JP3528935B2 - チャイルドシート付き車両用シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、チャイルドシート付き
車両用シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のチャイルドシート付き車
両用シートとして、図７に示す実開昭６２−２８６４２
号公報に開示されたものが知られている。図において、
シートバック１はシートクッション２の後方端部から上
方に突き出るように支持されている。シートバック１に
おける座面の中央部分には二重構造となって脱着可能な
チャイルドシートクッション４が配設されており、当該
チャイルドシートクッション４は下端側を支点として上
端を手前側に引き起こすことができるようになってい
る。また、同チャイルドシートクッション４における両
側面の上端に近い部分とシートバック１の本体とを連結
するベルト５，５が配設されており、手前側に引き起こ
したときに上端を吊り下げてチャイルドシートクッショ
ン４が水平になるようにしている。

【０００３】また、この他にも実開昭６３−３４６３２
号公報および実開昭６２−６０４３７号公報に示すもの
が知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来のチャイ
ルドシート付き車両用シートにおいては、いずれのもの
においても二重構造となったシート部材を開くことによ
り、通常時は利用されていない面を座面としている。す
なわち、本来使用されている柔らかな座面を裏返しにし
て使用することになり、有効的な利用方法ではないとい
わざるをえなかった。本発明は、上記課題にかんがみて
なされたもので、柔らかな座面を有効に利用することが
可能なチャイルドシート付き車両用シートの提供を目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１にかかる発明は、シートクッションとシー
トバックとからなるチャイルドシート付き車両用シート
において、上記シートクッションの座面側の一部を脱着
可能としてチャイルドシートクッションを備えるととも
に、取り外したチャイルドシートクッションをシートバ
ックに対して突き出るように固定する固定機構を備え、
かつ、一端を相手側チャイルドシートベルトに連結可能
なチャイルドシートベルトの他端をチャイルドシートク
ッションの下面に固定するとともに、上記チャイルドシ
ートクッションの前端寄りの中央部分から奥側に向けて
切り込みを形成し、前記チャイルドシートを使用しない
ときは前記チャイルドシートベルトを前記チャイルドシ
ートクッションの裏側に固定し、前記チャイルドシート
ベルトを使用するときは上記チャイルドシートベルトを
当該切り込みを介してチャイルドシートクッションの前
端より中央部分から上方へ導出可能に構成してある。ま
た、請求項２にかかる発明は、請求項１に記載のチャイ
ルドシート付き車両用シートにおいて、前記シートバッ
クの一部を脱着可能な胴当てパッドとし、前記胴当てパ
ッドの裏面にはＵ字状の前記相手側チャイルドシートベ
ルトが配設されており、前記相手側チャイルドシートベ
ルトの両端は前記シートバックに固定された構成として
ある。

【０００６】

【０００７】

【作用】上記のように構成した請求項１にかかる発明に
おいては、シートクッションの座面側の一部が脱着可能
なチャイルドシートクッションとなっており、当該チャ
イルドシートクッションを取り外して固定機構によりシ
ートバックに対して突き出るように固定するとシートク
ッションの座面とシートバックの座面とを座面とするチ
ャイルドシートが完成する。

【０００８】また、チャイルドシートベルトがチャイル
ドシートクッションの下面に固定されており、使用時に
はチャイルドシートクッションの前端寄りの中央部分か
ら奥側に向けて形成した切り込みを介して上方へ導出
し、他端に備えた係止部材にて相手側シートベルトに連
結する。さらに、請求項２にかかる発明においては、子
供をチャイルドシートクッションに座らせ、Ｕ字状の相
手側チャイルドシートベルトと胴当てパッドの間に頭を
くぐらせて当該胴当てパッドを胴の前にあてる。そし
て、相手側チャイルドシートベルトとチャイルドシート
ベルトとを連結させる。

【０００９】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、シートク
ッションの座面側の一部を取り外してシートバックから
突き出るようにしてチャイルドシートとするため、完成
されるとシートクッションの座面とシートバックの座面
とが座面となり、本来利用している柔らかな座面を有効
に利用することが可能なチャイルドシート付き車両用シ
ートを提供することができる。

【００１０】また、普段はチャイルドシートベルトがシ
ートクッションの裏側に保持されるので、座面に不用な
突起や収納位置が現われておらず、座り心地がよく、必
要時には容易にチャイルドシートベルトを表側に引き出
して使用することができる。

【００１１】

【実施例】以下、図面にもとづいて本発明の実施例を説
明する。図１は本発明の一実施例にかかるチャイルドシ
ート付き車両用シートにおけるチャイルドシートの収容
状態を透視斜視図により示しており、図２は使用状態を
斜視図により示している。同図において、シートクッシ
ョン１０は図示しないクッションフレームにパッドを保
持させて構成されており、座面の中央部分は概ねフラッ
トとなっており、両側部分は中央部分よりも盛り上がる
ように形成されている。中央部分においては前後方向中
程にて分割されており、前方側の矩形部分が図３および
図４に示すよう他の部分とは別体で脱着可能なチャイル
ドシートクッション１１となっている。

【００１２】チャイルドシートクッション１１において
も内部には図示しないクッションフレームが配設されて
おり、両側面の後方寄り部分から後方に向かって突き出
る平板状のアーム（受け側係合部材）１２，１２が固定
されている。アーム１２の先端は下方に突き出るととも
にさらに前方へ逆戻りしてフック状に形成されている。
なお、アーム１２，１２はチャイルドシートクッション
１１がシートクッション１０に組み込まれているときに
は中央部分と両側部分のパッドの隙間に収容されてい
る。また、両側面の前方より部分には外方に向かって支
持ピン１３，１３が立設されており、その先端には鍔状
のフランジ１３ａ，１３ａが形成されている。さらに、
下面には留め具２１にて下側チャイルドシートベルト２
２の一端が固定されており、同下側チャイルドシートベ
ルト２２の他端にはバックル２３が連結されている。こ
の下側チャイルドシートベルト２２に対応してチャイル
ドシートクッション１１の前端から上下方向に貫通する
スリット１４が形成されている。このスリット１４は前
端から後方に向かって直線上に切り込まれ、先端部分は
横方向に切り込まれてＴ字状に形成されている。

【００１３】一方、シートバック３０も図示しないバッ
クフレームにパッドを保持させて構成されており、座面
の中央部分は概ねフラットとなっており、両側部分は中
央部分よりも盛り上がるように形成されている。また、
バックフレームにはシートバック３０の下方寄りの部分
でそれぞれ高さを変えて三本の円筒パイプ（支持側係合
部材）３１ａ〜３１ｃが支持されている。円筒パイプ３
１はパッドにおける中央部分と両側部分との接続部分を
横切るように配設されており、この接続部分では円筒パ
イプ３１の全面を遮らないようにパッドを分離して形成
してある。なお、円筒パイプ３１はアーム１２の先端の
フックに係止可能な径となっている。

【００１４】シートバック３０の中央部分における上端
寄りの矩形部分も、図２および図５に示すように脱着可
能とな胴当てパッド（胴当て部材）３２となっている。
胴当てパッド３２の裏面には下方の両側寄り部分と上方
の中央部分にそれぞれスリット３３，３３，３３が形成
されており、Ｕ字状の上側チャイルドシートベルト２５
がＵターン部を中央のスリット３３から外へ出し、二本
の端部をそれぞれ両側のスリット３３，３３から外へ出
すようにして配設されている。上側チャイルドシートベ
ルト２５の両端はシートバック３０における胴当てパッ
ド３２の取付位置の下端部分に固定され、中央のＵター
ン部分には上記バックル２３と脱着可能に係止するタン
グ２６を挿通している。

【００１５】シートバック３０における胴当てパッド３
２の取付位置の両側端部分にはシートベルトと同じ素材
からなるベルト状のウェビング（リンク機構）２７，２
７の一端が固定されている。ウェビング２７の他端に
は、図６に示すようにハトメ状の留め金具（長さ調整機
構）２７ａが一列状に三ヵ所に固定されている。この留
め金具２７ａの内径は上記支持ピン１３の先端のフラン
ジ１３ａを挿通可能な径としてある。

【００１６】次に、上記構成からなる本実施例の使用方
法を説明する。チャイルドシートを使用しないときは、
図１に示すように、チャイルドシートクッション１１は
シートクッション１０と一体となっており、胴当てパッ
ド３２はシートバック３０と一体となっている。上述し
ように、下側チャイルドシートベルト２２はチャイルド
シートクッション１１の裏側に固定されており、チャイ
ルドシートクッション１１の前端にスリット１４が形成
されているだけなので、大人が座っている場合には全く
違和感がない。チャイルドシートを完成させる場合、ま
ず、チャイルドシートクッション１１を取り外す。チャ
イルドシートクッション１１は本実施例の場合、図示し
ないマジックテープ（マジックテープは登録商標）にて
シートクッション１０に固定されており、容易に取り外
すことができる。取り外したら、図４の二点鎖線で示す
ようにして収容されている下側チャイルドシートベルト
２２を引き出し、ベルト部分をチャイルドシートクッシ
ョン１１のスリット１４に押し込む。ベルト部分をスリ
ット１４の奥における幅方向に切り込まれている部分ま
で押し込んだら、バックル２３を把持して強く引っ張っ
てスリット１４の下側に遊び部分がないようにしてお
く。

【００１７】次に、取り外したチャイルドシートクッシ
ョン１１を保持して、アーム１２，１２の先端がシート
バック３０における中央のパッドと側方のパッドとの隙
間にそれぞれ入り込むようにして差し込む。差し込むと
きには円筒パイプ３１のおおよその位置の検討を当てて
差し込む。これは子供の大きさにあわせてクッションの
座面が高い方がよいなら円筒パイプ３１ａの少し上方に
差し込めば良いし、低いほうがよいなら円筒パイプ３１
ｃの少し上方に差し込めばよい。アーム１２，１２を差
し込んだら、今度はチャイルドシートクッション１１を
シートバック３０のパッドに抗して押し込みながら下方
に押し下げる。そして、アーム１２の先端のフックの部
分に円筒パイプ３１が入ったら、力を抜く。このよう
に、チャイルドシートクッション１１は常にシートバッ
ク３０のパッドで前方に付勢されているので、アーム１
２のフックに円筒パイプ３１が入り込み、簡単には外れ
ないようにしている。

【００１８】胴当てパッド３２もシートバック３０に対
してマジックテープで固定されており、この胴当てパッ
ド３２を外してウェビング２７，２７を取り出す。ウェ
ビング２７の先端には三つの留め金具２７ａが取り付け
られているので、チャイルドシートクッション１１の側
面の支持ピン１３を挿入して吊り下げたときに当該チャ
イルドシートクッション１１が概ね水平となるいずれか
の留め金具２７ａを選択する。例えば、アーム１２を円
筒パイプ３１ａに係合させているときには、一番上の留
め金具２７ａを選択すればよいし、円筒パイプ３１ｃな
らば一番下の留め金具２７ａを選択する。

【００１９】これで組付が完成するので、子供をチャイ
ルドシートクッション１１に座らせ、Ｕ字状の上側チャ
イルドシートベルト２５と胴当てパッド３２の間に頭を
くぐらせて当該胴当てパッド３２を胴の前にあてる。そ
して、上側チャイルドシートベルト２５が挿通している
タング２６と下側チャイルドシートベルト２２のバック
ル２３とを連結させれば、子供は安全に搭乗することが
できる。このとき、子供の足はチャイルドシートクッシ
ョン１１を取り外した穴の位置にあたるため、シートク
ッション１０の座面が汚れることもない。

【００２０】このように、シートクッション１０の座面
の一部であるチャイルドシートクッション１１を取り外
し、上面を上に向けたまま後端から突き出ているアーム
１２，１２をシートバック３０の内部の円筒パイプ３１
に係合させた後、当該シートバック３０の上方に連結さ
れているウェビング２７，２７をチャイルドシートクッ
ション１１の側面の支持ピン１３，１３に留めてチャイ
ルドシートクッション１１を吊り下げ固定している。こ
の結果、チャイルドシートの座面はクッションの側もバ
ックの側も本来のシートクッション１０とシートバック
３０の座面を利用することになり、柔らかな座面に子供
を座らせることができる。

【００２１】なお、上述した実施例は本発明の一実施例
に過ぎず、その要素を変更しないかぎりにおいて、本発
明に含まれることはいうまでもない。例えば、アーム１
２と円筒パイプ３１を係合させてチャイルドシートクッ
ション１１を所定の高さ位置に保持するようにしている
が、係合機構としては他の係合機構、例えば、シートバ
ック３０の側に複数の係合穴を設けておいてチャイルド
シートクッション１１の側からいずれかの係合穴に押し
込んで係合する係合片を備えるようにするなどしてもよ
い。また、布状のウェビング２７の代わりに金属や樹脂
のアームでリンク機構を構成してもよい。スリット１４
についても開口幅を大きくして挿入しやすくしてもよ
い。チャイルドシートクッション１１や胴当てパッド３
２の固定はマジックテープを使用せずに凹凸係合機構で
構成してもよい。チャイルドシートクッション１１の場
合、シートクッション１０での収容状態でアーム１２の
先端のフックが係合可能なように当該シートクッション
１０の内部に円筒パイプを配設してもよい。さらに、固
定されたアーム１２の代わりに回動可能な平行アームを
前後に配設し、チャイルドシートクッション１１が平行
な状態を保ったままシートバック３０の側に向かって移
動するようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例にかかるチャイルドシート付
き車両用シートにおけるチャイルドシートの収容状態を
示す透視斜視図である。

【図２】チャイルドシート付き車両用シートの使用状態
を示す斜視図である。

【図３】チャイルドシートクッションの斜視図である。

【図４】チャイルドシートクッションの側面図である。

【図５】胴当てパッドの斜視図である。

【図６】ウェビングの下端の斜視図である。

【図７】従来のチャイルドシート付き車両用シートの斜
視図である。

【符号の説明】

１０…シートクッション １１…チャイルドシートクッション １２…アーム １３…支持ピン １４…スリット ２２…下側チャイルドシートベルト ２７…ウェビング ２７ａ…留め金具 ３０…シートバック ３１（３１ａ〜３１ｃ）…円筒パイプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60N 2/26

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッションとシートバックとから
   なるチャイルドシート付き車両用シートにおいて、上記
   シートクッションの座面側の一部を脱着可能としてチャ
   イルドシートクッションを備えるとともに、取り外した
   チャイルドシートクッションをシートバックに対して突
   き出るように固定する固定機構を備え、かつ、 一端を相手側チャイルドシートベルトに連結可能なチャ
   イルドシートベルトの他端をチャイルドシートクッショ
   ンの下面に固定するとともに、上記チャイルドシートク
   ッションの前端寄りの中央部分から奥側に向けて切り込
   みを形成し、前記チャイルドシートを使用しないときは
   前記チャイルドシートベルトを前記チャイルドシートク
   ッションの裏側に固定し、前記チャイルドシートを使用
   するときは上記チャイルドシートベルトを当該切り込み
   を介してチャイルドシートクッションの前端より中央部
   分から上方へ導出可能に構成したことを特徴とするチャ
   イルドシート付き車両用シート。
2. 【請求項２】 前記シートバックの一部を脱着可能な胴
   当てパッドとし、前記胴当てパッドの裏面にはＵ字状の
   前記相手側チャイルドシートベルトが配設されており、
   前記相手側チャイルドシートベルトの両端は前記シート
   バックに固定されていることを特徴とする請求項１に記
   載のチャイルドシート付き車両用シート。