JP3530447B2 - ビタビ復号装置 - Google Patents

ビタビ復号装置

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JP3530447B2 JP2000034044A JP2000034044A JP3530447B2 JP 3530447 B2 JP3530447 B2 JP 3530447B2 JP 2000034044 A JP2000034044 A JP 2000034044A JP 2000034044 A JP2000034044 A JP 2000034044A JP 3530447 B2 JP3530447 B2 JP 3530447B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はビタビ復号装置に
関し、さらに詳しくは、畳み込み符号を最尤復号法によ
り復号するビタビ復号装置における最尤系列決定回路の
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタビ復号は畳み込み符号の最尤復号を
効率よく実現する方法として、また、強力な誤り訂正能
力を持つことから衛星通信システムや移動体通信システ
ムのデジタル信号の誤り訂正方式として広く使用されて
いる。ビタビ復号は、伝送されてきた受信系列に最も近
い伝送系列を推定し、元の情報系列を復号する最尤復号
方式の1つである。以下に、ビタビ復号装置の復号原理
の概略について、簡単な例を用いて説明する。
【0003】図5は、畳み込み符号を生成する符号器の
構成例として、拘束長が4の比較的簡単な構成のものを
示すブロック図である。この符号器は、3つのディレイ
ライン1〜3と、2つの排他的論理和回路4,5とを備
える。この符号器の生成多項式はG0(X)=X3
1,G1(X)=X3+X2+X1+1である。
【0004】0または1の入力信号がディレイライン1
〜3を順次シフトしていき、その都度、排他的論理和回
路4,5が0または1の信号G0,G1を出力する。す
なわち、畳み込み符号器に対する元の入力信号Xが1つ
であるのに対し、出力される畳み込み符号は2つであ
る。換言すると、送りたい信号1つに対して実際に送信
しなければならない符号は2つであるので、この符号器
の符号化率はr=1/2である。
【0005】また、出力G0,G1に影響を及ぼす信号
は、入力Xと、ディレイライン1〜3のそれぞれの信号
との合計4個の信号であり、したがって拘束長はK=4
である。
【0006】ディレイライン1〜3の各々は0または1
の信号をラッチするから、2通りの状態を有する。その
ため、ディレイライン1〜3全体としては8(=23
通りの状態を有する。以下、この8通りの状態(ステー
ト)をS000〜S111と表記する。たとえばディレ
イライン1が0をラッチし、ディレイライン2が0をラ
ッチし、ディレイライン3が1をラッチしている状態は
S100と表記される。
【0007】図6は、図5に示した符号器の状態遷移図
である。図6において、「/」の前の2桁の数字は出力
G0,G1を示し、「/」の後の1桁の数字は入力Xを
示す。たとえば状態S000において0が入力される
と、再び同じ状態S000に遷移し、00が出力され
る。他方、状態S000において1が入力されると、状
態S001に遷移し、11が出力される。あるいは、状
態S110において0が入力されると、状態S100に
遷移し、10が出力される。他方、状態S110におい
て1が入力されると、状態S101に遷移し、01が出
力される。
【0008】図7は、図5に示した符号器のトレリス線
図である。ここでは、時刻T=0の初期状態をS000
としている。また、入力が0の場合の遷移パスを実線で
示し、入力が1の場合の遷移パスを点線で示している。
【0009】時刻T=0の状態S000において0が入
力されると、00が出力され、時刻T=1の状態S00
0に遷移し、他方、1が入力されると、11が出力さ
れ、時刻T=1の状態S001に遷移する。
【0010】時刻T=1の状態S001において0が入
力されると、11が出力され、時刻T=2の状態S01
0に遷移し、他方、1が入力されると、00が出力さ
れ、時刻T=2の状態S011に遷移する。
【0011】時刻T=2の状態S011において0が入
力されると、10が出力され、時刻T=3の状態S11
0に遷移し、他方、1が入力されると、01が出力さ
れ、時刻T=3の状態S111に遷移する。
【0012】時刻T=3の状態S111において0が入
力されると、01が出力され、時刻T=4の状態S11
0に遷移し、他方、1が入力されると、10が出力さ
れ、時刻T=4の状態S111に遷移する。
【0013】以上のように、図5に示した符号器は、0
または1の入力信号Xに応じて00、01、10または
11の出力信号G0,G1を生成する。出力信号G0,
G1は通常はパラレル−シリアル変換され、畳み込み符
号としてビタビ復号装置に伝送される。
【0014】図8は、伝送された上記のような畳み込み
符号を最尤復号法により元の入力符号系列に復号するビ
タビ復号装置の一般的な構成を示す概略ブロック図であ
る。
【0015】図8を参照して、枝メトリック計算回路1
01は、畳み込み符号を受信するたびに、畳み込み符号
器の取り得る8つの状態(S000〜S111)の各々
ごとに、受信した畳み込み符号と、当該状態において想
定される受信符号との差異である枝メトリックを算出
し、後述するACS回路102に与える。枝メトリック
の算出については後述する。
【0016】図7に示すように、時刻T=4以降におい
て、各状態は、その状態に対して遷移してくる2つのパ
スを有している。ACS(Add Compare Select)回路1
02は、累積メトリック記憶回路105から読出した、
前回の受信時すなわち時刻T=3における上記2つのパ
スにそれぞれ付随する累積メトリックに、枝メトリック
計算回路101で計算された時刻T=4における上記2
つのパスのそれぞれの枝メトリックを加算する。
【0017】そして、ACS回路102は、当該状態へ
と遷移する2つのパスのそれぞれの加算結果を相互に比
較し、加算結果の小さい方のパス、すなわち尤度の高い
方のパスを残し、他方のパスを捨てる。この残したパス
を一般に「生き残りパス」と称する。
【0018】パスメモリ103には、この生き残りパス
を特定するための情報が格納される。また、当該状態に
おいて算出された生き残りパスの加算結果は、累積メト
リックとして累積メトリック記憶回路105に格納され
る。
【0019】ACS回路102は、符号器の取り得る8
通りの状態の各々について、上述の動作を順次実行して
いく。
【0020】このように状態ごとに生き残りパスを決定
していくと、図9に示すように、時間の経過に伴って、
生き残りパスは1本に収束していく。図9の例では、時
刻T=9の時点で、時刻T=0〜T=4までの生き残り
パスは1本に収束している。
【0021】この状態で、図8の最尤系列決定回路10
6は、時刻T=9における8つの状態(S000〜S1
11)のすべての最終的に算出された累積メトリックの
大小判定を行なう。すなわち、8つの状態の中で最も小
さな累積メトリックを有する状態を最も尤度が高い(最
も確からしい)ものと判定する。この最尤系列決定回路
106の決定出力に応じて、パス選択回路104は、パ
スメモリ103に格納されている生き残りパス情報の中
から最尤の生き残りパス情報を選択して出力する。すな
わち、最尤と判定された状態から生き残りパスを辿って
時刻T=0における状態S000まで遡り、これにより
生き残りパス情報を次々に読出す。読出された生き残り
パス情報は、パス選択回路104によって受信した符号
系列に復号される。
【0022】以上が、拘束長K=4の比較的簡単な例を
用いて説明したビタビ復号の概略である。ビタビ復号そ
のものは当該技術分野において周知の技術であり、その
詳細については、たとえば、岩垂好裕著の「符号理論入
門」(株式会社昭晃堂発行、1992年12月20日)
の第135頁〜第159頁に説明されている。
【0023】ところで、現実には、衛星通信システムや
移動体通信システムでは通常、さらに大きな拘束長の畳
み込み符号が用いられる。
【0024】たとえば、これらの用途では、拘束長K=
9の符号器による畳み込みが用いられている。図10
は、このような拘束長K=9の畳み込み符号器の一例を
示すブロック図である。この符号器は、8つのディレイ
ライン1〜8と、2つの排他的論理和回路9,10とを
備える。この符号器の生成多項式は次のとおりである。
【0025】 G0(X)=1+X2+X3+X4+X8 G0=5618 G1(X)=1+X+X2+X3+X5+X7+X8 G1=7538 (なお、添字の8は8進数であることを示す) 0または1の入力信号がディレイライン1〜8を順次シ
フトとしていき、その都度、排他的論理和回路9,10
が0または1の信号G0,G1を出力する。ディレイラ
イン1〜8の各々は0または1の信号をラッチするか
ら、2通りの状態を有する。このため、ディレイライン
1〜8全体としては256(=28)の状態を有する。
このように、拘束長がK=9のときには、前述のK=4
の場合と比較して、状態数が指数関数的に増大するた
め、図6のような状態遷移図や図7のようなトレリス線
図を示すことは困難であり、ここでは図示を省略する。
【0026】図10の符号器において、信号が入力され
る側をMSBとして、符号器の状態の初期値はS000
00000であり、この状態を、256通りの状態のう
ちの状態番号0とする。ここで1が入力されると、符号
器の状態はS10000000となり、その十進数表示
である128をこの状態の状態番号とする。続いて0が
入力されると、符号器の状態はS01000000とな
り、その十進数表示である64をこの状態の状態番号と
する。したがって、符号器が取り得る256個の状態
を、状態番号J=0〜255で表わすこととする。
【0027】次に枝メトリックの計算方法について説明
する。ビタビ復号では、ある状態から次の状態へ遷移す
る際に図11に示すようにクロス型の変化をする。この
ことは、図7の拘束長がK=4の場合のトレリス線図中
の遷移の形状からも明らかである。
【0028】図11に示す状態変化の形状から、このよ
うな状態の遷移を通常、バタフライ演算と称する。符号
器の状態を十進表示した状態番号Jを用いて、より具体
的に説明すると、ある状態番号2Jから遷移する次の状
態として想定される状態は、畳み込み符号器に「1」が
入力されたときに遷移する「J+(すべての状態数/
2)」の状態、または「0」が入力されたときに遷移す
る「J」の状態の2通りである。
【0029】一方、ある状態番号2J+1から遷移する
次の状態として想定される状態は、畳み込み符号器に
「1」が入力されたときに遷移する「J+(すべての状
態数/2)」の状態、または「0」が入力されたときに
遷移する「J」の状態の2通りである。
【0030】図11の例では、たとえば状態番号Jに遷
移するパスは2つ存在することになる。そして、各パス
に対応して期待される2ビットの受信符号系列(00,
01,10,11のいずれか)が存在することになる。
このような各パスごとの2ビットの期待値と、実際に受
信した2ビットの畳み込み符号との差(距離)が、枝メ
トリックとして各パスごとに算出される。より詳細に、
各受信符号に対する枝メトリックは、期待される2ビッ
トの入力値と実際の2ビットの入力値とのユークリッド
距離(内積)の和として算出される。
【0031】図12において、受信された畳み込み符号
がA,Bの2ビットの場合、期待する受信値00との距
離である枝メトリックはS+Pで表わされ、期待する受
信値01との距離はS+Qで表わされ、期待する受信値
10との距離はT+Pで表わされ、期待する受信値11
との距離はT+Qで表わされる。
【0032】なお、図12に示すように、受信したデー
タの判定には、各ビットをあるしきい値で「1」、
「0」に分けてしまう更判定と、たとえば「0」から
「15」まで幅を持たせた値として取り扱う軟判定とが
あり、上記枝メトリック算出方法は軟判定の手法に依拠
している。
【0033】期待する受信符号と、実際に受信した符号
との距離が近いほど、受信した符号は確からしい符号と
考えられるため、前述のように、この距離(枝メトリッ
ク)の最終的な累積値が最も小さい符号系列が、最も確
からしい符号列(最尤符号列)として決定される。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】上述のように累積メト
リックが最小である符号系列を見つけるためには、符号
器が取り得るすべての状態に対応する累積メトリックの
中から最小の値を有する状態を特定する必要がある。そ
のためには、すべての状態番号の累積メトリックの大小
判定を行なう比較回路が必要であるが、拘束長が大きな
符号器では状態数が指数関数的に増大するため、最小の
累積メトリックを有する状態を判定するために極めて大
規模な回路構成と大量の信号配線とが必要となるという
問題があった。
【0035】この発明は、簡単な回路構成で、最尤の受
信符号系列を決定することができるビタビ復号装置を提
供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、畳み込み符号器によって生成された畳み込み符
号の系列を最尤復号法により復号するビタビ復号装置
は、枝メトリック計算手段と、複数の演算比較手段と、
累積メトリック記憶手段と、パス情報記憶手段と、最尤
系列決定手段と、パス選択手段と、制御手段とを備え
る。枝メトリック計算手段は、畳み込み符号を受信する
ごとに、畳み込み符号の取り得る複数の状態の各々に対
して遷移する各パスごとに枝メトリックを計算する。複
数の演算比較手段の各々は、複数の状態のうちの対応す
る状態に対して遷移する2つのパスに付随する、畳み込
み符号の前回の受信時における累積メトリックに、枝メ
トリック計算手段で計算された2つのパスのそれぞれの
枝メトリックを加算し、2つのパスの加算結果を相互に
比較し、2つのパスのうち尤度の高い方のパスを生き残
りパスと決定する。累積メトリック記憶手段は、複数の
演算比較手段の加算結果を累積メトリックとして記憶す
る。パス情報記憶手段は、決定された生き残りパスを特
定する情報を記憶する。最尤系列決定手段は、複数の状
態のすべての最終の累積メトリックを対比して最も尤度
の高い生き残りパスを決定する。パス選択手段は、最尤
系列決定手段の決定結果に応じて、生き残りパスを特定
する情報に基づいて、最も尤度の高い受信符号系列を決
定する。状態の数は演算比較手段の数よりも多い。制御
手段は、複数の演算比較手段が、複数の状態のうち所定
の規則性で選択された演算比較手段と同数の状態に対し
並列に動作し、かつ並列動作が複数の状態のすべてに対
応するまで繰返し行なわれるように、複数の状態と複数
の演算比較手段との関係を制御する。最尤系列決定手段
は、複数の演算比較手段から出力される選択された複数
の状態の最終の累積メトリックを部分的かつ並列に順次
比較して最も高い尤度の累積メトリックを算出するよう
に組合わされた複数の比較手段と、複数の比較手段のそ
れぞれの判定結果を示す信号に応じて選択された複数の
状態のいずれが最も高い尤度の累積メトリックを有する
状態かを特定する情報を出力するように組合わされた複
数の選択手段と、複数の比較手段および複数の選択手段
の繰返し動作中における出力に基づいて、複数の状態の
すべてのうちで最も尤度の高い累積メトリックを有する
状態を特定する情報を出力する手段とを含む。
【0037】以上のように請求項1に記載の発明によれ
ば、最も高い尤度を有する最終の累積メトリックを有す
る状態を簡単な回路構成で特定することができる。
【0038】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載のビタビ復号装置において、所定の規則性で選択
された状態は、任意の状態番号から昇順の状態番号を有
する所定数の状態と、前記所定数の状態の状態番号のそ
れぞれにすべての状態数の1/2を加算した、前記所定
数と同数の状態とからなる。
【0039】請求項2に記載の発明によれば、選択され
た特定の状態に対する複数の演算比較手段による並列処
理により、簡単な回路構成でかつ短い期間内に最も尤度
の高い信号系列の決定を行なうことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相
当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0041】図1は、この発明の実施の形態によるビタ
ビ復号装置の構成を示す概略ブロック図である。図1に
示すビタビ復号装置は、以下の点を除いて、図8に示す
一般的なビタビ復号装置と同じである。なお、以下に説
明する実施の形態では、畳み込み符号器の拘束長はK=
9であり、したがって状態数は256となる。
【0042】すなわち、図8の一般的なビタビ復号装置
では、1つのACS回路102が設けられているのに対
し、図1の実施の形態のビタビ復号装置では、図示しな
い8個のACS回路からなるACS回路群112が設け
られている。図示しない8個のACS回路の各々は、図
8に示したACS回路102と同じ構成および機能を有
しており、その説明は省略する。
【0043】上述のように、拘束長K=9であるこの実
施の形態では、状態数は256であり、この256個の
状態のすべてについて累積メトリックの演算および比較
を行ない、生き残りパスの決定をしなければならない。
したがって、図8の一般的なビタビ復号装置のように1
つのACS回路102しかなければ、加算比較処理を2
56回繰返さなければならず、ビタビ復号の処理速度が
著しく低下する。このため、図1の実施の形態では、A
CS回路102を8個用意して並列動作をさせている。
この場合、8×32=256であり、8個のACS回路
102による並列処理を32回繰返すことによってすべ
ての状態に対する加算比較処理を終了することができ
る。
【0044】図11に示すように、ある状態(2Jまた
は2J+1)を有する畳み込み符号器に0または1が入
力された場合、符号器の状態はJまたはJ+(すべての
状態数/2)のいずれかに遷移する。前述のように、こ
の実施の形態の畳み込み符号器の拘束長はK=9であ
り、すべての状態の数は256通りである。すなわち、
図11の状態遷移図では、入力に応じてJまたはJ+1
28のいずれかに遷移することになる。
【0045】上述のように、ある時点(ある畳み込み符
号の受信時)における状態数は256通りであり、した
がって状態番号Jは0〜255の範囲の番号をとる。一
方、、この実施の形態では、ACS回路群112には、
8個のACS回路が設けられている。これら8個のAC
S回路と、それぞれが取り扱う状態番号との間に、次の
ような関係を持たせるように、ACS回路群112は接
続制御を行なう。
【0046】すなわち、図2に示すように、ACS回路
群112を構成する8個のACS回路をACS番号0〜
7で表示した場合に、ACS回路0〜7は、それぞれ、
任意の状態番号をJとして、J,J+1,J+2,J+
3,J+128,J+129,J+130,J+131
の8個の状態について、対応する生き残りパスの累積メ
トリックの計算を実行する。
【0047】ACS回路0〜7の8個の並列出力は、図
1の最尤経路決定回路106に与えられる。この最尤経
路決定回路106は、図2に示すような複数段に組合わ
された比較器0〜6からなる部分106aと、図3に示
すような複数個のセレクタA,B,C,Dの組合せから
なる部分106bとによって構成される。
【0048】図2を参照して、8個のACS回路0〜7
からの並列出力のうち、ACS回路0,1の出力は比較
器0に、ACS回路2,3の出力は比較器1に、ACS
回路4,5の出力は比較器2に、ACS回路6,7の出
力は比較器3に与えられる。各比較器は入力0および入
力1を有し、入力0に下位番号のACS回路の出力が与
えられ、入力1に上位番号のACS回路の出力が与えら
れる。
【0049】比較器0〜3の各々は、2つの入力、すな
わち対応する2つの状態の累積メトリックを比較し、ど
ちらが小さいか、すなわちどちらの尤度が高いかを判定
し、その累積メトリックを出力する(図2の太線で示す
出力)。
【0050】同時に、各比較器は、下位番号のACS回
路に対応する入力0および上位番号のACS回路に対応
する入力1のいずれを選択したかを示す1ビットの判定
信号(図2の細線で示す出力)を出力する。より具体的
に、入力0を選択したときには0、入力1を選択したと
きには1の判定信号を出力する。
【0051】比較器0および比較器1の出力は、比較器
4に、比較器2および比較器3の出力は比較器5に与え
られる。比較器4および比較器5は、上述の比較器0〜
3と同じ構成を有し、各々2つの入力のうち小さい方の
累積メトリックを出力する。また比較器0〜3と同様
に、いずれの入力を選択したかを示す判定信号も出力す
る。
【0052】比較器4および比較器5の出力は比較器6
に与えられる。比較器6は上述の比較器0〜5と同じ機
能を有し、2つの入力のうち小さい方の累積メトリック
を出力する。また、比較器0〜5と同様にいずれの入力
を選択したかを示す判定信号も出力する。
【0053】この結果、比較器5からは、ACS回路0
〜7の並列出力である8個の累積メトリックのうち、最
小の、すなわち最も尤度の高い累積メトリックが比較器
6の出力として得られることになる。
【0054】次に、比較器0〜6からそれぞれ出力され
た判定信号(以下、判定信号0〜6と称する)は、図3
に示すように接続された1ビットのセレクタA,B,
C,Dに入力される。より詳細に説明すると、比較器0
および比較器1からの判定信号0および判定信号1が被
選択信号としてセレクタAの2つの入力に与えられ、比
較器4からの判定信号4が選択信号としてセレクタAの
制御入力に与えられる。比較器2および比較器3からの
判定信号2および判定信号3が被選択信号としてセレク
タBの2つの入力に与えられ、比較器5からの判定信号
5が選択信号としてセレクタBの制御入力に与えられ
る。
【0055】セレクタA,Bからの選択出力が被選択信
号としてセレクタCの2つの入力に与えられ、比較器6
からの判定信号6が選択信号としてセレクタCの制御入
力に与えられる。比較器4および比較器5からの判定信
号4および判定信号5が被選択信号としてセレクタDの
2つの入力に与えられ、比較器6からの判定信号6が選
択信号としてセレクタDの制御入力に与えられる。
【0056】ここで、セレクタA,B,C,Dの各々
は、制御入力に与えられる選択信号が1の場合、2つの
被選択信号入力のうち下位の入力を選択し、選択信号が
0の場合上位の入力を選択する。この結果、セレクタC
の出力を最下位ビットとし、セレクタDの出力をその上
位ビットとし、判定信号6を最上位ビットとして構成さ
れる3桁の二進数を十進数に変換すると、8個のACS
回路0〜7のうち最小の累積メトリックを出力したAC
S回路を特定するACS番号が得られる。
【0057】このようにして得られた8つのACS回路
0〜7の最小累積メトリックの値と、その値を出力した
ACS番号に対応する状態番号とを、最尤系列決定回路
106内の図示しないメモリに記憶し、次の8個の状態
に対する最小の累積メトリックの決定動作を行なう。こ
の際にも、8個のACS回路0〜7と、次に判定対象と
なる8つの状態の状態番号との間には、前述の、J,J
+1,J+2,J+3,J+128,J+129,J+
130,J+131の所定の規則性が成立するようにす
る。
【0058】そして、次の8個の状態についてACS回
路0〜7から出力される累積メトリックの最小値を検出
し、前回に決定されかつ図示しないメモリに記憶されて
いる最小値と比較する。そして、新たに検出した最小累
積メトリックの方が記憶されている最小累積メトリック
よりも小さければ、メモリの最小累積メトリックを新た
に検出した値に更新し、さらに該当する状態番号も更新
する。このように、8つの状態に対する最小累積メトリ
ックの算出を32回繰返し行ない、256通りの状態の
うちで最も小さい累積メトリックおよび該当する状態番
号、すなわち最も尤度の高い生き残りパスを決定する。
【0059】なお、32回の繰返し処理の際に、最尤系
列決定回路106内のメモリにおいて、何回目の繰返し
の際に最小の累積メトリックが検出されたかを特定する
ために5ビットのLOOPという数値を用いる。図4の
(a)は、このようなLOOP数を用いて表示した、2
56の状態のうちの最尤の状態番号であり、図3の回路
で算出される3桁の状態番号(二進数)の位置を“32
1”で示し、その上位のLOOP数(5ビット)が何回
目の繰返しの際に最尤状態が検出されたかを特定してい
る。
【0060】なお、ACS番号は0〜7が順に並んでい
るのに対し、状態番号は、図11の遷移図から理解され
るように、ある状態に対し、すべての状態数/2すなわ
ち256/2=128だけ間隔をあけて配置される。す
なわち状態番号は、0,128,1,129,2,13
0,3,131,…という順に並んでいる。したがっ
て、図4の(b)に示すように、状態番号の最下位ビッ
トを示す“1”が全体の最上位ビットに配置され、この
図4(b)に示すビット列が最終的な最尤状態番号を示
す情報となる。
【0061】なお、上述のような256通りの状態すべ
てのうちの最小の累積メトリックおよび対応する状態番
号の決定は、畳み込み符号系列が受信されるごとに最尤
系列決定回路106により行なわれるが、その結果が利
用されるのは、最終的に受信信号の最尤系列を決定する
段階においてのみである。
【0062】すなわち、そのような最終段階において
は、最尤系列決定回路106から、最新の最尤状態番号
情報(図4)がパス選択回路104に与えられ、パス選
択回路104は生き残りパス情報から受信した符号系列
の復号を行なう。
【0063】以上のように、この発明の実施の形態によ
れば、所定の規則性、すなわち任意の状態番号から昇順
の状態番号を有する所定数の状態(上記の例ではJ,J
+1,J+2,J+3)と、前記所定数の状態番号のそ
れぞれにすべての状態数/2(=128)を加算した、
前記所定数と同数の状態(上記の例ではJ+128,J
+129,J+130,J+131)とからなる状態番
号に対し、8個のACS回路を用いた並列処理を行な
い、その結果から、複数の2入力比較器および複数の1
ビットセレクタの組合せを用いて、最尤の累積メトリッ
クおよび対応する状態番号を求め、この処理を、すべて
の状態番号に対応するまで繰返し行なうように構成して
いる。
【0064】このため、大きな回路構成および大量の信
号配線を用いることなく、最尤復号系列の決定および受
信符号の復号を行なうことが可能となる。特に、図3に
示すように1ビットセレクタの使用により回路規模の縮
小が顕著である。
【0065】なお、上述の実施の形態では、8個のAC
S回路を用いて並列処理を行なっているが、この発明で
は、ACS回路の個数は8個に限定されるものではな
く、上述の所定の規則性に従って並列処理を行なう限
り、ACS回路の個数はいくつであってもよい。
【0066】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0067】
【発明の効果】この発明によれば、畳み込み符号器の取
り得る複数の状態に対して、複数個のACS回路を所定
の規則性に則って並列的に繰返し使用して最尤状態番号
を特定しているので、大規模な回路構成および大量の信
号配線を必要とせずに、受信符号系列の復号を可能とし
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態によるビタビ復号装置
の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の最尤系列決定回路の一部の構成を示す
ブロック図である。
【図3】 図1の最尤系列決定回路の一部の構成を示す
ブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態における最尤系列番号
を示す信号系列を概略的に示す図である。
【図5】 畳み込み符号器の簡単な例を示す概略ブロッ
ク図である。
【図6】 図5に示した符号器の状態遷移図である。
【図7】 図5に示した符号器のトレリス線図である。
【図8】 一般的なビタビ復号装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【図9】 図8に示したビタビ復号装置の動作を説明す
るためのトレリス線図である。
【図10】 畳み込み符号器の他の例を示すブロック図
である。
【図11】 ビタビ復号におけるバタフライ演算を模式
的に説明する図である。
【図12】 ビタビ復号における枝メトリックの計算方
法を説明する図である。
【符号の説明】
101 枝メトリック計算回路、102 ACS回路、
103 パスメモリ、104 パス選択回路、105
累積メトリック記憶回路、106 最尤系列決定回路、
112 ACS回路群。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03M 13/00 - 13/53

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 畳み込み符号器によって生成された畳み
    込み符号の系列を最尤復号法により復号するビタビ復号
    装置であって、 前記畳み込み符号を受信するごとに、前記畳み込み符号
    器の取り得る複数の状態の各々に対して遷移する各パス
    ごとに枝メトリックを計算する枝メトリック計算手段
    と、 複数の演算比較手段とを備え、前記複数の演算比較手段
    の各々は、前記複数の状態のうちの対応する状態に対し
    て遷移する2つのパスに付随する、前記畳み込み符号の
    前回の受信時における累積メトリックに、前記枝メトリ
    ック計算手段で計算された前記2つのパスのそれぞれの
    枝メトリックを加算し、前記2つのパスの加算結果を相
    互に比較し、前記2つのパスのうち尤度の高い方のパス
    を生き残りパスと決定し、 前記複数の演算比較手段の加算結果を累積メトリックと
    して記憶する累積メトリック記憶手段と、 前記決定された生き残りパスを特定する情報を記憶する
    パス情報記憶手段と、 前記複数の状態のすべての最終の累積メトリックを対比
    して最も尤度の高い生き残りパスを決定する最尤系列決
    定手段と、 前記最尤系列決定手段の決定出力に応じて、前記生き残
    りパスを特定する情報に基づいて最も尤度の高い受信符
    号系列を決定するパス選択手段とをさらに備え、 前記状態の数は前記演算比較手段の数よりも多く、 前記複数の演算比較手段が、前記複数の状態のうち所定
    の規則性で選択された前記演算比較手段と同数の状態に
    対し並列に動作し、かつ前記並列動作が前記複数の状態
    のすべてに対応するまで繰返し行なわれるように、前記
    複数の状態と前記複数の演算比較手段との関係を制御す
    る制御手段をさらに備え、 前記最尤系列決定手段は、 前記複数の演算比較手段から出力される前記選択された
    複数の状態の最終の累積メトリックを部分的かつ並列に
    順次比較して最も高い尤度の累積メトリックを算出する
    ように組合わされた複数の比較手段と、 前記複数の比較手段のそれぞれの判定結果を示す信号に
    応じて前記選択された複数の状態のいずれが最も高い尤
    度の累積メトリックを有する状態かを特定する情報を出
    力するように組合わされた複数の選択手段と、 前記複数の比較手段および前記複数の選択手段の繰返し
    動作中における出力に基づいて、前記複数の状態のすべ
    てのうちで最も尤度の高い累積メトリックを有する状態
    を特定する情報を出力する手段とを含む、ビタビ復号装
    置。
  2. 【請求項2】 前記所定の規則性で選択された状態は、
    任意の状態番号から昇順の状態番号を有する所定数の状
    態と、前記所定数の状態の状態番号のそれぞれにすべて
    の状態数の1/2を加算した、前記所定数と同数の状態
    とからなる、請求項1に記載のビタビ復号装置。
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