JP3527585B2 - 病害抵抗性誘導物質により誘導される遺伝子のプロモーター - Google Patents
病害抵抗性誘導物質により誘導される遺伝子のプロモーターInfo
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Description
ロモーターおよびその用途に関する。
の植物における遺伝子組み換え技術の発達により、比較
的自由に外来遺伝子を植物に導入し、発現させることが
可能となった。しかしながら、実用上有用な新植物種を
遺伝子組み換えにより作出するためには、単に外来遺伝
子を植物体中で恒常的に高いレベルで発現させればよい
のではない。むしろ、発現を制御する技術が重要であ
る。
ターと呼ばれる構造遺伝子の5′上流領域が関わってい
ることが知られている。プロモーターによる発現制御は
植物において遺伝子組み換えにより容易に解析すること
ができる。近年、化学物質により発現が制御されるプロ
モーターとしては、サリチル酸により誘導されるタバコ
のpathogenesis-related 1a protein遺伝子のプロモー
ター(Ohshima, M. etal. (1990) The Plant Cell 2, 9
5-106)やジャスモン酸メチルにより誘導されるジャガ
イモのproteinase inhibitorII遺伝子のプロモーター
(Xu, D. et al.(1993) Plant Molecular Biology 22,
573-588)などが報告されてきた。しかし、これらの化
学物質は環境中での安全性や植物に対する毒性が問題で
ある。従って、安全性が高く、利用容易な化学物質によ
り発現が制御されるプロモーターが望まれている。
2,6-ジクロロ-イソニコチン酸(Metraux, J.P. et al.
(1991)Advances in Molecular Genetics of Plant-Mi
crobeInteractions Vol. 1, 432-439)、N-シアノメチ
ル-2-クロロ-イソニコチン酸(Seguchi, K. et al.(19
92)J. Pesticide Sci. 17, 107-113)、プロベナゾー
ル(Watanabe, T. et al. (1977) J. Pesticide Sci.
2, 291-296)等の物質が知られている。これらの物質の
作用メカニズムとしては以下のように考えられている。
病害抵抗性誘導物質で植物体を処理することにより、そ
の植物体の中で病害抵抗性関連遺伝子の発現が誘導され
る。その結果、病害抵抗性が誘導されると考えられてい
る(Ward, E.R. et al. (1991) The Plant Cell 3, 108
5-1094;南ら (1992) 植物防疫 46, 32-35)。実際にそ
れらの遺伝子のいくつかはクローニングされている。こ
れらの病害抵抗性誘導物質の中でもプロベナゾールは、
イネいもち病、イネ白葉枯病、イネもみ枯細菌病、キュ
ウリ斑点細菌病、レタス腐敗病、キャベツ黒腐病、ハク
サイ軟腐病、ピーマン斑点病などの防除剤(商品名:オ
リゼメート粒剤)として実用化されている。また、その
安全性も証明されている。
遺伝子としては、南らによりクローニングされたpPB-1
(Minami, E., and Ando, I. (1994) J. Pesticide Sc
i. 19,79-83)、および本発明者らのクローニングした
イネ病害抵抗性関連遺伝子(特願平5-349043)(PBZ1と
命名)が報告されている。これらの遺伝子の中で、PBZ1
遺伝子はプロベナゾールによる誘導が極めて強い。ま
た、プロベナゾールのみならず、N-シアノメチル-2-ク
ロロ-イソニコチン酸によっても誘導されることが明ら
かとなっており(特願平5-349043)、プロベナゾール以
外の病害抵抗性誘導物質によっても幅広く誘導されると
考えられている。以上のことから、農薬として長く使用
され、安全性が証明されているプロベナゾールにより誘
導されるPBZ1遺伝子のプロモーターをクローニングする
ことが望まれる。
のプロモーターをクローニングした。更に、本発明者ら
はこのプロモーターの活性化が、異種植物内においても
病害抵抗性誘導物質により誘導されることを見出し本発
明に至った。
る。すなわち、配列番号1もしくは2に示す塩基配列か
らなるDNAであり、プロベナゾールにより活性化されるP
BZ1遺伝子のプロモーターである。また本発明は、配列
番号1もしくは2に示す塩基配列からなるDNAの下流に
有用な遺伝子を連結させ、それを導入して得られた形質
転換植物体、並びに前記形質転換植物体中の有用な遺伝
子の発現を病害抵抗性誘導物質処理により誘導する方法
を提供する。
り誘導される遺伝子のプロモーターは、以下の2方法に
よりクローニングすることができる。一つ目は病害抵抗
性誘導物質により植物体中で誘導される遺伝子のcDNAを
プローブとして用い、植物ゲノムライブラリーからプラ
ークハイブリダイゼーションを行うことによってクロー
ニングする方法である。二つ目は植物ゲノム遺伝子を適
当な制限酵素で切断後、セルフライゲーションを行い、
cDNA配列中の適当なプライマーからPCRでクローニング
する方法である。また、クローニングした遺伝子のプロ
モーターの塩基配列は、ジデオキシ法により市販のキッ
トを用いて決定することができる。さらに、プロモータ
ーの転写開始点は、プライマーエクステンション法やS1
マッピング法等により決定することができる。
流に連結する有用な遺伝子としては、例えば抗菌活性を
もつ遺伝子、殺虫活性を有する遺伝子、除草剤耐性の遺
伝子、作物や花卉の開花を誘導する蛋白質の遺伝子、花
の色素形成に係わる遺伝子等が挙げられる。抗菌活性を
もつ遺伝子としては、例えばキチナーゼ遺伝子、グルカ
ナーゼ遺伝子、リゾチーム遺伝子、セクロビン遺伝子な
どが挙げられる。また、殺虫活性を有する遺伝子として
は、例えばBT(Bacillus thuringi
ensis)殺虫蛋白質の遺伝子、プロテアーゼインヒ
ビター遺伝子等が挙げられる。また、除草剤耐性の遺伝
子としては、例えばビアラホス耐性遺伝子、グリホセー
ト耐性遺伝子、スルホニルウレア系除草剤耐性遺伝子等
が挙げられる。また、作物や花卉の開花を誘導する蛋白
質の遺伝子としては、例えばフロリンゲンの生成に関与
する遺伝子が挙げられる。また、花の色素形成に係わる
遺伝子としては、 例えばカルコンシンターゼ遺伝子や
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ遺伝子等が挙げら
れる。
連結させ、それを導入した植物体を用いることにより、
レポーター遺伝子の発現を誘導する(例えば、病害抵抗
性を誘導する)物質を探索することにも利用可能であ
る。このような目的に使用されるレポーター遺伝子とし
ては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラー
ゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、ルシフ
ェラーゼ遺伝子、Green fluorescent
protein遺伝子等が挙げられる。
した組み換えDNAの植物体への導入は以下のように行
う。すなわち、その組み換えDNAにカナマイシンやビア
ラホス等の薬剤に対する耐性遺伝子の選択マーカーを組
み込んだベクターを構築し、パーティクルガン法、PEG
法、エレクトロポーレーション法、マイクロインジェク
ション法等の直接導入法、又はアグロバクテリウムのTi
プラスミドベクターによる間接導入法等によりそのDN
Aを植物体へ導入する。遺伝子導入される植物体として
は、例えば、イネ、トウモロコシ、コムギ、タバコ、ア
ラビドプシス、ダイズ等が挙げられる。並びにそれらは
単子葉、双子葉植物のいずれでもよく、その種類を問わ
ない。
させ、それを導入した形質転換植物体中の、有用な遺伝
子の発現の誘導は、その形質転換植物体をプロベナゾー
ルやN-シアノメチル-2-クロロ-イソニコチン酸等の病害
抵抗性誘導物質で処理することにより行う。植物体がカ
ルスの場合の処理法としては、液体培地や固体培地中に
病害抵抗性誘導物質を添加するか、もしくは直接カルス
に薬液を付着させる方法等が挙げられる。植物体が完全
植物体の場合の処理法としては、その茎葉部に病害抵抗
性誘導物質をスプレー等で散布するか、もしくは土壌や
水耕液に添加する方法が挙げられる。
のプロモーターのクローニング
目のイネ(Oryza sativa L. cv. Jikkoku)の地上部か
ら、植物バイオテクノロジー実験マニュアル「クローニ
ングとシークエンス」(農村文化社,1989)に記載のCT
AB(Cetyl trimethyl ammonium bromide)による抽出法
に従ってゲノムDNAを単離した。単離したゲノムDNAは、
上記マニュアル記載の方法に従って、Sau3AIにより部分
分解した。得られたDNA断片をアルカリフォスファター
ゼにより処理し、DNA断片の5′末端を脱リン酸化した
後、この断片をファージベクターのLambda DashII(ス
トラタジーン社)に組み込んだ。このようにして得られ
た組み換えファージベクターを、GigapackIIXL Packagi
ng Extract(ストラタジーン社)により、添付のマニュ
アルに従ってin vitroパッケージングした後、この組み
換えファージを大腸菌(XL1-Blue MRA(P2))に感染さ
せ、プレートにて培養しプラークを形成させた。
ング Hybond-N+メンブレン(アマシャム社)を、上記のプラ
ークの形成されたプレート上にのせ、プラークを付着さ
せた。次に、このメンブレンを0.5 M水酸化ナトリウム
によりアルカリ処理し、メンブレン上の組み換えファー
ジDNAを一本鎖に変性し吸着させた。一方、プローブと
しては、PBZ1遺伝子のcDNAを、Ready ToGo DNA Labelli
ng Kit(ファルマシア社)を用い、添付のマニュアルに
従って、〔α-32P〕dCTPによりRIラベルした後、熱変性
させたものを用いた。次に、上記のプラークが付着した
メンブレンをポリエチレン袋に入れ、Hybridization Bu
ffer Tablets(アマシャム社)を用いて調製したバッフ
ァーを添加し密封後、65℃で1時間インキュベーション
した。これに、上記プローブを加え、65℃で一晩ハイブ
リダイゼーションを行った。次に、2×SSC(1×SSC:15
0 mM NaCl, 15 mMクエン酸)-0.1%SDSを用い、室温で
洗浄した後、1×SSC-0.1%SDSを用い、65℃で1時間洗浄
し、さらに0.1×SSC-0.1%SDSを用い、65℃で1時間洗浄
した。このようにしてRIラベルしたプラークをオートラ
ジオグラフィーにより検出し、プローブに強くハイブリ
ダイズするクローンを選抜した。この陽性クローンから
制限酵素を用いてPBZ1遺伝子のcDNAに相同な領域および
その5′上流域(SacI-EcoRI断片約3.2 Kb)を切り出
し、pBluescriptII(ストラタジーン社)にサブクロー
ニングした。
ら、Kilo-Sequence用Deletion Kit(タカラ社)を用
い、添付のマニュアルに従って、組み込まれたDNA断片
の長さが約300 bpずつ短くなったディリーションクロー
ンを作成した。さらに、これらのディリーションクロー
ンから、添付のマニュアルに従って1本鎖DNAを調製し
た。1本鎖DNAの塩基配列の決定は、蛍光プライマーサ
イクルシーケンシングキット(アプライドバイオシステ
ムズ社)を用い、添付のマニュアルに従って反応を行
い、370A DNAシーケンサー(アプライドバイオシステム
ズ社)によって解析することにより行った。このように
して決定した約3.2 KbのDNA断片の塩基配列を配列表の
配列番号1に示した。このゲノムDNA断片中の翻訳領域
の塩基配列は、PBZ1 cDNAの翻訳領域の塩基配列と完全
に一致したため、このゲノム遺伝子は、PBZ1遺伝子その
ものであることが明らかとなった。また、PBZ1遺伝子中
には321 bpからなるイントロンが一つ存在することが明
らかとなった。
ーエクステンション法による決定 4−1.全RNAの抽出 播種後2週間目のイネ(Oryza sativa L. cv. Jikkoku)
に、100 mg/lのプロベナゾール(1%アセトン, 500 mg/
l Tween20を含む)またはコントロールとして1%アセト
ン, 500 mg/l Tween20を温室内にて水面施用した。全RN
Aの抽出は、処理後6日目に収穫した茎葉部から、植物バ
イオテクノロジー実験マニュアル「クローニングとシー
クエンス」(農村文化社,1989)に記載のSDS-フェノー
ル法に従って行った。
む5′-GAGCCATCACTGAAGATATA-3′のオリゴヌクレオチド
を合成して、これを使用した。このプライマーの5′末
端の標識は、Megalabel DNA 5′末端標識キット(タカ
ラ社)により、〔γ-32P〕ATPを用い、添付のマニュア
ルに従って行った。
トラタジーン社)により、添付のマニュアルに従って精
製した。次に、50 ngの精製した標識プライマーと50μg
のプロベナゾール処理したイネから抽出した全RNAまた
はコントロールのイネから抽出した全RNAを、全量15μl
の10 mM Tris-HCl, 1mM EDTA, 150 mM KCl(pH 8.3)中
で65℃に90分間保持し、ハイブリダイズさせた。これを
約70分間室温に放置した後、30μlの30 mM Tris-HCl, 1
5 mM MgCl2, 8.25 mM DTT, 0.75mM dNTP, 225 ng/μl a
ctinomycin D, 40 units HPRNI, 12 units AMV reverse
transcriptase(pH 8.3)を添加し、42℃で60分間反応
させ、プライマーから転写開始点の位置まで伸長したDN
A鎖を作成した。さらに、この反応液に105μlの20 ng/
μl RNase A, 10 mM Tris-HCl, 1mM EDTA, 100 mM NaCl
(pH 8.0)を添加し、37℃で15分間反応させてRNAを分
解した後、フェノール抽出、エタノール沈殿を行いサン
プルを精製、濃縮した。
により作成したDNA鎖の検出 プライマーエクステンション反応により作成したDNA鎖
の検出は、PBZ1ゲノム遺伝子の5′上流域を含むDNA断片
を組み込んだpBluescriptIIの上記標識プライマーから
のシークエンス反応物を同時にシークエンスゲルで電気
泳動することにより行った。PBZ1ゲノム遺伝子の5′上
流域を含むDNA断片を組み込んだ組み換えpBluescriptII
のジデオキシ法によるシークエンス反応は、プライマー
エクステンションに用いた標識プライマーを用いて、Bc
aBEST Dideoxy Sequencing Kit(タカラ社)により、添
付のマニュアルに従って行った。このシークエンス反応
物とプライマーエクステンション反応により作成したDN
A鎖のシークエンスゲルによる電気泳動は、6%ポリアク
リルアミドゲル(36 cm)を用い、植物バイオテクノロ
ジー実験マニュアル「クローニングとシークエンス」
(農村文化社,1989)に記載の方法に従って行った。電
気泳動終了後、シークエンスゲルを3MM濾紙に移した
後、ゲルドライヤーにてシークエンスゲルを乾燥し、オ
ートラジオグラフィーによりシークエンスラダーとプラ
イマーエクステンション反応により作成したDNA鎖のバ
ンドを検出した。プライマーエクステンション反応によ
り作成したDNA鎖の複数のバンドのうち、コントロール
では検出されず、プロベナゾール処理により出現するバ
ンドが、病害抵抗性誘導物質により誘導される遺伝子の
真の転写開始点であると考えられた。従って、主な転写
開始点は、翻訳開始コドンの100 bp前と決定され、プロ
モーターの位置を正確に知ることができた。
のプロモーター活性の検定 1.植物への遺伝子導入用ベクターの構築 PBZ1ゲノム遺伝子の5′上流域のHaeIII断片1395 bp(-1
285〜+110)(配列番号2)をレポーター遺伝子であるG
US遺伝子とマーカー遺伝子として植物で発現可能なカナ
マイシン耐性遺伝子(NPTII)を含むpBI101.2(クロー
ンテック社)のSmaI部位に、HaeIII断片中の翻訳開始コ
ドンがGUS遺伝子の上流に連結されるように挿入した。
このプラスミドをpTGPZ1(図1)と命名した。このプラ
スミドを、ラボマニュアル「植物遺伝子の機能解析」
(丸善株式会社,1992)に記載のトリペアレンタル
・メーティングにより、大腸菌中のpTGPZ1を、ヘ
ルパープラスミドであるpRK2013を用いることに
より、アグロバクテリウム(LBA4404)に移し、
形質転換アグロバクテリウムを得た。
の遺伝子導入は、ラボマニュアル「植物遺伝子の機能解
析」(丸善株式会社,1992)に記載の方法に従い、無菌
植物のリーフディスクに上記形質転換アグロバクテリウ
ムを感染させ、カルベニシリンで除菌後、カナマイシン
耐性の植物体を再分化させることにより行った。このよ
うにして得られたタバコ形質転換体の確認は、PCRによ
り、導入したPBZ1プロモーターとGUS遺伝子のキメラ遺
伝子断片を増幅することにより行った。導入したキメラ
遺伝子の存在が確認されたタバコ形質転換体は、土壌を
つめたプラスチックポットに移植した後、温室にて育成
し、自家受粉により種子を得た。
より滅菌し、100μg/mlのカナマイシンの入ったMS培地
に置床した。25℃、連続照明下で発芽させ、11日目に、
カナマイシン耐性の見られた植物体を土壌をつめたプラ
スチックポットに植え換えた(2個体/ポット)。その
後、温室(昼25℃/夜20℃)にて育成し、植え換え後18
日目に、病害抵抗性誘導物質によるPBZ1遺伝子のプロモ
ーターの活性化について検討した。プロモーター活性の
検定は、GUS活性を測定することにより行った。100 mg/
lのプロベナゾール(1%アセトン, 500 mg/l Tween20を
含む)またはコントロールとして1%アセトン, 500 mg/
l Tween20を、各3ポットのタバコ形質転換体(計6個
体)に、茎葉部全体が薬液で塗れるように散布処理(散
布圧0.5 kg/cm2)した。散布後、再度温室にて栽培し、
3日後に地上部を収穫した。
0 mM NaH2PO4, 10 mM EDTA, 0.1%Triton X-100, 0.1%
Sarkosyl, 10 mM β-メルカプトエタノール (pH 7.
0))を添加し、氷上で超高速ホモジナイザーにて磨砕し
た。1.5 mlのマイクロチューブに磨砕液を移し、12000
rpm, 4℃で10分間遠心した後、上清中の蛋白質含量をプ
ロテインアッセイ(バイオラッド社)を用い、BSAをス
タンダードとして、添付のマニュアルに従って定量し
た。全量50μlの抽出用緩衝液中、終濃度1 mMの4-methy
l umbelliferyl glucuronide(MUG)を基質とし、蛋白
質量として10μgの植物磨砕液の遠心上清を用い、96穴
の蛍光測定用マイクロプレートにて反応を行った。反応
は37℃で1時間行い、150μlの0.2 M Na2CO3を添加する
ことにより反応を止めた。その後、355 nmの励起光によ
る460 nmの放出スペクトルを測定し、ブランクとして基
質のみを、スタンダードとして0.1μMおよび1.0μM 4-m
ethyl umbelliferone(4-MU)を同時に測定することに
より、単位時間、単位蛋白質量当たりの4-MUの生成量
(pmol 4-MU/min/mg protein)を求めた。その結果を図
2に示した。プロベナゾール処理したタバコ形質転換体
はコントロールに比べて約6倍の活性上昇を示し、プロ
ベナゾールによるPBZ1プロモーターの誘導が確認され
た。
のプロモーター活性の検定 1.植物への遺伝子導入用ベクターの構築 PBZ1ゲノム遺伝子の5'上流域のHaeIII断片1395 bp
(-1285〜+110)(配列番号2)を、その翻訳開始コド
ンがレポーター遺伝子であるGUS遺伝子の上流に配置さ
れるように連結した。これをpBluescriptII(ストラタ
ジーン社)のマルチクローニングサイト中のSmaIとEcoR
Iサイトの間に挿入した。このプラスミドをpRGPZ1(図
3)と命名した。pRGPZ1中のPBZ1ゲノム遺伝子の5'上流
域とGUS遺伝子の結合部位は、pTGPZ1(図1)と同一であ
る。
た。pRGPZ1導入植物の選抜のため、マーカー遺伝子であ
るビアラホス耐性遺伝子を保持するpUBA(Toki,S. et a
l. (1992) Plant Physiology 100, 1503-1507)をpRGPZ
1と共に植物体に導入した。pRGPZ1とpUBAをそれぞれ大
腸菌中で増幅し、Molecular Cloning(Cold Spring Har
bor Laboratory, 1982)に記載のAlkaline Lysis Metho
dにてプラスミドDNAを抽出した。2mgの金粒子(平均直
径1μm)に対して4μgのpRGPZ1と4μgのpUBAを添加し
混合した。エタノール沈殿を行い、pRGPZ1とpUBAのコー
ティングされた金粒子を調製した。金粒子を70%エタノ
ールに懸濁した後、プラスチック製の弾丸上にのせて乾
燥させた。パーティクルガンとしては圧搾空気射出型の
レーボック商工株式会社モデル260を用いた。カルス形
成用培地にて1週間培養したイネ(Oryza sativa L. c
v. Nipponbare)の種子胚に、弾丸上の金粒子をパーテ
ィクルガンにより撃ち込んだ。金粒子が撃ち込まれた種
子胚をビアラホスの入った選抜用培地にて培養した。こ
こで増殖したカルスの遺伝子導入の確認は、PCRによ
り、導入したPBZ1プロモーターとGUS遺伝子のキメラ遺
伝子断片を増幅することにより行った。導入したキメラ
遺伝子の存在が確認されたカルスは再分化培地に移植し
た。再分化した植物体は、土壌の入ったポットに植え換
え、温室内にて育成した。生育が進み分げつした株を分
離し、各々の個体をポットに植え換え(1個体/ポッ
ト)、さらに育成を続けた。盛んに生育し、生育の程度
が同等な株について以下のプロモーター活性の検定を行
った。
様、GUS活性を測定することにより行った。イネ形質転
換体が生育しているポット(各6ポット)を、100 mg/l
のプロベナゾール(1%アセトン, 500 mg/l Tween20を
含む)またはコントロールとして1%アセトン, 500 mg
/l Tween20中に浸せきし、根部から薬液を吸収させた。
温室内にて6日間薬液を吸収させた後、最上位葉から2
番目に位置し、既に展開の終了している葉を収穫した。
収穫後、ただちに液体窒素にて凍らせ、乳鉢と乳棒を用
いて磨砕した。10倍量の抽出用緩衝液を添加し、遠心す
ることにより粗抽出液を得た。粗抽出液のGUS活性の測
定は、前記実施例2.の3.に記載の方法に従って行っ
た。その結果を図4に示す。プロベナゾール処理したイ
ネ形質転換体はコントロールに比べて約5倍の活性上昇
を示し、プロベナゾールによるPBZ1プロモーターの誘導
が確認された。
活性化が誘導されるプロモーターは、有用な遺伝子と連
結し植物体に導入することにより、病害抵抗性誘導物質
で、その有用な遺伝子の発現を誘導するプロモーターと
して利用することができる。さらに、本発明の病害抵抗
性誘導物質により活性化が誘導されるプロモーターは、
レポーター遺伝子と連結し、それを導入した植物体を用
いることにより、レポーター遺伝子の発現を誘導する
(つまり病害抵抗性を誘導する)物質を探索するために
も利用することができる。
換体におけるGUS活性の誘導を示す。
体におけるGUS活性の誘導を示す。
Claims (7)
- 【請求項1】プロベナゾールにより誘導される遺伝子の
プロモーターであり、配列番号1の塩基配列からなるDN
A。 - 【請求項2】請求項1記載のDNAを含有する組み換えDN
A。 - 【請求項3】プロベナゾールにより誘導される遺伝子の
プロモーターであり、配列番号2の塩基配列からなるDN
A。 - 【請求項4】請求項3記載のDNAを含有する組み換えDN
A。 - 【請求項5】請求項1〜4記載のDNAの下流に有用な遺
伝子を連結している組み換えベクター。 - 【請求項6】請求項5記載の組み換えベクターを保持す
る形質転換植物体。 - 【請求項7】請求項6記載の形質転換植物体にプロベナ
ゾールを処理し、プロモーターの下流の有用な遺伝子の
発現を誘導する方法。
Priority Applications (1)
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JP08273896A JP3527585B2 (ja) | 1995-04-19 | 1996-04-04 | 病害抵抗性誘導物質により誘導される遺伝子のプロモーター |
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JPH09270A JPH09270A (ja) | 1997-01-07 |
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1996
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