜500mMがより好ましい。
は、水溶性のアルギン酸塩であり、アルギン酸のアルカ
リ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる
が、アルギン酸塩のカルシウム塩のようにゲル化を起こ
さない塩であれば特に限定はなく、中でもカチオンの毒
性等の問題でアルギン酸ナトリウムが好ましい。またア
ルギン酸の構造異体であるペクチン酸の塩を使うことも
可能である。
分子量は5000〜100万が好ましく、特に1万〜3
0万がより好ましい。100万以上では溶解した時の粘
度が高くなりすぎ、カテーテルを通して患部への注入が
困難となる。5000以下ではカルシウムイオンとのゲ
ル形成能力が低くなり、塞栓剤としての機能が不十分と
なる。
分子量に影響を受けるため、カテーテルを通すことので
きる粘度範囲で調整することが好ましい。具体的には、
0.1〜15重量%が好ましく、1.0〜3.0重量%
がより好ましい。
u/ml〜200u/mlが好ましく、1u/ml〜2
0u/mlがより好ましい。
〜40重量%が好ましく、5〜20重量%である。
溶液が患部にて等量になるように、症状に合った量を用
いれば良い。
シウムにより、まず急速なゲル化が起き、血管を塞栓す
る。ついで、注入された、トロンビン、フィブリノーゲ
ン、カルシウムイオン及び自己血液中の血液凝固系の活
性化により、より強固な塞栓が完成される。これらの物
は、炎症性がなく、さらには器質化されるため、長期間
の安定性が保持される。
明する。
製300ops)と、ウシトロンビン(シグマ社製)8
0μgを無菌水6.75mlに溶解し、アルギン酸ナト
リウム2.5重量%、トロンビン20u/mlを含有す
るA液を調整した。
社製特級)55.49mgと、ウシフィブリノーゲン
(シグマ社製)0.2gを生理食塩水に溶解し、塩化カ
ルシウム50mM、フィブリノーゲン20重量%を含有
するB液を調整した。
静脈奇形に類似した血管奇網が生理的に存在するので、
ヒトの動静脈奇形(AVM)モデルとして豚の脳底部動
脈を用いて実施例1にて調整した本発明に係わる血管塞
栓剤によるAVM閉塞を試みた。
入し導入麻酔後、アトロピンによる粘液分泌抑制剤を加
え、気管挿管し、ハローセンで維持麻酔した。
枢側を結束し、イントロジューサーを介して末端に向け
てガイドワイヤーを挿入箇所から25〜30cmの位置
に存在する右側脳底部にX線透視で確認しながら挿入
し、さらに当該ガイドワイヤーに沿って当該右側脳底部
にカテーテルを挿入した。
を挿入した。そして、当該2本のカテーテルの開口部が
右側脳底部の血管奇網の直前に位置させた。
したA液送液用、2本目のカテーテルを前記B液送液用
として、両液の総量が患部にて1.5mlとなるよう等
量の両液を約30秒かけて右側脳底部の血管奇網に送液
した。
1本を抜き取り、残りの1本を血管造影剤流入用として
患部に残し、血管造影剤を流入した結果、造影剤の流れ
は正常とは異なり左側頚動脈の圧力に負けるか、一部は
開口部に停まりイレギュラーな消失を示した。
によりAVM閉塞したことが明らかである。この際、
肺、胃への血管塞栓剤の流出は認められなかった。
としての本発明の血管塞栓剤の有効性確認を目的とし
て、兎腸間膜動脈を当該血管塞栓剤で閉塞し、この動脈
の支配する腸管粘膜の壊死状態を誘起しうるか確認し
た。
g/kgをiv.投与で兎を麻酔後、背位固定台に固定
し、腹部を剃毛し正中切開を加え、腹部消化管を生理食
塩水含浸ガーゼ上に広げ、腸間膜動脈が目視できるよう
にした。
ワイヤーを挿入し、右骨動脈分枝部を下行させ腸間膜動
脈分枝部にガイドワイヤーの先端を置き、腹部大動脈下
側部を指にて圧迫止血し、血流にのせガイドワイヤーを
腸間膜動脈分枝部に送り、さらに当該ガイドワイヤーに
沿ってカテーテルを同部位に位置させた。同様の操作を
繰り返し計2本のカテーテルを同部位に位置させた。
したA液送液用、2本目のカテーテルを前記B液送液用
として、両液の総量が患部にて1.5mlとなるよう等
量の両液を約30秒かけて右側脳底部の血管奇網に送液
した。
触し、短時間にゲル化する様子が同視下で確認できた。
後、カテーテルを抜去し血流を再開させたが、当該血栓
部位の血流は見られず、さらに下側腹部大動脈の圧迫止
血後も流れることはなかった。すなわち、本発明に係わ
る血管塞栓剤は、腫瘍周辺の栄養閉塞に十分な能力を示
した。
り患部へ流入することによりアルギン酸とカルシウムに
より、まず急速なゲル化が起き血管を塞栓し、ついで注
入されたトロンビンとフィブリノーゲンにより、より強
固な塞栓が完成されるため優れた血管閉塞作用を有し、
動脈瘤、静脈瘤、止血、腫瘍、血管奇形等の血管の治療
に有効である。
Claims (2)
- 【請求項1】水溶性カルシウム塩溶液、アルギン酸塩溶
液、トロンビン溶液およびフィブリノーゲン溶液からな
り、血管中でゲル化させることを特徴とする血管塞栓
剤。 - 【請求項2】該血管塞栓剤が、水溶性カルシウム塩また
はアルギン酸塩のどちらか一方を加えたトロンビン溶液
と、該トロンビン溶液に加えてない水溶性カルシウム塩
またはアルギン酸塩のどちらか一方を加えたフィブリノ
ーゲン溶液との2種類の溶液からなる請求項1に記載の
血管塞栓剤。
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蛋白質核酸酵素,1986年,Vol.31, No.11,p.1066−1077 |
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