JP3534667B2 - 超音波計測装置 - Google Patents

超音波計測装置

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JP3534667B2 JP32673599A JP32673599A JP3534667B2 JP 3534667 B2 JP3534667 B2 JP 3534667B2 JP 32673599 A JP32673599 A JP 32673599A JP 32673599 A JP32673599 A JP 32673599A JP 3534667 B2 JP3534667 B2 JP 3534667B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を用いて生
体その他の被計測物体内部の状態を計測するための装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】医療分野で利用される超音波診断装置
は、超音波ビームを生体内に送波し、これに対する生体
内からのエコーを検知してこれを画像化する。電子走査
方式などにより断層画像をリアルタイム表示する装置が
広く普及しており、体内の非侵襲的な診断に大きな威力
を発揮している。
【0003】広く普及している超音波診断装置には、B
モードやMモードなどのようにエコーの強さを輝度変調
などで画像化するものと、カラードプラなどのように反
射体の運動によるエコーのドプラシフト成分を画像化す
るものとがあり、これら両者の機能を併せ持つ装置もよ
く用いられている。
【0004】超音波診断装置は、リアルタイム画像の画
質向上や、画像からの血流量の算出その他の応用ソフト
ウエアの開発など、様々な面で進歩しつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、超音波診
断装置の進歩は続いているが、開発の方向性がある程度
定まって来ており技術的に成熟に近づいている面もあ
る。これからの超音波診断装置の発展のためのブレーク
スルーが求められている。
【0006】また、生体の構造や動きなどの性状は、非
常に複雑且つ微妙であり、従来の超音波診断装置でその
ような複雑性が評価・診断の対象として十分に解析され
ていたかどうかには疑問がある。例えば、心臓に軽い異
常が起こった場合の動きの変化などは、リアルタイム画
像で見ていては判断が難しい場合が多く、血流量などの
マクロな計測量で評価しようとしても検出できない場合
もある。そのような複雑微妙な性状を的確に分析できる
計測技術が求められている。
【0007】以上、医療分野で用いられる超音波診断装
置を例にとってその問題を説明したが、機械の動きの挙
動などを超音波で計測する場合も、そのような問題を解
決することには大きな意義がある。
【0008】本発明は、このような見地に立ってなされ
たものであり、超音波を用いた従来にない新たな計測・
解析のための装置を提供することを目的とする。特に、
生体内の部位について十分な長さの信号をもってカオス
解析が行えるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、心臓等の診
断対象を超音波診断装置で診断したときの受信信号に対
しカオス解析手法を適用して解析を行った結果、受信信
号の時系列がカオスであることを発見した。そして、そ
の受信信号のカオス的な特徴、例えばアトラクタや相関
次元(フラクタル次元)、リアプノフ指数などが、診断
対象の状態変化に応じて変化することを確認した。本発
明は、このような知見に基づきなされたものであり、超
音波計測装置で得られた受信信号にカオス解析処理を施
すことにより、診断対象のカオス的な特徴を求め、これ
を診断のための情報として提示する。
【0010】本発明に係る超音波計測装置は、被計測物
としての生体内に超音波パルスを送波し、生体を透過
した超音波又は生体内で反射された超音波を受波する送
受波手段と、前記超音波パルスの送信ごとに前記送受波
手段から出力される受信信号の中から、予め設定された
範囲に対応する部分信号を取り出す部分信号抽出手段
と、前記超音波パルスの送信ごとに取り出された複数の
部分信号を連結して時系列信号を生成する連結手段と、
前記時系列信号に対してカオス解析処理を施すカオス解
析手段と、前記カオス解析手段の解析結果を出力する出
力手段と、を有することを特徴とする。
【0011】カオス解析手段が行うカオス解析処理に
は、例えば信号を相空間に埋め込んでアトラクタを構築
する処理や、そのアトラクタから相関次元(フラクタ
ル)やリアプノフ指数などの特徴量を求める処理などが
ある。解析対象となる送受波手段の受信信号には、例え
ば超音波診断装置の場合の高周波(RF)の受信信号が
ある。この他にもRF受信信号に包絡線検波や直交検波
等の信号処理を施して得た信号や、それら検波結果から
生成した画像の画素値なども、解析対象の受信信号の概
念に含まれる。カオス解析処理の結果は、画面表示その
他の方式で出力され、ユーザに提供される。
【0012】好適な態様では、アトラクタやその特徴量
などの正常値などの参照情報を予め本装置に登録してお
き、実際の計測で得たアトラクタ等をその参照情報と比
較することにより、計測対象の異常判定を行うことがで
きる。
【0013】また、別の好適な態様では、カオス解析処
理を、一定時間間隔ごと等、時間を追って順次行い、そ
の解析結果の経時変化を一覧表示したり、あるいはその
経時変化の特徴を表す評価値(例えば相関次元の変化の
傾きなど)を求めたり、などの経時変化解析を行う。こ
の態様によれば、負荷その他の影響を加えた後の被計測
物体の変化などをカオスの観点から解析することができ
る。なお、解析結果の一覧表示には、例えば各時点での
アトラクタの一覧表示や、各時点での相関次元の値の変
化を表すグラフなどが含まれる。
【0014】また、本発明に係る超音波計測装置は、超
音波パルスを被計測物体としての生体内に送波して生体
内からのエコーを受波する送受波手段と、前記超音波パ
ルスの送信ごとに前記送受波手段から出力された受信信
号に基づき超音波画像を形成する手段と、前記超音波パ
ルスの送信ごとに前記送受波手段から出力された受信信
号の中から、前記超音波画像上において予め設定された
範囲に対応する部分信号を取り出す部分信号抽出手段
と、前記超音波パルスの送信ごとに取り出された複数の
部分信号を連結して時系列信号を生成する連結手段と、
前記時系列信号に対してカオス解析処理を施すカオス解
析手段と、前記カオス解析手段の解析結果を出力する出
力手段と、を有することを特徴とする。
【0015】この構成では、超音波パルスを被計測物体
としての生体内に送波し、そのエコーを検出する。送信
波をパルス波としたことにより、距離分解能が得られ
る。すなわち、被計測物体内の音速(これは被計測物体
の材質から分かる)から、目標とする深さ(送受波手段
からの距離)に超音波が到達し、そこで反射して戻って
くるまでの時間が分かるので、ゲート回路などの信号抽
出手段によりその時間の前後の間だけ受信信号を取り出
すことができる。抽出した所望の深さ範囲の信号に対し
てカオス解析処理を施すことにより、その範囲の診断部
位のカオス特徴を求めることができる。このように、こ
の構成によれば、所望の範囲の部位のカオス特徴を求め
ることができる。なお、この信号抽出の範囲は、最も小
さい場合としては1つの点の場合も考えられる。1パル
ス当たりの信号抽出の範囲が小さい場合には、各パルス
送信毎に得られたその範囲の信号を連結して1つの時系
列信号と捉え、カオス解析処理を適用することもでき
る。これにより、十分な長さの信号に対してカオス解析
を行うことができる。
【0016】この構成の好適な態様は、前記受信信号を
用いて前記被計測物体内各部の超音波反射特性を表す計
測画像を生成して表示する計測画像表示手段と、前記計
測画像に関連付けて前記信号抽出手段の抽出対象の範囲
の指定を受け付けて前記信号抽出手段に設定する範囲設
定手段とを備える。
【0017】超音波反射特性には、反射の強さ(エコー
強度)だけでなく、血流その他の運動体速度によるドプ
ラシフトなども含まれる。この態様では、超音波診断装
置におけるBモード断層像などの計測画像(超音波画
像)上で解析対象としたい部位を指定できるので、解析
したい範囲を的確に指定することができる。
【0018】このようにして指定した範囲についてのカ
オス解析結果を、計測画像の対応位置に重畳表示するこ
とにより、どの部位の解析結果かが一目で理解できる。
【0019】また、信号抽出手段で、複数の範囲につい
ての信号を抽出し、それぞれについてカオス解析を行っ
てその結果を計測画像上に重畳して表示すれば、被計測
物体(生体)各部のカオス特徴の分布が表示できる。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0024】以下、本発明を、医療分野で利用される超
音波診断装置に適用した場合の実施形態を説明する。図
1は、本実施形態の超音波診断装置の構成例を示す機能
ブロック図である。この構成において、プローブ10
は、被検体に対して超音波の送受波を行うための装置で
あり、超音波振動子のアレイを含む。送信ビームフォー
マ12は、プローブ10の各振動子に対してそれぞれ適
切な遅延量を与えた駆動パルスを供給することにより、
プローブ10の振動子アレイから発せられる送信超音波
パルスを指向性のあるビームとする。プローブ10の各
振動子は、この超音波パルスビームに対する被検体内部
からのエコーを受信し、電気的な受信信号に変換する。
各振動子の各受信信号は受信ビームフォーマ14により
整相加算されて、受信ビームに対応する1つの受信信号
となる。制御器50は、超音波診断装置各部を総合的に
制御するためのものであり、送信ビームフォーマ12及
び受信ビームフォーマ14はこの制御器50からの制御
に従って上記の処理を実行する。送信ビームフォーマ1
2及び受信ビームフォーマ14を制御することにより、
送信ビーム及び受信ビームを形成するとともに、これら
ビームを例えば所定の面に沿って2次元的に走査する。
【0025】受信ビームフォーマ14から出力される受
信信号は、包絡線検波器16、直交検波器18及びRF
信号ゲート30に供給される。包絡線検波器16は、受
信信号に対数圧縮を施した上で包絡線検波を行う。包絡
線検波器16の出力は、受信エコーの強度を表し、Bモ
ードやMモード等の表示のための輝度信号として用いら
れる。B・Mモード信号処理回路26は、この輝度信号
に基づき、Bモード断層画像やMモード画像を生成し、
その画像データをDSC(ディジタルスキャンコンバー
タ)34に書き込む。
【0026】直交検波器18は、受信ビームフォーマ1
4から入力された受信信号を2つのミキサに加え、プロ
ーブ10の送信周波数と同じ周波数で位相が互いに90
°異なる2つの参照周波数と混合する。直交検波出力
は、エコーのドプラシフトの情報を含んでいる。カラー
ドプラ信号演算処理部28は、この直交検波出力に対し
てフィルタリングや自己相関演算などの周知のカラード
プラ演算処理を行い、その結果をDSC34に入力す
る。
【0027】直交検波器18の出力は、上記カラードプ
ラ演算処理の他、特定サンプル点の血流スペクトルを得
るためにスペクトルドプラ処理に供される。このスペク
トルドプラ処理では、まず直交検波器18のI,Q出力
はそれぞれサンプルゲート22a、22bを通される。
サンプルゲート22a、22bには、断層像1フレーム
のうちの何番目のビームのどの深さ範囲の信号を抽出す
るかが予め設定されている。サンプルゲート22a、2
2bは、入力される直交検波出力のうち、この設定され
た範囲の信号のみを取り出す。各サンプルゲート22
a、22bのゲート範囲の設定は、ユーザが操作パネル
52から行うことができ、このゲート範囲は制御器50
に設定され、制御器50はその設定に応じてゲート信号
をサンプルゲート22a、22bに供給し、各サンプル
ゲートはそのゲート信号に応じて入力信号をゲートす
る。各サンプルゲート22a、22bで取り出された信
号は、それぞれ帯域通過フィルタ24a、24bに通さ
れ、これにより血管壁などの低速部分の反射信号の成分
が除去される。スペクトルドプラ信号演算処理部32
は、このフィルタ出力に対して高速フーリエ変換を施
し、その周波数分析結果である血流パワースペクトルの
画像をDSC34に書き込む。
【0028】DSC34は、書き込まれたBモード画
像、Mモード画像、カラードプラ画像及びパワースペク
トル画像を、表示装置36の表示走査に同期して読み出
し、D/A変換して表示装置36に供給する。これによ
り、表示装置36に、Bモード断層画像やカラードプラ
画像などの診断画像が表示される。
【0029】以上説明したBモード画像、カラードプラ
画像等の診断画像形成のための構成は、従来周知の一般
的な構成と同様のものを用いることができる。
【0030】次に、本実施形態の特徴であるカオス解析
のための構成について説明する。本実施形態の装置は、
受信ビームフォーマ14から出力される高周波(RF)
の受信信号、B・Mモード画像形成に用いられる輝度信
号、及びスペクトルドプラ処理に用いるドプラ信号に対
してカオス解析処理を行う機能を有している。いずれの
信号に対してカオス解析処理を行うかは、切換器40で
切り換えることができる。どの信号を解析対象とするか
は、例えば解析したい対象部位/組織の特性に応じて選
べばよい。例えば血流についてのカオス解析が行いたい
場合は、ドプラ信号を選択すればよい。同じ部位でも、
用いる信号を切り換えれば、当該部位についての異なっ
た観点からの性状情報が得られる。
【0031】また、本実施形態では、これら解析対象の
信号のうち、所望の部位の信号のみを取り出してカオス
解析を行う機構を備えている。RF信号ゲート30や輝
度信号ゲート20などがそのための機構である。これら
ゲート30及び20には、スペクトルドプラ処理のため
のサンプルゲート22a、22bと同様、断層像1フレ
ームの信号のうち、どのビームのどの深さ範囲の信号を
抽出すべきかが予め設定されている。したがって、RF
信号ゲート30は受信ビームフォーマ14から出力され
たRFの受信信号を、輝度信号ゲート20は包絡線検波
器16から出力された輝度信号を、それぞれゲートし、
予め設定された範囲の信号のみを取り出して後段に出力
する。RF信号ゲート30、輝度信号ゲート20のゲー
ト範囲は、サンプルゲート22a、22bと同様、操作
パネル52からのユーザ入力に応じて制御器50に設定
され、制御器50はこの設定に応じてゲート20又は3
0を制御する。
【0032】このように、予め設定した範囲の信号のみ
を抽出して後段のカオス解析処理に渡す機構を設けたこ
とにより、所望部位のカオス的特徴を求めることができ
る。なお、このようなゲートを設けず、例えば1ビーム
分の信号全体、又は1フレーム(画面)分の信号全体に
対してカオス解析を施すことでも、その範囲全体につい
ての何らかのカオス的特徴を求めることももちろん可能
である。これに加え、本実施形態のようにゲートを設け
てカオス解析対象部位の限定を可能としたことで、その
部位のカオス特徴を弁別してより精密に解析できる。
【0033】以上、RF受信信号及び輝度信号につい
て、所望範囲の信号を取り出すゲートを備えた旨を説明
したが、もう一つのカオス解析対象であるドプラ信号に
ついては、スペクトルドプラ処理のためのサンプルゲー
ト22a、22bで既に所定の範囲の信号が抽出されて
いるので、新たにゲート手段を設ける必要はない。すな
わち、超音波診断装置はスペクトルドプラ処理機能を備
えていることが多く、そのような超音波診断装置であれ
ば、スペクトルドプラ処理のためのゲートをカオス解析
のためのゲートとして兼用することができる。なお、切
換器40には、サンプルゲート22a、22bの出力そ
のものではなく、帯域通過フィルタ24a、24bを通
過した成分のみが入力される。これは、注目する血流に
係る信号成分についてカオス解析を行うためである。な
お、帯域通過フィルタ24a、24bの通過帯域を低い
帯域に切り換えれば、低速な体組織の動きに関するカオ
ス解析も可能である。
【0034】このようにゲート処理により注目範囲のみ
取り出されたRF受信信号、輝度信号、ドプラ信号が入
力された切換器40は、それら3種の信号のうちユーザ
が解析対象に指定した1つを選び、後段のカオス解析機
構に渡す。解析対象信号の指定は操作パネル52から行
われ、その指定内容に応じて制御器50が切換器40の
接続を切り換える。
【0035】切換器40の後段のカオス解析処理機構
は、大きく分けてアトラクタ構築部42と特徴抽出部4
4から構成される。アトラクタ構築部42は、入力され
る信号からアトラクタを構築する。アトラクタは、例え
ば、ターケンス(Takens)の手法を用いて入力信
号を相空間へ埋め込むことにより再構成することができ
る。周知のようにターケンスの手法では、時系列信号x
(t)(tは時間)から、時間遅れτを用いてm個の変
数の組{x(t)、x(t+τ)、x(t+2τ)、
…、x(t+(m−1)τ)}を作り、これをm次元空
間(相空間)にプロットすることによりアトラクタを再
構成する。アトラクタ構築部42は、例えばこのターケ
ンスの手法を用いて、入力される信号時系列をm次元相
空間に埋め込んでいくことによりアトラクタを構築す
る。このようにして構築されたアトラクタは、対象信号
の相空間での軌道(トラジェクトリ)とも言える。
【0036】具体的な信号処理としては、例えば入力さ
れる信号の値を順次メモリに蓄えていき、そのメモリか
ら順次時刻tを変えてτ間隔のm個のデータを並列的に
読み出していく処理方法がある。この方法によれば、メ
モリに蓄えた各時点での信号データからアトラクタを動
的に構築できる。この方式は容易にハードウエアとして
実装可能である。
【0037】なお、ドプラ信号は複素信号(I,Q)な
ので、これからアトラクタを構成する場合は、例えば
I,Qをそれぞれ独立と考えて2m次元の相空間{I
(t),I(t+τ),…I(t+(m−1)τ),Q
(t),Q(t+(m−1)τ)}に埋め込めばよい。
また、I,Qの一方を選んでアトラクタを描かせてもよ
い。
【0038】ターケンスの手法を用いる場合の時間遅れ
τは、有意なトラジェクトリを得るためには適切に定め
なければならない。時間遅れτは、与えられる解析対象
信号の周波数帯域などの信号特性に応じて定めることが
好適である。例えばRF受信信号をカオス解析する場合
には、送信超音波の周波数が信号波形に大きく影響する
ので、適切な時間遅れτは送信超音波の周波数帯域に依
存して決めることも考えられる。ある周波数帯域に対し
て適切な時間遅れτは、予め実験等で求めておき、アト
ラクタ構築部42に設定しておけばよい。また、操作パ
ネル52から時間遅れτの微調整ができるようにしてお
くことも好適である。複数の送信周波数が使用可能な超
音波診断装置の場合、各周波数帯域ごとに適切な時間遅
れτを登録しておき、送信周波数帯域の選択に連動して
時間遅れτが自動的に選択されるようにしておくことも
好適である。輝度信号やドプラ信号をカオス解析する場
合は、それら信号の周波数帯域を求め、その周波数帯域
に応じて時間遅れτを選択するなどの手法が考えられ
る。この場合も、ある周波数帯域に対してどの程度の時
間遅れが適切かは、実験等で定めてその関係を予めアト
ラクタ構築部42に登録しておけばよい。
【0039】本実施形態では、ゲート20、22a、2
2b又は30により、断層画像形成のための多数の走査
線のうちの1本の、しかも特定の深さ範囲の信号のみを
解析対象として抽出しているので、画像1フレームの間
に得られた解析対象の信号(その深さ範囲分の長さしか
ない)だけでは、解析処理に足る長さのアトラクタが得
られない場合も起こりうる。そのような場合は、各フレ
ームごとに抽出された信号を、十分な長さのアトラクタ
が得られる程度まで複数フレームにわたって連結し、そ
の連結した信号からアトラクタを求めればよい。すなわ
ち、この方法では、図2に示すように、順次同じ方向に
送波した各超音波パルスビーム110に対する受信信号
(あるいはその検波結果等)から、ゲート100(上記
輝度信号ゲート20等)により、予め指定された同じ深
さ範囲の信号のみを取りだす。そして、アトラクタ構築
部42でそれらを時間順に繋ぎ合わせて1つの時系列信
号120とみなし、この時系列信号120からアトラク
タを構築する。
【0040】なお、アトラクタの構築手法はターケンス
の方法に限られるものではない。入力信号の性質がよけ
れば、入力信号から1次、2次、…、(m−1)次の微
分を求め、それら各微分値を座標成分として相空間にプ
ロットする方法も可能である。
【0041】アトラクタを構築する際の適切な相空間の
次元mは、診断対象や診断装置の特性に応じて変わる可
能性があるので、予め実験等を行って決めておくことが
望ましい。例えば、後述する人間の心臓を対象とした実
験では、m=10程度で相関次元(フラクタル次元)が
ほぼ収束したとみなしてよいことが確認されたので、そ
の実験に用いた装置では心臓をカオス解析する場合、1
0次元の相空間でアトラクタを構築すればよいことがわ
かる。
【0042】特徴抽出部44は、そのアトラクタの情報
から、アトラクタの相関次元(フラクタル次元)やリア
プノフ指数、ポアンカレ断面、あるいはこのポアンカレ
断面上でのリターンマップなどを求める。これらアトラ
クタの諸特徴は、必ずしもすべてを求める必要はなく、
どれか一つでも有益な情報が得られる場合がある。特に
相関次元やリアプノフ指数は1つの数値となるので扱い
やすい。発明者らは、実験で、心臓の状態の変化に応じ
て相関次元やリアプノフ指数が変化することを確認して
いる。上記諸特徴の求め方自体は、カオスに関する様々
な成書に説明されているので、ここでは説明を省略す
る。特徴抽出部44は、そのような公知のアルゴリズム
を例えばソフトウエア的に実装することにより実現でき
る。
【0043】また、特徴抽出部44は、上記諸特徴の時
間的変化を解析する機能を備える。例えば心臓に運動負
荷をかけた後、平常な状態にもどるまでの間に心臓の状
態は刻々変化するが、発明者らの実験によれば、その変
化が上記相関次元やリアプノフ指数等のカオス諸特徴に
現れることが分かった。例えば、健常者を対象にした運
動負荷実験では、相関次元が運動前の値に向かってほぼ
線形的に回復していくことが確認されている。特徴抽出
部44は、適度な時間間隔ごとに相関次元やリアプノフ
指数を求め、その時間変化をグラフ化したり、あるいは
その変化の傾き(線形変化の場合)等の評価値を求めた
りする。時間変化を表す評価値の一例として変化の「傾
き」を挙げたが、どのような評価値が適切かは診断対象
等の特性によって変わってくる可能性がある。したがっ
て、診断対象ごとに実験を行い、カオス特徴の変化を近
似する関数を求め、その関数を特定するパラメータを評
価値とするなどの処置をとることが望ましい。特徴抽出
部44には、このようにして予め求めた診断対象ごとの
評価値算出アルゴリズムを登録しておき、ユーザが適宜
切り換えて利用できるようにしておけばよい。
【0044】以上の各種特徴のうちどれを求めるかを、
ユーザが操作パネル52等から選択できるようにしてお
くことも好適である。
【0045】なお、特徴抽出部44の処理のためには、
アトラクタは必ずしも陽に求められている必要はない。
すなわち、アトラクタ構築手法の一例として前に挙げた
ターケンスの手法は、信号値の時系列から時間遅れτず
つ異なるm個(m次元の場合)の値を1組としてプロッ
トするというものなので、信号値時系列の情報があれば
動的に作り出すことができる。したがって、特徴抽出部
44で信号値時系列からm個の値の組を逐次読み出しな
がら、上記特徴量を計算するという処理も可能である。
【0046】特徴抽出部44で求められた上記カオス諸
特徴は、表示装置36に表示される。
【0047】表示の形態としては、例えば通常の断層画
像等とは別の表示枠を設けてその中に表示する方式があ
る。ポアンカレ断面やリターンマップ、相関次元の時間
変化のグラフなどについては、この方式が好適であろ
う。相関次元やリアプノフ指数は1つの数値として求め
られるので、そのような数値自体を専用の表示領域に表
示することも可能だが、断層画像上に重畳表示すること
も好適である。すなわち、図1の装置では、ゲート2
0、22a、22b又は30でカオス解析処理の範囲を
限定しているので、断層画像上のその範囲の位置に、そ
の特徴を数値を表示したり、あるいはその特徴の値をカ
ラーや輝度で表示することも好適である。また、アトラ
クタ構築部42で求められたアトラクタそのものを表示
装置36に表示し、診断に供することも好適である。
【0048】次に、図3を参照して、本実施形態の装置
による処理手順の一例を示す。まず、プローブ10を診
断部位に当接し、超音波の送受を行わせ、BモードやM
モード、カラードプラなどの従来からある超音波画像を
表示装置36に表示させる(S10)。カオス解析とい
う目的から見た場合、この超音波画像表示は、カオス解
析対象部位の位置決めを行うために用いる。また、ユー
ザは、操作パネル52にて、解析対象の信号の種類(図
1の例では、RF、輝度又はドプラ)を選択する(S1
2)。この選択に応じて、制御器50は切換器40の接
続を切り換え、選択された種類の信号をアトラクタ構築
部42に入力できる状態とする。
【0049】このS10とS12の処理は、どちらを前
に行ってもよい。
【0050】次に、ユーザは、超音波画像上で、カオス
解析対象の範囲(すなわちゲートによる信号の抽出範
囲)を指定する(S14)。この範囲指定のための操作
手順の一例を図4を用いて説明する。この例では、Bモ
ード(あるいはBモード+カラードプラ)の超音波画像
200が表示装置36の画面に表示されている。ユーザ
は、時々刻々変化するこの画像200を見ながら、カオ
ス解析の対象範囲250を決定し、本装置付属のマウス
やトラックボール等のポインティングデバイス等を用い
て画面上でその範囲を指定する。対象範囲250は、典
型的には、超音波ビームの1本の走査線210に沿った
ある深さからある深さまでの範囲である。したがって、
例えばユーザが超音波画像200上でその範囲の始点と
終点を指定すると、制御器50がその始点、終点に近い
走査線210を選び、その走査線210上で、指定され
た始点、終点に近い点をその対象範囲の始点、終点に選
ぶ。制御器50は、その始点から終点までの範囲が、1
フレームの超音波ビーム走査におけるどの走査線のどの
期間かを求め、これをゲート範囲として記憶する。
【0051】以上、Bモード等の断層画像上でカオス解
析対象範囲を指定する手順の例を説明したが、対象範囲
はMモード画像上で指定することももちろん可能であ
る。B・Mモードが同時表示可能な超音波診断装置の場
合、Mモード画像は既にある1つの走査線を選んでそれ
について形成されているので、Mモード画像上では深さ
範囲を指定すれば、それで走査線及び深さ範囲の両方が
決まる。したがって、例えばBモード断層画像を見なが
らMモード表示の走査線を選び、この走査線に関するM
モード表示を見てカオス解析対象の深さ範囲を絞り込む
という手順も可能である。
【0052】以上の例では、解析対象範囲として1本の
走査線の中のある深さ範囲を選択したが、Mモードと同
様、1本の走査線全体を解析対象範囲と指定することも
可能であり、これによっても有益な診断情報が得られる
ものと期待される。
【0053】S12で解析対象信号の種類が選択され、
S14で解析対象範囲の指定がなされると、制御器50
は、それら選択された信号種類のゲート20、(22
a,22b)、又は30に対して、指定された範囲の信
号を取り出すためのゲート信号を供給し始める。これに
より、選択された信号種類の信号のうち、ゲートで抽出
された部分が順次アトラクタ構築部42に供給され、ア
トラクタが構築される(S16)。そして、特徴抽出部
44がそのアトラクタから相関次元やポアンカレ断面な
どのカオス特徴情報を求め、表示装置36に表示する
(S18)。
【0054】相関次元等の時間変化を解析する場合は、
適当な時間間隔ごとにアトラクタを求め、そのアトラク
タから相関次元等を求めて記憶しておく。そして、所定
時間分の相関次元等の算出結果が蓄積されたところで、
グラフ表示や傾き等の評価値算出を行うようにすればよ
い。
【0055】以上、本実施形態に係る装置及びその装置
を用いた処理手順の一例を説明した。次に本実施形態に
係る装置に関して行った実験の結果を例示する。この実
験では、健常人に所定の運動負荷を与えた後の心臓左心
室の様子をカオス的な観点から解析した。カオス解析の
対象信号としては、超音波診断装置のRF受信信号を用
い、超音波パルスの数回送波分についての受信信号から
1つのアトラクタを構築し、相関次元を求めた。解析に
使用する信号の範囲は、1走査線分全体とした。このア
トラクタ構築及び相関次元算出の処理を、運動負荷前、
運動負荷直後、及びその後3分ごとの各時点でその処理
を行った。
【0056】図5は、各時点での受信信号のトラジェク
トリ(アトラクタ)の様子を示す図である。表示の都合
上、受信信号を3次元相空間に埋め込んだ場合のトラジ
ェクトリを例にとる。この図によれば、運動前のトラジ
ェクトリは、比較的きれいなカオスアトラクタとなって
いるが、運動直後は乱雑さが増しており、以降時間が経
過するにつれて徐々に運動前のトラジェクトリに近いも
の戻っていくのが分かる。
【0057】アトラクタの相関次元Dは、次式に従っ
て求めた。
【0058】
【数1】 ここでRはスケーリングの半径を表し、C(R)は次式
に示す相関積分である。
【0059】
【数2】 ここでσはヘビサイト関数であり、Ndatはm次元相
空間に含まれるアトラクタのデータ点の総数、Nref
は十分大きな参照信号のデータ点の数である。x、x
はアトラクタ上の点である。この計算式自体は公知の
ものであり、詳細についてはカオスに関する成書を参照
されたい。なお、この相関次元の計算方式はあくまで一
例である。
【0060】実験では、1時点の受信信号をm=3〜1
0の各次元の相空間にそれぞれ埋め込んで8個のアトラ
クタを構成し、それら各アトラクタごとに、上記計算式
を用いて相関次元を求めた。図6は、横軸にスケーリン
グ半径R、縦軸に相関積分C(R)をとった両対数グラ
フであり、m=3〜10の各埋め込み次元ごとに、(l
ogR,logC(R))をプロットしたものである。
各次元mごとのグラフ300、310の傾きの極限が、
当該埋め込み次元mでのアトラクタの相関次元Dであ
る。グラフ320は、埋め込み次元mを増やしていった
時のグラフ300等の傾き(すなわち相関次元)の変化
を示す図である。この図から分かるように、左心室に関
する受信信号では、埋め込み次元mが高くなるにつれて
相関次元が急速に収束しており、m=8〜10程度でほ
ぼ一定に近くなっていることが分かる。受信信号の最終
的な相関次元(フラクタル次元)Dは、この収束値で
ある。この結果に基づき、心臓のカオス解析には、埋め
込み次元としてm=10を採用した。
【0061】図7は、各時点での埋め込み次元m=10
におけるアトラクタの相関次元Dの時間変化を表すグ
ラフである。このグラフによれば、運動負荷の終了直後
(時間0)の時点での値を除けば、相関次元Dは、運
動前の値までほぼ直線的に回復していることが分かる。
このグラフの傾きは心臓の負荷後の回復力を示すものと
考えられ、心機能を評価する1つの評価値として利用で
きる。
【0062】図8は、この実験で得られたポアンカレ断
面の一例である。図示の例は、運動負荷終了後12分の
時点のアトラクタをある面で切ったときの、その面上の
アトラクタの点(図上では黒点で示す)を示したポアン
カレ断面である。このようなポアンカレ断面も、診断へ
の利用が期待される。1時点のアトラクタについて異な
る複数の面でのポアンカレ断面を求めて並列表示するこ
とも好適である。また、各時点のアトラクタから同一面
についてのポアンカレ断面を求め、それらを並列表示す
れば、経時変化の分析が可能になると期待される。
【0063】図9は、運動負荷終了後12分のあるポア
ンカレ断面から求めたリターンマップの例である。この
ようなリターンマップから、アトラクタ軌道の遷移のパ
ターンが分かれば、有益な診断情報となると期待され
る。
【0064】以上、実験例を説明した。本実施形態の装
置には、図5に示すようなアトラクタの経時変化や図7
に示すような相関次元の経時変化、あるいはポアンカレ
断面の経時変化などを求めて表示する機能を有する。ま
た、本実施形態の装置は、相関次元の経時変化からその
傾きなどの評価値を求め、表示する機能を有する。この
ような経時変化の解析表示機能は、上述した運動負荷試
験以外にも応用可能である。応用の一例としては、例え
ば投薬効果の診断などが挙げられる。すなわち、薬剤を
投与し始めてから定期的に本実施形態の装置で対象臓器
・組織のカオス特徴(例えば相関次元など)を求め、そ
の特徴の経時的変化を提示するなどである。診断者は、
この変化から投薬効果の度合いを判断したり、いつ頃治
癒するかの予測をしたりすることができる。
【0065】なお、1時点で求めたカオス特徴も、この
ような経時変化と同様診断に有用であることは言うまで
もない。診断者は、アトラクタの形状や相関次元の値な
どから診断対象部位の状態、病変の有無などを判断でき
るであろう。また、多数の健常人についてアトラクタや
相関次元等を調べてその代表値を求めておき、その代表
値を参照情報として本装置に登録しておけば、実際の被
検者のカオス解析結果に異常があるか否かや、異常の程
度を自動判定することも可能である。
【0066】以上、本発明の好適な実施形態を説明し
た。以上説明したように、本実施形態によれば、超音波
を用いて従来にない新たな診断情報を得ることができ
る。例えば心臓を対象に解析を行えば、心臓の性状の違
いをアトラクタの違いや相関次元の値として評価するこ
とが可能になる。
【0067】以上では、カオス解析対象として抽出する
信号部分が1カ所である場合を例にとって説明したが、
1走査線上、あるいは1画像フレーム中の複数の範囲を
ゲートで抽出し、各範囲ごとに並列的に上述のカオス解
析を行うことも可能である。この場合、それら各範囲の
相関次元等を断層画像等に重畳して表示(例えばカラー
表示など)すれば、各部のカオス的な特徴の分布を一目
で把握することが可能となる。
【0068】また以上では、断層画像表示のための超音
波ビーム走査のうちの1つの走査線についての受信信号
を用いてカオス解析を行ったが、断層画像等で解析対象
の範囲を決定したら、その方向にのみ超音波パルスビー
ムを繰り返し送受波するよう、ビーム走査を制御するこ
とも好適である。これによれば、受信信号の時間的連続
性が改善され、より精度の良い解析結果が得られる。
【0069】また以上では、ビームを走査して2次元断
層面を形成するタイプの超音波診断装置の場合の例を説
明したが、本発明の適用はこれに限らない。例えばビー
ムを2方向について走査して3次元情報を得るタイプの
超音波診断装置にも、本発明は適用可能である。また、
ビームを走査せずに1方向にのみ送受波する場合にも本
発明は当然適用可能である。
【0070】また、以上の例では、超音波診断装置のR
F受信信号、またはその検波結果など、受信側に近い段
階の信号に対してカオス解析を行ったが、もっと診断画
像に近い側の信号に対して同様のカオス解析を行うこと
も可能である。例えば、図10に示すように、Bモード
などの断層画像400における同一画素(注目点41
0)の画素値の複数フレームにわたる変化を時系列信号
と捉え、この時系列信号に対して上述のカオス解析を行
うことも考えられる。この場合、原理上は断層画像の各
画素毎にこのような解析が行えるので、各画素毎に相関
次元等のカオス特徴の値を求めることができ、その値の
分布を断層画像に例えばカラーで重畳表示するなどの表
示が行える。
【0071】また、以上の例では、解析用の超音波とし
てパルス波を用いた場合を説明したが、連続波を用いる
ことも考えられる。連続波の場合、パルス波のような距
離分解能は得られないが、超音波伝搬経路全体について
のカオス特徴の解析は可能である。また、以上ではパル
ス波のエコーの受信信号を解析する場合を例にとって説
明したが、このようなエコー(反射波)の受信信号だけ
でなく、被検体内を透過した透過波の受信信号に対して
同様のカオス解析を行うことも可能である。
【0072】また、以上の例では、カオス解析結果を表
示装置に画像表示したが、これを記憶装置に蓄積したり
して後の更なる解析に供することも当然可能である。
【0073】
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被計測物体内に超音波を送波し、これに起因する被計測
物体内からの超音波信号を受波してカオス解析すること
により、従来にない新たな超音波計測/診断のための手
法が得られた。特に、超音波パルスのエコーを用いるこ
とにより、距離分解能が得られ、被計測物体内の特定部
位のカオス的な特徴を求めることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した超音波診断装置の構成例を
示す機能ブロック図である。
【図2】 ゲートを用いたカオス解析対象の時系列信号
の生成を説明するための図である。
【図3】 図1の装置における処理手順の一例を示す図
である。
【図4】 解析対象範囲の指定操作の一例を説明するた
めの図である。
【図5】 運動負荷試験にて左心室のエコー受信信号か
ら得られた各時点のアトラクタの様子を示す図である。
【図6】 相関次元の求め方を説明するための図であ
る。
【図7】 運動負荷後の時間経過による相関次元の変化
を示す図である。
【図8】 ポアンカレ断面の一例を示す図である。
【図9】 リターンマップの一例を示す図である。
【図10】 断層画像の注目画素の画素値の変化をカオ
ス解析対象とする例を説明するための図である。
【符号の説明】
10 プローブ、12 送信ビームフォーマ、14 受
信ビームフォーマ、16 包絡線検波器、18 直交検
波器、20 輝度信号ゲート、22a,22bサンプル
ゲート、24a,24b 帯域通過フィルタ、26 B
・Mモード信号処理回路、28 カラードプラ信号演算
処理部、30 RF信号ゲート、32スペクトルドプラ
信号演算処理部、34 DSC、36 表示装置、40
切換器、42 アトラクタ構築部、44 特徴抽出
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 烈光 東京都三鷹市牟礼6丁目22番1号 アロ カ株式会社内 (72)発明者 伊藤 貴司 東京都三鷹市牟礼6丁目22番1号 アロ カ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−307053(JP,A) 特開 平4−272750(JP,A) 特開 平6−7352(JP,A) 特開 平7−55226(JP,A) 特開 平8−586(JP,A) 特開 平8−632(JP,A) 特開 平8−299469(JP,A) 山家智之 他,健常者における左室収 縮時系列曲線のカオス解析の試み,Jo urnal Cardiology, 1994年,vol.24,469−474 秋山いわき 他,フラクタルによるB モード像の解析と組織診断への可能性, 日本超音波医学会第57回研究発表会講演 論文集,(社)日本超音波医学会,1990 年,345−346 秋山いわき 他,フラクタル次元によ るびまん性肝疾患の鑑別,日本超音波医 学会第58回研究発表会講演論文集, (社)日本超音波医学会,1991年,565 −566 山家智之 他,虚血性心疾患における 左室収縮時系列曲線アトラクターのフラ クタル次元解析,日本超音波医学会第65 回研究発表会講演抄録集,(社)日本超 音波医学会,1995年,168 ヴェルナー・ラウターボーン,音響学 における分岐,数理科学,1994年,N o.372,53−58 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 8/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被計測物体としての生体内に超音波パル
    を送波し、生体を透過した超音波又は生体内で反射さ
    れた超音波を受波する送受波手段と、前記超音波パルスの送信ごとに前記送受波手段から出力
    される受信信号の中から、予め設定された範囲に対応す
    る部分信号を取り出す部分信号抽出手段と、 前記超音波パルスの送信ごとに取り出された複数の部分
    信号を連結して時系列信号を生成する連結手段と、 前記時系列信号に対してカオス解析処理を施すカオス解
    析手段と、 前記カオス解析手段の解析結果を出力する出力手段と、 を有する超音波計測装置。
  2. 【請求項2】 前記カオス解析手段は、前記時系列信号
    からアトラクタを構築するアトラクタ構築手段を含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の超音波計測装置。
  3. 【請求項3】 前記カオス解析手段は、前記アトラクタ
    構築手段で構築されたアトラクタから、前記時系列信号
    のカオス的特徴を表す特徴量を算出する特徴算出手段を
    有することを特徴とする請求項2記載の超音波計測装
    置。
  4. 【請求項4】 前記カオス解析手段の解析結果を前記被
    計測物体としての生体が正常なときの参照解析結果と比
    較し、その比較に基づき前記被計測物体の異常判定を行
    う手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求
    項3までのいずれかに記載の超音波計測装置。
  5. 【請求項5】 前記被計測物体としての生体の経時的変
    化に応じて変化する前記カオス解析手段の各時点での解
    析結果を一覧表示する手段を更に有することを特徴とす
    る請求項1から請求項3までのいずれかに記載の超音波
    計測装置。
  6. 【請求項6】 前記特徴算出手段の特徴量の経時的変化
    を求め、この経時的変化から前記被計測物体としての生
    の評価値を算出する手段を更に有することを特徴とす
    る請求項3記載の超音波計測装置。
  7. 【請求項7】 超音波パルスを被計測物体としての生体
    内に送波して生体内からのエコーを受波する送受波手段
    と、前記超音波パルスの送信ごとに前記送受波手段から出力
    された受信信号に基づき超音波画像を形成する手段と、 前記超音波パルスの送信ごとに 前記送受波手段から出力
    された受信信号の中から、前記超音波画像上において
    め設定された範囲に対応する部分信号を取り出す部分
    号抽出手段と、前記超音波パルスの送信ごとに取り出された複数の部分
    信号を連結して時系列信号を生 成する連結手段と、 前記時系列信号に対してカオス解析処理を施すカオス解
    析手段と、 前記カオス解析手段の解析結果を出力する出力手段と、 を有する超音波計測装置。
  8. 【請求項8】 前記超音波画像上に関連付けて前記部分
    信号抽出手段の抽出対象の範囲の指定を受け付けて前記
    部分信号抽出手段に設定する範囲設定手段を有する請求
    項7に記載の超音波計測装置。
  9. 【請求項9】 前記送受波手段は、超音波パルスのビー
    ムで前記生体内を走査し、 前記範囲設定手段は、前記超音波画像上で指定された前
    記範囲がビーム走査におけるどの走査線のどの深さ範囲
    に対応するかを判定して前記部分信号抽出手段に設定す
    ることを特徴とする請求項8記載の超音波計測装置。
  10. 【請求項10】 前記範囲設定手段は、前記超音波画像
    上において前記部分信号を取り出す複数の範囲の指定を
    受け付けて前記部分信号抽出手段に設定することを特徴
    とする請求項8記載の超音波計測装置。
  11. 【請求項11】 前記カオス解析手段は、前記時系列信
    号からアトラクタを構築するアトラクタ構築手段を含む
    ことを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれ
    かに記載の超音波計測装置。
  12. 【請求項12】 前記カオス解析手段は、前記アトラク
    タ構築手段で構築されたアトラクタから、前記受信信号
    のカオス的特徴を表す特徴量を算出する特徴算出手段を
    有することを特徴とする請求項11記載の超音波計測装
    置。
  13. 【請求項13】 前記カオス解析の対象である受信信号
    として、高周波信号、検波後の輝度信号、又は、ドプラ
    信号を選択する手段を有することを特徴とする請求項7
    記載の超音波計測装置。
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