JP3533901B2 - 抗菌性消臭性組成物 - Google Patents

抗菌性消臭性組成物

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JP3533901B2
JP3533901B2 JP24754597A JP24754597A JP3533901B2 JP 3533901 B2 JP3533901 B2 JP 3533901B2 JP 24754597 A JP24754597 A JP 24754597A JP 24754597 A JP24754597 A JP 24754597A JP 3533901 B2 JP3533901 B2 JP 3533901B2
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calcium phosphate
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒活性を利用し
て消臭、抗菌作用を発揮できる半導体光触媒と非晶質リ
ン酸カルシウムとを複合一体化した複合粒子とバインダ
ーとを含む抗菌性消臭性組成物に関し、特に各種素材に
塗装、印刷、吹き付け等の応用が可能な抗菌性消臭性組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン、酸化亜鉛等に代表される半
導体光触媒は、光触媒活性を示す半導体光触媒として知
られている。この光触媒活性とは、酸化物半導体粒子が
そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光(一般に
紫外線)を吸収して励起され、発生した電子及び正孔が
その粒子表面に吸着している物質と電子授受を行うこと
により、その吸着物質を酸化、あるいは還元して分解す
ることをいう。
【0003】また、このような光触媒活性を利用した応
用例は数多く出願されているが、一般的に使用されるバ
インダーに応用した場合、半導体光触媒を単独で使用し
たのでは光触媒活性による強い酸化作用により半導体光
触媒と接触するバインダーが分解や劣化して変色する場
合があり、工業的用途の使用に耐えることができない。
【0004】これらを解決するために、例えば特開平8
−164334号公報には、0.001〜0.5μmの
平均粒径を持つチタン酸化物と、特殊な加水分解性珪素
化合物の加水分解物、及び溶媒からなり、チタン及び珪
素の重量比を特定の割合とした光触媒用酸化チタン塗膜
成形性組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法では、光触媒用酸化チタン塗膜成形性組成物は特殊
な加水分解性珪素化合物の加水分解物を使用することを
必須とするものであり、このような特殊な加水分解性珪
素化合物の加水分解物を使用して塗膜を成形することは
容易ではない。加えて、このような特殊な加水分解性珪
素化合物の加水分解物を使用する方法は汎用的でもない
ので、製造、加工コストも高くなるという問題点を有し
ていた。本発明は、上記の問題点を解決するためになさ
れたもので、一般的に使用されるバインダーに応用した
場合であっても、光触媒活性による強い酸化作用により
バインダーが分解し、物性低下を招いたり、着色したり
することを抑制し、かつ半導体光触媒の持つ光触媒活性
が発揮でき、さらに、比重が重く分離しやすい酸化チタ
ン等の半導体光触媒が偏分散することがない、すなわち
取り扱いが容易な抗菌性消臭性組成物を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、粒子状半導体
光触媒と粒子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一体化
された多孔質複合粒子とバインダーとを含む抗菌性消臭
性組成物であって、前記複合粒子は粒子状半導体光触媒
が非晶質リン酸カルシウムの粒子のまわりに半導体光触
媒の粒子が固着してなる粒子を複合一体化してなるもの
であることを特徴とする抗菌性消臭性組成物である。
【0007】本発明における半導体光触媒としては、酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムや、CdS、CdS
e、WO3、Fe23、SrTiO3、KNbO等が挙げ
られ、これらを単独で、もしくは2種以上混合して使用
することができる。また、本願の目的達成のために、特
に、半導体光触媒として、その光触媒活性が強いことか
ら酸化チタンが好ましく、このような酸化チタンとして
はアナターゼ型酸化チタンやルチル型酸化チタンのいず
れも好ましく使用できる。
【0008】また、これら半導体光触媒の活性を高める
ために、上記半導体光触媒に、白金、パラジウム、ロジ
ウム、ルテニウム等の金属や、銀、銅、亜鉛等の金属を
胆持させることもできる。この場合、活性度に応じて1
〜20重量%の金属を適時使用することができる。半導
体光触媒は、粒子径が小さい程、すなわちその比表面積
が大きい程、光触媒活性が高くなるため、半導体光触媒
の粒子の平均粒径は、0.001〜1μmであるのが好
ましく、特に0.001〜0.1μmであるのが好まし
い。また、半導体光触媒粒子の粒子径は粒子状非晶質リ
ン酸カルシウムの粒子径よりも小さいことが望ましい。
この理由は定かではないが、光触媒活性による強い酸化
作用により各種の基材が分解し、着色したりすることを
抑制し、かつ半導体光触媒の持つ光触媒活性を発揮でき
るからである。
【0009】本発明で使用する非晶質リン酸カルシウム
(Amorphous Calcium Phosphate :以下、ACPと略す
ことがある。)は、攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液
に、中性又は弱アルカリ性の水溶性高分子分散剤、例え
ば、弱アルカリ性のトリアクリル酸アンモニウム塩等を
添加して混合溶液を得た後、その混合溶液を撹拌しなが
らリン酸水溶液を滴下して、pHを11〜5に調整する
ことにより、大きな比表面積を備えたACPとしてを得
ることができる。特に、攪拌下の水酸化カルシウム懸濁
液に上記した水溶性高分子分散剤を添加してACPを合
成することで、得られたACPを含むスラリー中の粒子
の平均粒径を0.01〜10μmとすることができる。
また、上記した水溶性高分子分散剤の添加量は水酸化カ
ルシウム懸濁液(以下、スラリーと称することがあ
る。)に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.1
〜3重量%に設定することが望ましい。
【0010】また、ACPを合成するに際して、スラリ
ー温度を50℃以下に保つことは、より大きな比表面積
を備えた多孔質のACPを得るために有利である。この
ようにして得られたACP粒子を含むスラリー中では、
ACP粒子は凝集しやすいので、高速攪拌機、より望ま
しくは対流式高速攪拌機を使用して、攪拌することで粒
子状のACPを分散したスラリーを維持することができ
る。なお、本明細書における粒子の粒径は、レーザー回
折法により測定したものである。
【0011】本発明で使用するACPは、焼成していな
いことを特徴とするものであって、焼成しないことによ
り、非常に微細な粒子が得られ、かつ粒子の比表面積を
大きく保つことができ、優れた吸着効果を発揮すること
ができるものである。また、本発明で使用するACP
は、粉末X線解析法による回析パターンから、結晶水を
含むリン酸三カルシウム〔式:Ca3(PO4)2・nH
2O〕であることが分かり、また、そのパターンがブロ
ードであることから、非晶質であることが確認された。
さらに、上記ACP粒子は結晶水を含むことから、静電
気的に活性な物質であると思われ、表面が帯電している
種々の菌体やウイルスや、アルデヒド基、アンモニア基
等を有する異臭物質やSOx,NOx等を吸着し易くな
っているものと想定される。
【0012】なお、上記スラリーに抗菌性金属イオンを
添加し、その抗菌性金属イオンをACP粒子に吸着させ
て、得られる多孔質粒子に抗菌性を付与してもよい。こ
のような抗菌性金属イオンとしては、金、銀、亜鉛、
銅、錫、鉛、砒素、白金、鉄、アンチモン、ニッケル、
アルミニウム、バリウム、カドミウム、マンガンなどの
イオンが挙げられ、それらを単独で使用してもよいし、
それらの混合物、金属化合物、あるいはそれらの水溶液
を使用してもよい。
【0013】上記スラリー中に、スラリーに対して50
重量%以下となるように抗菌性金属粉末、抗菌性金属化
合物、あるいはそれらの水溶液を混合することにより、
抗菌性金属イオンを吸着した非晶質リン酸カルシウム
は、本発明の非晶質リン酸カルシウムとしての好ましい
態様の一つである。抗菌性金属粉末、抗菌性金属化合物
粉末の粒径は、反応性を高めるために10μm以下であ
るのが望ましい。また、スラリーと、抗菌性金属粉末、
抗菌性金属化合物粉末あるいは抗菌性金属水溶液とは室
温中、アルカリ性の下で混合するのが望ましい。
【0014】また、本発明で使用するACPと半導体光
触媒とが複合一体化した多孔質複合粒子を製造するため
に、粒子状半導体光触媒の粒子径が粒子状非晶質リン酸
カルシウムの粒子径よりも小さくすることが望ましい。
具体的には、所定の粒子径のACP粒子を含むスラリー
にACP粒子の粒子径よりも小さい粒子径を有する半導
体光触媒を添加するが、このACPと半導体光触媒とを
含む混合スラリーは、高速攪拌機、より望ましくは対流
式高速攪拌機を使用して、攪拌することによって、さら
に、この混合スラリーには上記した水溶性高分子分散剤
が含まれていることによって、それぞれの粒子の凝集を
抑制した混合スラリーとすることができる。このような
それぞれの粒子の凝集を抑制した混合スラリーを、例え
ば、噴霧乾燥造粒法等の方法によって、造粒乾燥するこ
とで、非晶質リン酸カルシウムの粒子のまわりに半導体
光触媒の粒子が固着されてなる粒子を複合一体化した
孔質複合粒子を得ることができる。また、得られた多孔
複合粒子は一般的に使用されるバインダーに応用した
場合であっても、光触媒活性による強い酸化作用により
バインダーが分解し、物性低下を招いたり、着色したり
することを抑制し、かつ半導体光触媒の持つ光触媒活性
を発揮することができる。
【0015】また、混合スラリー中のACPと半導体光
触媒とを合計した含有量は、1〜90重量%となるよう
に調整するのが好ましく、特に5〜50重量%となるよ
うに調整するのが好ましい。スラリーにおけるACPと
半導体光触媒とを合計した含量が90重量%を越える
と、スラリーの粘度が高くなり、非晶質リン酸カルシウ
ムの粒子のまわりに半導体光触媒の粒子を固着した多孔
複合粒子を造粒するのに不適となるからである。ま
た、スラリー中のACPと半導体光触媒とを合計した含
有量を1〜90重量%の範囲で変化させることにより、
所望の平均粒径を有するACPと半導体光触媒とが複合
一体化した多孔質複合粒子を製造することができるが、
異臭物質や菌等の吸着分解を促進するために、複合粒子
の比表面積は10m2/g以上の多孔質体とするこの
点から多孔質複合粒子の平均粒子径は0.1〜200μ
mであることが好ましい。
【0016】本発明で使用する半導体光触媒とACPと
が複合一体化した多孔質複合粒子は、半導体光触媒が3
0〜95重量%とACPが5〜70重量%含まれた構成
であることが好ましく、さらには半導体光触媒が50〜
95重量%とACPが5〜50重量%含まれた構成であ
ることが好ましい。この理由は、多孔質複合粒子中の半
導体光触媒の割合が95重量%を越えると光触媒活性に
よる強い酸化作用によりバインダーが分解し易くなるか
らであり、また、半導体光触媒の割合が30重量%未満
では充分な半導体光触媒の持つ光触媒活性が期待できな
くなる場合があるからである。
【0017】上記のACPと半導体光触媒の粒子の凝集
を抑制した混合スラリーを造粒乾燥して、本発明で使用
する多孔質複合粒子を得ることができるが、このような
造粒乾燥法としては、上記した噴霧乾燥造粒法や、その
他ではフリーズドライ後に粉砕してなる造粒法、高速攪
拌型造粒法などを用いることができる。特に、噴霧乾燥
造粒法が好ましく、この理由は、ACPと半導体光触媒
の粒子を複合一体化した複合粒子の比表面積を10m2
/g以上の多孔質体とすることが容易にできるからであ
る。このような、複合粒子の比表面積を10m2/g以
上の多孔質体としたものは、種々の菌体やウイルスや、
アルデヒド基、アンモニア基等を有する異臭物質やSO
x,NOx等を吸着する能力が高く、最も優れた態様の
一つである。
【0018】また、本発明の抗菌性消臭性組成物は、粒
子状半導体光触媒と粒子状非晶質リン酸カルシウムとが
複合一体化された多孔質複合粒子とバインダーとからな
る。本発明でいうバインダーとは粒子状半導体光触媒と
粒子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一体化された
孔質複合粒子と共に成形材料又は被膜形成材料を構成す
るものである。通常成形材料又は被膜形成材料として用
いられるものであれば特に限定されない。具体的には、
合成樹脂や天然樹脂等の有機系の樹脂や、無機物等が挙
げられる。本発明の抗菌性組成物を被膜形成材料として
使用する場合、バインダーとは、固化又は硬化して塗膜
を形成する部分である。
【0019】上記合成樹脂としては、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリス
チレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、シリ
コーン樹脂、塗料として通常用いられる溶媒乾燥型の樹
脂、各種硬化性樹脂等が挙げられる。
【0020】上記硬化性樹脂としては、熱硬化型、光硬
化型、電子線硬化型等の樹脂が挙げられ、塗料として通
常用いられるものであれば特に限定されない。塗膜に耐
薬品性や表面硬度が求められる場合、多官能(メタ)ア
クリレート化合物や不飽和ポリエステル樹脂を光又は熱
によって重合させることが好ましい。使用される例を以
下に挙げる。
【0021】多官能(メタ)アクリレート系化合物とし
ては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロ
キシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス
[4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパ
ン、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、
1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロ
ピル)−ヘキシルエーテル等の2官能(メタ)アクリレ
ートが挙げられ、これらは塗料の粘度調整にも使用され
る。
【0022】また、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、
トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エ
ステル(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリ
レート、その他ペンタエリスリトールテトラ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールにε−カプロラク
トンを付加したポリオールに(メタ)アクリル酸を反応
させたカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(DPCAシリーズ:日本化薬)、1,
1,3,3,5,5−ヘキサ((メタ)アクリロイルア
ルキレンジオキシ)シクロトリホスファゼン等の4官能
以上の(メタ)アクリレートは表面硬度を向上するのに
好適に使用される。
【0023】さらに、アクリルモノマーの分子内にウレ
タン結合を有するアクリル系ウレタンオリゴマーを用い
ると得られる塗膜の耐摩耗性は更に向上する。このよう
な分子末端にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有
するウレタンオリゴマーの調整は、一例として1分子内
に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、活性
水素を有するアクリレート又はメタクリレートを作用さ
せて行うことができる。1分子中に2個以上のイソシア
ネートを有する化合物としては、m−フェニレンジイソ
シアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トルエ
ン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジ
イソシアネート、トルエン−2,5−ジイソシアネー
ト、トルエン−3,5−ジイソシアネート、m−キシリ
レンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキ
サメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4′−ジイソシアネート−3,3′−ジメチルビフ
ェニル、4,4′−ジイソシアネート−3,3′−ジメ
チルビフェニルメタン等が挙げられる。
【0024】活性水素含有のアクリレート又はメタクリ
レートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス
(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキ
シルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アク
リレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシ
アヌル酸エステル(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リル酸等が挙げられる。
【0025】不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解
して得られる通常の不飽和ポリエステル樹脂を用いるこ
とができる。なお、上記不飽和ポリエステルは不飽和多
塩基酸又はその無水物と多価アルコールを反応させる公
知の方法により得られる。
【0026】上記不飽和多塩基酸又はその無水物として
は、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、カービック酸、無水カービック酸等が挙げられる。
必要に応じて無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、モノクロルフタル酸、アジピン酸、コハク酸、セバ
チン酸等の飽和多塩基酸を添加しても良い。また、耐熱
水性を必要とする浴槽等を成形する場合には、イソフタ
ル酸系不飽和ポリエステル樹脂、水添ビスフェノール系
不飽和ポリエステル樹脂又はビスフェノールA系不飽和
ポリエステル樹脂等が好適に使用される。
【0027】上記多価アルコール成分としては、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素
化ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサ
イド付加物等のグリコール類や、ペンタエリスリトー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上
のアルコール等が挙げられる。
【0028】上記不飽和ポリエステルは、分子内に二重
結合を含有する重合性単量体に溶解させて用いられる。
上記重合体単量体としては、スチレン、ビニルトルエ
ン、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル等が好適に使用される。また、上記2
官能以上の(メタ)アクリレート系化合物が使用されて
もよい。粘度の高い該2官能以上の(メタ)アクリレー
ト系化合物の場合は、通常低粘度の上記重合性単量体と
同時に使用される。
【0029】これらの合成樹脂等を使用する場合、必要
に応じて次のような重合開始剤を添加することができ
る。重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤
等が使用される。以下にこの例を挙げる。光重合開始剤
は、例えば、ソジウムメチルジチオカーバメイトサルフ
ァイド、ジフェニルモノサルファイド、ジベンゾチアゾ
イルモノサルファイド、ジサルファイド等のサルファイ
ド類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2
−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサン
トン等のチオキサントン誘導体;ヒドラゾン、アゾビス
イソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゼンジアゾニ
ウム塩等のジアゾ化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチ
ルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノ
ン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、
ベンジルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノ
ン、2−アミノアントラキノン、2−アロロアントラキ
ノン等の芳香族カルボニル化合物;p−ジメチルアミノ
安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、
p−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、p−ジエチルアミ
ノ安息香酸イソプロピル等のジアルキルアミノ安息香酸
エステル;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、キュメンハ
イドロパーオキサイド等の過酸化物;9−フェニルアク
リジン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9−ア
セチルアミノアクリジン、ベンズアクリジン等のアクリ
ジン誘導体;9,10−ジメチルベンズフェナジン、9
−メチルベンズフェナジン、10−メトキシンズフェナ
ジン等のフェナジン誘導体;6,4′,4″−トリメト
キシ−2,3−ジフェニルキノキサリン等のキノキサリ
ン誘導体;2,4,5−トリフェニルイミダゾイル二量
体、2−ニトロフルオレン、2,4,6−トリフェニル
ピリリウム四フッ化ホウ素塩、2,4,6−トリス(ト
リクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、3,3′
−カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケトン等であ
る。
【0030】上記光重合開始剤には、酸素阻害による感
度の低下を防止するためにアミン化合物を共存させても
よい。上記アミン化合物としては、脂肪族アミン、芳香
族アミン等の不揮発性のものであれば特に限定されな
い。
【0031】熱重合開始剤としては、例えば、メチルエ
チルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオ
キサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリ
ルなどのアゾ化合物等である。上記熱重合開始剤と同時
に、硬化促進剤としてナフテン酸コバルト、オクテン酸
コバルト、ナフテン酸マンガン等の金属石鹸類、ジメチ
ルアニリン等の芳香族第三級アミン類、ジメチルベンジ
ルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類
等を使用してもよい。
【0032】本発明の抗菌性消臭性組成物を塗料として
使用する場合、バインダーとは別に有機溶剤を使用する
ことができる。上記有機溶剤は特に限定されないが、沸
点の低いもの及び揮発性の強いものは、施工中に蒸発に
より粘度が変化する問題があり、高沸点のものは乾燥工
程に時間を要することになる。そのため沸点70〜16
0℃程度の溶剤が好ましい。上記有機溶剤として、シク
ロヘキサノン、エチレングリコールモノメチルエーテル
(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチル
エーテル(エチルセロソルブ)、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、酢酸ブチル、イソプロピルアセト
ン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アニソ
ール等が挙げられる。
【0033】本発明の抗菌性消臭性組成物には、公知の
酸化防止剤および重合禁止剤を用いることができる。酸
化防止剤としては、フェノール系抗酸化剤、リン系酸化
防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。重合禁止
剤としては、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール等
が挙げられる。
【0034】本発明で使用するバインダーとしては、上
記の他に無機物も使用できる。このような無機物として
は、セメント、金属、ゾル−ゲル法の生成物等が挙げら
れる。セメントとしては、ポルトランドセメント、マグ
ネシアセメント、白色セメント、アルミナセメント、シ
リカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント
等が挙げられる。
【0035】上記のバインダーへの粒子状半導体光触媒
と粒子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一体化された
複合粒子の添加量は、バインダー100重量部に対して
1〜1000重量部に限定される。1重量部未満である
と、抗菌性・消臭性が充分でなく、1000重量部を超
えると、バインダーの表面状態が悪くなったり強度が低
下する場合がある。より好ましくは2〜500重量部で
ある。バインダーに添加又はドライブレンドを行って成
形体を得る場合は、成形体の強度や作業性の点から、添
加量は100重量部以下であることが好ましい。
【0036】本発明の抗菌性消臭性組成物には、上記成
分以外に、一般に使用される着色剤、表面改質剤、充填
剤、可塑剤、展着剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を
使用することができる。また、粒子状半導体光触媒と粒
子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一体化された複合
粒子の分散性を向上させるために以下のような分散剤を
使用してもよい。
【0037】分散剤としては、シランカップリング剤、
チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング
剤、ジルコネートカップリング剤、界面活性剤、有機酸
等が挙げられる。これらの分散助剤の例として下記のよ
うなものを挙げることができる。
【0038】シランカップリング剤としては、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプ
ロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、ポリエチレンオキサイド変性シランモノマー、ポ
リメチルエトキシシロキサン、ヘキサメチルジシラザン
等が挙げられる。
【0039】チタネートカップリング剤としては、イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソ
プロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、
テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタ
ネート、テトラ(2,2′−ジアリルオキシメチル−1
−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネ
ート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタ
ネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシ
アセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフ
ェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタ
ノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステ
アロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジ
アクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホ
スフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェ
ニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル
−アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
【0040】アルミネートカップリング剤としては、ア
セトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アセ
トアルコキシアルミニウムジイソブチレート等が挙げら
れ、ジルコネートカップリング剤としては、ネオペンチ
ル(ジアリル)オキシ基と反応性官能基を有するジルコ
ネート化合物等(ノオペンチル(ジアリル)オキシトリ
ネオデカノイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリ
ル)オキシトリ(ジオクチル)フォスファートジルコネ
ート等)が挙げられる。
【0041】また、界面活性剤としては、陰イオン系と
してジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナ
フタレンスルホン酸ナトリウム、陽イオン系としてステ
アリルトリメチルアンモニウムクロライド、エステル系
としてソルビタンモノステアレート等が挙げられ、有機
酸としては、オレイン酸、酢酸、(メタ)アクリル酸等
が挙げられる。
【0042】本発明の抗菌性消臭性組成物を製造するに
あたっては、通常使用されるバインダーの製造方法が適
用できる。バインダーが熱可塑性樹脂の場合、直接、射
出成型機、押出成型機等によって成形することによって
成形体とすることができる。また、高濃度の半導体光触
媒とACPとが複合一体化した複合粒子を含有する抗菌
性消臭性組成物をマスターバッチとして使用してもよ
い。
【0043】また、本発明の抗菌性消臭性組成物は被膜
形成材料として使用することができる。成形体、プレー
ト等の表面に塗膜又は被膜を形成することにより、非常
に少ない量の粒子状半導体光触媒と粒子状非晶質リン酸
カルシウムとが複合一体化された複合粒子により上記成
形体と同等の抗菌、消臭性能を発現することが可能であ
る。上記被膜形成材料としての塗料は、上記複合粒子、
硬化性樹脂に必要に応じて重合開始剤等の添加剤および
溶媒を加え、混合して調製される。
【0044】上記混合には、上記複合粒子を塗料中に充
分分散させるために塗料の分散や配合に通常用いられる
機器が使用される。サンドミル、ボールミル、アトライ
ター、ビーズミル、高速回転攪拌装置、三本ロール等が
挙げられる。このようにして調製された塗料は、スプレ
ー法、バーコート法、ドクターブレード法、ロールコー
ト法等の一般的な塗布方法により各種素材や成形体表面
に塗布される。
【0045】使用される素材としては、スチレン系樹
脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリ
カーボネート、ポリメチルメタクリレート(アクリル樹
脂)、ABS樹脂、ポリイミド、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルケトン等のプラスチック板、プラスチ
ックフィルムやガラス等の無機物質が挙げられ、室内
外、窓部や水槽の内面等に使用される。
【0046】また、各種建築材料に使用することで天井
・壁等の抗菌処理を行うことができる。必要に応じて熱
硬化型樹脂繊維状補強材よりなる補強層と共に、ハンド
レイアップ法、スプレーアップ法、圧縮成形法等の一般
的なゲルコート形成方法によりFRP成形体や人造大理
石の製造に利用される。また、成形体表面のコーティン
グやプレス成形される成形体の表面に積層した後にプレ
スを行い硬化させて用いることができ、浴槽、キッチン
カウンター、壁材等の抗菌防カビを目的として使用され
る。FRP成形体以外にも人工大理石の表面等に同様の
目的で使用される。
【0047】上述してきたように、本発明の抗菌性消臭
性組成物に使用する複合粒子は、半導体光触媒とACP
とが複合一体化した複合粒子であるので、一般的に使用
されるバインダーに応用しても、光触媒活性による強い
酸化作用によりバインダーが分解し、物性低下を招いた
り、着色したりすることがなく、上述したような半導体
光触媒の持つ光触媒活性が発揮できるので消臭、抗菌等
の効果を発揮することができる。また、半導体光触媒粒
子とACP粒子とをブレンドした場合と比較して、比重
が重い半導体光触媒が偏分散することがなく、取り扱い
も容易な抗菌性消臭性組成物である。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によって詳
細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。 (製造例1)本発明で使用する粒子状半導体光触媒と粒
子状非晶質リン酸カルシウムとが複合一体化された複合
粒を次にようにして製造した。なお、この複合粒子の製
造に用いた装置を図1に概略的に示す。図1において、
9はエアフィルター、10は電気ヒータであり、エアフ
ィルター9を通り電気ヒータ10によって加温された熱
空気は、熱ガス室11からスプレードライヤー5内に入
り、スプレードライヤー5のアトマイザー6により噴霧
されるスラリー3を乾燥造粒しつつ、排出孔12からサ
イクロン8に向けて流出するようになっている。
【0049】攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液に対し、
水溶性高分子分散剤として弱アルカリ性のトリアクリル
酸アンモニウム塩を0.5重量%添加して、混合溶液を
得た。得られた混合溶液を対流式高速攪拌機を使用して
攪拌しながら、リン酸水溶液を滴下し、pHを10に調
整することにより、平均粒子径約0.1μmのACP粒
子を含むスラリーを得た。得られたスラリーを引き続き
対流式高速攪拌機を使用して攪拌しながら、イオン交換
水に平均粒子径約0.007μmの酸化チタン(石原産
業株式会社製、商標名:ST−01)を対流式高速攪拌
機を使用して攪拌分散した溶液を加え、酸化チタンとA
CPとの割合が重量比で50:50となる混合スラリー
を得た。
【0050】得られた酸化チタン粒子1とACP粒子2
を含む混合スラリー3を対流式高速攪拌機を使用して、
さらに15分間攪拌し、この混合スラリー3を定量ポン
プ4によりスプレードライヤー(大川原化工機械社製L
−8)5のアトマイザー6に供給した。そのアトマイザ
ー6を高速回転させて、スプレードライヤー5内の乾燥
用の熱空気流中に上記混合スラリー3を噴霧し、噴霧造
粒乾燥法により造粒乾燥した。この造粒乾燥によって、
複合粒子7を得た。得られた複合粒子は球状であり、平
均粒子径は10μmであった。比表面積をBET法によ
り測定したところ、比表面積は80m2/gであった。
【0051】この複合粒子は、図2に示す電子顕微鏡写
真からも明らかなように、非晶質リン酸カルシウムの粒
子のまわりに酸化チタンの粒子が固着された複合粒子で
あることが確認された。また、後述する樹脂の劣化テス
トのために、低密度ポリエチレンに混合・混練し、イン
フレーション加工した後にも、本願発明の複合粒子は、
酸化チタンの粒子が非晶質リン酸カルシウムの粒子のま
わりから離脱せず、非晶質リン酸カルシウムの粒子のま
わりに酸化チタンの粒子が固着していることが確認され
た。
【0052】また、電子顕微鏡写真における酸化チタン
の粒子と非晶質リン酸カルシウムの粒子とを明確にする
ために、図3には酸化チタンの2次凝集粒子の写真を示
し、さらに、図4には非晶質リン酸カルシウムの2次凝
集粒子の写真を示した。図3の電子顕微鏡写真からは、
球状の酸化チタンの2次凝集粒子が観察される。また、
図4の電子顕微鏡写真からは、略棒形状の非晶質リン酸
カルシウムが凝集した粒子が観察される。
【0053】なお、上記造粒における操作条件は次の通
りであった。定量ポンプ4による混合物スラリー3の供
給量は1〜3kg/hであり、エアフィルター9を介し
て電気ヒーター10によって加温された熱空気の温度
は、熱ガス室11の入口温度が150〜250℃に、サ
イクロン8に繁がる排出孔12における出口温度が80
℃を常に超えるように制御され、また、アトマイザー6
の回転数は10000〜37000rpmの範囲内に設
定した。
【0054】(製造例2)攪拌下の水酸化カルシウム懸
濁液に対し、水溶性高分子分散剤として弱アルカリ性の
トリアクリル酸アンモニウム塩を0.5重量%添加し
て、混合溶液を得た。得られた混合溶液を攪拌しなが
ら、リン酸水溶液を滴下し、pHを10に調整すること
により、平均粒子径約0.1μmのACP粒子を含むス
ラリーを得た。得られたスラリーを製造例1と同じスプ
レードライヤーを使用して、非晶質リン酸カルシウムの
粒子を得た。得られたACP粒子は平均粒子径が12μ
mで、比表面積をBET法により測定したところ、比表
面積は70m2/gであった。得られたACP粒子と実
施例1で使用したものと同じ酸化チタンとを重量比で5
0:50の比率で混合してACP粒子と酸化チタンとの
ブレンド粒子を得た。
【0055】(実施例1)製造例1で得た複合粒子を使
用して以下の方法で塗膜を作成した。具体的にはポリエ
ステル樹脂プレートにテフロンコートした基材に、下記
の組成の処理液をドクターブレード法により厚み約20
μmに塗布して、次いで80℃にて約1時間乾燥した。
処理液組成は、ポリカーボネート系樹脂エマルジョン
(三洋化成工業(株)製、商標名:バーマリンUA−3
10)100gに対して、製造例1で得た複合粒子を2
0gと水20gを加えて攪拌して得た処理液を使用し
た。
【0056】(実施例2)製造例1で得た複合粒子を使
用して、処理液組成をアクリル−シリコン樹脂エマルジ
ョン(三洋化成工業(株)製、商標名:サンモールSW
−131)100gに対して、製造例1で得た複合粒子
を20gと水20gとした以外は実施例1と同様の方法
で塗膜を作成した。
【0057】(比較例1)実施例1で使用した複合粒子
を製造例2で得たACP粒子と酸化チタンとのブレンド
粒子とした以外は実施例1と同様にして塗膜を作成し
た。
【0058】(比較例2)実施例1で使用した複合粒子
を実施例1で使用したものと同じ酸化チタン10gとし
た以外は実施例1と同様にして塗膜を作成した。
【0059】(比較例3)実施例2で使用した複合粒子
を製造例2で得たACP粒子と酸化チタンとのブレンド
粒子とした以外は実施例1と同様にして塗膜を作成し
た。
【0060】(比較例4)実施例2で使用した複合粒子
を実施例1で使用したものと同じ酸化チタン10gとし
た以外は実施例1と同様にして塗膜を作成した。
【0061】(塗膜の劣化テスト)実施例1,2及び比
較例1〜4によって得られた塗膜を炎天下、気温約31
℃にて放置して暴露試験を実施し、塗膜の劣化状況を観
察した。結果として、実施例1,2の塗膜ではほとんど
変色がなく、劣化が認められなかった。これに対して、
比較例1、3では塗膜が部分的に黄変し劣化が認められ
た。これは、酸化チタンが編分散したものと推測され
る。また、比較例2、4では塗膜が全体に黄変し、塗膜
の劣化が観察された。
【0062】次に、実施例1によって得られた塗膜を使
用して抗菌性テストを実施した。 (抗菌性テスト方法)実施例1によって得られた塗膜
(厚み約20μm)を30×40mmに切り出し、減菌
水70mlを入れた200ml三角フラスコに入れ、予
め調整した菌液を加え、25℃で120rpmで振とう
し生菌数を測定した。なお、菌液としては、大腸菌K1
2株(IFO N3301)を使用し、紫外線は0.5
mW/cm2のブラックライトを使用して照射した。そ
の結果を表1に示す。なお、コントロールは上記の塗膜
を加えなかったものである。
【0063】
【表1】
【0064】次に、実施例1によって得られた塗膜を使
用してアンモニアガス吸着分解テストを実施した。 (アンモニアガス吸着分解テスト方法)実施例1によっ
て得られた塗膜(厚み約20μm)を70×150mm
に切り出し、3リットルのテドラーバックに入れて密封
した。その後、下記のアンモニアガスを充填し、経過時
間毎に、試験ガスの残存濃度を測定した。また、アンモ
ニアガスの充填は最初の充填を0分時とし、さらに10
分後、20分後にも0分時に充填したのと同じ濃度のア
ンモニアガスを追加してテストを行った。なお、上記の
テストは、それぞれの評価用試料に460μW/cm2
のブラックライトを使用して紫外線照射下にて実施し
た。 試験ガス:アンモニアガス濃度30ppm(N2バラン
ス) 試験温度:室温 検定方法:ガステック製アンモニアガス検知管(No3
L) 結果は、アンモニアガスを人間がその臭いを感じない濃
度である閾値(アンモニアでは4ppm)以下に吸着分
解することができ、さらに10分後、20分後に追加し
て行ったテスト結果も同様であり、アンモニアガスを吸
着分解することが確認できた。
【0065】
【発明の効果】本発明の粒子状半導体光触媒と粒子状非
晶質リン酸カルシウムとが複合一体化された複合粒子と
バインダーとを含む抗菌性消臭性組成物は、一般的に使
用されるバインダーに応用した場合であっても、光触媒
活性による強い酸化作用によりバインダーが分解し、物
性低下を招いたり、着色したりすることを抑制し、かつ
半導体光触媒の持つ光触媒活性が発揮できる。また、非
晶質リン酸カルシウムの粒子の粒子と複合一体化してあ
るので、この非晶質リン酸カルシウム粒子が種々の菌体
やウイルスや、アルデヒド基、アンモニア基等を有する
異臭物質やSOx,NOx等を吸着し、これを効果的に
半導体光触媒が分解するという相乗効果を期待すること
ができるので、優れた抗菌性と消臭性とを有する塗膜や
成形体を得ることができる。さらに、比重が重く分離し
やすい酸化チタン等の半導体光触媒が偏分散することが
ないので、取り扱いが容易な抗菌性消臭性組成物であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合粒子の製造に用いた装置の概略構成図であ
る。
【図2】実施例1で得られた複合粒子の電子顕微鏡写真
(100,000倍)。
【図3】酸化チタンの粒子の電子顕微鏡写真(100,000
倍)。
【図4】非晶質リン酸カルシウムの粒子の電子顕微鏡写
真(100,000倍)。
【符号の説明】
1…酸化チタン粒子 2…ACP粒子 3…混合スラリー 4…定量ポンプ 5…スプレードライヤー 6…アトマイザー 7…ACP多孔質粒子 8…サイクロン 9…エアフィルター 10…電気ヒータ 11…熱ガス室 12…排出孔
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−60132(JP,A) 特開 平7−80474(JP,A) 特開 平7−99948(JP,A) 特開 平7−155586(JP,A) 特開 平9−239277(JP,A) 特開 平10−5598(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 38/74 JSTPlus(JOIS) CAplus(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子状半導体光触媒と粒子状非晶質リン
    酸カルシウムとが複合一体化された多孔質複合粒子とバ
    インダーとを含む抗菌性消臭性組成物であって、前記複
    合粒子は粒子状半導体光触媒が非晶質リン酸カルシウム
    の粒子のまわりに半導体光触媒の粒子が固着してなる粒
    子を複合一体化してなるものであることを特徴とする抗
    菌性消臭性組成物。
  2. 【請求項2】前記複合粒子中に含まれる粒子状半導体光
    触媒の粒子径が粒子状非晶質リン酸カルシウムの粒径
    りも小さいことを特徴とする請求項1に記載の抗菌性消
    臭組成物。
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