JP3526816B2 - 歩行運動装置 - Google Patents

歩行運動装置

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JP3526816B2
JP3526816B2 JP2000203900A JP2000203900A JP3526816B2 JP 3526816 B2 JP3526816 B2 JP 3526816B2 JP 2000203900 A JP2000203900 A JP 2000203900A JP 2000203900 A JP2000203900 A JP 2000203900A JP 3526816 B2 JP3526816 B2 JP 3526816B2
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    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B2208/00Characteristics or parameters related to the user or player
    • A63B2208/03Characteristics or parameters related to the user or player the user being in water

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人が歩行運動を行
うための歩行運動装置に係り、特に、腰部及び下肢機能
障害を有する人の機能回復を目的とした医療用の歩行運
動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】腰部や下肢に機能障害を有する人がその
機能(運動能力)を回復するためには、その障害を有す
る部位の運動(所謂、リハビリテーション)を行う必要
がある。このような運動の代表的なものとして歩行運動
があり、歩行運動を行う(補助する)ための装置とし
て、例えば、コンベア状の無限軌道ベルトを備えた歩行
運動装置(例えば、所謂ルームランナ等)がある。
【0003】このような歩行運動装置では、腰部や下肢
に機能障害を有する人が無限軌道ベルト上を擬似歩行運
動することで障害を有する部位に実歩行と同等の運動を
行わせることができ、障害を有する部位の機能(運動能
力)の回復が図られるようになっている。
【0004】しかしながら、上記のような従来の歩行運
動装置では、障害を有する腰部や下肢でそのまま体重を
保持する構造であり傷害部位に疼痛を伴うため、立位で
擬似歩行を行うことが困難であった。また、上体で体重
の一部を保持するための体幹保持補助棒が備えられた歩
行運動装置も考案されているが、上体への負荷が大きく
なるため障害を有する部位に十分な(量または時間の)
運動を行わせることが困難であるという問題があった。
【0005】そこで、水が充填されたプール内で歩行を
行うリハビリテーションが考えられている。プール内で
は、水による浮力で体重の一部(臍高位の水中で略半
分)が保持されるため、障害部位に作用する体重が減じ
られ歩行が容易になる。また、プール内での歩行では、
水の流動抵抗に抗して歩行するため陸上歩行と比較して
運動量が増加し機能回復効果も優れている。
【0006】しかしながら、プールにはある程度の歩行
距離が必要であり、設備が大型でコストが高いという問
題があった。このため、水中で擬似歩行を行うための電
動式床ベルト移動型水中歩行器(水中トレッドミル)も
考案されているが、駆動装置が電動式のため、構造が複
雑でコストが高く、さらに水中において故障が多いとい
う問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事実を
考慮して、小型でかつ構造が簡単で、信頼性が高くなる
と共にコストを低くでき、腰部及び下肢に機能障害を有
する人への体重による負荷を軽減できると共に機能回復
効果が高い歩行運動装置を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明に係る歩行運動装置は、上部が開
口され、任意の水位まで内部に水を充填可能な水槽と、
互いに平行な状態で支持体に回転自在に保持された少な
くとも2本の回転体と当該各回転体に所定の張力で巻き
掛けられた無限軌道帯とを有し、前記水槽内の底部に配
置され、前記無限軌道帯上に乗った人の歩行力により駆
動されることで前記人が連続的に擬似歩行運動可能な歩
行器と、人の体幹に対応して装着可能に形成されると共
に長手方向の両端部がそれぞれ前記水槽に接続され、
記無限軌道帯上に乗った人が長手方向中間部を前記両端
部よりも後方で腰臀部高位に装着することで作用する張
力によって、前記人を後方から支持して該人を後傾させ
つつ該人の体重の一部または全部を保持する体幹保持ベ
ルトと、を備えたことを特徴としている。
【0009】請求項1記載の歩行運動装置では、人が水
槽内に入った状態で水槽内に所定の温度の水が所定の水
位まで充填され、この水位が保持される。
【0010】この状態で水槽内の人は歩行器上に乗り、
擬似歩行運動を行う。歩行器は回転自在に保持された少
なくとも2本の回転体に巻き掛けられた無限軌道帯を有
し、この無限軌道帯上に人が乗った状態で擬似歩行運動
を行うため、当該人の歩行力により無限軌道帯を介して
回転体が回転されると共に無限軌道帯が無限軌道移動さ
れ連続的に擬似歩行運動を行うことができる。また、擬
似歩行運動を行う人がその腰臀部高位体幹)に体幹保
持ベルトを装着した状態で、この体幹保持ベルトが水槽
に直接的または間接的に(例えば、請求項2に記載した
体幹保持補助棒を介して)接続される。この時、人はや
や後傾した姿勢(座した如き姿勢)をとり、腰臀部高位
に装着した体幹保持ベルトにてその体重の一部または全
部が保持される。
【0011】ここで、水槽内には水が充填されているた
め、人の体重の一部が水による浮力で保持され(例え
ば、臍高位の水位において体重の約半分が浮力により保
持される)、立位での擬似歩行運動が容易になる。特
に、腰部や下肢に機能障害を有する人にとっては、疼痛
が減少し陸上においては保持が困難な体重を保持可能と
なり、この状態で擬似歩行運動を行うことができる。
【0012】また、水中において水の流動抵抗に抗して
擬似歩行運動を行うため、陸上において同様の動作を行
った場合と比較してその運動量が増加し(例えば、臍高
位の水位において2割乃至3割の運動量増加となる)、
機能回復効果(リハビリテーション効果)も高くなる。
【0013】さらに、水中において立位で擬似歩行運動
(人の移動を伴わない運動)を行う構成のため、水槽は
この運動を妨げない必要最低限の大きさで足り、歩行運
動装置全体として小型化が図られる。また、歩行器は人
の歩行力により駆動される構成であるため、電力等のエ
ネルギー源や配線等の取合いが不要となり構造が簡単
で、これに伴い故障の恐れが少なく信頼性が高くなると
共に設備コスト及び運転コストが低減される。さらにま
た、擬似歩行運動を行う人がその腰臀部高位(体幹
おいて体重の一部または全部支持されるため、擬似歩
行運動に伴う上半身の動揺を低減でき、安定した状態で
擬似歩行運動を続けることができる。特に、腰部や下肢
に機能障害を有する人にとっては、姿勢を安定させるた
めに障害を有する部位に作用する負荷及びこれに伴う疼
痛が減じられ、機能回復に直接関与する擬似歩行運動の
みを効率良く行うことができる。しかも、上記のような
やや後傾した姿勢をとることで擬似歩行運動時における
下肢及び膝の屈曲度が増すため、機能回復(筋力強化)
に効果的な擬似歩行運動を行わせることができる。さら
に、人が後傾した重心を擬似歩行運動に伴って前方へ移
動させるように積極的に体重移動を行おうとするため、
機能回復に一層効果的な擬似歩行運動を行わせることが
できる。
【0014】なお、擬似歩行運動時の水槽内における水
位は、傷害の部位や程度に応じて適宜選択することがで
きる。
【0015】このように、請求項1記載の歩行運動装置
では、小型でかつ構造が簡単で、信頼性が高くなると共
にコストを低くでき、腰部及び下肢に機能障害を有する
人への体重による負荷を軽減できると共に機能回復効果
が高い。
【0016】請求項2記載の発明に係る歩行運動装置
は、請求項1記載の歩行運動装置において、前記水槽に
固定され、前記無限軌道帯状に乗った人が把持すること
でその体勢を維持可能に設けられた体幹保持補助棒を備
えた、ことを特徴としている。
【0017】請求項2記載の歩行運動装置では、水槽に
固定して設けられた体幹保持補助棒を人が把持した状態
でこの人が水中における擬似歩行運動を行う。このた
め、擬似歩行運動に伴って体勢(バランス)を崩すこと
なく容易に擬似歩行運動を続けることができる。特に、
腰部や下肢に機能障害を有する人は擬似歩行中に体勢を
崩す恐れが多いが、簡単な構造によりこれを排除するこ
とができ、腰部や下肢に機能障害を有する人でも容易に
擬似歩行運動を続けることができる。また、体幹保持ベ
ルトを装着した人が体幹保持補助棒を把持しながら擬似
歩行運動を行うことで体勢の安定及び機能回復の相乗効
果が得られる。すなわち、上記の体重移動に伴って人は
体幹保持補助棒を把持する上体に力を入れ体幹保持補助
棒に体を引きつける動作を行うため、下肢及び膝の屈曲
度がさらに増し、かつ安定した状態(姿勢)でより一層
効果的な擬似歩行運動を行うことができる。
【0018】このように、請求項2記載の歩行運動装置
では、小型でかつ構造が簡単で、信頼性が高くなると共
にコストを低くでき、腰部及び下肢に機能障害を有する
人への体重による負荷を一層軽減できると共に機能回復
効果が高い。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】請求項記載の発明に係る歩行運動装置
は、請求項1または請求項2記載の歩行運動装置におい
て、前記体幹保持ベルトは、前記無限軌道帯上に乗った
人の体格に応じて前記水槽内における装着位置を調整可
能である、ことを特徴としている。
【0026】請求項記載の歩行運動装置では、擬似歩
行運動を行う人の体格に応じて水槽内における体幹保持
ベルトの装着位置を調整可能であるため、1基の歩行運
動装置で様々な体格の人が水槽内の適切な位置において
体幹保持ベルトにてその体重の一部または全部を保持さ
れた状態で擬似歩行運動を行うことができる。
【0027】このように、請求項記載の歩行運動装置
では、小型でかつ構造が簡単で、信頼性が高くなると共
にコストを低くでき、腰部及び下肢に機能障害を有する
人への体重による負荷をより一層軽減できると共に機能
回復効果が一層高い。
【0028】請求項記載の発明に係る歩行運動装置
は、請求項1乃至請求項の何れか1項記載の歩行運動
装置において、前記歩行器は、前記水槽の底面に対する
前記無限軌道帯の取付角度を調整可能な角度調整手段を
備えた、ことを特徴としている。
【0029】請求項記載の歩行運動装置では、歩行器
を構成する無限軌道帯の水槽の底面に対する取付角度を
調整可能な角度調整手段を備えているため、例えば、擬
似歩行運動を行う人の機能障害の程度や機能回復に必要
な運動量に応じて擬似歩行運動で与えられる負荷を調整
することができる。このため、1基の歩行運動装置で機
能回復の各段階に応じた適切な負荷の歩行運動を行わせ
ることができる。
【0030】このように、請求項記載の歩行運動装置
では、小型でかつ構造が簡単で、信頼性が高くなると共
にコストを低くでき、腰部及び下肢に機能障害を有する
人への体重による負荷をより一層軽減できると共に機能
回復効果がより一層高い。
【0031】請求項記載の発明に係る歩行運動装置
は、請求項1乃至請求項の何れか1項記載の歩行運動
装置において、前記水槽は、その側壁に形成され人の出
入りが可能な出入り口と当該出入り口を被覆可能な扉と
を備えた、ことを特徴としている。
【0032】請求項記載の歩行運動装置では、水槽の
側壁に設けられた出入り口を通して人の水槽への出入り
が可能であり、人が水槽内に入り出入り口を扉で被覆し
た状態で水槽内へ水を充填する構成であるため、特に腰
部や下肢に機能障害を有する人にとって水槽への出入り
が容易となり擬似歩行運動を行う前後においても人に対
する負荷を軽減することができる。
【0033】また、逆に、水槽への人の出入りが容易で
あるため、例えば、リフトや梯子、足場等の補助的な設
備が不要で、水槽の地下(半地下を含む)への設置等の
設置場所における制限も不要となる。
【0034】このように、請求項記載の歩行運動装置
では、一層小型でかつ構造が一層簡単で、信頼性が高く
なると共にコストを低くでき、腰部及び下肢に機能障害
を有する人への体重による負荷をより一層軽減できると
共に機能回復効果がより一層高い。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態に係る歩行運
動装置10について図1乃至図3に基づいて説明する。
【0036】図1には、本発明の実施の形態に係る歩行
運動装置10の全体構成が一部切欠いた斜視図にて示さ
れている。また、図2には歩行運動装置10を構成する
水槽12が一部切欠いた斜視図にて示されており、図3
には歩行運動装置10を構成する歩行器50が正面図及
び平面図にて示されている。
【0037】図1に示される如く、歩行運動装置10
は、水槽12内に水を充填した状態で水槽12内の底部
に設置された歩行器50上を人90が擬似歩行運動する
ものである。
【0038】図2にも示される如く、歩行運動装置10
の水槽12は、上部に開口部14を有する長方形断面の
容器状であって、内部で人90が擬似歩行運動を行うの
に必要最低限の大きさに形成されている。この長方形断
面の短辺を形成する一の側壁16Aの略上半部には、出
入り口18が設けられている。この出入り口18は人9
0の水槽12内外への出入り可能に形成され、その下端
部には人90の水槽12内外への出入りの際に人90が
脚を掛けるステップ20が水槽12の外部に向けて形成
されている。
【0039】また、水槽12は、扉としてのドア22を
備えている。ドア22は、出入り口18を被覆可能に形
成され、出入り口18の片端を形成するの側壁16Aの
片端部(図2の左端部)に蝶ヒンジ24を介して開閉自
在に接続され、閉止状態では出入り口18を被覆するよ
うに構成されている。このドア22の外面側端側(図2
の右端側)には2対のファスナ28を構成する2つの係
止部28Aが、側壁16Aと隣接しこれと垂直に設けら
れた側壁16Bには2対のファスナ28を構成する2つ
の被係止部28Bがそれぞれ固定され、係止部28Aと
被係止部28Bとを係止することでドア22の閉止状態
を維持できるようになっている。さらに、出入り口18
廻りの側壁16A外面及びステップ20上部には、シー
ル材としてのラバーシート26が接続され、ドア22の
閉止状態においては水槽12内からの水の漏洩を防止す
るようになっている。このラバーシート26は、人90
が水槽12内外への出入りを行う際のすべり止めとして
も機能するようになっている。
【0040】さらに、水槽12の側壁16Bと対向する
側壁16Cの上端近傍には注水孔30が形成されてい
る。図1に示される如く、この注水孔30には注水バル
ブ32が接続された注水管34が挿入固定されている。
この注水管34は、例えば、図示しない上水道や循環ポ
ンプの吐出側に接続されている。また、側壁16Bの上
端部近傍で注水孔30より低い位置には溢水孔36が形
成され、水槽12内へ所定量以上の充填された水や人9
0の擬似歩行運動に伴って揺動された水がこの溢水孔3
6から水槽12外へ溢出されるようになっている。
【0041】一方、水槽12の下部には、排水パン38
が設けられている。排水パン38は水槽12より大きな
長方形断面を有する浅底容器状に形成されており、水槽
12の各側壁外面と排水パン38内面との間に溢水孔3
6から溢出された水を保持可能に構成されている。排水
パン38の側壁16Bと対向する側壁40下端部には第
1排水孔42が形成され、側壁40の第1排水孔42近
傍には第2排水孔44Aが形成されている。また、側壁
16Bの第2排水孔44Aと対向する位置には水槽排水
孔44Bが形成されている。図1にも示される如く、第
1排水孔42には排水バルブ46Aが接続された排水管
48Aが、第2排水孔44A及び水槽排水孔44Bには
排水バルブ46Bが接続された排水管48Bがそれぞれ
挿入固定され、各配水管48A、48Bは合流して配水
管48とされている。この配水管48は、例えば、図示
しない循環ポンプの吸込側や下水道に接続されている。
【0042】また、水槽12内の底部には、歩行器50
が設置されている。図3(A)に示される如く、歩行器
50は支持体としてのフレーム52を備え、このフレー
ム52には回転体としての2本のローラ54が回転軸5
6及び軸受58を介して互いに平行かつ回転自在に保持
されている。さらに、この2本のローラ54には無限軌
道帯としての歩行ベルト60が所定の張力で巻き掛けら
れている。これにより、人90が歩行ベルト60上で歩
行の動作を行うと歩行ベルト60を介してローラ54が
回転されることで歩行ベルト60は無限軌道移動され、
歩行ベルト60上で連続的に擬似歩行運動を行うことが
できるように構成されている。
【0043】さらに、図3(B)に示される如く、歩行
器50のフレーム52下方には、台座62が設置されて
いる。台座62は、その揺動軸64を軸としてフレーム
52を揺動可能に軸支した状態で水槽12の底面に固定
されている。また、台座62は複数のロック溝66を備
えており、このロック溝66の何れかにフレーム52の
下部に揺動自在に設けられたロック棒68が挿入される
ことで台座62に対するフレーム52の角度を調整可能
に構成されている。図3(B)には、ロック棒68がそ
の支持位置から最も遠いロック溝66Aに挿入されフレ
ーム52が水平である状態が実線で、ロック棒68がそ
の支持位置から最も近いロック溝66Bに挿入されフレ
ーム52が台座62に対して最も傾斜している状態が二
点鎖線でそれぞれ示されている。なお、上記の構成にお
いて台座62、揺動軸64、ロック溝66、ロック棒6
8が本発明における「角度調整手段」に相当する。
【0044】一方、水槽12の上部には、体幹保持補助
棒70が設けられている。体幹保持補助棒70は、対向
する一対の脚部72A、72B及び各脚部72A、72
Bを連結する背部74を有し、平面視で略コ字型に形成
されている。各脚部72A、72Bは水槽12の長方形
断面の長辺より短くされると共に上辺が短い略台形状の
パイプフレームとされ、背部74と連結されない側にお
いて上辺と下辺を連結すると共に傾斜が緩やかにされた
パイプがそれぞれ把持部76A、76Bとされている。
また、背部74は水槽12の長方形断面の短辺と同長の
略長方形のパイプフレームとされ、その両端部には脚部
72A、72Bがパイプフレームを構成するパイプの一
部を共有することで連結されている。
【0045】この状態で体幹保持補助棒70は一体に形
成されており、水槽12の開口部14の上端部に固定載
置されている。すなわち、体幹保持補助棒70の背部7
4が水槽12の側壁16Aと対向する側壁16D上端部
に、各脚部72A、72Bがそれぞれ側壁16B、16
C上端部に載置された状態で図示しない固定手段で固定
されている。また、この状態で各把持部76A、76B
の中央部が側壁16B、16C上端部の略中央に配置さ
れるようになっている。
【0046】また、体幹保持補助棒70の略左右対称と
なる適宜位置には、複数のリング78が固定して設けら
れている。これら複数のリング78は、後述する体幹保
持ベルト80を接続可能となっており、人90の体格に
応じてその接続位置が適宜選択されされるようになって
いる。
【0047】体幹保持ベルト80は、半帯状のベルト本
体82を備えている。ベルト本体82は人90の体型に
応じて屈曲変形可能とされ、人90と接触する側には柔
らかい触感を有する(例えば、スポンジ等から成る)図
示しないクッション部が内蔵されている。また、ベルト
本体82の左右両端部には、それぞれ接続ロープ84
A、84Bの一端部が接続されている。さらに、各接続
ロープ84A、84Bの他端部には、体幹保持補助棒7
0に設けられたリング78に係脱可能なフック86がそ
れぞれ接続されている。これにより、ベルト本体82が
2本の接続ロープ84A、84Bを介して体幹保持補助
棒70に設けられたリング78に接続可能な構成となっ
ている。なお、上記の通り、フック86を接続するリン
グ78は適宜選択可能であり、水槽12内における人9
0の体幹保持ベルト80の装着位置を人90の体格に応
じて調整可能な構成となっている。また、この接続状態
では、ベルト本体82は人90の腰臀部高位(体幹)に
位置し、人90に座した如き姿勢をとらせることでその
体重の一部または全部を保持可能に構成されている。
【0048】なお、上記の構成において、水と接触する
部位は全て、例えばステンレス鋼や樹脂等の耐腐食性の
材質で形成されるか、若しくは、例えば塗装やコーティ
ング等の耐腐食処理が施されている。
【0049】次に、本実施の形態の作用について説明す
る。
【0050】上記構成の歩行運動装置10では、水槽1
2内に水が充填されていない状態でドア22を開き、歩
行器50を構成するフレーム52の台座62に対する角
度を適宜調整した後、人90が出入り口18を通って水
槽12内へ入る。人90が水槽12内へ入るとドア22
を閉じファスナ28の係止部28Aと被係止部28Bと
を係止し、排水バルブ46Aを開き排水バルブ46Bを
閉じた状態で注水バルブ32を開き、水槽12内に所定
の温度の水を注入充填する。
【0051】水槽12内に所定量の水が充填されるのを
待つ間に、人90または補助者は、人90の体格に応じ
て水槽12内の適切な位置で人90の腰臀部高位に体幹
保持ベルト80を装着できるように適宜選択された体幹
保持補助棒70のリング78に体幹保持ベルト80のフ
ック86を接続する(人90が体幹保持ベルト80を装
着する)。
【0052】水槽12内の所定の水位(例えば、人90
の臍高位)まで水が充填されると、注水バルブ32を閉
じ注水を終了し、運動可能状態となる。なお、擬似歩行
運動時の水槽12内における水位は、例えば、人90の
障害の部位や程度に応じて適宜選択することができる。
【0053】運動可能状態となると、人90は体幹保持
補助棒70の把持部76A、76Bを把持し、体幹保持
ベルト80に座した如き姿勢で歩行器50の歩行ベルト
60上で擬似歩行運動を適宜行う。人90が歩行ベルト
60上で擬似歩行運動を行うと、人90の歩行力により
歩行ベルト60を介して各ローラ54が回転されると共
に歩行ベルト60が無限軌道移動されるため、人90は
歩行ベルト60上において連続的に擬似歩行運動を行う
ことができる。
【0054】ここで、水槽12内には水が充填保持され
ているため、人90の体重の一部が水による浮力で保持
され(例えば、臍高位の水位において体重の約半分が浮
力により保持される)、立位での擬似歩行運動が容易に
なる。特に、人90が腰部や下肢に機能障害を有する場
合においては、立位をとることに伴う疼痛が減少し陸上
においては保持が困難な体重を保持可能となり、この状
態で擬似歩行運動を行うことができる。
【0055】さらに、水中において水の流動抵抗に抗し
て擬似歩行運動を行うため、陸上において同様の動作を
行った場合と比較してその運動量が増加し(例えば、臍
高位の水位において2割乃至3割の運動量増加とな
る)、機能回復効果(リハビリテーション効果)も高く
なる。
【0056】またここで、人90が体幹保持補助棒70
の把持部76A、76Bを把持して擬似歩行運動を行う
ため、擬似歩行運動に伴って体勢(バランス)を崩すこ
となく容易に擬似歩行運動を続けることができる。特
に、人90が腰部や下肢に機能障害を有する場合は擬似
歩行中に体勢を崩す恐れが多いが、簡単な構造によりこ
れを排除することで腰部や下肢に機能障害を有する人9
0にとっても容易に擬似歩行運動を続けることができ
る。
【0057】さらに、人90がその腰臀部高位において
体幹保持ベルト80に座した如き姿勢(やや後傾した姿
勢)で歩行器50の歩行ベルト60上で擬似歩行運動を
行うため、体幹保持ベルト80にてその体重(体重)の
一部または全部が保持され、擬似歩行運動に伴う人90
の上半身の動揺が低減され、安定した状態で擬似歩行運
動を続けることができる。特に、人90が腰部や下肢に
機能障害を有する場合においては、その姿勢を安定させ
るために障害を有する部位に作用する負荷及びこれに伴
う疼痛が軽減され、機能回復に直接関与する擬似歩行運
動のみを効率良く行うことができる。
【0058】さらにまた、上記のようなやや後傾した姿
勢をとることで擬似歩行運動時における下肢及び膝の屈
曲度が増すため、機能回復(筋力強化)に効果的な擬似
歩行運動を人90に行わせることができる。また、人9
0が後傾した重心を擬似歩行運動に伴って前方へ移動さ
せるように積極的に体重移動を行おうとし、この体重移
動を行うために人90が体幹保持補助棒70の把持部7
6A、76Bを把持する上体に力を入れ体幹保持補助棒
70に体を引きつける動作を行うため、下肢及び膝の屈
曲度が一層増し、かつ安定した状態(姿勢)で一層効果
的な擬似歩行運動を行うことができる。
【0059】またここで、水中において立位で擬似歩行
運動(人90の移動を伴わない運動)を行う構成のた
め、水槽12はこの運動を妨げない必要最低限の大きさ
で足り、歩行運動装置10全体として小型化が図られ
る。また、歩行器50は人の歩行力により駆動される構
成であるため、電力等のエネルギー源や配線等の取合い
が不要となり構造が簡単で、これに伴い故障の恐れが少
なく信頼性が高くなると共に設備コスト及び運転コスト
が低減される。
【0060】また、人90の体格に応じて水槽12内に
おける体幹保持ベルト80の装着位置を調整可能である
ため、1基の歩行運動装置10で様々な体格の人90が
水槽12内の適切な位置において体幹保持ベルト80に
てその体重の一部または全部を保持された状態で擬似歩
行運動を行うことができる。
【0061】さらに、歩行器50を構成するフレーム5
2(歩行ベルト60)の台座62(水槽12の底面)に
対する取付角度を調整可能であるため、例えば、擬似歩
行運動を行う人90の機能障害の程度や機能回復に必要
な運動量に応じて擬似歩行運動で与えられる負荷を調整
することができる。このため、1基の歩行運動装置10
で機能回復の各段階に応じた適切な負荷の歩行運動を行
わせることができる。
【0062】さらにまた、出入り口18を通して人90
の水槽12への出入りが可能で、人90が水槽12内に
入り出入り口18をドア22で被覆した状態で水槽12
内へ水を充填する構成であるため、特に人90が腰部や
下肢に機能障害を有する場合にこの人90の水槽12へ
の出入りが容易となり擬似歩行運動を行う前後において
も人90に対する負荷を軽減することができる。また、
逆に、水槽12への人90の出入りが容易であるため、
例えば、リフトや梯子、足場等の補助的な設備が不要
で、水槽12の地下(半地下を含む)への設置等の設置
場所における制限も不要となる。
【0063】このように、本実施の形態に係る歩行運動
装置10は、人90が擬似歩行運動を行うに必要最小限
の大きさに形成されたため小型で、かつ歩行器50が人
90の歩行力により駆動されるため構造が簡単で信頼性
が高くなると共にコストを低くでき、水の浮力並びに体
幹保持補助棒70及び体幹保持ベルト80の相乗効果に
より人90が腰部及び下肢に機能障害を有する場合にそ
の障害を有する部位への体重による負荷(疼痛)を軽減
できると共に障害を有する部位の機能回復効果が高い。
【0064】なお、上記の実施の形態では、水槽12は
単独(一人用)の水槽としたが、本発明はこれに限定さ
れず、例えば、水槽を複数連結して複数人が同時に使用
可能な構成としても良い。また、上記の実施の形態で
は、平面視で略コ字状に一体に形成された体幹保持補助
棒70を水槽12の開口部14上に固定載置する構成と
したが、本発明はこれに限定されず、例えば、左右別個
にそれぞれ円弧状に形成された一対の体幹保持補助棒を
水槽の開口部上や内壁面等にそれぞれ固定する構成とし
ても良い。
【0065】また、上記の実施の形態では、体幹保持ベ
ルト80は2本の接続ロープ84A、84Bで体幹保持
補助棒70に接続可能な構成としたが、本発明はこれに
限定されず、例えば、2本の接続ロープ84A等に代え
て任意の数のワイヤやベルト本体と一体に形成された接
続ベルト部を備えた構成としても良く、さらに例えば、
体幹保持ベルトの接続位置を体幹保持補助棒に代えて水
槽とした構成としても良い。さらにまた、人90の腰部
や下肢の機能障害の有無や程度に応じて体幹保持ベルト
を接続しなくても良く、背筋を伸ばした状態で擬似歩行
運動を行う際の補助具として(例えば、歩行器を水槽底
面に対して傾斜させた場合に)体幹保持ベルトを使用し
ても良い。
【0066】さらに、上記の実施の形態では、歩行器5
0の角度調整を台座62に設けられたロック溝66とフ
レーム52に設けられたロック棒68とを用いて行う構
成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、揺動
軸部にラチェット機構を用いた構成としても良く、フレ
ームの揺動軸とは反対側の端部を巻取り引出し自在のロ
ープで吊る構成としても良い。
【0067】さらにまた、上記の実施の形態では、ドア
22はヒンジ式のドアとしたが、本発明はこれに限定さ
れず、例えば、縦方向または横方向のスライド式のドア
としても良い。また、上記の実施の形態では、出入り口
18が水槽12の側壁16Aの略上半部に設けられた構
成としてが、本発明はこれに限定されず、例えば、水槽
の側壁下端部から出入り口を設けた構成としても良い。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、小型でか
つ構造が簡単で、信頼性が高くなると共にコストを低く
でき、腰部及び下肢に機能障害を有する人への体重によ
る負荷を軽減できると共に機能回復効果が高いという優
れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る歩行運動装置の全体構成を
示す一部切欠いた斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る歩行運動装置を構成する水
槽を示す一部切欠いた斜視図である。
【図3】(A)は本実施の形態に係る歩行運動装置を構
成する歩行器の一部断面を示す平面図、(B)は上記歩
行器を示す正面図である。
【符号の説明】
10 歩行運動装置 12 水槽 16A 側壁 18 出入り口 22 ドア(扉) 50 歩行器 52 フレーム(支持体) 54 ローラ(回転体) 60 歩行ベルト(無限軌道帯) 62 台座(角度調整手段) 64 揺動軸(角度調整手段) 66 ロック溝(角度調整手段) 68 ロック棒(角度調整手段) 70 体幹保持補助棒 80 体幹保持ベルト 90 人
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−99390(JP,A) 実開 平1−59163(JP,U) 特表 平2−502159(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A63B 23/04 A63B 22/06 A61H 1/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部が開口され、任意の水位まで内部に
    水を充填可能な水槽と、 互いに平行な状態で支持体に回転自在に保持された少な
    くとも2本の回転体と当該各回転体に所定の張力で巻き
    掛けられた無限軌道帯とを有し、前記水槽内の底部に配
    置され、前記無限軌道帯上に乗った人の歩行力により駆
    動されることで前記人が連続的に擬似歩行運動可能な歩
    行器と、 人の体幹に対応して装着可能に形成されると共に長手方
    向の両端部がそれぞれ前記水槽に接続され、前記無限軌
    道帯上に乗った人が長手方向中間部を前記両端部よりも
    後方で腰臀部高位に装着することで作用する張力によっ
    て、前記人を後方から支持して該人を後傾させつつ該人
    の体重の一部または全部を保持する体幹保持ベルトと、 を備えた歩行運動装置。
  2. 【請求項2】 前記水槽に固定され、前記無限軌道帯上
    に乗った人が把持することでその体勢を維持可能に設け
    られた体幹保持補助棒を備えた、ことを特徴とする請求
    項1記載の歩行運動装置。
  3. 【請求項3】 前記体幹保持ベルトは、前記無限軌道帯
    上に乗った人の体格に応じて前記水槽内における装着位
    置を調整可能である、ことを特徴とする請求項請求項1
    または請求項2記載の歩行運動装置。
  4. 【請求項4】 前記歩行器は、前記水槽の底面に対する
    前記無限軌道帯の取付角度を調整可能な角度調整手段を
    備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れ
    か1項記載の歩行運動装置。
  5. 【請求項5】 前記水槽は、その側壁に形成され人の出
    入りが可能な出入り口と当該出入り口を被覆可能な扉と
    を備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何
    れか1項記載の歩行運動装置。
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