JP3533815B2 - ゼータ電位測定方法および装置 - Google Patents

ゼータ電位測定方法および装置

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JP3533815B2
JP3533815B2 JP06228396A JP6228396A JP3533815B2 JP 3533815 B2 JP3533815 B2 JP 3533815B2 JP 06228396 A JP06228396 A JP 06228396A JP 6228396 A JP6228396 A JP 6228396A JP 3533815 B2 JP3533815 B2 JP 3533815B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固−液界面におけ
る荷電状態を表すゼータ電位を測定する方法並びに装置
に関し、更に詳しくは、流動電位法を用いたゼータ電位
測定方法並びに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ゼータ電位を求める方法の一つとして流
動電位法が知られている。流動電位法は、一対の電極間
に固体試料を充填し、その充填層に液を流したときに一
対の電極間に発生する電位差、すなわち流動電位を測定
することによってゼータ電位を求める方法である。
【0003】この流動電位法においては、従来、流動電
位と充填層を流れる液の流動圧力、つまり充填層の両端
間の差圧を測定し、ヘルムホルツ−スモルコウスキの式
を用いてゼータ電位を算出している。その従来の測定原
理並びに算出理論について、以下に説明する。
【0004】いま、一本の毛細管を考え、その半径を
r、長さをLとする。また、その毛細管の管壁に形成さ
れる電気二重層の厚みをδとし、δ<<rと仮定する。
毛細管壁の表面が電気二重層により中和されているとす
ると、ヘルムホルツの分子容量説よりその電荷量Qは、
【0005】
【数1】
【0006】で表される。ここで、ε0 は真空の誘電
率、εr は液体の比誘電率、ζはゼータ電位である。図
5に示すモデルを考え、毛細管の両端に圧力差Pを与え
た場合、液体が図中矢印で示す方向(この方向をx軸と
する)に流速uで流動しているとすると、粘性と圧力が
つりあうとして、液の運動方程式は、
【0007】
【数2】
【0008】となる。ここで、ηは液体の粘性係数であ
る。(2)式から、r=r0 のとき、u=0を初期条件
としてrで積分すると、
【0009】
【数3】
【0010】が導出される。これより、
【0011】
【数4】
【0012】として管壁より距離δ離れた位置での流速
uは、
【0013】
【数5】
【0014】となり、r0 >>δである場合には、
【0015】
【数6】
【0016】と書き表すことができる。ここで、
(1),(3)式より、
【0017】
【数7】
【0018】となり、液の流動圧力Pは液の流速uに置
き換えることができる。一方、オームの法則より電極間
の電位差Eは、電極間の電気抵抗をR、流れる電流をI
として、
【0019】
【数8】
【0020】で表すことができる。電流Iは、
【0021】
【数9】
【0022】と表すことができるので、
【0023】
【数10】
【0024】となり、流動電位Eは流速に依存すること
になる。従って、(4),(5)式から次式を導出する
ことができる。
【0025】
【数11】
【0026】この式は1本の毛細管を仮定して求めた式
であるため、実際の固体試料の充填層全体について論じ
た場合、複数の毛細管を仮定する必要がある。すなわ
ち、実際の流動電位の測定は、対向配置された一対の電
極を備えた試料セル(流動電位測定セル)を用いて、そ
の電極間に形成された固体試料の充填層に液を流すこと
によって行われ、従って充填層中には多数の毛細管が形
成されることになる。
【0027】液の流れに垂直な方向の試料セルの断面積
をA0 、一本の毛細管が存在するのに必要な液の流れに
垂直な方向の面積をAs とすると、充填層中における毛
細管の本数nは、
【0028】
【数12】
【0029】となり、(6)式は次のように書き直さな
ければならない。
【0030】
【数13】
【0031】また、実際に測定される流動電位をE*
すると、
【0032】
【数14】
【0033】となるので、結局(6)式は次のように書
き換えることができる。
【0034】
【数15】
【0035】さて、スモルコウスキは、液体の導電率λ
を用いることにより、電極間の電気抵抗Rを、
【0036】
【数16】
【0037】と表し、前記(5)式を、
【0038】
【数17】
【0039】としている。この(8)式と(7)式か
ら、
【0040】
【数18】
【0041】という式が求まり、この(9)式がヘルム
ホルツ−スモルコウスキの式と呼ばれる従来のゼータ電
位の算出式であり、一対の電極間に形成された固体試料
の充填層の両端における差圧P(液流動圧力)と、その
差圧Pによって液が流動するときに生じる流動電位E*
を測定することによって、ゼータ電位を算出することが
できる。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】ところで、(9)式に
示したヘルムホルツ−スモルコウスキのゼータ電位の算
出式では、上記した原理から明らかなように、試料中を
流れる液体の流路を毛細管と見立てているものの、最終
的にはその流路のサイズ(半径と長さ)は式中に入って
はおらず、無関係であるとしている。
【0043】しかし、実際には、粉体などの試料では、
試料セル中での試料の充填具合によって流路のサイズが
異なると、ゼータ電位の算出結果が相違したものとな
る。すなわち、ヘルムホルツ−スモルコウスキの算出式
を用いた従来の流動電位法に基づくゼータ電位の求め方
では、同じ試料でも、その充填具合によってゼータ電位
の測定結果が異なる値を示す。また、特に粉体等の試料
では、その充填具合を常に一定の状態とし、あるいは、
その充填具合を別途何らかの方法によって測定してゼー
タ電位の算出結果に補正を加える、といった対策は実質
的に不可能であり、従って、従来の流動電位法とヘルム
ホルツ−スモルコウスキの式を用いたゼータ電位測定方
法によれば、必ずしも正確なゼータ電位が得られている
とは言えない。
【0044】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、粉体等の試料の充填具合に影響を及ぼされるこ
となく、常に正確なゼータ電位を得ることのできる方法
と、その方法を利用したゼータ電位測定装置の提供を目
的としている。
【0045】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のゼータ電位測定方法は、一対の電極間に固
体試料を充填し、その充填層に液を流したときに上記電
極間に発生する流動電位E*と液流動圧力Pとを測定
し、その各測定結果を用いてヘルムホルツの分子容量説
に基づく算出式を演算してゼータ電位を求める方法にお
いて、上記充填層を流れる液の見かけの流速u′(u′
=W/A0;W=体積流量,A0=セルの断面積)を測定
し、その見かけの流速u′と上記液流動圧力Pを用い
て、算出式[K=(5/2)・(8π/P)・u′]に
て係数Kを求め、得られた係数Kをゼータ電位ζの算出
式[ζ=(1/K)・(1/ε0εr)・(1/R)・
(E*/P);R=電極間の電気抵抗,ε0=真空の誘電
率,εr=液体の比誘電率]の右辺に当てはめてゼータ
電位ζを求めることによって特徴づけられる。
【0046】ここで、本発明におけるヘルムホルツの分
子容量説に基づく算出式とは、前記した(1)式を基本
として(7)式の形等で表すことのできる公知の算出式
であり、また、ハーゲン・ポアズイユの式とは、毛細管
を流れる液体の平均流速が、その毛細管の両端の差圧
と、その毛細管の半径並びに長さに依存する、という公
知の式(後述の(10)式)である。
【0047】本発明のゼータ電位測定装置は、その構成
を実施の形態を表す図1を参照しつつ説明すると、固体
試料の充填層3を挟むべく対向配置された一対の電極
1,2を備えた流動電位測定セル10と、そのセル10
の一端側に連通し、当該セル10中の充填層3に流すべ
き液を収容する流動液供給容器11と、セル10の他端
側に連通し、当該セル10中の充填層3を通過した液を
収容する流動液受給容器12と、充填層3に液を流した
ときに一対の電極1,2間に発生する流動電位E* を測
定する流動電位測定手段13を備えた装置において、以
下のような構成を採用していることによって特徴づけら
れる。
【0048】すなわち、本発明のゼータ電位測定装置に
おいては、流動液供給容器11、セル10、および流動
液受給容器12が耐圧気密構造によって相互に連通する
ように構成されているとともに、供給容器11内に大気
圧P0よりも高い圧力の気体を導入して充填層3の両端
に液を流動させるための差圧を付与する圧力付与手段
(図1の例において圧力源、気体通路14a、ガス導入
バルブ14b等)と、供給容器11並びに受給容器12
内の圧力PPおよびPCを測定する圧力測定手段15a,
15bと、その各圧力測定値PPおよびPCと流動電位E
*を用いてヘルムホルツの分子容量説に基づく算出式を
演算して固体試料のゼータ電位ζを算出する演算手段2
2を有し、その演算手段22は、上記各圧力測定値の差
圧P(P=PP−PC)を求め、充填層を流れる液の見か
けの流速u′(u′=W/A0;W=体積流量,A0=セ
ルの断面積)を算出し、その見かけの流速u′と上記液
流動圧力Pを用いて、算出式[K=(5/2)・(8π
/P)・u′]にて係数Kを求め、得られた係数Kをゼ
ータ電位ζの算出式[ζ=(1/K)・(1/ε0εr
・(1/R)・(E*/P);R=電極間の電気抵抗,
ε0=真空の誘電率,εr=液体の比誘電率]の右辺に当
てはめてゼータ電位ζを算出するという構成を採用して
いる。
【0049】本発明方法の原理は、以下に示す通りであ
る。ヘルムホルツの分子流動説に基づくゼータ電位の算
出式においては、(7)式の右辺第1項に示されるよう
に、毛細管の半径r0 と長さLに関する係数、すなわち
(L/r0 2)の項が存在している。つまり、毛細管のサ
イズが変化することによって、実測された流動電位E*
と液流動圧力Pを用いて算出されるゼータ電位ζは異な
る値を示すことになる。前記したヘルムホルツ−スモル
コウスキの式では、この毛細管のサイズに関する係数が
消去され、これによって同じ試料でもその充填具合によ
ってゼータ電位の算出結果が異なる値を示すことは前記
した通りである。
【0050】さて、ハーゲンとポアズイユの研究によれ
ば、半径r0 、長さLの毛細管を流れる液体の平均流速
uは、
【0051】
【数19】
【0052】で表される。このハーゲン・ポアズイユの
式を用いることにより、毛細管の両端間の差圧Pと液の
流速uを測定しさえすれば、これらの値Pとuをパラメ
ータとして、毛細管の長さLと半径r0 に係る情報(L
/r0 2)を得ることができる。つまり、ヘルムホルツに
よるゼータ電位の算出式中の毛細管の半径r0 と長さL
の比に関する係数(L/r0 2)を知ることができる。
【0053】以上のことから、流動電位E* と液流動圧
力(充填層の両端における差圧)Pを測定する際に、例
えば流速計ないしは流量計等の何らかの手段を用いて充
填層内での液の流速uを測定し、(10)式に示される
ハーゲン・ポアズイユの式にPとuを代入して係数(L
/r0 2)を求め、その係数(L/r0 2)を(7)式に示
したゼータ電位の算出式に適用することによって、毛細
管のサイズの影響を受けない、つまり試料の充填具合に
よる影響を受けないゼータ電位ζを算出することができ
る。
【0054】ところで、実際の充填層においては、液体
の通路はねじれていると考えるべきであり、その実際の
通路長L′は、充填層の直線的な両端間距離Lよりも大
きくなっているはずである。従って、(10)式は次の
ように書き換えられる。
【0055】
【数20】
【0056】また、両端間距離がLで、かつ、その内部
の実際の液の通路長がL′である充填層を流れる流速と
して、実際に測定することができるのは見かけの流速
u′ということになり、液体がu′なる流速で長さLを
通過する時間と、実際の流速uで長さL′を通過する時
間とは等しくなるから、
【0057】
【数21】
【0058】という関係が成り立つ。従ってu′は、
【0059】
【数22】
【0060】と表すことができる。u′は液体の体積流
量をWとして、
【0061】
【数23】
【0062】となるから、
【0063】
【数24】
【0064】と表すことができる。ここで、
【0065】
【数25】
【0066】とすると、このCはコゼニー・カルマンの
式におけるコゼニー係数と理論的に一致しており、
【0067】
【数26】
【0068】とすることができる。従って(11)式
は、
【0069】
【数27】
【0070】と書き直すことができる。また、(7)式
において、
【0071】
【数28】
【0072】とおくと、
【0073】
【数29】
【0074】と表すことができる。よって、充填層を通
過した液の体積流量Wを測定する場合には、この(1
2)式によって得られたKを(7)式の右辺第1項に当
てはめ、ゼータ電位ζを算出すればよいことになる。
【0075】さて、本発明のゼータ電位測定装置におい
ては、流動電位E* と液流動圧力Pとを容易に正確に測
定でき、しかも、充填層3内での流速uを、別途流量計
等を用いることなく正確に測定することができる。
【0076】すなわち、図4に例示する通常のこの種の
測定系においては、流動電位測定用の一対の電極41,
42間の試料の充填層3の一端側に、流動液を収容し、
気体を用いて圧力を付与し得る容器40を連通させる一
方、充填層3の他端側は大気に開放した構成を採り、液
流動圧力Pと流動電位E* の関係(E* /P)を測定す
るに当たっては、容器40に付与する圧力を徐々に変化
させつつ、その刻々のE* を測定することが行われる。
このとき、理論的にはPとE* は直線関係となるにもか
かわらず、Pの変化に対してE* が曲線的に変化してい
くことがある。そのため、測定に際しては、測定者はE
* /Pの関係が直線的となるように測定中に圧力計43
と電位計44をモニターしながら、容器40に付与する
圧力を調整する必要があった。この原因は、液に付与す
る圧力を強制的に変化させたとき、その流路の途中に充
填層3という流動抵抗が存在しているために生じる圧力
損失によって、液に付与する圧力と、液の流動状態ひい
ては流動電位との間にズレを生じるためであると考えら
れる。換言すれば、容器40に付与している圧力のモニ
ター値と、実際の液流動圧力との間には、圧力損失分に
相当するズレが生じるためであると考えられる。
【0077】本発明のゼータ電位測定装置においては、
流動液供給容器11と流動電位測定セル10、および流
動液受給容器12を耐圧気密構造のもとに相互に連通さ
せている。この構成において、供給容器11に対して一
定の高圧を付与すると、供給容器11内の液は受給容器
12内との差圧に応じた流速のもとに充填層3を介して
受給容器12内に流入してそこに蓄積されていき、受給
容器12内の圧力は、その内部に蓄積されている液量に
応じて上昇していく。従って、供給容器11に一定の圧
力Pp を付与し続けたとき、受給容器12内の圧力Pc
がそこに流入した液量に応じて経時的に上昇するため、
充填層3の両端間の差圧P、つまり液流動圧力Pは、密
閉系内に置かれた充填層3中を流れる液の流速の変化に
応じて受動的に変化していくことになり、上記したよう
なE* /Pの関係が直線関係から逸脱することなく、流
動電位E* と液流動圧力Pとを容易かつ正確に測定する
ことができる。
【0078】また、本発明のゼータ電位測定装置では、
本発明方法において毛細管のサイズに関する係数を算出
するために必要な液の流速uに関する情報は、圧力の経
時的変化から求めることができ、流量計等を別途用意す
ることなく、効率的で正確な測定を可能とする。以下に
その原理を述べる。
【0079】前記した(11)式ないしは(12)式に
おける体積流量Wは、充填層3を通過した液の総体積を
Vとすると、このVを時間tで微分することによって求
められるから、
【0080】
【数30】
【0081】となる。従って、(12)式は、
【0082】
【数31】
【0083】となる。ここで、Vの値は、流動液受給容
器12の容積をV0 、同容器12内の圧力をPc 、大気
圧をP0 とすると、ボイルの法則により、
【0084】
【数32】
【0085】と表すことができる。従って本発明のゼー
タ電位測定装置においては、供給容器11と受給容器1
2との圧力差P(=PP −Pc )と、受給容器12の圧
力測定値Pc の経時的変化とを、流動電位E* とともに
測定することにより、流量計等を別途設けることなく、
(13)式と(14)式、並びに(7)式とから、試料
の充填具合の影響を受けない正確なゼータ電位ζを算出
することができる。
【0086】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態の構成
図である。全体として略管状で、その内部に一対の電極
1,2が対向配置された流動電位測定セル10は、その
一端側が流動液供給容器11に液供給管11aを介して
連通しており、また、他端は液受給管12aを介して流
動液受給容器12に連通している。ゼータ電位を測定す
べき固体試料は、セル10内の電極1と2の間に充填さ
れ、そこに充填層3が形成される。
【0087】各電極1,2には電位計13が接続されて
おり、この電位計13によって、充填層3を液が流れる
ことによって電極1,2間に生じる電位差、つまり流動
電位E* が測定される。
【0088】流動液供給容器11は耐圧気密構造の容器
によって構成されており、その内部にはセル11中に流
すべき液が収容されている。また、この供給容器11に
は、圧力源(図示せず)からの気体(例えばN2 )を導
入するための気体通路14aが接続されており、これら
によって液を流動させるための圧力を付与する機構を構
成している。また、この供給容器11には、その内部の
圧力を測定するための圧力計15aと、液の温度を測定
するための温度計16が設けられている。
【0089】気体通路14aには、同通路14aを開閉
して圧力源からの気体を供給容器11内に導入/停止す
るためのガス導入バルブ14bが設けられているととも
に、供給容器11内の圧力を大気圧にするための大気開
放バルブ14cを備えた分岐路14dが設けられてい
る。従って、大気開放バルブ14cを閉じ、ガス導入バ
ルブ14bを開くことによって、供給容器11内に圧力
源からの大気圧よりも高い気体を導入することができ、
また、逆にガス導入バルブ14bを閉じて大気開放バル
ブ14cを開くことによって、供給容器11内の圧力を
大気圧と等しくすることができるようになっている。
【0090】流動液受給容器12は、同じく耐圧気密構
造の容器によって構成されており、その上部には内部の
圧力を測定するための圧力計15bが設けられていると
ともに、受給容器12内の圧力を大気圧にするための大
気開放バルブ17aが配設されている。また、受給容器
12の底部には、同容器12内の液を排出するための液
排出バルブ17bが設けられている。この液排出バルブ
17bと大気開放バルブ17aは、流動電位の測定時に
おいてはいずれも閉じられ、受給容器12は気密状態と
される。
【0091】電位計13および各容器11,12内の圧
力を測定するための圧力計15a,15bの出力は、そ
れぞれA−D変換器21によってデジタル化された後、
コンピュータ22に刻々とサンプリングされる。コンピ
ュータ22は、後述するゼータ電位の算出のための演算
プログラムを有しており、A−D変換器21を介して刻
々とサンプリングした電位計13の出力と各圧力計15
a,15bの出力を用いて、ゼータ電位を算出して表示
器23に表示する。
【0092】次に、以上の実施の形態の作用を述べる。
流動液供給容器11内に所定量の流動液を収容するとと
もに、流動液受給容器12の大気開放バルブ17aを一
旦開いて同容器12内の気圧を大気圧とした後、流動液
受給容器12の大気開放バルブ17aと液排出バルブ1
7bを閉じた状態で、流動液供給容器11の大気開放バ
ルブ14cを閉じ、ガス導入バルブ14bを開くことに
より、供給容器11の内部を大気圧より高い一定の圧力
P を付与する。この状態では、供給容器11、流動電
位測定セル10、および受給容器12が相互に気密状態
で連通し、かつ、セル10の両端に差圧Pが生じた状態
となり、供給容器11内の液はセル10に向けて流動
し、電極1,2間に挟まれた試料の充填層3内を通過し
て受給容器12への流れ込む。この液の流動により充填
層3に発生する流動電位E* は電極1,2を介して電位
計13で測定され、そのデジタル変換データが刻々とコ
ンピュータ22に取り込まれていく。
【0093】また、このような液の流動により、受給容
器12内の液量は液の流速に応じた速度で増加していく
ことになり、この受給容器12内の圧力Pc は、同容器
12内の液量の増加分だけ上昇していく。従って、供給
容器11内の圧力PP を一定に保っていても、セル10
の両端における差圧Pは、充填層3中を流れる液の流速
の変化に応じて受動的に変化し、刻々の差圧Pと流動電
位E* との間にズレを生じることがない。受給容器12
内の圧力Pc は、供給容器11内の圧力PP とともにコ
ンピュータ22に刻々と取り込まれていく。
【0094】さて、コンピュータ22は、前記した(1
3)式と(14)式、および(7)式を含むゼータ電位
の算出プログラムを有しており、受給容器12内の刻々
の圧力値Pc と、刻々の差圧P(=PP −Pc )、およ
び装置定数である受給容器12の容量V0 とセル10の
断面積A0 を(13)式および(14)式に代入するこ
とによって係数Kを算出し、その係数Kを(7)式の右
辺第1項に適用して、ゼータ電位ζを算出する。
【0095】このようにして得られたゼータ電位ζは、
液流動圧力Pと流動電位E* との関係が常に直線関係を
有する正確な測定結果を用いて行われるが故に人為的な
測定誤差を含まず、かつ、セル10中の試料の充填具合
による影響が、その充填具合に応じて定まる毛細管のサ
イズに基づく係数、換言すれば試料の充填具合を数値化
した係数によって除去されるため、再現性が良好で信頼
性の高い値となる。
【0096】図2は、以上の本発明の実施の形態を用い
て、流動電位測定セル10内に粉体試料を充填した状態
で、10回にわたって繰り返し測定した結果を示すグラ
フである。また、図3には、比較例として、以上の実施
の形態と同等の測定系を用いたものの、ゼータ電位の算
出式については(9)式に示した従来のヘルムホルツ−
スモルコウスキの式を用いた場合の、同等の繰り返し測
定結果を示す。なお、これらの測定における試料には、
アルミナ研磨材を用いた。
【0097】以上のような繰り返し測定にあっては、1
回目と10回目とでは測定時間が大幅に変わることが確
かめられ、これは、繰り返して充填層3中に液を流すこ
とによって、試料が圧縮されて充填の状況が疎から密へ
と変化し、充填層3中での液流路(毛細管)のサイズが
変化しているからにほかならない。
【0098】図3より明らかなように、従来のヘルムホ
ルツ−スモルコウスキの式をを用いて算出したゼータ電
位ζは、各測定において充填層3中の液流路のサイズを
不変として取り扱うため、1回目と10回目の測定では
ゼータ電位ζが大きく変化している。
【0099】これに対し、図2の本発明の実施の形態に
よる測定結果では、充填層3中の液流路のサイズは、流
速uと差圧Pをパラメータとした演算により補正されて
いるが故に、1回目から10回目にわたってゼータ電位
ζの算出値は殆ど変化せず、その有効性が確認された。
【0100】なお、本発明方法は、以上のような実施の
形態を用いることに限定されることなく、例えば図4に
模式的に示す従来の測定系を用いて、充填層3を流れる
液の流速uを、例えば図中想像線で示す位置等に流速計
や体積流量計45等を配置して測定することによって、
ゼータ電位の算出式中の毛細管のサイズに関する係数
(r0 2/L)、あるいは前記係数Kを算出し、その係数
を適用してゼータ電位ζを算出してもよいことは勿論で
ある。
【0101】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、固体試
料の充填層に液を流すことによって発生する流動電位を
測定し、その測定結果と液流動圧力とを用いてゼータ電
位を算出するに当たり、ヘルムホルツの分子容量説に基
づくゼータ電位の算出式中に存在する毛細管のサイズに
関する係数を、充填層中における液の流速と差圧とをパ
ラメータとしてハーゲン・ポアズイユの式を用いて算出
し、その算出結果を用いた演算によってゼータ電位を測
定するから、試料の充填具合による影響を受けない、再
現性が良好で信頼性の高いゼータ電位を得ることが可能
となった。
【0102】また、本発明のゼータ電位の測定装置によ
れば、上記した毛細管のサイズに関する係数を算出する
ために必要な充填層中での液の流速を、流動液受給容器
内の刻々の圧力変化と充填層の両端での差圧から算出す
るから、別途流量計等を設けることなく、本発明方法を
適用したゼータ電位の測定が可能となる。しかも、充填
層はその両側の流動液供給容器と流動液受給容器に対し
て気密状態で連通し、供給容器側に一定圧力を付与する
ことによって液の流動圧力を得ているため、充填層の両
端の差圧はそこを流れる液の流速に応じて受動的に変化
し、従来の測定装置のように液の流動圧を強制的に変化
させるための操作が不要となるばかりでなく、液流動圧
力と流動電位との間にズレを生じることがなく、常に正
確な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成図
【図2】本発明の実施の形態を用いて、試料をセル10
内に充填したまま繰り返し測定した結果を示すグラフ
【図3】上記と同等の測定系を用い、同様な繰り返し測
定を行うとともに、ゼータ電位の算出に当たっては従来
のヘルムホルツ−スモルコウスキの式を用いた場合の結
果を示すグラフ
【図4】流動電位測定用の一対の電極で挟まれた試料の
充填層3の一端側(下流側)を大気圧に開放した、通常
の流動電位測定系の説明図
【図5】ヘルムホルツの分子容量説に基づくゼータ電位
の算出理論を説明するための毛細管モデルを表す図
【符号の説明】
1,2 電極 3 充填層 10 流動電位測定セル 11 流動液供給容器 12 流動液受給容器 13 電位計 14a 気体通路 14b ガス導入バルブ 14c 大気開放バルブ 15a,15b 圧力計 17a 大気開放バルブ 21 A−D変換器 22 コンピュータ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極間に固体試料を充填し、その
    充填層に液を流したときに上記電極間に発生する流動電
    位E*と液流動圧力Pとを測定し、その各測定結果を用
    いてヘルムホルツの分子容量説に基づく算出式を演算し
    てゼータ電位を求める方法において、 上記充填層を流れる液の見かけの流速u′(u′=W/
    0;W=体積流量,A0=セルの断面積)を測定し、そ
    の見かけの流速u′と上記液流動圧力Pを用いて、算出
    式[K=(5/2)・(8π/P)・u′]にて係数K
    を求め、得られた係数Kをゼータ電位ζの算出式[ζ=
    (1/K)・(1/ε0εr)・(1/R)・(E*
    P);R=電極間の電気抵抗,ε0=真空の誘電率,εr
    =液体の比誘電率]の右辺に当てはめてゼータ電位ζを
    求めることを特徴とするゼータ電位測定方法。
  2. 【請求項2】 固体試料の充填層を挟むべく対向配置さ
    れた一対の電極を備えた流動電位測定セルと、そのセル
    の一端側に連通し、当該セル中の充填層に流すべき液を
    収容する流動液供給容器と、上記セルの他端側に連通
    し、当該セル中の充填層を通過した液を収容する流動液
    受給容器と、上記充填層に液を流したときに上記一対の
    電極間に発生する流動電位E*を測定する流動電位測定
    手段を備えた装置において、 上記供給容器、セル、および受給容器が耐圧気密構造に
    よって相互に連通するよう構成されているとともに、上
    記供給容器内に大気圧P0よりも高い圧力の気体を導入
    して上記充填層の両端に液を流動させるための差圧を付
    与する圧力付与手段と、上記供給容器並びに受給容器内
    の圧力PPおよびPCを測定する圧力測定手段と、その各
    圧力測定値PPおよびPCと上記流動電位E*を用いてヘ
    ルムホルツの分子容量説に基づく算出式を演算して固体
    試料のゼータ電位を算出する演算手段を有し、その演算
    手段は、上記各圧力測定値の差圧P(P=PP−PC)を
    求め、充填層を流れる液の見かけの流速u′(u′=W
    /A0;W=体積流量,A0=セルの断面積)を算出し、
    その見かけの流速u′と上記液流動圧力Pを用いて、算
    出式[K=(5/2)・(8π/P)・u′]にて係数
    Kを求め、得られた係数Kをゼータ電位ζの算出式[ζ
    =(1/K)・(1/ε0εr)・(1/R)・(E*
    P);R=電極間の電気抵抗,ε0=真空の誘電率,εr
    =液体の比誘電率]の右辺に当てはめてゼータ電位ζを
    算出することを特徴とするゼータ電位測定装置。
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